【税理士×公認会計士が解説】令和7年度税制改正のポイント(法人税関連)|防衛特別法人税・賃上げ税制・経営強化税制

監
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。
令和7年度税制改正のポイント(法人税関連)|防衛特別法人税・賃上げ税制・経営強化税制
「今年の税制改正で法人税にどんな影響があるの?」「防衛特別法人税って何?うちの会社も払うの?」とお悩みの経営者に向けて、令和7年度税制改正の法人税関連項目を網羅的に解説します。この記事を読めば、自社への影響額を把握し、決算・申告で必要な対応がわかります。
🏆 結論:中小企業経営者が押さえるべき3つのポイント
①防衛特別法人税(税率4%)は令和8年4月1日以後開始事業年度から適用。法人税額500万円以下なら課税なし。②中小企業経営強化税制はC類型廃止・B類型拡充のうえ令和9年3月31日まで2年延長。③中小法人の軽減税率15%は2年延長(ただし所得年10億円超は17%に引上げ)。3月決算法人は令和8年4月開始事業年度から防衛特別法人税の影響を受けるため、今期中にシミュレーションを行うべきです。
令和7年度税制改正(法人税関連)の全体像
令和7年度税制改正は、2024年12月27日に閣議決定された税制改正大綱に基づき、2025年3月31日に改正法が成立・公布されました。法人税関連の改正は「賃上げと投資が牽引する成長型経済」をキーワードに、増税と減税が混在する内容です。
実務では、改正項目が多岐にわたるため「どれが自社に影響するのか」の判断が最初の課題になります。年間100社以上の決算を担当してきた経験上、改正内容を一覧表で俯瞰してから、該当する項目だけを深掘りするアプローチが最も効率的です。
法人税関連の主要改正項目一覧
| 改正項目 |
概要 |
適用開始 |
中小企業影響度 |
| 防衛特別法人税の創設 | 法人税額×4%の付加税(500万円控除あり) | 令和8年4月1日以後開始事業年度 | ★★☆☆(中規模以上) |
| 中小企業経営強化税制の拡充・延長 | B類型拡充、E類型新設、C類型廃止 | 令和9年3月31日まで延長 | ★★★★(設備投資企業) |
| 中小法人の軽減税率特例の延長 | 15%→2年延長(所得年10億超は17%) | 令和9年3月31日まで | ★★★☆(全中小法人) |
| 中小企業投資促進税制の延長 | 特別償却30%または税額控除7%を2年延長 | 令和9年3月31日まで | ★★★☆(設備投資企業) |
| 企業版ふるさと納税の延長 | 地方創生応援税制を3年延長 | 令和10年3月31日まで | ★★☆☆(寄附意向ある企業) |
| 事業承継税制の役員就任要件見直し | 贈与日の3年前→直前に役員であればOK | 改正法施行日以後の贈与 | ★★★☆(事業承継予定企業) |
| 固定資産税特例の延長・拡充 | 賃上げ率に応じた軽減率引上げ | 令和8年度末まで | ★★★☆(設備投資+賃上げ企業) |
| グローバル・ミニマム課税の法制化 | UTPR・QDMTT等の導入完了 | 令和7年4月1日以後開始事業年度 | ★☆☆☆(大企業グループ向け) |
| リース会計基準対応(延払基準廃止) | ファイナンスリースの収益計上方法変更 | 令和9年4月1日以後開始事業年度 | ★☆☆☆(リース会社向け) |
| 中小企業防災・減災投資促進税制 | 特別償却16%を2年延長 | 令和9年3月31日まで | ★★☆☆(BCP策定企業) |
参考: 財務省「令和7年度税制改正の大綱の概要」
💡 実務のポイント
改正項目のうち、多くの中小企業に直接影響するのは上位3〜4項目です。グローバル・ミニマム課税やリース会計基準対応は連結売上7.5億ユーロ以上の企業グループや上場会社向けなので、中小企業経営者は読み飛ばしても問題ありません。
防衛特別法人税の創設|しくみ・計算方法・中小企業への影響
防衛特別法人税とは、防衛力強化の財源確保を目的として、法人税額に対し税率4%を課す新たな付加税です。令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。3月決算法人であれば、2027年3月期の決算から影響が出ます。
防衛特別法人税の計算構造
計算の流れは以下のとおりです。
| ステップ |
計算内容 |
備考 |
| ①基準法人税額の算出 | 所得税額控除・外国税額控除等を適用しない法人税額 | 附帯税は除く |
| ②基礎控除の適用 | 基準法人税額 − 500万円 = 課税標準法人税額 | 500万円以下ならゼロ |
| ③防衛特別法人税の計算 | 課税標準法人税額 × 4% | 外国税額控除の適用可 |
ポイントは基礎控除500万円の存在です。法人税額が500万円以下であれば、防衛特別法人税はゼロになります。
「うちの会社は対象?」判定フロー
| 判定ステップ |
条件 |
結果 |
| Step1:課税所得の確認 | 課税所得が約2,400万円以下 | → 法人税額500万円以下 → 課税なし |
| Step2:法人税額の確認 | 法人税額500万円超 | → 500万円を超える部分に4%課税 |
| Step3:通算法人の確認 | グループ通算制度を適用 | → 500万円控除はグループ全体で按分 |
⚠️ 注意:通算法人のグループ按分
グループ通算制度を適用している場合、500万円の基礎控除はグループ全体で按分します。各法人が個別に500万円を控除できるわけではないため、グループ内に子会社が多いほど1社あたりの控除額が小さくなります。
防衛特別法人税の課税所得別シミュレーション
📐 シミュレーション前提条件
- 資本金1億円以下の中小法人(単体申告)
- 年800万円以下の所得は軽減税率15%、超過部分は23.2%で計算
- 所得税額控除・外国税額控除なし
- 基準法人税額 ≒ 算出法人税額と仮定
| 課税所得 |
法人税額(概算) |
防衛特別法人税 |
負担増率 |
| 500万円 | 75万円 | 0円 | 0% |
| 1,000万円 | 166万円 | 0円 | 0% |
| 2,500万円 | 514万円 | 約5,600円 | 約0.001% |
| 5,000万円 | 1,094万円 | 約23.8万円 | 約0.48% |
| 1億円 | 2,254万円 | 約70.2万円 | 約0.70% |
※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。
💡 実務のポイント
課税所得2,400万円以下(法人税額約500万円以下)の中小企業には影響がありません。実際にこの水準を超える中小法人は全体の一部ですが、好業績の企業や利益が集中する特定事業年度では影響が出ます。決算予測の段階で防衛特別法人税を織り込むことをお勧めします。
防衛特別法人税の申告と納付
防衛特別法人税の申告期限・納付期限は法人税と同一です。つまり事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に申告・納付します。申告についてはe-Taxでの電子申告が法人税と同様に義務化されます。
中間申告は令和9年(2027年)4月1日以後に開始する課税事業年度から適用されます。3月決算法人であれば2028年3月期の中間申告(2027年11月末期限)が最初の対象です。
参考: 財務省「令和7年度税制改正の大綱(6/9)」
法定実効税率はどう変わる?|改正前後の比較
防衛特別法人税の創設により、法人の実効税率が上昇します。法人税率自体は変更されませんが、付加税が加わることで実質的な税負担が増えます。
法定実効税率の改正前後比較
📐 前提条件
- 東京都23区内(法人都民税・法人事業税は標準税率)
- 資本金1億円以下の普通法人
- 法人税額500万円超を前提(防衛特別法人税が発生するケース)
| 税目 |
改正前 |
改正後 |
| 法人税 | 23.2% | 23.2%(変更なし) |
| 地方法人税 | 10.3% | 10.3%(変更なし) |
| 防衛特別法人税 | − | 4.0%(新設) |
| 法人住民税(都道府県+市町村) | 法人税額の約7% | 法人税額の約7%(変更なし) |
| 法人事業税+特別法人事業税 | 所得に対する税率 | 変更なし |
| 法定実効税率(概算) | 約33.58% | 約34.59% |
法定実効税率は約1ポイント上昇する計算です。ただし、基礎控除500万円の範囲内に収まる中小企業では実効税率の変動はありません。
📊 公認会計士の視点
上場会社や会計監査の対象法人は、税効果会計への影響に注意が必要です。防衛特別法人税は法人税の付加税として法定実効税率に織り込む必要があり、2026年4月1日以後に開始する事業年度に解消が見込まれる一時差異等の繰延税金資産・負債の計算で影響が出ます。企業会計基準委員会(ASBJ)もこの点に関する補足文書を公表しています。
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中小企業経営強化税制の拡充・延長|改正前後の比較
中小企業経営強化税制は、経営力向上計画の認定を受けた中小企業が設備投資を行った場合に、即時償却または税額控除(最大10%)を受けられる制度です。令和7年度改正で大幅に見直されました。
改正前後の設備類型比較表
| 設備類型 |
改正前 |
改正後 |
措置内容 |
| A類型(生産性向上) | 経営力向上の指標あり | 指標を見直し | 即時償却 or 税額控除10%(7%) |
| B類型(収益力強化) | 投資利益率5%以上 | 7%以上に引上げ+建物追加 | 即時償却 or 税額控除10%(7%) |
| C類型(デジタル化) | 対象あり | 廃止(令和7年3月31日終了) | − |
| E類型(100億企業向け・新設) | − | 売上高100億円超を目指す中小企業 | 建物を対象設備に追加。賃上げ要件で特別償却率上乗せ |
E類型(100億企業向け拡充措置)の要件
売上高100億円超を目指す成長意欲のある中小企業を対象に、工場のラインや店舗等の生産性向上に係る設備投資に伴う建物・附属設備が対象に加わりました。
主な要件は以下のとおりです。
投資計画における年平均の投資利益率が7%以上であること、経済産業大臣が定める経営規模拡大要件を満たすこと、そして建物の新増設に伴い雇用者給与支給総額を前年度比で一定以上引き上げることが求められます。賃上げ率2.5%以上で特別償却15%または税額控除1%、5.0%以上で特別償却25%または税額控除2%が適用されます。
💡 実務のポイント
C類型(デジタル化設備)は令和7年3月31日で廃止されたため、IT導入を予定していた企業は注意が必要です。ただし、デジタル化設備でもA類型やB類型の要件を満たせば引き続き対象となる可能性があります。顧問税理士と設備投資計画を事前に確認しましょう。
中小企業経営強化税制の詳細については、「減価償却の基礎知識|耐用年数・計算方法・特別償却をわかりやすく解説」もあわせてご覧ください。
中小法人の軽減税率特例の延長と見直し
中小法人の所得年800万円以下の部分に対する軽減税率(本則19%→特例15%)は、令和9年3月31日まで2年間延長されました。ただし、一部の高所得法人については新たな制限が設けられています。
軽減税率の改正ポイント
所得金額が年10億円を超える事業年度については、800万円以下の所得に対する特例税率が15%から17%に引き上げられます。また、グループ通算制度を適用する通算法人は本特例の適用対象外となりました。
| 区分 |
改正前 |
改正後 |
| 年800万円以下の所得(通常) | 15% | 15%(変更なし) |
| 年800万円以下の所得(所得年10億超) | 15% | 17% |
| 通算法人 | 15% | 適用対象外 |
| 年800万円超の所得 | 23.2% | 23.2%(変更なし) |
| 適用期限 | 令和7年3月31日 | 令和9年3月31日 |
現場でよく質問を受けるのが「過去3年平均で所得15億円超だとどうなるか」という点です。中小企業経営強化税制や中小企業投資促進税制では、適用事業年度前3年間の平均所得が15億円を超える法人は適用対象外とされる措置もあるため、一定規模以上の中小法人は各制度の適用要件を個別に確認する必要があります。
賃上げ促進税制|令和6年度改正の適用が本格化
賃上げ促進税制は令和6年度改正で大幅に見直されており、令和7年度改正での変更はありません。しかし、改正後の制度が適用される初めての決算期(令和7年3月期)を迎える企業が多いため、ここで改めて要点を整理します。
中小企業向け賃上げ促進税制の概要
| 要件 |
税額控除率 |
| 給与増加率1.5%以上 | 増加額の15% |
| 給与増加率2.5%以上 | 増加額の30% |
| +教育訓練費増加10%以上 | 上記に+10% |
| +子育て・女性活躍支援(プラチナくるみん等取得) | 上記に+5% |
| 最大税額控除率 | 増加額の45% |
税額控除の上限は法人税額の20%です。
繰越税額控除制度の新設(令和6年度改正)
令和6年度改正で新設された最大の目玉が「繰越税額控除制度」です。賃上げ促進税制の税額控除額が法人税額の20%上限を超えて控除しきれなかった場合、その控除しきれなかった金額を5年間繰り越すことができるようになりました。
実務では、赤字の事業年度や法人税額が少ない事業年度でも賃上げを行った場合に、翌期以降の黒字年度で税額控除を受けられるため、中小企業にとってメリットが大きい制度です。年間100社以上の決算を担当している中で、「今期は赤字だから賃上げしても税制のメリットがない」と誤解されている経営者が少なくありません。繰越制度の活用を積極的に検討すべきです。
賃上げに関連する社会保険料の負担増については、「役員報酬の基礎知識|決め方・変更ルール・税務リスクを解説」もご参照ください。
事業承継税制の見直し|役員就任要件の緩和
事業承継税制の特例措置において、後継者の役員就任要件が大幅に緩和されました。
改正前後の比較
| 項目 |
改正前 |
改正後 |
| 法人版事業承継税制(贈与) | 贈与日まで3年以上役員であること | 贈与の直前に役員であればOK |
| 個人版事業承継税制 | 同様の要件 | 同様に緩和 |
| 特例承継計画の提出期限 | 令和8年3月末 | 変更なし(令和8年3月末) |
この緩和により、「後継者を3年前までに役員にしておく必要があった」という計画性のハードルが下がりました。贈与の直前に役員に就任していれば要件を満たすため、事業承継の準備期間に余裕が生まれます。
⚠️ 注意:特例承継計画の提出期限
事業承継税制の特例措置を受けるための特例承継計画の提出期限は令和8年(2026年)3月末です。この期限は延長されていないため、事業承継を検討中の経営者は計画の提出を早急に進める必要があります。
事業承継の全体像については、「会社設立の流れ|設立手続き・届出・費用を完全ガイド」や「法人成りのタイミング|個人事業主が法人化すべき売上の目安」もあわせてご覧ください。
固定資産税特例の延長と賃上げ連動の拡充
先端設備等導入計画に基づく設備投資に係る固定資産税の特例措置が2年間延長されるとともに、賃上げ率に応じた軽減率の引上げが行われました。
賃上げ率と固定資産税の軽減率
| 表明する賃上げ率 |
軽減後の課税標準 |
軽減期間 |
| 1.5%以上 | 価格の1/2 | 3年間 |
| 3.0%以上 | 価格の1/4 | 5年間 |
赤字の中小企業であっても固定資産税の軽減を受けられるため、法人税額がゼロの企業にとっても意味のある制度です。賃上げと設備投資をセットで行う企業に有利な仕組みとなっています。
参考: 経済産業省「令和7年度経済産業関係税制改正のポイント」
中小企業が今すぐ取るべきアクション|対応チェックリスト
改正項目が多く、何から手をつけてよいかわからないという声をよくいただきます。以下のチェックリストで、自社に該当する項目を確認してください。
| チェック項目 |
該当する企業 |
対応期限の目安 |
| 防衛特別法人税の影響額を試算したか | 課税所得2,400万円超の法人 | 次回決算前 |
| 経営強化税制C類型の適用を予定していなかったか | IT設備投資を計画中の企業 | 即時(C類型は廃止済み) |
| 経営力向上計画の認定を取得しているか | 設備投資を予定する企業 | 設備取得前 |
| 賃上げ促進税制の繰越控除を活用できないか | 前期赤字で賃上げした企業 | 確定申告時 |
| 特例承継計画の提出準備をしているか | 事業承継を検討中の企業 | 令和8年3月末 |
| 先端設備等導入計画の認定を取得しているか | 設備投資+賃上げを行う企業 | 設備取得前 |
| 通算法人の軽減税率適用除外を把握しているか | グループ通算制度適用法人 | 次回決算前 |
💡 実務のポイント
現場で実際に対応が急がれるのは「特例承継計画の提出」と「経営強化税制の設備類型の確認」の2点です。特に特例承継計画の提出期限は延長されておらず、期限を過ぎると特例措置が使えなくなります。事業承継を検討している場合は、まず認定経営革新等支援機関(税理士等)に相談することをお勧めします。
経営強化税制の活用シミュレーション|即時償却 vs 税額控除
設備投資を行う際に「即時償却と税額控除のどちらが有利か」は、よく経営者から質問を受けるテーマです。
📐 シミュレーション前提条件
- 資本金3,000万円以下の中小法人
- 設備投資額:2,000万円(耐用年数10年の機械装置)
- 課税所得:毎年2,000万円で安定
- 法人税実効税率:約33.58%
| 比較項目 |
即時償却 |
税額控除10% |
| 初年度の税負担軽減額 | 約672万円 | 200万円 |
| 10年間の合計税負担軽減額 | 0円(課税の繰延べ) | 200万円(永久減税) |
| キャッシュフロー効果 | 初年度に資金効果大 | 効果は控除額分のみ |
| 向いている企業 | 資金繰り重視・利益が一時的に大きい | 安定利益・トータル減税重視 |
※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。
即時償却は課税の「繰延べ」であり、10年間のトータルで見れば税負担の総額は変わりません。一方、税額控除は法人税額そのものが減る「永久減税」です。資金繰りに余裕がある企業は税額控除を選んだ方が、長期的には有利になります。
減価償却の基本的なしくみは「減価償却の基礎知識|耐用年数・計算方法・特別償却をわかりやすく解説」で詳しく解説していますので、そちらもご覧ください。
その他の法人税関連改正|企業版ふるさと納税・防災減災税制
企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)の延長
企業版ふるさと納税は、一定の地方公共団体の事業に寄附を行うことで、寄附額の最大約9割の税額控除を受けられる制度です。令和7年度改正で適用期限が3年間延長され、令和10年3月31日まで利用可能となりました。
寄附の下限額は10万円で、損金算入と合わせた実質負担は最小約1割です。CSR活動と節税を両立できるため、実務では利益が出た事業年度に検討されるケースが増えています。
中小企業防災・減災投資促進税制の延長
事業継続力強化計画(BCP)の認定を受けた中小企業が防災・減災設備を取得した場合に、取得価額の16%を特別償却できる制度が2年間延長されました(令和9年3月31日まで)。
対象設備は自家発電設備、排水ポンプ、止水板、防火シャッターなどです。近年の自然災害の多発を踏まえると、BCP策定と税制活用を組み合わせることで、災害リスク低減と税務メリットの両方を得られます。
よくある質問(FAQ)
防衛特別法人税はいつから適用されますか?
令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。3月決算法人であれば2027年3月期(2026年4月〜2027年3月)が最初の対象事業年度です。中間申告は令和9年4月1日以後に開始する課税事業年度から適用されます。
防衛特別法人税は中小企業にも課税されますか?
法人税額を課す全ての法人が対象ですが、基礎控除500万円があるため、法人税額(基準法人税額)が500万円以下の法人には実質的に課税されません。目安として、課税所得が約2,400万円以下の中小法人であれば影響はありません。
防衛特別法人税は「当分の間」とのことですが、いつまで続きますか?
改正法の条文では「当分の間」とされており、具体的な終了時期は定められていません。復興特別法人税(令和26年度まで)のように長期化する可能性もあるため、恒久的な税として経営計画に織り込むことをお勧めします。
中小企業経営強化税制のC類型はなぜ廃止されたのですか?
デジタル化設備(C類型)は、制度の整理・統合の一環として令和7年3月31日をもって廃止されました。ただし、デジタル化設備であってもA類型(生産性向上設備)やB類型(収益力強化設備)の要件を満たす場合は、引き続き経営強化税制の適用を受けられます。設備投資の前に税理士に要件確認をしてください。
賃上げ促進税制の繰越控除は具体的にどう使えますか?
適用年度の法人税額の20%上限を超えて控除しきれなかった金額を、翌期以降5年間繰り越せます。たとえば、今期赤字で法人税額がゼロでも、賃上げの実績があれば、黒字化した翌期以降に税額控除を受けられます。確定申告書の別表で繰越額を管理します。
事業承継税制の特例承継計画の提出期限はいつですか?
令和8年(2026年)3月31日です。この期限は令和7年度改正でも延長されていません。特例承継計画を提出しないと特例措置(贈与税・相続税の納税猶予100%)が使えないため、事業承継を検討中の経営者は早急に計画を策定・提出することをお勧めします。
法定実効税率はどのくらい上がりますか?
防衛特別法人税の創設により、法定実効税率は約1ポイント上昇し、概算で約33.58%から約34.59%になります。ただし、法人税額500万円以下の企業は防衛特別法人税が発生しないため、実効税率への影響はありません。
令和7年度改正で少額減価償却資産の特例(30万円未満)は変わりましたか?
少額減価償却資産の特例は令和7年度改正では変更されていません。ただし、令和8年度改正で上限額が30万円未満から40万円未満に引き上げられる見込みです(2026年4月1日以後取得分)。最新の状況は国税庁の発表をご確認ください。
グローバル・ミニマム課税は中小企業にも関係ありますか?
原則として関係ありません。グローバル・ミニマム課税(第2の柱)は、連結売上高が7.5億ユーロ(約1,200億円)以上の多国籍企業グループが対象です。中小企業の経営者がこの改正項目を気にする必要はほぼありません。
令和7年度改正の法人税関連で最も影響が大きいのはどの項目ですか?
中小企業にとって最もインパクトが大きいのは中小企業経営強化税制の拡充・延長です。設備投資を行う企業は即時償却または税額控除で大きな節税効果を得られます。次いで、事業承継税制の役員就任要件緩和が後継者問題を抱える企業に影響します。防衛特別法人税は法人税額500万円超の企業のみ対象のため、影響範囲は限定的です。
まとめ
📋 この記事のポイント
- 防衛特別法人税(4%)は令和8年4月1日以後開始事業年度から。法人税額500万円以下(課税所得約2,400万円以下)なら課税なし
- 中小企業経営強化税制はC類型廃止、B類型拡充(投資利益率7%以上)、E類型新設(100億企業向け)で令和9年3月31日まで延長
- 中小法人の軽減税率15%は2年延長。ただし所得年10億超は17%、通算法人は適用除外
- 賃上げ促進税制の繰越控除制度(5年)が令和7年3月期から本格適用。赤字年度でも活用可
- 事業承継税制の役員就任要件が「3年以上→直前」に緩和。特例承継計画の提出期限は令和8年3月末(未延長)
- 固定資産税の特例は賃上げ率3%以上で課税標準1/4・5年間に拡充
令和7年度税制改正は、増税(防衛特別法人税)と減税(経営強化税制拡充・軽減税率延長)が混在する内容です。自社の課税所得水準と設備投資・賃上げ計画を照らし合わせて、有利な制度を確実に活用しましょう。判断に迷ったら、早めに税理士にご相談いただくことが、最大の節税対策です。
法人税の基本については「法人決算の流れ|決算書の作り方・申告期限・税理士への依頼方法」で詳しく解説しています。
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