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「防衛増税で法人税が上がるらしいけど、うちの会社はいくら影響があるの?」とお困りの経営者に向けて、防衛特別法人税の計算方法・適用時期・中小企業への影響を完全ガイドします。この記事を読めば、自社の負担増がいくらになるかをシミュレーションできます。


「防衛増税で法人税が上がるらしいけど、うちの会社はいくら影響があるの?」とお困りの経営者に向けて、防衛特別法人税の計算方法・適用時期・中小企業への影響を完全ガイドします。この記事を読めば、自社の負担増がいくらになるかをシミュレーションできます。
🏆 結論:課税所得2,400万円以下の中小企業は実質的な負担ゼロ
防衛特別法人税は、法人税額に対して税率4%が課される新しい付加税です。ただし、基準法人税額から年500万円を差し引く基礎控除があるため、課税所得が約2,400万円以下の中小法人は実質的に税額が発生しません。2026年4月1日以後開始事業年度から適用されます。
防衛特別法人税とは、日本の防衛力を抜本的に強化するための財源を確保する目的で創設された、法人税の付加税です。「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」の改正により、2025年3月に関連法案が国会で成立しました。
政府は防衛費をGDP比2%程度(5年間で約43兆円)に増額する方針を決定しており、その安定的な財源のひとつとして防衛特別法人税が位置づけられています。法人税率そのものを引き上げるのではなく、法人税額に対する付加税(上乗せ)として課されるしくみです。
| 税制措置 | 適用開始 | 概要 |
|---|---|---|
| 防衛特別法人税 | 2026年4月〜 | 法人税額に対する4%の付加税(基礎控除500万円あり) |
| 防衛特別所得税 | 2027年1月〜 | 所得税額に対する1%の付加税(復興特別所得税を2.1%→1.1%に引下げ) |
| たばこ税の引上げ | 2026年4月〜段階的 | 加熱式たばこの課税基準変更、段階的な税率引上げ |
💡 実務のポイント
経営者から「復興特別所得税みたいにいつか終わるの?」と聞かれることがありますが、防衛特別法人税は「当分の間」課税されるとされており、明確な終了時期は定められていません。復興特別所得税も当初は2037年末までの予定でしたが、今回の改正で2047年末まで10年延長されています。防衛特別法人税も長期継続を前提に資金計画を立てることをおすすめします。
防衛特別法人税の計算式は「(基準法人税額 − 500万円)× 4%」です。法人税額そのものではなく、一定の税額控除を除外して算出した「基準法人税額」がベースになります。
| ステップ | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| ① | 基準法人税額を算出 | 所得税額控除・外国税額控除等の一定の税額控除を適用しないで計算した法人税額 |
| ② | 基礎控除500万円を差し引く | 基準法人税額が500万円以下なら課税標準はゼロ |
| ③ | 課税標準法人税額に4%を乗じる | これが防衛特別法人税額 |
| ④ | 外国税額控除等を適用 | 国際的な二重課税の排除 |
⚠️ 注意:「基準法人税額」と「法人税額」は異なる
基準法人税額は、所得税額控除や外国税額控除を差し引く「前」の金額です。つまり、実際に納付する法人税額よりも大きくなる場合があります。「うちは法人税が500万円以下だから大丈夫」と思っていても、基準法人税額ベースでは500万円を超えるケースがあるため注意してください。
防衛特別法人税の負担が実際に発生するかどうかは、自社の基準法人税額が500万円を超えるかどうかで決まります。以下の判定フローで確認してください。
| ステップ | 確認事項 | 結果 |
|---|---|---|
| ① | 自社は法人税を納める法人か? | No → 対象外(個人事業主は防衛特別所得税の対象) |
| ② | 課税所得はいくらか? | 中小法人で約2,400万円以下 → 法人税額500万円以下のため実質負担ゼロ |
| ③ | 通算法人(グループ通算制度適用)か? | 通算法人の場合、基礎控除額の按分計算が必要 |
中小法人(資本金1億円以下)には、年800万円以下の所得に15%の軽減税率が適用されます。この前提で、課税所得と基準法人税額の関係を整理すると以下のようになります。
| 課税所得 | 基準法人税額(概算) | 500万円超? | 防衛特別法人税額 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 75万円 | No | 0円 |
| 1,000万円 | 150万円 | No | 0円 |
| 2,400万円 | 約490万円 | No | 0円 |
| 3,000万円 | 約627万円 | Yes | 約5.1万円 |
| 5,000万円 | 約1,087万円 | Yes | 約23.5万円 |
| 1億円 | 約2,237万円 | Yes | 約69.5万円 |
※中小法人の軽減税率15%(800万円以下)+23.2%(800万円超)で概算。実際の基準法人税額は各種税額控除の適用前の金額となるため、上記と異なる場合があります。正確な計算は税理士にご相談ください。
🧮 シミュレーションの読み方
中小法人の場合、課税所得が約2,400万円以下なら防衛特別法人税は実質ゼロです。これは基礎控除500万円が中小企業への配慮措置として設けられているためです。国税庁の統計では、中小法人の約7〜8割は課税所得2,400万円以下に該当するとみられており、多くの中小企業にとっては直接的な負担増はありません。
資本金1億円超の普通法人は軽減税率の適用がなく、全額に23.2%の税率が適用されます。基礎控除500万円のインパクトが相対的に小さくなるため、影響額が大きくなります。
| 課税所得 | 基準法人税額 | 防衛特別法人税額 | 実効税率への影響 |
|---|---|---|---|
| 1億円 | 2,320万円 | 72.8万円 | +約0.73% |
| 5億円 | 1億1,600万円 | 444万円 | +約0.89% |
| 10億円 | 2億3,200万円 | 908万円 | +約0.91% |
※概算値です。外国税額控除等の適用により実際の税額は異なります。
💡 実務のポイント
顧問先の経営者から「防衛増税で法人税がすごく上がるのでは?」と不安の声を受けることが増えています。課税所得5,000万円の中小法人で年額約23万円、1億円で約70万円という水準です。決して小さくはありませんが、法人税の15〜20%増しになるわけではありません。数字で見ると「思ったより影響は限定的」と感じる経営者が多い印象です。
防衛特別法人税は「2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度」から適用されます。つまり、決算期によって初めて影響を受けるタイミングが異なります。
| 決算月 | 初回適用事業年度 | 初回確定申告期限 | 中間申告開始 |
|---|---|---|---|
| 3月決算 | 2026年4月〜2027年3月 | 2027年5月末 | 2027年4月〜の事業年度から |
| 6月決算 | 2026年7月〜2027年6月 | 2027年8月末 | 2027年7月〜の事業年度から |
| 9月決算 | 2026年10月〜2027年9月 | 2027年11月末 | 2027年10月〜の事業年度から |
| 12月決算 | 2027年1月〜2027年12月 | 2028年2月末 | 2028年1月〜の事業年度から |
📢 中間申告は2年目から
防衛特別法人税の中間申告は、2027年(令和9年)4月1日以後に開始する課税事業年度から適用されます。つまり、初年度(2026年4月以後開始の事業年度)は確定申告のみで、中間納付は2年目以降です。3月決算企業の場合、最初に中間申告が必要になるのは2027年4月〜2028年3月期の事業年度からです。
防衛特別法人税の導入により、法人の法定実効税率は約0.8〜1.0%程度上昇します。企業の設備投資判断やM&Aの意思決定に影響するため、新しい実効税率を把握しておくことが重要です。
| 法人の区分 | 改正前 | 改正後 | 上昇幅 |
|---|---|---|---|
| 外形標準課税適用法人(東京都) | 約30.62% | 約31.49% | +約0.87% |
| 中小法人・所得800万円超部分(東京都) | 約33.58% | 約34.46% | +約0.88% |
| 中小法人・所得800万円以下部分(東京都) | 約21.37% | 約21.85% | +約0.48% |
※基礎控除500万円は法定実効税率の算式には反映していません。基礎控除は個々の法人の税額計算で適用されます。
📊 公認会計士の視点
法定実効税率の変更は、税効果会計に直接的な影響を及ぼします。日本基準では、税率改正の影響は「施行日」ではなく「公布日」で認識する必要があり、改正法の公布日(2025年3月31日)を含む事業年度の決算から、繰延税金資産・繰延税金負債の算定に新しい実効税率を用いなければなりません。3月決算法人の場合、2025年3月期決算で対応が必要でした。
防衛特別法人税の申告書は、法人税および地方法人税の申告書と一体の様式で作成します。新しい別葉が追加される形式ですが、これまでの確定申告の延長線上にある手続きです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申告書様式 | 法人税・地方法人税と一体の様式(別葉追加) |
| 申告期限 | 法人税の申告期限と同一(事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内) |
| 電子申告 | 法人税と同様にe-Tax対応 |
| 税額ゼロの場合 | 基礎控除により税額がゼロでも申告書の提出は必要 |
| 欠損金の繰戻還付 | 法人税の還付に対応して防衛特別法人税も併せて還付 |
💡 実務のポイント
「防衛特別法人税額がゼロなら申告しなくていいのでは?」という質問を受けますが、法人税の確定申告書と一体の様式になっているため、法人税の申告を行えば自動的に防衛特別法人税の申告も行うことになります。別途の手続きは不要ですが、会計ソフトの更新は必要です。顧問先には早めのソフト更新を案内しています。
直近の確定申告書の法人税額を確認し、基準法人税額が500万円を超えるかどうかを判断してください。超えない場合は実質的な税負担増はありませんが、将来の事業拡大で超える可能性がある場合は準備が必要です。
防衛特別法人税の別表様式に対応したソフトウェアへのアップデートが必要です。主要な会計ソフト(freee、MFクラウド、弥生会計等)は2026年4月以降の決算に対応したバージョンを提供する見込みです。
税効果会計を適用している企業は、新しい法定実効税率で繰延税金資産・繰延税金負債を再計算する必要があります。「法人決算の流れと手順」でも決算時の留意点を解説しています。
基準法人税額が500万円を超える企業は、年間の税負担増を資金繰り計画に反映してください。特に2年目以降は中間申告が加わるため、納税のタイミングにも注意が必要です。
防衛特別法人税は法人税額に連動するため、法人税の節税対策がそのまま防衛特別法人税の節減にもつながります。設備投資に伴う中小企業投資促進税制や経営強化税制の活用、役員報酬の最適化などが有効です。
防衛特別法人税においても外国税額控除は適用可能ですが、計算が二段階に分かれます。まず基準法人税額を算出する段階では外国税額控除を適用せず、防衛特別法人税額を計算した後に改めて外国税額控除を適用します。海外取引がある企業は、事前のシミュレーションが重要です。
グループ通算制度を適用している法人の場合、基礎控除額500万円はグループ内で按分計算されます。単体では500万円以下の法人税額でも、通算グループ全体で500万円を超えている場合は、按分後の基礎控除額に基づいて計算する必要があります。
⚠️ 注意
グループ通算制度を適用している場合、基礎控除額の按分ルールにより、単体では影響がないと思っていた子会社にも防衛特別法人税が発生するケースがあります。通算親法人の税理士と連携して、グループ全体でのシミュレーションを行ってください。
防衛特別法人税は、令和7年度税制改正の法人税関連改正のひとつです。同時期に改正された他の制度と合わせて理解することで、全体像が把握できます。
令和7年度税制改正の法人税関連の全体像については「令和7年度税制改正のポイント(法人税関連)」で10項目を横断比較していますので、合わせてご確認ください。
また、法人成りを検討している個人事業主の方は、法人化後の税負担に防衛特別法人税も考慮する必要があります。「法人成りのタイミングと判断基準」でシミュレーションの際に参考にしてください。
📋 この記事のポイント
防衛特別法人税は多くの中小企業にとって直接的な負担増にはなりませんが、事業拡大に伴い課税所得が増加すれば将来的に影響が出てきます。まずは自社の基準法人税額を確認し、影響の有無を把握したうえで、必要に応じた対策を税理士と相談してください。
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