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住宅ローン控除の特殊ケース|店舗併用・共有・離婚・買換え
店舗併用住宅の居住用割合の計算方法、共有名義の按分ルール、離婚時の控除継続要件、買換え時の特例選択など、住宅ローン控除の「判断に迷うケース」をまとめて解説します。この記事を読めば、自分のケースで控除を受けられるかどうかを判断できます。


店舗併用住宅の居住用割合の計算方法、共有名義の按分ルール、離婚時の控除継続要件、買換え時の特例選択など、住宅ローン控除の「判断に迷うケース」をまとめて解説します。この記事を読めば、自分のケースで控除を受けられるかどうかを判断できます。
🏆 結論:特殊ケースは「居住用割合」と「居住要件」がカギ
住宅ローン控除の特殊ケースで最も重要なのは、①床面積の1/2以上が居住用であること(店舗併用の場合)、②名義人本人が居住していること(離婚・転勤の場合)の2点です。店舗併用住宅は居住用割合で控除額が按分され、離婚で退去した名義人は控除を受けられなくなります。いずれも判断が微妙なグレーゾーンが多いため、税理士への相談をおすすめします。
住宅ローン控除は一般的な持ち家なら要件がシンプルですが、以下の6パターンでは判断が複雑になります。住宅ローン控除の基本的なしくみについては「住宅ローン控除とは?適用要件・控除額・確定申告の方法を完全解説」をご確認ください。
| 特殊ケース | 主な論点 | 控除可否 |
|---|---|---|
| ①店舗併用住宅 | 居住用割合の計算・床面積要件の判定方法 | 条件付き○ |
| ②賃貸併用住宅 | 賃貸部分は控除対象外・居住用割合で按分 | 条件付き○ |
| ③共有名義(ペアローン) | 持分に応じた控除額の計算・連帯債務の按分 | ○ |
| ④離婚時の財産分与 | 退去者の控除停止・共有持分の追加取得 | ケースによる |
| ⑤住み替え(買換え) | 3,000万円特別控除との選択・併用制限 | ケースによる |
| ⑥相続・贈与による取得 | 「取得」に該当するか・贈与は控除対象外 | ケースによる |
店舗や事務所と併用になっている住宅でも、住宅ローン控除を受けることは可能です。ただし、以下の2つの要件を満たす必要があります。
| No. | 要件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | 床面積の1/2以上が自己の居住用であること | 租税特別措置法第41条第1項 |
| 2 | 建物全体の床面積が50㎡以上(登記簿面積) | 措通41-12(注)(1) |
重要なのは、床面積の判定は「店舗部分も含めた建物全体」で行う点です。つまり、1階が店舗30㎡・2階が居住用30㎡の場合、建物全体は60㎡で50㎡以上の要件を満たし、かつ居住用割合は50%で1/2以上の要件も満たします。
店舗併用住宅では、ローン残高のうち居住用部分に対応する金額のみが控除対象になります。
📐 控除対象残高の計算式
たとえば、年末ローン残高3,000万円で、建物全体100㎡のうち居住用が70㎡の場合、居住用割合は70%(=70÷100)です。控除対象のローン残高は3,000万円×70%=2,100万円となり、控除額は2,100万円×0.7%=14.7万円です。
💡 実務のポイント:居住用割合90%以上なら100%とみなせる
租税特別措置法関係通達41-29の規定により、居住用部分の床面積がおおむね90%以上であれば、建物全体が居住用であるものとして控除を受けられます。たとえば自宅の一室(全体の8%程度)を事務所に使っている程度であれば、按分せずに全額が控除対象になります。現場ではこのルールを知らずに按分計算してしまい、損をしているケースをたまに見かけます。
事務所等と兼用になっている住宅では、床面積の50㎡以上の要件は建物全体の床面積で判断します(措通41-12(注)(1))。これは昭和49年3月11日裁決(裁事9集35頁)でも確認されたルールです。
つまり、居住用部分だけで判断するのではなく、店舗・事務所部分も含めた全体で50㎡以上あればOKです。ただし、マンションのように区分所有している場合は、共用部分を除いた専有部分の面積(内法面積)で判断します。
賃貸併用住宅(1階を賃貸に出し、2階に自分が住むなど)の場合も、基本的な考え方は店舗併用住宅と同じです。居住用部分が床面積の1/2以上であれば控除を受けられ、控除額は居住用割合で按分されます。
賃貸併用住宅では、住宅ローンの利息のうち賃貸部分に対応する割合を不動産所得の必要経費に計上できます。一方、住宅ローン控除は居住用部分のローン残高に対してのみ適用されます。つまり、ローン利息の経費計上と住宅ローン控除は、それぞれ別の部分に対して適用されるため、二重取りにはなりません。
⚠️ 居住用部分の利息は経費にできない
住宅ローン控除を受けている居住用部分のローン利息は、不動産所得の必要経費に計上できません。居住用は控除、賃貸用は経費と、明確に分けて処理する必要があります。この区分を曖昧にしていると、税務調査で指摘を受けるリスクがあります。
夫婦や親子で住宅を共有名義で取得した場合、各自が自分のローン残高に応じて住宅ローン控除を受けられます。ペアローン(各自が別々のローンを組む)の場合は、各自のローン残高がそのまま控除対象です。
連帯債務(1本のローンを2人で返済する)の場合は、ローン残高を負担割合に応じて按分します。
| ローン形態 | 控除対象残高の計算方法 |
|---|---|
| ペアローン | 各自のローン残高がそのまま控除対象。夫3,000万円・妻2,000万円なら各自の残高で計算 |
| 連帯債務 | ローン残高全体を負担割合で按分。残高4,000万円で負担割合60:40なら、夫2,400万円・妻1,600万円 |
| 収入合算(連帯保証型) | 主債務者のみが控除対象。連帯保証人は控除を受けられない |
夫婦や親子で共有する住宅の場合、床面積50㎡以上の要件は「持分を乗じた面積」ではなく「建物全体の床面積」で判断します(措通41-12(注)(2))。つまり、持分が1/2であっても、建物全体が50㎡以上あれば要件を満たします。
離婚は住宅ローン控除に大きく影響します。最も重要なポイントは「名義人が引き続き居住しているか」です。
| ケース | 控除 | 理由 |
|---|---|---|
| 名義人が離婚後も住み続ける | ○ | 居住要件を引き続き満たす |
| 名義人が退去し、元配偶者が住む | × | 名義人本人が居住していないため |
| 財産分与で家を取得し、ローン借換え | ○ | 新規取得として控除適用可(返済期間10年以上が要件) |
| 負担付贈与で家を取得 | × | 贈与による取得は控除対象外 |
| 共有持分を財産分与で追加取得 | ○ | 新たに取得した持分も控除対象(国税庁TA No.1237) |
| ペアローンで離婚、退去者 | × | 退去した名義人は居住要件を満たさない |
国税庁タックスアンサーNo.1237に基づき、離婚の財産分与で共有持分を追加取得した場合は、新たに取得したものとして住宅ローン控除を受けられます。当初から保有していた持分と追加取得した持分のいずれについても控除の適用が可能です。ただし、追加取得分に対応する住宅ローン(返済期間10年以上)が必要であり、控除額が当初の申告内容と変わるため、確定申告を再度行う必要があります。
💡 実務のポイント:「負担付贈与」は控除対象外
離婚時に「住宅をあげるからローンを引き受けてほしい」という形態は「負担付贈与」に該当し、贈与による取得として住宅ローン控除の対象外になります。これに対し、裁判所の審判や調停による「財産分与」であれば贈与に該当しないため、控除を受けられる可能性があります。離婚に伴う住宅の取り扱いは、必ず弁護士と税理士の双方に相談してください。
参考: 国税庁「No.1237 離婚による財産分与で居住用家屋の共有持分を追加取得した場合」
旧居を売却して新居を購入する「住み替え」の場合、住宅ローン控除と居住用財産の3,000万円特別控除のどちらを使うかが大きな判断ポイントになります。
住宅ローン控除の適用要件として、入居年とその前2年・後3年の計6年間に以下の特例を適用していないことが求められます。
| 併用不可の特例 | 概要 |
|---|---|
| 居住用財産の3,000万円特別控除 | 旧居の売却益から最大3,000万円を控除 |
| 居住用財産の買換え特例 | 旧居の売却益の課税を新居取得時まで繰り延べ |
| 居住用財産の軽減税率の特例 | 10年超所有の居住用財産の売却に軽減税率を適用 |
| 状況 | 有利な選択 |
|---|---|
| 旧居の売却益が大きい(1,000万円超) | 3,000万円特別控除が有利になる可能性が高い |
| 旧居の売却益が小さい(数百万円以下) | 住宅ローン控除の方が13年間の節税総額で有利 |
| 新居のローン残高が大きい | 住宅ローン控除の節税額が大きいため、ローン控除を優先 |
| 旧居を売却損(譲渡損失) | 3,000万円特別控除は使えないため、住宅ローン控除一択。損益通算の特例も検討 |
📊 公認会計士の視点
住み替え時の特例選択は「売却益の金額」と「新居のローン残高×0.7%×13年」の比較がポイントです。たとえば旧居の売却益が500万円の場合、3,000万円特別控除による節税額は約100万円(税率20.315%)。一方、新居のローン残高4,000万円で住宅ローン控除を使えば13年間で最大約273万円の節税になります。この場合は住宅ローン控除を選ぶ方が有利です。ただし、将来の年収変動や繰上げ返済の予定も考慮して判断する必要があります。
住宅ローン控除の要件として「贈与により取得したものではないこと」が定められています。そのため、親から住宅を贈与された場合は、たとえローンを組んでいても住宅ローン控除の対象外です。これは離婚時の「負担付贈与」も同様です。
相続により住宅を取得した場合も、相続自体は「購入」ではないため、住宅ローン控除の対象にはなりません。ただし、相続した住宅をリフォームするために新たにローンを組んだ場合は、増改築等に係る住宅ローン控除の対象になる可能性があります。
コロナ禍以降、自宅の一室をリモートワーク用のオフィスとして使うケースが増えています。この場合、事業用部分として居住用割合を下げる必要があるかが問題になります。
結論として、給与所得者がリモートワークのために自宅を使っている場合は、通常は「居住用」として扱われます。個人事業主が事務所経費として家賃按分を計上している場合は、その按分割合に応じて居住用割合を調整する必要がありますが、前述のとおり居住用割合90%以上なら全額控除が可能です。
単身赴任中は配偶者が住んでいれば控除を継続できますが、離婚して元配偶者が住んでいる場合は扱いが異なります。離婚後、元配偶者はもはや「生計を一にする親族」ではないため、転勤の特例(措法41条の3の2)の適用が難しくなります。このケースでは控除を受けられなくなる可能性が高いです。
旧居の売却で3,000万円特別控除を使用した場合、新居への入居年とその前2年・後3年の計6年間は住宅ローン控除を使えません。たとえば2026年に旧居を売却して3,000万円特別控除を適用した場合、2024年〜2029年に入居した新居では住宅ローン控除が使えないことになります。
確定申告の手続きについては「確定申告とは?対象者・期限・必要書類をわかりやすく解説」、所得控除の全体像は「所得控除一覧|全15種類の適用要件と控除額」をご参照ください。年末調整での手続きは「【税理士×社労士が解説】年末調整とは?しくみ・対象者・手続きの流れを完全ガイド」で解説しています。
📋 この記事のポイント
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