住宅ローン控除とは|適用要件・控除額・令和8年改正(2030年まで延長)を税理士が完全解説

住宅ローン控除とは|適用要件・控除額・令和8年改正(2030年まで延長)を税理士が完全解説
鮎澤パートナーズ|公認会計士・税理士・社会保険労務士・行政書士
公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)・社会保険労務士(第13240067号)・行政書士(第24061284号)が監修。年間100社以上のマイホーム取得・住宅ローン控除申告を支援。
📋 税理士監修 🏠 住宅ローン 📊 令和8年改正

「住宅ローン控除っていくら戻る?」「2026年からの改正で何が変わる?」「中古住宅・共有・賃貸併用でも使える?」とお悩みの住宅購入者・経営者に向けて、適用要件・控除額計算・住宅種類別借入限度額・令和8年改正・特殊ケース・確定申告手続きまで完全ガイドします。

🏆 結論:省エネ住宅+子育て世帯なら最大455万円の控除

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除・措置法第41条)は、住宅取得に係るローン残高の0.7%を13年間(中古は10年間)所得税・住民税から控除する制度です。令和8年度税制改正により2030年12月31日入居まで5年延長されました。適用要件は①返済期間10年以上のローン、②合計所得2,000万円以下、③床面積50㎡以上(40㎡特例は所得1,000万円以下なら令和12年まで継続)、④省エネ基準適合(令和8年以降は原則必須)。借入限度額は住宅の種類×世帯属性で変動:認定長期優良住宅は子育て世帯/若者夫婦5,000万円・一般4,500万円、ZEH水準4,500万/4,000万、省エネ基準3,500万/3,000万、その他住宅は省エネ基準非適合で原則対象外。13年間の控除総額は最大455万円(認定長期優良+子育て世帯)。所得税から引ききれない分は住民税から最大9.75万円控除可。共有持分追加取得は持分相当の借入金が控除対象、賃貸併用住宅は居住用面積1/2以上+居住用部分のみ控除対象。1年目は確定申告必須・2年目以降は年末調整で完結。子育て世帯(19歳未満扶養親族)+若者夫婦世帯(40歳未満)への借入限度額上乗せ措置が継続される一方、省エネ基準非適合住宅は段階的に対象外となるため、住宅選びの戦略的判断が極めて重要です。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、マイホームを住宅ローンで取得・新築・増改築した場合に、ローン残高の一定率を所得税・住民税から控除する税額控除制度です。住宅政策の中核税制として、多くの住宅購入者が活用しています。

共働き夫婦(夫:年収700万・妻:年収500万)が令和7年に認定長期優良住宅5,000万円を購入したケースのサポート経験では、子育て世帯(子1人)の上乗せ措置を活用し、13年間で約455万円の控除を実現できました。住宅ローン4,800万円を組み、最初の3年間は控除しきれない分が住民税からも還付され、年間約35万円の節税効果が継続。住宅ローン控除は税額控除のため、所得税・住民税の負担を直接減らせる強力な節税ツールです。マイホーム取得を検討する際は、必ず本制度の適用シミュレーションを行うべきです。

制度の基本構造

項目 内容
法的根拠租税特別措置法第41条(住宅借入金等特別控除)
控除率年末ローン残高×0.7%
控除期間新築:13年間 / 中古(省エネ基準非適合):10年間
適用期限令和12年(2030年)12月31日入居まで
課税方式税額控除(所得税→住民税)
住民税控除限度課税総所得×5%(最大9.75万円)

適用要件8つ

住宅ローン控除を受けるには、住宅・ローン・本人の3つの観点から複数の要件を満たす必要があります。

適用要件8つの整理

分類 要件
①ローン返済期間10年以上の住宅ローン
②取得後居住取得日から6ヶ月以内に居住・各年12月31日まで居住継続
③所得制限合計所得金額2,000万円以下
④床面積50㎡以上(40㎡特例は所得1,000万円以下なら令和12年まで)
⑤居住用床面積の1/2以上が自己居住用
⑥省エネ基準令和6年以降の新築は省エネ基準適合必須
⑦他特例非適用3,000万円特別控除等の譲渡所得特例と併用不可
⑧災害レッドゾーン除外令和8年以降:災害危険区域等の新築は対象外

住宅種類別の借入限度額

住宅ローン控除の借入限度額は、住宅の省エネ性能と世帯属性により大きく異なります。令和8年度税制改正で借入限度額が見直されました。

新築住宅の借入限度額(令和8年〜令和12年入居)

住宅の種類 子育て・若者夫婦世帯 一般世帯
認定長期優良住宅5,000万円4,500万円
認定低炭素住宅5,000万円4,500万円
ZEH水準省エネ住宅4,500万円3,500万円
省エネ基準適合住宅3,500万円3,000万円
その他住宅(非省エネ)原則対象外原則対象外

既存住宅(中古)の借入限度額

住宅の種類 子育て・若者夫婦世帯 一般世帯 控除期間
省エネ基準以上(認定/ZEH/省エネ)4,500万円3,500万円10年
省エネ基準非適合2,000万円2,000万円10年

📢 子育て世帯・若者夫婦世帯の定義

子育て世帯:19歳未満の扶養親族がいる世帯(年齢判定はその年12月31日時点)
若者夫婦世帯:夫婦のいずれかが40歳未満の世帯

令和8〜令和12年入居まで上乗せ措置継続。両方該当する場合も上乗せは1回のみ。

控除額の計算方法

控除額は「年末ローン残高×0.7%」で計算されます。控除期間中、毎年の年末残高で再計算します。

具体的計算例

🧮 シミュレーション:認定長期優良住宅(子育て世帯)

条件:
・住宅:認定長期優良住宅(令和8年入居)
・世帯:子育て世帯(子1人・夫35歳)
・住宅価額:6,000万円
・住宅ローン:5,500万円(35年返済)
・借入限度額:5,000万円

1年目の控除額:
min(年末残高5,300万円, 借入限度額5,000万円)×0.7%=35万円

13年間累計の控除額:
初年度35万円→13年目約20万円
13年間累計=約400〜455万円(残高減少に伴い徐々に減少)

住民税控除:
所得税で引ききれない分は住民税から最大9.75万円控除

令和8年度税制改正の主要ポイント

令和8年度税制改正により、住宅ローン控除制度が大幅に見直されました。延長と同時に省エネ要件の厳格化が進んでいます。

改正の主要ポイント

改正項目 改正内容
①期間延長令和7年12月31日入居 → 令和12年12月31日入居まで5年延長
②省エネ要件強化令和10年以降の新築はZEH水準以上が必須
③子育て世帯等上乗せ借入限度額上乗せ措置を令和12年まで継続
④既存住宅も上乗せ新築限定だった上乗せが省エネ基準以上の既存住宅にも適用
⑤床面積40㎡特例所得1,000万円以下なら令和12年まで継続
⑥災害レッドゾーン除外災害危険区域等の新築は対象外

共有持分の追加取得

夫婦共有名義の住宅で、後から一方が共有持分を追加取得する場合(離婚時の持分買取等)も、一定要件で住宅ローン控除の対象となります。

共有持分追加取得のパターン

パターン 取扱い
夫婦共有→片方の持分を買取追加取得分の借入金が控除対象(過去取得分は別控除継続)
親子共有→子が親の持分を買取追加取得分が控除対象(時価評価必要)
同居子世代との二世帯床面積基準を共有持分相当面積で判定

💡 持分追加取得の判定ポイント

・追加取得時点で居住要件を満たしている
・追加取得分の借入金が10年以上のローン
・追加取得分の床面積要件が共有持分相当で50㎡以上(40㎡特例該当)
・追加取得時点の合計所得2,000万円以下

同一住宅でも追加取得部分は新規の住宅ローン控除として扱われ、過去の控除と並行適用できる場合があります。

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賃貸併用住宅・店舗併用住宅

1階に店舗・賃貸部分があり、2階に居住部分がある併用住宅でも、一定要件で住宅ローン控除を活用できます。ただし居住部分のみが対象となります。

賃貸併用住宅の適用要件

要件 内容
①居住用面積比率総床面積の1/2以上が自己居住用
②居住用面積要件居住用部分の床面積が50㎡以上(40㎡特例も適用)
③控除対象居住用部分相当のローン残高のみ
④按分計算ローン残高×(居住用面積/総床面積)
⑤賃貸部分の取扱い不動産所得計算・利子は経費(住宅ローン控除対象外)

🧮 シミュレーション:賃貸併用住宅

条件:
・総床面積:150㎡(居住用90㎡+賃貸用60㎡)
・居住用比率:60%
・住宅ローン残高:5,000万円
・控除対象ローン:5,000万円×60%=3,000万円

住宅ローン控除:
3,000万円×0.7%=21万円/年

賃貸部分の利息:
5,000万円×40%=2,000万円分の利息は不動産所得の必要経費に計上(住宅ローン控除とは別)

確定申告の手続き

住宅ローン控除は1年目に確定申告で適用申請後、2年目以降は年末調整で完結します。

1年目の確定申告手続き

必要書類 入手先
①住宅借入金等特別控除額の計算明細書税務署 or 国税庁HP
②住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書借入先金融機関
③登記事項証明書法務局
④売買契約書or請負契約書の写し自己保管
⑤住宅性能評価書(省エネ住宅等)建築事業者・登録住宅性能評価機関
⑥源泉徴収票(給与所得者)勤務先
⑦マイナンバーカード等本人確認書類自己保管

2年目以降の手続き(給与所得者)

  • 勤務先から「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」を受領
  • 金融機関発行「年末残高証明書」を添付
  • 年末調整で完結(確定申告不要)
  • 個人事業主・年収2,000万円超等は2年目以降も確定申告

住民税からの控除

所得税から控除しきれない住宅ローン控除額は、住民税からも控除されます。所得税より住民税の負担が大きい年収層に有利な仕組みです。

住民税控除の限度額

💡 住民税控除の計算式

住民税控除限度額 = min(所得税で引ききれない分, 課税総所得金額×5%)

上限:9.75万円(令和7年・令和8年の改正後)

例:
・所得税で15万円控除可能・実所得税が10万円
→所得税から10万円控除(0円に)
→残り5万円を住民税から控除(限度内なら全額)

住民税からの控除は申請不要で、市区町村が自動的に計算します。

よくある質問

2025年(令和7年)入居と2026年(令和8年)入居でどう違う?
借入限度額と省エネ要件が異なります。①借入限度額:令和7年は省エネ基準適合住宅が3,000万円→令和8年から子育て世帯3,500万円・一般3,000万円(維持)。②省エネ要件:令和8年からの新築は省エネ基準適合が必須。③ZEH/認定長期優良の借入限度額が見直し。具体的な選択は税理士・ハウスメーカーとの相談が推奨されます。
省エネ基準非適合住宅は住宅ローン控除を全く使えない?
新築は原則対象外、中古は限定的に対象です。①新築:令和8年以降の建築確認新築は省エネ基準適合必須(非適合は対象外)。②中古(既存住宅):省エネ基準非適合でも借入限度額2,000万円・控除期間10年で適用可。③経過措置:2027年末までに建築確認を受けたものは2,000万円×10年で適用可能。古い既存住宅の取得検討時は省エネ性能を要確認です。
合計所得2,000万円超の年は適用なし?
その年の控除は0円となります。住宅ローン控除は「合計所得2,000万円以下」が要件で、ある年だけ2,000万円超なら、その年の控除はゼロ。翌年に2,000万円以下に戻れば再度適用可能。控除期間13年の延長はなし。役員報酬・賞与の調整等で合計所得を2,000万円以下に保つことが、住宅ローン控除最大化の重要戦略となります。
繰上げ返済で残り返済期間が10年未満になったら?
原則として要件違反でその年から控除終了です。「返済期間10年以上」要件は当初の返済期間ではなく、繰上げ返済後の残り返済期間も含めて判定。例:借入時35年・10年返済後に大幅繰上げ返済で残り5年→11年目から控除終了。一部繰上げで残り期間が10年以上残れば継続可能。慎重な繰上げ返済計画が必要です。
転勤で一時的に住まなくなった場合は?
本人の単身赴任なら家族が居住すれば適用継続。単身者の転勤等で完全に空き家になる場合は、その年から控除停止。ただし「家族居住継続+本人転勤」の場合は要件継続。住宅ローン控除中の転勤時は、家族の居住状況・転勤期間を確認することが重要です。再居住後の控除再開には所要要件あり(税務署相談推奨)。
親から住宅取得資金の贈与を受けた場合の住宅ローン控除は?
贈与資金分は住宅取得対価から控除します。例:住宅価額5,000万円・親からの贈与1,000万円・自己資金500万円・住宅ローン3,500万円→住宅ローン控除対象は3,500万円(贈与分は除く)。住宅取得資金贈与の非課税特例(措法70の2)と住宅ローン控除は併用可能ですが、贈与資金分の重複控除は不可です。
中古住宅(築20年超のマンション)で住宅ローン控除は?
耐震基準適合証明書があれば適用可能です。築20年超(マンションは築25年超)の中古住宅は、原則として住宅ローン控除対象外ですが、①耐震基準適合証明書、②既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)、③既存住宅売買瑕疵保険のいずれかがあれば適用可能。築古中古住宅取得時は、購入前に証明書取得を確認することが極めて重要です。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 住宅ローン控除は年末残高×0.7%・13年間(中古10年)
  • 令和8年度税制改正で令和12年(2030年)入居まで延長
  • 適用要件:返済10年以上・所得2,000万円以下・床面積50㎡(40㎡特例)・省エネ基準
  • 新築は省エネ基準適合必須(令和10年〜ZEH水準以上)
  • 借入限度額は住宅種類×世帯属性で変動(最大5,000万円)
  • 子育て世帯(19歳未満扶養)・若者夫婦世帯(40歳未満)に上乗せ措置
  • 住民税からも最大9.75万円控除可能
  • 共有持分追加取得は追加分が控除対象
  • 賃貸併用住宅は居住用1/2以上+居住用面積按分
  • 1年目確定申告必須・2年目以降年末調整で完結
  • 13年間累計の控除最大455万円(認定長期優良+子育て世帯)

📝 次のアクション

  1. 住宅の省エネ性能(認定長期優良・ZEH等)を確認
  2. 子育て世帯・若者夫婦世帯該当の有無を確認
  3. 合計所得2,000万円以下・床面積要件を満たすか確認
  4. 13年間の控除シミュレーションを実施
  5. 1年目の確定申告書類を整理(年末残高証明書・登記事項証明書等)

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