【社労士×行政書士が解説】特定技能制度と育成就労制度への移行(2027年〜)|受入れ手続きの実務

【社労士×行政書士が解説】特定技能制度と育成就労制度への移行(2027年〜)|受入れ手続きの実務
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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特定技能制度と育成就労制度への移行(2027年〜)|受入れ手続きの実務

特定技能制度の在留外国人は33万人を超え、2027年には技能実習制度が「育成就労制度」へ移行します。16分野の対象業種・受入れ要件・支援計画・協議会加入まで、制度の全体像と実務対応を、社労士と行政書士の視点で徹底整理しました。

🏆 結論:特定技能は「16分野・1号/2号」、育成就労は「2027年から3年育成→特定技能移行」

特定技能制度は2019年創設、2024年3月の閣議決定により現在16分野が対象です。特定技能1号は通算5年、2号は更新可能・家族帯同可。技能実習制度は2024年の改正法成立により2027年までに廃止され、「育成就労制度」(原則3年の育成→特定技能1号へ移行)に移行します。受入れ企業は、雇用契約の適正性・支援体制・協議会加入・各種届出の4要件を満たす必要があります。

特定技能・育成就労・技能実習の全体像の流れ【5ステップ】

外国人人材受入れの3制度の位置づけ

制度 目的 在留期間 現況
技能実習技能移転(国際貢献)最長5年2027年までに廃止
育成就労(新設)特定技能への育成原則3年+1年延長2027年施行予定
特定技能1号即戦力として受入れ通算5年運用中(33万人超)
特定技能2号熟練技能(定着)更新可・家族帯同可運用中(約3千人)
想定される人材活用フロー(2027年以降):育成就労(3年育成)→ 特定技能1号(通算5年)→ 特定技能2号(更新制・永住申請も可能)

受入れの5ステップ(特定技能1号の例)

ステップ 内容 期間目安
ステップ1自社が受入れ要件を満たすかの確認1〜2週間
ステップ2登録支援機関の選定または自社支援体制の構築2〜4週間
ステップ3外国人人材の募集・選定(人材紹介or海外試験合格者)1〜3か月
ステップ4在留資格認定証明書申請・特定技能雇用契約1〜3か月
ステップ5入国・雇用開始・分野別協議会加入・各種届出入国後4か月以内
国内在住の特定技能試験合格者を採用する場合は、ステップ3〜4が短縮され、全体で2〜3か月での受入れが可能です。

【ステップ1】特定技能16分野の対象業種

16分野の一覧

2024年3月の閣議決定により、特定技能の対象分野は16分野に拡大されました。
分野 所管省庁 特定技能2号の受入れ
介護厚生労働省不可(在留資格「介護」へ)
ビルクリーニング厚生労働省
工業製品製造業経済産業省
建設国土交通省
造船・舶用工業国土交通省
自動車整備国土交通省
航空国土交通省
宿泊国土交通省
自動車運送業(2024年追加)国土交通省
鉄道(2024年追加)国土交通省
農業農林水産省
漁業農林水産省
飲食料品製造業農林水産省
外食業農林水産省
林業(2024年追加)農林水産省
木材産業(2024年追加)農林水産省

📢 外食業の新規受入れ停止(2026年4月)

2026年3月の発表により、外食業分野の特定技能1号について、2026年4月13日以降の新規在留資格認定証明書申請が原則停止されました。これは受入れ上限超過による措置です。既に就労中の外国人の在留期間更新は影響を受けませんが、新規採用を計画している企業は代替ルート(技能実習→特定技能の移行等)を検討する必要があります。各分野の受入れ状況は流動的なため、出入国在留管理庁の最新情報の確認が必須です。

特定技能1号と2号の違い

特定技能は、出入国管理及び難民認定法第2条の2および関連の特定技能基準省令により規定されており、外国人労働者には労働基準法第3条(国籍による差別禁止)および最低賃金法第4条が適用されます。
項目 特定技能1号 特定技能2号
業務レベル相当程度の知識・経験熟練した技能
在留期間通算5年(1年/6か月/4か月更新)3年/1年/6か月(更新可)
家族帯同不可可(配偶者・子)
永住許可要件への算入不算入算入
支援義務(受入れ機関)必須不要
試験技能試験+日本語試験分野別の高度試験+実務経験証明

【ステップ2】受入れ機関(特定技能所属機関)の要件

受入れ機関として満たすべき4つの基準

参考: 出入国在留管理庁「特定技能制度」

  1. 雇用契約の適正性
    • 報酬額が日本人と同等以上であること
    • 適切な労働条件・労働安全衛生の確保
    • 特定技能雇用契約の基準を満たす契約書の作成
  2. 機関自体の適正性
    • 過去5年以内に出入国・労働法令違反がないこと
    • 暴力団関係者でないこと
    • 欠格事由に該当しないこと(破産手続開始決定を受けて復権していない等)
  3. 外国人支援体制
    • 支援責任者・支援担当者の選任
    • 支援に必要な十分な能力(過去2年以内の中長期在留者の受入実績等)
    • 自社支援が困難な場合は登録支援機関への委託
  4. 支援計画の適切性
    • 特定技能基準省令に適合した支援計画
    • 10項目の義務的支援を漏れなく含むこと

受入れ機関の継続的な義務

定期届出の内容と期限

届出種類 内容 期限
随時届出雇用契約変更・支援計画変更・受入れ困難事由発生等事由発生から14日以内
定期届出(雇用契約状況)受入れ状況・活動状況四半期ごと(翌月15日まで)
定期届出(支援実施状況)義務的支援の実施記録四半期ごと(翌月15日まで)

【ステップ3】登録支援機関の活用

登録支援機関とは

登録支援機関は、特定技能1号外国人の支援業務を受入れ機関から委託される機関で、出入国在留管理庁の登録を受けた事業者です。自社で支援体制を整備できない中小企業にとって、必須のパートナーとなります。

義務的支援の10項目

  1. 事前ガイダンス:雇用契約締結後・在留資格申請前に実施(3時間以上)
  2. 出入国する際の送迎:空港から自宅・会社への送迎、帰国時の見送り
  3. 住居確保・生活に必要な契約支援:住居探し・賃貸契約・電気水道ガス等の契約サポート
  4. 生活オリエンテーション:入国後・住居入居後に実施(8時間以上)
  5. 公的手続等への同行:市役所での住民登録・社会保険加入等
  6. 日本語学習の機会の提供:日本語教室の情報提供・学習教材の提供
  7. 相談・苦情への対応:母国語での相談体制(24時間対応推奨)
  8. 日本人との交流促進:地域行事への参加促進
  9. 転職支援:非自発的離職時のハローワーク同行・推薦状作成
  10. 定期面談・行政機関への通報:3か月に1回以上の面談、労働関連法令違反時の通報

登録支援機関の選び方

確認事項 判断基準
登録番号の有無出入国在留管理庁の登録機関一覧で確認可能
対応可能な言語採用予定の外国人の母語に対応できるか
支援実績対象分野での実績・支援人数
料金体系月額(一般的に2〜5万円/人)・初期費用の有無
24時間相談体制緊急時の母語対応の可否
トラブル対応失踪・犯罪等のリスク発生時の対応フロー

💡 実務のポイント

登録支援機関への委託料は1人あたり月額2〜5万円が相場です。年間で24〜60万円/人のコストとなります。5人受入れれば年間120〜300万円のランニングコストとなるため、自社支援体制の構築も検討余地があります。ただし、自社支援には過去2年以内の中長期在留者の受入実績が必要で、初めての受入れ企業は登録支援機関の活用が現実解となります。

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【ステップ4】分野別協議会への加入

協議会加入の義務

特定技能外国人を受け入れる企業は、分野別協議会に加入する義務があります(在留資格申請の要件)。協議会は、分野全体で労働者の適正な処遇や日本人雇用への影響を監視するための組織です。

協議会加入の流れ

  1. 特定技能雇用契約締結後、対応する分野の協議会に加入申請
  2. 協議会からの受理・加入証明書の発行
  3. 加入証明書を在留資格認定証明書申請書に添付
  4. 加入後は協議会のガイドラインに基づく運用の継続

⚠️ 建設分野の特例

建設分野では一般の協議会加入に加えて、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録建設技能人材機構(JAC)への正会員または賛助会員としての加入が必要です。国土交通省の建設業許可も必須で、これらの要件を満たさないと在留資格申請自体が受理されません。建設業での特定技能受入れは、他分野より手続きが複雑な点に留意が必要です。

育成就労制度(2027年〜)の詳細

技能実習からの主要な変更点

項目 技能実習(現行) 育成就労(2027年〜)
制度目的技能移転・国際貢献特定技能への育成
対象職種91職種168作業特定技能16分野と一致(整理)
在留期間最長5年(1号1年+2号2年+3号2年)原則3年+1年延長
転籍(職場変更)原則不可一定要件下で可能
日本語能力入国時は不問入国時にN5合格等が要件
特定技能への移行良好な実習修了が条件技能試験・日本語試験合格が必要
監理団体監理団体制度監督機関の要件強化(新監理支援機関)

育成就労の転籍制度

育成就労制度の最大の特徴は、本人の意向による転籍(職場変更)が認められる点です。転籍の要件は以下の通り検討されています(2026年4月時点の見込み)。

参考: 出入国在留管理庁「育成就労制度」

移行期間(2027〜2030年)

📢 3年間の移行期間

2027年の育成就労制度施行後、激変緩和措置として3年間の移行期間が設けられます。概ね2030年頃までは、既存の技能実習生と育成就労外国人が併存する状況となります。既に技能実習生を受け入れている企業は、実習期間満了後の対応(帰国・特定技能移行・新制度での再受入れ)を計画的に進める必要があります。

育成就労で対象外となる可能性のある職種

技能実習の91職種168作業のうち、育成就労制度への移行で対象外となる可能性がある職種が約30あります。主な候補は以下の通り。 これらの職種で現在技能実習生を受け入れている企業は、2027年以降の新規受入れができなくなる可能性があるため、代替手段の早期検討が求められます。

受入れ企業のコスト構造

特定技能1号受入れの主要コスト

コスト項目 金額目安 性質
人材紹介手数料30〜50万円/人初期
行政書士の在留資格申請代行10〜20万円/人初期
海外渡航費(海外からの受入れ時)10〜20万円/人初期
登録支援機関への委託料月額2〜5万円/人ランニング
給与(日本人と同等以上)月額20〜25万円〜ランニング
社会保険料(会社負担)給与の約15%ランニング
住居確保・初期費用補助10〜20万円/人初期
日本語教育(任意)月額5,000〜20,000円/人ランニング

3年間の総コスト試算(1人あたり)

🧮 特定技能1号3年間の総コスト(試算)

【初期費用】人材紹介40万+申請代行15万+渡航費15万+住居10万 = 80万円
【年間ランニング】給与月24万×12=288万+社保43万+支援委託36万+日本語10万 = 377万円
【3年総額】80万+377万×3 = 約1,211万円(給与コスト含む)

直接雇用日本人との比較

特定技能1号受入れのコストは、採用費・社会保険料・住居補助などを含めると、同等賃金の日本人採用と比べて1.2〜1.5倍になるケースが多いです。ただし、人手不足業種では日本人応募が集まらないことが多く、「コスト比較」ではなく「人材確保の可能性」の観点が現実的な判断軸となります。

関連する論点・次にすべきこと

特定技能・育成就労制度の活用は、外国人雇用全般の手続き、外国人の社会保険加入、助成金活用など、他の労務テーマと密接に関連しています。以下の記事も併せてご確認ください。

よくある質問(FAQ)

特定技能2号はどの分野で受入れ可能ですか?
2026年4月時点で、介護分野を除く15分野で特定技能2号の受入れが可能です。介護分野のみ、特定技能2号がなく、在留資格「介護」(介護福祉士資格保有者)への移行ルートが用意されています。特定技能2号は2019年の制度創設当初は建設・造船の2分野のみでしたが、2023年に他分野にも順次拡大されました。2号受入れには高度な技能試験合格と一定の実務経験が必要で、現在の在留者数は全国で約3,000人と限定的です。
登録支援機関と特定技能人材紹介会社は違うものですか?
別の機能を持つ機関ですが、両方を兼業している事業者も多いです。登録支援機関は「支援業務の受託」(出入国在留管理庁の登録必須)、人材紹介会社は「外国人人材の紹介」(有料職業紹介事業の許可必須)です。中小企業の実務では、1つの事業者が紹介・支援・申請代行(行政書士提携)を一括で請け負うケースが多く見られます。契約前に「どの業務が含まれ、どの業務が別料金か」を明確にすることが重要です。
技能実習生を現在受け入れていますが、2027年以降はどうなりますか?
既に受け入れている技能実習生は、現行制度の枠内で実習期間を満了できます。実習修了後の選択肢は3つです:①帰国、②特定技能1号への移行(技能試験・日本語試験の要件緩和措置あり)、③育成就労制度の新規受入れ(実習修了者でも新たに育成就労として受入れが可能)。3年間の移行期間(2027〜2030年頃)中は、技能実習と育成就労が併存するため、既存契約への直接的な影響は限定的です。
育成就労制度で転籍が自由化されると、企業側はどうなりますか?
転籍が認められるのは同一業務区分内で一定期間(原則1〜2年)経過後であり、完全自由化ではありません。企業側の影響は、①労働環境が劣悪な企業から人材流出、②良好な労務管理・キャリアパス提供で定着率向上——の両面があります。実務対応としては、日本人従業員と同等の労働環境整備、キャリアアップ支援、住環境の改善が重要になります。転籍リスクへの対策は、「引き止め」ではなく「魅力づくり」にシフトする必要があります。
特定技能受入れの初期費用を抑える方法はありますか?
初期費用を抑える主な方法として、①日本国内の特定技能試験合格者(留学生・技能実習修了者)の採用(海外渡航費不要、人材紹介費も比較的安価)、②技能実習3号修了者の特定技能への移行(既に日本語力・技能があり教育コスト低)、③自社支援体制の構築(登録支援機関委託料の削減、ただし初年度の構築コストは発生)、④複数人同時採用による人材紹介費の割引交渉——があります。初期費用だけでなく、3年間のトータルコストで比較することが重要です。
外食業の特定技能新規受入れ停止は、既に受け入れている外国人にも影響しますか?
既に受け入れている特定技能1号外国人の在留期間更新は引き続き可能で、直接的な影響はありません。影響を受けるのは、2026年4月13日以降の新規在留資格認定証明書申請(海外からの新規呼び寄せ等)です。国内で既に特定技能試験に合格した外国人の在留資格変更も原則として受け付けが停止されています。代替ルートとして、技能実習3号修了者の移行申請や、関連分野(飲食料品製造業等)への方針変更を検討することが推奨されます。最新状況は所管省庁(農林水産省)の発表をご確認ください。
特定技能外国人にも日本人と同じ賃金を支払う必要がありますか?
はい、「日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上」であることが特定技能受入れの必須要件です(特定技能基準省令)。これは在留資格申請時にも厳格に審査されます。判断基準は同業種・同程度の経験を有する日本人労働者の賃金水準で、地域別最低賃金を上回ることは最低条件に過ぎません。給与設定が低いと在留資格認定証明書が交付されないため、人件費設計は採用方針決定の初期段階で検討する必要があります。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 特定技能は2024年3月に16分野へ拡大、在留外国人は33万人超(2025年6月)
  • 特定技能1号:通算5年・家族帯同不可/2号:更新制・家族帯同可・永住要件算入
  • 受入れ機関の4要件:雇用契約適正・機関適正・支援体制・支援計画
  • 登録支援機関の委託料は月額2〜5万円/人、義務的支援10項目を代行
  • 分野別協議会加入は必須(建設は加えてCCUS・JAC加入も必要)
  • 育成就労制度は2027年施行、原則3年+延長1年、転籍制度が大きな特徴
  • 技能実習→育成就労の移行期間は2027〜2030年、91職種168作業から16分野へ整理
  • 特定技能1号3年間の総コスト目安:約1,211万円/人(給与含む)
特定技能と育成就労制度は、今後の日本の人手不足対策の中核を担う制度です。2027年の育成就労施行・移行期間の管理・分野別の受入れ状況の変動——など、制度の流動性が高い時期だからこそ、早期の情報収集と計画的な体制構築が成否を分けます。鮎澤パートナーズでは、社会保険労務士・行政書士・税理士・公認会計士が連携し、在留資格申請から支援体制構築、税務処理までワンストップでサポートします。

AYUSAWA PARTNERS

特定技能・育成就労の受入れは鮎澤パートナーズへ

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