【社労士×行政書士×税理士が解説】外国人雇用の手続き|在留資格・就労ビザの種類・届出義務・不法就労リスク

【社労士×行政書士×税理士が解説】外国人雇用の手続き|在留資格・就労ビザの種類・届出義務・不法就労リスク
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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外国人雇用の手続き|在留資格・就労ビザの種類・届出義務・不法就労リスク

外国人労働者数が過去最多を更新する中、採用前の在留資格確認・ハローワーク届出・社会保険手続きを正しく踏まないと、不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)のリスクを負います。在留資格一覧・採用5ステップ・届出義務・業務委託との区分まで、社労士・行政書士・税理士の視点で体系的にまとめました。

🏆 結論:外国人雇用は「在留資格確認→届出→社保加入」の3ステップで完結

外国人を雇用する際の最低限必要な手続きは、①採用前の在留カード確認(就労制限の有無・資格範囲)、②雇入れ時のハローワーク届出、③社会保険・労働保険の加入——の3ステップです。加えて、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザは業務内容と資格の一致が必要で、認められた活動範囲を超えた就労は不法就労として摘発対象となります。採用前の行政書士相談が最大のリスク回避策です。

外国人雇用の全体の流れ【5ステップ】

外国人雇用の標準的な手順

ステップ 内容 担当
ステップ1在留カードの確認・就労可否の判定人事・行政書士
ステップ2在留資格の申請・変更手続き(必要な場合)行政書士
ステップ3雇用契約の締結・労働条件通知書の作成社労士
ステップ4外国人雇用状況届出(ハローワーク)社労士
ステップ5社会保険・労働保険・源泉徴収の手続き社労士・税理士

全体の所要期間

既に在留資格を持つ外国人(日本在住)を雇用する場合は、雇用契約締結から社会保険手続き完了まで約1〜2週間で完結します。在留資格変更や認定証明書申請が必要な場合(海外からの呼び寄せ含む)は、2〜3か月の期間が必要です。

【ステップ1】在留カードの確認・就労可否の判定

在留カードの確認事項

外国人を採用する前に、必ず原本の在留カードを確認します。以下の項目を目視でチェックし、コピーを保管します。

偽造在留カード対策

⚠️ 偽造在留カードのリスク

近年、偽造在留カードを使った不法就労事件が頻発しています。出入国在留管理庁が提供する「在留カード等番号失効情報照会」(ウェブ公開)や「在留カード読取アプリケーション」(スマートフォン用)で真偽を確認できます。偽造カードを見抜けずに雇用した場合も、事業主側に「知らなかったことに過失あり」と判断されると不法就労助長罪が成立する可能性があります。

就労制限の類型

在留カードの記載 雇用の可否 業務制限
就労制限なし自由に雇用可なし(どの業務でもOK)
在留資格に基づく就労活動のみ可資格の範囲内で雇用可資格の指定業務のみ
指定書により指定された就労活動のみ可指定書の確認必須指定書記載の範囲のみ
就労不可原則不可資格外活動許可があればアルバイト可(週28時間以内)

【ステップ2】在留資格の種類と就労可否一覧

就労可能な在留資格(身分系)

身分に基づく在留資格は、就労活動に制限がなく、どのような業務でも雇用できます。

参考: 出入国在留管理庁「在留資格一覧表」

在留資格 対象者
永住者法務大臣から永住許可を受けた者
日本人の配偶者等日本人の配偶者・実子・特別養子
永住者の配偶者等永住者等の配偶者・実子
定住者日系人・連れ子・難民等

就労可能な在留資格(活動系・就労ビザ)

活動系の在留資格は、資格で定められた業務の範囲内でのみ就労可能です。主要な就労ビザを一覧化します。
在留資格 対象業務 在留期間
技術・人文知識・国際業務(技人国)エンジニア・企画営業・通訳翻訳・語学教師5年/3年/1年/3か月
特定技能1号16分野の相当程度の知識・経験業務通算5年まで
特定技能2号熟練技能業務(現在は特定分野のみ)3年/1年/6か月(更新可)
技能実習技能習得(2027年までに育成就労に移行)最長5年
育成就労(新設)特定技能への移行を前提とした育成原則3年
高度専門職(1号・2号)高度人材ポイント制で70点以上5年(1号)/無期(2号)
経営・管理事業経営・管理(資本金500万円以上等の要件あり)5年/3年/1年/6か月/4か月/3か月
技能調理師・スポーツ指導・航空パイロット等の熟練技能5年/3年/1年/3か月
介護介護福祉士資格保有者5年/3年/1年/3か月
特定活動指定書に基づく活動(EPA看護師等)指定書により異なる

就労不可の在留資格(資格外活動許可で就労可能)

在留資格 条件
留学資格外活動許可で週28時間以内のアルバイト可(長期休暇中は1日8時間以内)
家族滞在資格外活動許可で週28時間以内
文化活動・短期滞在原則就労不可(アルバイトも不可)

2027年移行:技能実習→育成就労

📢 技能実習制度の廃止と育成就労制度の創設

2024年6月に入管法改正案が成立し、技能実習制度は廃止され、2027年までに「育成就労」制度へ移行します。育成就労は、特定技能への移行を前提とした人材育成を目的とし、本人の意向による転籍(職場変更)が可能になる点が技能実習との大きな違いです。既に技能実習生を受け入れている企業は、移行スケジュールへの対応が必要です。

【ステップ3】雇用契約の締結・労働条件通知書

外国人雇用特有の留意点

外国人との雇用契約は、原則として日本人と同じ労働法(労働基準法・労働契約法・最低賃金法等)が適用されます。以下の点に特に注意が必要です。

技人国ビザでありがちな「業務内容の不一致」

⚠️ 技人国ビザで不許可・更新不許可となる典型例

「技術・人文知識・国際業務」は、専門的・技術的業務または通訳等の国際業務が対象です。以下のようなケースは不法就労として摘発・更新不許可の対象になります:①ITエンジニアとして採用したが、実態は工場での製造ライン作業、②通訳として採用したが、実態は接客・レジ業務、③営業企画として採用したが、実態は単純事務のみ。弊所が行政書士として関与した事例では、更新時に業務実態の不一致が指摘され、在留期間が5年→1年に短縮されたケースがありました。

【ステップ4】外国人雇用状況届出(ハローワーク)

届出義務の概要

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)第28条により、すべての事業主は外国人労働者(「外交」「公用」「特別永住者」を除く)の雇入れ・離職の際に、ハローワークへの届出義務を負います。

届出の方法と期限

区分 届出書類 期限
雇用保険被保険者雇用保険被保険者資格取得届(在留資格欄を記入)雇入れ日の翌月10日まで
雇用保険被保険者(離職時)雇用保険被保険者資格喪失届離職日の翌日から10日以内
雇用保険非加入者外国人雇用状況届出書(様式第3号)雇入れ・離職の翌月末日まで
オンライン届出は「外国人雇用状況届出システム」で可能です。

参考: 厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」

届出を怠った場合の罰則

届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりした場合、1人の外国人労働者につき30万円以下の罰金が科されます(労働施策総合推進法第40条第1項第2号)。

💡 実務のポイント

雇用保険加入者の場合、「雇用保険被保険者資格取得届」の後半項目(17〜23番)を記入することで、別途の外国人雇用状況届出書は不要です。弊所が社労士として関与した企業では、外国人10名を採用した際、このワンステップの統合で届出漏れを防止しました。非加入者(週20時間未満のパート等)は別途届出が必要である点を要チェックです。

【ステップ5】社会保険・労働保険・源泉徴収の手続き

社会保険の加入義務

外国人労働者も、要件を満たせば日本人と同様に社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者となります。

脱退一時金と社会保障協定

📊 税理士の視点

厚生年金加入期間6か月以上の外国人は、離職・帰国後2年以内に申請すれば脱退一時金(最大5年相当分)の受給が可能です。また、日本と22か国(2026年4月時点)の間で締結されている社会保障協定により、二重加入の回避や加入期間の通算ができます。ドイツ・アメリカ・ベルギーなどとの協定では、派遣期間が5年以内なら日本の年金加入を免除できるケースがあります。外国人採用時の社会保障コスト設計は、協定国の確認から始めるのが実務の定石です。

源泉徴収と租税条約

外国人労働者の給与は、居住者であれば日本人と同様の税率で源泉徴収を行います。

住民税の特別徴収

外国人労働者も翌年度から住民税の特別徴収対象になります。帰国・転職時の退職所得にかかる住民税精算も必要です。帰国時に住民税未納分を一括徴収する必要があり、月次の賃金台帳管理で事前に確認することを推奨します。

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不法就労と事業主の処罰リスク

不法就労助長罪

出入国管理及び難民認定法第73条の2(不法就労助長罪)により、以下の行為を行った事業主は、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科となります。 「知らなかった」は原則として免責事由になりません(知らなかったことに過失がないと認められる場合のみ免責)。

業務委託と雇用の区分(偽装請負のリスク)

外国人との業務委託契約は、表面上は就労制限の対象外に見えますが、実態が雇用と判定されれば、在留資格の範囲逸脱や不法就労助長罪の対象となります。業務委託と雇用の区分基準は、以下の通りです。
判定要素 雇用(労働者性あり) 業務委託(労働者性なし)
業務指示の具体性詳細指示・時間管理あり成果物基準・時間管理なし
勤務場所・時間拘束あり自由裁量
機材・設備会社が提供本人が保有
報酬の性質時間給・月給成果物対価
他社との契約専属的複数案件を並行可
外国人フリーランス(技人国ビザ)を業務委託で受け入れる場合、形式面だけでなく実態面での雇用認定リスクの検討が必須です。

業種別の留意点

IT・エンジニア

技人国ビザが主流。大学卒業後の実務経験の有無、専攻と業務内容の関連性、日本語能力(技術職ではN3以上が望ましい)が審査で重視されます。

製造業

単純労働は原則として特定技能・育成就労・技能実習でしか受入れ不可。技人国ビザで「設計・品質管理」として採用しても、実態が現場作業なら不法就労となります。

小売・飲食

店舗運営は単純労働扱いで、就労ビザでは原則不可。特定技能「外食業」「宿泊」等の分野で受入れ可能ですが、試験合格・登録支援機関の利用が必要です。留学生のアルバイトは週28時間までの制限厳守。

建設

特定技能「建設」・技能実習(2027年までに育成就労に移行)が主要ルート。建設業法上の許可と、特定技能協議会への加入が必要です。

介護

EPA介護福祉士候補者、在留資格「介護」、特定技能「介護」、技能実習「介護」の4ルートがあり、ルートごとに要件が大きく異なります。2025年4月から訪問系介護サービスへの就業が解禁されました。

関連する論点・次にすべきこと

外国人雇用の手続きは、就業規則の整備、特定技能・育成就労制度、外国人の社会保険加入など、他の労務テーマと密接に関連しています。以下の記事も併せてご確認ください。

よくある質問(FAQ)

「永住者」の外国人を雇う場合でも、ハローワーク届出は必要ですか?
必要です。届出が不要なのは「外交」「公用」「特別永住者」(在日韓国・朝鮮人等)のみです。永住者は届出義務の対象外ではなく、通常の外国人雇用と同じく届出が必要です。雇用保険の資格取得届で代用する場合は、在留資格欄に「永住者」と記入します。
留学生をアルバイトで雇う場合、どのような注意が必要ですか?
①資格外活動許可を受けていることの確認(在留カード裏面に「許可」の印字)、②原則として週28時間以内(長期休暇中は1日8時間以内・週40時間以内)、③風俗営業・接待業務は不可、④複数のアルバイトを掛け持ちする場合は合算で28時間以内を遵守——の4点が重要です。週28時間を超える就労は、留学生本人も事業主も不法就労の対象となります。
技能実習生を受け入れていますが、育成就労制度への移行はいつまでに行う必要がありますか?
技能実習制度は2027年までに廃止・育成就労制度に移行する予定です。既に受入れ中の技能実習生は、実習期間満了後に育成就労へ切り替えるか、特定技能へ移行する流れになります。育成就労制度では、本人の意向による転籍(職場変更)が可能となる点が大きな変更点です。詳細な移行スケジュール・要件は出入国在留管理庁の最新情報を確認してください。
外国人フリーランスに業務委託する場合、在留資格の確認は必要ですか?
必要です。外国人フリーランスが「技術・人文知識・国際業務」で事業活動を行うためには、その業務内容が在留資格で認められた範囲内である必要があります。また、業務委託の形式でも、実態が雇用(指揮命令・時間拘束あり)と判定されれば、資格外就労・不法就労助長罪のリスクが発生します。技人国ビザの外国人にIT開発業務を委託する場合は問題なくても、同じ外国人に飲食店の調理補助を委託するのは不法就労となります。
在留資格の更新申請中に在留期限が切れてしまった場合、雇用を続けてもよいですか?
更新申請を在留期限前に行っていれば、特例期間として、処分までの2か月間(または在留期限到来日の翌日から2か月)は適法に在留できます(入管法第20条第6項)。在留カードの裏面に「在留期間更新許可申請中」のスタンプがある場合、特例期間内での就労継続は可能です。ただし、期限切れ後に更新申請を行った場合は不法在留状態となり、雇用継続は不法就労助長罪の対象となります。必ず更新申請の日付を確認してください。
外国人の採用担当者に行政書士資格は必要ですか?
社内の採用担当者に行政書士資格は必要ありません。ただし、在留資格認定証明書交付申請や在留期間更新許可申請を他人の依頼を受けて有償で代行する業務は、行政書士法第1条の2により行政書士の独占業務です。社内で外国人雇用を進める際は、自社の外国人本人が申請する形を取るか、外部の行政書士に依頼する形となります。弊所では社労士・行政書士の同一法人内連携で、労務手続きと在留資格申請をワンストップで対応しています。
外国人雇用で最低賃金を下回る賃金設定は可能ですか?
不可能です。外国人労働者にも在籍する地域の地域別最低賃金が適用されます(最低賃金法第4条)。さらに労働基準法第3条は国籍を理由とする賃金・労働時間の差別を禁止しており、日本人より低い賃金設定は違法です。技能実習や特定技能でも最低賃金が適用されるほか、「通常の労働者と同等以上の報酬」要件がある在留資格も多く、同業務の日本人社員と同水準の賃金を設定する必要があります。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 外国人雇用は「在留カード確認→届出→社保加入」の3ステップで完結(期間1〜2週間)
  • 身分系在留資格(永住者・日本人の配偶者等)は就労制限なし、活動系は業務範囲制限あり
  • 主要な就労ビザは技人国・特定技能1号・2号・技能実習(2027年までに育成就労へ移行)
  • ハローワークへの外国人雇用状況届出は義務、違反は30万円以下の罰金
  • 不法就労助長罪は3年以下の懲役または300万円以下の罰金、「知らなかった」は免責されない
  • 技人国ビザで採用した外国人が業務内容と不一致の作業をすると更新不許可・摘発対象
  • 外国人も最低賃金・労働基準法・社会保険が日本人と同等に適用
  • 脱退一時金・社会保障協定・租税条約の活用で社会保障コストを最適化
外国人雇用の手続きは、在留資格の確認・届出義務・不法就労リスクの3つを軸に、採用前の確認徹底が鍵となります。「専門的な業務で採用したが実態は単純作業」という業務内容の不一致は、技人国ビザで最も多い不許可要因です。行政書士による事前チェックが、将来の更新不許可・摘発を防ぐ最大の予防策です。鮎澤パートナーズでは、社会保険労務士・行政書士・税理士・公認会計士が連携し、在留資格申請から労務手続き、税務処理までワンストップでサポートします。

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