【税理士監修】青色申告と白色申告の違い|メリット・デメリット比較と選び方

【税理士監修】青色申告と白色申告の違い|メリット・デメリット比較と選び方
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

青色申告と白色申告の違い|メリット・デメリット比較と選び方

「青色申告と白色申告はどちらを選ぶべきか?」と迷っている個人事業主・フリーランスの方に向けて、12項目の徹底比較表・売上規模別の税額シミュレーション・控除額の判定フローまで、税理士がわかりやすく解説します。この記事を読めば、自分にとって最適な申告方法を自信を持って選択できます。

🏆 結論:ほぼ全ての個人事業主は青色申告を選ぶべき

青色申告は最大65万円の特別控除・純損失の繰越控除・専従者給与の全額経費算入など、白色申告にはない税制上の優遇措置が豊富です。2014年から白色申告にも帳簿義務が課されたため「白色の方が楽」というメリットはほぼなくなりました。事業所得がある方は、会計ソフトを活用して青色申告を選択するのが最善策です。

青色申告と白色申告とは?制度の基本をわかりやすく解説

青色申告と白色申告は、個人事業主やフリーランスが所得税の確定申告を行う際に選択する2つの申告方法です。

青色申告とは

青色申告とは、所得税法第143条に基づき、一定水準の帳簿を備え付けて正確な記帳を行うことで、税制上のさまざまな優遇措置を受けられる確定申告の方法です。事前に税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出し、承認を受ける必要があります。

対象となるのは、事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかがある方です。給与所得や雑所得しかない方は青色申告を利用できません。

白色申告とは

白色申告とは、青色申告の承認を受けていない方が行う確定申告です。「白色」という名称の申請書類があるわけではなく、青色申告をしない=白色申告という位置づけです。

2014年(平成26年)1月以降、白色申告者にも帳簿の記帳・保存義務が課されています。かつては「白色申告は帳簿不要で楽」という時代がありましたが、現在ではその優位性はほぼなくなりました。

💡 実務のポイント

年間200件以上の確定申告を支援してきた経験上、「白色申告の方が簡単そうだから」という理由で白色を選んでいる方の多くが、実際には会計ソフトを導入すれば青色申告も同程度の手間で済むケースがほとんどです。特にクラウド型の会計ソフトは銀行口座やクレジットカードとの自動連携機能が充実しており、複式簿記の知識がなくても記帳が可能です。

青色申告と白色申告の違い【12項目の完全比較表】

青色申告と白色申告の違いを、実務で重要な12項目に分けて一覧表で比較します。

比較項目 青色申告 白色申告
①特別控除額最大65万円(10万/55万/65万の3段階)なし
②記帳方法複式簿記(65万控除の場合)簡易簿記(単式簿記)
③提出書類確定申告書+青色申告決算書(損益計算書+貸借対照表)確定申告書+収支内訳書
④事前申請必要(青色申告承認申請書を期限内に提出)不要(申請しなければ自動的に白色)
⑤専従者への給与全額を経費算入可(届出が必要)事業専従者控除(配偶者86万円、その他50万円が上限)
⑥純損失の繰越控除3年間繰越可能不可(被災事業用資産の損失を除く)
⑦純損失の繰戻還付前年の所得税を還付請求可能不可
⑧少額減価償却資産の特例40万円未満を即時経費化可(年間300万円まで)10万円未満のみ即時経費化可
⑨貸倒引当金売掛金等の5.5%を一括計上可個別評価のみ
⑩家事按分事業使用割合を合理的に按分すれば可50%超の事業使用が条件(または明確な区分)
⑪帳簿の保存期間仕訳帳・総勘定元帳:7年、その他:5年法定帳簿:7年、その他:5年
⑫推計課税のリスク推計課税を受けにくい(帳簿の信頼性が高い)推計課税を受けるリスクがある

参考: 国税庁「No.2070 青色申告制度」

⚠️ 注意

⑧の少額減価償却資産の特例は、令和8年度税制改正により2026年4月1日以後に取得する資産から上限が30万円未満→40万円未満に引き上げられます(年間合計300万円の枠は変更なし)。2026年3月31日以前に取得した資産は従来どおり30万円未満が基準です。

青色申告のメリット7つ|節税効果を徹底解説

青色申告には白色申告にはない多くのメリットがあります。ここでは主要な7つのメリットを、節税効果の目安とともに解説します。

メリット①:最大65万円の青色申告特別控除

青色申告の最大のメリットは、所得金額から最大65万円を差し引ける「青色申告特別控除」です。所得税法第65条に基づく制度で、控除額は記帳方法と申告方法によって10万円・55万円・65万円の3段階に分かれます。

たとえば所得税率20%の方が65万円の控除を受けると、所得税だけで約13万円、住民税(税率10%)と合わせると年間で約19.5万円の節税になります。事業を続ける限り毎年この効果が得られるため、5年間で約97.5万円もの差になります。

メリット②:青色事業専従者給与で家族の人件費を全額経費に

生計を一にする配偶者や15歳以上の親族が事業に専従している場合、支払った給与の全額を経費として算入できます(所得税法第57条)。白色申告では配偶者86万円・その他の親族50万円が上限ですが、青色申告にはこの上限がありません。

たとえば配偶者に月額20万円(年間240万円)の給与を支払う場合、白色申告では86万円までしか控除できないところ、青色申告なら240万円全額が経費になります。この差額154万円に対する所得税・住民税の節税効果は、税率20%の場合で約46万円です。

💡 実務のポイント

青色事業専従者給与は「届出書に記載した金額の範囲内で、労務の対価として適正な金額」でなければなりません。実務では、同業他社の給与水準や従事時間を根拠に金額を設定することが重要です。税務調査で「過大な専従者給与」と指摘されるケースでは、配偶者にパートタイム程度の労務しかないのに月額30万円以上の給与を支払っている場合が多いです。

メリット③:純損失の3年間繰越控除

事業で赤字が出た場合、その損失を翌年以後3年間にわたって繰り越し、黒字の所得と相殺できます(所得税法第70条)。白色申告にはこの制度がないため、赤字の翌年に大きな黒字が出ても、赤字年の損失は「使い切れない」まま消滅します。

開業初年度は設備投資や広告費で赤字になりがちです。青色申告なら、この赤字を翌年以降の黒字と相殺できるので、トータルでの税負担を大幅に抑えられます。

メリット④:純損失の繰戻還付

前年が黒字で今年が赤字の場合、前年に納めた所得税の還付を受けることもできます(所得税法第140条)。繰越控除が「将来の税金を減らす」制度なのに対し、繰戻還付は「過去に払った税金を取り戻す」制度です。

メリット⑤:少額減価償却資産の一括経費化

青色申告者は、取得価額が40万円未満の減価償却資産をその年に全額経費にできます(租税特別措置法第28条の2)。白色申告では10万円未満の資産しか即時経費化できません。

たとえば35万円のパソコンを購入した場合、青色申告なら35万円全額をその年の経費にできますが、白色申告では耐用年数4年にわたって毎年約8.75万円ずつ減価償却する必要があります。

メリット⑥:貸倒引当金の一括計上

年末時点の売掛金や貸付金などの合計額に対して、5.5%(金融業は3.3%)を貸倒引当金として経費計上できます。白色申告では回収不能が確実な個別の債権のみが対象です。

メリット⑦:家事按分の柔軟性

自宅を事務所として使用している場合、家賃・光熱費・通信費などの一部を必要経費にできます(家事按分)。青色申告では事業使用割合が50%以下でも合理的に按分できますが、白色申告では原則として50%超の事業使用が必要です。

実務では、自宅兼事務所のフリーランスで事業使用が30%程度という方は少なくありません。青色申告なら30%分を経費にできますが、白色申告では原則として経費計上が認められないケースがあります。この違いは家賃が月10万円の場合、年間で36万円の経費差になります。

白色申告のメリットと「それでも白色を選ぶべき人」

白色申告はメリットが少ないと言われがちですが、特定の状況では白色申告が適している場合もあります。

白色申告のメリット

白色申告の主なメリットは以下の2点です。

事前申請が不要:青色申告承認申請書の提出期限に間に合わなかった場合、その年は自動的に白色申告になります。確定申告の時期に「今年から青色にしよう」と思っても間に合いません。白色申告なら事前手続きなしで申告できます。

記帳が比較的簡素:複式簿記ではなく簡易簿記(単式簿記)で記帳が認められます。ただし、2014年以降は白色申告でも帳簿の記帳・保存が義務化されたため、かつてほどの差はなくなりました。

白色申告が向いているケース

正直に言えば、白色申告を積極的に選ぶ理由はほとんどありません。ただし、以下のケースでは白色申告がやむを得ない選択肢となります。

ケース 理由 翌年からの対策
青色申告の申請期限に間に合わなかった承認申請書の提出期限は3月15日(新規開業は開業から2ヶ月以内)今年中に承認申請書を提出し、翌年から青色に切り替え
副業の雑所得のみで事業所得がない雑所得は青色申告の対象外開業届を提出して事業所得に切り替え(事業性の判断に注意)
売上が極めて少額(年間20万円以下)控除のメリットが小さく、帳簿の手間に見合わない給与所得者で副業20万円以下なら確定申告自体が不要(住民税の申告は必要)

青色申告特別控除3段階(10万・55万・65万円)の要件判定フロー

青色申告特別控除は、記帳方法・提出書類・申告方法によって3段階に分かれます。どの控除額が適用されるかを判定するフロー表を作成しました。

判定条件 65万円控除 55万円控除 10万円控除
複式簿記で記帳○ 必要○ 必要不要(簡易簿記可)
貸借対照表+損益計算書を添付○ 必要○ 必要不要(損益計算書のみ)
e-Tax申告 or 電子帳簿保存○ いずれか必要不要不要
期限内申告○ 必要○ 必要○ 必要
適用される控除額65万円55万円10万円

参考: 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」

💡 実務のポイント

65万円控除を受けるためのe-Tax申告は、マイナンバーカードとICカードリーダー(またはスマートフォン)があれば自宅から手続きできます。初回の設定さえ済ませれば、翌年以降は年に1回の操作で完了します。「e-Taxは難しそう」と感じる方も多いですが、10万円の控除額の差は税率20%で年間2万円に相当しますので、初期設定の手間に十分見合います。

📢 令和8年度税制改正:2027年分から控除額が変更予定

令和8年度税制改正大綱により、2027年分の所得税から青色申告特別控除の見直しが予定されています。電子帳簿保存法の要件を満たした帳簿を電子保存している場合、最大75万円の控除が適用される見込みです。一方、紙での申告のみの場合は控除額が10万円に縮小される方向です。デジタル化への対応がより重要になります。

売上規模別の青色vs白色|税額シミュレーション

「青色申告にするとどれくらい税金が安くなるか」を具体的な数字で確認しましょう。売上規模別に4パターンでシミュレーションします。

📐 シミュレーション前提条件

  • 必要経費率:売上の50%と仮定
  • 青色申告特別控除:65万円を適用
  • 所得控除:基礎控除48万円+社会保険料控除60万円=108万円
  • 専従者給与:なし(控除のみの効果を比較)
  • 住民税:税率10%(均等割を除く)
  • 個人事業税:事業税率5%(事業主控除290万円)
  • 復興特別所得税:2.1%
項目 売上300万円 売上500万円 売上800万円 売上1,200万円
事業所得(経費控除後)150万円250万円400万円600万円
白色:課税所得42万円142万円292万円492万円
青色65万:課税所得0円77万円227万円427万円
白色:所得税+住民税+事業税約6.3万円約21.5万円約54.7万円約110.1万円
青色65万:所得税+住民税+事業税約0円約11.6万円約38.3万円約90.2万円
年間節税額(青色65万の効果)約6.3万円約9.9万円約16.4万円約19.9万円

※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

💡 実務のポイント

上記のシミュレーションは青色申告特別控除のみの効果です。専従者給与(配偶者に年間240万円支給するケースでは追加で約46万円の節税)や少額減価償却資産の特例を組み合わせると、節税効果はさらに大きくなります。売上500万円以上の方は青色申告にしないメリットがほぼありません。

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帳簿・記帳方法の違い|白色にも帳簿義務がある

「白色申告は帳簿をつけなくていい」という誤解が根強くありますが、これは2013年以前の話です。現行制度では白色申告でも帳簿の記帳・保存が義務化されています。青色申告との記帳義務の実際の違いを表で整理します。

項目 白色申告 青色申告(10万円控除) 青色申告(65万円控除)
記帳方式簡易簿記簡易簿記複式簿記
必要な帳簿法定帳簿(収入・経費の記録)現金出納帳・経費帳・固定資産台帳など仕訳帳・総勘定元帳+現金出納帳等の補助簿
提出する決算書収支内訳書青色申告決算書(損益計算書)青色申告決算書(損益計算書+貸借対照表)
帳簿保存期間法定帳簿7年、任意帳簿5年7年(5年の書類もあり)7年(5年の書類もあり)
会計ソフトでの対応対応可対応可対応可(自動で複式簿記に変換してくれる)

参考: 国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」

注目すべきは、白色申告と青色申告10万円控除の記帳方式がどちらも簡易簿記という点です。同じ手間で10万円の控除が受けられるなら、青色申告10万円控除を選ばない理由はありません。「複式簿記が難しそう」と感じる方も、まずは10万円控除の青色申告から始めて、慣れたら65万円控除にステップアップするのが賢い方法です。

💡 関連記事

白色申告の記帳方法・保存期間・帳簿の具体的な書き方については、「白色申告の記帳・帳簿保存義務|簡単な記帳方法と保存期間」で詳しく解説しています。

青色申告の始め方|届出書の提出と申請期限

青色申告を始めるには、「所得税の青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出する必要があります。この申請には期限があり、期限を過ぎるとその年は白色申告しかできません。

青色申告承認申請書の提出期限

ケース 提出期限 具体例
新たに開業した場合開業の日から2ヶ月以内4月1日開業→5月31日まで
1月1日〜1月15日に開業した場合その年の3月15日まで1月10日開業→3月15日まで
白色申告から青色に切り替える場合青色にしたい年の3月15日まで2027年分から青色にしたい→2027年3月15日まで
相続で事業を承継した場合相続開始の日により異なる死亡日が1〜8月→死亡の日から4ヶ月以内、9〜12月→翌年3月15日まで

参考: 国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」

開業届と同時提出がおすすめ

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)と青色申告承認申請書は、同じタイミングで提出するのが最も効率的です。開業届の提出期限は開業から1ヶ月以内ですが、青色申告承認申請書は2ヶ月以内のため、開業届と一緒に出してしまえば提出忘れを防げます。開業届の詳しい手続きは「開業届の出し方|提出期限・書き方・必要書類をわかりやすく解説」をご参照ください。

⚠️ 注意

青色申告の承認は一度受ければ翌年以降も継続しますが、帳簿書類の備え付けや記帳を適切に行わなかった場合、あるいは税務署長から帳簿書類の提出を求められて応じなかった場合などは、承認が取り消されることがあります(所得税法第150条)。承認が取り消された場合、取り消された年にさかのぼって白色申告扱いとなります。

税込経理方式と税抜経理方式の違い|少額減価償却への影響

青色申告のメリットを最大限活用するうえで、意外と見落としがちなのが経理方式(税込経理・税抜経理)の選択です。消費税の課税事業者の場合、採用する経理方式によって少額減価償却資産の特例の適用可否が変わるケースがあります。

税込経理と税抜経理で何が変わるか

項目 税込経理方式 税抜経理方式
取引の記帳方法消費税込みの金額で記帳消費税を分けて記帳
少額減価償却資産の判定基準税込価額で判定税抜価額で判定
具体例:税込43.8万円の備品43.8万円>40万円 → 特例の対象外39.8万円<40万円 → 特例の対象

このように、同じ買い物をしても経理方式の違いで特例が使えるか使えないかが変わります。消費税の課税事業者で設備投資の多い方は、税抜経理方式を選んだ方が少額減価償却資産の特例を活用しやすくなります。なお、免税事業者は税込経理方式のみです。

💡 実務のポイント

経理方式は一度選択すると原則として継続適用が必要です。「今年だけ税抜にして特例を使い、来年は税込に戻す」といった使い分けは認められません。開業時や課税事業者になったタイミングで慎重に選択しましょう。

青色申告が取り消されるケースと注意点

青色申告の承認は自動的に継続しますが、以下の場合に取り消されることがあります(所得税法第150条)。

青色申告が取り消される3つのケース

ケース1:帳簿書類の備え付け・記帳・保存が不適切。帳簿をまったくつけていない場合や、帳簿の内容に重大な不備がある場合は、青色申告の承認が取り消される可能性があります。実務では、税務調査で帳簿が一切ないことが発覚して取り消されるケースが多いです。

ケース2:帳簿書類の提出を求められて応じなかった。税務署長から帳簿書類の提示を求められた際に、正当な理由なく提出しなかった場合です。

ケース3:仮装・隠蔽。売上の一部を帳簿から除外したり、架空の経費を計上したりした場合、青色申告の承認が取り消されるだけでなく、重加算税(35〜40%)が課されます。

⚠️ 注意

青色申告の取消しは遡って適用されるため、取消年分の青色申告特別控除が否認され、追加の所得税+延滞税を納める必要があります。日頃からの適切な記帳が何より大切です。

青色申告に必要な会計ソフトの選び方

現在の会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードとの自動連携、AIによる仕訳提案機能が充実しており、複式簿記の知識がなくても65万円控除に必要な帳簿を作成できます。

個人事業主向け会計ソフトの選択ポイント

選択ポイント 確認すべきこと
e-Tax対応65万円控除にはe-Tax申告が必要。ソフトからe-Taxに直接送信できるか確認
銀行口座連携自動取込・自動仕訳ができると記帳の手間が大幅に減る
電子帳簿保存法対応2027年分から75万円控除の要件となる見込み
税理士との共有機能税理士に記帳チェックや決算を依頼する場合、データ共有が簡単かどうか
料金体系年間1万円前後が相場。無料プランは機能制限がある場合が多い

会計ソフトの年間コスト(1〜2万円程度)は、65万円控除による節税額(最低でも年間6.5万円以上)で十分に元が取れます。コスト面で悩む必要はないでしょう。

青色申告への切り替え判断チェックリスト

現在白色申告の方が、青色申告に切り替えるべきかを判断するためのチェックリストです。

チェック項目 該当する コメント
事業所得がある(開業届を出している)雑所得のみの場合は青色申告不可
年間の事業所得が48万円(基礎控除額)を超える所得が少ないと控除の効果が限定的
家族を事業の手伝いとして雇っている(またはその予定)専従者給与の全額経費化は青色のみ
開業したばかりで赤字の可能性がある純損失の繰越控除で翌年の税金を減らせる
PC・設備などを購入する予定がある少額減価償却資産の特例で即時経費化
自宅を事務所として使っている家事按分の要件が青色の方が緩い
売掛金がある(BtoB取引をしている)貸倒引当金の一括計上が可能

判定基準:上記のうち2つ以上に該当する方は、青色申告に切り替えることで明確な節税メリットがあります。1つだけの場合でも、事業所得がある限りは青色10万円控除から始めるのがおすすめです。

青色申告でよくある失敗事例と対策

青色申告を選んだのにメリットを活かしきれない、あるいは取り消されてしまうケースがあります。代表的な失敗事例と対策を紹介します。

失敗事例1:申請期限を過ぎてしまった

「今年から青色にしよう」と思い立ったのが確定申告の時期(2〜3月)で、調べたら承認申請書の期限は「その年の3月15日まで」。ギリギリ間に合ったケースもありますが、提出期限に1日でも遅れるとその年は白色申告になります。

対策:開業時に開業届と同時に提出するのがベスト。白色から切り替える場合は、前年の確定申告を提出したタイミングで翌年分の承認申請書も一緒に出しましょう。

失敗事例2:65万円控除を受けたつもりが55万円だった

複式簿記で記帳し、貸借対照表も提出したのに、e-Tax申告をしていなかったため55万円控除にしかならなかったケースです。10万円の差は税率20%の方で約3万円の損です。

対策:会計ソフトのe-Tax連携機能を使い、必ず電子申告で提出する。確定申告書の控えで「電子申告」の記載を確認する。

失敗事例3:期限後申告で控除が10万円に

確定申告の期限(原則3月15日)を過ぎてから申告した場合、65万円・55万円の控除は適用されず、10万円控除になります。青色申告特別控除は「期限内申告」が要件です。

対策:確定申告は2月16日の申告開始日から早めに着手する。還付申告の場合は1月1日から提出可能です。

💡 実務のポイント

確定申告に関する基本的な手続きは「確定申告とは?やり方・必要書類・申告の流れを完全ガイド」で詳しく解説しています。青色申告を始める前に、確定申告の全体像を理解しておくとスムーズです。

所得控除との関係|青色申告特別控除との違い

青色申告特別控除と所得控除(基礎控除・社会保険料控除・配偶者控除など)は、どちらも所得から差し引ける制度ですが、計算上の位置づけが異なります。

青色申告特別控除は事業所得の計算段階で差し引かれます。つまり、事業所得=総収入金額−必要経費−青色申告特別控除です。一方、基礎控除や社会保険料控除は課税所得の計算段階で差し引かれます。

この違いが重要なのは、青色申告特別控除は個人事業税(事業税率5%)の計算でも適用される点です。所得控除は個人事業税には影響しません。つまり、青色申告特別控除65万円は、所得税・住民税だけでなく個人事業税の計算でも有利に働きます。

所得控除の全体像については「所得控除一覧|15種類の控除と計算方法をわかりやすく解説」で詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

青色申告と白色申告はいつでも切り替えられますか?
白色→青色への切り替えは、青色にしたい年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出すれば翌年分から適用されます。青色→白色への切り替えは、取りやめる年の翌年3月15日までに「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出します。ただし、青色申告の承認が取り消された場合は、取消し後1年間は再度の承認申請ができません。
副業の収入は青色申告できますか?
副業の収入が「事業所得」に該当する場合は青色申告が可能です。ただし、副業の収入が「雑所得」に分類される場合は青色申告の対象外です。事業所得か雑所得かの判断は、営利性・継続性・反復性・独立性などを総合的に判断します。帳簿を作成し、継続的・反復的に収入を得ている場合は事業所得として認められやすくなります。詳しくは「事業所得とは?計算方法と確定申告の基礎知識」をご参照ください。
青色申告でも簡易簿記で申告できますか?
はい、できます。簡易簿記(単式簿記)で記帳する場合は、青色申告特別控除が10万円になります。65万円控除には複式簿記が必要ですが、10万円控除でも白色申告より有利です。まずは10万円控除から始めて、会計ソフトに慣れたら65万円控除に移行するのが無理のない方法です。
青色申告の申請を出し忘れた場合、今年はどうすればいいですか?
残念ながら、申請期限を過ぎるとその年は白色申告しかできません。今年は白色申告で確定申告を行い、同時に翌年分の「所得税の青色申告承認申請書」を提出しましょう。翌年から青色申告のメリットを受けられます。
不動産所得でも青色申告できますか?
はい、不動産所得も青色申告の対象です。ただし、65万円または55万円の控除を受けるには「事業的規模」の要件を満たす必要があります。具体的には、アパート・マンションなら概ね10室以上、戸建てなら概ね5棟以上が基準です(いわゆる「5棟10室基準」)。事業的規模に満たない場合は10万円控除になります。
青色申告特別控除は赤字の場合も適用できますか?
青色申告特別控除は所得金額を限度として適用されます。つまり、必要経費を差し引いた時点で所得がゼロまたは赤字の場合、控除額は適用されません。ただし、赤字の場合は純損失の繰越控除(3年間)が使えるため、翌年以降に黒字が出た際に税金を減らすことができます。
令和8年度税制改正で青色申告はどう変わりますか?
令和8年度税制改正大綱では、2027年分の所得税から以下の変更が予定されています。(1)電子帳簿保存法の要件を満たして帳簿を電子保存する場合、青色申告特別控除が最大75万円に引き上げ。(2)紙での申告のみの場合は控除額が縮小される方向。(3)少額減価償却資産の特例は2026年4月から上限が30万円→40万円に引き上げ。デジタル化への早めの対応がより重要になります。
青色申告と白色申告で税務調査の頻度に違いはありますか?
税務署が公式に「青色申告者は調査しない」と言っているわけではありません。ただし実務上、青色申告者は帳簿が整備されているため調査の効率が良く、帳簿の信頼性も高いことから、白色申告者に比べて「推計課税」を受けるリスクが低いです。推計課税とは、帳簿が不十分な場合に税務署が所得を推計して課税する制度で、白色申告者が対象になりやすいです。
青色申告者が亡くなった場合、相続人も青色申告できますか?
被相続人の青色申告の承認は相続人には引き継がれません。相続人が事業を引き継ぐ場合は、改めて青色申告承認申請書を提出する必要があります。提出期限は、相続開始の日(被相続人の死亡日)によって異なります。1月1日〜8月31日の場合は死亡日から4ヶ月以内、9月1日〜10月31日の場合はその年の12月31日まで、11月1日〜12月31日の場合は翌年2月15日までです。
白色申告でも経費は計上できますか?
はい、白色申告でも必要経費の計上は可能です。経費の範囲自体は青色申告と白色申告で大きな違いはありません。違いが出るのは「家事按分の基準」(白色は50%超の事業使用が原則)と「少額減価償却資産の特例」(白色は10万円未満のみ)、「専従者控除の上限」(白色は配偶者86万円、その他50万円)の3点です。所得税の計算方法については「所得税の税率と計算方法をわかりやすく解説」もあわせてご参照ください。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 青色申告は最大65万円の特別控除、純損失の繰越、専従者給与の全額経費化など、白色申告にはない多くのメリットがある
  • 2014年以降、白色申告にも帳簿義務があるため「白色の方が楽」というメリットはほぼ消滅
  • 会計ソフトを使えば複式簿記の知識がなくても65万円控除を受けられる
  • 青色申告の開始には「青色申告承認申請書」の期限内提出が必須(開業届と同時がベスト)
  • 売上500万円の場合、青色申告にするだけで年間約10万円の節税効果
  • 2027年分から電子帳簿保存で75万円控除が予定されており、早めのデジタル対応が重要
  • 少額減価償却資産の特例は2026年4月から40万円未満に拡大

まずは今日できることとして、青色申告承認申請書の提出期限を確認し、期限内に提出しましょう。すでに白色申告をしている方は、来年分から青色に切り替えるための準備を始めることをおすすめします。

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