【税理士監修】インフルエンサー・YouTuberの確定申告|経費になるものと注意点

【税理士監修】インフルエンサー・YouTuberの確定申告|経費になるものと注意点
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

インフルエンサー・YouTuberの確定申告|経費になるものと注意点

「SNSの収入って確定申告が必要?」「撮影用に買った服やガジェットは経費にできる?」そんな疑問を持つインフルエンサー・YouTuberに向けて、収益化パターンごとの所得区分、経費になるもの・ならないもの、税務調査で注意すべきポイントまで完全ガイドします。

🏆 結論:年間所得が一定額を超えたら確定申告が必要

インフルエンサー活動が本業なら年間所得48万円超、副業(会社員)なら年間所得20万円超で確定申告が必要です。所得=収入−経費なので、経費を正しく計上することが節税の第一歩。収入が増えてきたら青色申告に切り替えることで最大65万円の控除が使えます。また、企業からの商品提供(PR案件)も収入として計上が必要なので注意してください。

インフルエンサー・YouTuberの確定申告が必要になる基準

本業インフルエンサーの場合

インフルエンサー活動が主な収入源(本業)の場合、年間の「所得」が48万円を超えると確定申告が必要です。所得とは収入から必要経費を差し引いた金額のこと。たとえば年間収入が100万円で経費が60万円なら、所得は40万円となり確定申告は不要です。

ただし、所得が基礎控除額(令和7年分以後は58万〜95万円)以下でも源泉徴収された税金がある場合は、確定申告をすれば還付を受けられる可能性があります。

副業インフルエンサー(会社員)の場合

会社員がインフルエンサー活動を副業として行う場合、副業による年間所得が20万円を超えると確定申告が必要です(所得税法第121条)。ここでいう「20万円」は収入ではなく所得(収入−経費)である点に注意してください。

⚠️ 注意:20万円以下でも住民税の申告は必要

所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は必要です。住民税には「20万円ルール」がないため、副業所得が1円でもあれば市区町村への申告が求められます。副業が会社にバレたくない場合は、住民税を「自分で納付(普通徴収)」にすることで対策できます。

確定申告の全体像については「確定申告の基礎知識完全ガイド」で解説しています。

収益化パターン別の所得区分と源泉徴収の有無

インフルエンサーの収入源は多岐にわたります。それぞれの収益化パターンによって所得区分(事業所得 or 雑所得)や源泉徴収の有無が変わります。

収益化パターン 所得区分 源泉徴収 注意点
YouTube広告収入
(AdSense)
事業/雑なしGoogle(海外法人)からの支払いのため国内源泉徴収なし。12月分は翌年1月支払でもその年の売上
Instagram/TikTok
の収益化プログラム
事業/雑なし海外法人からの支払い。各プラットフォームのダッシュボードで収益を確認
企業案件
(タイアップ報酬)
事業/雑あり(10.21%)国内企業からの報酬は源泉徴収あり。支払調書を確認
アフィリエイト収入
(ASP経由)
事業/雑なしAmazonアソシエイト・楽天ROOM等。成果確定日で売上計上
グッズ・物販収入事業所得なし仕入原価が発生。在庫管理・棚卸が必要
オンラインサロン
・有料コンテンツ
事業所得なし月額制は毎月の売上。プラットフォーム手数料は経費
印税収入
(書籍・電子書籍)
事業/雑あり(10.21%)出版社からの印税は源泉徴収あり。著述業に該当する場合は事業所得

💡 実務のポイント:事業所得か雑所得かの判断基準

インフルエンサー収入が「事業所得」と認められるには、営利性・継続性・反復性が必要です。実務上のポイントは帳簿の作成・保存があるかです。令和4年の通達改正により、収入300万円以下でも帳簿を適正に作成・保存していれば、事業所得として認められる方向になっています。逆に帳簿がなければ雑所得になる可能性が高いです。事業所得と雑所得の違いについては「事業所得と雑所得の違い」で詳しく解説しています。

PR案件・現物提供の収入計上ルール

企業から商品をもらったら収入になる?

企業から「商品を無料で提供するのでSNSで紹介してほしい」というPR案件は、インフルエンサーにとって身近な収入源です。しかし、金銭を受け取らなくても、商品の市場価格相当額が収入として課税対象になるケースがあります。

PR案件のパターン 収入計上 金額の出し方
報酬+商品提供報酬額+商品の市場価格を収入計上。商品を業務使用する場合は同額を経費にもできる
商品提供のみ(報酬なし)商品の小売価格(市場価格)で収入計上
返却前提のレンタル品不要所有権が移転しないため収入にならない。返却の記録を残すこと
イベント・旅行招待交通費・宿泊費の実費相当額を収入計上。同時に同額を取材経費として計上可能

💡 実務のポイント

PR案件で受け取った商品は、収入に計上すると同時に「広告宣伝費」や「消耗品費」として経費にもできます。たとえば5万円の化粧品をPR案件で受け取った場合、収入5万円+経費5万円で所得への影響はゼロです。ただし、プライベートでも使う商品は事業使用割合で按分が必要です。

経費になるもの・ならないもの【15項目の判定表】

インフルエンサーの経費判定で最も悩むのが「これは経費にしていいのか?」という判断です。以下の表で○(経費OK)△(条件付きOK)×(経費NG)を確認してください。

支出項目 判定 経費にするための条件・証拠
カメラ・撮影機材撮影専用なら全額。私用兼用は按分。40万円以上は減価償却
パソコン・スマホ編集作業に使う場合。私用兼用なら事業割合で按分
通信費(Wi-Fi・スマホ代)私用兼用は使用時間や容量で按分。60〜70%が一般的な事業割合
撮影用の衣装・コスメ撮影でしか使わないもの=○。普段着としても使える服=×。レビュー用コスメ=○(動画に映っていること)
美容院・エステ代美容系インフルエンサーのレビュー撮影=○。単なる身だしなみ=×。撮影日との対応関係が必要
食事代・カフェ代グルメレビュー=○。打ち合わせ=○(相手の名前と目的をメモ)。一人の昼食=×
旅行費用・交通費取材・ロケ目的=○。観光がメインで撮影がついで=×。旅程表と投稿実績で業務性を証明
ゲームソフト・アプリ課金実況・レビュー動画に使用=○。プライベートの趣味=×。投稿との対応を記録
家賃(自宅兼スタジオ)面積比または使用時間で按分。撮影スペースが常設なら面積比が明確
編集ソフト・BGM素材Adobe・Final Cut等のサブスク料、音楽素材サイトの利用料。全額経費
ブランド品・高級時計×私的な資産形成と見なされる。レビュー動画で使用しても「購入しなくても生活できる」ため原則否認
ジム・ダイエット費用×フィットネス系でも「身体維持は個人的支出」と判断されやすい。スタジオレンタルは○
外注費(編集者・カメラマン)請求書・契約書を保存。源泉徴収が必要な場合あり
税理士報酬全額経費。確定申告代行費用、顧問料ともに対象
プレゼント企画の賞品代フォロワー向け企画なら広告宣伝費。景品の金額によっては景品表示法にも注意

⚠️ 注意:経費の「グレーゾーン」を通すための鉄則

△判定の項目を経費にする場合、「いつ・何の撮影で使ったか」を領収書の裏にメモする習慣が命綱です。税務調査では「この支出と収入の対応関係を説明してください」と聞かれます。動画のURLやInstagramの投稿日と紐づけて記録しておけば、説明に困ることはありません。

経費の基本については「フリーランスの経費一覧」で網羅的に解説しています。

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収入規模別の確定申告パターンと税額シミュレーション

インフルエンサーの収入規模によって、確定申告のやり方や使える控除が変わります。4つの収入パターンで税額をシミュレーションします。

📐 シミュレーション前提条件

  • 本業のインフルエンサー(他の給与所得なし)
  • 経費率30%で計算
  • 青色申告特別控除65万円を適用
  • 基礎控除48万円(令和6年分まで。令和7年分以後は58万円・所得により最大95万円)(合計所得2,400万円以下)
  • 社会保険料控除は国民年金+国保で概算
年間収入 経費(30%) 青色控除後
の課税所得
所得税
概算
ポイント
50万円15万円0円0円青色控除+基礎控除で所得ゼロ。申告不要ラインに近い
200万円60万円約0円約0円経費60万+青色65万+基礎48万+社保約27万=200万円で相殺
500万円150万円約195万円約10万円税率5%帯。小規模企業共済を加えれば節税の余地あり
1,000万円300万円約515万円約55万円税率20%帯。消費税の課税事業者になる可能性。法人化を検討する目安

※概算値です。住民税(約10%)は別途かかります。復興特別所得税、社会保険料は簡略化。正確な計算は税理士にご相談ください。

💡 実務のポイント:消費税の1,000万円ラインに注意

インフルエンサーの年間売上が1,000万円を超えると、翌々年から消費税の課税事業者になります。YouTubeのAdSense収入(海外法人からの支払い)は輸出免税に該当する可能性がありますが、国内企業からの案件報酬やアフィリエイト収入は課税売上です。インボイス登録の要否と合わせて、早めに税理士に相談することをおすすめします。

プラットフォーム別の収入把握チェックリスト

確定申告で最初にやるべきことは「1年間の収入を漏れなく把握する」ことです。プラットフォームごとに収益の確認方法が異なります。

プラットフォーム 収益確認方法 売上計上のタイミング
YouTubeYouTube Studio→アナリティクス→収益、またはAdSenseの支払いレポート月末締め翌月21日以降支払い。12月分(翌年1月入金)はその年の売上
Instagramプロフェッショナルダッシュボード、月次の送金通知PDF収益が確定した月で計上
TikTokCreator Fund ダッシュボード収益確定日で計上
アフィリエイト
(各ASP)
ASP管理画面の確定報酬レポート成果確定日で計上(入金日ではない)
企業案件契約書・請求書・銀行入金明細役務提供完了日(投稿日)で計上が原則

⚠️ 注意:12月の売上を翌年に回すのはNG

所得税は「発生主義」で収入を計上します。12月にサービスを提供して(投稿して)翌年1月に入金された報酬は、12月の売上です。入金日ベースで申告すると、税務調査で指摘される原因になります。特にYouTubeの12月分AdSense収入は要注意です。

インフルエンサーの確定申告の手続き方法

白色申告と青色申告の選び方

インフルエンサーが確定申告する方法は、白色申告と青色申告の2種類です。収入がある程度以上なら、青色申告を強くおすすめします。

比較項目 白色申告 青色申告
特別控除なし最大65万円(e-Tax+複式簿記)
赤字の繰越不可3年間繰越可能
少額資産特例10万円未満のみ即時償却40万円未満まで即時償却
帳簿の要件簡易帳簿複式簿記(会計ソフトで対応可)

青色申告のメリットについては「青色申告のメリット完全ガイド」で詳しく解説しています。

確定申告に必要な書類

インフルエンサーが確定申告で用意すべき書類は、各プラットフォームの収益レポート(AdSenseの支払い明細、ASPの確定報酬レポートなど)、企業案件の請求書・契約書、経費の領収書・レシート、青色申告決算書、確定申告書B、源泉徴収された場合の支払調書です。

クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワードなど)を使えば、銀行口座やクレジットカードの明細を自動取り込みでき、帳簿作成の手間を大幅に削減できます。

UberEats配達員など「新しい働き方」の確定申告

インフルエンサー以外にも、UberEats配達員やクラウドソーシングなど、個人で収入を得る「新しい働き方」が増えています。共通するのは「雇用関係がないため、自分で確定申告する必要がある」という点です。

UberEats配達員の所得区分と経費

UberEats配達員の収入は、継続的に活動していれば事業所得、スポット的なら雑所得として申告します。経費になるのは、自転車・バイクの維持費(修理代・ガソリン代・保険料)、配達用バッグ、スマホの通信費、レインウェアなどです。配達専用の自転車やバイクを購入した場合は減価償却の対象になります。

💡 実務のポイント

UberEats配達員から相談を受けて意外と多いのが「プライベートでも使う自転車の按分をどうするか」です。走行距離メーターがない場合、配達アプリのログ(稼働時間・配達回数)を根拠にして事業割合を算出する方法が実務的です。アプリのスクリーンショットを月次で保存しておくと、税務調査時の説明がスムーズになります。

税務調査で指摘されやすいポイント

インフルエンサーの税務調査が増えている理由

国税庁はインターネット取引に特化した「電子商取引専門調査チーム」を設置しており、SNSやYouTubeの収入を把握する体制を強化しています。高級品の購入や海外旅行を頻繁にSNSに投稿しているのに確定申告をしていなければ、調査対象になりやすいです。

税務調査で指摘されやすい5つのパターン

No. 指摘パターン 対策
1収入の計上漏れ(海外プラットフォームの入金を申告していない)全プラットフォームの収益レポートを年次で取得・保存
2現物提供(PR商品)を収入に計上していない受け取った商品リストと市場価格を記録
3私的支出を全額経費にしている(ブランド品・旅行費・食費)業務との対応関係を投稿URLで証明できるようにする
4家事按分の割合に合理的な根拠がない面積比・使用時間・走行距離などの算出根拠を書面で残す
512月分の収入を翌年に回している(入金日で計上)発生主義で12月分は12月の売上として計上

所得控除を活用した節税については「所得控除一覧ガイド」をご覧ください。

インフルエンサーが使える節税テクニック

青色申告特別控除(最大65万円)

複式簿記で帳簿をつけ、e-Taxで申告すれば最大65万円の控除を受けられます。課税所得が65万円減るため、税率20%なら年間13万円の節税効果があります。

小規模企業共済(年間最大84万円の所得控除)

個人事業主の「退職金制度」として、月額1,000円〜70,000円の掛金を全額所得控除にできます。年間最大84万円を控除でき、将来の廃業時に退職金として受け取れます。

専従者給与(家族への給与が全額経費)

家族が動画編集や経理を手伝っている場合、青色事業専従者給与として給与を支払い、全額を経費にできます。ただし、その家族は年間6ヶ月以上事業に従事している必要があります。

💡 実務のポイント:法人化の検討タイミング

年間所得が600〜800万円を超えてきたら、法人化(マイクロ法人の設立)を検討するタイミングです。法人税率は所得800万円以下なら15%で、個人の所得税率(所得695万円超で23%)より低くなります。また、法人なら役員報酬で所得分散できるメリットもあります。一方、法人化すると社会保険の加入義務や決算・申告のコストが増えるため、総合的に判断する必要があります。

個人事業税にも注意が必要

インフルエンサーの事業所得が年間290万円(事業主控除)を超えると、個人事業税が課される場合があります。業種によって税率が異なりますが、自治体によってはインフルエンサー・YouTuberを「広告業」として個人事業税の対象とするケースがあります。

個人事業税は都道府県税で、確定申告をすれば自動的に計算・通知されるため、別途の申告は不要です。ただし、290万円を超える所得がある場合は約3〜5%の追加負担がある点を念頭に置いておきましょう。

よくある質問(FAQ)

YouTubeの広告収入はいくらから確定申告が必要ですか?
本業なら年間所得(収入−経費)が48万円超、副業(会社員)なら年間所得20万円超で確定申告が必要です。YouTube広告収入だけでなく、企業案件・アフィリエイト・物販など全ての収入を合算して判断します。
企業から無料で商品をもらった場合、確定申告が必要ですか?
はい、PR案件で受け取った商品は市場価格相当額を収入として計上する必要があります。ただし、同時にその商品を事業用経費として計上できるため、所得への影響はゼロに近い場合がほとんどです。返却前提のレンタル品は収入計上不要です。
撮影に使った衣装やコスメは経費にできますか?
撮影専用の衣装やレビュー用のコスメは経費にできます。ただし、普段着としても使える服や、日常的に使う化粧品は「家事費」として経費になりません。ポイントは「その支出なしでは動画・投稿が成立しないか」です。撮影日と商品の対応がわかる記録を残しておきましょう。
副業でインフルエンサーをしていることが会社にバレませんか?
確定申告時に住民税の納付方法を「自分で納付(普通徴収)」にすれば、副業分の住民税が会社の給与から天引きされないため、バレるリスクを軽減できます。ただし、自治体によっては普通徴収に対応していない場合があるため、事前に確認してください。
印税収入(書籍の出版)の所得区分は何ですか?
継続的に著述業を営んでいる場合は事業所得、一回限りの出版であれば雑所得に分類されます。インフルエンサーが自身のブランドで書籍を継続的に出版していれば事業所得として認められやすいです。印税は出版社から源泉徴収(10.21%)された金額で入金されるため、確定申告で精算します。
旅行系インフルエンサーの海外旅行費用は経費になりますか?
取材・コンテンツ制作が主目的の旅行であれば経費にできます。ただし「観光がメインで撮影はついで」と判断されると否認されるリスクがあります。旅行の旅程表と各日の撮影・投稿記録を残し、「この旅行がなければコンテンツが作れなかった」ことを説明できるようにしておきましょう。プライベートの日程が混在する場合は、業務日数とプライベート日数で按分します。
確定申告をしないとどうなりますか?
確定申告が必要なのに申告しないと、無申告加算税(最大20%)や延滞税が課されます。悪質な場合は重加算税(35〜40%)が課されることもあります。国税庁はインターネット取引に特化した調査体制を強化しており、SNSの投稿内容と申告内容の矛盾から発覚するケースが増えています。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 本業なら所得48万円超、副業なら所得20万円超で確定申告が必要
  • 収入源ごとに所得区分・源泉徴収の有無が異なる。全プラットフォームの収入を漏れなく把握すること
  • PR案件で受け取った商品も市場価格で収入計上が必要(同額を経費にできる)
  • 経費にできるかは「業務との対応関係」がカギ。領収書の裏に使途と投稿URLをメモする習慣を
  • 青色申告で最大65万円の控除、小規模企業共済で最大84万円の所得控除が使える
  • 12月分の収入は入金日ではなく発生日(12月)で計上する(発生主義)
  • 年間所得600〜800万円超なら法人化を検討するタイミング

インフルエンサーの確定申告は、収入源が多岐にわたるため一般の個人事業主より複雑です。特にPR案件の収入計上や経費のグレーゾーン判定は、プロに相談することで安心して申告できます。

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