【税理士監修】フリーランスの経費一覧|経費にできるもの・できないもの完全ガイド

【税理士監修】フリーランスの経費一覧|経費にできるもの・できないもの完全ガイド
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

フリーランスの経費一覧|経費にできるもの・できないもの完全ガイド

「これは経費にできるの?」と迷うフリーランス・個人事業主の方に向けて、勘定科目20科目の経費一覧表・判断に迷うグレーゾーン10選・家事按分の計算方法・領収書の保管ルールまで、税理士がわかりやすく解説します。この記事を読めば、経費の判断に迷わなくなります。

🏆 結論:「事業に直接関係する支出かどうか」が唯一の判断基準

経費にできるかどうかの判断基準は、所得税法第37条に定められた「事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべき金額は、総収入金額に係る売上原価その他の費用」です。平たく言えば「この支出がなければ売上を上げられなかったか?」がポイントです。プライベートの支出は経費になりませんが、事業とプライベートの両方に関わる支出は「家事按分」で事業使用分のみを経費にできます。

経費の基本ルール|何が経費になるかの判断基準

フリーランスが経費にできるのは、所得税法第37条に基づく「必要経費」です。具体的には以下の2つの要件を両方満たす支出が経費になります。

要件1:事業との関連性がある。その支出が事業の売上を上げるため、または事業を維持するために必要な支出であること。「他人に説明して納得してもらえるか」が実務上の判断基準です。

要件2:支出の事実を証明できる。領収書・レシート・銀行口座の明細など、支出の事実と金額を客観的に証明できる書類があること。

参考: 国税庁「No.2210 やさしい必要経費の知識」

💡 実務のポイント

経費に「上限金額」はありません。売上に対する経費率が高すぎると税務調査で疑われやすくなりますが、正当な事業経費であれば堂々と計上して問題ありません。ただし、売上500万円に対して経費が490万円(経費率98%)のように極端な場合は、税務署から「本当に事業ですか?」と確認が入る可能性があります。

勘定科目別の経費一覧表【20科目】

青色申告決算書に記載されている勘定科目を中心に、フリーランスが使う主要20科目を一覧表にまとめました。

勘定科目 経費にできるもの(具体例) 按分 注意点
租税公課個人事業税、固定資産税、自動車税、印紙税、登録免許税所得税・住民税・相続税は不可
荷造運賃宅配便代、ダンボール・梱包資材、郵便料金事業用の発送のみ
水道光熱費電気代、ガス代、水道代自宅兼事務所は按分が必要
旅費交通費電車代、タクシー代、飛行機代、宿泊費、高速道路料金業務目的のみ。通勤費も該当
通信費インターネット回線、携帯電話料金、切手代、サーバー代私用兼用は使用時間で按分
広告宣伝費Web広告、チラシ印刷、名刺作成、SNS広告全額経費
接待交際費取引先との飲食代、贈答品、手土産相手の名前・目的をメモに記録
損害保険料事務所の火災保険、賠償責任保険、自動車保険(事業用)生命保険は経費不可(所得控除で対応)
修繕費PC修理、事務所の原状回復、機器のメンテナンス資産価値を高める改良は資本的支出
消耗品費文房具、10万円未満のPC周辺機器、ソフトウェア10万円以上は原則減価償却
減価償却費10万円以上のPC、車両、事務機器青色申告なら40万円未満は即時経費化可
福利厚生費従業員への慰安旅行、健康診断(従業員分)事業主本人の分は経費不可
給料賃金従業員への給与、アルバイト代家族は原則不可(専従者給与は別途届出)
外注工賃デザイン外注費、Web制作委託費、業務委託料源泉徴収が必要な場合あり
利子割引料事業用借入金の利息、手形割引料元本返済は経費不可
地代家賃事務所家賃、駐車場代、コワーキングスペース利用料自宅兼事務所は面積で按分
貸倒金回収不能となった売掛金回収不能が確定した年に計上
雑費上記に該当しない少額の事業支出雑費が多すぎると税務調査で疑われやすい
支払手数料振込手数料、クラウドサービス手数料、税理士報酬決算書にない科目は自分で追加可能
新聞図書費事業関連の書籍、新聞、有料メディア購読料趣味の書籍は不可。事業との関連性を記録

「按分」欄の△は、自宅兼事務所など事業とプライベートで兼用する場合に家事按分が必要であることを示しています。

判断に迷うグレーゾーン10選|○△×で判定

「経費にできるかどうか」の判断で最も多い質問がこのグレーゾーンです。実務での経験に基づいて、10項目を判定します。

支出 判定 勘定科目 条件・ポイント
スーツ・ビジネス服消耗品費営業や講演など業務専用と証明できれば可。普段着兼用は困難
健康診断・人間ドック×事業主本人の健康診断は福利厚生費にならない。従業員分は可
カフェでの作業代会議費 or 雑費作業場所として利用する場合は経費可。高額な飲食は不可
スマートフォン代通信費事業専用なら全額可。私用兼用なら使用時間で按分(50〜70%が目安)
自家用車(ガソリン・車検)車両費走行距離で按分。業務用の運転記録(日時・行先・距離)をつけると安全
事業に関する書籍新聞図書費事業に関連する書籍・雑誌は全額可。趣味の本は不可
ゲーム課金研究開発費ゲーム開発・レビュー業務に必要な場合のみ。娯楽目的は不可
一人での食事代×一人の食事は生活費。取引先との飲食なら接待交際費
出張先の観光×出張の交通費・宿泊費は可。出張に付随する観光は不可
ご祝儀・香典接待交際費取引先関係なら可。友人・親族のプライベートは不可。出金伝票で記録

💡 実務のポイント

グレーゾーンの判断で最も重要なのは「税務調査で聞かれたときに、事業との関連性を客観的に説明できるか」です。領収書の裏に「○○社との打ち合わせ」「△△案件の資料」のようにメモを残しておくだけで、後から説明しやすくなります。迷ったら「これは事業に必要ですか?」と自分に問いかけ、「はい」と即答できないものは慎重に判断しましょう。

経費にできないもの一覧【20項目】

経費にできると誤解されやすいものも含め、経費にできないものを一覧にまとめます。

経費にできないもの 理由 代替手段
所得税個人に課される税金
住民税個人に課される税金
国民年金保険料個人の社会保険料社会保険料控除として所得控除
国民健康保険料個人の社会保険料社会保険料控除として所得控除
生命保険料個人の保険契約生命保険料控除として所得控除
事業主本人の健康診断費福利厚生は従業員対象医療費控除の対象になる場合あり
事業主本人のスポーツジム代福利厚生は従業員対象
借入金の元本返済借りたお金を返しているだけ利息部分のみ経費可
家族への給与(届出なし)生計一親族への給与は原則不可青色事業専従者給与の届出
プライベートの食費生活費
プライベートの旅行費生活費
交通違反の罰金・反則金故意の法律違反に対するペナルティ
延滞税・加算税税務上のペナルティ
敷金(返還される部分)資産として扱う退去時に返還されない部分は経費可

特に注意すべきは「国民年金・国民健康保険は経費にならないが、所得控除になる」という点です。経費にならなくても節税効果はあるので、確定申告時に忘れずに所得控除として計上しましょう。所得控除の全体像は「所得控除一覧|15種類の控除と計算方法をわかりやすく解説」をご参照ください。

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家事按分の計算方法|3つの基準

自宅兼事務所のフリーランスにとって最も重要なのが「家事按分」です。プライベートと事業が混在する支出を、合理的な基準で事業使用分のみ経費にする方法です。

按分基準1:面積基準(家賃・固定資産税)

自宅の総面積に対する事業専用スペースの割合で按分します。

🧮 計算例:家賃の按分

家賃10万円、自宅面積60㎡、事業用スペース15㎡の場合
按分率=15㎡÷60㎡=25%
月額経費=10万円×25%=25,000円(年間30万円)

按分基準2:時間基準(水道光熱費・通信費)

1日のうち事業に使用する時間の割合で按分します。

🧮 計算例:電気代の按分

月間電気代1.2万円、1日の稼働時間8時間/在宅時間16時間の場合
按分率=8時間÷16時間=50%
月額経費=1.2万円×50%=6,000円(年間72,000円)

按分基準3:使用回数・走行距離基準(車両費)

車を事業とプライベートで兼用する場合、走行距離の記録から按分します。

🧮 計算例:ガソリン代の按分

年間走行距離12,000km、うち事業用走行距離4,800kmの場合
按分率=4,800km÷12,000km=40%
年間ガソリン代15万円×40%=6万円が経費

⚠️ 注意

白色申告の場合、家事按分で経費にできるのは原則として事業使用が50%を超えるものに限られます。青色申告であれば50%以下でも合理的な按分で経費計上が可能です。この違いは、青色申告を選ぶ大きな理由の1つです。青色申告のメリットは「青色申告と白色申告の違い」で詳しく解説しています。

業種別の経費率目安

「経費率はどれくらいが適正か」はよく聞かれる質問です。業種によって大きく異なりますので、一般的な目安を整理します。

業種 経費率の目安 主な経費科目
ITエンジニア・プログラマー40〜60%通信費、消耗品費(PC)、外注工賃、新聞図書費
デザイナー・クリエイター40〜55%消耗品費(ソフト・機材)、外注工賃、通信費
ライター・編集者30〜50%新聞図書費、通信費、旅費交通費、地代家賃
コンサルタント・士業30〜50%旅費交通費、接待交際費、地代家賃、通信費
飲食店経営60〜80%仕入、給料賃金、地代家賃、水道光熱費

※上記は一般的な目安です。事業内容や経営状況により大きく異なります。

💡 実務のポイント

経費率が同業者の平均を大きく上回ると税務調査の対象になりやすいです。ただし、「経費率が高い=不正」ではありません。開業初年度は設備投資で経費率が高くなるのは自然なことですし、外注比率の高いビジネスモデルでは売上に対する経費率が80%を超えることもあります。大切なのは「説明できること」です。

領収書・レシートの保管ルール

経費を計上するには、支出の事実を証明する書類の保管が必須です。

保管期間

書類の種類 青色申告 白色申告
領収書・請求書7年5年
帳簿(仕訳帳・総勘定元帳)7年7年
契約書・見積書5年5年

領収書がない場合の対処法

電車賃やご祝儀など、領収書が発行されない支出は「出金伝票」を作成して代用できます。出金伝票には、日付・支払先・金額・内容(「○○駅→△△駅 打ち合わせのため」など)を記録します。クレジットカードの利用明細や交通系ICカードの履歴も証拠書類として有効です。

事業所得の計算の全体像については「事業所得とは?計算方法と確定申告の基礎知識」をご参照ください。また、確定申告の手続き全般は「確定申告とは?やり方・必要書類・申告の流れを完全ガイド」で解説しています。

経費計上の失敗事例と対策

失敗事例1:プライベートの飲食代を全額接待交際費にしていた

友人との食事を「情報交換」として接待交際費に計上していたケースです。税務調査で「取引先ですか?事業にどう関係しますか?」と質問され、事業との関連性を説明できず否認されました。

対策:接待交際費の領収書には、必ず「相手の名前(会社名)」と「打ち合わせの内容」をメモしておく。事業に無関係な飲食は計上しない。

失敗事例2:10万円以上のPCを消耗品費で一括計上していた

白色申告なのに25万円のPCを消耗品費として一括経費にしていたケースです。白色申告では10万円以上の資産は減価償却が必要(少額減価償却資産の特例は青色申告のみ)。

対策:10万円以上の資産を購入する前に、青色申告への切り替えを検討する。青色申告なら40万円未満の資産を即時経費化できます。

失敗事例3:家事按分の根拠がなかった

「なんとなく50%」で家賃を按分していたケースです。税務調査で按分の根拠を求められ、間取り図もなく説明できず、経費計上を否認されました。

対策:間取り図を保管し、事業用スペースの面積を測定して記録しておく。通信費は使用時間の記録、車両費は走行距離の記録を残す。

よくある質問(FAQ)

経費にできる金額に上限はありますか?
法律上、経費にできる金額の上限はありません。事業に直接関連する支出であれば、金額に関係なく経費にできます。ただし、売上に対して経費率が極端に高い場合(例:売上500万円に対して経費480万円)は、税務調査で確認される可能性があります。正当な事業経費であれば問題ありません。
レシートでも経費の証拠になりますか?
はい、レシートでも経費の証拠として有効です。レシートには日付・金額・購入先・購入品目が記載されているため、むしろ「お品代」としか書かれていない領収書より情報量が多い場合もあります。ただし、感熱紙のレシートは時間が経つと印字が消えるため、早めにスキャンまたはコピーしておくことをおすすめします。
白色申告でも経費は計上できますか?
はい、白色申告でも経費の計上は可能です。経費にできるものの範囲は青色申告と基本的に同じです。ただし、白色申告では「家事按分は事業使用が50%超の場合のみ」という制限があるほか、少額減価償却資産の特例(40万円未満の即時経費化)は使えません。
カフェでの作業代は経費にできますか?
事業の作業場所としてカフェを利用する場合、コーヒー代は経費にできます。勘定科目は「会議費」または「雑費」が一般的です。ただし、高額な食事代やアルコールは認められにくいです。また、頻度が毎日のように高い場合は「自宅で作業できるのでは?」と疑われる可能性があるため、コワーキングスペースの利用も検討してみてください。
事業主本人の健康診断費は経費にできますか?
残念ながら、事業主本人の健康診断費は経費にできません。福利厚生費は従業員に対する制度であり、事業主自身は対象外です。ただし、医療費控除の対象になる場合はあります。なお、従業員がいる場合、その従業員の健康診断費は福利厚生費として経費にできます。
交通系ICカード(Suica・PASMO)の利用履歴は経費の証拠になりますか?
はい、ICカードの利用履歴は経費の証拠として有効です。ただし、履歴には「事業目的」と「プライベート」の区別がないため、事業用の利用にはメモ(行先・目的)を付けておくと安心です。クラウド会計ソフトとICカードを連携させると自動的に取り込めて便利です。
勘定科目を間違えたらどうなりますか?
勘定科目の分類を間違えても、経費としての計上自体は有効です。たとえば「通信費」にすべきものを「消耗品費」にしても、経費の金額に変わりはないため、税額への影響はありません。ただし、勘定科目を統一せずにバラバラに計上していると、帳簿の信頼性が下がり、税務調査で不利になる可能性があります。
確定申告で経費を計上し忘れた場合、後から修正できますか?
はい、確定申告の期限から5年以内であれば「更正の請求」によって修正できます。経費の計上漏れがあった場合、更正の請求書を提出すれば、払いすぎた税金の還付を受けられます。ただし、手続きに時間がかかるため、確定申告前に経費の漏れがないかチェックしておくのがベストです。
青色申告にすると経費に関してどんなメリットがありますか?
青色申告のメリットとして、経費面では以下の3点が大きいです。(1)家事按分の要件が緩い(50%以下でも按分可能)、(2)少額減価償却資産の特例で40万円未満の資産を即時経費化可能、(3)青色事業専従者給与で家族の給与を全額経費化可能。詳しくは「青色申告と白色申告の違い」をご参照ください。
税理士に確定申告を依頼した場合の費用は経費にできますか?
はい、税理士報酬は「支払手数料」として全額経費にできます。税理士費用の相場は確定申告のみで5〜15万円程度、顧問契約で月額1〜3万円程度です。税理士費用は事業のために必要な支出であり、経費性に疑問の余地はありません。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 経費の判断基準は「事業に直接関係する支出かどうか」の1点
  • 勘定科目は20科目。迷ったら「事業との関連性を説明できるか」で判断
  • グレーゾーン(スーツ・カフェ代・スマホなど)は事業専用の証拠を残すことが重要
  • 家事按分は面積基準・時間基準・走行距離基準の3パターンで計算
  • 白色申告の按分は50%超の事業使用が条件。青色申告なら50%以下でも可
  • 領収書の保管期間は青色7年・白色5年。出金伝票で代用可能
  • 経費率に上限はないが、同業者の平均を大幅に超えると税務調査リスクが高まる

まずは今日できることとして、財布やカバンにたまっている領収書・レシートを月ごとに整理し、会計ソフトに入力しましょう。経費管理は後回しにするほど作業量が膨らみます。月末に30分の経費入力習慣をつけるだけで、確定申告時の負担が劇的に減ります。

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