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雑所得とは?計算方法・申告方法・事業所得との違いをわかりやすく解説
副業収入や年金収入がある方に向けて、雑所得の3つの区分・計算方法・事業所得との違い・確定申告の手順を完全ガイドします。この記事を読めば、自分の収入がどの区分に該当し、どう申告すべきかが明確にわかります。


副業収入や年金収入がある方に向けて、雑所得の3つの区分・計算方法・事業所得との違い・確定申告の手順を完全ガイドします。この記事を読めば、自分の収入がどの区分に該当し、どう申告すべきかが明確にわかります。
🏆 結論:雑所得は「公的年金等」「業務」「その他」の3区分で計算する
雑所得とは、所得税法に定める10種類の所得のうち、他の9種類(給与所得・事業所得など)のいずれにも該当しない所得です。副業の収入・公的年金・暗号資産の売却益・FXの利益などが該当します。3つの区分ごとに計算方法が異なり、事業所得と比べて損益通算や青色申告特別控除が使えないため、税務上の取扱いが不利になるケースがあります。
雑所得とは、所得税法第35条に規定される所得区分で、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得のいずれにも当たらない所得をいいます。いわば「その他の所得」に該当する受け皿的な区分です。
「雑所得は税率が高い」と思われがちですが、それは誤解です。雑所得は他の総合課税対象の所得と合算して税率が決まるため、雑所得だけ税率が高くなるということはありません。ただし、事業所得と比べると節税上のメリット(青色申告特別控除・損益通算・赤字の繰越控除)が使えない点で不利です。
参考: 国税庁「No.1500 雑所得」
雑所得は、以下の3つの区分に分類されます。それぞれ計算方法や書類保存義務が異なるため、まず自分の収入がどの区分に該当するかを確認してください。
| 区分 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| ①公的年金等 | 国民年金法・厚生年金保険法等に基づく年金 | 国民年金・厚生年金・共済年金・確定給付企業年金・確定拠出年金 |
| ②業務に係るもの | 副業収入のうち営利を目的とした継続的なもの | 原稿料・講演料・アフィリエイト収入・ネットオークション・シェアリングエコノミー |
| ③その他 | 上記①②以外の雑所得 | 個人年金保険の年金・非営業用貸金の利子・暗号資産の売却益・還付加算金 |
💡 実務のポイント:「雑所得」と「雑収入」は別物
雑所得と混同しやすい用語に「雑収入」があります。雑収入は、事業所得・不動産所得・山林所得の中で本業に付随する収入(助成金・利子など)を指すもので、所得区分としての「雑所得」とはまったく別の概念です。確定申告書の記入で間違えやすいポイントなので注意してください。
| 収入の種類 | 雑所得 | 区分・補足 |
|---|---|---|
| 国民年金・厚生年金 | ○ | 公的年金等 |
| 確定拠出年金(企業型・iDeCo)の年金受取 | ○ | 公的年金等。一時金受取は退職所得 |
| 個人年金保険の年金 | ○ | その他(公的年金等ではない) |
| 副業の原稿料・講演料 | ○ | 業務。源泉徴収10.21%あり |
| アフィリエイト・広告収入 | ○ | 業務(事業規模なら事業所得の可能性) |
| 暗号資産(仮想通貨)の売却益 | ○ | その他(事業として行う場合は事業所得) |
| 非営業用貸金の利子 | ○ | その他(友人への貸付利子など) |
| 還付加算金 | ○ | その他 |
| FX・先物取引の利益 | ○(分離課税) | 「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税20.315% |
| 副業アルバイトの給与 | × | 給与所得 |
| 本業の事業収入 | × | 事業所得 |
| 不動産の家賃収入 | × | 不動産所得 |
| 株式の売却益(特定口座) | × | 譲渡所得(申告分離課税) |
| 懸賞の賞金・競馬の払戻金 | × | 一時所得(営利目的の継続的購入は雑所得の場合あり) |
| 生命保険の満期保険金(一括受取) | × | 一時所得(年金形式の分割受取は雑所得) |
公的年金等の雑所得 = 収入金額 − 公的年金等控除額
公的年金等控除額は、受給者の年齢(65歳未満/65歳以上)と年金の収入金額に応じて定められています。年金収入のみの方は、経費の計算が不要で、公的年金等控除額を差し引くだけで計算できます。
業務の雑所得 = 総収入金額 − 必要経費
副業で得た収入から、その収入を得るために直接かかった経費を差し引いて計算します。経費の考え方は事業所得と基本的に同じです。
その他の雑所得 = 総収入金額 − 必要経費
暗号資産の売却益や個人年金保険の年金など、①②以外の雑所得はこの区分で計算します。雑所得の合計額は、①〜③の合計です。
| 比較項目 | ①公的年金等 | ②業務 | ③その他 |
|---|---|---|---|
| 計算式 | 収入−公的年金等控除額 | 収入−必要経費 | 収入−必要経費 |
| 経費計上 | 不可(公的年金等控除で代替) | 可能 | 可能 |
| 書類保存義務 | なし | 前々年収入300万超で5年間保存義務 | なし(推奨) |
| 収支内訳書の添付 | 不要 | 前々年収入1000万超で必要 | 不要 |
| 損益通算 | 3区分とも不可(雑所得内の内部通算のみ可能) | ||
| 課税方式 | 総合課税 | 総合課税 | 総合課税(FX等は申告分離課税) |
| 源泉徴収 | あり | 原稿料等は10.21%あり | 種類による |
| 現金主義の特例 | − | 前々年収入300万以下で適用可 | − |
副業の収入が「雑所得」と「事業所得」のどちらに区分されるかは、税務上のメリットに大きな差をもたらします。
| 比較項目 | 事業所得 | 雑所得 |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除 | 最大65万円控除可 | 適用不可 |
| 損益通算 | 可能(給与所得と通算可) | 不可 |
| 赤字の繰越控除 | 3年間繰越可(青色申告の場合) | 不可 |
| 少額減価償却資産の特例 | 30万円未満を一括経費化可 | 10万円未満のみ |
| 専従者給与 | 家族への給与を経費計上可 | 不可 |
| 経費計上 | 可能 | 可能 |
令和4年10月の国税庁通達改正で、事業所得と雑所得の判断基準が整理されました。帳簿書類を保存していれば概ね事業所得と判断されますが、以下のような場合は帳簿があっても雑所得とされる可能性があります。
| 判断要素 | 事業所得に近い | 雑所得に近い |
|---|---|---|
| 帳簿の保存 | 正規の簿記で記帳・保存あり | 帳簿なし→原則雑所得 |
| 収入金額 | 年間300万円超の収入がある | 少額(数十万円程度) |
| 営利性・継続性 | 本業として独立・継続・反復 | お小遣い稼ぎ・単発的 |
| 赤字の連続 | 黒字が出ている実績あり | 赤字が3年以上継続→雑所得の疑い |
青色申告のメリットについて詳しくは「青色申告のメリット」をご覧ください。
📐 シミュレーション前提条件
| 項目 | 雑所得で申告 | 事業所得(青色65万)で申告 |
|---|---|---|
| 副業の所得金額 | 200万円 | 135万円(200万−65万控除) |
| 合計所得金額 | 556万円 | 491万円 |
| 課税所得金額 | 438万円 | 373万円 |
| 所得税額(概算) | 約45万円 | 約32万円 |
| 年間の税額差 | 約13万円の差(住民税含めると約20万円) | |
青色申告特別控除65万円だけで、所得税と住民税を合わせて年間約20万円の差が出ます。副業の規模が大きくなってきたら、事業所得としての申告を検討する価値があります。
令和4年分の確定申告から、業務に係る雑所得について帳簿・書類の保存義務が新設されました。前々年の収入金額に応じて義務の内容が異なります。
| 前々年の業務収入 | 書類保存義務 | 収支内訳書 | 現金主義の特例 |
|---|---|---|---|
| 300万円以下 | なし(推奨) | 不要 | 適用可 |
| 300万円超〜1,000万円以下 | 5年間保存義務あり | 不要 | 不可 |
| 1,000万円超 | 5年間保存義務あり | 添付必要 | 不可 |
💡 実務のポイント:帳簿保存は事業所得化への布石にもなる
雑所得でも帳簿を付けておくと、将来的に事業所得として申告する際の実績証明になります。副業の規模が拡大してきたら、帳簿を正規の簿記で付け始めることをおすすめします。令和4年の通達改正で「帳簿書類の保存があれば概ね事業所得」とされているため、帳簿の有無が事業所得と雑所得の分水嶺になっています。
雑所得の最大の弱点は「損益通算ができない」ことです。雑所得の計算で赤字が出ても、給与所得や事業所得から差し引くことはできません。
| 損失の取扱い | 可否 | 具体例 |
|---|---|---|
| 雑所得内の内部通算 | 可能 | 暗号資産の赤字と副業の黒字を相殺可 |
| 他の所得との損益通算 | 不可 | 雑所得の赤字を給与所得から差引不可 |
| 翌年への繰越控除 | 不可 | 当年の赤字を翌年以降に繰越不可 |
ただし、FX・先物取引の「先物取引に係る雑所得等」は例外で、同じ申告分離課税の先物取引との損益通算が可能で、赤字の3年間繰越控除も認められています。同じ雑所得でもFX等は取扱いが異なる点に注意してください。
雑所得がある場合の確定申告の手順を解説します。確定申告の基礎は「確定申告の基礎知識」をご参照ください。副業の確定申告全般については「副業の確定申告」でも詳しく解説しています。
| 申告書の欄 | 記入内容 |
|---|---|
| 第二表「雑所得(公的年金等以外)に関する事項」 | 収入金額・必要経費・差引金額を記入 |
| 第二表「公的年金等に関する事項」 | 年金の種類・収入金額を記入 |
| 第一表「雑」欄 | 公的年金等の雑所得+その他の雑所得の合計を記入 |
e-Taxの確定申告書作成コーナーを使えば、雑所得の区分を選んで金額を入力するだけで自動計算されます。
年金受給者には「確定申告不要制度」があり、以下の両方を満たす場合は確定申告が不要です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 条件① | 公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ全額が源泉徴収の対象 |
| 条件② | 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下 |
ただし、医療費控除やふるさと納税の寄附金控除を受けるには確定申告が必要です。「所得控除一覧」もあわせてご確認ください。
FX(外国為替証拠金取引)・先物取引・オプション取引で得た利益は「先物取引に係る雑所得等」として、通常の雑所得とは別に申告分離課税(税率20.315%)で計算します。
| 比較項目 | 通常の雑所得 | 先物取引に係る雑所得等 |
|---|---|---|
| 課税方式 | 総合課税(5%〜45%) | 申告分離課税(一律20.315%) |
| 損益通算 | 雑所得内の内部通算のみ | 同じ申告分離の先物取引間で通算可 |
| 繰越控除 | 不可 | 3年間繰越控除可 |
| 確定申告書 | 第一表・第二表 | 第一表・第二表・第三表(分離課税用) |
⚠️ 暗号資産(仮想通貨)はFXとは別の取扱い
暗号資産の売却益は「先物取引に係る雑所得等」には該当せず、通常の雑所得(総合課税)として扱われます。FXと暗号資産の利益を損益通算することはできません。暗号資産の税務は現在見直しが議論されていますが、現行制度では総合課税(最高税率45%+住民税10%)が適用されます。
雑所得であっても消費税の課税事業者になる場合があります。消費税の判定は所得税法の所得区分とは別の基準(消費税法)で行われるため、「雑所得だから消費税は関係ない」という認識は誤りです。
具体的には、副業の課税売上高が基準期間(前々年)で1,000万円を超える場合、またはインボイス登録をしている場合は、消費税の申告・納付義務が発生します。この義務は所得区分が事業所得でも雑所得でも同じです。
📋 この記事のポイント
雑所得の申告で最も多い相談は「事業所得との区分がわからない」「帳簿を付けていないが事業所得にできないか」というものです。区分を間違えると税務調査で否認されるリスクがあるため、判断に迷ったら早めにご相談ください。年末調整のしくみは「【税理士×社労士が解説】年末調整とは?しくみ・対象者・手続きの流れを完全ガイド」もあわせてご確認いただくと、給与所得との関係がより理解できます。
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