【税理士監修】債券(国債・社債)の利子・譲渡益の税金|特定公社債と一般公社債の課税方法

【税理士監修】債券(国債・社債)の利子・譲渡益の税金|特定公社債と一般公社債の課税方法
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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債券(国債・社債)の利子・譲渡益の税金|特定公社債と一般公社債の課税方法

「国債や社債の利子にいくら税金がかかるのか知りたい」「債券の売却益は確定申告が必要?」という投資家の方に向けて、特定公社債と一般公社債の分類基準・課税方法・損益通算のルールを完全ガイドします。この記事を読めば、自分の債券がどのカテゴリに該当し、どう確定申告すべきかを判断できます。

🏆 結論:特定公社債なら株式と同じ20.315%で損益通算も可能

債券の税金は「特定公社債」と「一般公社債」のどちらに該当するかで大きく異なります。国債・地方債・公募社債・外国国債などの特定公社債は、利子・譲渡益・償還差益のすべてが20.315%の申告分離課税で、上場株式等との損益通算も可能です。一方、同族会社の私募社債などの一般公社債は、利子が源泉分離課税で損益通算ができません。まず「自分の債券がどちらに該当するか」を確認することが、税金対策の第一歩です。

債券投資で生じる3つの利益と税金の基本

債券投資で税金の対象となる利益は、大きく分けて3種類あります。

利益の種類 内容 所得区分
利子(利金・クーポン)定期的に受け取る利息利子所得
譲渡益(売却益)満期前に市場で売却した利益譲渡所得等
償還差益額面金額と取得価額の差額(割引債など)譲渡所得等とみなす

この3つの利益それぞれについて、「特定公社債」か「一般公社債」かで課税方法が異なります。2016年(平成28年)の税制改正で金融所得課税が一体化され、特定公社債は上場株式等と同じグループに組み入れられました。

💡 実務のポイント

債券の税金で最も多い質問は「利子に税金がかかっているのは知っているが、売却益にも確定申告が必要なのか」というものです。結論から言えば、特定公社債を特定口座(源泉徴収あり)で保有していれば確定申告不要で完結します。ただし、他の口座の株式等で損失がある場合は、確定申告して損益通算すると税金が戻る可能性があります。

特定公社債と一般公社債の分類基準

特定公社債に該当するもの

「特定公社債」とは、おおまかに言えば不特定多数の投資家が証券会社等を通じて購入できる公社債です。税法上は「上場株式等」のグループに含まれます。

具体的には以下のものが特定公社債に該当します。

区分 具体例
国債個人向け国債、利付国庫債券
地方債都道府県債、市区町村債
外国国債・外国地方債米国債、ドイツ国債、豪州国債など
公募公社債上場社債、一般に募集された社債
上場公社債金融商品取引所に上場されている社債
その他公募公社債投資信託、新株予約権付社債(CB)、EB債(他社株転換可能債)、平成27年12月31日以前に発行された一定の公社債

一般公社債に該当するもの

「一般公社債」は、特定公社債に該当しないものすべてです。典型的には以下の公社債が該当します。

区分 具体例
私募社債少人数私募債、適格機関投資家私募債
同族会社発行の社債同族会社が株主・役員等向けに発行した社債
私募公社債投資信託適格機関投資家向け私募のMMFなど

あなたの債券はどちら? 8種類の分類判定表

自分の保有する債券が特定公社債と一般公社債のどちらに該当するか、以下の判定表で確認できます。

債券の種類 特定公社債 一般公社債 損益通算 特定口座
日本国債(個人向け含む)
地方債
外国国債(米国債など)
公募社債(上場社債)
EB債(他社株転換可能債)
少人数私募債✗(利子)
同族会社の社債(株主等向け)✗(利子)
私募公社債投資信託✗(利子)

※一般公社債の譲渡損益・償還差損益は申告分離課税の対象で、一般株式等グループ内では損益通算可能です。ただし特定公社債・上場株式等との損益通算はできません。

特定公社債の課税方法【利子・譲渡益・償還差益】

利子の課税方法

特定公社債の利子は20.315%(所得税15.315%+住民税5%)で源泉徴収されます。支払時に自動的に天引きされるため、この段階で原則として申告不要です。

ただし、確定申告を行い申告分離課税を選択することもできます。申告分離課税を選択するメリットは、上場株式等の譲渡損失と損益通算できる点です。なお、特定公社債の利子は総合課税を選択することはできません。このため配当控除(株式の配当に適用される税額控除)の適用もありません。

譲渡益(売却益)の課税方法

特定公社債を満期前に市場で売却して得た利益は、上場株式等に係る譲渡所得等として20.315%の申告分離課税の対象です。特定口座(源泉徴収あり)であれば確定申告は不要です。

償還差益の課税方法

特定公社債が満期を迎えた場合の償還差益(額面金額−取得価額)も、譲渡所得等とみなされ、譲渡益と同じ20.315%の申告分離課税が適用されます。

📊 公認会計士の視点

特定公社債のメリットは「利子・売却益・償還差益のすべてが同じ20.315%で、かつ上場株式等と損益通算できる」という点に集約されます。2016年の税制改正以前は、公社債の利子は源泉分離課税で他の所得と通算できず、償還差益は雑所得として総合課税の対象でした。改正により債券と株式のポートフォリオ全体で税金を最適化しやすくなっています。

一般公社債の課税方法【利子・譲渡益・償還差益】

利子の課税方法

一般公社債の利子は、原則として20.315%の源泉分離課税です。支払時に源泉徴収されて課税が完結し、確定申告に含めることはできません。このため、他の株式等の損益との通算もできません。

ただし例外があります。同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の役員等が受け取るものは総合課税の対象です。この場合は確定申告が必要で、他の所得と合算して累進税率が適用されます。

譲渡益・償還差益の課税方法

一般公社債の譲渡益・償還差益は、一般株式等に係る譲渡所得等として20.315%の申告分離課税の対象です。ただし、一般株式等グループ内でのみ損益通算が可能で、特定公社債や上場株式等との損益通算はできません。

⚠️ 注意:同族会社の社債に関する2021年度改正

令和3年度(2021年度)税制改正により、総合課税の対象となる「同族会社の社債利子」の範囲が拡大されました。従来は同族会社の「役員等」が受け取る利子のみでしたが、改正後は同族会社の判定の基礎となる株主である法人と特殊な関係にある個人およびその親族等も対象となります。2021年4月1日以後に受け取る利子から適用されています。

特定公社債と一般公社債の課税方法を完全比較

2つの区分の違いを、利子・譲渡益・償還差益の3項目で比較します。

比較項目 特定公社債 一般公社債
利子の課税方法申告分離課税(20.315%)または申告不要源泉分離課税(20.315%)※同族会社社債は総合課税
譲渡益の課税方法申告分離課税(20.315%)申告分離課税(20.315%)
償還差益の課税方法申告分離課税(20.315%)申告分離課税(20.315%)※同族会社社債は雑所得で総合課税
利子の損益通算○ 上場株式等の損失と通算可能✗ 源泉分離で完結(通算不可)
譲渡損失の損益通算○ 上場株式等グループ内で通算可能△ 一般株式等グループ内のみ通算可能
繰越控除(3年間)○ 可能✗ 不可
特定口座での管理○ 可能✗ 不可

最大の違いは損益通算と繰越控除の可否です。特定公社債であれば上場株式等の損失と通算でき、さらに損失の翌年以後3年間の繰越控除も利用できます。一般公社債の利子は源泉分離課税で課税が完結するため、たとえ株式で大きな損失が出ていても通算できません。

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損益通算のしくみとシミュレーション

損益通算できる組み合わせ

特定公社債は税法上「上場株式等」に含まれるため、以下の所得と損益通算が可能です。

利益が出ている所得 損失が出ている所得 通算
特定公社債の利子上場株式の譲渡損失
上場株式の配当特定公社債の譲渡損失
特定公社債の償還差益上場株式の譲渡損失
一般公社債の利子上場株式の譲渡損失
特定公社債の利子一般公社債の譲渡損失

具体的なシミュレーション

📐 シミュレーション前提条件

  • 国債の利子収入:年間50万円(特定公社債)
  • 上場株式の譲渡損失:△80万円
  • 公募社債の譲渡益:20万円(特定公社債)
区分 確定申告しない場合 確定申告して損益通算した場合
国債利子に対する税金101,575円(源泉徴収済み)0円(損益通算で相殺)
社債譲渡益に対する税金40,630円0円(損益通算で相殺)
上場株式の損失活用できず△10万円を翌年に繰越
合計税負担142,205円0円(+繰越10万円)

確定申告して損益通算することで、源泉徴収された約14.2万円の税金が還付されます。さらに通算しきれなかった10万円の損失は翌年以後3年間繰り越せます。

株式の損益通算と繰越控除の手続きの詳細は、「株式の譲渡損失と配当所得の損益通算・繰越控除のやり方」で解説しています。

同族会社が発行した社債の利子の課税

総合課税の対象となるケース

一般公社債の利子は原則として源泉分離課税ですが、例外として同族会社が発行した社債の利子で一定の株主等が受け取るものは総合課税の対象です。

受取人 課税方法 適用時期
同族会社の役員等(株主・その親族等)総合課税従来から
同族会社の判定基礎となる法人と特殊関係にある個人・その親族等総合課税2021年4月1日以後
上記以外の一般公社債の利子源泉分離課税

「特殊な関係にある個人」とは、その法人の発行済株式等の50%超を保有する個人等を指します。例えば、同族会社の親会社の個人オーナーが子会社の社債利子を受け取る場合、2021年4月以降は総合課税の対象となります。

💡 実務のポイント

中小企業の経営者が自社の少人数私募債を保有しているケースは少なくありません。この場合、利子は総合課税で他の所得と合算されるため、役員報酬との合計で最高税率帯に入ってしまうことがあります。同族会社の資金調達方法として社債を検討する際は、役員等が引き受けるかどうかで税負担が大きく変わることを理解しておく必要があります。

非課税となる利子の種類

以下の利子は非課税で、所得税がかかりません。

非課税となる利子 根拠
障害者等の少額預金の利子(マル優)所得税法第10条、元本350万円まで
障害者等の少額公債の利子(特別マル優)租税特別措置法第4条、額面350万円まで
NISA口座内で保有する公社債投資信託の分配金租税特別措置法第9条の8
納税準備預金の利子(納税のために引き出す場合)所得税法第9条
勤労者財産形成住宅貯蓄・年金貯蓄の利子(財形)勤労者財産形成促進法

障害者手帳をお持ちの方やその遺族年金受給者等は、マル優と特別マル優を合わせて合計700万円まで利子が非課税になります。

外貨建て債券の為替差損益の取扱い

利子・売却・償還時それぞれの為替差損益

外貨建て債券では、利子の受取時・売却時・償還時に為替差損益が発生します。この為替差損益の取扱いは場面によって異なります。

場面 為替差損益の取扱い
利子の受取利子所得に含まれる(円換算額で計算)
途中売却為替差損益を含めた円換算額の譲渡損益として申告分離課税
満期償還為替差損益を含めた円換算額の償還差損益として申告分離課税
外貨のまま保有為替差損益は認識しない(円転時に雑所得として認識)

特定口座で管理されている外貨建て債券の場合、証券会社が自動的に円換算して損益を計算するため、投資家が自分で為替レートを確認する手間は基本的に不要です。ただし、償還金を外貨のまま保有する場合は注意が必要です。

割引債の課税方法

割引債とは

割引債(ディスカウント債、ゼロクーポン債)とは、利子の代わりに額面金額より低い価格で発行される債券です。額面金額と発行価格の差額(発行差金)が実質的な利息に相当します。

発行時期による課税の違い

発行時期 売却益 償還差益
2016年1月1日以後発行20.315%の申告分離課税20.315%の申告分離課税(一般口座はみなし割引率で源泉徴収あり)
2015年12月31日以前発行(発行時源泉徴収済み)非課税発行時の源泉分離課税で完結

2016年の税制改正前に発行された割引債で発行時に源泉徴収が行われたものは、償還時の課税は発行時の源泉徴収で完結しています。ただし、一般口座で管理されている割引債は償還時にみなし割引率で別途源泉徴収が行われる場合があります。

なお、投資信託の税金については「投資信託・ETFの税金と確定申告|分配金・売却益の取扱い」で詳しく解説しています。

確定申告の手順と判断基準

確定申告が必要なケース・不要なケース

ケース 確定申告 理由
特定口座(源泉徴収あり)で利子・売却益を受取不要口座内で自動完結
上場株式等で損失があり、特定公社債の利子と通算したい必要損益通算は確定申告が必要
前年からの繰越損失と通算したい必要繰越控除は確定申告が必要
一般口座で特定公社債を売却した必要源泉徴収されない
同族会社の社債利子を受け取った(役員等)必要総合課税の対象

💡 実務のポイント

特定口座の源泉徴収ありで管理していると確定申告は不要ですが、「申告しなくてもよい」と「申告しない方が得」は別です。他の口座で損失がある場合や、前年からの繰越損失がある場合は、あえて確定申告することで源泉徴収された税金が戻ってきます。毎年1月に届く「特定口座年間取引報告書」を確認し、損益通算の余地がないかチェックする習慣をつけてください。

確定申告の基本的な手順や控除の全体像については、「確定申告の基礎知識」や「所得控除の一覧と適用条件」も参考になります。

ストリップス債(分離元本公社債・分離利子公社債)の課税

ストリップス債のしくみと課税

ストリップス債とは、利付国債を元本部分と利子部分に分離して、それぞれ独立の債券として取引するものです。分離された元本部分を「分離元本公社債」、利子部分を「分離利子公社債」と呼びます。

いずれも特定公社債に該当し、課税方法は通常の割引債と同様です。取得価額と償還金額(元本は額面金額、利子は利子相当額)の差額が譲渡所得等として20.315%の申告分離課税の対象となります。

よくある質問(FAQ)

個人向け国債の利子に税金はかかりますか?
かかります。個人向け国債は特定公社債に該当し、利子に対して20.315%(所得税15.315%+住民税5%)が源泉徴収されます。ただし、確定申告で申告分離課税を選択すれば、上場株式等の譲渡損失と損益通算できます。
外国国債(米国債など)の利子の税金はどうなりますか?
外国国債は特定公社債に該当するため、国内の証券口座で管理されていれば、利子に20.315%が源泉徴収されます。現地国でも源泉税が課される場合は二重課税となるため、外国税額控除の適用により調整できます。確定申告で外国税額控除を申告してください。
特定公社債の利子で配当控除は使えますか?
使えません。配当控除は株式の配当所得に対して適用される制度で、公社債の利子には適用がありません。特定公社債の利子は申告分離課税のみ選択でき、総合課税を選ぶこともできないため、配当控除の対象外です。
社債の売却損は上場株式の配当と損益通算できますか?
その社債が特定公社債(公募社債・上場社債など)であれば、上場株式等の配当と損益通算できます。ただし一般公社債(私募社債など)の損失は、一般株式等グループ内でのみ通算可能で、上場株式等の配当とは通算できません。
同族会社の少人数私募債を保有しています。利子はどう申告しますか?
同族会社が発行した社債の利子で、その同族会社の役員等や一定の関連個人が受け取るものは総合課税の対象です。給与所得や事業所得と合算して確定申告する必要があります。源泉分離課税では完結しません。
特定口座で公社債を管理するメリットは何ですか?
特定口座(源泉徴収あり)で管理すると、利子の源泉徴収・譲渡益の税金計算・損益通算が口座内で自動的に行われます。確定申告が不要になるほか、年間取引報告書が発行されるため税務処理が大幅に簡便化されます。特定公社債のみ対象で、一般公社債は特定口座に入れられません。
債券の利子を受け取った場合の源泉徴収票はもらえますか?
特定口座で管理している場合は「特定口座年間取引報告書」に利子の金額と源泉徴収税額が記載されます。一般口座の場合は「利子等の支払調書」が税務署に提出されますが、投資家本人への交付義務はないため、証券会社に取引明細を確認する必要があります。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 債券は「特定公社債」と「一般公社債」に分類され、課税方法が大きく異なる
  • 特定公社債(国債・地方債・外国国債・公募社債等)は利子・譲渡益・償還差益すべてが20.315%の申告分離課税
  • 特定公社債は上場株式等と損益通算が可能で、損失の3年間繰越控除も利用できる
  • 一般公社債の利子は源泉分離課税で他の所得と通算できない
  • 同族会社の社債利子は総合課税の対象(2021年度改正で範囲拡大)
  • 特定口座(源泉徴収あり)で管理すれば確定申告不要。ただし損益通算を活用するなら確定申告が有利
  • 外貨建て債券の為替差損益は、売却・償還時の円換算額に含めて計算される

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