【税理士監修】上場株式の配当金の課税方法|総合課税・申告分離・源泉徴収の有利判定

【税理士監修】上場株式の配当金の課税方法|総合課税・申告分離・源泉徴収の有利判定
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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上場株式の配当金の課税方法|総合課税・申告分離・源泉徴収の有利判定

「配当金の確定申告はしたほうがいいの?」とお悩みの個人投資家に向けて、3つの課税方法の違いと課税所得別の有利判定を完全ガイドします。この記事を読めば、自分にとって最も税負担が軽い課税方式を選択できます。

🏆 結論:課税所得695万円以下なら総合課税、それ以上なら申告不要が基本

令和5年分の確定申告から所得税と住民税の課税方式が統一されました。その結果、総合課税で配当控除を受けたほうが有利になるのは、課税所得金額が695万円以下の場合です。ただし、株式の譲渡損失がある場合は申告分離課税を選んだほうが有利なケースもあります。また、総合課税で申告すると国民健康保険料や扶養控除の判定にも影響するため、税額だけで判断してはいけません。

配当金にかかる3つの課税方法とは

上場株式の配当金を受け取ると、支払いの際に所得税15.315%(復興特別所得税を含む)と住民税5%、合計20.315%が源泉徴収されます。この源泉徴収だけで課税を完結させることもできますが、確定申告をすることで税負担を軽くできる場合があります。

配当金の課税方法は、次の3つから選択できます。

課税方法 概要 配当控除 損益通算 合計所得金額への算入
①申告不要(源泉徴収のみ)源泉徴収20.315%で完結。確定申告不要××算入されない
②総合課税他の所得と合算し、累進税率で課税×算入される
③申告分離課税他の所得と分離し、税率20.315%で課税×算入される

※確定申告をする場合は、申告する上場株式等の配当等の全額について、総合課税か申告分離課税のいずれかを選択する必要があります(一部だけ総合課税、残りは申告分離課税、という選択はできません)。

💡 実務のポイント

実務で投資家の方から相談を受ける際、最も多い誤解が「申告不要=非課税」というものです。申告不要制度は非課税ではなく、源泉徴収で納税が完結する仕組みです。すでに20.315%の税金は支払っているため、確定申告で取り戻せるケースがないか確認する価値があります。

【令和5年分~】所得税と住民税の課税方式が統一された影響

令和4年度の税制改正により、令和5年分の所得税(令和6年度の住民税)から、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することができなくなりました。

改正前と改正後の違い

項目 改正前(令和4年分まで) 改正後(令和5年分から)
課税方式の選択所得税と住民税で別の方式を選択可能所得税と住民税で同一の方式に統一
最も有利な組み合わせ所得税:総合課税、住民税:申告不要(課税所得900万円以下で有利)総合課税は所得税・住民税ともに適用(課税所得695万円以下で有利)
住民税への影響住民税で申告不要を選べば合計所得金額に影響なし総合課税・申告分離で申告すると合計所得金額に算入
国民健康保険料住民税で申告不要なら保険料に影響なし総合課税・申告分離で申告すると保険料が上がる可能性

⚠️ 注意:課税方式の変更不可

確定申告で総合課税を選択した後に、修正申告や更正の請求で申告分離課税に変更することはできません。逆の変更も不可です。一度選択した課税方式は確定となるため、申告前に有利判定を慎重に行ってください。

改正の実務的な影響

この改正で最も影響が大きいのは、国民健康保険に加入している個人事業主や年金受給者です。改正前は「所得税で総合課税、住民税で申告不要」を選ぶことで、配当控除の恩恵を受けながら保険料への影響を避けられました。しかし、現在はこの手法が使えなくなったため、配当控除で節税できる金額と、国民健康保険料の増加額を比較する必要があります。

実務では、配当金が年50万円以上ある国民健康保険加入者の場合、総合課税を選んで配当控除を受けても、保険料の増加で差し引きマイナスになるケースを頻繁に目にします。必ず「税額+保険料」のトータルで比較してください。

配当控除のしくみと控除率

配当控除とは、法人税と所得税の二重課税を調整するための制度です。企業の利益にはまず法人税が課され、その後の配当金に再び所得税が課されるため、この二重課税を緩和する目的で設けられています。配当控除は、総合課税を選択した場合にのみ適用されます。

配当控除率一覧

配当等の種類 所得税(課税所得1,000万円以下) 所得税(1,000万円超の部分) 住民税(1,000万円以下) 住民税(1,000万円超の部分)
株式の配当金10%5%2.8%1.4%
証券投資信託の収益分配金5%2.5%1.4%0.7%

配当控除の対象・対象外の判定表

配当等の種類 配当控除 備考
国内上場株式の配当金控除率10%(課税所得1,000万円以下)
国内非上場株式の配当金総合課税のみ(申告分離課税は選択不可)
国内公募株式投資信託の分配金(普通分配金)控除率5%(証券投資信託として扱い)
国内上場ETF(日本株)の分配金外貨建資産割合等による制限あり
外国株式の配当金×外国税額控除の対象になりうる
J-REIT(不動産投資信託)の分配金×法人税が課税されていないため対象外
外貨建等証券投資信託(外貨建資産・非株式75%超)×外貨建資産割合と非株式割合がともに75%超の場合
NISA口座で受け取った配当金非課税のため配当控除の対象外(そもそも申告不要)

参考: 国税庁「No.1250 配当所得があるとき(配当控除)」

課税所得別の有利判定シミュレーション

結論から言えば、課税方式の統一後は課税所得金額695万円以下なら総合課税が有利、それ以上なら申告不要が基本です。ただし、配当金の金額や他の控除状況によって結果は変わるため、以下のシミュレーションで確認してください。

📐 シミュレーション前提条件

  • 配当金は国内上場株式の配当金(配当控除率:所得税10%、住民税2.8%)
  • 復興特別所得税(2.1%)を含む
  • 所得税と住民税は同一の課税方式を選択(令和5年分以降のルール)
  • 国民健康保険料等の影響は含んでいない(後述で別途計算)

課税所得帯別の実質税率比較

課税所得金額 所得税率 総合課税の実質税率(税率−配当控除+住民税) 申告不要の税率 判定
195万円以下5%約7.2%(所得税0%+復興0%+住民税7.2%)20.315%総合課税が有利
195万円超〜330万円以下10%約7.2%20.315%総合課税が有利
330万円超〜695万円以下20%約17.4%20.315%総合課税が有利
695万円超〜900万円以下23%約20.5%20.315%申告不要が有利
900万円超〜1,000万円以下33%約30.6%20.315%申告不要が有利
1,000万円超33%〜45%約35.6%〜20.315%申告不要が有利

※総合課税の実質税率 = (所得税率 − 配当控除10%)× 1.021 + (住民税率10% − 配当控除2.8%)。所得税率が10%以下の場合、配当控除で所得税はゼロになります(マイナスにはなりません)。

配当金額別の節税額シミュレーション

📐 シミュレーション前提条件

  • 給与所得のみの会社員(社会保険加入、国民健康保険の影響なし)
  • 配当金は国内上場株式の配当金のみ
  • 株式の譲渡損失なし
課税所得 配当金30万円の場合 配当金100万円の場合 配当金300万円の場合
300万円約▲3.9万円約▲13.1万円約▲39.3万円
500万円約▲0.9万円約▲2.9万円約▲8.7万円
695万円約▲0.9万円約▲2.9万円約▲8.7万円
800万円約+0.1万円約+0.2万円約+0.6万円
1,000万円約+3.1万円約+10.3万円約+30.9万円

※▲はマイナス=節税額。+はプラス=増税額。申告不要と比較した総合課税の税額差。概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

配当についてさらに詳しくは「株式投資の税金|譲渡益・配当金にかかる税金と確定申告のやり方」で全体像を解説しています。

あなたはどの課税方式を選ぶべき?判断フローチャート

以下のフローチャートで、自分に最適な課税方式を判断できます。上から順に質問に答えてください。

ステップ 質問 はい いいえ
NISA口座のみで運用していますか?→ 申告不要(非課税)→ ②へ
上場株式等の譲渡損失がありますか?→ 申告分離課税(損益通算)→ ③へ
課税所得金額は695万円以下ですか?→ ④へ→ 申告不要
国民健康保険に加入していますか?→ ⑤へ→ 総合課税が有利
配当控除の節税額 > 保険料の増加額ですか?→ 総合課税が有利→ 申告不要

💡 実務のポイント

フローチャートのステップ②で「はい」と答えた場合でも、譲渡損失の金額が小さく、課税所得が330万円以下であれば、総合課税を選んで配当控除を受けたほうが結果的に有利になるケースがあります。損益通算のメリットと配当控除のメリットを具体的な数字で比較してください。

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申告すると国民健康保険料はどう変わる?「隠れコスト」の計算方法

課税方式の統一後、最も見落とされやすいのが国民健康保険料への影響です。総合課税または申告分離課税で配当金を申告すると、その金額が住民税上の合計所得金額に算入され、国民健康保険料の計算の基礎に含まれます。

国民健康保険料の増加額シミュレーション

📐 シミュレーション前提条件

  • 東京都特別区(23区)の保険料率を使用
  • 40歳以上65歳未満(介護保険料を含む)
  • 所得割率:約11%(医療+後期+介護の合計概算)
申告する配当金額 保険料増加額(年額概算) 配当控除の節税額(課税所得300万円の場合) 差し引き
30万円約3.3万円約3.9万円+0.6万円
100万円約11万円約13.1万円+2.1万円
300万円約33万円約39.3万円+6.3万円

※概算値です。保険料率は自治体により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

この例では課税所得300万円の場合、配当控除のメリットが保険料の増加を上回っています。しかし、課税所得が695万円に近づくと配当控除のメリットが小さくなる一方、保険料の増加額は変わらないため、差し引きがマイナスに転じるケースが出てきます。

申告が合計所得金額に影響する主な場面

国民健康保険料以外にも、配当金の申告は以下の場面に影響します。

影響を受ける制度 合計所得金額の基準 影響の内容
配偶者控除・配偶者特別控除配偶者の合計所得48万円超で減額配偶者が配当を申告すると控除額が減少・消失する可能性
扶養控除扶養親族の合計所得48万円超で対象外扶養親族が配当を申告すると扶養控除の対象から外れる可能性
住民税の非課税判定合計所得45万円以下等非課税世帯から外れ、各種給付の対象外になる可能性
後期高齢者医療保険料所得に応じて保険料増加75歳以上の方は保険料と医療費の自己負担割合に影響
介護保険料所得段階に応じた保険料65歳以上の方は保険料段階が上がる可能性

⚠️ 年金受給者・専業主婦の方は特に注意

年金受給者の方が配当金を総合課税で申告すると、後期高齢者医療保険料の増加や医療費の自己負担割合が上がる可能性があります。また、専業主婦の方が配偶者控除の範囲内(合計所得48万円以下)で配当を申告不要としているケースでは、総合課税に切り替えると控除が減額される場合があります。税額だけでなく、社会保険料・各種控除への影響を必ず確認してください。

申告分離課税を選ぶべきケース:譲渡損失との損益通算

上場株式等の譲渡損失がある場合は、申告分離課税を選択することで、配当所得と譲渡損失を相殺(損益通算)できます。総合課税では損益通算ができないため、この場合は申告分離課税が有利です。

損益通算の具体例

🧮 シミュレーション

前提:配当金100万円、株式譲渡損失▲80万円

申告不要の場合:
配当金の税額 = 100万円 × 20.315% = 203,150円
譲渡損失は繰り越せるが、配当金とは通算されない

申告分離課税の場合:
損益通算後の配当所得 = 100万円 − 80万円 = 20万円
税額 = 20万円 × 20.315% = 40,630円
源泉徴収との差額 = 203,150円 − 40,630円 = 162,520円が還付

さらに、損益通算をしても控除しきれない譲渡損失は、翌年以降3年間繰り越すことができます。繰越控除の適用を受けるには、損失が生じた年から連続して確定申告書を提出する必要があります。詳しくは「株式の譲渡損失と配当所得の損益通算・繰越控除のやり方」をご覧ください。

参考: 国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」

大口株主の判定基準と課税上の制限

発行済株式等の総数等に対する保有割合が3%以上の株主を「大口株主等」といいます。大口株主が受け取る上場株式の配当金は、申告分離課税と申告不要制度を選択できず、総合課税で申告しなければなりません。

大口株主の判定基準

判定項目 内容
持株割合の基準発行済株式等の総数等の3%以上
判定時期配当等の支払に係る基準日
同族会社判定(令和5年10月〜)本人+本人を判定基礎とした場合に同族会社に該当する法人の保有分を合算して3%以上の場合、大口株主等と同様の扱い
源泉徴収税率所得税20.42%(住民税の特別徴収なし)
非上場株式の配当大口株主かどうかに関係なく総合課税(申告分離課税は選択不可)

💡 実務のポイント

中小企業のオーナー経営者で、自社が上場している場合は大口株主に該当するケースが多く、配当金は総合課税で申告する義務があります。令和5年10月以降は同族会社判定が追加されたため、本人の持株割合が3%未満でも、関連する法人を含めると3%以上になるケースがあります。心当たりのある方は税理士にご相談ください。

源泉徴収のしくみと確定申告書の記載方法

配当金の源泉徴収の流れ

上場株式の配当金は、支払いの際に証券会社や株式の発行会社が所得税15.315%と住民税5%を天引き(源泉徴収)します。特定口座(源泉徴収あり)で受け取っている場合は、この源泉徴収で納税が完了するため、原則として確定申告は不要です。

確定申告する場合の手順

確定申告する場合の手順は、次の5ステップです。

  1. 年間取引報告書を準備する — 証券会社から1月中旬頃に届く「特定口座年間取引報告書」に、配当金の支払金額と源泉徴収税額が記載されています
  2. 課税方式を選択する — 上記の有利判定フローチャートを参考に、総合課税か申告分離課税を選択します
  3. 確定申告書を作成する — 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、配当所得の欄に金額を入力し、課税方式を選択します
  4. 配当控除の適用を確認する — 総合課税を選択した場合、配当控除の金額が自動計算されます
  5. 提出・還付を受ける — e-Taxまたは税務署に提出。還付がある場合は通常1〜2ヶ月で指定口座に振り込まれます

確定申告の基本的な流れは「確定申告の基礎知識」で詳しく解説しています。

参考: 国税庁「No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)」

配当所得の計算方法と必要経費

配当所得の金額は、次の計算式で求めます。

📐 配当所得の計算式

配当所得 = 収入金額(配当金の額面)− 株式等を取得するための借入金の利子

配当所得の計算で控除できる経費は、株式等を取得するために要した借入金の利子のみです。売買手数料や情報収集費用は配当所得の経費にはなりません(売買手数料は譲渡所得の取得費に算入します)。

経費になるもの・ならないものの判定表

費用の種類 配当所得の経費 備考
株式取得のための借入金利子信用取引の買方金利を含む
売買手数料×譲渡所得の取得費・譲渡費用に算入
投資情報サービス利用料×家事費として控除不可
口座管理料×控除不可

外国株式の配当金と外国税額控除

米国株など外国株式の配当金は、現地で源泉徴収された後、日本でも課税されるため二重課税が発生します。この二重課税を調整する制度が「外国税額控除」です。

外国株の配当金の課税の流れ

段階 内容 米国株の場合の税率
①現地課税配当金の支払い時に現地で源泉徴収10%(租税条約適用後)
②日本の課税現地課税後の金額に日本の源泉徴収20.315%
③合計の税負担二重課税で実質約28%の負担約28.3%

外国税額控除の適用を受けるには確定申告が必要です。総合課税・申告分離課税のいずれを選択しても外国税額控除は適用できますが、外国株式の配当金には配当控除が適用されないため、この点を考慮して課税方式を選択してください。

💡 実務のポイント

米国株の配当金を受け取っている方の多くが外国税額控除の申告をしていないケースを見かけます。年間の外国税額が数万円以上ある場合は、確定申告して外国税額控除を受けることで、実質的な税負担を軽減できます。NISA口座内の外国株式の配当金は日本での課税は非課税ですが、現地の源泉徴収は差し引かれるため、外国税額控除の適用は受けられません。

所得控除全般については「所得控除の一覧」もご参照ください。

特定口座の源泉徴収ありを活用した自動損益通算

特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、証券会社が口座内の配当金と譲渡損失を年末に自動的に損益通算してくれます。この場合、確定申告をしなくても損益通算が行われるため、手間がかかりません。

口座内の自動損益通算と確定申告による損益通算の違い

項目 口座内の自動損益通算 確定申告による損益通算
対象範囲同一口座内のみ異なる証券会社の口座間でも通算可能
繰越控除不可翌年以降3年間繰り越し可能
確定申告不要必要
合計所得金額への影響なしあり(合計所得金額に算入)

複数の証券会社に口座がある場合や、翌年以降に損失を繰り越したい場合は、確定申告が必要です。年末調整の基本は「【税理士×社労士が解説】年末調整とは?しくみ・対象者・手続きの流れを完全ガイド」でも解説しています。

よくある質問(FAQ)

配当金を確定申告しないとペナルティはありますか?
特定口座(源泉徴収あり)で受け取った上場株式の配当金は、源泉徴収で納税が完了するため、確定申告をしなくてもペナルティはありません。ただし、一般口座や特定口座(源泉徴収なし)で受け取った配当金については、原則として確定申告が必要です。申告義務があるのに申告しなかった場合は、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。
総合課税で申告した配当金は、後から申告不要に変更できますか?
確定申告書を提出した後は、修正申告や更正の請求によって課税方式を変更することはできません。総合課税から申告分離課税への変更も、その逆も不可です。申告前に有利判定を慎重に行い、必要に応じて税理士に相談してください。
配当金の金額が少ない場合でも確定申告したほうがいいですか?
課税所得が695万円以下で、会社の社会保険に加入している方(国民健康保険でない方)であれば、少額の配当金でも総合課税で申告することで還付を受けられる可能性があります。例えば、課税所得300万円の方が配当金10万円を総合課税で申告すると、約1.3万円の還付が見込めます。ただし、確定申告の手間や合計所得金額への影響を考慮して判断してください。
特定口座を複数持っている場合、それぞれ異なる課税方式を選べますか?
確定申告で申告する上場株式等の配当等は、その全額について総合課税と申告分離課税のいずれかを選択する必要があります。A証券は総合課税、B証券は申告分離課税、という選択はできません。ただし、一部の口座の配当金を申告不要として申告対象から除外し、残りの口座の配当金だけを総合課税で申告することは可能です。
投資信託の分配金も配当控除の対象になりますか?
国内の公募株式投資信託の普通分配金は配当控除の対象ですが、控除率は株式の配当金(10%)の半分の5%です。また、外貨建資産割合と非株式割合がともに75%超の外貨建等証券投資信託、J-REIT、外国株式のETFの分配金は配当控除の対象外です。投資信託の種類によって配当控除の適用可否が異なるため、目論見書や運用報告書で確認してください。
令和5年分より前に所得税と住民税で異なる課税方式を選択していた場合、繰越控除はどうなりますか?
令和5年分(住民税は令和6年度)以降は、所得税と住民税の課税方式が統一されたため、過去に異なる課税方式を選択していた場合の繰越損失の取扱いに注意が必要です。令和6年度以降の住民税では、所得税における譲渡損失の繰越控除の適用額が適用されます。過去に住民税のみで繰越控除を受けていた金額は、令和6年度以降の住民税では引き継がれない場合があります。
配当金を受け取る際の受取方法によって課税に違いはありますか?
上場株式の配当金の受取方法には「株式数比例配分方式」「登録配当金受領口座方式」「個別銘柄指定方式」「配当金領収証方式」の4種類があります。特定口座内で配当金と譲渡損失の自動損益通算を行うには「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。他の方式では口座内の自動損益通算ができないため、損益通算をするには確定申告が必要になります。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 上場株式の配当金には「申告不要」「総合課税」「申告分離課税」の3つの課税方法がある
  • 令和5年分から所得税と住民税の課税方式が統一され、課税所得695万円以下で総合課税が有利
  • 配当控除は国内上場株式の配当金(控除率10%)が対象。外国株式やJ-REITは対象外
  • 株式の譲渡損失がある場合は申告分離課税で損益通算が有利
  • 国民健康保険加入者は「税額の節税+保険料の増加」のトータルで判断すること
  • 申告すると合計所得金額に算入され、扶養控除・配偶者控除・保険料に影響する
  • 一度選択した課税方式は変更不可。申告前に必ずシミュレーションを行うこと

配当金の課税方式は、課税所得・配当金額・社会保険の種類・他の所得控除の状況によって最適な選択肢が異なります。特に、課税所得が695万円前後の方や、国民健康保険に加入している方は、税額だけでなく社会保険料への影響も含めて総合的に判断することが重要です。

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