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譲渡した株式の取得費の計算方法|同一銘柄を複数回購入した場合
「同じ銘柄の株を何回かに分けて買ったけど、売るときの取得費はどう計算する?」とお悩みの方に向けて、総平均法に準ずる方法による取得費の計算方法を具体例で完全ガイドします。この記事を読めば、複数回購入した株式の取得費を正確に計算できるようになります。


「同じ銘柄の株を何回かに分けて買ったけど、売るときの取得費はどう計算する?」とお悩みの方に向けて、総平均法に準ずる方法による取得費の計算方法を具体例で完全ガイドします。この記事を読めば、複数回購入した株式の取得費を正確に計算できるようになります。
🏆 結論:同一銘柄を複数回購入した場合は「総平均法に準ずる方法」で計算する
同一銘柄の株式を2回以上に分けて購入し、その一部を売却した場合、取得費は「総平均法に準ずる方法」で1株あたりの単価を算出して計算します。特定口座なら証券会社が自動計算してくれますが、一般口座や確定申告時には自分で計算する必要があります。
株式の取得費の計算は、全部で5ステップです。「何が取得費に含まれるか」を確認し、「総平均法に準ずる方法」で1株あたりの単価を計算し、「売却株数」を掛けて取得費を算出します。
株式の譲渡所得は、売却価額から「取得費」と「譲渡費用(売却手数料等)」を差し引いて計算します。取得費が大きいほど譲渡益は小さくなり、税金も少なくなります。したがって、取得費を正確に計算することは節税の第一歩です。
株式投資の税金の全体像については、「株式投資の税金|譲渡益・配当金にかかる税金と確定申告のやり方」で詳しく解説しています。
取得費(取得価額)は、株式の購入代金だけではありません。取得にかかった付随費用も含まれます。
| 費用の項目 | 取得費に含まれるか | 備考 |
|---|---|---|
| 株式の購入代金 | ○ | 約定単価×株数 |
| 購入時の売買委託手数料 | ○ | 証券会社に支払う手数料 |
| 手数料にかかる消費税 | ○ | 手数料の10% |
| 名義書換料(非上場株式) | ○ | 取得のために支出した費用 |
| 売却時の売買委託手数料 | ×(譲渡費用) | 取得費ではなく譲渡費用に該当 |
| 株式保管料・口座管理料 | × | 保有中のランニングコスト |
| 投資情報サービスの利用料 | × | 取得に直接要した費用ではない |
| 借入金の利子 | × | 株式の場合は取得費に不算入 |
同一銘柄の株式を2回以上に分けて購入し、その一部を売却した場合、取得費は「総平均法に準ずる方法」で算出した1株あたりの金額を基に計算します(所得税法施行令第118条第1項)。
💡 計算式
1株あたりの取得費 =(A + B)÷(C + D)
A:最初の購入(または直前の売却時)の購入価額の総額
B:Aの後から今回の売却時までの購入価額の総額
C:Aに係る株式の総数
D:Bに係る株式の総数
取得費 = 1株あたりの取得費 × 売却株数
※1株あたりの金額に1円未満の端数が出たときは切り上げ
総平均法に準ずる方法の重要なポイントは、株式を売却するたびに1株あたりの単価が再計算される点です。1回目の売却後に追加購入があれば、2回目の売却時には「1回目の売却後の残りの単価 × 残り株数 + 追加購入分」で再平均します。
実務で最もよくあるパターンを、時系列の5ステップで計算してみましょう。
📐 シミュレーション前提条件(X社株式)
まだ売却はないので、ここでは取得費の計算は不要です。保有状況を整理します。
| 時点 | 株数 | 購入代金合計 |
|---|---|---|
| ①4月購入 | 1,000株 | 800,000円 |
| ②7月追加購入 | 500株 | 450,000円 |
| 売却前の合計 | 1,500株 | 1,250,000円 |
ここで総平均法に準ずる方法で1株あたりの取得費を計算します。
| 計算ステップ | 金額 |
|---|---|
| 購入代金合計(A+B) | 1,250,000円 |
| 購入株数合計(C+D) | 1,500株 |
| 1株あたりの取得費 | 833.33…円 → 834円(切上げ) |
| 売却600株の取得費 | 834円×600株=500,400円 |
| 売却代金 | 660,000円 |
| 譲渡益 | 159,600円 |
1回目の売却後、残りは900株(1,500株−600株)。この900株の取得費の「繰越額」は834円×900株=750,600円です。
1回目の売却後に400株を追加購入しているので、2回目の売却時に再平均します。
| 計算ステップ | 金額 |
|---|---|
| 前回売却後の繰越額(A) | 750,600円(834円×900株) |
| 追加購入分(B) | 380,000円(950円×400株) |
| 合計金額(A+B) | 1,130,600円 |
| 合計株数(900+400) | 1,300株 |
| 1株あたりの取得費 | 869.69…円 → 870円(切上げ) |
| 売却500株の取得費 | 870円×500株=435,000円 |
| 売却代金 | 600,000円 |
| 譲渡益 | 165,000円 |
参考: 国税庁「No.1466 同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合の取得費」
💡 実務のポイント
1円未満の端数の「切り上げ」を見落とすと、わずかですが取得費が過小計算になります。年間100社以上の確定申告を担当してきた経験上、端数処理のミスは意外に多いです。「切り上げ」は納税者有利のルールなので、忘れずに適用しましょう。
AYUSAWA PARTNERS
株式の取得費計算・確定申告のご相談は鮎澤パートナーズへ
初回相談無料。税理士が複雑な取得費の計算から確定申告書の作成まで丁寧にサポートします。
鮎澤パートナーズに相談する同一銘柄の株式を特定口座と一般口座の両方で保有している場合、税務上はそれぞれ別の銘柄として取得費を計算します。特定口座の取得費と一般口座の取得費を合算して総平均を取ることはできません。
これは東京地裁令和4年2月24日判決でも確認された取扱いであり、特定口座制度が口座ごとに譲渡損益を区分して計算する仕組みであることが根拠です。
⚠️ 注意:複数の証券会社の一般口座は合算する
特定口座と一般口座は「別銘柄扱い」ですが、複数の証券会社の一般口座同士は合算して取得費を計算します。A証券の一般口座で500株、B証券の一般口座で300株を保有している場合、両方の購入代金を合計して総平均を取ります。
特定口座では証券会社が自動的に総平均法に準ずる方法で取得費を計算し、年間取引報告書に記載してくれます。投資家が自分で計算する必要はありません。ただし、同日に同一銘柄の売買があった場合は、常に「買い」が「売り」より先にあったものとして処理されます。
株式の取得費は、購入時の金額がそのまま使えない場合があります。主なケースを整理しました。
| イベント | 取得費の取扱い | 計算例 |
|---|---|---|
| 株式分割(1→2) | 1株あたりの取得費が半分になる | 1,000円/株→500円/株(株数は2倍) |
| 株式併合(2→1) | 1株あたりの取得費が2倍になる | 500円/株→1,000円/株(株数は半分) |
| 相続(通常の相続) | 被相続人の取得費を引き継ぐ | 被相続人が500円で購入→取得費は500円 |
| 贈与 | 贈与者の取得費を引き継ぐ | 贈与者が800円で購入→取得費は800円 |
| 合併(課税繰延べ) | 旧株式の取得費を合併比率で按分 | 合併比率に応じて1株あたりの取得費を調整 |
💡 実務のポイント
相続で取得した株式を売却する場合、被相続人の取得費がわからないケースが非常に多いです。実務では、被相続人が使っていた証券会社に連絡して取引報告書の再発行を依頼するのが第一の対処法です。それでも判明しない場合は、売却代金の5%が取得費(概算取得費)として認められますが、税負担が大きくなるため最終手段と考えてください。
⚠️ 概算取得費5%の影響は大きい
たとえば株式を300万円で売却した場合、取得費が不明だと概算取得費は15万円(300万円×5%)になります。仮に実際の購入代金が200万円だったとすれば、取得費が不明なだけで譲渡益が100万円から285万円に膨れ上がり、税額は約37.6万円増えます。取引報告書は必ず保管してください。
信用取引で反対売買により決済した場合は、「総平均法に準ずる方法」は適用されません。信用取引は建玉ごとに個別に損益が計算されるため、それぞれの建玉の約定単価がそのまま取得費になります。
ただし、信用取引で取得した株式を現引き(現物株として受け取ること)した場合は、その後の現物株の取得費に含まれ、他の購入分と合わせて総平均法に準ずる方法で計算されます。
離婚に伴う財産分与として株式を配偶者に渡した場合、渡した側(分与した側)には譲渡所得が課税されます(所得税法第33条)。この場合の取得費は、もともとの購入価額です。分与時の時価が売却価額となります。
一方、財産分与で株式を受け取った側は、分与時の時価が取得費となります。将来その株式を売却する際にはこの時価を基に計算します。
📋 この記事のポイント
取得費の計算は、特定口座を利用していれば証券会社が自動的に行ってくれます。しかし、一般口座を利用している場合や、相続で取得した株式、株式分割・合併があった場合などは、自分で正確に計算する必要があります。計算に不安がある場合は、取引報告書を持参のうえ税理士に相談されることをおすすめします。
確定申告の基本的な手順については、「確定申告の基本と手続きの流れ」で詳しく解説しています。
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