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退職金の源泉徴収|計算方法と「退職所得の受給に関する申告書」の取扱い
従業員や役員に退職金を支給する際の源泉徴収の計算方法でお困りの経理担当者に向けて、退職所得控除額の算出から税額計算までを5ステップで完全ガイドします。この記事を読めば、申告書の有無による税額差や3つの退職手当区分の判定方法がわかります。


従業員や役員に退職金を支給する際の源泉徴収の計算方法でお困りの経理担当者に向けて、退職所得控除額の算出から税額計算までを5ステップで完全ガイドします。この記事を読めば、申告書の有無による税額差や3つの退職手当区分の判定方法がわかります。
🏆 結論:退職金の源泉徴収で押さえるべき3つのポイント
❶「退職所得の受給に関する申告書」の提出があれば退職所得控除と1/2課税が適用され、税額が大幅に下がる。未提出なら一律20.42%が源泉徴収される。❷退職手当等は「一般」「短期(勤続5年以下の従業員)」「特定役員(勤続5年以下の役員等)」の3区分で計算方法が異なる。❸同じ退職金1,000万円・勤続20年でも、申告書の有無で源泉税額に約180万円の差が生じる。申告書の回収漏れは実務で最も多いミスのひとつ。
退職金にかかる税金は、給与所得や事業所得とは合算せず、退職所得だけで独立して計算します。これを「分離課税」といいます。長年の勤務に対する報償としてまとめて受け取る性質があるため、他の所得と合算して累進税率が適用されると税負担が過大になってしまうことを防ぐためです。
所得税法第30条の規定により、退職所得の計算では退職所得控除が認められ、控除後の金額はさらに1/2に圧縮されます。給与所得と比べて大幅に税負担が軽減される仕組みです。
退職金を受け取る人が「退職所得の受給に関する申告書」を支払者に提出しているかどうかで、源泉徴収の方法がまったく異なります。
| 項目 | 申告書あり | 申告書なし |
|---|---|---|
| 退職所得控除 | 適用あり | 適用なし |
| 1/2課税 | 適用あり(一般退職手当等の場合) | 適用なし |
| 源泉徴収税率 | 退職所得に応じた超過累進税率 | 退職金額面×20.42%(一律) |
| 確定申告 | 原則不要(他に控除がなければ) | 還付を受けるには確定申告が必要 |
| 住民税 | 退職所得に対して10%を特別徴収 | 退職金額面×10%を特別徴収 |
⚠️ 注意
申告書の提出がないまま退職金を支給すると、額面に対して一律20.42%の所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。退職金1,000万円なら約204万円が天引きされ、本来の税額との差額を取り戻すには本人が確定申告をする必要があります。経理担当者は、退職金を支給する前に必ず申告書の回収を確認してください。
退職金の源泉徴収額の計算は、全部で5ステップです。「退職所得の受給に関する申告書」が提出されている場合の計算手順を順番に見ていきましょう。
退職金の支払いの基因となった勤務期間を確認し、勤続年数を計算します。勤続年数に1年未満の端数がある場合は、たとえ1日であっても切り上げて1年として扱います。たとえば、勤続10年3か月なら勤続年数は「11年」です。
なお、障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、後述の退職所得控除額に100万円が加算されます。
| 勤続年数 | 退職所得控除額の計算式 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(80万円未満の場合は80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年) |
たとえば勤続25年なら、800万円 + 70万円 ×(25年 − 20年)= 1,150万円が退職所得控除額です。
退職手当等は「一般退職手当等」「短期退職手当等」「特定役員退職手当等」の3つに区分されます。区分によって課税退職所得金額の計算方法が異なります。詳細は後述の「一般・短期・特定役員の3区分の判定方法」のセクションで解説します。
一般退職手当等の場合、課税退職所得金額は次の算式で求めます。
📐 計算式
課税退職所得金額 =(退職金の額面 − 退職所得控除額)× 1/2
※1,000円未満の端数は切り捨て
ステップ4で求めた課税退職所得金額を「退職所得の源泉徴収税額の速算表」に当てはめ、所得税額を計算します。さらに所得税額の2.1%が復興特別所得税として上乗せされます。
| 課税退職所得金額(A) | 税率 | 控除額 | 税額の算式 |
|---|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 | A×5%×102.1% |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 | (A×10%−97,500)×102.1% |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 | (A×20%−427,500)×102.1% |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 | (A×23%−636,000)×102.1% |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 | (A×33%−1,536,000)×102.1% |
| 1,800万円超〜4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 | (A×40%−2,796,000)×102.1% |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 | (A×45%−4,796,000)×102.1% |
参考: 国税庁「No.2732 退職手当等に対する源泉徴収」
💡 実務のポイント
実務では、退職金の支給額が退職所得控除額以下であれば源泉徴収税額はゼロになります。勤続20年で退職所得控除が800万円のケースなら、退職金が800万円以下であれば所得税はかかりません。「退職金を出すけど税金はかからない」という結果になるケースは中小企業では珍しくありません。ただし、申告書の提出がなければ額面×20.42%が強制的に天引きされますので、控除額以下だからといって申告書を省略してはいけません。
📐 シミュレーション前提条件
ステップ1:勤続年数 = 25年
ステップ2:退職所得控除額 = 800万円 + 70万円 ×(25年 − 20年)= 1,150万円
ステップ3:一般退職手当等に該当(勤続5年超の従業員)
ステップ4:課税退職所得金額 =(2,000万円 − 1,150万円)× 1/2 = 425万円
ステップ5:所得税額 =(425万円 × 20% − 427,500円)× 102.1% = 431,382円(1円未満切捨て)
住民税は課税退職所得金額425万円 × 10% = 425,000円です。
退職金2,000万円のうち、所得税等431,382円と住民税425,000円の合計856,382円を差し引いた約1,914万円が手取り額になります。
一方、申告書の提出がない場合は、2,000万円 × 20.42% = 4,084,000円が源泉徴収されます。本来の所得税等との差額(約365万円)を取り戻すには、本人が翌年以降に確定申告をする必要があります。
退職金の額と勤続年数の組み合わせによって、「退職所得の受給に関する申告書」の提出あり・なしでどれだけ税額に差が出るかを確認しましょう。以下は所得税および復興特別所得税の金額です。
| 退職金 | 勤続年数 | 申告書あり | 申告書なし | 差額 |
|---|---|---|---|---|
| 500万円 | 10年 | 25,525円 | 1,021,000円 | 995,475円 |
| 500万円 | 20年 | 0円 | 1,021,000円 | 1,021,000円 |
| 1,000万円 | 10年 | 158,393円 | 2,042,000円 | 1,883,607円 |
| 1,000万円 | 20年 | 51,050円 | 2,042,000円 | 1,990,950円 |
| 1,000万円 | 30年 | 0円 | 2,042,000円 | 2,042,000円 |
| 2,000万円 | 10年 | 1,103,652円 | 4,084,000円 | 2,980,348円 |
| 2,000万円 | 20年 | 431,382円 | 4,084,000円 | 3,652,618円 |
| 2,000万円 | 30年 | 51,050円 | 4,084,000円 | 4,032,950円 |
| 3,000万円 | 10年 | 2,685,682円 | 6,126,000円 | 3,440,318円 |
| 3,000万円 | 20年 | 1,479,112円 | 6,126,000円 | 4,646,888円 |
| 3,000万円 | 30年 | 431,382円 | 6,126,000円 | 5,694,618円 |
※一般退職手当等に該当する前提。住民税は含まず。概算値であり個別の状況により異なります。
💡 実務のポイント
実務で最も多いのは「退職する従業員に申告書の提出を案内し忘れた」というケースです。退職日が突然決まった場合や、退職者との連絡が取りにくい場合に起きやすく、結果として本人が確定申告で還付を受けるまで数十万〜数百万円の過大源泉徴収が発生します。退職が決まったら、退職金計算と同時に申告書の回収を経理チェックリストに組み込むことをおすすめします。
退職手当等は3つの区分に分類され、それぞれ課税退職所得金額の計算方法が異なります。判定の最大のポイントは「勤続年数が5年以下かどうか」と「役員等かどうか」です。
| 区分 | 対象者 | 1/2課税 | 300万円超ルール | 課税退職所得金額の計算式 |
|---|---|---|---|---|
| 一般退職手当等 | 勤続5年超の従業員・役員 | 全額に適用 | − | (収入−控除額)× 1/2 |
| 短期退職手当等 | 勤続5年以下の従業員(役員等以外) | 300万円以下の部分のみ | 300万円超の部分は1/2なし | 300万円以下:(収入−控除額)× 1/2 300万円超:150万円 +(収入 − 300万円 − 控除額) |
| 特定役員退職手当等 | 勤続5年以下の役員等 | 適用なし | − | 収入 − 控除額(1/2なし) |
| 判定ステップ | 質問 | はい | いいえ |
|---|---|---|---|
| ① | 勤続年数は5年を超えるか? | → 一般退職手当等 | → ②へ |
| ② | 退職者は役員等(取締役・監査役・国会議員・公務員等)か? | → 特定役員退職手当等 | → 短期退職手当等 |
⚠️ 注意
「使用人兼務役員」の期間がある場合は、役員等勤続年数と一般勤続年数が重複します。この場合、退職所得控除額の計算で「重複勤続年数」を考慮した調整計算が必要になります。国税庁のNo.2737およびNo.2741で具体的な計算例が公開されていますので、該当する場合は必ず確認してください。
令和4年1月1日以降に支給される退職手当等から、勤続5年以下の従業員に対する「短期退職手当等」の課税方法が変更されました。退職所得控除後の金額が300万円を超える部分には、1/2課税が適用されません。
📐 シミュレーション前提条件
控除後金額 = 400万円 − 160万円 = 240万円 ≦ 300万円なので、一般退職手当等と同じ計算です。
課税退職所得金額 = 240万円 × 1/2 = 120万円
所得税等 = 120万円 × 5% × 102.1% = 61,260円
📐 シミュレーション前提条件
控除後金額 = 1,000万円 − 160万円 = 840万円 > 300万円なので、300万円超ルールが適用されます。
課税退職所得金額 = 150万円 +(1,000万円 − 300万円 − 160万円)= 690万円
所得税等 =(690万円 × 20% − 427,500円)× 102.1% = 972,313円
もし一般退職手当等として計算した場合は、(840万円 × 1/2 = 420万円)に対する税額は約42万円です。短期退職手当等に該当すると税額が倍以上になる点は、経理担当者が見落としやすいポイントです。
退職所得控除額や1/2課税の基本的なしくみについては、「所得控除の一覧と適用条件」も参考になります。
勤続5年以下の役員等が受け取る退職金は「特定役員退職手当等」に分類され、1/2課税が一切適用されません。退職所得控除後の全額が課税退職所得金額となります。
📐 シミュレーション前提条件
課税退職所得金額 = 600万円 − 160万円 = 440万円(1/2適用なし)
所得税等 =(440万円 × 20% − 427,500円)× 102.1% = 461,565円
仮に1/2課税が適用される一般退職手当等であれば、課税退職所得金額は220万円となり、税額は約12.5万円です。特定役員退職手当等に該当すると税負担が約3.7倍に増える計算です。
使用人として10年勤務した後、役員として4年勤務して退職するケースでは、退職金のうち役員部分が特定役員退職手当等、使用人部分が一般退職手当等として分けて計算されます。重複勤続年数がある場合は退職所得控除額の調整計算が必要です。
参考: 国税庁「No.2741 同じ年に一般退職手当等のほか短期退職手当等や特定役員退職手当等がある場合」
法人成りした会社が従業員に退職金を支給する際、法人化する前の個人事業主時代の勤務期間を退職金の計算基礎に含めるケースがあります。この場合、個人事業主時代の期間も勤続年数に通算できます。
所得税法施行令第69条第1項第3号の規定により、「退職手当等の支払金額の計算の基礎に含まれる期間」は、前の使用者の下での勤務期間であっても勤続年数に算入されます。つまり、退職給与規程などで「個人事業時代の勤務期間を含む」と定めていれば、その期間も勤続年数にカウントされ、退職所得控除額が大きくなります。
🧮 シミュレーション
個人事業を8年営んだ後に法人化し、従業員Aさんが個人事業時代から通算15年勤務して退職する場合。退職金規程で「個人事業時代の勤務期間を含む」と定めていれば、勤続年数は15年となり、退職所得控除額は40万円 × 15年 = 600万円です。一方、通算しなければ法人化後の7年分(280万円)しか控除を受けられません。差額は320万円となり、課税退職所得金額に大きな影響を与えます。
💡 実務のポイント
法人成りしたクライアントから「個人事業時代の期間は退職金に含められるのか」という相談を受けることは少なくありません。ポイントは退職給与規程に「個人事業当時の勤務期間を通算する」旨を明記しておくことです。規程がなければ税務調査で否認されるリスクがあります。法人成りのタイミングで退職給与規程を整備しておくことが重要です。
法人成りの手続き全般については、「【税理士×社労士が解説】年末調整とは?しくみ・対象者・手続きの流れを完全ガイド」の中でも源泉徴収との関連で触れています。
「退職所得の受給に関する申告書」に、過去に他社から受け取った退職金の情報を記載しないまま提出してしまった場合、退職所得控除額の計算が誤ったまま源泉徴収が行われる可能性があります。
前年以前4年以内に他の会社から退職金を受け取っている場合は、その退職金に係る勤続期間と今回の勤続期間の重複期間分の退職所得控除額を差し引く必要があります。この記載を漏らすと、退職所得控除額が過大に計算され、結果として源泉徴収税額が過少になります。
申告書の記載漏れが判明した場合の対処方法は次のとおりです。
| ステップ | 対応内容 | 留意点 |
|---|---|---|
| 1 | 退職者に連絡し、正しい情報(前の退職金の支給額・勤続期間)を入手する | 前の会社から受け取った「退職所得の源泉徴収票」の写しを提供してもらう |
| 2 | 正しい退職所得控除額で源泉徴収税額を再計算する | 重複期間分の控除額の調整を忘れない |
| 3 | 不足税額を翌月の源泉所得税と一緒に納付する。源泉徴収票も訂正して交付する | 退職者が確定申告で精算する方法もあるが、支払者が是正するのが原則 |
💡 実務のポイント
この論点で税務調査において指摘されるケースは意外に多くあります。特に転職が多い従業員が退職する際に、過去の退職金受給歴を正しく申告書に記載していないと、退職所得控除額の「重複期間調整」が漏れたまま源泉徴収が行われます。退職金の支給額が大きい場合、不足税額も大きくなるため、申告書の受領時に「前年以前4年以内に他社から退職金を受け取ったことがありますか?」と必ず確認する運用を推奨します。
退職金にかかる住民税は、所得税と同じ課税退職所得金額に対して一律10%(都道府県民税4% + 市区町村民税6%)を乗じて計算します。退職所得控除や1/2課税は所得税と同じ金額が適用されます。
たとえば、先ほどの計算例(勤続25年・退職金2,000万円)では、課税退職所得金額425万円 × 10% = 425,000円が住民税です。
退職金にかかる住民税は、退職金の支給時に支払者が「特別徴収」として天引きし、翌月の10日までに退職者の1月1日現在の住所地の市区町村に納付します。退職日が年の途中であっても、翌年まで持ち越すことはありません。退職した年に課税・徴収が完結する点が、給与にかかる住民税とは異なります。
💡 実務のポイント
3月31日付で定年退職する従業員の場合、4月分と5月分の給与にかかる住民税(未徴収分)を退職金から一括徴収するケースがあります。退職金にかかる住民税と、給与にかかる未徴収住民税を混同しないように、「退職所得に対する住民税」と「給与所得に対する住民税の一括徴収」を明確に分けて処理してください。
退職金の支給は頻繁に発生する業務ではないため、手順を体系的にまとめておくことが重要です。以下は、退職金を支給する際に経理担当者が確認すべき項目を時系列で整理したものです。
| 順序 | タイミング | チェック項目 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 1 | 退職日決定時 | 「退職所得の受給に関する申告書」を退職者に配布・回収 | 退職金の支給日までに回収。過去4年以内の他社退職金の有無を確認 |
| 2 | 退職日決定時 | 勤続年数の確認 | 入社日〜退職日で計算。1年未満の端数は切上げ。個人事業時代の通算有無も確認 |
| 3 | 退職日決定時 | 退職手当等の区分判定(一般/短期/特定役員) | 勤続5年以下かつ役員等 → 特定役員。勤続5年以下かつ非役員 → 短期。その他 → 一般 |
| 4 | 支給前 | 退職所得控除額の計算と源泉徴収税額の計算 | 速算表の年分を確認(退職所得の帰属する年分のもの) |
| 5 | 支給前 | 住民税の特別徴収額を計算 | 課税退職所得金額 × 10%。1月1日時点の住所地を確認 |
| 6 | 支給日 | 退職金から所得税等・住民税を控除して支給 | 給与の未徴収住民税(一括徴収)がある場合は別途控除 |
| 7 | 翌月10日まで | 所得税等の納付(e-Taxまたは金融機関) | 納期の特例を適用している場合でも退職所得は原則翌月10日 |
| 8 | 退職日から1か月以内 | 「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」を退職者に交付 | 法人の役員に対する退職金は税務署・市区町村にも提出義務あり |
源泉徴収義務者の全体像については、「源泉徴収義務者とは?個人事業主も対象になるケースと手続き」で詳しく解説しています。
退職金を一括ではなく、2回〜3回に分けて支給するケースがあります。この場合でも、退職金の総額をベースに源泉徴収税額を計算し、各回の支給時に按分して徴収します。
具体的には、退職金の総額から計算した源泉徴収税額を、各回の支給額に応じて按分します。1回目の支給時に総額ベースで計算した税額の按分額を徴収し、2回目以降も同様に処理します。
⚠️ 注意
退職金の分割支給と年金形式の受取りは別の概念です。年金形式で受け取る場合は「雑所得」として総合課税の対象になり、退職所得としての優遇措置(分離課税・1/2課税)は適用されません。退職金制度の設計段階で、一括受取りと年金受取りの税務上の違いを把握しておくことが重要です。
| 間違いパターン | 影響 | 対処法 |
|---|---|---|
| 申告書を回収せずに20.42%で源泉徴収 | 税額が過大 | 退職者が確定申告で還付を受ける。または支払者が申告書を事後回収し、正しい税額で再計算して差額を還付 |
| 短期退職手当等の300万円超ルールを見落とし | 税額が過少 | 不足税額を速やかに計算し、翌月の源泉所得税と一緒に納付。源泉徴収票も訂正交付 |
| 勤続年数の端数を切り捨てた | 控除額が過小→税額が過大 | 正しい勤続年数(端数切上げ)で再計算。過大徴収分は退職者に還付 |
| 他社退職金の重複期間調整を忘れた | 控除額が過大→税額が過少 | 前述の「是正の3ステップ」で対処 |
| 死亡退職金に所得税を源泉徴収してしまった | 源泉徴収不要なのに徴収 | 死亡退職金は相続税の課税対象であり所得税の対象外。過大徴収分を遺族に還付 |
💡 実務のポイント
税務調査で退職金の源泉徴収が問題になるのは、多くの場合「特定役員退職手当等」の判定漏れか、「過去4年以内の退職金受給の未申告」のいずれかです。特に中小企業のオーナー経営者が5年以内に役員を退任するケースでは、特定役員退職手当等に該当するかどうかの判定を見落としやすいので注意してください。
確定申告の基本的な流れについては、「確定申告の基礎知識」で詳しく解説しています。
📋 この記事のポイント
退職金の支給は頻繁に発生する業務ではないからこそ、手順を見直すタイミングが限られます。本記事のチェックリストを活用して、申告書の回収から税額計算、源泉徴収票の交付まで漏れなく対応してください。