【税理士監修】所得の種類は10種類|区分のあらましと課税方法を一覧表で解説

監
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。
所得の種類は10種類|区分のあらましと課税方法を一覧表で解説
「副業の収入はどの所得に該当する?」「株の利益と給料では税金の計算が違うの?」と疑問をお持ちの方に向けて、所得税法で定められた10種類の所得区分を横比較表付きで完全ガイドします。この記事を読めば、自分の収入がどの所得に該当し、どう申告すればよいかを判断できます。
🏆 結論:所得は10種類に分かれ、それぞれ計算方法と課税方式が異なる
所得税法では所得を利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑の10種類に分類しています。課税方法は「総合課税」と「分離課税」の2つがあり、同じ100万円の収入でも所得の種類によって税額が大きく変わります。自分の収入がどの所得に該当するかを正確に判定することが、正しい確定申告の第一歩です。
所得の種類は10種類|所得税法の基本ルール
所得税法では、個人が得るすべての収入を、その性質に応じて10種類に分類しています(所得税法第23条〜第35条)。この分類によって、必要経費の範囲・税率・確定申告の方法がそれぞれ異なります。
ひとことで言えば、「収入の種類によって税金のルールが変わる」のが所得税の基本的なしくみです。会社員の給料と株の売買益では、まったく別のルールで税額が計算されます。
💡 実務のポイント
年間300件以上の確定申告を支援していると、「副業の収入をどの所得で申告すればいいかわからない」という相談が最も多く寄せられます。所得区分の判定ミスは、税額の過大・過少に直結するため、基本を正しく理解することが重要です。
所得区分が重要な理由は主に3つあります。第一に、所得の種類によって差し引ける経費の範囲が異なります。第二に、課税方法(総合課税か分離課税か)が変わり、税率に大きな差が出ます。第三に、赤字が出た場合に他の所得と相殺(損益通算)できるかどうかが決まります。
なお、所得の種類と課税のしくみについては、国税庁タックスアンサーNo.1300「所得の区分のあらまし」に一覧が掲載されています。
参考: 国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」
10種類の所得を6項目で徹底比較【一覧表】
所得税法が定める10種類の所得を、具体例・計算式・課税方法・確定申告の要否・損益通算の可否・主な特例の6項目で横比較します。スマホで見る場合は横にスクロールしてご確認ください。
| 所得の種類 |
具体例 |
計算式 |
課税方法 |
損益通算 |
主な特例 |
| ①利子所得 | 預貯金の利子、公社債の利子 | 収入金額=利子所得(経費控除なし) | 源泉分離課税(20.315%) | × | NISA口座は非課税 |
| ②配当所得 | 株式の配当金、投資信託の分配金 | 収入金額−株式取得のための借入金利子 | 総合課税 or 申告分離(上場株式等) | × | 配当控除(総合課税選択時) |
| ③不動産所得 | 家賃収入、地代、駐車場収入 | 総収入金額−必要経費 | 総合課税 | ○ | 青色申告特別控除(事業的規模) |
| ④事業所得 | 自営業の売上、フリーランス報酬 | 総収入金額−必要経費 | 総合課税 | ○ | 青色申告特別控除・専従者給与 |
| ⑤給与所得 | 給料、賞与、役員報酬 | 収入金額−給与所得控除額 | 総合課税(源泉徴収+年末調整) | × | 特定支出控除 |
| ⑥退職所得 | 退職金、確定拠出年金の一時金 | (収入金額−退職所得控除額)×1/2 | 分離課税 | × | 勤続年数に応じた控除額 |
| ⑦山林所得 | 山林の伐採・譲渡による収入 | 総収入金額−必要経費−特別控除(50万円) | 分離課税(5分5乗方式) | × | 5年超保有が要件 |
| ⑧譲渡所得 | 不動産・株式・ゴルフ会員権の売却 | 収入金額−取得費−譲渡費用−特別控除 | 総合課税(動産等)or 分離課税(不動産・株式) | △(総合課税分のみ) | 3,000万円特別控除など |
| ⑨一時所得 | 保険の満期金、懸賞金、ふるさと納税の返礼品 | 収入金額−支出金額−特別控除(50万円) | 総合課税(1/2を合算) | × | 50万円の特別控除 |
| ⑩雑所得 | 公的年金、副業収入、暗号資産 | 総収入金額−必要経費(年金は公的年金等控除) | 総合課税 | × | 年金の公的年金等控除 |
※概要です。個別の状況により異なる場合があります。正確な判定は税理士にご相談ください。
⚠️ 注意
損益通算ができるのは、原則として不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の4つだけです(所得税法第69条)。ただし、不動産所得のうち土地取得のための借入金利子に対応する部分や、生活に必要でない資産の譲渡損失は損益通算の対象外です。
「あなたの収入はどの所得?」判定フローチャート
自分の収入がどの所得に該当するか迷ったときは、以下の判定表を使ってください。左の「収入の種類」に当てはまるものを探し、右の「所得区分」を確認します。
| あなたの収入 |
該当する所得区分 |
確定申告の目安 |
| 会社から毎月もらう給料・賞与 | ⑤給与所得 | 年末調整で完結(原則不要) |
| 個人事業・フリーランスの売上 | ④事業所得 | 必要 |
| アパートの家賃収入 | ③不動産所得 | 必要 |
| 株式の配当金・投資信託の分配金 | ②配当所得 | 源泉徴収ありの特定口座なら不要 |
| 株式・不動産の売却益 | ⑧譲渡所得 | 必要(特定口座・源泉ありを除く) |
| 退職金・iDeCoの一時金 | ⑥退職所得 | 退職所得の受給に関する申告書を提出済みなら不要 |
| 公的年金(老齢年金) | ⑩雑所得 | 年金400万円以下+他の所得20万円以下なら不要 |
| 保険の満期返戻金・懸賞の当選金 | ⑨一時所得 | 利益50万円超なら必要 |
| 銀行預金の利息 | ①利子所得 | 不要(源泉分離課税で完結) |
| 副業の収入(単発・継続性なし) | ⑩雑所得 | 年間20万円超なら必要 |
確定申告の基本的なしくみについては、「確定申告のやり方完全ガイド」で詳しく解説しています。
各所得の計算方法と具体例
①利子所得|預貯金・公社債の利子
利子所得とは、預貯金の利子や公社債の利子など、お金を貸したことによって受け取る対価です。計算式はシンプルで、収入金額がそのまま所得金額になります(必要経費の控除なし)。
国内の銀行預金の利子は、受取時に所得税15.315%+住民税5%の合計20.315%が源泉徴収(天引き)されて課税が完結します。これを「源泉分離課税」といい、確定申告は不要です。
②配当所得|株の配当・投資信託の分配金
配当所得とは、株主が法人から受け取る配当金や、投資信託の収益分配金です。上場株式等の配当については、「総合課税」「申告分離課税」「申告不要」の3つから選択できます。
実務では、課税所得が695万円以下の方は総合課税を選んで配当控除を受けた方が有利になるケースが多く、高所得者は申告分離課税か申告不要を選ぶ方が有利になります。
③不動産所得|家賃・地代・駐車場
不動産所得とは、土地や建物などの不動産の貸付けによって得る収入から、必要経費(修繕費・減価償却費・固定資産税など)を差し引いた金額です。
不動産所得は損益通算が可能なため、物件の減価償却費が大きい初年度は赤字になり、給与所得と相殺して節税できるケースがあります。ただし、土地取得のための借入金利子に対応する赤字部分は損益通算の対象外です(租税特別措置法第41条の4)。
④事業所得|自営業・フリーランスの売上
事業所得とは、個人事業主やフリーランスが事業活動から得る所得です。総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。青色申告を選択すれば最大65万円の特別控除が受けられます。
事業所得については、「青色申告と白色申告の違い|メリット・デメリット比較と選び方」もあわせてご覧ください。
⑤給与所得|給料・賞与・役員報酬
給与所得とは、会社員や公務員が勤務先から受ける給料・賞与などの収入から、給与所得控除額(いわば会社員の「みなし経費」)を差し引いた金額です。2026年分からは給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられています。
⑥退職所得|退職金・企業年金の一時金
退職所得とは、退職時に一括で受け取る退職金などの所得です。長年の勤務に対する報酬という性格から、退職所得控除と1/2課税という優遇措置があります。ただし、勤続年数5年以下の短期退職手当等(役員等を除く)は、退職所得控除を超える部分の300万円超の金額について1/2課税が適用されません。
💡 実務のポイント
「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しておけば、退職金から適正な税額が源泉徴収され、確定申告は不要になります。提出を忘れると一律20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算する必要が出てきます。この書類の提出漏れは、年間の相談で必ず数件は見かけます。
⑦山林所得|山林の伐採・譲渡
山林所得とは、山林を伐採して売却したり、立木のまま譲渡したりすることで得る所得です。取得後5年超の山林が対象で、5年以内の譲渡は事業所得または雑所得になります。「5分5乗方式」という特殊な税額計算で、税負担が緩和されます。
⑧譲渡所得|不動産・株式・その他の資産の売却
譲渡所得とは、資産を売却して得た利益です。対象となる資産は幅広く、不動産・株式・ゴルフ会員権・貴金属・書画骨董などが含まれます。課税方法は資産の種類によって異なります。
| 譲渡する資産 |
課税方法 |
税率 |
| 土地・建物(短期:5年以下) | 分離課税 | 39.63%(所得税30.63%+住民税9%) |
| 土地・建物(長期:5年超) | 分離課税 | 20.315%(所得税15.315%+住民税5%) |
| 上場株式等 | 申告分離課税 | 20.315% |
| ゴルフ会員権・貴金属等 | 総合課税 | 累進税率(5%〜45%) |
⑨一時所得|保険の満期金・懸賞金
一時所得とは、利子所得〜譲渡所得のいずれにも該当しない一時的な所得で、営利目的の継続的行為から生じたものでないものです。50万円の特別控除があり、さらにその1/2だけが総合課税の対象になるため、実質的な税負担は軽めです。
⑩雑所得|年金・副業・暗号資産
雑所得とは、他の9種類のいずれにも該当しない所得の「受け皿」です。公的年金等の雑所得と、それ以外の雑所得(副業収入、暗号資産、原稿料など)に大きく分かれます。雑所得は損益通算ができないため、赤字が出ても他の所得と相殺できません。
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副業の所得区分はどう判定する?種類別ガイド
会社員の副業で最も相談が多いのが「事業所得か雑所得か」の判定です。2022年(令和4年)の国税庁通達改正により、原則として「その所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存している」場合は事業所得、保存していない場合は雑所得として取り扱う方針が示されました。
| 副業の種類 |
原則的な所得区分 |
判定のポイント |
| フリーランス(デザイン・プログラミング等) | 事業所得 or 雑所得 | 帳簿保存+継続的・反復的に行っているか |
| ブログ・YouTube(アフィリエイト・広告収入) | 雑所得(規模が大きければ事業所得) | 年間収入の規模・継続性・帳簿保存の有無 |
| フリマアプリ(メルカリ等) | 雑所得 or 譲渡所得 | 生活用品は非課税、営利目的の転売は雑所得 |
| 株式投資・FX | 株式:譲渡所得 / FX:雑所得(先物取引に係る雑所得等) | FXは申告分離課税20.315% |
| 暗号資産(ビットコイン等) | 雑所得 | 総合課税。損益通算不可 |
| 不動産投資(マンション・駐車場) | 不動産所得 | 5棟10室基準で事業的規模かを判定 |
| アルバイト・パート | 給与所得 | 給与所得として源泉徴収される |
💡 実務のポイント
副業の確定申告で最もトラブルになりやすいのが「事業所得として申告して青色申告特別控除を受けたが、税務調査で雑所得に否認された」というケースです。帳簿書類をきちんと保存し、継続的な事業実態を示すことが重要です。単に開業届を出しただけでは事業所得とは認められません。
総合課税と分離課税の違い|課税方法で税額はどう変わる?
所得税の課税方法には「総合課税」と「分離課税」の2種類があります。どちらが適用されるかは所得の種類によって決まっており、自分で選ぶことはできません(配当所得など一部例外あり)。
総合課税のしくみ
総合課税は、対象となる所得を全て合算し、合計額に対して累進税率(5%〜45%)を適用する方法です。合算するため、所得が多い人ほど高い税率が適用されます。対象は、事業所得・不動産所得・給与所得・雑所得・一時所得(1/2)・配当所得(選択時)・総合譲渡所得です。
分離課税のしくみ
分離課税は、他の所得と切り離して個別に税額を計算する方法です。退職所得・山林所得・不動産の譲渡所得・株式等の譲渡所得・利子所得(源泉分離)などが該当します。これらは一律の税率が適用されるため、給与がいくら高くても税率が上がりません。
所得税の税率と計算方法について詳しくは、「所得税の税率と計算方法|速算表の使い方をシミュレーション付きで解説」をご覧ください。
課税方法の違いによる税額シミュレーション
同じ100万円の利益でも、課税方法の違いでどれだけ税額が変わるかを比較します。
📐 シミュレーション前提条件
- 給与所得:500万円(課税所得350万円と仮定)の会社員
- 追加で100万円の利益が発生した場合を比較
- 住民税・復興特別所得税を含む概算
| 利益の種類 |
課税方法 |
100万円に対する税額(概算) |
| 副業の雑所得(総合課税) | 給与と合算→累進税率 | 約30万円(所得税率20%帯+住民税10%) |
| 株式の譲渡益(分離課税) | 他の所得と分離→一律税率 | 約20万円(一律20.315%) |
| 保険の満期返戻金(一時所得) | 50万円控除後の1/2を合算 | 約7.5万円(課税対象25万円×30%) |
※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。
損益通算の可否と順序|赤字を活用する方法
損益通算とは、ある所得で赤字(損失)が出た場合に、他の黒字の所得から差し引いて税負担を軽減できる制度です(所得税法第69条)。ただし、全ての所得で損益通算ができるわけではありません。
損益通算できる所得・できない所得
| 所得の種類 |
赤字の損益通算 |
注意点 |
| 不動産所得 | ○ | 土地取得の借入金利子分は対象外 |
| 事業所得 | ○ | 青色申告なら3年間の繰越控除も可能 |
| 山林所得 | ○ | 取得後5年超の山林が対象 |
| 譲渡所得(総合課税分) | ○ | 生活に通常必要でない資産の損失は対象外 |
| 給与所得・利子所得・配当所得・退職所得・一時所得・雑所得 | × | 赤字が出ても他の所得から差し引けない |
⚠️ よくある間違い
暗号資産(仮想通貨)の損失を株式の利益と相殺しようとする相談がありますが、暗号資産の所得は「雑所得」であり、株式は「譲渡所得(分離課税)」です。所得区分が異なるため損益通算はできません。暗号資産の損失は翌年への繰越もできない点に注意してください。
非課税所得の代表例12選|課税されない収入一覧
所得税法では、原則としてすべての所得に課税しますが、社会政策その他の見地から課税しない「非課税所得」が定められています(所得税法第9条)。非課税所得は確定申告の対象外であり、所得金額の計算からも除外されます。
| 非課税所得の例 |
非課税の理由 |
根拠 |
| 通勤手当(月15万円まで) | 実費弁償の性格 | 所得税法第9条第1項第5号 |
| 遺族年金・障害年金 | 社会政策上の配慮 | 所得税法第9条第1項第3号 |
| 損害賠償金・慰謝料 | 損害の補填 | 所得税法第9条第1項第18号 |
| 生活用動産の売却益 | 担税力の考慮 | 所得税法第9条第1項第9号 |
| 相続・贈与で取得した財産 | 相続税・贈与税で課税 | 所得税法第9条第1項第17号 |
| NISA口座の運用益 | 貯蓄奨励政策 | 租税特別措置法第37条の14 |
| 宝くじの当選金 | 特別法による非課税 | 当せん金付証票法第13条 |
| 出張旅費・日当 | 実費弁償の性格 | 所得税法第9条第1項第4号 |
| 健康保険の傷病手当金 | 社会保障給付 | 健康保険法第62条 |
| 雇用保険の失業給付 | 社会保障給付 | 雇用保険法第12条 |
| 育児休業給付金 | 社会保障給付 | 雇用保険法第12条 |
| ノーベル賞の賞金 | 学術・文化への貢献 | 所得税法第9条第1項第14号 |
💡 実務のポイント
非課税所得で最も間違えやすいのが「メルカリで不用品を売った場合」です。生活に通常必要な動産(衣服・家具など)の売却益は非課税ですが、1個30万円を超える貴金属・書画・骨董品は課税対象です。また、営利目的の転売は「雑所得」として課税されます。
参考: 国税庁「No.2011 課税される所得と非課税所得」
所得区分を間違えたときのリスクと対処法
所得区分の判定を間違えると、以下のようなリスクがあります。
過少申告のリスク
本来は総合課税で申告すべき所得を申告しなかった場合、税務調査で指摘されると追加の本税に加えて過少申告加算税(原則10%、期限内申告を行っている場合)や延滞税が課されます。悪質と判断されれば重加算税(35%〜40%)の対象にもなります。
雑所得と事業所得の区分間違い
副業収入を事業所得として申告し、青色申告特別控除や損益通算を適用していた場合、税務調査で「雑所得が妥当」と判断されると、控除額の否認+損益通算の否認+過少申告加算税のトリプルペナルティになるリスクがあります。
実務では、事業所得と雑所得の境界線でトラブルになるケースが毎年増えています。帳簿書類の保存と、事業として反復・継続・独立して行っている実態を示す証拠を残しておくことが大切です。
確定申告の修正方法
所得区分の間違いに気づいた場合の対処法は、間違いの内容によって異なります。税額が少なかった場合は「修正申告」、税額が多すぎた場合は「更正の請求」を行います。詳しくは「確定申告を忘れたとき・間違えたときの対処法」で解説しています。
所得控除との違い|混同しやすいポイント
「所得の種類(所得区分)」と「所得控除」は名前が似ていますが、まったく別のしくみです。
| 比較項目 |
所得区分(10種類) |
所得控除(15種類) |
| 役割 | 収入を「種類」で分類する | 個人の事情に応じて所得を「差し引く」 |
| 計算での位置 | 収入→各所得の計算(ステップ1〜2) | 所得合計→課税所得の計算(ステップ3) |
| 具体例 | 給与所得、事業所得、雑所得 など | 基礎控除、配偶者控除、医療費控除 など |
| 根拠条文 | 所得税法第23条〜第35条 | 所得税法第72条〜第87条 |
所得控除について詳しくは、「所得控除一覧」をご確認ください。
確定申告が必要になるケース一覧
10種類の所得のうち、確定申告が必要かどうかは所得の種類と金額によって異なります。会社員の方は基本的に年末調整で完結しますが、以下の場合は確定申告が必要です。
| ケース |
確定申告 |
対象となる所得 |
| 給与収入が2,000万円超 | 必要 | 給与所得 |
| 給与以外の所得が年間20万円超 | 必要 | 副業の雑所得等 |
| 2か所以上から給与を受けている | 原則必要 | 給与所得 |
| 個人事業主・フリーランス | 必要 | 事業所得 |
| 不動産収入がある | 必要 | 不動産所得 |
| 株式(一般口座・源泉なし特定口座)の譲渡益 | 必要 | 譲渡所得 |
| 医療費控除・住宅ローン控除を受けたい | 必要(還付申告) | — |
💡 実務のポイント
「副業の収入が20万円以下なら確定申告は不要」というのは所得税の話であり、住民税の申告は別途必要です。この点を見落としている方が非常に多く、自治体から「住民税の申告が漏れている」と連絡が来て初めて気づくケースが毎年発生しています。
よくある質問(FAQ)
所得の種類が10種類あるのはなぜですか?
所得税法では、収入の発生原因や性質によって適切な課税方法が異なると考えられています。たとえば、勤労による給与所得と資産の売却による譲渡所得では、課税上の配慮(経費の取り扱い・税率など)が変わるべきだからです。10種類に分類することで、それぞれの性質に応じた公平な課税を実現しています。
副業の収入は事業所得と雑所得のどちらですか?
帳簿書類を保存しており、反復・継続・独立して営んでいる実態があれば事業所得、そうでなければ雑所得が原則です。令和4年の国税庁通達改正で、帳簿の保存が事業所得の重要な判定要素とされました。開業届を出しただけでは事業所得とは認められません。
暗号資産(仮想通貨)の利益はどの所得区分ですか?
暗号資産の売買益は「雑所得」として総合課税の対象です。株式のような申告分離課税は適用されず、他の所得と合算されるため、給与所得が高い方は最大55%(所得税45%+住民税10%)の税率が適用される可能性があります。また、損益通算や繰越控除もできません。
メルカリで不用品を売った利益には税金がかかりますか?
生活に通常必要な動産(衣服・家具・家電など)の売却益は非課税です。ただし、1個30万円を超える貴金属・書画骨董品の売却益は譲渡所得として課税されます。また、転売目的で仕入れた商品を継続的に販売している場合は、雑所得または事業所得として課税対象になります。
収入と所得の違いは何ですか?
収入は「入ってきたお金の総額」、所得は「収入から必要経費や控除を差し引いた金額」です。たとえば、年収500万円の会社員の場合、収入は500万円ですが、給与所得控除(144万円)を差し引いた356万円が給与所得です。税金は収入ではなく所得に対してかかります。
損益通算できない所得の赤字はどうなりますか?
損益通算ができない所得(給与所得・雑所得・一時所得など)で赤字が出た場合、その赤字は切り捨てられ、他の所得から差し引くことはできません。特に暗号資産の損失は翌年への繰越もできないため、年内での損益調整が重要です。
退職金にはどのくらい税金がかかりますか?
退職金は、勤続年数に応じた退職所得控除を差し引いた後、さらに1/2にした金額に対して分離課税されます。たとえば、勤続30年で退職金2,000万円の場合、退職所得控除1,500万円を差し引いた500万円の1/2=250万円が課税対象です。税額は約15万円程度で、給与所得と比べて大幅に優遇されています。
FXの利益と株式の利益は損益通算できますか?
FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」に分類され、申告分離課税(税率20.315%)が適用されます。株式の譲渡所得とは別の区分のため、FXの損失を株式の利益と相殺することはできません。ただし、FX同士や、先物・オプション取引とは損益通算が可能です。
年金収入しかなくても確定申告は必要ですか?
公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ年金以外の所得が20万円以下であれば、確定申告は不要です(確定申告不要制度)。ただし、医療費控除や生命保険料控除で税金の還付を受けたい場合は、還付申告をした方が有利です。
所得区分の判定で迷ったらどうすればよいですか?
所得区分の判定は、税務署に電話で相談する方法(国税局電話相談センター)と、税理士に相談する方法があります。特に複数の収入源がある方や、副業・投資で高額の利益が出た方は、専門家に相談することで所得区分の判定ミスによるペナルティを防ぐことができます。
まとめ
📋 この記事のポイント
- 所得税法は所得を10種類(利子・配当・不動産・事業・給与・退職・山林・譲渡・一時・雑)に分類している
- 課税方法は「総合課税」と「分離課税」の2つがあり、所得の種類によって自動的に決まる
- 損益通算ができるのは不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の4つだけ
- 副業の所得区分は帳簿保存と事業実態の有無がカギ(事業所得 vs 雑所得)
- 非課税所得(通勤手当・遺族年金・NISA等)は申告不要で所得金額の計算からも除外される
- 所得区分の判定ミスは加算税・延滞税のリスクがあるため、迷ったら専門家に相談する
所得区分の正確な理解は、確定申告の第一歩です。特に副業・投資・相続などで複数の収入源がある方は、所得の種類によって税金のルールが大きく異なるため、早めに専門家に相談することをおすすめします。
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