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社会保険料控除とは?対象となる保険料の種類と確定申告のやり方
「社会保険料控除ってどの保険料が対象なの?」「家族の分も控除できるの?」とお悩みの方に向けて、対象となる保険料12種類の一覧、会社員・個人事業主・転職者別の申告方法、年末調整と確定申告の記入手順まで税理士と社労士がわかりやすく解説します。


「社会保険料控除ってどの保険料が対象なの?」「家族の分も控除できるの?」とお悩みの方に向けて、対象となる保険料12種類の一覧、会社員・個人事業主・転職者別の申告方法、年末調整と確定申告の記入手順まで税理士と社労士がわかりやすく解説します。
🏆 結論:支払った社会保険料は全額が所得控除の対象
社会保険料控除とは、その年に支払った社会保険料の全額を所得から差し引ける制度です(所得税法第74条)。生命保険料控除のような上限額はありません。健康保険・国民年金・厚生年金・介護保険・雇用保険・国民健康保険など12種類が対象で、生計を一にする家族の分を代わりに支払った場合も控除できます。会社員は年末調整で、個人事業主は確定申告で手続きします。
社会保険料控除とは、納税者が自己または生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合に、その支払った金額の全額を所得から差し引ける所得控除の一つです。
所得控除には生命保険料控除(最大12万円)や地震保険料控除(最大5万円)のように上限があるものが多いですが、社会保険料控除には上限がありません。支払った全額がそのまま控除になるため、所得控除の中でも節税効果が大きい制度です。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 控除額に上限なし | 支払った社会保険料の全額が控除対象。年間100万円払えば100万円控除 |
| 家族の分もOK | 生計を一にする配偶者・子・親の社会保険料を代わりに支払った場合も控除可能 |
| 実際に支払った年が対象 | 過去の未納分を今年払えば今年の控除対象。前納した場合も支払った年に控除 |
🔷 社労士の視点
「社会保険料」という言葉は、日常会話では健康保険と年金を指すことが多いですが、税法上はもっと広い概念です。雇用保険料や介護保険料、国民年金基金の掛金なども全て「社会保険料控除」の対象になります。経営者の方は、従業員の年末調整で漏れがないよう、対象範囲を正しく理解しておくことが重要です。
社会保険料控除の対象となる保険料は、所得税法第74条第2項に列挙されています。以下の12種類を一覧表にまとめました。
| 保険料の種類 | 主な対象者 | 証明書の要否 | 金額の確認方法 |
|---|---|---|---|
| 健康保険料 | 会社員・パート | 不要 | 給与明細・源泉徴収票 |
| 厚生年金保険料 | 会社員・パート | 不要 | 給与明細・源泉徴収票 |
| 国民年金保険料 | 自営業・学生・無職 | 必要 | 控除証明書(10〜11月届く) |
| 国民健康保険料(税) | 自営業・退職者 | 不要 | 納付額通知書・領収書 |
| 介護保険料 | 40歳以上 | 不要 | 給与明細・年金源泉徴収票・納付通知書 |
| 後期高齢者医療保険料 | 75歳以上 | 不要 | 納付額通知書・年金源泉徴収票 |
| 雇用保険料 | 会社員・パート | 不要 | 給与明細・源泉徴収票 |
| 国民年金基金の掛金 | 自営業 | 必要 | 控除証明書 |
| 厚生年金基金の掛金 | 一部の会社員 | 不要 | 給与明細 |
| 船員保険料 | 船員 | 不要 | 給与明細 |
| 共済組合の掛金 | 公務員・私学教職員 | 不要 | 給与明細 |
| 農業者年金の保険料 | 農業者 | 必要 | 控除証明書 |
⚠️ 社会保険料控除の対象外となるもの
iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は社会保険料控除ではなく「小規模企業共済等掛金控除」の対象です。同じ所得控除ですが区分が異なるため、確定申告書の記入欄を間違えないよう注意してください。また、労災保険料は全額会社負担のため、従業員個人の社会保険料控除の対象にはなりません。
社会保険料控除は、自分の分だけでなく、生計を一にする配偶者や親族の社会保険料を代わりに支払った場合にも適用できます。これは節税効果が大きいポイントですが、条件を正しく理解していないと控除できないケースがあります。
「生計を一にする」とは、必ずしも同居していることを意味しません。別居していても、仕送りや生活費の送金が継続的にあれば「生計を一にする」と認められます。たとえば、大学進学で一人暮らしをしている子どもや、遠方の施設に入所している親も対象になり得ます。
| ステップ | 確認内容 | 判定 |
|---|---|---|
| 1 | その家族と「生計を一にする」関係か? | いいえ → 控除不可 はい → ステップ2へ |
| 2 | その保険料を実際に誰が支払っているか? | 自分の口座から引落し → ステップ3へ 家族本人が支払い → 自分は控除不可 |
| 3 | 年金からの天引き(特別徴収)か? | はい → 年金受給者本人の控除(他の人は控除不可) いいえ → 自分が控除可能 |
💡 実務のポイント:特別徴収と口座振替の違い
年間100社以上の確定申告を担当してきた経験上、最もよくある質問が「親の後期高齢者医療保険料を自分の控除にできますか?」です。答えは支払方法によって異なります。親の年金から天引き(特別徴収)されている場合は、親本人の控除です。一方、口座振替に変更して子の口座から支払えば、子の社会保険料控除にできます。市区町村に口座振替への変更届を出すだけで、家族全体の税負担を最適化できるケースがあります。
| ケース | 控除できる人 | 注意点 |
|---|---|---|
| 20歳の子の国民年金を親が支払い | 親が控除 | 控除証明書の添付が必要 |
| 配偶者の国民健康保険料を世帯主が支払い | 世帯主が控除 | 証明書不要。納付額を確認 |
| 親の後期高齢者医療保険料が年金天引き | 親本人のみ | 子は控除不可。口座振替に変更すれば子が控除可能 |
| 親の介護保険料を子が口座振替で支払い | 子が控除 | 引落口座の名義が子であること |
社会保険料控除の申告方法は、働き方や状況によって異なります。自分がどのパターンに該当するか確認してください。
| 立場 | 申告方法 | 自分で記入が必要な保険料 |
|---|---|---|
| 会社員(年末調整のみ) | 年末調整 | 給与天引き分は記入不要。家族の保険料・個人で払った国民年金のみ記入 |
| 個人事業主・フリーランス | 確定申告 | 全額を自分で記入(国民年金・国民健康保険・介護保険等) |
| 年の途中で転職 | 転職先の年末調整 | 前職の源泉徴収票を提出。離職期間中に払った保険料を記入 |
| 年をまたいで転職 | 確定申告 | 前職の源泉徴収票+離職期間中の保険料の全額を記入 |
| 年金受給者 | 確定申告 | 年金から天引きされた分は源泉徴収票で確認。口座振替分を記入 |
会社員やパート・アルバイトの方が年末調整で社会保険料控除を受ける手順を解説します。年末調整の全体的な流れは「【税理士×社労士が解説】年末調整とは?しくみ・対象者・手続きの流れを完全ガイド」をご覧ください。
給与から天引きされている健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・介護保険料は、会社が把握しているため自分で記入する必要はありません。申告が必要なのは、会社が把握できない保険料です。具体的には、配偶者や子の国民年金保険料を代わりに支払った場合や、転職の空白期間に自分で支払った国民健康保険料・国民年金保険料が該当します。
国民年金保険料と国民年金基金の掛金は、控除証明書の添付が必要です。日本年金機構から毎年10月〜11月頃に届きます。国民健康保険料は証明書の添付は不要ですが、金額を正確に記入する必要があるため、市区町村から届く納付額通知書を手元に準備しましょう。
用紙の「社会保険料控除」欄に、保険料の種類・支払先・支払った金額を記入します。家族の分を支払った場合は「保険料を負担することになっている人」の氏名と続柄も記入します。
記入済みの申告書に国民年金保険料の控除証明書を添付して、会社の担当者に提出します。期限は会社が定めた日(通常は11月末〜12月中旬)です。
個人事業主・フリーランスの方や、年末調整で控除しきれなかった方は確定申告で控除を受けます。確定申告の基本的な流れについては「確定申告の基礎知識」で解説しています。
確定申告書第一表の「所得から差し引かれる金額」の「社会保険料控除」欄に控除額の合計を記入します。第二表の「社会保険料控除」欄には、保険料の種類ごとに支払先と金額を記入します。
e-Taxを利用する場合は、画面に従って入力するだけで自動計算されます。国民年金保険料の控除証明書はe-Taxなら添付省略が可能ですが、5年間の保存が義務付けられています。
個人事業主の方は、国民健康保険料・国民年金保険料・介護保険料などを全額自分で支払っています。これらは事業の「経費」ではなく「所得控除」として処理します。帳簿上は「事業主貸」として処理し、確定申告書の所得控除欄に記入してください。
💡 実務のポイント:経費と所得控除の違い
実務で意外と多いのが、国民健康保険料を事業の「経費」に入れてしまう間違いです。社会保険料は事業と直接関係がないため経費にはなりません。ただし、結果的な節税効果は同じです。事業所得から差し引かれるか、所得控除として差し引かれるかの違いだけで、最終的な税額計算は変わりません。青色申告特別控除との関係については「青色申告のメリット」をご確認ください。
年収別に社会保険料の年間負担額と、社会保険料控除による節税効果を試算してみましょう。
📐 シミュレーション前提条件
| 年収 | 年間社会保険料 (概算・本人負担分) |
所得税の節税額 | 住民税の節税額 | 合計節税額 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 約44万円 | 約22,000円 | 約44,000円 | 約66,000円 |
| 500万円 | 約73万円 | 約73,000円 | 約73,000円 | 約146,000円 |
| 700万円 | 約101万円 | 約202,000円 | 約101,000円 | 約303,000円 |
| 1,000万円 | 約140万円 | 約420,000円 | 約140,000円 | 約560,000円 |
※概算値です。標準報酬月額の等級や賞与の有無により実際の金額は異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。
社会保険料控除は全額控除のため、年収が高いほど(=社会保険料が高いほど=所得税率が高いほど)節税効果が大きくなります。年収700万円の方で年間約30万円、年収1,000万円の方で約56万円の節税効果があります。
国民年金保険料には「前納」と「追納」の制度があり、これをうまく活用すると社会保険料控除の金額を調整できます。
国民年金保険料を2年分まとめて前納すると、保険料の割引を受けられます。前納した保険料は、(1)支払った年にまとめて控除する方法と、(2)各年の保険料として按分して控除する方法のどちらかを選べます。所得が大きい年にまとめて控除すれば節税効果が高まります。
学生時代に「学生納付特例」で国民年金保険料の納付を猶予されていた方は、10年以内であれば追納できます。子どもの追納分を親が支払えば、生計を一にしている限り親の社会保険料控除に含められます。
🧮 追納の節税効果シミュレーション
子どもの大学4年間分の国民年金保険料を追納した場合(約80万円)、所得税率20%の親が支払えば、所得税16万円+住民税8万円=約24万円の節税になります。子どもの将来の年金額も増えるため、二重のメリットがあります。
社会保険料控除は全額控除のため漏れたときの損失が大きい制度です。以下の5つのパターンをチェックしてください。
| 見落としパターン | 正しい対応 | 見逃した場合の影響 |
|---|---|---|
| 子の国民年金を親が払ったのに申告しない | 控除証明書を添付して親の年末調整で申告 | 年間約20万円の控除漏れ(節税額2〜6万円の損失) |
| 転職の空白期間に払った国保・年金を申告しない | 転職先の年末調整で「保険料控除申告書」に記入 | 数ヶ月分の保険料が控除から漏れる |
| 親の介護保険料が天引きなのに子が控除しようとする | 年金天引きの場合は年金受給者本人の控除のみ | 誤った控除で税務署から指摘を受ける可能性 |
| 国民健康保険料の金額を把握していない | 市区町村に問い合わせて納付額を確認 | 年間数十万円の控除漏れ |
| iDeCoを社会保険料控除の欄に記入してしまう | 「小規模企業共済等掛金控除」の欄に記入 | 控除自体は受けられるが区分違いで再計算を求められる場合あり |
社会保険料控除は所得控除の一つです。他の所得控除と合わせて活用することで、効果的な節税が可能になります。所得控除の全体像については「所得控除の種類と一覧」で解説しています。
| 所得控除の種類 | 控除額の上限 | 特徴 |
|---|---|---|
| 社会保険料控除 | 上限なし(全額) | 最も節税効果が大きい控除の一つ |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 上限なし(全額) | iDeCo・小規模企業共済が対象 |
| 生命保険料控除 | 最大12万円(所得税) | 3区分で上限あり |
| 基礎控除 | 最大58万円 | 所得2,500万円超はゼロ |
| 医療費控除 | 最大200万円 | 自己負担10万円超の部分 |
社会保険料控除と小規模企業共済等掛金控除は、どちらも支払額の全額が控除されます。個人事業主の方は、国民年金基金やiDeCoと組み合わせることで、老後資金の準備と節税を同時に実現できます。
社会保険料控除の取りこぼしを防ぐため、以下の8項目を確認しましょう。
| ✓ | チェック項目 | ポイント |
|---|---|---|
| □ | 給与天引き以外に払った社会保険料はないか | 転職の空白期間・任意継続被保険者の保険料 |
| □ | 家族の社会保険料を代わりに払っていないか | 子の国民年金・配偶者の国保・親の介護保険 |
| □ | 国民年金の控除証明書を準備したか | 10〜11月に届く。紛失したら年金機構に再発行依頼 |
| □ | 国民健康保険の年間納付額を確認したか | 証明書不要だが金額把握が必要。市区町村に問合せ |
| □ | 過去の未納分を今年支払った場合、今年の控除に含めたか | 支払った年の控除対象になる |
| □ | 前納した保険料の控除方法を選択したか | 一括控除と各年按分から選択 |
| □ | 親の保険料が天引きか口座振替かを確認したか | 天引きは本人の控除。口座振替なら口座名義人の控除 |
| □ | iDeCoは「小規模企業共済等掛金控除」に記入したか | 社会保険料控除ではなく別区分 |
📋 この記事のポイント
社会保険料控除は全額控除のため、漏れなく申告すれば大きな節税効果を得られます。特に、家族の保険料の支払方法を最適化することで、世帯全体の税負担を軽減できるケースがあります。「自分のケースで控除漏れがないか不安」という方は、お気軽に税理士にご相談ください。