配偶者控除・配偶者特別控除の判定フロー|年収別の控除額一覧

配偶者控除・配偶者特別控除の判定フロー|年収別の控除額一覧
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

「配偶者の年収がいくらまでなら控除を受けられるの?」「103万円の壁が123万円に変わったって本当?」とお悩みの方に向けて、配偶者控除と配偶者特別控除の違い・適用要件・年収別の控除額一覧を解説します。この記事を読めば、あなたの世帯に適用される控除額と最適な働き方の判断ができます。

🏆 結論:配偶者の年収123万円以下なら配偶者控除、201万円以下なら配偶者特別控除

令和7年度の税制改正により、配偶者控除の適用上限は年収103万円から123万円に引き上げられました。配偶者の年収が123万円以下なら配偶者控除(最大38万円)、123万円超〜約201万円以下なら配偶者特別控除(最大38万円〜1万円)が適用されます。ただし、納税者本人の合計所得が1,000万円(給与年収約1,195万円)を超えると、どちらの控除も受けられません。

配偶者控除とは?基本的なしくみ

配偶者控除とは、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に、納税者本人の所得から一定金額を差し引くことができる所得控除です。控除額は最大38万円(老人控除対象配偶者の場合は48万円)で、納税者本人の合計所得金額に応じて段階的に減額されます。

配偶者控除の適用要件(5つの条件)

配偶者控除を受けるには、その年の12月31日時点で配偶者が以下の5つの条件を全て満たす必要があります。

No. 要件 具体的な基準
1法律上の配偶者であること婚姻届を提出済み(内縁関係は対象外)
2納税者と生計を一にしていること同居が原則。別居でも仕送りで生活費を負担していればOK
3配偶者の合計所得金額が58万円以下給与収入のみなら年収123万円以下(令和7年〜)
4青色事業専従者として給与を受けていない個人事業主の配偶者で専従者給与を受けている場合は対象外
5白色申告の事業専従者でないこと事業専従者控除の対象者は配偶者控除を受けられない

参考: 国税庁「No.1191 配偶者控除」

📢 令和7年度改正のポイント

令和7年度の税制改正により、基礎控除が48万円→58万円に、給与所得控除の最低保障額が55万円→65万円に引き上げられました。これに伴い、配偶者控除が適用される配偶者の年収上限は、給与収入のみの場合103万円→123万円に引き上げられています。ただし、合計所得金額の基準(58万円以下)自体は変わっていません。

配偶者特別控除とは?配偶者控除との違い

配偶者特別控除とは、配偶者の所得が配偶者控除の要件(合計所得金額58万円以下)を超えていても、合計所得金額が133万円以下(給与収入のみなら年収約201万円以下)であれば、段階的に控除を受けられる制度です。

比較項目 配偶者控除 配偶者特別控除
配偶者の合計所得金額58万円以下58万円超〜133万円以下
配偶者の給与年収(目安)123万円以下123万円超〜約201万円以下
控除額(本人の所得900万円以下)38万円(老人48万円)38万円〜1万円(段階的に減少)
本人の所得要件1,000万円以下1,000万円以下
併用配偶者控除と配偶者特別控除は併用不可(どちらか一方)

💡 実務のポイント

「合計所得金額」はパート収入だけでなく、年金収入・株の譲渡益・生命保険の満期保険金なども含まれます。実務では「パート年収は123万円以下なのに、生命保険の満期返戻金があったために配偶者控除が受けられなかった」というケースが時々あります。配偶者の全ての収入を確認してください。

あなたはどの控除を受けられる?5ステップ判定フロー

以下の判定表で、ステップ1から順に確認してください。

ステップ 確認事項 Yes No
法律上の婚姻関係がある?→②へ控除なし
あなた(本人)の合計所得金額は1,000万円以下?→③へ控除なし
配偶者は青色事業専従者 or 白色事業専従者ではない?→④へ控除なし
配偶者の合計所得金額は58万円以下(給与年収123万円以下)?→配偶者控除→⑤へ
配偶者の合計所得金額は133万円以下(給与年収約201万円以下)?→配偶者特別控除控除なし

配偶者の年収別×本人の所得別 控除額一覧表

配偶者の給与年収と納税者本人の合計所得金額に応じた控除額の一覧です。

配偶者の給与年収 合計所得金額 控除の種類 本人所得900万円以下 本人所得950万円以下 本人所得1,000万円以下
〜123万円〜58万円配偶者控除38万円26万円13万円
123万円超〜160万円58万円超〜95万円配偶者特別控除38万円26万円13万円
160万円超〜167万円95万円超〜100万円配偶者特別控除36万円24万円12万円
167万円超〜175万円100万円超〜105万円配偶者特別控除31万円21万円11万円
175万円超〜183万円105万円超〜110万円配偶者特別控除26万円18万円9万円
183万円超〜190万円110万円超〜115万円配偶者特別控除21万円14万円7万円
190万円超〜197万円115万円超〜120万円配偶者特別控除16万円11万円6万円
197万円超〜201万円120万円超〜125万円配偶者特別控除11万円8万円4万円
201万円超〜201.6万円未満125万円超〜133万円配偶者特別控除3万円2万円1万円
201.6万円以上133万円超控除なし0円0円0円

※給与年収は給与収入のみの場合の目安です。※本人の所得900万円は給与年収約1,095万円、950万円は約1,145万円、1,000万円は約1,195万円に相当します。
参考: 国税庁「No.1195 配偶者特別控除」

💡 実務のポイント

注目すべきは、配偶者の年収が123万円超〜160万円以下の場合、配偶者特別控除でも配偶者控除と同額の38万円が適用される点です。これは令和7年改正で配偶者特別控除の満額適用上限が年収150万円→160万円に引き上げられたためです。つまり「配偶者の年収が160万円までなら、控除額は同じ38万円」というのが現行制度の大きなポイントです。

所得控除の全体像については「所得控除とは?15種類の一覧表と適用条件を完全ガイド」で詳しく解説しています。

年収の壁を整理する【6つのボーダーライン】

「年収の壁」は複数あり、それぞれ税金・社会保険・控除に異なる影響を与えます。以下の表で全体像を把握してください。

年収の壁 何が変わるか 配偶者本人の税金 社会保険 配偶者控除への影響
100万円住民税が発生住民税あり影響なし
106万円社会保険加入(一定の条件下)自身で加入影響なし
123万円配偶者控除→配偶者特別控除に移行所得税あり控除額は同額(38万円)
130万円扶養から外れ社保加入(全員対象)自身で加入控除額は同額(38万円)
160万円配偶者特別控除が満額から減少開始控除額が段階的に減少
約201万円配偶者特別控除が消滅控除なし

⚠️ 注意

「123万円の壁」は税金上の壁であり、社会保険の壁(106万円・130万円)とは別です。配偶者の年収が123万円以下でも、106万円を超えると勤務先の条件次第で社会保険に加入する必要があり、手取りが減る場合があります。税金と社会保険の両方を考慮して最適な年収を検討してください。

配偶者の年収別の世帯手取りシミュレーション

納税者本人の年収600万円(合計所得金額436万円)のケースで、配偶者の年収を変えた場合の世帯への影響を比較します。

📐 シミュレーション前提条件

  • 納税者本人:年収600万円の会社員(所得税率10%)
  • 配偶者:パート収入のみ
  • 社会保険:年収130万円超で配偶者自身が加入と仮定(保険料は年収の約15%で概算)
  • 住民税の影響も含む(所得控除による住民税軽減は控除額×10%で概算)
項目 年収103万円 年収123万円 年収140万円 年収160万円
適用される控除配偶者控除38万円配偶者控除38万円配偶者特別控除38万円配偶者特別控除38万円
本人の節税効果(所得税+住民税)約7.6万円約7.6万円約7.6万円約7.6万円
配偶者の所得税0円0円約8,500円約1.9万円
配偶者の社会保険料0円(扶養内)0円(扶養内)約21万円約24万円
世帯手取り増減(年収103万円基準)基準+約20万円+約16万円+約31万円

※概算値です。社会保険の加入条件は勤務先により異なります。正確な金額は個別にご確認ください。

💡 実務のポイント

注意すべきは年収130万円〜150万円のゾーンです。社会保険料の負担が大きいため、年収103万円のときと比べて世帯手取りの増加が小さくなる「働き損」のゾーンが発生します。このゾーンを乗り越えるには、配偶者の年収を160万円以上まで引き上げる必要があるケースが多いです。

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老人控除対象配偶者の控除額

配偶者がその年の12月31日時点で70歳以上の場合、「老人控除対象配偶者」として通常より高い控除額が適用されます。

納税者本人の合計所得金額 一般の配偶者 老人控除対象配偶者(70歳以上)
900万円以下38万円48万円
900万円超〜950万円以下26万円32万円
950万円超〜1,000万円以下13万円16万円

なお、老人控除対象配偶者の加算は配偶者控除の場合のみ適用されます。配偶者特別控除には老人加算はありません。

個人事業主が配偶者控除を受ける際の注意点

青色事業専従者との関係

個人事業主の配偶者が青色事業専従者として給与を受けている場合、その配偶者については配偶者控除・配偶者特別控除のどちらも受けられません。これは、専従者給与として経費計上していることで、配偶者控除との二重控除を防ぐためです。

実務では「専従者給与を年間86万円にして、配偶者控除も受けたい」という相談がありますが、専従者給与を1円でも受け取っていれば配偶者控除は適用外です。どちらが有利かは、専従者給与の金額と配偶者控除の控除額を比較して判断する必要があります。

確定申告での申告方法

個人事業主は年末調整がないため、確定申告書で配偶者控除・配偶者特別控除を申告します。確定申告書第一表の「所得控除」欄の「配偶者(特別)控除」に控除額を記入し、第二表の「配偶者や親族に関する事項」に配偶者の情報を記載してください。

確定申告の基本的な手順は「確定申告の基礎知識と手続きの流れ」をご覧ください。

年末調整での配偶者控除等申告書の書き方チェックリスト

会社員の方は年末調整で配偶者控除・配偶者特別控除を申告します。「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(3枚が1枚にまとまった様式)を使います。

チェック項目 記入のポイント
本人の合計所得金額の見積額を記入した源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を参照。賞与や副業収入も含める
配偶者の氏名・生年月日・マイナンバーを記入した住民票の記載どおりに正確に記入
配偶者の合計所得金額の見積額を記入したパート収入−給与所得控除65万円=合計所得金額。保険の満期金なども含める
判定区分(A〜C / ①〜④)を正しく記入した本人の所得区分(A〜C)と配偶者の所得区分(①〜④)の交差点が控除額
控除額を記入した上記の一覧表で確認した金額を記入

年末調整の全体的な流れは「【税理士×社労士が解説】年末調整とは?しくみ・対象者・手続きの流れを完全ガイド」をご覧ください。

配偶者控除・配偶者特別控除でよくある間違い

間違いパターン 正しい取扱い 影響
配偶者の年収=パート収入だけで計算した年金・保険の満期金・株の譲渡益なども「合計所得金額」に含める控除額の過大適用→追徴課税
年末調整で控除を申告したが、12月に配偶者の年収が変動した年末調整のやり直しを勤務先に依頼、または確定申告で修正控除額が過大または過少になる
内縁関係の配偶者で申告した法律上の婚姻関係(婚姻届提出済み)が必要控除が認められず追徴課税
夫婦がお互いに配偶者控除を申告した配偶者控除はどちらか一方の納税者のみ適用可能一方の控除が否認

💡 実務のポイント

共働き世帯で双方が年末調整をする場合、「配偶者控除を受ける側」を間違えるケースが時々あります。配偶者控除は所得の高い方が申告した方が節税効果は大きくなりますが、あくまで配偶者の所得要件を満たすかどうかが先決です。双方の年収が同程度で、どちらも配偶者控除の対象にならないケースも増えています。

扶養控除との違い

配偶者控除は「配偶者」に対する控除であり、扶養控除は「配偶者以外の親族(子・親など)」に対する控除です。配偶者は扶養控除の対象にはならず、配偶者控除または配偶者特別控除のいずれかが適用されます。

扶養控除の詳しい要件と控除額については「扶養控除の対象者と要件|年齢別の控除額と特定親族特別控除」をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

配偶者の年収が123万円を少し超えてしまいそうです。控除はなくなりますか?
配偶者控除はなくなりますが、配偶者特別控除が適用されます。配偶者の年収が160万円以下であれば、控除額は配偶者控除と同じ38万円(納税者本人の所得が900万円以下の場合)です。つまり、123万円を少し超えても控除額は変わりません。急いで年収を調整する必要はありません。
共働きの場合、配偶者控除はどちらが申告すべきですか?
配偶者控除は配偶者の所得が要件を満たす場合にのみ申告できます。共働きで双方がフルタイムの場合、配偶者の合計所得金額が58万円を超える(年収123万円超)ことがほとんどなので、配偶者控除ではなく配偶者特別控除の対象になるか、どちらの控除も受けられないケースが多いです。
パートの年収が130万円を超えたら、配偶者控除も受けられなくなりますか?
130万円の壁は社会保険の壁であり、配偶者控除・配偶者特別控除とは別の話です。年収130万円を超えると配偶者自身が社会保険に加入する必要が出てきますが、配偶者特別控除は年収約201万円まで受けられます。税金の控除と社会保険は別々に判断してください。
配偶者が育児休業中で収入が減った場合、配偶者控除を受けられますか?
育児休業給付金は非課税所得のため、合計所得金額には含まれません。育休中で給与収入がない、またはごく少額であれば、配偶者の合計所得金額が58万円以下となり、配偶者控除を受けられる可能性が高いです。
配偶者がフリマアプリやメルカリで売上がある場合、所得に含まれますか?
生活用動産(日用品や衣類など)の売却は非課税のため、合計所得金額に含まれません。ただし、転売目的で仕入れた商品を継続的に販売している場合は「事業所得」または「雑所得」に該当し、合計所得金額に含まれます。利益が出ている場合は注意が必要です。
年末調整で配偶者の所得の見積額を間違えた場合、どうすればいいですか?
年末調整後に誤りに気づいた場合、翌年1月末の給与支払い前であれば勤務先に申し出て年末調整のやり直しが可能です。それ以降に判明した場合は、確定申告で正しい金額に修正してください。
配偶者が障害者の場合、追加の控除はありますか?
配偶者控除に加えて、障害者控除を併用できます。一般の障害者であれば27万円、特別障害者であれば40万円、同居している特別障害者であれば75万円が追加で控除されます。配偶者控除と障害者控除は別の所得控除なので、両方の要件を満たせば両方受けられます。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 令和7年改正で配偶者控除の年収上限が103万円→123万円に引き上げ
  • 配偶者の年収160万円以下なら控除額は同じ38万円(配偶者特別控除でも満額)
  • 納税者本人の合計所得1,000万円超だと配偶者控除・配偶者特別控除は受けられない
  • 年収123万円・130万円・160万円・201万円の壁はそれぞれ影響が異なる
  • 年末調整では配偶者の「合計所得金額」を正確に計算することが最重要
  • 青色事業専従者給与を受けている配偶者は控除の対象外

配偶者控除のしくみを理解した上で、所得控除の全体像も確認しておきましょう。「所得控除とは?15種類の一覧表と適用条件を完全ガイド」では、配偶者控除を含む15種類の所得控除を一覧で整理しています。

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