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地震保険料控除とは?対象となる保険と控除額の計算方法
「地震保険料控除でいくら税金が安くなるの?」「旧長期損害保険料も対象になるって本当?」とお悩みの方に向けて、対象となる保険契約の範囲、控除額の計算方法、旧長期損害保険料の経過措置、年末調整と確定申告の手順まで税理士がわかりやすく解説します。


「地震保険料控除でいくら税金が安くなるの?」「旧長期損害保険料も対象になるって本当?」とお悩みの方に向けて、対象となる保険契約の範囲、控除額の計算方法、旧長期損害保険料の経過措置、年末調整と確定申告の手順まで税理士がわかりやすく解説します。
🏆 結論:地震保険料控除は所得税で最大5万円の所得控除
地震保険料控除とは、支払った地震保険料に応じて所得税で最大5万円・住民税で最大2万5,000円の所得控除を受けられる制度です。火災保険に付帯する地震保険の保険料が対象で、火災保険部分は対象外です。2006年以前に契約した旧長期損害保険料も経過措置として控除対象になります。会社員は年末調整で、個人事業主は確定申告で申請します。
地震保険料控除とは、地震・噴火・津波による損害を補償する地震保険の保険料を支払った場合に、所得から一定額を差し引ける所得控除の一つです。2006年度(平成18年度)の税制改正で創設されました。
日本は地震が多い国であり、国民に地震への備えを促す政策として、地震保険料の税制優遇が設けられています。所得控除の全体像については「所得控除の種類と一覧」で解説しています。
| 区分 | 所得税の上限 | 住民税の上限 |
|---|---|---|
| 地震保険料のみ | 50,000円 | 25,000円 |
| 旧長期損害保険料のみ | 15,000円 | 10,000円 |
| 両方がある場合(合算) | 50,000円 | 25,000円 |
地震保険料控除の対象は「地震保険料」と「旧長期損害保険料」の2種類です。火災保険や自動車保険の保険料は対象になりません。以下の判定表で、ご自身の契約が対象かどうか確認してください。
| 保険の種類 | 対象? | 補足 |
|---|---|---|
| 火災保険に付帯する地震保険(建物) | ○ | 地震保険部分のみが対象 |
| 火災保険に付帯する地震保険(家財) | ○ | 居住用の生活用動産が対象 |
| 火災保険のみ(地震保険なし) | × | 2007年以降は損害保険料控除が廃止 |
| 旧長期損害保険(積立型火災保険等) | ○ | 経過措置の3要件を全て満たす場合 |
| 別荘・空き家の地震保険 | × | 常時住居として使用していない建物は対象外 |
| 賃貸住宅の家財の地震保険 | ○ | 入居者が自分の家財に掛けた地震保険は対象 |
| 自動車保険・傷害保険 | × | 地震保険料控除の対象外 |
| JA共済の自然災害共済(地震部分) | ○ | 地震等損害部分の掛金が対象 |
💡 実務のポイント:賃貸でも控除を受けられる
「持ち家でないと地震保険料控除は受けられない」と思い込んでいる方が多いのですが、これは誤解です。賃貸住宅に住んでいても、自分の家財に対して地震保険を掛けていれば控除対象です。火災保険に地震保険を付帯して家財を保障している場合は、忘れずに控除を申請しましょう。
2006年度の税制改正で損害保険料控除が廃止されましたが、一定の要件を満たす長期損害保険契約については、経過措置として引き続き地震保険料控除の対象にできます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 2006年(平成18年)12月31日までに締結した契約であること(保険期間の始期が2007年1月1日以後のものは除く) |
| 2 | 満期返戻金があり、保険期間または共済期間が10年以上の契約であること |
| 3 | 2007年(平成19年)1月1日以後に、契約の変更(保険料の変更を伴うもの等)をしていないこと |
該当する保険の例としては、積立型火災保険、積立型傷害保険、年金払積立傷害保険などがあります。2006年以前にこれらの保険に加入し、現在も保険期間が続いている方は控除を受けられる可能性があります。
⚠️ 1つの契約で地震保険と旧長期の両方に該当する場合
1つの損害保険契約で地震保険料と旧長期損害保険料の両方を支払っている場合は、納税者の選択によりいずれか一方の控除しか受けられません。一般的には控除額が大きくなる「地震保険料」として申告した方が有利です。ただし、別々の契約であれば両方の控除を合算できます(合計上限は所得税5万円)。
地震保険料控除の計算は、地震保険料と旧長期損害保険料で計算式が異なります。それぞれの計算式を所得税・住民税別に整理しました。
| 税目 | 年間支払保険料 | 控除額 |
|---|---|---|
| 所得税 | 50,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 50,001円以上 | 一律 50,000円 | |
| 住民税 | 50,000円以下 | 支払保険料 × 1/2 |
| 50,001円以上 | 一律 25,000円 |
| 税目 | 年間支払保険料 | 控除額 |
|---|---|---|
| 所得税 | 10,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 10,001円〜20,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 5,000円 | |
| 20,001円以上 | 一律 15,000円 | |
| 住民税 | 5,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 5,001円〜15,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 2,500円 | |
| 15,001円以上 | 一律 10,000円 |
地震保険料控除は、契約の内容によって計算方法が異なります。以下の4ステップで、ご自身がどのパターンに該当するか判定してください。
| ステップ | 確認内容 | 判定 |
|---|---|---|
| 1 | 控除証明書に「地震保険料」「旧長期損害保険料」のどちらが記載されているか? | 地震のみ → パターンA 旧長期のみ → パターンB 両方あり → ステップ2へ |
| 2 | 1つの契約に両方が含まれるか?別々の契約か? | 1つの契約 → パターンC(いずれか一方を選択) 別々の契約 → パターンD(合算可能) |
| 3 | パターンCの場合、地震保険料と旧長期のどちらが控除額が大きいか? | 通常は地震保険料で申告が有利(上限5万円 vs 1.5万円) |
| 4 | パターンDの場合、合計が上限を超えないか確認 | 所得税5万円・住民税2.5万円が合算の上限 |
📐 前提条件
所得税の控除額:30,000円(5万円以下なので全額控除)
住民税の控除額:30,000円 × 1/2 = 15,000円
所得税の控除額:15,000円 × 1/2 + 5,000円 = 12,500円
住民税の控除額:15,000円 × 1/2 + 2,500円 = 10,000円(上限に達するため10,000円)
📐 前提条件
地震保険料の控除額(所得税):40,000円(全額)
旧長期損害保険料の控除額(所得税):15,000円(上限)
合計:55,000円 → 上限50,000円
住民税も同様に計算し、合計の上限は25,000円です。
地震保険料控除で実際にいくら税金が安くなるかは、控除額と所得税率で決まります。控除上限の5万円を使い切った場合の節税額を所得税率別に計算しました。
| 課税所得 | 所得税率 | 所得税の節税額 (控除5万円) |
住民税の節税額 (控除2.5万円) |
合計 |
|---|---|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 2,500円 | 2,500円 | 5,000円 |
| 330万円以下 | 10% | 5,000円 | 2,500円 | 7,500円 |
| 695万円以下 | 20% | 10,000円 | 2,500円 | 12,500円 |
| 900万円以下 | 23% | 11,500円 | 2,500円 | 14,000円 |
| 1,800万円以下 | 33% | 16,500円 | 2,500円 | 19,000円 |
※概算値です。復興特別所得税は考慮していません。
地震保険料控除単体の節税効果は年間5,000円〜19,000円程度と、他の所得控除に比べると小さめです。しかし毎年確実に使えることに加え、地震による損害への備えとしての本来の役割が大きい保険です。節税効果だけで加入を判断せず、「地震リスクへの備え+控除は副次的なメリット」と考えましょう。
地震保険料を複数年分まとめて支払った場合は、一括払保険料を保険期間(年)で割った金額が、毎年の控除対象保険料になります。
🧮 一括払いの計算例
5年契約の地震保険料を一括で100,000円支払った場合:
1年あたりの保険料 = 100,000円 ÷ 5年 = 20,000円
所得税の控除額 = 20,000円(5万円以下なので全額控除)
住民税の控除額 = 20,000円 × 1/2 = 10,000円
この金額を5年間にわたって毎年控除できます。保険会社から毎年控除証明書が届きます。
「給与所得者の保険料控除申告書」の「地震保険料控除」欄に、保険会社名・保険の種類・保険期間・支払保険料を記入し、地震保険料控除証明書を添付して会社に提出します。確定申告の基本的な流れは「確定申告の基礎知識」をご覧ください。
記入のポイントとして、「地震保険料」と「旧長期損害保険料」で記入欄が分かれています。控除証明書の記載に従って正しい欄に記入してください。
確定申告書第一表の「地震保険料控除」欄に控除額を記入し、第二表に地震保険料と旧長期損害保険料の内訳を記入します。控除証明書の添付が必要です(e-Taxなら添付省略可・5年保存)。年末調整全般については「【税理士×社労士が解説】年末調整とは?しくみ・対象者・手続きの流れを完全ガイド」で解説しています。
💡 実務のポイント:控除証明書の紛失
地震保険料控除証明書を紛失した場合は、加入している保険会社に連絡すれば再発行してもらえます。通常1〜2週間で届きますので、年末調整の期限に間に合わない場合は確定申告で控除を受ける方法もあります。団体特約で保険料が給与天引きされている場合は、控除証明書が不要なケースもあります。
| 間違いパターン | 正しい対応 | 影響 |
|---|---|---|
| 火災保険料を地震保険料控除に含めてしまう | 控除対象は地震保険部分のみ。控除証明書の金額を確認 | 過大申告となり税務署から指摘を受ける |
| 1つの契約で地震+旧長期を両方申告する | 1つの契約はいずれか一方のみ。通常は地震保険料が有利 | 二重控除で修正申告が必要になる |
| 一括払保険料を全額その年に控除する | 保険期間で按分した1年分が控除対象 | 過大控除で修正申告が必要 |
| 賃貸住宅だから控除できないと思い込む | 家財の地震保険は賃貸でも控除対象 | 年間数千円の節税機会を逃す |
保険料に関する3つの所得控除を比較すると、それぞれの特徴がわかります。青色申告と併用する場合は「青色申告のメリット」も参考にしてください。
| 所得控除 | 上限(所得税) | 証明書 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 地震保険料控除 | 5万円 | 必要 | 地震保険部分のみ。火災保険は対象外 |
| 生命保険料控除 | 12万円 | 必要 | 3区分で各4万円。新旧の計算方法が異なる |
| 社会保険料控除 | 上限なし | 一部必要 | 全額控除。国民年金のみ証明書が必要 |
📋 この記事のポイント
地震保険料控除は節税額こそ小さめですが、地震大国・日本では地震保険への加入自体が重要です。控除証明書が届いたら忘れずに年末調整や確定申告で申請してください。所得控除の全体像は「所得控除の種類と一覧」で解説していますので、あわせてご確認ください。