【税理士監修】地震保険料控除とは?対象となる保険と控除額の計算方法

【税理士監修】地震保険料控除とは?対象となる保険と控除額の計算方法
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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地震保険料控除とは?対象となる保険と控除額の計算方法

「地震保険料控除でいくら税金が安くなるの?」「旧長期損害保険料も対象になるって本当?」とお悩みの方に向けて、対象となる保険契約の範囲、控除額の計算方法、旧長期損害保険料の経過措置、年末調整と確定申告の手順まで税理士がわかりやすく解説します。

🏆 結論:地震保険料控除は所得税で最大5万円の所得控除

地震保険料控除とは、支払った地震保険料に応じて所得税で最大5万円・住民税で最大2万5,000円の所得控除を受けられる制度です。火災保険に付帯する地震保険の保険料が対象で、火災保険部分は対象外です。2006年以前に契約した旧長期損害保険料も経過措置として控除対象になります。会社員は年末調整で、個人事業主は確定申告で申請します。

地震保険料控除とは?基本的なしくみ

地震保険料控除とは、地震・噴火・津波による損害を補償する地震保険の保険料を支払った場合に、所得から一定額を差し引ける所得控除の一つです。2006年度(平成18年度)の税制改正で創設されました。

日本は地震が多い国であり、国民に地震への備えを促す政策として、地震保険料の税制優遇が設けられています。所得控除の全体像については「所得控除の種類と一覧」で解説しています。

地震保険料控除の上限額

区分 所得税の上限 住民税の上限
地震保険料のみ50,000円25,000円
旧長期損害保険料のみ15,000円10,000円
両方がある場合(合算)50,000円25,000円

参考: 国税庁「No.1145 地震保険料控除」

対象となる保険契約と対象外の保険【判定表】

地震保険料控除の対象は「地震保険料」と「旧長期損害保険料」の2種類です。火災保険や自動車保険の保険料は対象になりません。以下の判定表で、ご自身の契約が対象かどうか確認してください。

保険の種類 対象? 補足
火災保険に付帯する地震保険(建物)地震保険部分のみが対象
火災保険に付帯する地震保険(家財)居住用の生活用動産が対象
火災保険のみ(地震保険なし)×2007年以降は損害保険料控除が廃止
旧長期損害保険(積立型火災保険等)経過措置の3要件を全て満たす場合
別荘・空き家の地震保険×常時住居として使用していない建物は対象外
賃貸住宅の家財の地震保険入居者が自分の家財に掛けた地震保険は対象
自動車保険・傷害保険×地震保険料控除の対象外
JA共済の自然災害共済(地震部分)地震等損害部分の掛金が対象

💡 実務のポイント:賃貸でも控除を受けられる

「持ち家でないと地震保険料控除は受けられない」と思い込んでいる方が多いのですが、これは誤解です。賃貸住宅に住んでいても、自分の家財に対して地震保険を掛けていれば控除対象です。火災保険に地震保険を付帯して家財を保障している場合は、忘れずに控除を申請しましょう。

旧長期損害保険料の経過措置【3つの要件】

2006年度の税制改正で損害保険料控除が廃止されましたが、一定の要件を満たす長期損害保険契約については、経過措置として引き続き地震保険料控除の対象にできます。

経過措置の3要件(全て満たすこと)

要件 内容
12006年(平成18年)12月31日までに締結した契約であること(保険期間の始期が2007年1月1日以後のものは除く)
2満期返戻金があり、保険期間または共済期間が10年以上の契約であること
32007年(平成19年)1月1日以後に、契約の変更(保険料の変更を伴うもの等)をしていないこと

該当する保険の例としては、積立型火災保険、積立型傷害保険、年金払積立傷害保険などがあります。2006年以前にこれらの保険に加入し、現在も保険期間が続いている方は控除を受けられる可能性があります。

⚠️ 1つの契約で地震保険と旧長期の両方に該当する場合

1つの損害保険契約で地震保険料と旧長期損害保険料の両方を支払っている場合は、納税者の選択によりいずれか一方の控除しか受けられません。一般的には控除額が大きくなる「地震保険料」として申告した方が有利です。ただし、別々の契約であれば両方の控除を合算できます(合計上限は所得税5万円)。

控除額の計算方法【所得税・住民税別】

地震保険料控除の計算は、地震保険料と旧長期損害保険料で計算式が異なります。それぞれの計算式を所得税・住民税別に整理しました。

地震保険料の控除額計算式

税目 年間支払保険料 控除額
所得税50,000円以下支払保険料の全額
50,001円以上一律 50,000円
住民税50,000円以下支払保険料 × 1/2
50,001円以上一律 25,000円

旧長期損害保険料の控除額計算式

税目 年間支払保険料 控除額
所得税10,000円以下支払保険料の全額
10,001円〜20,000円支払保険料 × 1/2 + 5,000円
20,001円以上一律 15,000円
住民税5,000円以下支払保険料の全額
5,001円〜15,000円支払保険料 × 1/2 + 2,500円
15,001円以上一律 10,000円

あなたの契約はどのパターン?4ステップ判定フロー

地震保険料控除は、契約の内容によって計算方法が異なります。以下の4ステップで、ご自身がどのパターンに該当するか判定してください。

ステップ 確認内容 判定
1控除証明書に「地震保険料」「旧長期損害保険料」のどちらが記載されているか?地震のみ → パターンA
旧長期のみ → パターンB
両方あり → ステップ2へ
21つの契約に両方が含まれるか?別々の契約か?1つの契約 → パターンC(いずれか一方を選択)
別々の契約 → パターンD(合算可能)
3パターンCの場合、地震保険料と旧長期のどちらが控除額が大きいか?通常は地震保険料で申告が有利(上限5万円 vs 1.5万円)
4パターンDの場合、合計が上限を超えないか確認所得税5万円・住民税2.5万円が合算の上限

具体例で計算してみよう【3つのケース】

ケース1:地震保険料のみ(年間3万円)

📐 前提条件

  • 火災保険+地震保険に加入。地震保険料:年間30,000円

所得税の控除額:30,000円(5万円以下なので全額控除)
住民税の控除額:30,000円 × 1/2 = 15,000円

ケース2:旧長期損害保険料のみ(年間15,000円)

所得税の控除額:15,000円 × 1/2 + 5,000円 = 12,500円
住民税の控除額:15,000円 × 1/2 + 2,500円 = 10,000円(上限に達するため10,000円)

ケース3:地震保険料+旧長期損害保険料(別契約)

📐 前提条件

  • 地震保険料(別契約A):年間40,000円
  • 旧長期損害保険料(別契約B):年間25,000円

地震保険料の控除額(所得税):40,000円(全額)
旧長期損害保険料の控除額(所得税):15,000円(上限)
合計:55,000円 → 上限50,000円

住民税も同様に計算し、合計の上限は25,000円です。

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節税効果はいくら?所得税率別シミュレーション

地震保険料控除で実際にいくら税金が安くなるかは、控除額と所得税率で決まります。控除上限の5万円を使い切った場合の節税額を所得税率別に計算しました。

課税所得 所得税率 所得税の節税額
(控除5万円)
住民税の節税額
(控除2.5万円)
合計
195万円以下5%2,500円2,500円5,000円
330万円以下10%5,000円2,500円7,500円
695万円以下20%10,000円2,500円12,500円
900万円以下23%11,500円2,500円14,000円
1,800万円以下33%16,500円2,500円19,000円

※概算値です。復興特別所得税は考慮していません。

地震保険料控除単体の節税効果は年間5,000円〜19,000円程度と、他の所得控除に比べると小さめです。しかし毎年確実に使えることに加え、地震による損害への備えとしての本来の役割が大きい保険です。節税効果だけで加入を判断せず、「地震リスクへの備え+控除は副次的なメリット」と考えましょう。

複数年分を一括払いした場合の計算方法

地震保険料を複数年分まとめて支払った場合は、一括払保険料を保険期間(年)で割った金額が、毎年の控除対象保険料になります。

🧮 一括払いの計算例

5年契約の地震保険料を一括で100,000円支払った場合:
1年あたりの保険料 = 100,000円 ÷ 5年 = 20,000円
所得税の控除額 = 20,000円(5万円以下なので全額控除)
住民税の控除額 = 20,000円 × 1/2 = 10,000円
この金額を5年間にわたって毎年控除できます。保険会社から毎年控除証明書が届きます。

年末調整・確定申告での申告手順

年末調整の場合(会社員)

「給与所得者の保険料控除申告書」の「地震保険料控除」欄に、保険会社名・保険の種類・保険期間・支払保険料を記入し、地震保険料控除証明書を添付して会社に提出します。確定申告の基本的な流れは「確定申告の基礎知識」をご覧ください。

記入のポイントとして、「地震保険料」と「旧長期損害保険料」で記入欄が分かれています。控除証明書の記載に従って正しい欄に記入してください。

確定申告の場合(個人事業主)

確定申告書第一表の「地震保険料控除」欄に控除額を記入し、第二表に地震保険料と旧長期損害保険料の内訳を記入します。控除証明書の添付が必要です(e-Taxなら添付省略可・5年保存)。年末調整全般については「【税理士×社労士が解説】年末調整とは?しくみ・対象者・手続きの流れを完全ガイド」で解説しています。

💡 実務のポイント:控除証明書の紛失

地震保険料控除証明書を紛失した場合は、加入している保険会社に連絡すれば再発行してもらえます。通常1〜2週間で届きますので、年末調整の期限に間に合わない場合は確定申告で控除を受ける方法もあります。団体特約で保険料が給与天引きされている場合は、控除証明書が不要なケースもあります。

よくある間違いと対策【4選】

間違いパターン 正しい対応 影響
火災保険料を地震保険料控除に含めてしまう控除対象は地震保険部分のみ。控除証明書の金額を確認過大申告となり税務署から指摘を受ける
1つの契約で地震+旧長期を両方申告する1つの契約はいずれか一方のみ。通常は地震保険料が有利二重控除で修正申告が必要になる
一括払保険料を全額その年に控除する保険期間で按分した1年分が控除対象過大控除で修正申告が必要
賃貸住宅だから控除できないと思い込む家財の地震保険は賃貸でも控除対象年間数千円の節税機会を逃す

地震保険料控除と他の保険料控除の比較

保険料に関する3つの所得控除を比較すると、それぞれの特徴がわかります。青色申告と併用する場合は「青色申告のメリット」も参考にしてください。

所得控除 上限(所得税) 証明書 特徴
地震保険料控除5万円必要地震保険部分のみ。火災保険は対象外
生命保険料控除12万円必要3区分で各4万円。新旧の計算方法が異なる
社会保険料控除上限なし一部必要全額控除。国民年金のみ証明書が必要

よくある質問(FAQ)

地震保険料控除の上限はいくらですか?
所得税で最大50,000円、住民税で最大25,000円です。地震保険料が年間50,000円以下なら全額(所得税)、50,001円以上なら一律50,000円が控除額になります。旧長期損害保険料の場合は所得税で最大15,000円と上限が低くなります。
火災保険の保険料は地震保険料控除の対象になりますか?
いいえ。火災保険の保険料は2007年以降、所得控除の対象になりません。控除対象は火災保険に付帯する地震保険の保険料部分のみです。保険会社から届く控除証明書には地震保険部分の金額だけが記載されていますので、その金額で申告してください。
賃貸住宅に住んでいても地震保険料控除を受けられますか?
はい。賃貸住宅に住んでいる方でも、自分の家財に対して地震保険を掛けていれば控除対象です。火災保険に地震保険を付帯して家財を保障している場合は、忘れずに控除を申請しましょう。
複数年分の地震保険料を一括で支払った場合、控除はどうなりますか?
一括払保険料を保険期間(年数)で割った金額が、毎年の控除対象保険料になります。たとえば5年分10万円を一括で支払った場合、毎年2万円ずつ控除を受けます。保険会社から毎年控除証明書が届くので、それに記載された金額で申告してください。
旧長期損害保険料の控除はいつまで受けられますか?
経過措置に期限は設けられていないため、契約が継続し、3つの要件(2006年以前の契約・満期返戻金あり・保険期間10年以上・2007年以降に変更なし)を満たしている限り、控除を受け続けることができます。ただし、2007年以降に契約内容を変更(保険料の変更を伴うもの)すると、経過措置の対象外になるので注意してください。
地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合、どう計算すればいいですか?
別々の契約であれば、それぞれの控除額を計算して合算できます。ただし合計の上限は所得税5万円・住民税2.5万円です。1つの契約が両方に該当する場合は、いずれか一方しか選べません。通常は控除額が大きくなる地震保険料として申告した方が有利です。
地震保険料控除証明書を紛失した場合はどうすればいいですか?
保険会社に連絡すれば再発行してもらえます。通常1〜2週間で届きます。年末調整の提出期限に間に合わない場合は、翌年の確定申告(還付申告)で控除を受けることもできます。なお、団体特約で保険料が給与天引きされている場合は、控除証明書が不要なケースもあります。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 地震保険料控除は所得税で最大5万円・住民税で最大2.5万円の所得控除
  • 対象は地震保険料のみ。火災保険部分は対象外
  • 2006年以前契約の旧長期損害保険料も経過措置で控除対象(上限1.5万円)
  • 1つの契約が両方に該当する場合はいずれか一方を選択
  • 複数年分を一括払いした場合は保険期間で按分して毎年控除
  • 賃貸住宅でも家財の地震保険は控除対象

地震保険料控除は節税額こそ小さめですが、地震大国・日本では地震保険への加入自体が重要です。控除証明書が届いたら忘れずに年末調整や確定申告で申請してください。所得控除の全体像は「所得控除の種類と一覧」で解説していますので、あわせてご確認ください。

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