【税理士監修】生命保険金の非課税枠|500万円×法定相続人の活用法と注意点

監
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。
生命保険金の非課税枠|500万円×法定相続人の活用法と注意点
「生命保険金に相続税がかかるの?」「非課税枠はいくら?」とお悩みの方に向けて、500万円×法定相続人の計算方法・受取人別の按分ルール・契約形態ごとの課税関係を完全ガイドします。この記事を読めば、非課税枠を最大限活用する保険の加入設計ができるようになります。
🏆 結論:生命保険金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」
相続人が受け取る死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。配偶者+子2人なら1,500万円まで非課税。ただし受取人が相続人でなければ非課税枠は使えません。契約者=被保険者の契約形態にしておくことが相続税対策の基本です。非課税枠を使い切っていない場合は、追加の生命保険加入で節税効果が期待できます。
生命保険金の非課税枠とは?基本的なしくみ
生命保険金の非課税枠とは、被相続人(亡くなった方)の死亡によって相続人が受け取った死亡保険金のうち、一定額まで相続税がかからない制度です。相続税法第12条第1項第5号に規定されており、遺族の生活保障という生命保険の目的に配慮して設けられています。
非課税枠の計算式
非課税限度額の計算式は非常にシンプルです。
💡 非課税限度額の計算式
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
この非課税枠を超えた部分だけが相続税の課税対象になります。
たとえば法定相続人が配偶者+子2人の計3人であれば、非課税限度額は500万円×3人=1,500万円です。死亡保険金の合計が1,500万円以下であれば、生命保険金に対する相続税はゼロになります。
非課税枠が適用される要件
非課税枠の適用には、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
| 要件 |
内容 |
注意点 |
| ①被相続人が保険料を負担 | 保険料の全部または一部を被相続人が負担していたこと | 一部負担の場合は負担割合に応じた部分のみ対象 |
| ②受取人が相続人 | 死亡保険金の受取人が相続人であること | 相続放棄した人・相続権を失った人は対象外 |
| ③被相続人の死亡を原因 | 被相続人の死亡によって支払われる保険金であること | 入院給付金は非課税枠の対象外(別途相続財産) |
参考: 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
💡 実務のポイント
実務では「受取人が孫になっていた」ために非課税枠が使えなかったというケースをよく見かけます。被相続人が生前に受取人を変更していた場合や、離婚後に前配偶者のままになっている場合もあるため、保険証券の受取人欄は必ず確認してください。
法定相続人の数え方と非課税枠への影響
非課税枠の計算で使う「法定相続人の数」は、民法上の法定相続人の数とは異なるルールがあります。相続税法独自のカウント方法を正しく理解しておかないと、非課税枠を間違えることになります。
相続放棄があった場合
相続放棄をした人がいても、法定相続人の数では「放棄がなかったもの」として数えます。たとえば配偶者+子3人のうち子1人が相続放棄しても、法定相続人は4人のままです。したがって非課税枠は500万円×4人=2,000万円のまま変わりません。
ただし重要な注意点があります。相続放棄した人が受け取った死亡保険金には非課税枠は適用されません。保険金自体は受け取れますが、全額が課税対象になります。
養子がいる場合の制限
法定相続人に含められる養子の数には、相続税法上の制限があります。
| 実子の有無 |
法定相続人に算入できる養子の数 |
非課税枠への影響 |
| 実子あり | 養子1人まで | 最大500万円の増加 |
| 実子なし | 養子2人まで | 最大1,000万円の増加 |
参考: 国税庁「No.4170 相続人の中に養子がいるとき」
なお、以下の場合は実子とみなされるため、養子の数の制限を受けません。
📝 実子とみなされる養子
①特別養子縁組による養子 ②配偶者の実子で被相続人の養子になった者(連れ子養子) ③配偶者の特別養子で被相続人の養子になった者 ④代襲相続人である孫養子
家族構成別の非課税枠早見表
| 家族構成 |
法定相続人数 |
生命保険の非課税枠 |
基礎控除額 |
合計の非課税枠目安 |
| 配偶者のみ | 1人 | 500万円 | 3,600万円 | 4,100万円 |
| 配偶者+子1人 | 2人 | 1,000万円 | 4,200万円 | 5,200万円 |
| 配偶者+子2人 | 3人 | 1,500万円 | 4,800万円 | 6,300万円 |
| 配偶者+子3人 | 4人 | 2,000万円 | 5,400万円 | 7,400万円 |
| 子2人のみ(配偶者なし) | 2人 | 1,000万円 | 4,200万円 | 5,200万円 |
「法定相続人の範囲と相続分」では、相続人の判定方法や相続分の計算についてさらに詳しく解説しています。
受取人が複数いる場合の非課税枠の按分計算
死亡保険金の受取人が複数の相続人にわたる場合、非課税枠は「各人が受け取った保険金の割合」に応じて按分されます。1人あたり500万円という分け方ではないので注意が必要です。
按分計算の算式
📐 各相続人の非課税金額の計算式
非課税限度額 × その相続人が受け取った保険金額 ÷ 全相続人の保険金合計額
具体例:配偶者+長男+次男のケース
📐 シミュレーション前提条件
- 法定相続人:配偶者・長男・次男の3人
- 非課税限度額:500万円×3人=1,500万円
- 配偶者の受取保険金:2,000万円
- 長男の受取保険金:1,000万円
- 次男の受取保険金:なし
- 保険金合計:3,000万円
| 受取人 |
受取保険金 |
非課税金額 |
課税対象額 |
| 配偶者 | 2,000万円 | 1,000万円 | 1,000万円 |
| 長男 | 1,000万円 | 500万円 | 500万円 |
| 次男 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 合計 | 3,000万円 | 1,500万円 | 1,500万円 |
配偶者の非課税金額は1,500万円×(2,000万円÷3,000万円)=1,000万円、長男は1,500万円×(1,000万円÷3,000万円)=500万円となります。次男は保険金を受け取っていないため、非課税枠の按分はゼロです。
⚠️ 注意
相続放棄した人や相続権を失った人が受け取った保険金は、この按分計算の「全相続人の保険金合計額」に含めません。相続人以外の人が受け取った保険金には非課税枠が一切適用されないためです。
死亡退職金の非課税枠との違い
相続税法では、死亡退職金(被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金等)にも同様の非課税枠が設けられています。生命保険金の非課税枠とは別枠で計算される点が重要です。
| 項目 |
生命保険金の非課税枠 |
死亡退職金の非課税枠 |
| 計算式 | 500万円×法定相続人の数 | 500万円×法定相続人の数 |
| 根拠条文 | 相続税法12条1項5号 | 相続税法12条1項6号 |
| 対象 | 死亡保険金・損害保険金 | 退職手当金・功労金等 |
| 枠の合算 | それぞれ別枠で計算(合算不可・流用不可) |
たとえば法定相続人が3人の場合、生命保険金で1,500万円、死亡退職金で1,500万円、合わせて最大3,000万円の非課税枠を使えます。会社経営者や役員の方は、生命保険と死亡退職金の両方を計画的に準備しておくと効果的です。
💡 実務のポイント
中小企業のオーナー経営者の相続では、死亡退職金の支給を決議することで法人側で損金算入でき、相続人側では非課税枠が使えるという「両得」の効果があります。ただし、過大な退職金は税務調査で否認されるリスクがあるため、適正額の設定が重要です。
契約形態で変わる税金の種類|相続税・所得税・贈与税の比較
生命保険金にかかる税金は、「契約者(保険料負担者)」「被保険者」「受取人」の3者の関係によって、相続税・所得税・贈与税のいずれかに分かれます。非課税枠が使えるのは相続税が課税されるパターンだけです。
契約形態と課税関係の一覧
| 契約者(保険料負担者) |
被保険者 |
受取人 |
課税される税金 |
非課税枠 |
| 夫 | 夫 | 妻 | 相続税 | 使える ✅ |
| 夫 | 夫 | 子 | 相続税 | 使える ✅ |
| 妻 | 夫 | 妻 | 所得税(一時所得) | 使えない ❌ |
| 妻 | 夫 | 子 | 贈与税 | 使えない ❌ |
参考: 国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」
同じ2,000万円の保険金でこれだけ税額が変わる
📐 シミュレーション前提条件
- 死亡保険金:2,000万円
- 法定相続人:配偶者・長男・次男の3人
- その他の相続財産(保険金以外):6,000万円
- 債務・葬式費用:500万円
- 払込保険料総額:200万円(所得税計算用)
| 比較項目 |
①相続税パターン |
②所得税パターン |
③贈与税パターン |
| 契約形態 | 契約者=被保険者 | 契約者=受取人 | 3者全て異なる |
| 非課税枠の適用 | 1,500万円控除 | なし | なし |
| 課税対象額 | 500万円 | 875万円※ | 1,890万円 |
| 保険金にかかる税額の目安 | 約50万円 | 約175万円 | 約585万円 |
※所得税の課税対象額:(2,000万円−200万円−50万円)×1/2=875万円。概算値であり、個別の状況により異なります。
同じ2,000万円の保険金でも、契約形態の違いだけで税額に約535万円もの差が生まれます。相続対策として生命保険を活用するなら、「契約者=被保険者」「受取人=相続人」の組み合わせが鉄則です。
⚠️ 注意:契約形態は変更できる
保険の契約者・受取人は保険会社への届出で変更可能です(被保険者の変更は不可)。現在の契約が所得税や贈与税パターンになっている場合は、契約形態の変更を検討してください。ただし、変更のタイミングによっては課税関係が複雑になる場合もあるため、税理士に相談することをおすすめします。
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非課税枠の活用シミュレーション|追加加入でいくら節税できる?
すでに生命保険に加入しているが、非課税枠を使い切れていないケースは少なくありません。追加の保険加入でどれだけ節税できるかをシミュレーションしてみましょう。
遺産総額8,000万円・配偶者+子2人のケース
📐 シミュレーション前提条件
- 遺産総額(保険金含む):8,000万円
- 法定相続人:配偶者・長男・次男の3人
- 非課税限度額:500万円×3人=1,500万円
- 基礎控除:4,800万円
- 債務・葬式費用:なし(簡略化のため)
- 法定相続分どおりの分割を仮定
| 比較項目 |
保険なし |
保険500万円加入 |
保険1,500万円加入 |
| 生命保険金 | 0円 | 500万円 | 1,500万円 |
| 非課税適用額 | 0円 | 500万円 | 1,500万円 |
| 課税遺産総額 | 3,200万円 | 2,700万円 | 1,700万円 |
| 相続税総額(概算) | 約350万円 | 約275万円 | 約145万円 |
| 節税効果 | — | 約75万円 | 約205万円 |
※概算値です。配偶者の税額軽減(1億6,000万円まで非課税)を適用した場合、配偶者の相続税額はゼロとなるため、子の税額のみで計算しています。個別の状況により異なります。
非課税枠を1,500万円フルに活用すると、保険なしの場合と比べて約205万円の節税になります。預貯金で1,500万円を持っていれば全額課税対象ですが、同じ金額を生命保険にしておくだけで非課税にできるのが大きなメリットです。
相続税の計算方法の詳細は「相続税の計算方法」で解説しています。
生命保険を活用した相続対策の進め方
非課税枠の活用は、生命保険による相続対策の「入口」です。実際に保険を設計する際には、以下のステップで検討します。
ステップ1:現在の保険を棚卸しする
まず手持ちの保険証券を全て確認し、以下の情報を整理します。
| 確認項目 |
確認の目的 |
| 契約者・被保険者・受取人 | 課税される税金の種類を判定 |
| 死亡保険金額の合計 | 非課税枠の残りを把握 |
| 保険の種類(終身/定期/養老等) | 保障期間と解約返戻金の有無を確認 |
| 受取人の続柄 | 法定相続人でなければ非課税枠が使えない |
ステップ2:非課税枠の残りを計算する
非課税限度額(500万円×法定相続人の数)から、現在の死亡保険金合計を引いた額が「非課税枠の残り」です。この分だけ追加加入すれば、非課税枠をフル活用できます。
ステップ3:保険の種類を選ぶ
💡 実務のポイント:相続対策向きの保険種類
相続対策には終身保険が基本です。定期保険は保障期間が終了すれば死亡保険金が支払われないため、「いつ亡くなっても非課税枠が使える」状態にするには終身保険が適しています。一時払い終身保険であれば保険料を一括で支払うため、高齢の方でも加入しやすいのが特徴です。
加入前チェックリスト
| チェック項目 |
判断基準 |
| ☐ 非課税枠に余りがあるか | 既存保険の死亡保険金合計<非課税限度額なら余りあり |
| ☐ 契約形態は「契約者=被保険者」か | そうでなければ変更を検討 |
| ☐ 受取人は法定相続人か | 孫・甥姪が受取人なら非課税枠対象外 |
| ☐ 受取人を1人に集中させていないか | 遺産分割トラブル防止のため分散も検討 |
| ☐ 納税資金の確保が必要か | 不動産中心の資産構成なら保険で現金準備 |
| ☐ 二次相続まで考慮したか | 配偶者の相続も含めた総合的な保険設計が必要 |
非課税枠が使えないケース|入院給付金・生存給付金等の取扱い
生命保険から支払われるお金の中には、死亡保険金以外のものもあります。これらは非課税枠の対象にならないため、相続税の計算で混同しないよう注意が必要です。
| 保険金・給付金の種類 |
非課税枠 |
相続税の取扱い |
| 死亡保険金 | 適用あり ✅ | みなし相続財産 |
| 入院給付金(未請求のまま死亡) | 適用なし ❌ | 本来の相続財産 |
| 解約返戻金(契約者が被相続人) | 適用なし ❌ | 本来の相続財産 |
| 個人年金の受給権 | 適用なし ❌ | みなし相続財産(定期金の権利として評価) |
| 契約者貸付金(未返済) | 適用なし ❌ | 死亡保険金から差し引かれた上で判定 |
💡 実務のポイント
入院給付金が被相続人の生前に請求されていなかった場合、遺族が請求して受け取ることになります。この場合の入院給付金は「本来の相続財産」として相続税の課税対象になり、死亡保険金の非課税枠は使えません。死亡保険金と入院給付金が同時に振り込まれると区別がつきにくいため、保険会社からの支払明細書を必ず確認してください。
生命保険金と遺産分割の関係|受取人固有の財産とは
死亡保険金は民法上の「相続財産」ではなく、受取人固有の財産として扱われます。これは遺産分割の対象にならないという意味で、非常に重要なポイントです。
受取人固有の財産であることの実務上の意味
| 論点 |
死亡保険金の扱い |
通常の相続財産との違い |
| 遺産分割協議 | 対象外(協議不要で受取可) | 全相続人の合意が必要 |
| 相続放棄との関係 | 相続放棄しても受取可 | 相続放棄すれば取得不可 |
| 遺留分 | 原則として遺留分の対象外 | 遺留分の計算対象 |
| 債権者からの差押え | 被相続人の債権者は差押え不可 | 差押えの対象 |
📢 最高裁平成16年10月29日判決(特別受益性)
最高裁は、死亡保険金は原則として特別受益に該当しないとしつつも、「保険金の額、遺産総額に対する比率、被相続人との関係、各相続人の生活実態等を総合考慮し、到底是認できないほどの不公平が生じている特段の事情がある場合」には、特別受益に準じて持ち戻しの対象となりうるとしました。実務では遺産の50%を超える保険金がある場合に注意が必要です。
この「受取人固有の財産」という性質を利用すると、たとえば遺産分割協議が長期化しても、死亡保険金は受取人が単独で請求できます。葬儀費用や当面の生活費を速やかに確保するための手段としても、生命保険は有効です。
相続対策に効果的な保険加入の考え方
生命保険の非課税枠を活用するだけでなく、相続全体を見据えた保険設計のポイントを整理します。
目的別の保険活用パターン
| 目的 |
活用パターン |
保険種類の例 |
| 非課税枠の活用 | 500万円×法定相続人の数まで加入 | 終身保険(一時払い含む) |
| 納税資金の確保 | 不動産中心の遺産で現金が不足する場合 | 終身保険・定期保険 |
| 代償分割の原資 | 自宅を相続する子が他の相続人に代償金を払う | 終身保険 |
| 遺留分対策 | 特定の相続人に確実に渡したい財産がある場合 | 終身保険 |
📊 公認会計士の視点
法人で生命保険に加入し、死亡退職金として遺族に支給するスキームも検討に値します。法人が支払う保険料は一部損金算入でき、死亡退職金には別途500万円×法定相続人の非課税枠が使えるため、個人の生命保険非課税枠と合わせて二重のメリットが得られます。ただし保険料の損金算入ルールは令和元年に改正されているため、最新の取扱いを確認してください。
相続対策全体の設計については「相続税の仕組みと基礎知識」も参考にしてください。小規模宅地等の特例との組み合わせについては「小規模宅地等の特例の概要」で詳しく解説しています。
生命保険金の非課税枠でよくある失敗事例
実務で見かける失敗パターンを紹介します。同じミスをしないよう、事前に確認しておきましょう。
失敗事例1:受取人が孫で非課税枠が使えなかった
被相続人が「孫に直接渡したい」という意向で受取人を孫にしていたケース。孫は法定相続人ではないため(代襲相続の場合を除く)、非課税枠の適用がなく、全額が課税対象になりました。さらに、孫は相続税額の2割加算の対象にもなるため、税負担が大幅に増加しました。
失敗事例2:離婚後の前配偶者が受取人のままだった
保険加入後に離婚したが、受取人を変更していなかったケース。前配偶者は法定相続人ではないため、非課税枠は適用されません。離婚後の受取人変更は見落としやすいポイントです。
失敗事例3:入院給付金を非課税枠に含めて申告した
保険会社から死亡保険金と入院給付金が同時に振り込まれたため、合計額に対して非課税枠を適用してしまったケース。入院給付金は非課税枠の対象外であるため、税務調査で修正申告を求められました。
失敗事例4:相続放棄した相続人が非課税枠を使えると思っていた
借金を避けるため相続放棄した子が死亡保険金を受け取ったケース。保険金自体は受け取れますが、相続放棄した人には非課税枠が適用されず、受け取った保険金の全額が課税対象になりました。
💡 実務のポイント
相続放棄を検討する場合は、生命保険金の非課税枠が使えなくなることを事前に織り込んで判断する必要があります。借金の額と保険金の額を比較し、相続放棄のメリット・デメリットを総合的に検討してください。
生命保険金の相続税申告における必要書類と記載方法
死亡保険金を受け取った場合、相続税の申告が必要になることがあります。申告の要否と必要書類を整理します。
申告が必要かどうかの判定
遺産総額(死亡保険金の非課税枠控除後の額を含む)が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告が必要です。基礎控除額以下であれば申告不要です。
申告に必要な書類
| 書類名 |
入手先 |
用途 |
| 保険金支払通知書 | 保険会社 | 保険金額・受取人の確認 |
| 保険証券の写し | 保険会社 | 契約者・被保険者・受取人の確認 |
| 相続税申告書 第9表 | 国税庁HP/税務署 | 生命保険金などの明細書 |
| 相続税申告書 第10表 | 国税庁HP/税務署 | 退職手当金などの明細書(退職金がある場合) |
相続税の申告期限は、被相続人が死亡した日の翌日から10ヶ月以内です。この期限を過ぎると加算税や延滞税がかかる場合があるため、早めの準備をおすすめします。
よくある質問(FAQ)
生命保険金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」ですが、基礎控除と合算して使えますか?
はい、生命保険金の非課税枠と相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)はそれぞれ別の制度です。保険金から非課税枠を差し引いた後の金額を他の相続財産と合算し、そこからさらに基礎控除を差し引いて課税遺産総額を計算します。
相続放棄した子どもが死亡保険金を受け取れますか?
受け取ること自体は可能です。死亡保険金は受取人固有の財産であり、相続放棄しても受取権は失われません。ただし、相続放棄した人は非課税枠の適用を受けられないため、受け取った保険金の全額が相続税の課税対象(遺贈として取得したものとみなされる)になります。
受取人を孫にした場合、非課税枠は使えますか?
孫が法定相続人でなければ非課税枠は使えません。孫が法定相続人となるのは、代襲相続(孫の親である子が先に死亡している場合)のケースです。それ以外の場合、孫が受け取った保険金は全額が課税対象となり、さらに相続税額の2割加算も適用されます。
死亡保険金を年金形式で受け取る場合も非課税枠は適用されますか?
年金形式で受け取る場合は、年金受給権の評価額に対して相続税が課税されます。この年金受給権に対して非課税枠の適用は可能です。ただし、2年目以降に受け取る年金のうち相続税の課税対象とならなかった部分は、雑所得として所得税が課税されます。
複数の保険会社から死亡保険金を受け取った場合、非課税枠はどう計算しますか?
全ての保険会社から受け取った死亡保険金を合算した金額に対して、一括で非課税枠を適用します。保険会社ごとに500万円ずつ非課税になるわけではありません。たとえば法定相続人3人の場合、A社から1,000万円、B社から800万円を受け取ると合計1,800万円。非課税枠1,500万円を差し引いた300万円が課税対象です。
生命保険金の非課税枠を超えた場合、すぐに相続税がかかりますか?
非課税枠を超えた部分は他の相続財産と合算されますが、その合計から基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引いてもまだ残額がある場合に初めて相続税がかかります。非課税枠を超えたからといって直ちに課税されるわけではありません。
生前贈与と生命保険の非課税枠、どちらが節税効果が高いですか?
一概にはいえませんが、それぞれ異なるメリットがあります。暦年贈与は年110万円の基礎控除があり長期間かけて多額の資産を移転できます。一方、生命保険の非課税枠は一括で500万円×法定相続人の数の非課税効果があり、かつ受取人を確定できるため遺産分割対策にもなります。両方を組み合わせるのが効果的です。贈与税の基本については「
贈与税の仕組みと基礎知識」をご覧ください。
まとめ
📋 この記事のポイント
- 生命保険金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」で計算する
- 非課税枠が使えるのは、受取人が「相続人」である場合のみ(相続放棄した人・孫などは対象外)
- 契約形態は「契約者=被保険者」にするのが相続税対策の基本
- 死亡退職金にも同額の非課税枠があり、生命保険とは別枠で使える
- 受取人が複数いる場合は、受取金額の割合に応じて非課税枠を按分する
- 入院給付金・解約返戻金には非課税枠は適用されない
- 非課税枠を使い切っていない場合は、追加の終身保険加入で節税効果が期待できる
生命保険金の非課税枠は、相続税対策のなかでも手続きがシンプルで効果が大きい方法です。まずはお手元の保険証券を確認し、非課税枠を使い切れているかチェックしてみてください。最適な保険設計や相続税全体の対策については、専門家にご相談されることをおすすめします。
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