相続税がかかる財産・かからない財産|課税財産と非課税財産の一覧

相続税がかかる財産・かからない財産|課税財産と非課税財産の一覧
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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「自宅は相続税の対象?」「お墓や仏壇はどうなる?」とお悩みの方に向けて、相続税がかかる財産とかからない財産を一覧表で整理します。この記事を読めば、課税対象の財産を正確に把握し、申告漏れを防ぐことができます。

🏆 結論:金銭的価値があるものは原則すべて課税対象

相続税は、被相続人が亡くなった時点で所有していた金銭的価値のあるすべての財産に課税されるのが原則です。現金・預貯金・不動産・有価証券はもちろん、ゴルフ会員権や貸付金、暗号資産まで対象となります。一方、墓地・仏壇や生命保険金の非課税枠など「法律で非課税と定められた財産」もあります。申告漏れを防ぐために、まず課税財産を網羅的に洗い出すことが重要です。

相続税がかかる財産の一覧|課税対象となる3つの区分

相続税の課税対象となる財産は、大きく3つの区分に分かれます。①本来の相続財産、②みなし相続財産、③生前贈与加算の対象となる財産です。

①本来の相続財産(被相続人が所有していた財産)

財産の種類 具体例 評価方法のポイント
現金・預貯金銀行預金・郵便貯金・タンス預金・貸金庫内の現金死亡日時点の残高+経過利息
不動産(土地)宅地・農地・山林・借地権・貸宅地路線価方式 or 倍率方式(時価の約80%)
不動産(建物)自宅・賃貸アパート・マンション固定資産税評価額(時価の50〜70%)
有価証券上場株式・投資信託・公社債・外国株式死亡日・月平均等の最安値
非上場株式(自社株)同族会社の株式・出資持分純資産価額方式・類似業種比準方式等
動産自動車・貴金属・美術品・骨董品・家具売買実例価額や精通者意見等
権利・その他ゴルフ会員権・貸付金・著作権・特許権・売掛金取引相場×70%(会員権)等
暗号資産ビットコイン・イーサリアム等死亡日の取引価格
海外財産海外の預金・不動産・有価証券国内財産と同じ方法で評価

参考: 国税庁「No.4105 相続税がかかる財産」

💡 実務のポイント

税務調査で最も多い指摘は「名義預金」の計上漏れです。子ども名義の預金でも、入金元が被相続人であれば課税対象になります。通帳の管理者・届出印・ATMカードの所持者を客観的に説明できるかがポイントです。過去10年分の入出金履歴を確認されるケースが多いので、事前に整理しておくことをお勧めしています。

②みなし相続財産(法律上は相続財産ではないが課税対象となるもの)

被相続人の死亡に伴い支払われる保険金や退職金など、法律上は相続財産ではありませんが、相続税法上は「相続財産とみなして」課税される財産があります。

みなし相続財産 非課税枠 注意点
生命保険金(死亡保険金)500万円×法定相続人の数被相続人が保険料を負担していた場合のみ。契約形態で税金の種類が変わる
死亡退職金500万円×法定相続人の数死亡後3年以内に支給が確定したもの
年金受給権(個人年金等)なし年金の未収分は受給権として評価。公的年金の遺族年金は非課税
弔慰金(非課税限度額超過分)業務上死亡:普通給与3年分、それ以外:6か月分超過分は退職金扱いで課税

⚠️ 注意:生命保険は契約形態で課税される税金が変わる

生命保険金が相続税の課税対象となるのは、被相続人が保険料を負担し、被相続人が被保険者のケースのみです。契約者と受取人が同一人物の場合は所得税、契約者・被保険者・受取人が全員異なる場合は贈与税がかかります。保険契約の見直しの際は、契約形態による税負担の違いを必ず確認してください。

生命保険金の非課税枠について詳しくは「生命保険金の非課税枠|500万円×法定相続人の活用法と注意点」で解説しています。

③生前贈与加算の対象となる財産

贈与の種類 加算の範囲 評価時点
暦年課税の贈与相続開始前7年以内(経過措置あり)贈与時の価額
相続時精算課税の贈与全額(基礎控除110万円/年を除く)贈与時の価額
教育資金の一括贈与(管理残額)使い切れなかった残額死亡日の残額
結婚・子育て資金の一括贈与(管理残額)使い切れなかった残額死亡日の残額

💡 実務のポイント

令和6年以降の相続では、暦年課税の生前贈与加算の期間が段階的に3年から7年に延長されています。これにより、以前は加算の対象外だった4〜7年前の贈与も課税価格に含まれるようになりました。被相続人の過去の贈与税申告書の控えを必ず確認し、漏れなく加算してください。

相続税がかからない財産の一覧|非課税財産8つ

相続税法第12条等により、以下の財産には相続税がかかりません。

# 非課税財産 注意・例外
1墓地・墓石・仏壇・仏具・神棚など日常礼拝の対象骨董品・投資目的の高額品は課税対象
2生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)非課税枠を超えた部分は課税対象
3死亡退職金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)非課税枠を超えた部分は課税対象
4公益事業に使われることが確実な財産2年以内に事業に供さないと課税
5心身障害者共済制度の給付金を受ける権利地方公共団体の条例に基づくもの
6個人経営の幼稚園・特別支援学校等の事業用財産相続人が引き続き経営することが条件
7国・地方公共団体・公益法人等への寄附財産申告期限までに寄附が完了していること
8特定公益信託の信託財産として支出した金銭認定特定公益信託であること

参考: 国税庁「No.4108 相続税がかからない財産」

📊 公認会計士の視点

非課税財産を活用した節税対策として「生前にお墓や仏壇を購入しておく」方法があります。生前に購入すれば現金が減り(課税対象が減少)、購入したお墓や仏壇は非課税財産になるため、二重の効果があります。ただし、ローンで購入した場合の残債は債務控除の対象にならないため、必ず現金で購入してください。

公益法人等への寄附による非課税の要件

相続財産を公益法人や国・地方公共団体に寄附した場合、一定の要件を満たせば相続税の課税対象から除外されます(租税特別措置法第70条)。

非課税が認められる3つの要件

要件 内容 具体例
寄附先が国・地方公共団体・特定の公益法人・認定NPO法人であること大学法人・社会福祉法人・認定NPO法人等
相続税の申告期限までに寄附が完了していること被相続人の死亡から10か月以内
寄附により寄附者やその親族の税負担が不当に減少しないこと自身が理事を務める法人への寄附等は否認リスクあり

💡 実務のポイント

公益法人への寄附による非課税の適用を受けるには、「相続した財産そのもの」を寄附する必要があります。たとえば相続した土地をまず売却し、売却代金を寄附した場合は、この特例の対象になりません。また、寄附先の公益法人は寄附を受けた日から2年以内に公益事業に供する必要があります。

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葬式費用として控除できるもの・できないもの

相続税の計算では、被相続人の葬式費用を遺産総額から差し引くことができます。ただし、すべての支出が控除対象になるわけではありません。

支出の内容 控除 備考
通夜・告別式の費用会場費・飲食代・読経料を含む
葬儀社への支払い祭壇・棺・霊柩車等
お寺へのお布施・戒名料領収書がなくてもメモで可
火葬・埋葬・納骨費用
遺体の搬送費用病院から自宅・葬儀場への搬送
香典返し×香典は非課税だが返礼品は控除不可
初七日・四十九日の法事×葬儀後の法要費用は対象外
墓石・墓地の購入費×非課税財産の取得費用は控除不可

参考: 国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」

見落としやすい課税財産チェックリスト

相続税の申告で見落としやすい財産を一覧にまとめました。申告前の最終確認にご活用ください。

見落としやすい財産 なぜ見落とすか 調べ方
名義預金子ども名義のため被相続人の財産と認識しにくい入金元・管理者・届出印の確認
タンス預金・貸金庫口座に記録がないため把握困難自宅の現金・貸金庫の有無を確認
会社への貸付金経営者本人が忘れている会社の決算書(借入金明細)を確認
暗号資産(仮想通貨)通帳等に記録されない取引所の口座・メールを確認
ネット銀行・ネット証券通帳がなくPC/スマホのみで管理メール・アプリの履歴を確認
未収の配当金・利息死亡日以降に入金されるため見落としやすい証券会社・銀行への残高証明依頼
生命保険の解約返戻金被相続人が保険料を負担し、他者が契約者の場合生命保険契約の一覧を保険会社に照会
海外の預金・不動産国内の金融機関からは把握できない国外財産調書・パスポートの出入国記録を確認

💡 実務のポイント

最近増えているのが暗号資産の申告漏れです。国税庁は暗号資産取引所に対して情報照会を行う体制を整備しており、口座情報は把握されています。また、亡くなった直前に引き出した現金(いわゆる「枕元預金」)も課税対象です。死亡直前の大口の出金は必ず税務調査で確認されますので、使途を明確にしておくことが重要です。

債務控除の対象となるもの・ならないもの

被相続人の債務(借入金・未払い金等)は、遺産総額から控除して課税価格を計算します。ただし、すべての債務が控除対象になるわけではありません。

債務の種類 控除 備考
銀行借入金・住宅ローン(団信なし)死亡日時点の残高
未払いの所得税・住民税・固定資産税死亡日までに確定しているもの
未払いの医療費・介護費
住宅ローン(団信あり)×死亡により残高が保険で補填されるため
墓地・仏壇のローン×非課税財産の取得に係る債務は控除不可
保証債務主債務者が返済不能で求償権行使が困難な場合のみ控除可

相続税の計算方法について詳しくは「相続税の計算方法|税率・速算表・2割加算を具体例で解説」で解説しています。

「課税?非課税?」迷いやすい財産の判定一覧

実際の相続では「この財産は課税対象なのか?」と迷うケースが多くあります。よくある質問を判定表で整理しました。

財産の種類 課税? 根拠・理由
お墓・墓石×日常礼拝の対象(相続税法第12条)
純金製の仏像(投資目的)投資対象の骨董品は課税
遺族年金(国民年金・厚生年金)×遺族の固有の権利であり相続財産ではない
個人年金保険の年金受給権みなし相続財産として課税
未支給年金(公的年金)×相続財産ではなく遺族の所得(所得税対象)
香典×社会通念上相当な範囲内は非課税
損害賠償金(死亡事故)×遺族の固有の権利として取得
電話加入権評価額は1,500円(平成16年以降固定)
庭木・庭石土地と別に評価される動産扱い

相続税の基礎控除や仕組みの概要については「相続税とは?課税の仕組み・対象者・基礎控除をわかりやすく解説」をご覧ください。

小規模宅地等の特例による評価減

不動産は課税対象ですが、一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例により最大80%の評価減が受けられます。これは非課税とは異なり「評価額を下げる」制度ですが、実質的な税負担軽減効果は非常に大きいです。

区分 限度面積 減額割合 主な要件
特定居住用宅地330㎡80%配偶者が取得、または同居親族が申告期限まで居住・保有
特定事業用宅地400㎡80%親族が事業を承継し、申告期限まで事業継続・保有
貸付事業用宅地200㎡50%親族が貸付事業を承継し、申告期限まで保有

小規模宅地等の特例の詳細は「小規模宅地等の特例の概要」で解説しています。

よくある質問(FAQ)

名義預金は相続税の課税対象ですか?
はい、課税対象です。預金口座の名義が子どもや配偶者であっても、実質的に被相続人の資金で形成され、被相続人が管理していた場合は「名義預金」として相続財産に含まれます。税務調査で最も多い指摘事項の一つであり、被相続人の口座から名義預金への送金履歴は税務署が金融機関に照会して把握しています。
お墓を生前に購入すると相続税の節税になりますか?
はい、節税効果があります。お墓は非課税財産なので、生前に現金で購入すれば課税対象の現金が減り、取得したお墓には相続税がかかりません。ただし、ローンで購入した場合の残債は債務控除の対象にならないため、必ず現金で一括購入することが重要です。
遺族年金は相続税がかかりますか?
国民年金や厚生年金の遺族年金には相続税はかかりません。遺族年金は遺族固有の権利であり、相続財産ではないためです。ただし、民間の個人年金保険の年金受給権は「みなし相続財産」として課税対象になります。年金の種類によって取扱いが異なるため注意が必要です。
香典は相続税の課税対象ですか?
社会通念上相当な範囲の香典は課税対象になりません。香典は故人ではなく喪主(遺族)が受け取るものであり、相続財産には含まれません。ただし、香典返しの費用は葬式費用として控除することもできません。
生命保険金の非課税枠は誰でも使えますか?
非課税枠が適用されるのは法定相続人が受け取った死亡保険金のみです。相続人でない方(相続放棄した人や法定相続人以外の受遺者)が受け取った保険金には非課税枠は適用されません。非課税枠は法定相続人全体で500万円×法定相続人の数を按分する形で計算されます。
暗号資産(仮想通貨)は相続税の対象ですか?
はい、課税対象です。暗号資産は死亡日時点の取引所における取引価格で評価します。複数の取引所に口座がある場合はすべての口座を確認する必要があります。秘密鍵やパスワードの情報がないとアクセスできないケースがあるため、生前に情報を家族と共有しておくことが重要です。
死亡直前に引き出した現金は相続税の対象ですか?
はい、課税対象です。死亡直前に銀行口座から引き出した現金であっても、被相続人が所有していた財産であることに変わりはありません。手元に残っている現金はもちろん、使途が不明な引き出しについても税務調査で確認されます。入院費用や介護費用に充てたことが明確であれば問題ありませんが、使途を説明できるよう記録を残しておくことをお勧めします。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 課税対象は、本来の相続財産+みなし相続財産+生前贈与加算の3区分
  • 非課税財産は主に8種類:墓地・仏壇、生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)、死亡退職金の非課税枠、公益法人への寄附など
  • 名義預金・タンス預金・暗号資産・会社への貸付金は見落としやすい課税財産の代表格
  • 葬式費用は通夜・告別式・お布施が控除対象。香典返し・初七日以降の法事は対象外
  • 団体信用生命保険付き住宅ローンは債務控除の対象外(保険で返済されるため)
  • 墓地・仏壇のローン残債は債務控除の対象外。生前に現金で購入するのが節税のポイント

相続財産の洗い出しは相続税申告の第一歩ですが、見落としがあると税務調査で指摘され、加算税・延滞税が課されるリスクがあります。特に不動産や名義預金がある場合は、税理士に相談して正確な財産一覧を作成することをお勧めします。

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