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裁量労働制(専門業務型・企画業務型)の導入要件と実務上の注意点
「裁量労働制を導入したいが2024年改正で何が変わったか」という経営者・人事担当者に向けて、20業務リスト・本人同意要件・健康福祉確保措置を完全ガイドします。この記事を読めば、適法要件を満たした導入・継続ができるようになります。


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🏆 結論:2024年4月改正で本人同意と健康福祉確保措置が必須化。既存導入企業も労使協定の再締結が必要
裁量労働制は、業務遂行方法を労働者の裁量に委ね、みなし労働時間で賃金を計算する制度です。専門業務型(労基法38条の3)は20業務限定、企画業務型(38条の4)は企業の中枢業務限定。2024年4月施行の改正により、①本人同意の取得、②健康福祉確保措置の強化、③労使協定・決議の記載事項追加が必須化されました。既存導入企業も再届出が必要となり、対応を怠ると制度自体が無効化し、実労働時間ベースの残業代遡及請求リスクが生じます。
裁量労働制は、業務の性質上、業務遂行の手段・方法・時間配分を使用者が具体的に指示することが困難な業務について、実際の労働時間にかかわらず、労使協定で定めた時間を労働したものと「みなす」制度です。労働基準法第38条の3(専門業務型)と第38条の4(企画業務型)で規定されています。
⚠️ よくある誤解
「裁量労働制なら残業代を払わなくていい」という誤解が根強くあります。実際には、みなし労働時間が8時間を超える場合はその超過分の割増賃金が発生し、深夜(22時〜5時)や法定休日の労働には別途25%・35%の割増賃金が発生します。残業代の完全免除ではなく、「みなし時間でまとめて支払う仕組み」と理解すべきです。
従来、本人同意が必要だったのは企画業務型のみでしたが、2024年4月以降は専門業務型でも本人同意の取得が必須となりました。労使協定に「対象労働者の同意を得なければならない」「同意しなかった労働者に不利益な取扱いをしない」旨を定める必要があります。
労働者が一度同意した後でも、その同意を撤回する手続きを労使協定等に定める必要があります。撤回した場合、裁量労働制の適用は終了し、実労働時間ベースでの管理に戻ります。
従来は企画業務型のみに求められていた健康福祉確保措置が、専門業務型にも同等の対応が望ましいとされました。厚生労働省「専門業務型裁量労働制の解説(2024/3)」に詳細が記載されています。
| カテゴリ | 実施が望まれる措置(各1つ以上) |
|---|---|
| 長時間労働抑制(全員対象) | ①勤務間インターバル ②深夜業回数の制限 ③一定時間超過時の適用解除 ④連続年休取得 |
| 勤務状況・健康改善(個別対応) | ①医師の面接指導 ②代償休日または特別休暇 ③健康診断の実施 ④カウンセリング等の提供 |
📢 2024年4月改正(既存導入企業も対応必須)
改正施行前から専門業務型裁量労働制を導入していた企業も、2024年4月以降、新しい要件を満たした労使協定を締結し直し、労基署に再度届出を行う必要があります。再届出を怠ったまま運用を続けていると、制度自体が無効と判断され、実労働時間ベースで残業代の遡及請求リスクが発生します。
専門業務型裁量労働制は、労働基準法施行規則第24条の2の2および告示により、以下の20業務に限定されています。これ以外の業務には適用できません。
労働基準法施行規則第24条の2の2と関連告示により、以下の20業務が対象です。
| 分類 | 対象業務 |
|---|---|
| 研究・開発系 | ①新商品・新技術の研究開発/②人文科学・自然科学に関する研究 |
| IT・設計系 | ③情報処理システムの分析・設計/④ソフトウェア開発に該当するシステムコンサルタント |
| マスコミ・デザイン系 | ⑤取材・編集(新聞・出版・放送)/⑥衣服等のデザイン/⑦放送番組等のプロデューサー/⑧コピーライター/⑨放送番組等のディレクター |
| 士業系 | ⑩公認会計士/⑪弁護士/⑫建築士/⑬不動産鑑定士/⑭弁理士/⑮税理士/⑯中小企業診断士 |
| その他 | ⑰ゲーム用ソフトウェアの創作/⑱証券アナリスト/⑲金融工学等を用いた金融商品開発/⑳M&Aアドバイザー(2024年追加) |
2024年4月改正で、銀行・証券会社等の金融機関におけるM&Aアドバイザリー業務が対象業務に追加されました。高度専門職として業務遂行の裁量性が高いことが評価されたものです。
「研究開発」「ソフトウェア開発」など抽象的な業務名だけでは適用できません。実態が以下を満たす必要があります。
AYUSAWA PARTNERS
裁量労働制の導入・再届出は鮎澤パートナーズへ
2024年改正対応の労使協定作成、健康福祉確保措置の設計、労基署届出まで社労士がワンストップで対応します。初回相談無料。
鮎澤パートナーズに相談する企画業務型裁量労働制は労基法38条の4に規定され、以下の全要件を満たす業務に適用できます。
以下のいずれかに該当する事業場が対象です。
支店・工場・店舗など、本社決定事項を遂行するのみの事業場では導入できません。
企画業務型は専門業務型と違い、労使委員会の設置と5分の4以上の多数決が必要です。単なる労使協定では導入できません。労使委員会は以下の要件を満たす必要があります。
| 項目 | 専門業務型 | 企画業務型 |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 労基法38条の3 | 労基法38条の4 |
| 対象業務 | 法定20業務のみ | 企画・立案・調査・分析業務 |
| 対象事業場 | 制限なし | 本社・支社等の中枢事業場 |
| 導入手続き | 労使協定+労基署届出 | 労使委員会の5/4決議+労基署届出 |
| 本人同意 | 必要(2024年〜) | 必要(従前から) |
| 報告義務 | 定期報告なし | 6か月以内ごとに定期報告 |
専門業務型の記載事項に加え、以下が必要です。
みなし労働時間は、労使協定等で具体的な時間数として定めます。業務の性質と実態を踏まえて設定しますが、実労働時間から著しく乖離していると、裁量労働制そのものが無効と判断されるリスクがあります。
🧮 具体例:みなし労働時間9時間の場合の賃金計算
基本給25万円、月所定労働時間160時間(1日8時間×20日)のケースでみなし9時間設定。
■時給換算:250,000円 ÷ 160時間 = 1,562.5円
■日額(みなし9時間):1,562.5円 × 8時間 + 1,562.5円 × 1.25 × 1時間 = 14,453円
■月額(20日):14,453円 × 20日 = 289,060円
毎月の基本給とは別に、20日×1時間×1.25 = 25時間分の時間外割増相当額が発生します。固定残業代として織り込むのが実務です。
みなし労働時間は平日の所定労働時間の「みなし」であり、深夜(22時〜5時)と法定休日労働は別途割増賃金が発生します。深夜労働の自己申告漏れを防ぐため、勤怠管理システムで労働時間の状況を把握することが必要です。
専門業務型なら20業務のいずれに該当するか、企画業務型なら企業中枢業務に該当するかを判定します。ここでの判定ミスが最も多い失敗ポイントです。
裁量労働制を適用するには、就業規則や個別労働契約に根拠規定を設ける必要があります。労使協定・決議だけでは不十分です。
専門業務型は労使協定、企画業務型は労使委員会の5分の4以上の決議が必要です。2024年改正の本人同意・健康福祉確保措置を必ず含めます。
専門業務型・企画業務型ともに労基署への届出が必須です。企画業務型は決議後6か月以内ごとに定期報告も必要です。
書面で本人同意を取得し、記録を3年間保存します。同意しない労働者への不利益取扱いは禁止されています。
2019年の労働安全衛生法改正により、裁量労働制の適用労働者も実労働時間の把握が事業者の義務となりました。タイムカード・パソコンログ等の客観的記録で把握する必要があります。
実労働時間が慢性的にみなし時間を大きく超えている場合、制度自体の見直しまたはみなし時間の引き上げを検討します。放置すると健康障害リスクが高まるだけでなく、制度無効と判断されるリスクも生じます。
💡 実務のポイント
弊所の顧問先で2024年4月改正対応のために裁量労働制の見直しを行ったケースでは、既存の労使協定10社中8社で「本人同意」「同意撤回手続き」の記載漏れがありました。改正対応として新たに労使協定を締結し直し、対象労働者80名から個別同意書を取得、労基署への再届出を完了しました。未対応のまま続けていた場合、制度無効で遡及残業代が発生していた可能性があります。
📋 この記事のポイント
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