決算代行の費用相場と依頼先の選び方|丸投げのメリット・デメリット

決算代行の費用相場と依頼先の選び方|丸投げのメリット・デメリット
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

「決算を税理士に頼むといくらかかる?」「記帳代行も含めて丸投げしたいけど費用が不安」——そんな経営者に向けて、決算代行の費用相場を年商別・依頼パターン別に解説。自社で対応した場合との年間コスト比較や、依頼先の選び方まで完全ガイドします。

🏆 結論:決算代行の費用は年商・依頼範囲・仕訳数で決まる

決算申告のみなら10〜20万円、記帳代行+決算のパッケージなら年間40〜80万円、フルパッケージの丸投げなら年間85〜120万円が相場です。ただし「安さ」だけで選ぶと節税提案ゼロ・税務調査に無防備というリスクがあります。経理社員を1名雇用する年間コスト(300〜400万円)と比較すれば、税理士への決算代行は圧倒的にコスパが良い投資です。

決算代行とは?依頼できる業務の範囲

決算代行とは、法人の決算書・税務申告書の作成から電子申告までを税理士に委託するサービスです。ただし「決算代行」の範囲は事務所によって異なり、大きく4つのパターンに分かれます。

依頼パターン4つの違い

パターン 含まれる業務 向いている企業
①決算申告のみ決算書・申告書の作成・電子申告自社で記帳を完了できる企業
②記帳代行+決算①+日常の仕訳入力・帳簿作成経理担当者がいない小規模法人
③顧問契約+決算②+月次試算表・節税相談・経営アドバイス成長期の中小企業
④丸投げフルパッケージ③+給与計算・年末調整・償却資産申告管理部門がない法人

法人決算の全体像については「法人決算の流れ完全ガイド」で詳しく解説しています。

💡 実務のポイント

「決算だけお願いしたい」という依頼を受けることがありますが、年に1回しか帳簿を見ない決算のみ契約では、期中の経費計上漏れや消費税の区分誤りを決算時に一気に修正することになり、結果的に工数が増えて割高になるケースがあります。月次で帳簿をチェックする顧問契約の方が、長期的にはコストパフォーマンスが良いことが多いです。

決算代行の費用相場【年商別・パターン別】

決算代行の費用は主に年商(売上高)、仕訳数、依頼する業務範囲によって決まります。以下は一般的な税理士事務所の料金相場です。

年商別×パターン別の費用シミュレーション

📐 シミュレーション前提条件

  • 法人(株式会社)、従業員5名以下
  • 月間仕訳数:100〜200件
  • 消費税の申告あり(原則課税)
  • 年末調整・法定調書・償却資産申告を含む
依頼パターン 年商1,000万円 年商3,000万円 年商5,000万円
①決算申告のみ10〜15万円15〜20万円20〜30万円
②記帳代行+決算30〜45万円/年45〜65万円/年60〜85万円/年
③顧問契約+決算35〜55万円/年50〜75万円/年70〜100万円/年
④丸投げフルパッケージ50〜70万円/年70〜100万円/年90〜130万円/年

※上記は概算値です。事務所や地域によって差があります。正確な見積もりは個別にご確認ください。

費用が変動する主な要因

決算代行の費用は以下の要因で上下します。年商だけでなく、これらの要素を総合的に考慮して見積もりを評価してください。

変動要因 費用が高くなる場合 費用が低くなる場合
月間仕訳数300件以上50件未満
消費税原則課税(仕入税額控除の計算が複雑)免税事業者 or 簡易課税
資料の整理状態領収書が未整理・段ボール渡し日付順にファイリング済み
会計ソフト紙の帳簿のみクラウド会計で銀行連携済み
依頼時期決算月の直前(特急料金)決算月の3ヶ月以上前

「自社で対応」vs「税理士に依頼」年間コスト比較

「税理士に頼まず自分でやれば安く済む」と考える経営者もいますが、経営者自身の時間コストや経理社員の人件費を含めて比較すると、結論が変わることが多いです。

3パターンの年間コスト比較

📐 シミュレーション前提条件

  • 年商3,000万円の法人、従業員5名
  • 月間仕訳数150件
  • 経営者の時給換算:5,000円(年収1,000万円÷年間2,000時間)
項目 自社(経営者が兼務) 経理社員を雇用 税理士に丸投げ
人件費/顧問料0円(表面上)300〜400万円/年70〜100万円/年
経営者の機会損失月20時間×5,000円=120万円/年月2時間=12万円/年月1時間=6万円/年
申告ミスのリスク高い中程度低い
節税提案なし限定的あり
実質年間コスト約120万円約312〜412万円約76〜106万円

経営者が月20時間を経理に費やしている場合、その時間を営業や事業開発に回せば売上増加に直結します。税理士への丸投げは「コスト」ではなく「本業への時間を買う投資」と捉えるべきです。

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丸投げのメリット5つ

メリット1:本業に集中できる

最大のメリットは、煩雑な経理・決算業務から完全に解放され、経営者が売上拡大や事業開発に時間を使えることです。実務の現場では、決算代行を依頼した経営者の多くが「もっと早く頼めばよかった」と口にします。

メリット2:申告の正確性が上がる

税理士が申告書に署名することで、税務申告の正確性が担保されます。自社で申告した場合に比べて、税務調査で指摘を受けるリスクが大幅に低下します。税理士法第33条の2に基づく書面添付がある場合は、税務署が調査前に税理士に意見聴取を行うため、不必要な調査を回避できる効果もあります。

メリット3:節税提案を受けられる

顧問契約型の決算代行であれば、決算の数字を見ながら役員報酬の最適化、減価償却方法の選択、各種特例の適用など、具体的な節税提案を受けられます。年間数十万円の節税効果があれば、顧問料は実質無料になります。

メリット4:経理社員の人件費を削減できる

経理担当者を1名雇用すると年間300〜400万円(給与+社会保険料+福利厚生費)がかかります。税理士への丸投げなら年間70〜130万円で済むため、大幅なコスト削減になります。

メリット5:融資・補助金申請がスムーズ

税理士が作成した決算書は金融機関からの信頼度が高く、融資審査が通りやすい傾向があります。また、認定支援機関である税理士事務所なら、経営力向上計画や各種補助金の申請サポートも受けられます。

丸投げのデメリット4つと対策

デメリット1:費用がかかる

当然ながら外注費用が発生します。ただし前述のとおり、経営者の機会損失や経理社員の人件費と比較すれば、多くのケースで税理士への丸投げの方が実質コストは低くなります。

デメリット2:リアルタイムの経営数字が把握しにくい

資料を税理士事務所に送ってから帳簿が完成するまでタイムラグがあります。対策としては、クラウド会計ソフトを導入し、銀行口座・クレジットカードを自動連携させることで、リアルタイムに近い数字を把握できる体制を作れます。

💡 実務のポイント

クラウド会計を導入すれば、丸投げでもリアルタイム性の問題はほぼ解消できます。税理士と経営者が同じ画面を見ながら月次の数字を確認できるため、「丸投げだけど経営の見える化は維持する」という両立が可能です。

デメリット3:経理のノウハウが社内に蓄積されない

経理業務を全て外注すると、社内に経理の知識・ノウハウが残りません。将来的に上場準備や管理部門の内製化を検討している場合は、記帳は自社で行い決算のみ税理士に依頼する「分担型」も選択肢です。

デメリット4:税理士への依存リスク

1つの事務所に全てを任せきりにすると、その税理士が廃業したり契約を解除された際に経営に支障をきたします。対策としては、会計ソフトのデータは自社でバックアップを取り、申告書の控えは必ず自社で保管することです。

役員報酬の設定と節税効果については「役員報酬の基礎知識」で、減価償却のしくみは「減価償却の基礎知識」で詳しく解説しています。

あなたに最適なプランがわかる判定フローチャート

以下の3つの質問に答えるだけで、自社に最適な決算代行プランがわかります。

質問 YES NO
Q1. 経理担当者が社内にいるか?→ Q2へ→ ②記帳代行+決算 or ④丸投げ
Q2. 月次の帳簿は正確に作成できているか?→ Q3へ→ ③顧問契約+決算
Q3. 節税相談や経営アドバイスが欲しいか?→ ③顧問契約+決算→ ①決算申告のみ

⚠️ 注意

「決算申告のみ」を1期目だけ受け付け、2期目以降は断る事務所もあります。また、年商に上限を設けているケースもあるため、見積もり時に「来期以降も同じ条件で依頼可能か」を必ず確認してください。

依頼先3パターンの比較

決算代行の依頼先は大きく3つに分かれます。それぞれの特徴を理解して、自社に合った依頼先を選びましょう。

項目 税理士事務所 クラウド記帳代行 経理代行会社
税務申告の代理✅ 可能(独占業務)❌ 別途税理士が必要❌ 別途税理士が必要
節税提案✅ あり❌ なし△ 限定的
税務調査対応✅ 立会い可能❌ 不可❌ 不可
法的責任✅ 申告書に署名(責任あり)❌ 記帳のみ❌ 記帳のみ
費用水準中〜高低〜中
リスク低い申告ミスは自己責任申告ミスは自己責任

📊 公認会計士の視点

税務申告書の作成は税理士法第2条に定められた税理士の独占業務です。クラウド記帳代行や経理代行会社は「記帳」はできますが、「税務申告書の作成・提出」は法律上できません。記帳代行と税務申告を別々の業者に頼むと、責任の所在が曖昧になり、万が一の税務調査で適切な対応ができないリスクがあります。可能であれば記帳から申告まで一貫して税理士に依頼する方が安全です。

丸投げ時に準備すべき書類チェックリスト

「丸投げ」とはいえ、最低限の資料は経営者側で準備する必要があります。以下のチェックリストに沿って資料を整理すれば、税理士事務所とのやり取りがスムーズになります。

月次で渡すもの

通帳のコピー(またはネットバンキングのCSVデータ)、クレジットカードの明細、領収書・レシート(日付順にファイリングが理想)、請求書(発行分・受領分)、売上の入金明細。クラウド会計を導入していれば、銀行口座とカードの自動連携で大部分が自動化されます。

決算期に渡すもの

在庫がある場合の棚卸表、固定資産の取得・売却に関する資料、借入金の残高証明書、保険契約の一覧、未払金・未収入金の明細。これらは決算月の翌月10日頃までに揃えるのが理想です。

年1回渡すもの

従業員の源泉徴収票の作成に必要な扶養控除等申告書、保険料控除証明書、住宅ローン控除の証明書。これらは年末調整の時期(11〜12月)に必要です。

会社設立時の届出書類については「会社設立の流れ完全ガイド」で、法人化の判断基準は「法人成りのタイミング」で解説しています。

決算代行を依頼する際の注意点

注意点1:料金体系の確認

「月額顧問料」と「決算申告料」が別料金のケースと、パッケージ料金のケースがあります。見積もり時には必ず年間合計額で比較してください。また、消費税の申告が別料金か、年末調整が含まれるかも重要な確認ポイントです。

注意点2:申告期限への余裕

法人税の申告期限は決算日から2ヶ月以内です。ギリギリのタイミングで税理士を探すと、特急料金が加算されたり、そもそも受け付けてもらえないリスクがあります。決算月の3ヶ月前までには依頼先を決めておきましょう。

注意点3:税理士法違反のリスク

税理士資格を持たない事業者が税務申告書を作成することは税理士法違反です。「格安で決算も申告もやります」と謳う無資格の記帳代行業者に依頼すると、依頼した側もリスクを負う可能性があります。依頼先が税理士(税理士法人)であることを必ず確認してください。

🔷 社労士の視点

丸投げフルパッケージで給与計算を含む場合、社会保険の手続き(算定基礎届・月額変更届・年度更新など)の対応も確認してください。税理士事務所に社労士が在籍していなければ、給与計算はできても社会保険手続きは別途社労士への依頼が必要になります。ワンストップで対応できる事務所であれば窓口が一本化され、情報共有のコストを削減できます。

よくある質問(FAQ)

決算だけ税理士に頼むのと、顧問契約を結ぶのとではどちらが得ですか?
短期的には決算のみの方が安上がりですが、長期的には顧問契約の方がお得になるケースが多いです。顧問契約では月次で帳簿をチェックするため決算時の修正工数が減り、節税提案による税金の削減効果が加わります。年間の節税効果が顧問料を上回れば、実質的に顧問契約の方がコストパフォーマンスが高くなります。
決算代行の費用は経費(損金)になりますか?
はい、税理士への顧問料・決算料は全額「支払手数料」または「租税公課」として損金算入できます。消費税の課税仕入れにも該当するため、課税事業者であれば仕入税額控除の対象にもなります。
領収書を段ボールに入れて丸ごと渡しても大丈夫ですか?
受け付けてくれる事務所もありますが、未整理の資料は仕訳に時間がかかるため、追加料金が発生するケースが一般的です。最低限、月別に分けて日付順にファイリングしてから渡すことで、費用を数万円抑えられる場合があります。
決算代行を依頼すれば税務調査にも対応してもらえますか?
顧問契約を結んでいる場合は税務調査の立会いも依頼できます。ただし、決算申告のみのスポット契約の場合は、税務調査の立会いは別途料金(1日3〜5万円が相場)がかかることが多いです。また、スポット契約のみの場合は調査対応を断られるケースもあるため、契約時に確認してください。
クラウド会計ソフトを使えば税理士は不要になりますか?
記帳の効率化にはなりますが、税理士が不要になるわけではありません。クラウド会計ソフトは仕訳の自動提案はしてくれますが、消費税の課税区分の判断、減価償却方法の選択、税務上の損金不算入の判断など、専門的な判断が必要な場面は多数あります。クラウド会計は「ツール」であり、税務判断を下す「専門家」の代わりにはなりません。
1期目の決算だけ税理士に頼んで、2期目以降は自分でやることはできますか?
制度上は可能です。1期目の決算で税理士がどのように処理したかを参考にすれば、2期目以降のハードルは下がります。ただし、2期目以降に自分で間違った処理をしてしまうと、3期目の決算で修正が必要になり、結果的にコストが増えるリスクもあります。少なくとも事業が軌道に乗るまでは顧問契約を続けることをおすすめします。
決算代行と記帳代行の違いは何ですか?
記帳代行は日々の取引の仕訳入力と帳簿作成まで、決算代行は決算書と税務申告書の作成・提出までが業務範囲です。記帳代行だけでは税務申告はできないため、記帳代行のみを外注している場合は、別途決算申告を税理士に依頼する必要があります。多くの税理士事務所では記帳代行と決算をセットで提供しています。
決算直前に税理士を探しても間に合いますか?
申告期限の1ヶ月前までであれば受け付けてくれる事務所もありますが、特急料金(通常の1.5〜2倍)がかかることが一般的です。また、繁忙期(3月決算の場合4〜5月)は多くの事務所が新規受付を制限しています。決算月の3ヶ月前までには依頼先を決めておくのがベストです。
税理士の顧問契約を途中で解約できますか?
契約書に定められた解約条項に従って書面で通知すれば解約可能です。一般的には1〜3ヶ月前の事前通知が必要です。ただし、決算申告の途中で解約すると未完成の作業の引継ぎが複雑になるため、当期の決算完了後に切り替えるのが実務的におすすめです。
法人設立1年目で売上がほとんどなくても決算は必要ですか?
はい、売上がゼロでも法人は決算申告が義務です。赤字であっても確定申告書を提出しないと欠損金の繰越控除が使えなくなるほか、法人住民税の均等割(年間約7万円)は赤字でも発生します。特に1期目は青色申告の適用可否に関わるため、必ず期限内に申告してください。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 決算代行の費用は4パターン:決算のみ10〜30万円、記帳+決算30〜85万円、顧問+決算35〜100万円、丸投げ50〜130万円
  • 経理社員1名の人件費(300〜400万円/年)と比較すれば、税理士への丸投げ(70〜130万円/年)は圧倒的にコスパが良い
  • 経営者が経理に月20時間を費やしている場合、機会損失は年間約120万円。税理士への委託は「時間を買う投資」
  • 税務申告書の作成は税理士の独占業務。無資格の記帳代行業者には依頼しないこと
  • 見積もりは「年間合計額」で比較。月額顧問料だけでなく、決算料・消費税申告料・年末調整料を含めて確認
  • 決算月の3ヶ月前までには依頼先を決め、余裕を持ったスケジュールで準備する

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