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廃業届の手続き|提出先・期限・届出書の書き方と注意点
「事業を辞めるとき、どんな届出が必要?」「廃業届はいつまでにどこに出す?」そんな疑問を持つ個人事業主に向けて、廃業届の書き方から提出先・期限・同時に必要な届出書、廃業時の資産処理、廃業後の確定申告まで完全ガイドします。


「事業を辞めるとき、どんな届出が必要?」「廃業届はいつまでにどこに出す?」そんな疑問を持つ個人事業主に向けて、廃業届の書き方から提出先・期限・同時に必要な届出書、廃業時の資産処理、廃業後の確定申告まで完全ガイドします。
🏆 結論:廃業届は「廃業日から1ヶ月以内」に税務署へ提出
個人事業主の廃業届は「個人事業の開業・廃業等届出書」を所轄税務署に提出します。期限は廃業日から1ヶ月以内。ただし廃業届だけでは手続きは完了しません。青色申告者は「青色申告の取りやめ届出書」、消費税の課税事業者は「事業廃止届出書」、従業員がいれば「給与支払事務所の廃止届」など、最大6種類の届出が必要です。また、廃業年の確定申告(翌年3月15日まで)も忘れずに行いましょう。
個人事業主が廃業する際の手続きは、全部で6つのステップです。法人の解散・清算と異なり、個人事業主の廃業手続きは比較的シンプルですが、届出書の提出漏れや資産処理の誤りがあると、後日トラブルになります。
ステップ1:事業用の債権・債務を整理する(売掛金の回収、買掛金の支払い)
ステップ2:棚卸資産・減価償却資産など事業用資産を処分・整理する
ステップ3:従業員がいる場合は退職手続きを行う(源泉徴収票の発行・社保の資格喪失届)
ステップ4:廃業届と関連届出書を税務署・都道府県税事務所に提出する
ステップ5:廃業年の確定申告を行う(翌年2/16〜3/15)
ステップ6:帳簿・書類を保存期間満了まで保管する(青色申告は7年)
💡 実務のポイント
廃業手続きで最も多い失敗は「届出書の提出漏れ」です。廃業届だけ出して、青色申告の取りやめ届出書や消費税の事業廃止届出書を出し忘れるケースが頻繁にあります。このページの「提出する届出書6種類の一覧表」をチェックリストとして使い、自分に該当するものを全て提出してください。
廃業時に提出が必要になる届出書は、状況に応じて最大6種類あります。全ての個人事業主に共通するのは1番目の「廃業届」のみで、2〜6は該当者のみ提出します。
| No. | 届出書名 | 提出先 | 提出期限 | 対象者 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 個人事業の開業・廃業等届出書 | 所轄税務署 | 廃業日から1ヶ月以内 | 全ての個人事業主 |
| 2 | 所得税の青色申告の取りやめ届出書 | 所轄税務署 | 翌年3月15日まで | 青色申告者 |
| 3 | 事業廃止届出書(消費税) | 所轄税務署 | 速やかに | 消費税の課税事業者 |
| 4 | 給与支払事務所等の廃止届出書 | 所轄税務署 | 廃止日から1ヶ月以内 | 従業員を雇用していた事業主 |
| 5 | 予定納税額の減額申請書 | 所轄税務署 | 7月1〜15日 or 11月1〜15日 | 予定納税が通知されている事業主 |
| 6 | 個人事業税の事業廃止届 | 都道府県税事務所 | 自治体により異なる (東京都:10日以内) | 個人事業税を納めていた事業主 |
⚠️ 注意:不動産所得がある場合は青色申告を取りやめない
事業所得を廃業しても不動産所得が残る場合、安易に「青色申告の取りやめ届出書」を出すと不動産所得まで白色申告になってしまいます。不動産賃貸を続ける場合は、取りやめ届出書を提出せず、青色申告を継続しましょう。
廃業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、開業届と同じ様式です。廃業の際は、様式上部の「開業」の文字に二重線を引きます。主な記入項目は以下のとおりです。
| 記入項目 | 記入内容 |
|---|---|
| 税務署名 | 納税地を管轄する税務署名。開業届と同じ税務署 |
| 納税地 | 住所地(自宅住所)が一般的。事業所と異なる場合に注意 |
| 氏名・マイナンバー | 個人事業主本人の氏名と個人番号 |
| 職業・屋号 | 開業届・確定申告で記載した職業と屋号 |
| 届出の区分 | 「廃業」に○。理由欄に「事業不振のため」「法人成りのため」等を記入 |
| 所得の種類 | 事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかに○。全部廃業か一部廃業かも選択 |
| 廃業の事由が法人設立に伴うもの | 法人成りの場合は「有」に○。設立法人名と代表者名を記入 |
| 開廃業日 | 実際に事業をやめた日を記入(月末や年末にする実務上のメリットあり) |
| 届出書の提出の有無 | 「青色申告」「消費税」の取りやめ届を一緒に出す場合に「有」に○ |
廃業届の提出方法は、税務署の窓口へ持参、郵送、e-Taxの3つです。窓口持参ならその場で控えに受領印をもらえるため最も確実です。郵送の場合は、本人確認書類の写しと返信用封筒を同封します。e-Taxなら自宅から送信でき、添付書類を省略できるため効率的です。
確定申告の全体像については「確定申告の基礎知識完全ガイド」で解説しています。
廃業届には「廃業日」を記入しますが、この日付は自由に設定できます。実際に事業活動を停止した日が原則ですが、実務上は以下の3パターンから選ぶことが多いです。
| 廃業日のパターン | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
| 12月31日 (年末に合わせる) | 廃業年=最終事業年で区切りが明確。年内の全ての経費を事業経費に計上できる | 翌年1月以降に発生する経費(原状回復費等)は事業経費にできない可能性 |
| 事業活動の最終日 (実態に合わせる) | 事実と一致するため税務上最も安全 | 廃業後に発生する残務処理費用の扱いに注意が必要 |
| 原状回復・債務整理の 完了日に合わせる | 廃業後にかかる原状回復工事や家賃を事業経費に計上しやすい | 遅くしすぎると「事業実態がないのに経費を計上している」と指摘されるリスク |
💡 実務のポイント
廃業日を12月31日にすると、年内に発生する原状回復費用や事務所の最終月の家賃を事業経費に計上できます。ただし、実際には10月に事業を停止しているのに12月31日を廃業日にすると、税務調査で「10〜12月の間に事業の実態があったか」を確認される可能性があります。残務処理(債権回収・在庫処分・取引先への連絡)を12月まで行っていた事実があれば問題ありません。
AYUSAWA PARTNERS
廃業手続きのご相談は鮎澤パートナーズへ
初回相談無料。税理士・行政書士がワンストップで対応。届出書の作成から廃業年の確定申告まで一括でサポートします。
鮎澤パートナーズに相談する廃業時に残っている事業用資産(棚卸資産・減価償却資産・売掛金・敷金等)は、それぞれ適切な処理が必要です。処理を誤ると、廃業年の確定申告で税額が変わります。
| 資産の種類 | 処理方法 | 税務上の扱い |
|---|---|---|
| 棚卸資産 (在庫・商品) | 売却/廃棄/自家消費 | 売却→売上計上。自家消費→通常の販売価格の70%か仕入値の高い方で収入計上。廃棄→廃棄損を必要経費に |
| 減価償却資産 (車両・機械・PC等) | 売却/個人使用に転用/廃棄 | 売却→譲渡所得として申告(事業所得ではない)。個人使用への転用→特に課税なし。廃業年の月割り減価償却費を計上 |
| 売掛金 | 全額回収/貸倒処理 | 回収→事業収入として計上。回収不能→貸倒損失として必要経費に(一定の要件あり) |
| 敷金・保証金 | 返還/償却分の処理 | 返還された分は課税なし。返還されない償却分は廃業年の必要経費に計上 |
| 前払い経費 | 期間按分 | 廃業日までの分は必要経費。廃業日以降の分は必要経費にならない |
⚠️ 注意:棚卸資産の自家消費を申告しないのはNG
廃業時に残った在庫を自分で使う(自家消費する)場合、「タダでもらった」わけではなく、税務上は収入として計上する必要があります。計上額は通常の販売価格の70%か仕入値のいずれか高い方です。これを計上しないまま確定申告すると、税務調査で指摘されます。在庫が多い飲食店や小売業の方は特に注意してください。
減価償却の計算方法については「個人事業主の減価償却ガイド」で詳しく解説しています。
廃業した年の1月1日〜廃業日までの所得について、翌年2月16日〜3月15日に確定申告を行います。法人の解散のように「廃業日から2ヶ月以内」ではないので、通常の確定申告スケジュールと同じです。
廃業後に発生する費用(原状回復工事費・最終月の家賃・在庫の廃棄費用など)は、廃業に直接起因するものであれば「事業所得の必要経費」に計上できます。所得税法第63条の「事業を廃止した場合の必要経費の特例」により、廃業年に遡って必要経費にできるケースがあります。
💡 実務のポイント
廃業後に売掛金が貸し倒れになった場合も、廃業年の確定申告で必要経費に算入できます。確定申告書の「本年中における特殊事情」欄に、廃業の旨と後発的な経費の内容を記載しておくと、税務署からの問い合わせを減らせます。
個人事業主の納税地は原則「住所地」です。もし事業所(店舗・事務所)を納税地にしていた場合、廃業で事業所がなくなると納税地が住所地に戻ります。この場合、廃業届と一緒に「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を提出します。
確定申告書の提出先は、廃業後は住所地を管轄する税務署になります。引越しをした場合は新住所地の管轄税務署です。
事業を辞めるかどうか迷っている場合、「廃業」「休業」「法人成り」の3つの選択肢があります。それぞれの違いを比較します。
| 比較項目 | 廃業 | 休業 | 法人成り |
|---|---|---|---|
| 届出書 | 廃業届を提出 | 届出不要(所得税に休業届の制度がない) | 個人の廃業届+法人の設立登記 |
| 許認可 | 失効する | 維持できる | 法人で新たに取得が必要なものがある |
| 青色申告の繰越控除 | 使えなくなる | 毎年申告すれば維持可能 | 個人の繰越欠損は法人に引き継げない |
| 確定申告 | 廃業年のみ | 収入がなくても毎年必要(繰越控除を維持する場合) | 法人の決算申告が必要 |
| 再開時の手続き | 開業届+青色申告の再申請が必要 | 手続き不要で再開可能 | — |
📝 行政書士の視点
飲食業・建設業・運送業など許認可が必要な事業の場合、廃業届を出すと許認可も失効します。将来的に事業を再開する可能性がある場合は、安易に廃業届を出さず「休業状態」を維持する方が有利なケースがあります。一方、法人成りする場合は、個人の許認可を法人に引き継げないものがあるため、事前に確認が必要です。行政書士への相談をおすすめします。
事業所得の基本については「事業所得の基礎知識」をご覧ください。
廃業届を出さなくても直接的な罰則はありません。しかし、以下のリスクがあるため、廃業時は速やかに提出することが推奨されます。
税務署から確定申告の案内が届き続けます。事業が継続しているとみなされ、確定申告をしないと「無申告」扱いになるリスクがあります。また、状況によっては税務調査の対象になることもあります。
さらに、予定納税の通知が届く場合があります。前年の所得税額が15万円以上だった場合、予定納税の義務が発生しますが、廃業届を出していないと通知が届き、減額申請の手間がかかります。
廃業後も帳簿や書類は一定期間保存する義務があります。青色申告者は7年間(一部書類は5年間)の保存が必要です。帳簿書類を早期に廃棄してしまうと、廃業後に税務調査が入った際に証拠を提示できなくなります。
| 書類の種類 | 保存期間 |
|---|---|
| 仕訳帳・総勘定元帳・現金出納帳 | 7年 |
| 損益計算書・貸借対照表 | 7年 |
| 請求書・見積書・納品書 | 5年 |
| 領収書・レシート | 7年(青色)/ 5年(白色) |
青色申告のメリットについては「青色申告のメリット完全ガイド」で解説しています。
📋 この記事のポイント
所得控除の詳細は「所得控除一覧ガイド」を参考にしてください。廃業手続きは書類の種類が多いため、漏れなく進めるために税理士に相談することをおすすめします。
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