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給与所得者・経営者向けに、扶養控除の対象者と要件を完全ガイド。年齢別の控除額(一般・特定扶養・老人扶養)、令和7年新設の特定親族特別控除、障害者控除、所得58万円要件、所属の変更ルールまで現役税理士が実務目線で解説します。
🏆 結論:扶養控除は16歳以上の親族・所得58万円以下が対象・大学生年代の年収壁が令和7年改正で緩和
扶養控除は、納税者と生計を一にする16歳以上の親族(扶養親族)を扶養している場合に、納税者の所得から一定額を差し引ける所得控除です(所得税法第84条)。控除額は年齢別に異なり、①一般の扶養親族(16〜18歳・23〜69歳):38万円、②特定扶養親族(19〜22歳・大学生年代):63万円、③老人扶養親族(70歳以上):同居老親等58万円・その他48万円。扶養親族の合計所得金額要件は、令和7年改正で48万円→58万円(給与収入103万円→123万円)に引き上げられました。さらに令和7年新設の「特定親族特別控除」により、大学生年代(19〜22歳)の所得が58万円超でも123万円以下なら段階的に最高63万円〜最低3万円の控除を受けられ、長年の課題だった「103万円の壁」が緩和されました。納税者が2人以上いる場合は「扶養親族の所属の変更」で扶養先を選択可能です。本記事では扶養控除の対象者・要件・控除額・特定親族特別控除・障害者控除・実務上のポイントまで完全解説します。
扶養控除とは|制度の基本
扶養控除は、納税者が16歳以上の親族を経済的に支援している場合に、所得税・住民税の計算で一定額を所得から差し引ける制度です(所得税法第84条)。生計を共にする家族の生活費負担を税制上考慮する仕組みです。
扶養控除の基本構造
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 納税者と生計を一にする16歳以上の親族(扶養親族) |
| 控除を受ける人 | 扶養している納税者(扶養される親族ではない) |
| 控除額 | 年齢別に38万円〜63万円(所得税) |
| 控除区分 | 所得控除(税金の対象となる所得から差し引く) |
| 手続き | 年末調整または確定申告で適用 |
扶養控除の節税効果
🧮 扶養控除の節税効果
節税効果 = 控除額 × (所得税率 + 住民税率)
計算例(年収500万円・所得税率20%・住民税率10%の場合):
・一般扶養親族(38万円控除):38万円×30% = 11.4万円の節税
・特定扶養親族(63万円控除):63万円×30% = 18.9万円の節税
・老人扶養・同居(58万円控除):58万円×30% = 17.4万円の節税
・老人扶養・別居(48万円控除):48万円×30% = 14.4万円の節税
扶養親族の4つの要件
扶養親族として認定されるためには、4つの要件をすべて満たす必要があります(所得税法第2条第1項第34号)。1つでも欠けると扶養控除の対象になりません。
扶養親族の4要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①親族関係 | 配偶者以外の親族(6親等内の血族・3親等内の姻族)または都道府県知事の認定を受けた里子・養護受託者 |
| ②生計同一 | 納税者と生計を一にしていること |
| ③所得制限 | 年間合計所得金額が58万円以下(給与収入123万円以下・令和7年改正後) |
| ④事業専従者でない | 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていない、または白色申告者の事業専従者でない |
| ⑤年齢 | その年12月31日時点で16歳以上 |
親族の範囲(6親等内の血族・3親等内の姻族)
| 親族区分 | 具体例 |
|---|---|
| 1親等(血族) | 父母・子 |
| 2親等(血族) | 祖父母・孫・兄弟姉妹 |
| 3親等(血族) | 曾祖父母・曾孫・伯叔父母・甥姪 |
| 1親等(姻族) | 配偶者の父母・配偶者の子 |
| 2親等(姻族) | 配偶者の祖父母・兄弟姉妹 |
| 3親等(姻族) | 配偶者の曾祖父母・伯叔父母・甥姪 |
💡 実務のポイント
「生計を一にする」要件は別居していても問題ありません。例えば「大学進学で県外に下宿している子」「単身赴任中の配偶者の親」「老人ホーム入居中の親」も、定期的な仕送り・生活費送金等で経済的支援していれば生計同一と認められます。実務では「毎月仕送りしている口座振込記録」「教育費の直接支払」等の証憑が重要です。生計同一を税務調査で否認されると過去5年分の修正申告が必要になるため、記録を残しておくことが大切です。
令和7年改正|所得要件48万円→58万円に引上げ
令和7年(2025年)の税制改正により、基礎控除・給与所得控除が引き上げられ、扶養親族の所得要件も連動して改正されました。「103万円の壁」が「123万円の壁」に拡大した形です。
令和7年改正の所得控除関連3項目
| 項目 | 改正前(令和6年) | 改正後(令和7年) |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 48万円 | 58万円(+10万円) |
| 給与所得控除最低額 | 55万円 | 65万円(+10万円) |
| 扶養親族の所得要件 | 48万円以下(給与収入103万円以下) | 58万円以下(給与収入123万円以下) |
給与収入と所得の換算表(令和7年以後)
| 給与収入 | 給与所得 | 扶養控除の対象 |
|---|---|---|
| 100万円 | 35万円 | ○ 対象 |
| 120万円 | 55万円 | ○ 対象 |
| 123万円(壁) | 58万円 | ○ 対象(ぎりぎり) |
| 130万円 | 65万円 | × 対象外(特定親族特別控除の対象) |
| 150万円 | 85万円 | × 対象外(特定親族特別控除の対象) |
扶養控除の年齢別控除額
扶養控除は、扶養親族の年齢により控除額が異なります(所得税法第84条第2項)。控除額は年12月31日時点の年齢で判定します。
年齢別の扶養控除額(所得税)
| 区分 | 年齢(12/31時点) | 控除額(所得税) |
|---|---|---|
| 年少扶養親族 | 0〜15歳 | 控除なし(児童手当の対象) |
| 一般の扶養親族 | 16〜18歳 | 38万円 |
| 特定扶養親族 | 19〜22歳(大学生年代) | 63万円 |
| 一般の扶養親族 | 23〜69歳 | 38万円 |
| 老人扶養親族(同居老親等) | 70歳以上・同居 | 58万円 |
| 老人扶養親族(その他) | 70歳以上・別居 | 48万円 |
住民税の扶養控除額
| 区分 | 控除額(住民税) |
|---|---|
| 一般の扶養親族 | 33万円 |
| 特定扶養親族 | 45万円 |
| 老人扶養親族(同居老親等) | 45万円 |
| 老人扶養親族(その他) | 38万円 |
特定親族特別控除|令和7年新設の段階控除
令和7年(2025年)度税制改正で新設された「特定親族特別控除」は、19歳以上23歳未満の扶養親族(大学生年代)について、所得58万円を超えても123万円以下なら段階的に控除が受けられる制度です(所得税法第82条の2)。長年の課題だった「103万円の壁」を緩和する画期的な改正です。
特定親族特別控除の対象者
| 対象要件 | 内容 |
|---|---|
| ①納税者と生計を一にする | 通常の扶養親族と同じ生計同一要件 |
| ②年齢 | 12月31日時点で19歳以上23歳未満 |
| ③合計所得金額 | 58万円超123万円以下(給与収入123万円超188万円以下) |
| ④除外対象 | 配偶者・青色事業専従者・白色事業専従者 |
| ⑤里子 | 児童福祉法の規定による里子も含む |
特定親族特別控除の段階控除額(所得税)
| 親族の給与収入 | 合計所得金額 | 控除額(所得税) |
|---|---|---|
| 123万円超〜150万円以下 | 58万円超〜85万円以下 | 63万円(満額) |
| 150万円超〜155万円以下 | 85万円超〜90万円以下 | 61万円 |
| 155万円超〜160万円以下 | 90万円超〜95万円以下 | 51万円 |
| 160万円超〜165万円以下 | 95万円超〜100万円以下 | 41万円 |
| 165万円超〜170万円以下 | 100万円超〜105万円以下 | 31万円 |
| 170万円超〜175万円以下 | 105万円超〜110万円以下 | 21万円 |
| 175万円超〜180万円以下 | 110万円超〜115万円以下 | 11万円 |
| 180万円超〜185万円以下 | 115万円超〜120万円以下 | 6万円 |
| 185万円超〜188万円以下 | 120万円超〜123万円以下 | 3万円 |
| 188万円超 | 123万円超 | 控除なし |
📢 令和7年12月1日施行
特定親族特別控除は令和7年(2025年)12月1日施行で、令和7年分の年末調整・確定申告から適用されます。年末調整で適用を受けるには「特定親族特別控除申告書」の提出が必要です。実務では「大学生の子どもが居酒屋・コンビニ等でアルバイトしている家庭」で改正の影響が大きく、これまで103万円(改正後123万円)で抑えていたアルバイト収入を150万円程度まで増やしても、親の税負担が変わらないようになりました。
老人扶養親族|70歳以上の扶養
70歳以上の扶養親族は「老人扶養親族」として通常より控除額が大きくなります。同居か別居かでさらに区分があり、同居老親等の場合は最も大きな控除を受けられます(所得税法第84条第2項第4号)。
老人扶養親族の区分と要件
| 区分 | 要件 | 控除額 |
|---|---|---|
| 同居老親等 | 70歳以上・納税者または配偶者の直系尊属・常に同居 | 所得税58万円・住民税45万円 |
| その他(別居等) | 70歳以上・上記以外 | 所得税48万円・住民税38万円 |
同居老親等の「同居」の判定
| ケース | 同居老親等の判定 |
|---|---|
| ①同じ家屋に同居 | ○ 同居老親等 |
| ②二世帯住宅(完全分離型)で同じ住所 | ○ 同居老親等(住所が同じであれば) |
| ③長期入院中(治療目的の一時的不在) | ○ 同居老親等(住所変更なし・退院予定) |
| ④老人ホーム入居 | × その他(住所が変更されているため) |
| ⑤親の家に通って世話 | × その他(同居ではない) |
⚠️ 老人ホーム入居時の注意
親が老人ホームに入居している場合、住民票上の住所が老人ホームに移動していると「同居老親等」ではなく「その他」となり、控除額が10万円減ります。実務では「老人ホーム入居前は同居老親等58万円控除→入居後は48万円控除」という変化があります。なお、施設入所中でも生計同一の要件(仕送り等の経済的支援)を満たせば、扶養親族には該当します。住民票の異動状況を確認することが重要です。
障害者控除|扶養親族が障害者の場合
納税者本人・配偶者・扶養親族が障害者に該当する場合、扶養控除に加えて「障害者控除」を受けられます(所得税法第79条)。等級により控除額が異なります。
障害者控除の区分と控除額
| 区分 | 要件 | 控除額(所得税) | 控除額(住民税) |
|---|---|---|---|
| 一般障害者 | 身体障害者手帳3〜6級・精神障害者保健福祉手帳2〜3級等 | 27万円 | 26万円 |
| 特別障害者 | 身体障害者手帳1〜2級・精神障害者保健福祉手帳1級・常時介護を要する等 | 40万円 | 30万円 |
| 同居特別障害者 | 特別障害者・納税者または配偶者・生計を一にする親族と常に同居 | 75万円 | 53万円 |
扶養控除と障害者控除の併用
🧮 併用ケース:大学生で特別障害者・同居の場合
前提:20歳の子・特別障害者・同居・所得58万円以下
所得税の控除合計:
・特定扶養親族控除:63万円
・同居特別障害者控除:75万円
→ 合計138万円の控除
節税効果(所得税率20%・住民税10%):
所得税:138万円×20%=27.6万円
住民税:(45+53)万円×10%=9.8万円
→ 約37.4万円の節税
納税者が2人以上いる場合|所属の変更
扶養親族は、納税者の2人以上の家族が同時に扶養できるわけではなく、いずれか1人の納税者が扶養控除を受ける形になります(所得税法第85条第5項)。ただし、税負担の最適化のため「所属の変更」が可能です。
所属の変更の基本ルール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原則 | 納税者本人の選択により、いずれか1人の納税者の扶養親族とする |
| 所属期間 | 原則として年単位で固定(年中に変更可能) |
| 手続き | 年末調整時または確定申告時に扶養控除等申告書で記載 |
| 重複扶養の防止 | 同一人を複数の納税者の扶養親族とすることは不可 |
所属の変更の活用例
🧮 共働き夫婦のケース:子の扶養先選択
前提:夫年収1,000万円(税率33%)、妻年収500万円(税率20%)、19歳大学生1人
夫の扶養に入れる場合:
特定扶養親族控除63万円×33% = 20.8万円の節税
妻の扶養に入れる場合:
特定扶養親族控除63万円×20% = 12.6万円の節税
結論:所得税率の高い夫の扶養に入れる方が節税効果大(差額8.2万円)
確定申告・年末調整での扶養控除手続き
扶養控除を受けるには、年末調整(給与所得者)または確定申告で手続きを行います。書類への正確な記載と証憑保管が重要です。
年末調整での手続き
| 書類 | 用途 |
|---|---|
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養親族の情報を記載 |
| 特定親族特別控除申告書(令和7年新設) | 19〜22歳の扶養親族で所得58万円超123万円以下の場合 |
| 障害者控除関係書類 | 障害者手帳のコピー等 |
確定申告での手続き
| 書類 | 記載項目 |
|---|---|
| 確定申告書第一表 | 扶養控除額合計の記入 |
| 確定申告書第二表 | 扶養親族の氏名・続柄・生年月日・所得 |
| 添付書類 | 障害者手帳のコピー等(該当時) |
よくある質問
📋 この記事のポイント
- 扶養控除は16歳以上の親族・年間所得58万円以下が対象(令和7年改正後)
- 年齢別控除額:一般38万・特定扶養63万・同居老親等58万・その他48万
- 令和7年改正で基礎控除58万円・給与所得控除最低65万円に引上げ
- 令和7年新設の特定親族特別控除で19〜22歳の所得58〜123万円も段階控除
- 大学生の年収壁が実質123万円→188万円に拡大
- 老人扶養親族(70歳以上)は同居か別居で控除額10万円差
- 障害者控除と併用可(同居特別障害者は75万円控除)
- 納税者2人以上いる場合は所属の変更で税負担最適化
📋 まとめ
- 扶養控除は16歳以上・生計同一・所得58万円以下の親族を扶養する場合に適用
- 年齢別の控除額は一般38万円・特定扶養63万円・老人扶養同居58万円・その他48万円
- 令和7年改正で「103万円の壁」が「123万円の壁」に拡大
- 令和7年新設の特定親族特別控除で大学生の収入壁が188万円まで実質緩和
- 同居老親等は控除10万円大・老人ホーム入居で減額の可能性
- 障害者控除との併用で大幅節税可能(同居特別障害者75万円)
- 納税者2人以上の場合は税率の高い人の扶養に入れる戦略が有効
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