扶養控除の対象者と要件|年齢別の控除額と特定親族特別控除の完全解説

扶養控除の対象者と要件|年齢別の控除額と特定親族特別控除の完全解説
鮎澤パートナーズ|公認会計士・税理士・社会保険労務士・行政書士
公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)・社会保険労務士(第13240067号)・行政書士(第24061284号)が監修。年間100社以上の法人決算・会社設立を支援。
📋 税理士監修 🆕 令和7年改正・特定親族特別控除対応 📊 年齢別早見表付

給与所得者・経営者向けに、扶養控除の対象者と要件を完全ガイド。年齢別の控除額(一般・特定扶養・老人扶養)、令和7年新設の特定親族特別控除、障害者控除、所得58万円要件、所属の変更ルールまで現役税理士が実務目線で解説します。

🏆 結論:扶養控除は16歳以上の親族・所得58万円以下が対象・大学生年代の年収壁が令和7年改正で緩和

扶養控除は、納税者と生計を一にする16歳以上の親族(扶養親族)を扶養している場合に、納税者の所得から一定額を差し引ける所得控除です(所得税法第84条)。控除額は年齢別に異なり、①一般の扶養親族(16〜18歳・23〜69歳):38万円、②特定扶養親族(19〜22歳・大学生年代):63万円、③老人扶養親族(70歳以上):同居老親等58万円・その他48万円。扶養親族の合計所得金額要件は、令和7年改正で48万円→58万円(給与収入103万円→123万円)に引き上げられました。さらに令和7年新設の「特定親族特別控除」により、大学生年代(19〜22歳)の所得が58万円超でも123万円以下なら段階的に最高63万円〜最低3万円の控除を受けられ、長年の課題だった「103万円の壁」が緩和されました。納税者が2人以上いる場合は「扶養親族の所属の変更」で扶養先を選択可能です。本記事では扶養控除の対象者・要件・控除額・特定親族特別控除・障害者控除・実務上のポイントまで完全解説します。

扶養控除とは|制度の基本

扶養控除は、納税者が16歳以上の親族を経済的に支援している場合に、所得税・住民税の計算で一定額を所得から差し引ける制度です(所得税法第84条)。生計を共にする家族の生活費負担を税制上考慮する仕組みです。

扶養控除の基本構造

要素 内容
対象者納税者と生計を一にする16歳以上の親族(扶養親族)
控除を受ける人扶養している納税者(扶養される親族ではない)
控除額年齢別に38万円〜63万円(所得税)
控除区分所得控除(税金の対象となる所得から差し引く)
手続き年末調整または確定申告で適用

扶養控除の節税効果

🧮 扶養控除の節税効果

節税効果 = 控除額 × (所得税率 + 住民税率)

計算例(年収500万円・所得税率20%・住民税率10%の場合):
・一般扶養親族(38万円控除):38万円×30% = 11.4万円の節税
・特定扶養親族(63万円控除):63万円×30% = 18.9万円の節税
・老人扶養・同居(58万円控除):58万円×30% = 17.4万円の節税
・老人扶養・別居(48万円控除):48万円×30% = 14.4万円の節税

扶養親族の4つの要件

扶養親族として認定されるためには、4つの要件をすべて満たす必要があります(所得税法第2条第1項第34号)。1つでも欠けると扶養控除の対象になりません。

扶養親族の4要件

要件 内容
①親族関係配偶者以外の親族(6親等内の血族・3親等内の姻族)または都道府県知事の認定を受けた里子・養護受託者
②生計同一納税者と生計を一にしていること
③所得制限年間合計所得金額が58万円以下(給与収入123万円以下・令和7年改正後)
④事業専従者でない青色申告者の事業専従者として給与の支払を受けていない、または白色申告者の事業専従者でない
⑤年齢その年12月31日時点で16歳以上

親族の範囲(6親等内の血族・3親等内の姻族)

親族区分 具体例
1親等(血族)父母・子
2親等(血族)祖父母・孫・兄弟姉妹
3親等(血族)曾祖父母・曾孫・伯叔父母・甥姪
1親等(姻族)配偶者の父母・配偶者の子
2親等(姻族)配偶者の祖父母・兄弟姉妹
3親等(姻族)配偶者の曾祖父母・伯叔父母・甥姪

💡 実務のポイント

「生計を一にする」要件は別居していても問題ありません。例えば「大学進学で県外に下宿している子」「単身赴任中の配偶者の親」「老人ホーム入居中の親」も、定期的な仕送り・生活費送金等で経済的支援していれば生計同一と認められます。実務では「毎月仕送りしている口座振込記録」「教育費の直接支払」等の証憑が重要です。生計同一を税務調査で否認されると過去5年分の修正申告が必要になるため、記録を残しておくことが大切です。

令和7年改正|所得要件48万円→58万円に引上げ

令和7年(2025年)の税制改正により、基礎控除・給与所得控除が引き上げられ、扶養親族の所得要件も連動して改正されました。「103万円の壁」が「123万円の壁」に拡大した形です。

令和7年改正の所得控除関連3項目

項目 改正前(令和6年) 改正後(令和7年)
基礎控除48万円58万円(+10万円)
給与所得控除最低額55万円65万円(+10万円)
扶養親族の所得要件48万円以下(給与収入103万円以下)58万円以下(給与収入123万円以下)

給与収入と所得の換算表(令和7年以後)

給与収入 給与所得 扶養控除の対象
100万円35万円○ 対象
120万円55万円○ 対象
123万円(壁)58万円○ 対象(ぎりぎり)
130万円65万円× 対象外(特定親族特別控除の対象)
150万円85万円× 対象外(特定親族特別控除の対象)

扶養控除の年齢別控除額

扶養控除は、扶養親族の年齢により控除額が異なります(所得税法第84条第2項)。控除額は年12月31日時点の年齢で判定します。

年齢別の扶養控除額(所得税)

区分 年齢(12/31時点) 控除額(所得税)
年少扶養親族0〜15歳控除なし(児童手当の対象)
一般の扶養親族16〜18歳38万円
特定扶養親族19〜22歳(大学生年代)63万円
一般の扶養親族23〜69歳38万円
老人扶養親族(同居老親等)70歳以上・同居58万円
老人扶養親族(その他)70歳以上・別居48万円

住民税の扶養控除額

区分 控除額(住民税)
一般の扶養親族33万円
特定扶養親族45万円
老人扶養親族(同居老親等)45万円
老人扶養親族(その他)38万円

特定親族特別控除|令和7年新設の段階控除

令和7年(2025年)度税制改正で新設された「特定親族特別控除」は、19歳以上23歳未満の扶養親族(大学生年代)について、所得58万円を超えても123万円以下なら段階的に控除が受けられる制度です(所得税法第82条の2)。長年の課題だった「103万円の壁」を緩和する画期的な改正です。

特定親族特別控除の対象者

対象要件 内容
①納税者と生計を一にする通常の扶養親族と同じ生計同一要件
②年齢12月31日時点で19歳以上23歳未満
③合計所得金額58万円超123万円以下(給与収入123万円超188万円以下)
④除外対象配偶者・青色事業専従者・白色事業専従者
⑤里子児童福祉法の規定による里子も含む

特定親族特別控除の段階控除額(所得税)

親族の給与収入 合計所得金額 控除額(所得税)
123万円超〜150万円以下58万円超〜85万円以下63万円(満額)
150万円超〜155万円以下85万円超〜90万円以下61万円
155万円超〜160万円以下90万円超〜95万円以下51万円
160万円超〜165万円以下95万円超〜100万円以下41万円
165万円超〜170万円以下100万円超〜105万円以下31万円
170万円超〜175万円以下105万円超〜110万円以下21万円
175万円超〜180万円以下110万円超〜115万円以下11万円
180万円超〜185万円以下115万円超〜120万円以下6万円
185万円超〜188万円以下120万円超〜123万円以下3万円
188万円超123万円超控除なし

📢 令和7年12月1日施行

特定親族特別控除は令和7年(2025年)12月1日施行で、令和7年分の年末調整・確定申告から適用されます。年末調整で適用を受けるには「特定親族特別控除申告書」の提出が必要です。実務では「大学生の子どもが居酒屋・コンビニ等でアルバイトしている家庭」で改正の影響が大きく、これまで103万円(改正後123万円)で抑えていたアルバイト収入を150万円程度まで増やしても、親の税負担が変わらないようになりました。

老人扶養親族|70歳以上の扶養

70歳以上の扶養親族は「老人扶養親族」として通常より控除額が大きくなります。同居か別居かでさらに区分があり、同居老親等の場合は最も大きな控除を受けられます(所得税法第84条第2項第4号)。

老人扶養親族の区分と要件

区分 要件 控除額
同居老親等70歳以上・納税者または配偶者の直系尊属・常に同居所得税58万円・住民税45万円
その他(別居等)70歳以上・上記以外所得税48万円・住民税38万円

同居老親等の「同居」の判定

ケース 同居老親等の判定
①同じ家屋に同居○ 同居老親等
②二世帯住宅(完全分離型)で同じ住所○ 同居老親等(住所が同じであれば)
③長期入院中(治療目的の一時的不在)○ 同居老親等(住所変更なし・退院予定)
④老人ホーム入居× その他(住所が変更されているため)
⑤親の家に通って世話× その他(同居ではない)

⚠️ 老人ホーム入居時の注意

親が老人ホームに入居している場合、住民票上の住所が老人ホームに移動していると「同居老親等」ではなく「その他」となり、控除額が10万円減ります。実務では「老人ホーム入居前は同居老親等58万円控除→入居後は48万円控除」という変化があります。なお、施設入所中でも生計同一の要件(仕送り等の経済的支援)を満たせば、扶養親族には該当します。住民票の異動状況を確認することが重要です。

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障害者控除|扶養親族が障害者の場合

納税者本人・配偶者・扶養親族が障害者に該当する場合、扶養控除に加えて「障害者控除」を受けられます(所得税法第79条)。等級により控除額が異なります。

障害者控除の区分と控除額

区分 要件 控除額(所得税) 控除額(住民税)
一般障害者身体障害者手帳3〜6級・精神障害者保健福祉手帳2〜3級等27万円26万円
特別障害者身体障害者手帳1〜2級・精神障害者保健福祉手帳1級・常時介護を要する等40万円30万円
同居特別障害者特別障害者・納税者または配偶者・生計を一にする親族と常に同居75万円53万円

扶養控除と障害者控除の併用

🧮 併用ケース:大学生で特別障害者・同居の場合

前提:20歳の子・特別障害者・同居・所得58万円以下

所得税の控除合計:
・特定扶養親族控除:63万円
・同居特別障害者控除:75万円
合計138万円の控除

節税効果(所得税率20%・住民税10%):
所得税:138万円×20%=27.6万円
住民税:(45+53)万円×10%=9.8万円
約37.4万円の節税

納税者が2人以上いる場合|所属の変更

扶養親族は、納税者の2人以上の家族が同時に扶養できるわけではなく、いずれか1人の納税者が扶養控除を受ける形になります(所得税法第85条第5項)。ただし、税負担の最適化のため「所属の変更」が可能です。

所属の変更の基本ルール

項目 内容
原則納税者本人の選択により、いずれか1人の納税者の扶養親族とする
所属期間原則として年単位で固定(年中に変更可能)
手続き年末調整時または確定申告時に扶養控除等申告書で記載
重複扶養の防止同一人を複数の納税者の扶養親族とすることは不可

所属の変更の活用例

🧮 共働き夫婦のケース:子の扶養先選択

前提:夫年収1,000万円(税率33%)、妻年収500万円(税率20%)、19歳大学生1人

夫の扶養に入れる場合:
特定扶養親族控除63万円×33% = 20.8万円の節税

妻の扶養に入れる場合:
特定扶養親族控除63万円×20% = 12.6万円の節税

結論:所得税率の高い夫の扶養に入れる方が節税効果大(差額8.2万円)

確定申告・年末調整での扶養控除手続き

扶養控除を受けるには、年末調整(給与所得者)または確定申告で手続きを行います。書類への正確な記載と証憑保管が重要です。

年末調整での手続き

書類 用途
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書扶養親族の情報を記載
特定親族特別控除申告書(令和7年新設)19〜22歳の扶養親族で所得58万円超123万円以下の場合
障害者控除関係書類障害者手帳のコピー等

確定申告での手続き

書類 記載項目
確定申告書第一表扶養控除額合計の記入
確定申告書第二表扶養親族の氏名・続柄・生年月日・所得
添付書類障害者手帳のコピー等(該当時)

よくある質問

大学生の子どもがアルバイトでいくらまで稼げますか?
令和7年改正後は給与収入188万円までなら親の税負担は変わりません。123万円(所得58万円)までなら特定扶養控除63万円が満額適用、150万円(所得85万円)まで特定親族特別控除63万円が満額、それを超えると段階的に控除額が減少し、188万円(所得123万円)で控除なしとなります。実務では「子どものアルバイト収入を年150万円程度に抑える」のが新基準で、長年の「103万円の壁」は実質撤廃された形です。ただし、社会保険(健康保険・年金)の扶養基準は別途あり、現在130万円→150万円に引上げが進められています。
扶養控除と配偶者控除は別ですか?
完全に別の控除制度です。扶養控除は「配偶者以外の親族」が対象で、配偶者は「配偶者控除」または「配偶者特別控除」の対象。配偶者控除は配偶者の所得58万円以下(令和7年改正後)で最大38万円、配偶者特別控除は所得58万円超133万円以下で段階的に控除。実務では「妻の年収を抑える=配偶者控除」「子の年収を抑える=扶養控除」と区別して考えることが重要です。
海外に住んでいる親族も扶養控除の対象になりますか?
国外居住親族は要件が厳格化されています(令和5年改正)。30歳以上70歳未満の国外居住親族は、原則として扶養控除の対象外。例外として①留学(査証保持者)、②障害者、③38万円以上の送金を受けている場合のみ対象。実務では「海外の親への仕送り」を扶養控除に活用する場合、送金記録を厳格に管理する必要があり、年間38万円以上の銀行送金記録(SWIFT等)の保管が必須です。
中学生以下の子どもは扶養控除の対象外ですか?
15歳以下は扶養控除の対象外で「年少扶養親族」に分類されます(平成23年改正で控除廃止)。代わりに児童手当(月額1〜1.5万円)が支給される仕組み。ただし、住民税の非課税限度額の判定では年少扶養親族の人数が考慮されるため、扶養控除等申告書には記載が必要です。実務では「年少扶養親族の記載漏れ」で住民税の非課税判定が誤るケースがあるため、子の年齢に関係なく扶養親族として記載することが重要です。
親の介護で同居が必要になった場合の手続きは?
同居を開始した翌年から「同居老親等」として控除額が58万円(その他48万円より10万円多)になります。年末調整時に扶養控除等申告書の「同居老親等」欄に丸を付けることが重要。実務では「親の老人ホーム入居→同居開始」「単身赴任先から戻って同居」のケースで控除額が変化するため、家族構成の変化を必ず会社の年末調整担当者に伝える必要があります。
事業専従者は扶養控除の対象外ですか?
青色事業専従者(給与受給)と白色事業専従者は扶養控除の対象外です。一方、青色事業専従者でも給与の支払を受けていない場合は対象。実務では「妻を青色事業専従者として届出し給与を支払う」と妻は扶養控除の対象外になりますが、給与額や経費計上を考慮すれば全体で節税効果が大きくなるケースが多いです。事業専従者として届出するかどうかは、税理士と相談して総合判断するのが推奨されます。
年の途中で亡くなった親族は扶養控除の対象になりますか?
死亡時の現況で判断し、対象になります。死亡時に扶養親族の要件を満たしていれば、その年の扶養控除を満額受けられます。例えば6月に死亡した親族でも、6月時点で生計同一・所得要件等を満たしていれば、その年は扶養親族として控除可能。実務では「年の途中で亡くなった親族の最終所得計算」「医療費控除との関係」等を税理士と相談しながら確定申告で処理します。
扶養控除の対象を変更したら住民税はどうなりますか?
所得税と住民税で別々に判断されるわけではなく、所得税の扶養親族と一致します。住民税は前年の所得を基に計算されるため、確定申告で扶養控除の変更があれば翌年6月以降の住民税に反映。実務では「夫の扶養から妻の扶養に変更」した場合、夫の住民税は増え、妻の住民税は減るため、世帯全体の税負担を最適化できます。

📋 この記事のポイント

  • 扶養控除は16歳以上の親族・年間所得58万円以下が対象(令和7年改正後)
  • 年齢別控除額:一般38万・特定扶養63万・同居老親等58万・その他48万
  • 令和7年改正で基礎控除58万円・給与所得控除最低65万円に引上げ
  • 令和7年新設の特定親族特別控除で19〜22歳の所得58〜123万円も段階控除
  • 大学生の年収壁が実質123万円→188万円に拡大
  • 老人扶養親族(70歳以上)は同居か別居で控除額10万円差
  • 障害者控除と併用可(同居特別障害者は75万円控除)
  • 納税者2人以上いる場合は所属の変更で税負担最適化

📋 まとめ

  • 扶養控除は16歳以上・生計同一・所得58万円以下の親族を扶養する場合に適用
  • 年齢別の控除額は一般38万円・特定扶養63万円・老人扶養同居58万円・その他48万円
  • 令和7年改正で「103万円の壁」が「123万円の壁」に拡大
  • 令和7年新設の特定親族特別控除で大学生の収入壁が188万円まで実質緩和
  • 同居老親等は控除10万円大・老人ホーム入居で減額の可能性
  • 障害者控除との併用で大幅節税可能(同居特別障害者75万円)
  • 納税者2人以上の場合は税率の高い人の扶養に入れる戦略が有効
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