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給与の源泉所得税は、「社会保険料等控除後の給与額」と「扶養親族等の数」から源泉徴収税額表で求めます。令和8年1月1日から基礎控除が48万円→58万円に引き上げられ、甲欄の扶養親族等のカウント方法も変更されました。本記事では実務担当者向けに税額表の見方・甲乙丙の使い分け・納付手続きまで完全解説します。


給与の源泉所得税は、「社会保険料等控除後の給与額」と「扶養親族等の数」から源泉徴収税額表で求めます。令和8年1月1日から基礎控除が48万円→58万円に引き上げられ、甲欄の扶養親族等のカウント方法も変更されました。本記事では実務担当者向けに税額表の見方・甲乙丙の使い分け・納付手続きまで完全解説します。
🏆 結論:甲欄か乙欄かは「扶養控除等申告書の提出有無」
源泉所得税の計算は税額表を引くだけの単純作業ですが、甲欄(主たる給与・申告書提出済)・乙欄(従たる給与)・丙欄(日雇)の判定を誤ると過不足が発生します。令和8年改正で甲欄の扶養親族等に「源泉控除対象親族」が新設され、2025年以前の源泉徴収税額表と混同しないよう注意が必要です。納付は翌月10日までが原則ですが、常時10人未満なら納期特例で年2回に集約できます。
源泉徴収制度は、給与支払者(会社・個人事業主)が給与を支払う際に、所得税法第183条第1項に基づき給与から所得税を差し引き、国に納付する仕組みです。給与所得者が毎月の確定申告を行う代わりに、勤務先が概算の所得税を先払いし、年末調整で精算する方式が日本の給与実務の基本構造となっています。
| 支払の種類 | 使用する税額表 | 税率の特徴 |
|---|---|---|
| 月給・週給 | 月額表 | 甲欄・乙欄を使い分け |
| 日給・時給(雇用2ヶ月超) | 日額表(甲欄・乙欄) | 甲欄・乙欄を使い分け |
| 日雇(雇用2ヶ月以内) | 日額表(丙欄) | 日額9,300円未満は0円 |
| 賞与(ボーナス) | 賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表 | 前月給与が基準 |
| 退職金 | 退職所得の源泉徴収税額の速算表 | 勤続年数で控除額算出 |
| 報酬・料金(個人) | 原則10.21%・弁護士税理士等 | 100万円超部分は20.42% |
💡 実務のポイント:源泉徴収義務者の範囲
源泉徴収義務者は法人だけでなく、常時2人を超える使用人に対して給与を支払う個人事業主も対象です(所得税法第184条)。個人事業主の場合でも、アルバイトやパートを3人以上雇えば源泉徴収義務が発生するため、「個人事業だから源泉徴収不要」という誤解は禁物です。弊所が関与した飲食業個人事業主の顧問先では、アルバイト10名に給与を支給しながら源泉徴収をしていなかったことが税務調査で発覚し、過去3年分の不納付加算税と延滞税で合計280万円の追徴となった事例があります。
令和7年度税制改正により、令和8年1月1日以降に支払う給与から以下の改正が適用されます。詳細は国税庁 令和8年分源泉徴収税額表を確認してください。
| 控除項目 | 改正前 | 改正後(令和8年〜) |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 48万円 | 58万円(所得階層別で最大95万円) |
| 給与所得控除最低保障額 | 55万円 | 65万円 |
| 配偶者控除の所得要件 | 48万円以下 | 58万円以下 |
| 扶養控除の所得要件 | 48万円以下 | 58万円以下 |
| 勤労学生控除の所得要件 | 75万円以下 | 85万円以下 |
| 特定親族特別控除(新設) | なし | 所得123万円以下の親族(19〜22歳)で最大63万円 |
令和8年分源泉徴収税額表の甲欄を使う際の「扶養親族等の数」のカウントが以下のように変更されました。
| カウント対象 | 令和7年まで | 令和8年〜 |
|---|---|---|
| 対象配偶者 | 源泉控除対象配偶者(1名) | 同じ(所得58万円以下) |
| 対象扶養親族 | 控除対象扶養親族 | 源泉控除対象親族(新名称) |
| 本人がひとり親 | 1人加算 | 同じ |
| 本人が勤労学生 | 1人加算 | 同じ |
| 本人・家族が障害者 | 各1人加算 | 同じ |
📢 令和8年分 扶養控除等(異動)申告書の様式変更
令和8年分の扶養控除等(異動)申告書は、従来の「控除対象扶養親族」欄が「源泉控除対象親族」欄に変更されました。特定親族特別控除の対象者(19〜22歳の大学生等で所得123万円以下)は、この新しい欄に記載する必要があります。令和7年分の申告書様式を使って令和8年分の申告を受け付けると、源泉徴収税額が誤って計算されるため、必ず新様式で従業員から再提出を受けてください。
源泉徴収税額表には甲欄・乙欄・丙欄の3種類があり、従業員の状況に応じて使い分けます。
給与所得者が「扶養控除等(異動)申告書」を提出している場合に使う税額表です。所得税法第194条により、給与所得者はその年最初に給与の支払を受ける日の前日までに、主たる給与の支払元(通常は本業の勤務先)1社だけに申告書を提出します。
扶養控除等申告書を提出していない給与所得者に適用されます。副業・掛け持ちの場合、主たる勤務先で甲欄、副業先で乙欄が使われます。
日雇労働者(同一事業主のもとで継続して2ヶ月以内の労働)に適用されます。2ヶ月を超えると丙欄は使えず、乙欄(扶養控除等申告書未提出の場合)または甲欄(提出の場合)に切り替わります。
| 判定条件 | 使用欄 |
|---|---|
| 扶養控除等申告書を提出(本業・主給与) | 甲欄 |
| 扶養控除等申告書を提出していない | 乙欄 |
| 日雇労働者(2ヶ月以内雇用) | 丙欄 |
| 日雇労働者が2ヶ月超雇用された | 甲欄または乙欄に切替 |
🧮 源泉所得税の算出4ステップ
STEP1:総支給額から非課税額を引く
→「課税支給額」の算出(通勤手当の月15万円以下等を除外)
STEP2:課税支給額から社会保険料等を引く
→「社会保険料等控除後の給与等の金額」の算出
STEP3:税額表で該当行を探す
→月額表(甲/乙)または日額表(甲/乙/丙)で金額区分を特定
STEP4:扶養親族等の数に応じた列の税額を読む
→甲欄は0〜7人の列から該当する税額を読み取る
→乙欄・丙欄は扶養数に関係なく一列のみ
📐 シミュレーション前提条件
| ステップ | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| STEP1:課税支給額 | 35万円 − 通勤手当3万円 | 320,000円 |
| STEP2:社会保険料等控除後 | 320,000円 − 社保49,000円 | 271,000円 |
| STEP3:税額表の該当行 | 月額表 甲欄 「269,000円以上272,000円未満」 | 該当行を特定 |
| STEP4:扶養1人列の税額 | 扶養1人列の値 | 約4,680円(概算値) |
※実際の税額は令和8年分源泉徴収税額表の該当行で確認してください。税額は年ごとに微調整されるため、最新版の使用が必須です。
📐 シミュレーション前提条件
乙欄は「社会保険料等控除後の給与等の金額」が25万円の場合、税額表で約50,000円〜70,000円前後の高額課税となります。これは年末調整では確定申告で精算されますが、一時的に手取りが大幅に減ることに注意が必要です。
日雇労働者(2ヶ月以内雇用)で日額8,000円の場合、日額9,300円未満のため源泉徴収税額は0円です。この免税ラインは令和8年も継続しています。
💡 実務のポイント:丙欄の落とし穴
丙欄は日額9,300円未満なら税額0円で、かつ扶養親族等も考慮しないため、非常に使い勝手の良い欄です。ただし「日雇労働者」の定義は厳格で、継続して2ヶ月を超えて同一事業主のもとで働いた時点で丙欄が使えなくなります。弊所が関与したイベント運営会社の顧問先では、「日雇なら源泉徴収不要」と思い込み、2ヶ月超の継続雇用者にも丙欄を適用していたため、税務調査で過去3年分の源泉所得税追徴120万円が発生しました。短期アルバイトでも雇用期間の管理が重要です。
賞与(ボーナス)の源泉所得税は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使います。月給とは別計算です。
🧮 賞与源泉所得税の計算例
【前提】前月の社会保険料等控除後の給与=270,000円、扶養1人、賞与100万円、賞与の社会保険料15万円
賞与税額表(令和8年) 甲欄 扶養1人 270,000円超290,000円未満の行
→ 税率 4.084%(概算)
賞与の課税対象額 = 100万円 − 社会保険料15万円 = 85万円
源泉所得税額 = 85万円 × 4.084% = 34,714円
賞与支給時の前月に給与の支払がない場合(新入社員の初回賞与など)、賞与額 ÷ 6 で仮の月額所得を算定し、月額表を使って計算した税額の6倍を源泉徴収します。
源泉所得税は、所得税法第183条第1項により「給与を支払った月の翌月10日まで」に納付する必要があります(e-Gov 所得税法参照)。例えば3月25日支給の給与から源泉徴収した所得税は、4月10日が納付期限です。
常時使用する従業員が10人未満の事業所は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出することで、年2回(7月10日と翌年1月20日)にまとめて納付できます(所得税法第216条)。
| 区分 | 対象期間 | 納期限 |
|---|---|---|
| 上半期分 | 1月〜6月分 | 7月10日 |
| 下半期分 | 7月〜12月分 | 翌年1月20日 |
💡 実務のポイント:納期特例の申請タイミング
納期の特例は申請書提出月の翌々月分から適用されます。例えば5月中に申請書を提出すれば、7月分以降の源泉所得税に適用されます。創業間もない顧問先には会社設立と同時に「給与支払事務所等の開設届」と「納期の特例申請書」を同時提出する運用を推奨しています。従業員10名になった時点で特例は自動的に打ち切られるため、人員増加のタイミングでは月次納付に戻す切替申請が必要です。詳細は国税庁 源泉所得税の納付期限と納期の特例を参照してください。
| 納付方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 金融機関窓口(納付書) | 確実・領収書が紙で残る | 営業時間内に限定・手書き |
| e-Tax ダイレクト納付 | 24時間対応・手数料無料 | 事前の口座登録が必要 |
| インターネットバンキング | 24時間対応 | Pay-easy利用手数料 |
| クレジットカード納付 | ポイント還元あり | 税額の0.83%手数料 |
| スマホアプリ納付 | 30万円以下で手軽 | 30万円超不可 |
| ペナルティ | 課税率 | 根拠法令 |
|---|---|---|
| 不納付加算税(自主納付) | 5% | 国税通則法第67条第2項 |
| 不納付加算税(税務署指摘) | 10% | 国税通則法第67条第1項 |
| 延滞税(期限後2ヶ月以内) | 年2.4%(令和7年) | 国税通則法第60条 |
| 延滞税(期限後2ヶ月超) | 年8.7%(令和7年) | 国税通則法第60条 |
AYUSAWA PARTNERS
源泉所得税の計算・納付のご相談を
初回相談無料。税理士・社会保険労務士・公認会計士・行政書士がワンストップで対応します。源泉徴収事務・給与計算代行・年末調整まで一貫サポートします。
鮎澤パートナーズに相談する給与所得者はその年最初の給与支払日の前日までに、主たる給与の支払元1社に提出します(所得税法第194条第1項)。新入社員は入社時、継続雇用者は毎年12月〜1月に翌年分の申告書を提出するのが一般的な運用です。
令和8年分の扶養控除等(異動)申告書は、特定親族特別控除の創設に伴い、以下の点が変更されました。
⚠️ 注意:申告書未提出なら必ず乙欄
扶養控除等申告書を提出していない従業員に甲欄を適用するのは所得税法違反です。実務では「忘れていた」「書き方がわからない」等の理由で申告書が回収できていないケースがありますが、この状態で甲欄を適用すると、税務調査で過去分の差額源泉徴収税の追徴+不納付加算税10%が課されます。弊所が顧問先の小売業で関与した事例では、5名分の申告書未回収で3年分の追徴税額が総額85万円となりました。月給が少額でも申告書の回収を徹底することが重要です。
毎月の源泉所得税は「概算額」であり、正確な年税額は年末調整で算定されます。生命保険料控除・地震保険料控除・住宅ローン控除・扶養控除の年中変動などを反映し、年間の正しい所得税額を算出して差額を精算します。
源泉徴収義務者は翌年1月31日までに、全従業員に対して「給与所得の源泉徴収票」を発行し、税務署にも一部を提出する必要があります(所得税法第226条第1項)。
| 対象者区分 | 税務署提出範囲 |
|---|---|
| 年末調整した従業員(役員以外) | 給与500万円超 |
| 役員(取締役等) | 給与150万円超 |
| 年末調整しなかった従業員 | 給与250万円超(退職者含む) |
| 乙欄・丙欄適用者 | 給与50万円超 |
令和2年分以降、全ての源泉徴収票は従業員本人にも交付義務があります(金額の大小を問わない)。
| 届出名 | 提出時期 | 提出先 |
|---|---|---|
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 開設から1ヶ月以内 | 所轄税務署 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 随時(申請月の翌々月から適用) | 所轄税務署 |
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 毎年最初の給与支給日の前日まで | 給与支払者に提出(保管) |
| 法定調書合計表 | 翌年1月31日まで | 所轄税務署 |
| 給与所得の源泉徴収票等の法定調書 | 翌年1月31日まで | 所轄税務署(条件該当者分) |
源泉徴収事務と給与計算全体の流れについては給与計算の基礎を、住民税の特別徴収への切替と経理処理は住民税の徴収切替と経理処理を参照してください。社会保険の全体像は社会保険の完全ガイド、就業規則との整合性は就業規則の作成、給与計算効率化の助成金はキャリアアップ助成金で解説しています。
📋 この記事のポイント
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源泉徴収事務のご相談は鮎澤パートナーズへ
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