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年末調整の「保険料控除申告書」は、生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金の4区分を一枚で申告する書類です。令和8年は23歳未満扶養親族がいる世帯の生命保険料控除拡充(4万→6万円)が1年限定で適用。本記事では人事担当者・給与計算担当者向けに、申告書の書き方とチェックポイントを完全解説します。


年末調整の「保険料控除申告書」は、生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金の4区分を一枚で申告する書類です。令和8年は23歳未満扶養親族がいる世帯の生命保険料控除拡充(4万→6万円)が1年限定で適用。本記事では人事担当者・給与計算担当者向けに、申告書の書き方とチェックポイントを完全解説します。
🏆 結論:申告書は4区分・社保料は全額控除
保険料控除申告書は①生命保険料控除②地震保険料控除③社会保険料控除④小規模企業共済等掛金控除の4区分。社会保険料控除と小規模共済等掛金控除は支払全額が控除対象(上限なし)、生命保険料と地震保険料は上限あり。令和8年1年限定で、23歳未満の扶養親族がいる世帯の一般生命保険料控除が4万円→6万円に拡充されます。
| 申告書名 | 用途 | 提出対象者 |
|---|---|---|
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養親族・源泉控除対象配偶者の申告 | 全甲欄適用者 |
| 給与所得者の保険料控除申告書 | 生命・地震・社保・小規模共済の控除申告 | 該当する控除がある者 |
| 給与所得者の基礎控除申告書等 | 基礎控除・配偶者控除・所得金額調整控除の申告 | 配偶者控除適用・高所得者等 |
| 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 | 2年目以降の住宅ローン控除 | 住宅ローン控除対象者 |
保険料控除申告書は所得税法第74〜76条および所得税法第77条に基づく控除を申告する書類で、以下4区分に分かれています。
| 控除区分 | 控除額上限(所得税) | 必要書類 |
|---|---|---|
| ①生命保険料控除 | 最大12万円(3種類各4万円) | 生命保険料控除証明書 |
| ②地震保険料控除 | 最大5万円 | 地震保険料控除証明書 |
| ③社会保険料控除 | 全額(上限なし) | 国民年金は控除証明書必須 |
| ④小規模企業共済等掛金控除 | 全額(上限なし) | 掛金払込証明書 |
📢 令和8年分限定:23歳未満扶養親族がいる世帯の生命保険料控除拡充
令和7年度税制改正により、令和8年(2026年)1年限定で、23歳未満の扶養親族がいる世帯の「新契約」の一般生命保険料控除の適用限度額が、従来の4万円から6万円に引き上げられます。ただし、生命保険料控除全体の合計適用限度額12万円に変更はないため、既に介護医療保険料+個人年金保険料の合計控除額が12万円に達している場合はこの改正による影響はありません。年末調整では扶養親族の年齢確認を徹底する必要があります。
所得税法第76条により、生命保険料控除は以下3種類に区分され、それぞれに限度額が設定されています。
| 区分 | 対象となる保険 | 控除上限(新契約) |
|---|---|---|
| 一般生命保険料 | 死亡保障・学資保険等 | 4万円(令和8年は一定要件で6万円) |
| 介護医療保険料 | 医療保険・介護保険 | 4万円 |
| 個人年金保険料 | 税制適格特約付き個人年金 | 4万円 |
| 合計適用限度額 | — | 12万円(変更なし) |
| 区分 | 契約日 | 最大控除額 |
|---|---|---|
| 新契約 | 2012年(平成24年)1月1日以降 | 各4万円・合計12万円 |
| 旧契約 | 2011年(平成23年)12月31日以前 | 各5万円・合計10万円(2種類のみ) |
💡 実務のポイント:新旧契約の判定
新契約と旧契約は保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」に明記されています。1枚の証明書に「一般新」「一般旧」「介護医療」「個人年金新」「個人年金旧」の複数区分が記載されているケースもあるため、申告書記入時には必ず証明書の区分をそのまま転記する必要があります。弊所が引継ぎで関与した顧問先の年末調整では、新旧契約の区分を誤って記入していた従業員が15名中4名おり、計算結果が年間合計で約18万円の控除額ずれを起こしていた事例があります。
申告書の最上部に以下の基本情報を記入します。
生命保険料控除証明書を見ながら、以下の項目を転記します。
🧮 新契約(2012年1月以降)の控除額計算式
年間保険料20,000円以下:支払額の全額
20,001円〜40,000円:支払額 × 1/2 + 10,000円
40,001円〜80,000円:支払額 × 1/4 + 20,000円
80,001円以上:一律40,000円(令和8年限定の一般生命保険料拡充時は60,000円)
【例】年間保険料60,000円の場合
60,000円 × 1/4 + 20,000円 = 35,000円
地震保険料控除は、自身や生計を一にする配偶者・親族が所有する居住用の建物・家財にかかる地震保険料が対象です。店舗・事務所・別荘用の地震保険は対象外です。
| 区分 | 年間保険料 | 控除額 |
|---|---|---|
| 地震保険料 | 50,000円以下 | 支払額全額 |
| 地震保険料 | 50,000円超 | 一律50,000円 |
| 旧長期損害保険料 | 10,000円以下 | 支払額全額 |
| 旧長期損害保険料 | 10,001円〜20,000円 | 支払額 × 1/2 + 5,000円 |
| 旧長期損害保険料 | 20,001円以上 | 一律15,000円 |
旧長期損害保険料とは、2006年(平成18年)12月31日以前に締結した満期返戻金ありの10年以上の損害保険契約です。実務では新規の地震保険が主流のため、旧長期損害保険料の申告は減少傾向ですが、長期継続契約がある方は注意が必要です。
社会保険料控除は所得税法第74条により、本人または生計を一にする配偶者・親族が負担すべき社会保険料を本人が支払った場合に適用される控除で、支払額の全額が所得から控除されます(上限なし)。条文の詳細はe-Gov 所得税法を参照してください。
| 社会保険料の種類 | 年末調整での扱い |
|---|---|
| 健康保険料・厚生年金保険料(会社給与天引) | 会社が自動で控除適用(申告不要) |
| 介護保険料(会社給与天引) | 会社が自動で控除適用(申告不要) |
| 雇用保険料(会社給与天引) | 会社が自動で控除適用(申告不要) |
| 国民年金保険料(本人が直接納付) | 申告書記入+控除証明書添付必須 |
| 国民健康保険料(本人が直接納付) | 申告書記入(証明書添付不要) |
| 後期高齢者医療保険料 | 申告書記入(証明書添付不要) |
| 介護保険料(市区町村に直接納付) | 申告書記入(証明書添付不要) |
| 国民年金基金の掛金 | 申告書記入+控除証明書添付必須 |
| 労働保険料(特別加入) | 申告書記入 |
所得税法第74条第2項により、「生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料」を本人が支払った場合、本人の社会保険料控除として申告できます。
💡 実務のポイント:家族分の社保控除は節税効果大
所得税率の高い人が家族分の社会保険料を代納すると、節税効果が大きくなります。例えば所得税率33%の父が、大学生の息子の国民年金保険料約20万円(月16,980円×12月)を支払うと、所得税で約66,000円・住民税10%で約20,000円の計86,000円の節税になります。弊所の顧問先では、年収1,000万円超の経営者家族に対して、この控除の活用を推奨しており、一般的な家庭と比較して年間10万円以上の所得税削減につながるケースが多数あります。ただし、形式的な支払いではなく実際の資金移動(振込記録等)が必要です。
国民年金保険料と国民年金基金の掛金については、10月末〜11月に日本年金機構から送付される「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」の原本を年末調整申告書に添付する必要があります。コピーや確定申告での証明書は不可です。紛失時は再発行が可能ですが、時間がかかるため、早めの再発行依頼が必要です。
AYUSAWA PARTNERS
年末調整代行のご相談を
初回相談無料。税理士・社会保険労務士・公認会計士・行政書士がワンストップで対応します。年末調整代行・保険料控除申告書チェック・従業員問合せ対応まで一貫サポートします。
鮎澤パートナーズに相談する小規模企業共済等掛金控除は所得税法第75条により、以下3種類の掛金が支払額全額控除となります(上限なし)。
| 対象掛金 | 月額上限 | 対象者 |
|---|---|---|
| 小規模企業共済の掛金 | 7万円(年84万円) | 小規模企業の経営者・役員・個人事業主 |
| iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金 | 月額上限は加入区分別(6.8万〜2.3万円) | 会社員・公務員・自営業者・主婦等 |
| 心身障害者扶養共済制度の掛金 | 口数・年齢による | 障害者を扶養する保護者 |
| 加入区分 | 月額上限 | 年間上限 |
|---|---|---|
| 自営業者(第1号被保険者) | 68,000円 | 816,000円 |
| 会社員(企業年金なし) | 23,000円 | 276,000円 |
| 会社員(企業型DCのみ加入) | 20,000円 | 240,000円 |
| 会社員(DB加入者) | 12,000円 | 144,000円 |
| 公務員 | 12,000円 | 144,000円 |
| 専業主婦(第3号被保険者) | 23,000円 | 276,000円 |
iDeCoの掛金払込証明書は、その年の10月下旬〜11月上旬に国民年金基金連合会から郵送されます。会社の給与から天引きで払っている場合(事業主払込方式)は会社が自動で控除するため申告書への記入は不要ですが、本人の口座引落(個人払込方式)の場合は控除証明書を添付して申告する必要があります。
| チェック項目 | よくある誤り |
|---|---|
| ①生命保険料控除証明書の添付 | 証明書未提出・コピー添付 |
| ②新旧契約区分の転記確認 | 新契約を旧契約として記入 |
| ③生命保険料3区分(一般/介護医療/個人年金)の正しい区分 | 学資保険を個人年金として記入 |
| ④地震保険料の居住用建物確認 | 別荘・事務所の地震保険を申告 |
| ⑤国民年金保険料控除証明書の添付 | 控除証明書が欠落 |
| ⑥家族分社保料負担の事実確認 | 実際の支払実績なしで申告 |
| ⑦iDeCo払込証明書の添付 | 事業主払込なのに証明書添付 |
| ⑧計算結果の検算 | 計算式の適用ミス・単純計算誤り |
| ⑨23歳未満扶養親族の確認(令和8年) | 生命保険料控除拡充の要件該当 |
| ⑩給与計算ソフトへの正確な反映 | 手動入力時のデータ転記ミス |
年末調整期間(通常11月〜12月)の前に、以下の周知を徹底することで、従業員からの問合せや申告漏れを削減できます。
2020年10月以降、国税庁が無料配布する「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」や、各種クラウド年末調整ソフトが普及しており、紙の申告書に代わる電子申告が主流になりつつあります。
| 電子化のメリット | 具体的効果 |
|---|---|
| 保険料控除証明書の電子データ取込 | 手入力ミスがゼロに |
| 自動計算機能 | 計算式適用ミスがゼロに |
| 給与計算ソフトとの連携 | 源泉徴収票の自動作成 |
| 従業員のスマホ申告 | 紙の回収・管理工数削減 |
| 申告状況の一括管理 | 未提出者の自動抽出 |
| 法改正への自動対応 | ソフトウェアが最新税法に対応 |
弊所が年末調整を代行している顧問先では、従業員50名規模で紙運用から電子化した事例で、年末調整期間の事務工数が従来100時間→30時間に約70%削減されました。従業員の申告ミスも大幅に減り、再提出の手間が激減しています。詳細は国税庁 年末調整のしかたを参照してください。
2021年10月以降、マイナポータルを介して生命保険料控除証明書等をデジタルで取得できる仕組みが本格稼働しています。マイナポータル連携を使えば、保険会社が発行する証明書を郵送で待つ必要がなく、即座に取得・申告書へ反映が可能です。詳細は国税庁 社会保険料控除の範囲等を参照してください。
年の途中で入社した従業員の年末調整では、前職の源泉徴収票が必要です。前職の給与・賞与・源泉徴収額・社会保険料を当社分と合算して年末調整を行います。前職の源泉徴収票が入手できない場合は、当社分のみで年末調整を実施し、従業員が自ら確定申告で合算する必要があります。
年の途中で退職した従業員は、原則として退職会社で年末調整を行いません。退職者本人が翌年2〜3月に確定申告するか、年内に再就職した場合は新職場で前職分と合算して年末調整されます。ただし、海外転勤(日本を出国する)従業員については出国時に年末調整を行います。
⚠️ 注意:前職源泉徴収票の入手徹底
中途入社者の年末調整で前職源泉徴収票を入手できないケースは、従業員の確定申告漏れによる税務署からの「お尋ね」「無申告加算税」につながります。実務では入社時に前職源泉徴収票の提出を必須化し、11月までに提出がない従業員には個別確認する運用が標準です。弊所の顧問先で前職源泉徴収票を得られず、本人の確定申告が漏れていたケースでは、翌年税務署から無申告加算税10〜20%が課されるトラブルに発展しました。
年末調整の結果、年間の正確な所得税額と源泉徴収合計額の差額を12月(または翌年1月)給与で精算します。
| 精算パターン | 発生理由 | 処理方法 |
|---|---|---|
| 還付(大半のケース) | 生命保険料控除・扶養控除等の反映・住宅ローン控除 | 12月給与に加算して還付 |
| 追加徴収 | 副業収入・扶養親族の減少・配偶者所得超過 | 12月給与から差引(または分割) |
給与計算全体の流れは給与計算の基礎、源泉所得税の計算と納付は給与の源泉所得税の計算と納付、住民税の切替処理は住民税の特別徴収と普通徴収を参照してください。社会保険の全体像は社会保険の完全ガイド、就業規則との整合は就業規則の作成で解説しています。
📋 この記事のポイント
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