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源泉徴収票の見方|各項目の意味と確定申告での使い方
「源泉徴収票をもらったけど、どの数字が何を意味しているのかわからない」「確定申告の書類にどう転記すればいいのか」と悩む給与所得者に向けて、源泉徴収票の4大項目の読み方から確定申告書への転記方法までを完全ガイドします。


「源泉徴収票をもらったけど、どの数字が何を意味しているのかわからない」「確定申告の書類にどう転記すればいいのか」と悩む給与所得者に向けて、源泉徴収票の4大項目の読み方から確定申告書への転記方法までを完全ガイドします。
🏆 結論:まず押さえるべきは4つの数字だけ
源泉徴収票には多くの項目がありますが、最も重要なのは①支払金額(あなたの年収)②給与所得控除後の金額(年収から経費的な控除を引いた金額)③所得控除の額の合計額(社会保険料や扶養控除などの合計)④源泉徴収税額(1年間に納めた所得税の確定額)の4つです。この4つの数字の流れを理解すれば、所得税の計算プロセスが一目でわかるようになります。
源泉徴収票とは、会社が従業員に対して1年間に支払った給与の総額と、源泉徴収した所得税額をまとめた書類です。会社員の場合、年末調整後の12月〜翌年1月に勤務先から交付されます。
源泉徴収票には3つの種類があります。
| 種類 | 対象 | 交付タイミング |
|---|---|---|
| 給与所得の源泉徴収票 | 会社員・パート・アルバイトなど給与を受け取る全員 | 年末調整後(12月〜翌年1月)または退職後1か月以内 |
| 退職所得の源泉徴収票 | 退職金を受け取った人 | 退職後1か月以内 |
| 公的年金等の源泉徴収票 | 公的年金を受け取っている人 | 翌年1月頃 |
本記事では最もよく目にする「給与所得の源泉徴収票」を中心に解説します。
源泉徴収票は、所得税が計算される過程を1枚の紙にまとめたものです。4つの数字の関係を理解すれば、源泉徴収票の見方は9割わかったことになります。
| ステップ | 項目名 | 意味 | 計算方法 |
|---|---|---|---|
| ① | 支払金額 | 1年間の給与・賞与の総額(=額面年収) | 基本給+残業代+賞与+各種手当(通勤手当は除く) |
| ② | 給与所得控除後の金額 | 支払金額から「給与所得控除」を差し引いた金額(=給与所得) | ① − 給与所得控除額(年収に応じて65万〜195万円) |
| ③ | 所得控除の額の合計額 | 基礎控除・社会保険料控除・扶養控除などの合計 | 各種所得控除の積み上げ(16種類の控除の合計) |
| ④ | 源泉徴収税額 | 1年間に確定した所得税額(復興特別所得税を含む) | (② − ③) × 所得税率 − 税額控除 + 復興特別所得税 |
💡 実務のポイント
「年収はいくらですか?」と聞かれたときに答えるべきは①支払金額の数字です。転職活動やローン審査で「年収」を記入する場合はこの金額を使います。一方、確定申告やふるさと納税の限度額計算で使うのは②給与所得控除後の金額です。場面によって使う数字が異なる点を覚えておきましょう。
源泉徴収票の4つの数字がどのように連動しているかを、年収400万円・600万円・800万円の3パターンで具体的に確認しましょう。
📐 シミュレーション前提条件
| 計算ステップ | 年収400万円 | 年収600万円 | 年収800万円 |
|---|---|---|---|
| ①支払金額 | 400万円 | 600万円 | 800万円 |
| 給与所得控除額 | 124万円 | 164万円 | 190万円 |
| ②給与所得控除後の金額 | 276万円 | 436万円 | 610万円 |
| 社会保険料控除 | 約60万円 | 約90万円 | 約120万円 |
| 基礎控除 | 68万円 | 63万円 | 58万円 |
| ③所得控除の額の合計額 | 約128万円 | 約153万円 | 約178万円 |
| 課税所得(② − ③) | 約148万円 | 約283万円 | 約432万円 |
| 適用税率 | 5% | 10% | 20% |
| ④源泉徴収税額(復興税込) | 約7.5万円 | 約18.8万円 | 約43.5万円 |
※概算値です。令和7年度改正の基礎控除額(暫定措置含む)を適用。復興特別所得税2.1%を含む。実際の数値は個別の状況により異なります。
参考: 国税庁「No.1410 給与所得控除」 / 国税庁「No.2260 所得税の税率」
年末調整の基本的なしくみは、「【税理士×社労士が解説】年末調整とは?しくみ・対象者・手続きの流れを完全ガイド」で詳しく解説しています。
源泉徴収票の下段には、③「所得控除の額の合計額」の内訳が記載されています。どの控除がいくら適用されたかを確認する際に見るべきポイントを整理します。
| 源泉徴収票の欄 | 意味 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 社会保険料等の金額 | 給与から天引きされた健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料の合計 | 離職期間中に自分で払った国民年金・国保は含まれない場合あり |
| 生命保険料の控除額 | 生命保険料控除として適用された金額(最大12万円) | 新制度・旧制度の区分は源泉徴収票には表示されない |
| 地震保険料の控除額 | 地震保険料控除として適用された金額(最大5万円) | 旧長期損害保険料は最大1.5万円 |
| 住宅借入金等特別控除の額 | 住宅ローン控除として差し引かれた税額控除の金額 | これは「所得控除」ではなく「税額控除」。④から直接差し引かれる |
| 配偶者控除・配偶者特別控除の額 | 配偶者に関する控除額(0〜48万円) | 配偶者の氏名・所得の見積額も記載される |
| 控除対象扶養親族の数 | 扶養控除の対象となった親族の人数 | 特定(19〜22歳)・老人(70歳以上)の区分も記載 |
| 摘要欄 | 前職分の情報、住宅ローン控除の詳細、その他の備考 | 中途入社の場合、前職の社名・支払金額・税額が記載される |
📊 公認会計士の視点
源泉徴収票で見落としやすいのが「住宅借入金等特別控除の額」の位置づけです。住宅ローン控除は「税額控除」であり、「所得控除の額の合計額」には含まれません。③の所得控除とは別に、所得税額から直接差し引かれる仕組みです。そのため、住宅ローン控除が適用されると④の源泉徴収税額が大幅に減りますが、③の数字には影響しない点を理解しておきましょう。
配偶者控除の詳しい適用方法は、「年末調整での配偶者控除・配偶者特別控除の適用方法」で解説しています。
源泉徴収票には、年末調整が行われたもの(年末調整済み)と、行われていないもの(年調未済)の2種類があります。確定申告が必要かどうかを判断するために、この見分け方を知っておくことが重要です。
| 判定ポイント | 年末調整済み | 年調未済 |
|---|---|---|
| ②給与所得控除後の金額 | 金額が記載されている | 空欄 |
| ③所得控除の額の合計額 | 金額が記載されている | 空欄 |
| ④源泉徴収税額 | 年末調整後の確定税額 | 毎月の概算の合計額 |
| 確定申告の必要性 | 原則不要(追加控除がある場合は必要) | 確定申告が必要 |
💡 実務のポイント
年の途中で退職して年内に再就職しなかった場合の源泉徴収票は「年調未済」になります。②と③が空欄であれば年末調整が済んでいない証拠です。この場合、毎月の源泉徴収で税金を多く払いすぎていることがほとんどですので、確定申告で還付を受けましょう。還付申告は翌年1月1日から5年以内に提出できます。
確定申告が必要な場合、源泉徴収票の数値を確定申告書に転記します。どの項目をどこに書くかを対応表で確認しましょう。
| 源泉徴収票の項目 | 確定申告書の記入先 | 注意点 |
|---|---|---|
| ①支払金額 | 第一表「収入金額等」の「給与」欄 | 複数の勤務先がある場合は合算して記入 |
| ②給与所得控除後の金額 | 第一表「所得金額等」の「給与」欄 | 年調未済の場合は自分で給与所得控除額を計算して記入 |
| 社会保険料等の金額 | 第一表「所得から差し引かれる金額」の「社会保険料控除」欄 | 自分で払った国民年金等がある場合は上乗せして記入 |
| 生命保険料の控除額 | 第一表「所得から差し引かれる金額」の「生命保険料控除」欄 | 源泉徴収票の金額をそのまま転記 |
| ④源泉徴収税額 | 第一表「税金の計算」の「源泉徴収税額」欄 | 確定申告で計算した年税額との差が還付/追徴になる |
| 住宅借入金等特別控除の額 | 第一表「税金の計算」の「住宅借入金等特別控除」欄 | 初年度は確定申告で申告(2年目以降は年末調整) |
💡 実務のポイント
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、源泉徴収票の内容を画面の案内に沿って入力するだけで、確定申告書が自動作成されます。手書きで転記するよりも計算ミスが少なく、e-Taxでそのまま電子提出も可能です。転記作業に不安がある方はぜひ活用してください。
確定申告の基本的な手続きは、「確定申告とは?対象者・必要書類・手続きの流れを完全ガイド」で詳しく解説しています。
源泉徴収票を受け取ったら、以下の6項目をチェックしましょう。誤りがあった場合は会社に修正を依頼できます。
| # | チェック項目 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 1 | 支払金額が自分の認識する年収と一致しているか | 12か月分の給与明細の課税支給額合計+賞与と照合 |
| 2 | 扶養親族の人数が正しいか | 年末調整で申告した扶養控除等申告書の内容と照合 |
| 3 | 配偶者控除・配偶者特別控除の額が正しいか | 配偶者の所得金額と本人の所得金額から早見表で照合 |
| 4 | 生命保険料控除が申告した金額で適用されているか | 保険会社の控除証明書の金額と源泉徴収票の控除額を照合 |
| 5 | 住宅ローン控除が反映されているか(2年目以降) | 「住宅借入金等特別控除の額」に金額が入っているか |
| 6 | 中途入社の場合、前職分が正しく合算されているか | 摘要欄に前職の社名・支払金額・税額が記載されているか |
⚠️ 注意:通勤手当は支払金額に含まれない
源泉徴収票の「支払金額」には、月15万円までの非課税通勤手当は含まれません。そのため、毎月の給与明細の「総支給額」と源泉徴収票の「支払金額」が一致しない場合があります。差額が通勤手当分であれば問題ありません。
源泉徴収票は確定申告以外にもさまざまな場面で必要になります。紛失しないよう大切に保管しましょう。
| 場面 | 提出先 | ポイント |
|---|---|---|
| 転職先での年末調整 | 転職先の経理担当者 | 前職分を合算して年末調整するために必須 |
| 確定申告 | 税務署 | e-Taxなら添付省略可。ただし5年間保管義務あり |
| 住宅ローン審査 | 金融機関 | 直近2〜3年分を求められることが多い |
| 賃貸契約 | 不動産会社・管理会社 | 収入証明として提出を求められることがある |
| 保育料の算定 | 市区町村 | 所得に応じて保育料が決まるため |
| ふるさと納税の限度額計算 | —(自己計算用) | ②給与所得控除後の金額と④源泉徴収税額を使用 |
源泉徴収票を紛失した場合や、会社が発行してくれない場合の対処法を整理します。
源泉徴収票の発行は所得税法第226条で定められた会社の義務です。退職後であっても、前職の会社に連絡すれば再発行してもらえます。発行手数料を請求されることはありません。
会社が源泉徴収票の発行を拒否する場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。届出を受けた税務署が会社に対して発行を指導し、場合によっては行政指導の対象となります。
前職が倒産している場合は、破産管財人に源泉徴収票の発行を依頼します。破産管財人が不明な場合は税務署に相談し、給与明細など手元の資料をもとに確定申告で税額を精算する方法もあります。
中途入社・退職時の源泉徴収票の取扱いについては、「中途入社・中途退職の年末調整と確定申告|対応フローを解説」で詳しく解説しています。
📋 この記事のポイント
源泉徴収票は、あなたの1年間の収入と税金が凝縮された「お金のカルテ」です。見方がわかれば、自分の税金がどう計算されているかが理解でき、節税のヒントも見えてきます。不明な点があれば、税理士にお気軽にご相談ください。
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