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不動産賃貸業の開業届・青色申告承認申請書の出し方
不動産賃貸業を始めたけれど、どの届出をいつまでにどこに出せばいいかわからない方に向けて、必要な届出6種類を提出先・期限・記入例つきで完全ガイドします。この記事を読めば、届出の漏れなく開業手続きを完了し、初年度から青色申告の節税メリットを活かせます。


不動産賃貸業を始めたけれど、どの届出をいつまでにどこに出せばいいかわからない方に向けて、必要な届出6種類を提出先・期限・記入例つきで完全ガイドします。この記事を読めば、届出の漏れなく開業手続きを完了し、初年度から青色申告の節税メリットを活かせます。
🏆 結論:不動産賃貸業の開業で最も重要なのは「開業から2ヶ月以内」の期限管理
不動産の貸付けを始めたら、開業届(1ヶ月以内)と青色申告承認申請書(2ヶ月以内)を税務署に提出しましょう。この2つを出し忘れると、初年度の青色申告特別控除(最大65万円)が使えなくなります。書類の記入自体は10〜15分で終わりますが、期限を1日でも過ぎると翌年まで待つことになるため、物件の引渡し後すぐに準備を始めてください。
不動産賃貸業を始めたときに提出すべき届出は全部で6種類あります。すべての方に必要なものと、状況に応じて必要なものがあるため、以下の一覧表で確認してください。
| 書類名 | 提出先 | 期限 | 必要な方 |
|---|---|---|---|
| ①個人事業の開業届出書 | 納税地の税務署 | 開業から1ヶ月以内 | 全員必須 |
| ②所得税の青色申告承認申請書 | 納税地の税務署 | 開業から2ヶ月以内 | 青色申告したい方(ほぼ全員推奨) |
| ③青色事業専従者給与に関する届出書 | 納税地の税務署 | 開業から2ヶ月以内 | 家族に給与を払う方(事業的規模のみ) |
| ④所得税の減価償却資産の償却方法の届出書 | 納税地の税務署 | 確定申告の提出期限(翌年3月15日) | 定率法を選択したい方のみ |
| ⑤事業開始等届出書 | 都道府県税事務所 | 開業から15日以内(都道府県による) | 全員必須(個人事業税の対象判定用) |
| ⑥消費税課税事業者届出書等 | 納税地の税務署 | 事由が生じた日から速やかに | 課税売上が1,000万円を超える方等 |
※①②は最低限必ず提出してください。③〜⑥は該当する場合のみです。⑤の期限は都道府県により異なります(東京都は開業から15日以内)。
💡 実務のポイント
実務では、①開業届と②青色申告承認申請書を同時に提出するのが鉄則です。別々に出すと、開業届だけ出して青色申告承認申請書を忘れるケースが後を絶ちません。税務署の窓口に行くなら1回で済ませましょう。e-Taxでの電子提出も可能ですが、初回はマイナンバーカードの設定など準備が必要なため、急ぐなら紙での提出が確実です。
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。国税庁のWebサイトからPDF形式でダウンロードできます。不動産賃貸業に特化した記入のポイントを各欄ごとに解説します。
| 記入欄 | 不動産賃貸業の記入例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 税務署長 | ○○税務署長 | 納税地(住所地)を管轄する税務署 |
| 納税地 | 住所地 ○○県○○市… | 物件の所在地ではなく自宅住所 |
| 職業 | 不動産賃貸業 | 「不動産貸付業」でも可 |
| 屋号 | 空欄 or 物件名 | 必須ではない。空欄で問題なし |
| 届出の区分 | 開業にチェック | — |
| 所得の種類 | 不動産所得にチェック | 事業所得ではなく不動産所得を選択 |
| 開業日 | 令和○年○月○日 | 物件の引渡し日が一般的 |
| 事業の概要 | 居住用マンション1室の貸付 | 具体的に。アパート○棟○室など |
不動産賃貸業の「開業日」は、一般的に物件の引渡し日です。引渡しを受けた日から入居者の募集が可能になるため、この日が事業開始日とみなされます。ただし、引渡しを受けても入居者の募集を一切していない場合は、開業したとは言えないため注意が必要です。
青色申告承認申請書の正式名称は「所得税の青色申告承認申請書」です。開業届と同時に提出するのが効率的です。
| 記入欄 | 不動産賃貸業の記入例 | 注意点 |
|---|---|---|
| ○年分以後の〜 | 令和○年分 | 開業した年を記入 |
| 事業所の名称・所在地 | ○○マンション101号 ○○市○○町… | 賃貸物件の所在地を記入 |
| 所得の種類 | 不動産所得にチェック | 事業所得ではない点に注意 |
| 青色申告の取消し歴 | 無にチェック | 過去に取消しがあれば年月日を記入 |
| 開業日(1月16日以後の場合) | 令和○年○月○日 | 開業届の開業日と同じ日付 |
| 相続による事業承継 | 無にチェック | 相続承継の場合は有にチェックし詳細記入 |
| 簿記方式 | 複式簿記にチェック | 65万円控除を受けるには複式簿記が必須 |
| 備付帳簿 | 総勘定元帳/仕訳帳/現金出納帳/経費帳/固定資産台帳/預金出納帳 | 会計ソフト使用なら自動作成される |
⚠️ 注意
簿記方式で「簡易簿記」にチェックすると、青色申告特別控除が10万円にしかなりません。65万円控除を受けるには「複式簿記」にチェックしてください。簿記の知識がなくても、会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生など)を使えば複式簿記の帳簿は自動で作成されます。
青色申告の具体的なメリットについては「青色申告のメリット」で詳しく解説しています。
青色申告承認申請書の提出期限は、開業のタイミングによって異なります。以下の4パターンで確認してください。
| パターン | 状況 | 開業届の期限 | 青色申告承認申請の期限 |
|---|---|---|---|
| A | 1月16日以後に新規開業 | 開業から1ヶ月以内 | 開業から2ヶ月以内 |
| B | 1月1日〜1月15日に新規開業 | 開業から1ヶ月以内 | その年の3月15日まで |
| C | すでに白色申告している方が青色に切替 | 提出済み | 青色申告したい年の3月15日まで |
| D | 相続で不動産賃貸業を承継 | 承継を知った日から1ヶ月以内 | 相続開始を知った日から4ヶ月以内(※) |
※相続開始を知った日が9〜10月の場合は12月31日まで、11〜12月の場合は翌年2月15日までとなります。被相続人が青色申告をしていた場合でも、承認は引き継がれないため新たな申請が必要です。
💡 実務のポイント
最も多いのがパターンAです。たとえば4月15日に物件の引渡しを受けた場合、開業届は5月15日まで、青色申告承認申請書は6月15日までが期限です。実務では、引渡し日の翌週には税務署に足を運ぶくらいの感覚で動くことをおすすめしています。「あとでやろう」が最大の敵です。
青色申告特別控除は、条件によって10万円・55万円・65万円の3段階があります。最大の65万円控除を受けるには、すべての条件を満たす必要があります。
| 条件 | 10万円控除 | 55万円控除 | 65万円控除 |
|---|---|---|---|
| 青色申告承認申請書を提出 | ○ | ○ | ○ |
| 事業的規模(5棟10室基準) | 不要 | 必要 | 必要 |
| 複式簿記で記帳 | 不要 | 必要 | 必要 |
| 貸借対照表・損益計算書を添付 | 不要 | 必要 | 必要 |
| e-Tax or 電子帳簿保存 | 不要 | 不要 | 必要 |
| 期限内に確定申告 | ○ | ○ | ○ |
不動産所得で55万円または65万円の控除を受けるには、事業的規模(5棟10室基準)を満たしている必要があります。区分マンション1室だけの場合は事業的規模に該当しないため、控除は10万円止まりです。事業的規模の判定については「不動産所得の事業的規模と業務的規模の違い」で詳しく解説しています。
📊 公認会計士の視点
「事業的規模じゃないから青色申告しても意味がない」と考える方がいますが、それは誤りです。10万円控除でも、青色申告には「純損失の繰越控除(3年間)」や「30万円未満の少額減価償却資産の即時経費化」などのメリットがあります。規模に関わらず青色申告承認申請書は出しておくべきです。
不動産賃貸業が事業的規模(5棟10室基準)を満たしている場合、生計を一にしている配偶者や親族に給与を支払い、それを必要経費に算入できます。この制度を利用するには「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。
給与額は「業務内容・経験・勤務時間等を考慮して適正な金額」でなければなりません。不動産賃貸業の場合、集金・入居者対応・清掃・経理などの業務内容を具体的に記載し、給与額の妥当性を説明できるようにしておきましょう。
届出書に記載した金額は上限額であり、実際にはそれ以下の金額を支払っても問題ありません。ただし、届出書の金額を超える金額を支払った場合、超過分は経費として認められません。
⚠️ 注意
青色事業専従者給与は事業的規模の場合のみ利用できます。業務的規模(5棟10室基準を満たさない場合)では、専従者給与ではなく「事業専従者控除(配偶者86万円・その他の親族50万円)」の適用に留まります。
AYUSAWA PARTNERS
不動産賃貸業の開業届出は鮎澤パートナーズへ
初回相談無料。開業届・青色申告承認申請から初年度の確定申告まで、税理士と行政書士がワンストップで対応します。
鮎澤パートナーズに相談する開業届や青色申告承認申請書の提出方法は、大きく分けて3つあります。
最も確実な方法です。提出用と控用の2部を持参し、窓口で収受印を押してもらいます。控用は手元に保管してください。記入に不安がある場合は、窓口で相談しながら作成することも可能です。
提出用と控用の2部に加え、返送用封筒(切手を貼り、自分の住所を記載したもの)を同封して郵送します。郵便の場合、消印日が提出日になります。期限ギリギリの場合は簡易書留やレターパックの利用がおすすめです。
マイナンバーカードとICカードリーダー(またはスマートフォン)があれば、e-Taxで電子提出も可能です。ただし、初回は利用者識別番号の取得やソフトのインストールなどの準備が必要です。
📝 行政書士の視点
不動産賃貸業を始める際には、税務署への届出だけでなく、都道府県税事務所への「事業開始等届出書」も必要です。この届出は個人事業税の課税対象かどうかを判定するために使われます。不動産賃貸業は個人事業税の対象業種ですが、事業的規模でなければ課税されないケースが多いです。届出自体は義務なので、忘れずに出しておきましょう。
「物件の引渡しから3ヶ月経ったけど何も届出を出していない」というケースは実際に多いです。各届出を出し忘れた場合の影響と、翌年以降のリカバリー方法を整理します。
| 届出 | 出し忘れた場合の影響 | リカバリー方法 |
|---|---|---|
| 開業届 | 罰則はなし。ただし青色申告承認申請の前提になる | 気づいた時点で速やかに提出。開業日は実際の引渡し日で記入 |
| 青色申告承認申請書 | その年は青色申告不可。白色申告のみ | 翌年3月15日までに提出すれば、翌年分から青色申告が可能 |
| 専従者給与届出書 | 家族への給与を経費計上できない | 翌年の確定申告期限までに提出すれば、翌年分から適用可能 |
| 事業開始届出書 | 確定申告すれば都道府県も把握するため実害は少ない | 気づいた時点で速やかに提出 |
最もダメージが大きいのが青色申告承認申請書の出し忘れです。開業初年度は設備投資で赤字になることが多く、青色申告であれば損失の繰越(3年間)ができますが、白色申告ではできません。数十万円の税額差になることもあるため、開業届と同時提出を徹底してください。
💡 実務のポイント
年間を通じて最も相談が多いのが「開業届は出したけど青色申告承認申請書を出し忘れた」というケースです。不動産会社から「開業届を出してください」とは言われても、青色申告承認申請書については説明されないことが多いためです。物件購入時の決済が終わったら、その足で税務署に行くくらいの気持ちで準備してください。
「不動産は1室だけだし、開業届を出す必要があるのか?」という疑問を持つ方もいます。確かに、開業届を出さなくても罰則はありません。しかし、開業届を出すことで得られるメリットは複数あります。
青色申告承認申請書を提出するには、開業届が出されていることが前提です。開業届なしに青色申告承認申請書だけ出しても、手続きに不備が生じる可能性があります。
開業届に屋号を記載しておくと、屋号名義の銀行口座を開設できます。賃貸収入の入金口座をプライベートと分けることで、経理処理がスムーズになります。
個人事業主として開業届を出していれば、小規模企業共済に加入できます。掛金は全額所得控除の対象になるため、節税効果があります。所得控除全体の一覧については「所得控除一覧」をご覧ください。
開業届の控え(収受印つき)は、事業を行っていることの証明書類として金融機関の融資審査で求められることがあります。
不動産賃貸業の規模が拡大してくると、個人事業から法人への移行(法人化)を検討するタイミングがきます。法人化の主なメリットは、法人税率が個人の所得税率より低くなる場合に税負担を抑えられることです。
一般的な目安として、不動産所得が年間900万円を超えてくると、法人化のメリットが出始めるとされています。ただし、法人の設立費用・維持費用(法人住民税の均等割・社会保険料・税理士顧問料など)も考慮する必要があるため、単純に所得金額だけで判断することはできません。
法人化のメリット・デメリットや最適なタイミングについては、法人税カテゴリの記事で詳しく解説していますので、規模拡大を検討されている方はそちらもご参照ください。
確定申告の基本的な流れについては「確定申告の基礎知識」で解説しています。
| # | 失敗内容 | 影響 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 1 | 開業届だけ出して青色申告承認申請書を忘れる | 初年度は白色申告のみ | 2つの書類を同時に提出する |
| 2 | 簿記方式で「簡易簿記」を選択してしまう | 65万円控除が10万円に | 「複式簿記」にチェック。会計ソフトで対応可能 |
| 3 | 所得の種類で「事業所得」にチェックしてしまう | 修正が必要になる場合あり | 不動産賃貸業は「不動産所得」を選択 |
| 4 | 相続で賃貸業を引き継いだのに新たな申請をしない | 被相続人の青色申告は引き継がれない | 相続開始から4ヶ月以内に新規申請 |
| 5 | 控え(収受印つき)を保管しない | 融資審査等で証明書類がない | 提出時に必ず2部持参し控えに収受印をもらう |
不動産所得の基礎知識については「不動産所得の基礎知識」で解説しています。
📋 この記事のポイント
AYUSAWA PARTNERS
不動産賃貸業の開業届出・確定申告は鮎澤パートナーズへ
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