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サラリーマン大家の確定申告|不動産所得の計算方法と節税ポイント
会社員をしながら不動産投資を始めたけれど、確定申告のやり方がわからない——そんなサラリーマン大家に向けて、不動産所得の計算方法・損益通算シミュレーション・会社バレ対策まで税理士×公認会計士が完全ガイドします。


会社員をしながら不動産投資を始めたけれど、確定申告のやり方がわからない——そんなサラリーマン大家に向けて、不動産所得の計算方法・損益通算シミュレーション・会社バレ対策まで税理士×公認会計士が完全ガイドします。
🏆 結論:サラリーマン大家は「赤字でも確定申告」が鉄則
不動産所得が年間20万円を超えれば確定申告は義務です。しかし、赤字の場合でも確定申告することで給与所得と損益通算でき、源泉徴収された所得税の還付を受けられます。年収700万円のサラリーマンが不動産所得▲100万円を損益通算すれば、約30万円の還付が期待できます。初年度は開業届+青色申告承認申請書の提出を忘れずに。
会社員の給与は年末調整で税額が確定しますが、不動産所得は年末調整の対象外です。そのため、家賃収入があるサラリーマンは自分で確定申告をして、給与所得と不動産所得を合算した正しい税額を計算・納付する必要があります。
| 不動産所得の状況 | 確定申告 | 理由 |
|---|---|---|
| 不動産所得 20万円超 | 必須 | 法律上の義務。確定申告しないとペナルティ |
| 不動産所得 20万円以下 | 任意 | 所得税は不要だが住民税の申告は別途必要 |
| 不動産所得が赤字 | 推奨 | 損益通算で給与の源泉徴収税が還付される |
💡 実務のポイント
不動産投資を始めた初年度は、仲介手数料・登記費用・不動産取得税などの初期費用がかさむため、赤字になるケースがほとんどです。この赤字を確定申告で損益通算すれば、給与から天引きされていた所得税が還付されます。「赤字だから確定申告しなくていい」と思っている方は、大きな損をしています。
不動産所得の基本的な定義や計算のしくみについては「不動産所得とは?計算方法・経費・確定申告のやり方を完全ガイド」で詳しく解説しています。
不動産所得の計算式は「総収入金額 − 必要経費」です。サラリーマン大家の場合、この不動産所得と給与所得を合算して確定申告を行います。
所得税は「総合課税」のしくみで計算されます。給与所得と不動産所得を足した金額(合計所得)に対して累進税率が適用されるため、不動産所得が増えると税率も上がります。逆に、不動産所得が赤字なら合計所得が下がり、税額も減ります。
課税所得 =(給与所得 + 不動産所得)− 所得控除
| 課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超〜900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超〜1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
サラリーマン大家の多くは、給与所得と不動産所得の合算で課税所得330万〜900万円のレンジに入ります。この場合、不動産所得に適用される実質的な税率は所得税20〜23%+住民税10%=30〜33%です。
サラリーマン大家にとって最大の節税メリットは「損益通算」です。不動産所得が赤字のとき、その赤字分を給与所得から差し引いて税額を減らし、源泉徴収済みの所得税が還付されるしくみです。
📐 シミュレーション前提条件
| 年収 | 不動産所得 | 不動産なしの税額 | 不動産ありの税額 | 差額(追加税/還付) |
|---|---|---|---|---|
| 年収500万円 (給与所得356万円) | 黒字 +150万円 | 約46万円 | 約91万円 | +約45万円 |
| 赤字 ▲100万円 | 約46万円 | 約26万円 | ▲約20万円還付 | |
| 年収700万円 (給与所得520万円) | 黒字 +150万円 | 約82万円 | 約132万円 | +約50万円 |
| 赤字 ▲100万円 | 約82万円 | 約52万円 | ▲約30万円還付 | |
| 年収1,000万円 (給与所得780万円) | 黒字 +150万円 | 約148万円 | 約198万円 | +約50万円 |
| 赤字 ▲100万円 | 約148万円 | 約115万円 | ▲約33万円還付 |
※概算値です。実際の税額は扶養控除・生命保険料控除等により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。
🧮 シミュレーション
年収が高いほど適用税率が高いため、損益通算による還付額も大きくなります。年収1,000万円のサラリーマンが100万円の赤字を通算すると約33万円の還付ですが、年収500万円の場合は約20万円です。これが「高年収者ほど不動産投資の節税メリットが大きい」と言われる理由です。
サラリーマン大家にとって最も強力な節税ツールが減価償却費です。建物は年数が経つにつれて価値が減ると考え、取得価額を法定耐用年数で割った金額を毎年経費にできます。実際にはキャッシュアウトがないのに経費が計上できるため、手元のお金を減らさずに所得を圧縮できます。
📐 シミュレーション前提条件
| 物件タイプ | 建物価格 | 耐用年数 | 年間償却費 | 年間節税額 |
|---|---|---|---|---|
| 新築RC(マンション) | 2,000万円 | 47年 | 約42.6万円 | 約12.8万円 |
| 中古木造(築20年アパート) | 1,500万円 | 6年 | 約250万円 | 約75万円 |
| 中古RC(築25年マンション) | 1,800万円 | 24年 | 約75万円 | 約22.5万円 |
📊 公認会計士の視点
中古木造の年間償却費250万円は非常に大きく見えますが、6年で償却が終了するとその後は減価償却費がゼロになり、不動産所得が急増して税負担が大幅に増えます(いわゆる「デッドクロス」)。短期間の節税効果だけでなく、長期的なキャッシュフローも見据えて物件を選ぶことが重要です。
不動産投資を始めた初年度は、確定申告とは別にいくつかの届出が必要です。特に青色申告承認申請書は期限を過ぎると1年待たなければなりません。
| 届出書類 | 提出先 | 提出期限 | 必須? |
|---|---|---|---|
| 開業届(個人事業の開業届出書) | 税務署 | 事業開始から1ヶ月以内 | ○ |
| 青色申告承認申請書 | 税務署 | 事業開始から2ヶ月以内 or その年の3/15まで | 推奨 |
| 減価償却資産の償却方法の届出書 | 税務署 | 確定申告期限まで | 任意 |
⚠️ 青色申告承認申請書の期限を絶対に逃さない
青色申告承認申請書の提出期限を1日でも過ぎると、その年は白色申告しかできません。業務的規模でも10万円の特別控除が使えなくなり、赤字の繰越控除もできなくなります。物件の引渡しを受けたら、すぐに開業届と青色申告承認申請書をセットで提出してください。
青色申告の始め方やメリットについては「青色申告のメリット・デメリット完全ガイド」で詳しく解説しています。
以下の順序で進めます。1年目は税理士に依頼して流れを覚え、2年目から自分で申告するのも賢い方法です。
①年間の家賃収入を集計する——管理会社からの送金明細を12ヶ月分合計します。礼金・更新料・共益費も忘れずに含めます。
②必要経費を集計する——固定資産税・管理委託費・火災保険料・修繕費・借入金利息・減価償却費などを集計します。
③青色申告決算書(不動産所得用)を作成する——収入と経費を転記し、不動産所得の金額を算出します。
④確定申告書を作成する——源泉徴収票の給与所得と不動産所得を合算し、所得控除を差し引いて税額を計算します。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えばWeb上で完結します。
⑤確定申告書を提出する(翌年2/16〜3/15)——e-Taxで電子申告するのがおすすめです。還付がある場合は通常1〜2ヶ月で指定口座に振り込まれます。
| 書類 | 入手先 | 確認 |
|---|---|---|
| 源泉徴収票 | 勤務先(12月〜1月に交付) | □ |
| 賃貸借契約書 | 管理会社 or 自分で保管 | □ |
| 管理会社からの送金明細(12ヶ月分) | 管理会社 | □ |
| 固定資産税の納税通知書 | 市区町村(4月頃に届く) | □ |
| ローンの年間返済明細 | 銀行(元本・利息の内訳がわかるもの) | □ |
| 火災保険の保険証券 | 保険会社 | □ |
| 修繕費の領収書 | 業者 | □ |
| 不動産売買契約書(初年度のみ) | 購入時に取得済み | □ |
確定申告の基本的な手続きについては「確定申告の基礎知識|初めてでもわかる手順と必要書類」でも解説しています。
サラリーマン大家の最大の心配事の一つが「会社に不動産投資がバレないか」です。バレるルートの大半は住民税の特別徴収です。不動産所得によって住民税が増え、その増加分が会社の給与天引きに反映されることで「副収入があるのでは?」と気づかれます。
確定申告書の第二表にある「住民税に関する事項」欄で、「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」を「自分で納付」にチェックします。これにより、不動産所得分の住民税は自宅に届く納付書で自分で払うことになり、会社の給与天引きには反映されません。
⚠️ 普通徴収が万能ではない理由
自治体によっては、確定申告書で「自分で納付」を選んでも特別徴収に一本化されるケースがあります。また、不動産所得が赤字で損益通算した場合は、給与の住民税が「減る」ため、会社の経理担当者が気づく可能性があります。完全にバレないことを保証する方法は残念ながらありません。心配な場合は、お住まいの市区町村の税務課に事前確認することをおすすめします。
不動産所得の赤字のうち、土地を取得するために要した借入金の利息に相当する部分は損益通算の対象外です。不動産購入時のローンには土地分と建物分が含まれますが、損益通算で使えるのは建物分の利息のみです。
銀行の融資では土地と建物を一体で借りることがほとんどですが、売買契約書で土地価格と建物価格を区分しておけば、その比率でローン利息を按分できます。
減価償却費や経費を最大限に計上して大きな赤字を作り、損益通算で還付を受ける——これ自体は合法ですが、実態のない経費や過大な按分割合で赤字を「作っている」と判断されると、税務調査の対象になります。経費はあくまで「不動産収入を得るために直接必要な支出」に限られます。
💡 実務のポイント
サラリーマン大家が陥りやすいのが「節税のために赤字を出す」という発想です。しかし、不動産投資の本来の目的はキャッシュフローの黒字化です。減価償却費による「帳簿上の赤字」で損益通算するのは有効な戦略ですが、実際のキャッシュフロー(手取り)がマイナスになる物件は投資判断として問題があります。税務上の損益とキャッシュフローを混同しないようにしましょう。
所得控除の全体像や他の節税手段については「所得控除の一覧と適用条件」も参考にしてください。
📋 この記事のポイント
サラリーマン大家の確定申告は、収支の構造を理解すれば決して難しくありません。初年度は青色申告承認申請書の提出期限に注意し、まずは書類を揃えるところから始めましょう。不明点があれば、不動産所得の確定申告に慣れた税理士に相談するのが確実です。
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