【行政書士×税理士が解説】薬局開設許可の取得要件と手続き|医薬品販売業・化粧品製造販売業との比較まで完全ガイド

【行政書士×税理士が解説】薬局開設許可の取得要件と手続き|医薬品販売業・化粧品製造販売業との比較まで完全ガイド
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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薬局開設許可の取得要件と手続き|医薬品販売業・化粧品製造販売業との比較まで完全ガイド

薬局開業や医薬品・化粧品ビジネスを検討する方に向けて、薬局開設許可の要件・手続きを中心に、医薬品販売業・化粧品製造販売業の許認可体系を横断的にガイドします。この記事を読めば、自社ビジネスに必要な許可を判断し申請準備を始められます。

🏆 結論:薬局開設は都道府県知事許可制、医薬品医療機器等法が基本法、管理薬剤師の配置が必須

薬局を開設するには、医薬品医療機器等法(旧薬事法)第4条に基づき都道府県知事(または保健所設置市の長)の許可が必要です。許可要件は「構造設備基準」「業務体制(管理薬剤師の配置)」「人的欠格事由の非該当」の3点で、申請手数料は約3万円、許可期間は6年で更新が必要です。調剤を行わない医薬品販売は「店舗販売業」許可で足り、取扱区分で配置する管理者(薬剤師or登録販売者)が変わります。化粧品を製造販売する場合は化粧品製造販売業許可・製造業許可の別体系となります。

薬局開設許可とは?医薬品医療機器等法の体系

結論から言えば、薬局開設許可は医薬品医療機器等法(略称:薬機法。以下「法」)第4条第1項に基づき、薬局を開設する際に都道府県知事(保健所設置市にあっては市長)から受けなければならない許可です。薬局は医療用医薬品の調剤を含む医薬品の販売・授与を行える唯一の営業形態で、処方箋対応・保険調剤を行う場合に必須の許可です。

医薬品医療機器等法上の営業許可の全体像

薬局以外の医薬品関連営業の許可区分を整理します。詳細はe-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」および厚生労働省「医薬品医療機器等法」を参照してください。

許可・届出 根拠条文 できること 必要資格者
薬局開設許可法第4条調剤・全区分の医薬品販売管理薬剤師(薬剤師)
店舗販売業許可法第26条要指導医薬品・一般用医薬品の販売(調剤不可)薬剤師または登録販売者
配置販売業許可法第30条配置販売(家庭への預け置き)薬剤師または登録販売者
卸売販売業許可法第34条医療機関・薬局等への卸売薬剤師
医薬品製造販売業許可法第12条自社医薬品の市販・責任承継総括製造販売責任者(薬剤師)
医薬品製造業許可法第13条医薬品の製造・包装・保管製造管理者(薬剤師等)
化粧品製造販売業許可法第12条自社化粧品の市販・責任承継総括製造販売責任者
化粧品製造業許可法第13条化粧品の製造・包装・表示・保管製造管理者

薬局と店舗販売業の違い

医薬品を販売する形態で最も混同されやすいのが、薬局と店舗販売業の違いです。ドラッグストアでも店舗販売業のみで薬局開設許可を取っていないケースがあり、扱える医薬品の範囲が大きく異なります。

薬局と店舗販売業の決定的な違い

項目 薬局 店舗販売業
調剤業務可能(処方箋対応・保険調剤)不可
医療用医薬品取扱可取扱不可
要指導医薬品取扱可(薬剤師)取扱可(薬剤師配置時のみ)
第一類医薬品取扱可(薬剤師)取扱可(薬剤師配置時のみ)
第二類・第三類医薬品取扱可取扱可(登録販売者で足りる)
管理者要件薬剤師(管理薬剤師)薬剤師または登録販売者
構造設備調剤室・調剤設備が必須調剤室不要
保険調剤保険薬局指定可能不可
申請手数料(新規)25,000〜30,000円前後20,000〜25,000円前後

💡 実務のポイント:処方箋を扱うなら薬局、OTCだけならドラッグストア(店舗販売業)

弊所が2026年2月に支援した調剤併設型店舗(処方箋対応あり)では、薬局開設許可を取得しました。一方、医療機関の近くで「OTC医薬品(一般用医薬品)のみ取扱う」形態の店舗では、店舗販売業許可を取得することで薬剤師の常時配置が不要となり、ランニングコストを抑えられました。ビジネスモデルの設計段階で、処方箋取扱いの有無・扱う医薬品区分を明確にし、それに合った許可を選択することが重要です。

薬局開設許可の3つの要件

薬局開設許可を得るには、法第5条に定められた3つの要件をすべて満たす必要があります。

要件1:構造設備基準(法第5条第1号)

薬局の構造設備は、厚生労働省令(薬局等構造設備規則)で細かく規定されています。主なポイントは以下のとおりです。

⚠️ 医療機関からの独立が近年厳格化

医療機関の敷地内薬局は2016年の制度改正以降、「構造的独立」「経営的独立」の2要件が審査されます。具体的には、医療機関との共用通路のみで行き来できる構造(内部に直接つながる扉がある等)は独立性が否定されるリスクがあります。弊所が相談を受けた敷地内薬局の案件では、当初の内装設計で医療機関との内部通路があったため、独立性確保のために入口の位置変更と壁設置の追加工事が必要になりました。

要件2:業務体制(管理薬剤師の配置)

薬局には「管理薬剤師」を1名配置する必要があります(法第7条)。管理薬剤師は原則として薬局の業務時間中は専任勤務する必要があり、他の業務との兼任は原則認められません。

要件3:人的欠格事由の非該当(法第5条第3号)

薬局開設許可申請の全体の流れ【8ステップ】

薬局開設許可は、申請から許可取得まで通常2〜3か月を要します。店舗の工事完了と許可取得のタイミングを合わせるため、早期のスケジュール管理が重要です。

  1. ステップ1:管轄保健所への事前相談(開業予定日の3〜6か月前)
  2. ステップ2:管理薬剤師の確保と契約
  3. ステップ3:店舗物件の選定と賃貸借契約
  4. ステップ4:構造設備基準を満たす内装設計・工事
  5. ステップ5:工事完了後の実地確認予約
  6. ステップ6:開設許可申請書類の提出
  7. ステップ7:保健所の実地検査・書面審査
  8. ステップ8:許可証交付・保険薬局指定申請

【ステップ1】管轄保健所への事前相談

薬局開設の最初のステップは、開業予定地を管轄する保健所への事前相談です。物件選定前の段階で相談することで、構造設備基準を満たせない物件を選んでしまうリスクを避けられます。

事前相談で確認すべきポイント

【ステップ2・3】管理薬剤師の確保と店舗物件の選定

管理薬剤師は薬局運営の要です。法律上は「従事する薬剤師」の中から1人を管理者として指定しますが、オーナーが薬剤師でない場合は雇用する薬剤師を管理薬剤師とします。

管理薬剤師の勤務条件

💡 行政書士の視点:管理薬剤師の確保は開業スケジュールの律速要因

薬剤師不足が続く地域では、管理薬剤師の採用に3〜6か月かかることもあります。物件契約後に薬剤師が見つからず開業予定日が延びるケースも多く、弊所では物件選定と並行して人材紹介会社・派遣会社を活用した早期の人材確保を推奨しています。管理薬剤師の年収は地域差が大きく、都市部で600〜800万円、地方で800〜1,000万円が相場です。

【ステップ4・5】内装工事と実地確認

構造設備基準に合致した内装工事を行います。特に調剤室は面積6.6㎡以上・独立した区画・流水設備・調剤設備が揃っている必要があります。

工事完了時の準備物

【ステップ6・7】申請書類の提出と実地検査

薬局開設許可申請の必要書類

書類 内容
薬局開設許可申請書都道府県所定の様式(様式第1号)
登記事項証明書(法人)または住民票(個人)発行後3か月以内
申請者の欠格事由に関する誓約書法第5条第3号該当の有無
薬剤師免許証の写し管理薬剤師の免許証
使用関係を証する書類雇用契約書または使用関係証明書
薬局の平面図面積・間取り・設備配置
構造設備の概要調剤室・保管設備の仕様
調剤設備器具一覧表設備機器の明細
医療機関等からの独立に係る申立書独立性の具体的な説明
薬剤師等の一覧表全従事者の氏名・免許・勤務時間
薬局業務体制申出書業務時間・体制
診断書(開設者が個人の場合)精神機能の障害の有無

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【ステップ8】保険薬局指定と開業後の手続き

薬局開設許可を取得しただけでは保険調剤ができません。保険調剤を行うには、地方厚生局(麻薬取扱いは都道府県)への「保険薬局指定申請」が別途必要です。

保険薬局指定までの追加手続き

店舗販売業の許可手続きと実務

調剤を行わない医薬品販売は、店舗販売業許可(法第26条)で足ります。ドラッグストアやコンビニエンスストアの医薬品コーナーはこの許可を取得しています。

店舗販売業の許可要件

登録販売者の業務経験要件

登録販売者を店舗管理者とするには、過去5年間のうち通算2年以上の実務経験が必要です。実務経験としてカウントされるのは、薬局・店舗販売業・配置販売業での薬剤師・登録販売者の下での勤務経験です。

化粧品製造販売業・化粧品製造業の許可

自社で化粧品を製造・販売する場合、化粧品製造販売業許可と化粧品製造業許可の両方または片方が必要です。OEM委託の場合は製造販売業許可のみで足りる場合もあります。

化粧品事業の許可区分

許可種別 できること 必要責任者
化粧品製造販売業許可自社化粧品の市場流通・市場責任総括製造販売責任者
化粧品製造業許可(一般)化粧品の製造・包装・表示・保管製造管理者
化粧品製造業許可(包装・表示・保管区分)包装・表示・保管のみ製造管理者

化粧品製造販売業の総括製造販売責任者

総括製造販売責任者は、化粧品の市場流通への責任を担う人材です。以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

許可取得までの費用と期間の目安

📐 シミュレーション前提条件

  • 東京都内の新規薬局開設(15坪程度の調剤薬局)
  • 法人による開設(法人設立済み)
  • 管理薬剤師1名+薬剤師1名の体制

3パターンの開業コスト比較

⭐ おすすめは「薬局専門の行政書士+税理士フル代行」
項目 パターンA:完全自力 パターンB:行政書士依頼 パターンC:薬局専門行政書士+税理士
薬局開設許可申請手数料25,000〜30,000円25,000〜30,000円25,000〜30,000円
保険薬局指定申請手数料0円0円0円
内装工事費用(別途)500〜1,000万円500〜1,000万円500〜1,000万円
専門家報酬0円150,000〜300,000円300,000〜500,000円
自社作業時間80〜150時間15〜25時間10〜15時間
申請スケジュール管理リスク高い低い極めて低い
許可関連の総費用25,000〜30,000円175,000〜330,000円325,000〜530,000円

※概算値です。内装工事費は別途で、店舗規模・エリアにより大きく変動します。

許可取得後の運営上の義務

定期的な義務

違反時のリスク

よくある失敗と対策

失敗1:管理薬剤師の人材確保の遅れ

物件契約後に管理薬剤師が見つからず、開業予定日が延期となるケースが多数あります。物件選定と並行して人材確保を進めることが重要です。

失敗2:医療機関との独立性不備

敷地内薬局で医療機関と内部通路でつながっている構造だと、独立性が否定され許可が下りない可能性があります。事前相談で構造的独立性を必ず確認します。

失敗3:保険薬局指定申請のタイミングミス

地方厚生局の保険薬局指定申請は月1回の締切日があり、締切を逃すと指定が1か月遅れます。薬局開設許可取得後の流れで忘れずに申請してください。

薬局経営と並行して他の許認可事業(建設関連の設備工事や産業廃棄物の適正処理、外国人薬剤師の在留資格など)が発生する場合は、それぞれ別の許可体系が必要です。詳細は「建設業許可の要件と必要書類」「産業廃棄物収集運搬業許可」「在留資格の種類」を参照してください。

よくある質問

薬局開設許可の有効期間はどのくらいですか?
6年間です(法第4条第4項)。期間満了前に更新申請が必要で、更新手数料は15,000〜20,000円程度です。更新申請を忘れると許可が失効し、薬局業務ができなくなります。更新期限の6か月前から手続きを開始するのが安全です。
オーナーが薬剤師でなくても薬局を開設できますか?
可能です。医薬品医療機器等法上、薬局の開設者自体に薬剤師資格は不要で、薬局の管理者(管理薬剤師)が薬剤師であれば要件を満たします。法人(株式会社・合同会社・医療法人等)が開設者となるケースが多く、この場合は雇用した薬剤師を管理薬剤師とします。
管理薬剤師は他の薬局と兼務できますか?
原則不可です(法第7条第4項)。例外的に都道府県知事の承認を受ければ兼務可能ですが、承認には「営業時間の重複がない」「移動時間が現実的」「品質管理体制が確保される」等の条件があり、実務上は厳格に審査されます。兼務の承認申請は所管の保健所に事前相談してください。
薬局と店舗販売業の許可は同時取得できますか?
技術的には可能ですが、実務上は不要です。薬局開設許可があれば店舗販売業でできる全てのことが可能なので、薬局許可を持つ事業者が追加で店舗販売業許可を取ることはありません。逆に、店舗販売業許可のみの店舗が途中で調剤を始めたい場合は、薬局開設許可への切り替え申請が必要です。
医薬品のインターネット販売は薬局開設許可で可能ですか?
可能ですが、実店舗の許可取得が前提となります。医薬品の「特定販売」(ネット販売・カタログ販売等)を行うには、実店舗での薬局開設許可または店舗販売業許可に加え、特定販売の届出を保健所へ提出する必要があります。ネット販売可能な医薬品は区分別に制限があり、要指導医薬品は対面販売のみ可能です。
化粧品を製造販売する場合、薬局開設許可は必要ですか?
不要です。化粧品の製造販売には「化粧品製造販売業許可」と必要に応じて「化粧品製造業許可」が必要で、薬局開設許可とは別体系です。薬局は医薬品販売のための許可、化粧品事業は別の許可区分と理解してください。
登録販売者の試験合格後、すぐに店舗管理者になれますか?
直ちにはなれません。登録販売者が店舗管理者となるには、過去5年間のうち通算2年以上の実務経験(薬局・店舗販売業・配置販売業での薬剤師・登録販売者の下での勤務)が必要です。試験合格直後は「研修中」の登録販売者として勤務し、実務経験を積んでから管理者になれます。

まとめ:薬局開設は専門性の高い許認可、事前相談と管理薬剤師確保が成功の鍵

📋 この記事のポイント

  • 薬局開設許可は医薬品医療機器等法第4条に基づく都道府県知事許可
  • 許可要件は「構造設備基準」「業務体制(管理薬剤師)」「人的欠格事由の非該当」の3点
  • 調剤を行わない医薬品販売は店舗販売業許可(法第26条)で足りる
  • 第二類・第三類のみなら登録販売者で足りる(薬剤師不要)
  • 許可申請手数料は25,000〜30,000円、内装工事費は500〜1,000万円が目安
  • 保険調剤には別途「保険薬局指定申請」が必要
  • 許可は6年ごとに更新申請が必要
  • 化粧品製造販売業・製造業は薬局と別体系の許可

🎯 次のアクション

  • 開業予定地を管轄する保健所に事前相談を予約する
  • 管理薬剤師の採用計画を立てる(物件選定と並行)
  • 処方箋対応・調剤の要否を事業計画で明確化する
  • 医療機関併設型か独立型か、ビジネスモデルを確定する
  • 医療法人との併設を検討する場合は「医療法人の設立手続きと認可申請」を参照
  • 飲食物を提供するサービス連携の場合は「飲食営業許可」を参照

薬局開設は医薬品医療機器等法の厳格な規制下にあり、構造設備・管理薬剤師・医療機関からの独立性など、多面的な要件を満たす必要があります。内装工事と人材確保のスケジュールを並行管理しながら、保健所との事前相談を軸に進めることが成功の鍵です。鮎澤パートナーズでは、行政書士・税理士・公認会計士・社会保険労務士が連携し、薬局開設から医薬品・化粧品ビジネスの許認可申請・法人設立・税務顧問・社保手続きまでワンストップで支援しています。

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