【行政書士×税理士が解説】電気工事業の登録と解体工事業の登録|手続きの違いと要件

【行政書士×税理士が解説】電気工事業の登録と解体工事業の登録|手続きの違いと要件
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

建設業許可とは別系統の2つの登録制度「電気工事業登録」「解体工事業登録」を、登録4区分・技術者要件・建設業許可との関係・500万円ルールまで法人経営者向けに実務目線で整理します。

🏆 結論:建設業許可があっても電気工事業・解体工事業の登録は別途必要。「許可を取ったから大丈夫」と放置すると違反状態

電気工事業(電気工事業法)と解体工事業(建設リサイクル法)は、建設業許可とは別の法律に基づく登録・届出・通知制度です。建設業許可取得者にも「みなし登録」「みなし通知」の手続きが別途必要で、特に建設業許可の更新(5年毎)のたびに再届出が必要という落とし穴があります。いずれも登録怠った状態での工事は法令違反となり、罰則対象です。

全体像|2制度の位置付けと共通点

結論から言えば、電気工事業・解体工事業は、建設業許可では代替できない独立した登録制度です。建設業許可が「一定金額以上の建設工事全般を請け負う資格」を定めるのに対し、電気工事業法・建設リサイクル法は「電気保安・廃棄物適正処理」という個別の公益目的で別途の規制を設けています。

参考: e-Gov「電気工事業の業務の適正化に関する法律」

項目 電気工事業 解体工事業
根拠法電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)
制度の目的電気保安の確保建設廃棄物の分別解体と再資源化
申請先都道府県知事(複数県またぎは経済産業大臣)工事施工区域の都道府県知事(営業所所在地ではない)
有効期間5年(更新必要)5年(更新必要)
申請手数料(新規)22,000円(知事登録)33,000円前後(自治体で変動)
技術者要件主任電気工事士(営業所ごと)技術管理者(営業所ごと)
建設業許可との関係建設業許可取得者は「みなし登録/みなし通知」(届出)土木/建築/解体の建設業許可があれば解体工事業登録不要

💡 実務のポイント

弊所で年間30件以上の許認可を扱う中で頻発するのが、「建設業許可を取得したから電気工事業登録は不要」と思い込んだ結果、みなし登録届を失念して違反状態になるケースです。特に建設業許可の更新(5年ごと)のたびにみなし登録・みなし通知も再届出する必要があり、この継続管理ができていない事業者が非常に多いのが実情です。

電気工事業の4区分|登録・みなし登録・通知・みなし通知

電気工事業法は、扱う電気工作物の種類と建設業許可の有無の組合せで4区分に分かれます。自分がどの区分に該当するかで手続きが「登録」か「届出(みなし)」か「通知」かが変わります。

参考: e-Gov「電気工事士法」

4区分の判定表

建設業許可 扱う電気工作物 区分 手続き
なし一般用+自家用(または一般用のみ)登録電気工事業者登録(審査あり・手数料22,000円)
あり一般用+自家用(または一般用のみ)みなし登録電気工事業者届出(手数料なし・開始届)
なし自家用のみ通知電気工事業者通知(手数料なし)
あり自家用のみみなし通知電気工事業者通知(手数料なし)

一般用と自家用の違い

⚠️ 自家用のみは「通知」で主任電気工事士不要

通知電気工事業者(自家用のみ)は主任電気工事士の設置が不要ですが、その代わり「自家用電気工作物の工事には第一種電気工事士免状が必要」という絶対要件があります。第二種電気工事士免状しか持っていない場合は自家用の電気工事は行えません。一般家庭の電気工事(一般用)を行うには「登録」が必要で、主任電気工事士の配置も必須となります。

電気工事業登録の要件と必要書類

主任電気工事士の資格要件

一般用電気工作物等を扱う場合(登録・みなし登録)は、営業所ごとに主任電気工事士を1名配置する必要があります(電気工事業法第19条)。資格要件は次のいずれかです。

一人親方・個人事業主の場合は、経営者自身が主任電気工事士の資格を満たせば問題ありません。複数営業所を持つ場合は営業所ごとに別の主任電気工事士が必要です。

参考: 経済産業省 関東東北産業保安監督部「登録電気工事業者として登録申請を行う場合」

備付け器具

営業所ごとに経済産業省令で定める法定器具を備える必要があります(電気工事業法第24条)。

扱う電気工作物 必須器具
一般用のみ絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計(電圧・電流・抵抗を測定できるもの)
一般用+自家用上記3種+低圧・高圧検電器・継電器試験装置・絶縁耐力試験装置

必要書類(登録・みなし登録・通知)

区分ごとに必要書類が異なります。神奈川県や埼玉県等の公表情報を総合した標準リストは次のとおりです。

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解体工事業の登録|500万円ルールと建設業許可の関係

解体工事業登録は建設リサイクル法第21条に基づく登録制度で、2001年に制定されました。「請負金額500万円未満の解体工事」を請け負う事業者が対象で、500万円以上の解体工事は建設業法(解体工事業または土木工事業・建築工事業)の建設業許可が必要です。

参考: e-Gov「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」

建設業許可との関係図(500万円ルール)

請負金額 必要な手続き
500万円未満解体工事業登録(建設リサイクル法)のみで可
500万円以上建設業許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれか)が必要
建設業許可あり土木/建築/解体の許可があれば解体工事業登録は不要

2016年の建設業法改正により、それまで「とび・土工工事業」で行っていた解体工事が「解体工事業」という独立した業種に分離されました。既存の「とび・土工工事業」許可で解体工事を継続する場合は経過措置の期限に注意が必要です。

施工区域ごとに別々の登録が必要

解体工事業登録は「工事施工区域」(工事を行う都道府県)を管轄する知事に申請します。営業所所在地の都道府県ではない点が、他の登録制度と大きく異なります。

⚠️ 複数県で営業する場合は県ごとに登録必要

営業所は東京都だが、千葉県・神奈川県の現場でも解体工事を行う場合、東京都知事・千葉県知事・神奈川県知事のそれぞれに解体工事業登録が必要です。営業所の有無は関係ありません。建設業許可(大臣許可・複数県)を取得している場合は、このエリア制約が解消されるメリットがあります。

技術管理者の要件

解体工事業登録には、営業所ごとに技術管理者を選任する必要があります(建設リサイクル法第31条)。技術管理者の資格要件は以下のいずれかです。

💡 実務のポイント

技術管理者は営業所に常勤し、専ら技術上の管理を行う必要があります。他社との兼任は不可ですが、同じ営業所が管轄する同一都道府県内の複数現場であれば兼任可能です。新規開業で経営者自身を技術管理者にする場合は、資格要件の経路を事前に確認する必要があります。弊所が2024年に支援した新設解体会社(年商予想3,500万円)では、経営者が「とび技能士2級」だけでは要件を満たさないと判明し、解体工事施工技士講習を受講してもらい開業を3ヶ月延期した案件がありました。

申請手続きの流れ【7ステップ・電気・解体共通】

ステップ1:自社の該当区分を判定

電気工事業は4区分のいずれに該当するか、解体工事業は500万円以上/未満・建設業許可取得有無を整理します。

ステップ2:技術者の確保

電気工事業は主任電気工事士、解体工事業は技術管理者の資格要件を満たす人材を確保します。経営者自身が兼任する場合は資格取得計画を立てます。

ステップ3:営業所(事務所)の準備と備付け器具の整備

電気工事業は営業所ごとに法定器具を揃え、解体工事業は廃棄物処理計画・重機保有状況等を整理します。営業所は自宅兼事務所でも可能です。

ステップ4:必要書類の収集・作成

登録・みなし登録・通知で様式が異なります。自治体のホームページから様式をダウンロードして作成します。

ステップ5:手数料納付と申請

電気工事業登録は22,000円、解体工事業登録は33,000円前後(自治体で変動)。みなし登録・通知は手数料不要です。

ステップ6:審査

標準処理期間は電気工事業30日前後、解体工事業40〜60日程度です。書類不備があると補正指示が入り期間が延びます。

ステップ7:登録証の交付・営業開始

登録証・通知受理通知書等が交付されたら、営業所に掲示して営業を開始できます。

🧮 登録費用シミュレーション

【新規法人で電気工事業登録+解体工事業登録を同時に取得する場合】
・電気工事業登録手数料:22,000円
・解体工事業登録手数料:33,000円(1都道府県分)
・法人設立費用:約24万円(合同会社なら約6万円)
・技術管理者の講習受講料:約15万円(解体工事施工技士講習)
・行政書士報酬(両方同時依頼):150,000〜250,000円
合計:約45万〜70万円、準備〜営業開始まで約3〜6ヶ月

みなし登録・みなし通知の落とし穴(建設業許可更新時の再届出)

建設業許可を取得している事業者が電気工事業を行う場合、みなし登録(一般用扱い)またはみなし通知(自家用のみ)の届出が必要です。ここで実務上最大の落とし穴になるのが、建設業許可の更新(5年ごと)のタイミングで、みなし登録・みなし通知も再度届出が必要になる点です。

建設業許可は更新されると新しい許可番号が付与されるため、旧許可番号に紐付いたみなし登録・みなし通知は自動的に失効します。更新後30日以内に変更届出を提出しないと違反状態となります。

💡 社労士の視点

電気工事業・解体工事業ともに、労働安全衛生法上の特別教育・技能講習の記録保管が税務調査でも問われます。特に解体工事は「石綿(アスベスト)含有建材の事前調査」が2022年4月から義務化され、建築物石綿含有建材調査者の配置が事実上必須です。労災保険の「建設業特別加入」と合わせて、労務体制の整備が受注競争力を左右します。弊所が2024年に対応した解体工事会社(従業員8名)では、石綿事前調査報告システム(政府建設工事計画届出システム)への毎回の報告を失念していた案件があり、発注者側から是正要請が入って3件の契約が停止しました。

共通する変更届・廃業届の義務

変更事項 期限
商号・所在地・代表者の変更変更後30日以内
主任電気工事士・技術管理者の変更変更後30日以内
建設業許可の更新(みなし登録・通知)更新後30日以内に再届出
営業所の新設・廃止変更後30日以内
事業の廃止廃止後30日以内+登録証返納
登録更新(電気・解体とも5年)満了日前に更新申請(失効すると新規扱い)

よくある不備・違反パターン

  1. 「建設業許可を取ったから登録は不要」の勘違い:みなし登録・みなし通知の届出を失念し違反状態で営業
  2. 建設業許可更新時の再届出漏れ:5年ごとの更新を忘れてみなし登録が失効
  3. 主任電気工事士の兼任違反:複数営業所で同一人物を主任電気工事士に設定
  4. 第二種電気工事士で自家用電気工事:実務経験3年以上あっても自家用は第一種必要
  5. 解体工事業の施工区域外営業:東京都のみ登録で千葉・神奈川の現場に入り違反
  6. 技術管理者の非常勤化:名義貸し・週1出社等で常勤要件違反と判定される

自分で申請 vs 行政書士に依頼

項目 自分で申請 行政書士に依頼
費用(電気1本)手数料22,000円のみ手数料+報酬5万〜10万円
費用(解体1本)手数料33,000円のみ手数料+報酬5万〜10万円
向いているケース単独登録・みなし通知のみ建設業許可と同時進行・複数県同時登録・継続管理まで依頼したい
建設業許可「電気工事業」があれば電気工事業登録は不要ですか?
不要ではありません。建設業許可を持っていても「みなし登録電気工事業者」としての開始届出(一般用を扱う場合)または「みなし通知電気工事業者」としての通知(自家用のみの場合)が必要です。電気工事業法による別系統の規制であり、建設業許可とは独立した手続きです。届出を怠ると違反状態となります。
建設業許可「解体工事業」があれば解体工事業登録は不要ですか?
はい、不要です。土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可を取得している事業者は、建設リサイクル法に基づく解体工事業登録が免除されます。ただし、これ以外の業種(とび・土工のみ等)の建設業許可では、解体工事業登録が別途必要なケースがあるため、自社の許可業種を確認する必要があります。
一人親方でも電気工事業登録できますか?
可能です。経営者自身が主任電気工事士の資格要件(第一種電気工事士、または第二種電気工事士+3年以上の実務経験)を満たせば登録できます。従業員を雇用していない一人親方では、経営者自身を主任電気工事士として申請します。法定の備付け器具(絶縁抵抗計等)の購入は必要です。
解体工事業登録は営業所ごとに必要ですか?施工区域ごとですか?
施工区域(工事を行う都道府県)ごとに必要です。営業所が東京都でも、千葉・神奈川で解体工事を行うなら、それぞれの県知事に別途登録申請します。営業所の有無は関係なく、「工事を施工する区域」で判定されます。他の登録制度と異なるこの仕組みのため、広域営業するには登録費用が積み重なる点に注意が必要です。
主任電気工事士と電気主任技術者は同じですか?
別の資格です。主任電気工事士は「電気工事業法」に基づく電気工事業の登録要件で、第一種電気工事士または第二種電気工事士+3年以上の実務経験が必要です。一方、電気主任技術者は「電気事業法」に基づく自家用電気工作物の保安監督者で、第一種〜第三種電気主任技術者の国家資格が別途必要です。
建設業許可を更新した後、みなし登録は自動更新されますか?
自動更新されません。建設業許可の更新で新しい許可番号が発行されるため、みなし登録・みなし通知は旧許可番号と紐付いたまま失効します。更新後30日以内に変更届出を提出する必要があります。この届出漏れが業界で最頻出の違反パターンです。建設業許可の更新通知が届いたら、同時にみなし登録の再届出をカレンダーに記録することが実務上の鉄則です。
解体工事施工技士の試験は誰が実施していますか?
公益社団法人全国解体工事業団体連合会(全解工連)が実施する国家資格です。受験資格は解体工事に関する実務経験年数(学歴により1〜8年)が必要で、学科試験(択一式)と実地試験(記述式)の2段階です。合格後に技術管理者として登録することで、解体工事業登録の技術者要件を満たせます。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 電気工事業は建設業許可と別系統の登録制度。扱う電気工作物と建設業許可の有無で4区分(登録・みなし登録・通知・みなし通知)
  • 解体工事業は500万円未満のみ登録、500万円以上は建設業許可(土木/建築/解体)が必要
  • 解体工事業登録は「工事施工区域」の都道府県ごとに必要、営業所所在地ではない点に注意
  • 主任電気工事士(電気)・技術管理者(解体)は営業所ごとに常勤配置必須、兼任不可
  • 建設業許可の更新(5年毎)で「みなし登録・みなし通知」も再届出が必要(最頻出の違反パターン)

📋 次のアクション

  • 自社が電気工事業4区分のいずれに該当するかを判定する
  • 解体工事業は自社の工事単価と受注想定額で500万円ルールを検証する
  • 主任電気工事士・技術管理者の資格要件を満たす人材の確保計画を立てる
  • 建設業許可との関係を整理し、みなし登録・みなし通知の要否を確認する
  • 建設業許可の更新スケジュールを管理し、みなし登録の再届出期限をカレンダーに登録する

電気工事業・解体工事業は独立した登録制度であり、建設業許可とセットで管理することで初めて合法的な事業運営となります。関連する許認可は「建設業許可の要件と申請手続き|経営業務管理責任者と専任技術者の条件」「産業廃棄物収集運搬業許可の取り方|積替え保管の有無で変わる要件」「在留資格の種類と取得方法|就労ビザ・経営管理ビザの要件」「医療法人設立の要件と手続き|個人診療所からの法人成りメリット」「薬局開設許可の要件と申請手続き|管理薬剤師配置と構造設備基準」も併せて参考にしてください。

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