【行政書士×税理士が解説】ペットショップ・動物取扱業の登録手続き|7業種の区分と動物取扱責任者要件

【行政書士×税理士が解説】ペットショップ・動物取扱業の登録手続き|7業種の区分と動物取扱責任者要件
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

ペットショップ・ペットホテル・トリミング・ペットシッターを始める創業者に向けて、第一種動物取扱業の7業種区分・登録要件・動物取扱責任者の4つの資格ルート・飼養管理基準を完全ガイドします。

🏆 結論:動物取扱業の開業の最大関門は「動物取扱責任者」の資格要件。4ルートのいずれかで要件を満たせば登録は書類作業

ペットショップ・ペットホテル・トリミング等を業として営むには、動物愛護管理法に基づき都道府県知事または政令市長への登録が必要です。登録手数料は1業種16,000円前後(自治体で多少変動)、登録の有効期間は5年。事業所ごとに動物取扱責任者を常勤職員から1名選任する必要があり、責任者は「半年以上の実務経験+1年以上の教育機関卒業」など4つのルートのいずれかで資格要件を満たす必要があります。

第一種動物取扱業とは|対象となる7業種

結論から言えば、第一種動物取扱業とは「社会性をもって一定以上の頻度または取扱量で営利を目的として動物を取り扱う業」のことで、動物愛護管理法第10条に基づき都道府県知事等への登録が義務付けられています。対象動物は哺乳類・鳥類・爬虫類に限られ、畜産農業・試験研究用の動物は対象外です。

参考: e-Gov「動物の愛護及び管理に関する法律」

ネット販売・出張ペットシッター・出張訓練等、動物または飼養施設を持たない場合でも業として行えば登録対象となる点に注意が必要です。なお、非営利目的(動物保護団体等)で同様の業を行う場合は「第二種動物取扱業」として別途届出制となります。

💡 実務のポイント

弊所で年間30件以上の許認可申請を扱う中で、動物取扱業で最も多い相談が「自分の事業は登録対象か不明」というケースです。実際、昨年相談を受けた犬のしつけ教室運営者は「月1〜2回の単発レッスンだから登録不要」と判断して営業していましたが、保健所から指導が入り登録義務の対象と判定されました。継続性・頻度・有償性のいずれかがあれば登録対象と考えるのが安全です。無登録営業は動物愛護管理法第46条により100万円以下の罰金です。

7業種の区分と該当業態

業種 内容 該当業態
販売動物の小売・卸売・代理販売・取次ペットショップ・ネット販売・ブリーダー
保管有償で動物を預かるペットホテル・トリミングサロン・ペットシッター
貸出し動物を有償で貸与撮影用レンタル・イベントレンタル
訓練有償で動物を訓練ドッグトレーニング・しつけ教室・出張訓練
展示動物を観覧・ふれあいのため展示動物園・猫カフェ・ふれあい動物園
競りあっせん動物の売買のあっせんを会場で実施動物オークション事業者
譲受飼養有償で動物を譲り受け終生飼養老犬・老猫ホーム

同一事業所で複数業種を営む場合は、業種ごとに登録が必要で、手数料も業種ごとにかかります。例えばペットショップ(販売)とペットホテル(保管)を併設する場合、登録手数料は2業種分となります。

自分の事業はどの業種?|判定フローチャート

質問 YES NO
Q1. 動物を売買する(代理販売・ネット販売を含む)販売で登録Q2へ
Q2. 他人の動物を有償で預かる(トリミング・美容を含む)保管で登録Q3へ
Q3. 動物を撮影・イベント用に貸出し貸出しで登録Q4へ
Q4. 有償で動物のしつけ・訓練を行う訓練で登録Q5へ
Q5. 動物を客に見せる・触れ合わせる(猫カフェ等)展示で登録登録不要の可能性(要確認)

⚠️ 兼業事業は業種ごとに登録必須

ペットショップで販売と一時預かり(ホテル)を併設する場合、販売1業種+保管1業種の計2業種分の登録が必要です。また、トリミングサロンで販売商品を扱う場合も販売登録が別途必要です。登録業種を間違えると、監視指導時に無登録営業と判定される可能性があるため、開業前に保健所で業務内容を説明し、必要な登録業種を確定させることが重要です。

登録の3要件|人・施設・責任者

① 人的要件(欠格事由)

動物愛護管理法第12条第1項第1号から第7号の2までの欠格事由に、申請者(法人の場合は役員全員)・動物取扱責任者・使用人のいずれかが該当すると登録できません。主な欠格事由は次のとおりです。

② 施設要件(飼養施設の構造)

飼養施設を設ける場合は、環境省令に定める構造要件を満たす必要があります。2020年の動物愛護管理法改正(2021年6月から段階的施行)により、犬猫の飼養管理基準が大幅に厳格化されています。

施設要件 内容
ケージの規模犬は体長の2倍以上×1.5倍以上、猫は体長の2倍以上×1.5倍以上+高さ2倍以上の棚
照明設備日中の飼養に十分な明るさ(点灯時間の管理記録が必要)
給水・排水設備清潔な水の提供、排泄物の適切な処理
洗浄・消毒設備ケージ等を洗浄できる設備
空調・温湿度管理動物の種類に適した温度・湿度の維持
従業員数の基準(犬猫販売・保管)犬は15頭/従業員1人、繁殖犬は25頭/人、猫は25頭/人、繁殖猫は35頭/人まで

参考: 環境省「第一種動物取扱業者の規制」

③ 動物取扱責任者の選任(最大の関門)

事業所ごとに常勤職員の中から専属の動物取扱責任者を1名選任する必要があります(動物愛護管理法第22条)。兼業不可・他事業所との兼任不可という厳しい制約があり、これが開業の最大関門となります。責任者の資格要件は2020年改正で大幅に厳格化され、次の4つのルートのいずれかを満たす必要があります。

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動物取扱責任者の4つの資格ルート

2020年動物愛護管理法改正により、「半年以上の実務経験」単独ルートは廃止され、実務経験に加えて教育機関卒業または資格取得が必要になりました。どのルートを選ぶかで採用計画・育成計画が変わります。

ルート 実務経験 追加要件 向いている人
①実務+教育機関卒業半年以上の実務または1年以上の飼養経験1年以上教育する学校等を卒業専門学校卒業で業界に入る人
②実務+資格半年以上の実務または1年以上の飼養経験公平性・専門性を持つ団体の試験に合格愛玩動物飼養管理士等の民間資格取得者
③獣医師免許不要獣医師免許保有動物病院併設ビジネス
④愛玩動物看護師不要愛玩動物看護師免許保有(2022年国家資格化)看護師有資格者

💡 実務のポイント

民間資格のうち動物取扱責任者要件を満たすのは、公益社団法人日本愛玩動物協会の「愛玩動物飼養管理士(1級または2級)」、一般社団法人ジャパンケネルクラブの「愛犬飼育管理士」、全国ペット協会の「ペットショップ開業講座認定試験」等、環境省告示で指定された資格に限られます。市販のペット資格の多くはこの要件を満たしません。弊所が2024年に支援した開業案件では、開業予定者が取得していた資格が要件外と判明し、開業を1年延期して愛玩動物飼養管理士2級を取得したケースがあります。責任者の採用・育成計画は開業1〜2年前から動く必要があります。

実務経験として認められない経験

「ペットを飼っていた経験」「友人の犬を預かった経験」は実務経験として認められません。常勤職員として動物取扱業者に在職した期間のみがカウントされます。弊所の経験上、認定されるのはおおむね次のとおりです。

登録申請の手続き【7ステップ】

ステップ1:事業所の物件選定・用途地域確認

都市計画法・建築基準法による用途地域の制限があります。第一種・第二種低層住居専用地域ではほぼ営業不可、第一種中高層住居専用地域も規模制限があります。物件契約前に市区町村の都市計画課・建築指導課に事業内容を説明して確認します。

ステップ2:動物取扱責任者の確保

前述4つのルートのいずれかで資格要件を満たす責任者を1名確保します。新規開業で経営者自身が責任者を兼任する場合は、自身の資格取得計画を先行させます。

ステップ3:飼養施設の設計・内装工事

施設要件に基づく図面を作成し、内装工事を行います。ケージの規模・従業員数基準・空調設備等を満たすよう設計します。保健所と事前相談しながら設計を固めるのが安全です。

ステップ4:必要書類の準備

横浜市・兵庫県等の公表情報を総合すると、共通して必要な書類は次のとおりです。

ステップ5:保健所への申請・手数料納付

事業所を所管する保健所(都道府県・政令市・中核市の動物愛護管理担当)に申請します。登録手数料は1業種16,000円前後が多く、自治体により若干変動します。複数業種を同時申請する場合は業種ごとの加算となります。

ステップ6:職員による立入検査

申請後、保健所の職員が飼養施設を実地検査し、構造要件の充足を確認します。ケージ規模・消毒設備・動線等を現地で測定します。

ステップ7:登録証の交付・営業開始

立入検査で問題なければ登録証が交付され、営業開始できます。申請から交付まで自治体により30〜60日程度を見込みます。登録証は事業所内に掲示する義務があります。

🧮 開業コスト・期間シミュレーション

【ペットショップ(販売)+ペットホテル(保管)を新規開業する場合】
・登録手数料:32,000円(1業種16,000円×2業種)
・内装工事費:200万〜500万円(ケージ設備・空調等)
・法人設立費用:約24万円
・動物取扱責任者の資格取得費用:3〜10万円(愛玩動物飼養管理士2級・3万円程度)
・行政書士報酬:100,000円〜180,000円
・準備期間:責任者資格取得期間を含めて6〜12ヶ月

登録後の継続的な義務

動物取扱責任者研修の毎年受講

動物取扱責任者は、毎年1回以上、都道府県等が実施する動物取扱責任者研修を受講する義務があります(動物愛護管理法第22条第4項)。受講しない場合は登録取消しの対象となります。

書類・記録の備付け

事業所には次の書類を備え付ける必要があります。

対面説明義務(販売業)

動物販売時には、購入希望者に対し事業所で現物を見せた上で、飼養方法・健康状態等18項目について対面で事前説明する義務があります。ネット販売事業者も事業所での対面説明が必須で、対面なしで販売することはできません。

5年ごとの登録更新

登録の有効期間は5年で、満了日までに更新申請を行う必要があります。更新手数料は1業種につき13,000円前後(自治体で変動)。更新期限を徒過すると登録失効=無登録営業となり、5年以内の再登録制限がかかるリスクがあります。

💡 税理士の視点

ペットショップ・ペットホテルの税務で特に注意すべきは、動物の「棚卸資産」としての計上と時価評価です。生体販売業では動物は棚卸資産として扱いますが、体調悪化・売れ残り等で評価減が必要なケースが多く、評価減のタイミング・金額・根拠の記録が税務調査の論点になります。弊所が2024年に支援したペットショップ(年商4,800万円)では、売れ残り成長犬の評価減120万円を計上しましたが、評価減の算定根拠として個体別の入荷日・飼養日数・市場価格データを整備していたため、税務調査でも問題なく認容されました。開業時から評価減計上のルールを決めておくことが重要です。

よくある不備・補正パターン

  1. 動物取扱責任者の資格要件充足の証明不足:実務経験証明書に前職の押印がもらえない、資格が環境省告示指定外、教育機関が学校教育法第1条に掲げる学校に該当しない等
  2. 飼養施設の面積不足:ケージ規模基準を満たさず、内装工事の再施工が必要になる
  3. 用途地域の確認不足:物件契約後に住居専用地域で営業不可と判明
  4. 兼業・兼任の不可解:複数事業所で同一責任者を選任しようとする、役員を責任者に就けるが常勤性を証明できない
  5. 犬猫健康安全計画の不備:繁殖回数制限・譲渡先管理等の記載不足で差戻し

自分でやる vs 行政書士に依頼

項目 自分で申請 行政書士に依頼
費用手数料16,000円×業種数手数料+報酬10万〜18万円
準備期間約2〜3ヶ月(書類収集・施設設計)約1〜2ヶ月
向いているケース1業種・単独店舗・書類作成の時間が取れる複数業種同時申請・法人設立と同時進行・施設設計の相談も必要
ペットシッターは登録が必要ですか?
必要です。出張ペットシッターも飼養施設を持たなくても「保管」業に該当します。有償で他人の動物を預かる行為は規模や継続性を問わず登録対象です。副業・週末営業であっても登録が必要で、無登録営業は100万円以下の罰金の対象です。
個人宅で小規模に繁殖・販売を行う場合も登録が必要ですか?
営利目的で継続的に繁殖・販売する場合は登録が必要です。年数回程度の譲渡(営利性が認められない場合)は対象外となる可能性がありますが、判定は保健所が行うため事前相談が必要です。なお、犬猫を年間2頭以上出産させて販売する場合は犬猫等販売業として扱われ、犬猫等健康安全計画の作成義務も発生します。
動物取扱責任者は経営者本人が兼任できますか?
可能です。経営者が常勤で事業所にいて、資格要件を満たしていれば動物取扱責任者を兼任できます。ただし、複数事業所を経営する場合は事業所ごとに別の責任者が必要で、経営者1人で複数店舗の責任者を兼任することはできません。
ネット販売のみでも登録が必要ですか?
必要です。ネット販売・通信販売であっても動物取扱業の「販売」に該当します。さらに、2020年改正により動物販売時は事業所での対面説明が義務化されたため、ネット販売であっても実店舗(飼養施設)が必要となり、非対面での引き渡しはできません。
登録申請から営業開始までどのくらいかかりますか?
申請から登録証交付まで30〜60日程度が一般的です。施設の立入検査で補正指示が入ると期間が延びます。動物取扱責任者の資格取得期間を含めると、開業計画から営業開始まで6〜12ヶ月を見込むのが現実的です。
マイクロチップの装着義務は誰に課されますか?
2022年6月施行の改正動物愛護管理法により、犬猫等販売業者(ブリーダー・ペットショップ等)には犬猫へのマイクロチップ装着・情報登録の義務が課されています。一般飼い主が新たに取得した犬猫の装着は努力義務です。未装着の犬猫を販売すると罰則の対象となります。
登録業種を追加したい場合はどうすればよいですか?
既存登録に業種を追加する場合は、追加する業種ごとに新規登録申請と同じ手続き・手数料が必要です。例えばペットショップ(販売)登録済みの事業者がペットホテル(保管)を追加する場合、保管業の新規登録申請を行います。変更届ではなく新規登録扱いになる点に注意してください。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 第一種動物取扱業は「販売・保管・貸出し・訓練・展示・競りあっせん・譲受飼養」の7業種、対象動物は哺乳類・鳥類・爬虫類
  • 事業所ごと・業種ごとに登録が必要、登録手数料は1業種16,000円前後、5年ごとに更新
  • 最大の関門は動物取扱責任者の選任(常勤専属)、4つの資格ルートから必ず1つを満たす
  • 2020年改正により飼養管理基準が厳格化(ケージ規模・従業員数・空調等)、2022年6月から犬猫販売業にマイクロチップ装着義務
  • 動物販売時は事業所での対面説明が必須、ネット販売のみの営業は不可

📋 次のアクション

  • 開業予定の事業がどの業種(7業種)に該当するかを判定する
  • 動物取扱責任者の資格取得計画を立てる(4ルートから選択)
  • 物件候補地の用途地域を都市計画課で確認する
  • 保健所(動物愛護管理担当)に事業計画を説明し事前相談を行う
  • 飼養施設の設計を施設要件に合わせて作成する

ペットビジネスの登録は動物取扱責任者の資格要件が最大の壁で、開業1年前からの育成計画が成否を分けます。関連する許認可は「建設業許可の要件と申請手続き|経営業務管理責任者と専任技術者の条件」「産業廃棄物収集運搬業許可の取り方|積替え保管の有無で変わる要件」「在留資格の種類と取得方法|就労ビザ・経営管理ビザの要件」「医療法人設立の要件と手続き|個人診療所からの法人成りメリット」「薬局開設許可の要件と申請手続き|管理薬剤師配置と構造設備基準」も併せて参考にしてください。

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