【4士業ワンストップ解説】特別償却・特別税額控除の一覧と活用方法|賃上げ税制・投資促進税制・経営強化税制の全体像

【4士業ワンストップ解説】特別償却・特別税額控除の一覧と活用方法|賃上げ税制・投資促進税制・経営強化税制の全体像
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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特別償却・特別税額控除の一覧と活用方法|賃上げ税制・投資促進税制・経営強化税制の全体像

「設備投資や賃上げで使える税制優遇が多すぎてどれを選べばいいか分からない」「特別償却と税額控除はどちらが結局得なのか」「複数の制度を併用できるのか」と迷う経営者・経理担当者に向けて、中小企業向け3大税制優遇制度の全体像を整理します。本記事では各制度の意思決定ポイントを総覧し、深掘りすべき論点は専門記事へ誘導します。30分で自社の節税戦略の方向性が見えるよう構成しました。

🏆 結論:3大制度「賃上げ45%・即時償却100%・投資促進7%」を組み合わせる

中小企業向けの主要な特別償却・税額控除制度は、①賃上げ促進税制(給与増加額の最大45%税額控除)、②中小企業経営強化税制(即時償却100%または税額控除10%)、③中小企業投資促進税制(特別償却30%または税額控除7%)の3つ。それぞれ対象が「人件費」「経営力向上計画認定の設備投資」「機械等の新品設備」と異なるため、3つを併用することで節税効果を最大化できます。特別償却は「課税の繰延べ」で長期的にはトータル税負担が変わらず、税額控除は「永久節税」効果があるため、安定黒字企業は税額控除を優先するのが原則戦略。各制度の控除限度額は当期法人税額の20%で、それぞれ1〜5年の繰越控除が可能です。なお、中小企業経営強化税制E類型と中小企業投資促進税制は計画期間中の重複適用が不可となる点に注意。

特別償却・特別税額控除の全体像

「特別償却」と「税額控除」の本質的な違い

中小企業の設備投資減税は、「特別償却」と「税額控除」という2つの仕組みで構成されます。両者は計算ロジックも節税効果も大きく異なります。

区分 特別償却 税額控除
仕組み減価償却費を割増しして損金算入法人税額から直接控除
節税効果課税の繰延べ(タイミング調整)永久節税
資金繰り効果初年度に大きな効果毎年均等の効果
10年累計の節税額通常償却と同額控除額がそのまま追加
主な用途大型投資の初年度負担軽減安定黒字企業の長期節税

💡 実務のポイント

「即時償却(特別償却100%)」は強力な節税策に見えますが、10年累計で見ればトータル節税額はゼロです。耐用年数10年の機械を即時償却すれば初年度に全額損金になりますが、2〜10年目は減価償却費がゼロになるため、結局同じ金額が損金算入されるだけ。一方の税額控除は、減価償却費による損金算入と税額控除の両方が得られるため、トータル節税額が増えます。長期的視点では税額控除のほうが有利ですが、当期の資金繰りや業績次第で特別償却を選ぶケースもあります。経営強化税制の即時償却の場合、1,000万円設備の10年累計で即時償却335.8万円vs税額控除485.8万円と、税額控除が150万円多く節税できます。

3大制度のマッピング

中小企業向けの主要な特別償却・税額控除制度は、対象別に3つに整理できます。

制度 対象 最大優遇 事前手続き
①賃上げ促進税制給与等支給額の増加税額控除最大45%不要
②中小企業経営強化税制A〜E類型の認定設備即時償却100%または税額控除10%経営力向上計画認定必要
③中小企業投資促進税制機械160万円・ソフト70万円等特別償却30%または税額控除7%不要

3制度は対象が異なるため、賃上げ+設備投資を実施する企業では3制度すべてを併用することで節税効果が最大化できます(一部例外あり、後述)。

【領域①】賃上げ促進税制

制度の概要:給与増加額の最大45%が税額控除

賃上げ促進税制は、青色申告法人が雇用者給与等支給額を前年度比1.5%以上増加させた場合に、増加額の一部を法人税額から控除できる制度です。中小企業向けの最大控除率は45%(通常15%+上乗せ①15%+上乗せ②10%+上乗せ③5%)。2024年度改正で5年繰越控除が新設され、赤字企業や創業期企業も将来の黒字年度で控除可能になりました。

3層の上乗せ要件

要件 内容 控除率
通常要件給与等支給額前年度比1.5%以上増加15%
上乗せ①給与等支給額前年度比2.5%以上増加+15%
上乗せ②教育訓練費前年度比5%以上増加+10%
上乗せ③プラチナくるみんまたはえるぼし二段階目以上認定+5%
最大合計通常 + 上乗せ①〜③45%

節税インパクト

🧮 賃上げ3,000万円の節税効果

給与等支給額を前年度比3,000万円増加させ、最大控除率45%を適用した場合:
税額控除:1,350万円(3,000万円×45%)
損金算入による節税:1,007万円(3,000万円×33.58%)
合計税負担軽減:2,357万円
賃上げの実質コスト:643万円(21%)

賃上げ促進税制の詳細な要件、申請手続き、各上乗せ要件の取得方法は、以下の専門記事で解説しています。

📖 詳細記事はこちら

賃上げ促進税制とは|中小企業向け最大45%税額控除の要件と計算

3層の上乗せ要件、5年繰越控除、給与3,000万円増加時の試算、適用手続き、教育訓練費の範囲、くるみん・えるぼし認定取得まで完全網羅。

【領域②】中小企業経営強化税制

制度の概要:即時償却100%または税額控除10%

中小企業経営強化税制は、経営力向上計画の認定を受けた中小企業者が、A〜E類型の設備を取得した場合に即時償却(取得価額の100%を初年度に損金算入)または税額控除10%(資本金3,000万円超は7%)を選択できる強力な制度です。設備投資減税の中で最も強力な部類に入ります。

4類型の概要

類型 名称 要件
A類型生産性向上設備旧モデル比で生産効率1%以上向上
B類型収益力強化設備年平均の投資利益率7%以上
D類型経営資源集約化設備修正ROAまたは有形固定資産回転率の向上
E類型(新設)経営規模拡大設備投資利益率7%以上+売上100億円超目標(建物含む)

📢 重要な改正(2025年4月)

C類型(デジタル化設備)は2025年4月で廃止、E類型(経営規模拡大設備)が新設されました。E類型は従来対象外だった建物および附属設備も対象になり、特別償却15〜25%・税額控除1〜2%が適用可能です。ただし「売上高100億円を超えるまでの目標期間」を経営力向上計画に明記する必要があります。

節税インパクト

1,000万円の機械装置(耐用年数10年)を取得した場合の10年累計:

  • 即時償却:初年度に336万円の節税ですが、2〜10年目は減価償却費がゼロのため累計336万円のまま
  • 税額控除10%:初年度100万円の税額控除+通常の減価償却費による節税335.8万円=累計435.8万円。さらに10年間にわたって他の利益に充当できる損金算入効果を含めると約485.8万円

結論:10年累計では税額控除のほうが150万円多く節税できます。

経営力向上計画の認定手続き、A〜E類型の要件、即時償却と税額控除の選び方は、以下の専門記事で解説しています。

📖 詳細記事はこちら

中小企業経営強化税制とは|A・B・D・E類型の認定要件と即時償却100%・税額控除10%の選び方

C類型廃止・E類型新設の最新動向、経営力向上計画の認定フロー2〜3か月、4類型の要件詳細、1,000万円設備の10年累計試算、即時償却vs税額控除の選び方、適用しないほうが良いケースまで完全網羅。

【領域③】中小企業投資促進税制

制度の概要:手続き不要で即適用可能

中小企業投資促進税制は、機械装置160万円以上、ソフトウェア70万円以上、貨物自動車3.5トン以上等の新品設備を取得した中小企業者が、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除を選択できる制度です。経営力向上計画の認定が不要なため、急な設備投資にも対応可能で、最も活用しやすい設備投資減税です。

対象設備の最低取得価額

資産種類 最低取得価額
機械装置1台160万円以上
測定工具・検査工具1台120万円以上(複数合計可)
ソフトウェア1個70万円以上(複数合計可)
貨物自動車車両総重量3.5トン以上
内航船舶取得価額の75%相当額

⚠️ 税額控除は資本金3,000万円以下のみ

税額控除7%が選択できるのは資本金3,000万円以下の中小企業者のみです。3,000万円超〜1億円以下の中小企業者は特別償却30%のみで、永久節税効果を失います。資本金設計の段階で3,000万円ラインを意識することが重要です。

対象設備の詳細、適用要件、特別償却と税額控除の選び方、200万円機械の節税試算は、以下の専門記事で解説しています。

📖 詳細記事はこちら

中小企業投資促進税制とは|対象設備・特別償却30%・税額控除7%の使い分け

対象資産6種別の最低取得価額、指定事業の範囲、ソフトウェアの対象外規定、特別償却vs税額控除の10年累計比較、3つの設備投資減税の使い分けまで完全網羅。

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3大制度の使い分けと併用戦略

3制度は対象が異なるため併用可能

賃上げ促進税制(人件費)、中小企業経営強化税制(経営力向上計画認定の設備)、中小企業投資促進税制(機械等の新品設備)は、それぞれ対象が異なるため併用可能です。賃上げと設備投資を同時に実施する企業では、3制度をすべて活用することで節税効果を最大化できます。

状況 推奨制度
賃上げを実施賃上げ促進税制(最大45%控除)
大型設備投資(1,000万円超)・計画的中小企業経営強化税制(即時償却または10%控除)
小〜中規模設備(数百万円)・スピード重視中小企業投資促進税制(手続き不要)
事業承継・M&A時の設備投資中小企業経営強化税制 D類型
大規模工場建物・経営拡大投資中小企業経営強化税制 E類型

同一設備への重複適用は不可

⚠️ 設備単位での重複適用制限

同一の設備について、中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制を重複適用することはできません。同じ設備に最も有利な1制度を選択します。複数の設備を取得する場合は、設備ごとに別々の制度を適用することは可能です。また、租特法上の圧縮記帳との重複適用も不可。補助金で取得した設備は圧縮記帳と経営強化税制のいずれかを選択します。

計画期間中の制度間排他関係

経営強化税制E類型と投資促進税制の関係には独自のルールがあります。

⚠️ E類型の投資計画期間中は投資促進税制が不可

中小企業経営強化税制E類型の確認を受けた投資計画の期間中は、中小企業投資促進税制(同一資産に関わらず)の適用を受けることができません。E類型は大規模な経営拡大投資が対象のため、計画期間(最大5年)中はE類型に集中する設計です。逆に、A・B・D類型は投資促進税制との併用が可能です。

3制度の控除限度額は共通で当期法人税額20%

賃上げ促進税制・中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制の税額控除限度額は、それぞれ当期法人税額の20%が上限です。さらに、研究開発税制等の他の税額控除も含めた合算上限規定もあるため、複数制度を併用する場合は控除限度額の管理が必要です。

各制度の繰越期間の違い

制度 繰越期間 特殊条件
賃上げ促進税制5年繰越年度の給与等が前年度超
中小企業経営強化税制1年翌期のみ繰越可能
中小企業投資促進税制1年翌期のみ繰越可能

賃上げ促進税制のみ5年繰越(2024年度改正で延長)、設備投資減税は1年繰越と差があります。複数年での節税戦略を組む場合、各制度の繰越期間を踏まえた計画立案が必要です。

3制度併用の節税効果【総合シミュレーション】

シミュレーション前提

🧮 シミュレーション条件

中小企業A社(資本金1,500万円・課税所得3,000万円・法人税額600万円)
① 賃上げ:給与等支給額を前年度比2%増加(増加額500万円)
② 設備投資:経営強化税制A類型で1,000万円の機械装置を取得(税額控除10%選択)
③ 設備投資:投資促進税制で200万円の機械を取得(税額控除7%選択)

3制度併用時の税額控除合計

制度 対象 税額控除額
①賃上げ促進税制給与増加500万円×15%(通常要件)75万円
②経営強化税制A類型1,000万円×10%100万円
③投資促進税制200万円×7%14万円
合計3制度併用189万円
控除限度額法人税600万円×20%120万円
当期実際の控除額控除限度額が上限120万円
繰越控除額189万円-120万円69万円(1〜5年繰越)

※当期は120万円の税額控除で法人税が480万円に圧縮。残り69万円は翌期以降に繰越控除します。賃上げ促進税制の繰越は5年、設備投資減税の繰越は1年と期間が異なる点に注意が必要です。

設備投資減税を選ぶときの5つの判断

判断1:設備の規模と時間軸

設備投資額1,000万円超で取得まで3か月以上の余裕がある場合は中小企業経営強化税制を選ぶのが原則。即時償却100%または税額控除10%という強力な優遇を活用できます。一方、設備投資額数百万円で急ぎなら中小企業投資促進税制が事前手続き不要で適用しやすいです。

判断2:特別償却か税額控除か

安定黒字企業は税額控除(永久節税)を選ぶのが原則。10年累計で見ると、即時償却より税額控除のほうが100〜150万円多く節税できます。一方、高利益でキャッシュフロー重視の場合や、当期赤字で繰越欠損金を活用したい場合は、特別償却で初年度負担を軽減する戦略も有効です。

判断3:賃上げと設備投資の同時実施

賃上げ+設備投資を同時実施できる年度なら、3制度すべてを併用して控除限度額を最大限活用します。賃上げ促進税制の繰越は5年と長いため、当期の利益状況に関係なく賃上げの効果を将来の節税につなげられます。

判断4:補助金との関係

補助金で設備を取得する場合、租特法上の圧縮記帳と経営強化税制のいずれかを選択。法人税法上の圧縮記帳(補助金等)なら経営強化税制と併用可能です。圧縮記帳の詳細は別記事で解説しています。

判断5:中小企業特例の不適用ルール

大法人の100%子会社・適用除外事業者は中小企業向け特例が使えません。グループ会社・成長企業は毎期の判定が必須です。詳細は「中小企業特例の不適用ルール」をご覧ください。

適用しないほうが良いケース

節税効果が出ないケース

特別償却・税額控除制度は強力な制度ですが、すべての中小企業に適用すべき制度ではありません。以下のケースでは、適用の手間に対して得られる節税効果が小さく、適用見送りも検討すべきです。

⚠️ 適用見送りを検討すべきケース

  • 赤字続きで欠損金繰越が多額:即時償却・税額控除を適用しても法人税負担が既にゼロのため節税効果がない
  • 設備金額が小さい(経営強化税制の場合は数百万円程度):認定取得の手間(行政書士費用込みで20万円超)に対して節税効果が見合わない
  • 決算月直前で時間がない:経営強化税制は認定取得まで2〜3か月かかり間に合わない
  • 計画期間中の事業環境変化が大きい:計画と実態が乖離して未達となるリスク

📊 公認会計士の視点

弊所の実務では、赤字続きの法人から「節税策はないですか」と相談されることがありますが、特別償却・税額控除は法人税が発生していないと意味がない制度です。赤字法人は欠損金繰越を着実に活用し、業績回復後の黒字年度で特別償却・税額控除を狙う戦略が現実的。当期の節税にこだわって認定取得の手間をかけても、効果ゼロで時間とコストを失うだけということもあります。冷静な判断が必要です。

その他の特別償却・税額控除

中小企業以外も使える税制優遇

中小企業者以外も活用できる主な特別償却・税額控除制度として、以下があります。

制度名 概要
研究開発税制(試験研究費の税額控除)試験研究費の6〜14%(中小企業者は12〜17%)を税額控除
DX投資促進税制DX関連の情報技術設備で特別償却30%・税額控除3〜5%
中小企業防災・減災投資促進税制事業継続力強化計画の認定設備で特別償却18%
脱炭素化投資促進税制(GX投資促進税制)脱炭素関連設備で特別償却50%・税額控除5〜10%
特定生産性向上設備等投資促進税制(2026年度創設予定)全業種対象・5億円以上の投資で税額控除7%または即時償却

📢 2026年度創設予定の新制度

2026年度税制改正で「特定生産性向上設備等投資促進税制」(仮称)の創設が政府・与党案として浮上しています。全業種対象・5億円以上の大型投資に対し、税額控除7%または即時償却を選択できる制度になる見込み。中小企業の場合、要件を満たせば工場・拠点の新設や建物投資にも適用可能とされています。なお、この制度が施行されると、本制度の適用期間中は中小企業経営強化税制との重複適用が制限される予定です。最新の税制改正大綱・法案を確認のうえ判断が必要です。

適用手続きの共通事項

確定申告書への添付書類

特別償却・税額控除を適用するためには、各制度に応じた別表を確定申告書に添付します。

制度 主な別表
賃上げ促進税制別表六(二十四)
中小企業経営強化税制別表六(二十五)+経営力向上計画認定書
中小企業投資促進税制別表六(十四)

当初申告要件

⚠️ 修正申告では新規適用不可

特別償却・税額控除は、確定申告書の当初提出時に適用しなければ後から取り戻すことができません。修正申告では新規適用ができないため、決算時の最終確認で必ず適用判定を行う必要があります。経営力向上計画の認定を取得したのに、確定申告時に別表添付を忘れて節税効果を失うケースが実務で散見されます。

よくある質問

特別償却と税額控除はどちらが有利ですか?
安定黒字企業は税額控除(永久節税)が原則有利です。1,000万円の設備で即時償却を選ぶと初年度336万円の節税ですが2〜10年目はゼロ。一方、税額控除10%は100万円の永久節税+通常の減価償却費による節税335.8万円=累計435.8万円、さらに10年間にわたって他の利益に充当できる損金算入効果を含めると約485.8万円。長期視点では税額控除のほうが100〜150万円程度有利です。ただし、当期に多額の利益があり納税資金がタイトな場合や、当期赤字で繰越欠損金を温存したい場合は特別償却を選ぶ戦略も有効です。
3つの制度はすべて併用できますか?
対象が異なる場合は併用可能です。賃上げ促進税制(人件費)と中小企業経営強化税制(設備A)と中小企業投資促進税制(設備B)は、すべて異なる対象なので併用OK。ただし同一設備への複数制度の重複適用はできません。また、経営強化税制E類型の投資計画期間中は投資促進税制が適用不可になる点に注意。控除限度額は各制度で「当期法人税額の20%」が上限で、合算した上限規定もあるため、控除しきれない部分は繰越控除します。
経営力向上計画の認定はどれくらい時間がかかりますか?
工業会証明書取得(A類型)に数日〜2か月、計画認定に30〜45日かかります。合計で2〜3か月の準備期間が必要です。設備購入の3か月前から準備を開始することを推奨します。決算月の直前購入は間に合わないリスクが高いため、設備投資の計画段階から税制活用を視野に入れます。
大法人の100%子会社は特別償却・税額控除を使えませんか?
資本金5億円以上の大法人による完全支配関係にある法人(100%子法人等)は、中小企業向け特例から除外されます。賃上げ促進税制は「中堅企業向け(最大35%)」、設備投資減税は別制度の検討が必要。詳細は「中小企業特例の不適用ルール」の記事をご覧ください。
補助金で設備を取得した場合、経営強化税制と圧縮記帳のどちらが有利ですか?
租特法上の圧縮記帳と経営強化税制は重複適用できないため、いずれかを選択します。一般的には、税額控除10%が選べる経営強化税制のほうが永久節税効果が大きく有利。ただし、補助金額が大きく初年度の納税負担が極めて重い場合は、圧縮記帳でキャッシュフローを優先する戦略も。1,000万円の補助金なら、経営強化税制(税額控除10%=100万円)vs 圧縮記帳(実効税率33.58%相当の課税繰延べ=336万円)で、初年度の効果は圧縮記帳が大きいものの、永久節税効果は経営強化税制が優位です。
中古設備でも特別償却・税額控除は使えますか?
中小企業経営強化税制のA類型(工業会証明書取得)のみ中古設備が対象になる場合があります。B・D・E類型と中小企業投資促進税制は新品のみが対象です。中古設備を活用したい場合は、経営強化税制A類型で工業会の証明書が取得できるかメーカーに確認することが第一歩です。
税額控除の繰越期間は何年ですか?
制度により異なります。賃上げ促進税制は5年、中小企業経営強化税制は1年、中小企業投資促進税制は1年です。賃上げ促進税制は2024年度改正で5年に延長されたため、赤字法人や創業期企業でも将来の黒字年度で活用しやすくなりました。設備投資減税は翌期のみ繰越可能のため、当期の利益状況に応じた選択が重要です。
税額控除の限度額20%超過分は確実に翌期に使えますか?
翌期繰越控除の活用には、翌期にも一定の要件を満たす必要があります。賃上げ促進税制の場合、繰越控除を行う事業年度の雇用者給与等支給額が前年度を超えていることが要件。中小企業経営強化税制・投資促進税制の場合、繰越期間中に法人税額が発生していれば控除可能。翌期赤字の場合は再々翌期以降に持ち越せませんので、当期の繰越時点で翌期の見込みを織り込んでおくことが重要です。
経営強化税制のE類型と投資促進税制は併用できますか?
いいえ、中小企業経営強化税制E類型の確認を受けた投資計画の期間中は、中小企業投資促進税制(同一資産に関わらず)の適用を受けることができません。E類型は大規模な経営拡大投資が対象のため、計画期間(最大5年)中はE類型に集中する設計です。逆に、A・B・D類型は投資促進税制との併用が可能です。E類型を選ぶ前に、計画期間中の他の設備投資との関係を検討する必要があります。

📋 この記事のポイント

  • 中小企業向けの3大税制優遇は賃上げ促進税制・中小企業経営強化税制・中小企業投資促進税制
  • 特別償却は「課税の繰延べ」で初年度の負担軽減、税額控除は「永久節税」で長期的に有利
  • 賃上げ促進税制は最大45%の税額控除、5年繰越控除も2024年度改正で新設
  • 中小企業経営強化税制は即時償却100%または税額控除10%、経営力向上計画認定が必要
  • 中小企業投資促進税制は特別償却30%または税額控除7%、事前手続き不要で活用しやすい
  • 3制度は対象が異なるため併用可能。賃上げ+設備投資で節税効果を最大化
  • 同一設備への複数制度の重複適用は不可。経営強化税制E類型の計画期間中は投資促進税制が不可
  • 1,000万円設備の10年累計で税額控除は即時償却より150万円多く節税できる
  • 適用には別表添付と当初申告が必須。修正申告では新規適用不可

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