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定款の作り方と記載事項|電子定款のメリットと公証人認証の手順
「定款って何を書けばいいの?」「電子定款にすると安くなるって本当?」と疑問に思っている創業者に向けて、定款の記載事項・作成手順・公証人認証の流れを完全ガイドします。この記事を読めば、定款作成で失敗しない具体的な手順がわかります。


「定款って何を書けばいいの?」「電子定款にすると安くなるって本当?」と疑問に思っている創業者に向けて、定款の記載事項・作成手順・公証人認証の流れを完全ガイドします。この記事を読めば、定款作成で失敗しない具体的な手順がわかります。
🏆 結論:定款は「会社の憲法」— 絶対的記載事項の漏れは即無効
定款とは、会社の基本ルールを定めた書類です。会社法第26条に基づき、株式会社の設立には定款の作成と公証人の認証が必要です。記載事項は「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3種類に分かれ、絶対的記載事項(商号・目的・本店所在地・資本金・発起人の情報)が1つでも欠けると定款全体が無効になります。電子定款を選べば印紙代4万円が不要になるため、ほとんどの設立案件で電子定款を採用しています。
定款とは、会社の目的・組織・運営に関する基本的なルールを文書にまとめたものです。国に「憲法」があるように、会社には「定款」があり、会社のあらゆる意思決定の根拠となります。会社法第26条第1項は「株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない」と定めています。
定款は設立時に作成するだけでなく、設立後もさまざまな場面で必要になります。銀行口座の開設、融資の申込、許認可の申請、取引先との契約締結時など、会社の「身分証明書」として提示を求められる場面は多いです。
📝 行政書士の視点
設立後に「定款を変更したい」という相談をよく受けます。事業目的の追加、本店移転、役員構成の変更など、ビジネスが発展すれば定款変更は避けられません。変更には株主総会の特別決議(議決権の3分の2以上)が必要です。設立時に将来を見据えた定款を作っておくと、後の手間とコストを大幅に減らせます。
会社法第27条に定められた5項目です。1つでも欠けると定款全体が無効になります。
| 項目 | 記載内容 | 決め方のポイント |
|---|---|---|
| ① 目的 | 会社が行う事業の内容 | 将来やりたい事業も含めて幅広く記載。許認可業種は正確な文言が必要 |
| ② 商号 | 会社の正式名称 | 「株式会社」の前後どちらに付けるかを決める。同一住所に同一商号は不可 |
| ③ 本店所在地 | 本店の住所 | 最小行政区画(市区町村)まででOK。番地まで入れると移転時に定款変更が必要 |
| ④ 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額 | 資本金の額 | 1円から可能だが、信用・融資・許認可を考慮して決める |
| ⑤ 発起人の氏名又は名称及び住所 | 出資する人の情報 | 印鑑証明書と同じ表記にする |
⚠️ 注意
「目的」の書き方で多いミスは、許認可業種の文言が不正確なケースです。たとえば建設業許可を取る場合、「建築工事業」「土木工事業」など正式な業種名を記載する必要があります。曖昧な表現だと許認可申請が通らないことがあるため、許認可を予定している場合は、事前に行政書士に相談することをお勧めします。
定款に記載しなくても定款は有効ですが、記載しなければその事項の効力は認められません。設立時に決めておくべき重要な項目が多いです。
| 項目 | 記載する場合の効果 |
|---|---|
| 株式の譲渡制限 | 取締役会や株主総会の承認なしに株式を譲渡できなくなる(中小企業ではほぼ必須) |
| 取締役会の設置 | 取締役会を置く場合に記載。取締役3名以上+監査役1名以上が必要 |
| 監査役の設置 | 監査役を置く場合に記載 |
| 株券の発行 | 株券を発行する場合に記載。現在は不発行が主流 |
| 現物出資 | 金銭以外の財産(不動産、車両等)で出資する場合に記載 |
| 発起人の報酬 | 設立事務に対する報酬を支払う場合に記載 |
💡 実務のポイント
中小企業の設立で最も重要な相対的記載事項は「株式の譲渡制限」です。これを定款に記載しないと、株式が自由に譲渡されてしまい、知らないうちに見知らぬ第三者が株主になるリスクがあります。当事務所で支援する設立案件では、ほぼ100%の会社が譲渡制限を設けています。
法律に違反しない範囲で自由に記載できる事項です。記載すると定款の一部になるため、変更には株主総会の特別決議が必要になります。
| 項目 | 記載の実務上のメリット |
|---|---|
| 事業年度(決算月) | 決算月を明確にする。税務上の起算点にもなる |
| 定時株主総会の招集時期 | 「毎事業年度末日の翌日から3ヶ月以内」が一般的 |
| 取締役・監査役の員数 | 「取締役は1名以上5名以内」のように上限を定める |
| 役員の任期 | 非公開会社は最長10年まで延長可能。登記コスト削減 |
| 配当の基準日 | 剰余金の配当を行う基準日を明確にする |
事業年度の決め方については「決算月の決め方|最適な事業年度を選ぶための基準と考え方」で詳しく解説しています。
定款を書き始める前に、以下の基本事項を決めます。
資本金の決め方は「資本金はいくらにすべき?金額の決め方と税金・信用力への影響」をご参照ください。
基本事項が決まったら、Wordなどの文書作成ソフトで定款の原案を作成します。日本公証人連合会のウェブサイトに記載例が公開されているので、これをベースにカスタマイズするのが効率的です。
完成した定款案を、管轄の公証役場にメールまたはFAXで送り、公証人に内容をチェックしてもらいます。この事前チェックは無料で、修正が必要な箇所を教えてもらえます。電子定款は一度申請すると内容修正に手間と再費用がかかるため、この事前チェックは必ず行ってください。
紙定款の場合は、発起人全員が記名押印します。電子定款の場合は、PDFファイルに電子署名を付与します(電子署名の方法は後述)。
株式会社の場合、定款は公証人の認証を受けなければ効力を持ちません(会社法第30条)。認証手続きは、本店所在地を管轄する公証役場で行います。
AYUSAWA PARTNERS
定款作成・会社設立のご相談は鮎澤パートナーズへ
初回相談無料。行政書士が定款作成から公証人認証まで代行。税理士・社労士と連携し、設立後の届出まで一括サポートします。
会社設立のサポートを見る| 費用項目 | 紙定款 | 電子定款 |
|---|---|---|
| 収入印紙代 | 40,000円 | 0円 |
| 認証手数料(資本金100万円以上300万円未満) | 40,000円 | 40,000円 |
| 認証手数料(資本金300万円以上) | 50,000円 | 50,000円 |
| 謄本交付手数料 | 約2,000円 | 約2,000円 |
| 合計(資本金300万円の場合) | 約92,000円 | 約52,000円 |
※認証手数料は2022年1月の改正後の金額。資本金100万円未満は30,000円(一定要件で15,000円)。
電子定款はPDFファイルとして作成するため、印紙税法上の「文書」に該当しません。そのため収入印紙4万円が不要です。これが電子定款を選ぶ最大の理由です。認証手数料は紙も電子も同額なので、純粋に4万円の差が出ます。
電子定款を自分で作成するには、マイナンバーカード、ICカードリーダー、Adobe Acrobat(PDF署名対応ソフト)、法務省のオンライン申請システムの環境設定が必要です。初めての人がこれらを揃えるのに1〜2日かかるため、行政書士や電子定款作成サービスに依頼する方が実務的にはスムーズです。依頼費用は5,000円〜2万円程度が相場です。
💡 実務のポイント
当事務所で支援する設立案件の95%以上が電子定款です。自分で環境を準備して電子署名するケースはほとんどなく、行政書士が代理作成して電子署名を行うのが一般的です。代行費用を払っても、印紙代4万円がゼロになるため、トータルでは数万円の節約になります。
| 法人の種類 | 定款認証 |
|---|---|
| 株式会社 | 必要 |
| 一般社団法人・一般財団法人 | 必要 |
| 合同会社(LLC) | 不要 |
| 合資会社・合名会社 | 不要 |
合同会社は定款認証が不要なため、認証手数料と印紙代の両方が不要です。株式会社と合同会社の選び方については「株式会社と合同会社の違いを比較|設立費用・信用力・税金で選ぶ最適解」をご覧ください。
| 必要書類 | 備考 |
|---|---|
| 発起人全員の印鑑証明書 | 発行から3ヶ月以内 |
| USBメモリ等の記録媒体 | 認証済み定款のデータを受け取るため |
| 電子定款のプリントアウト2通 | 公証役場で確認用に使う |
| 実質的支配者の申告書 | 日本公証人連合会サイトからダウンロード |
| 身分証明書(運転免許証等) | 本人確認用 |
| 委任状(代理人が行く場合) | 発起人全員の実印で押印 |
| 認証手数料 | 現金またはクレジットカード |
「コンサルティング業」のような広すぎる目的だけでは、建設業許可や人材派遣業許可の申請時に「目的に該当する事業が記載されていない」と指摘されることがあります。許認可を予定している場合は、監督官庁が求める正式な文言で記載してください。
定款に「東京都新宿区西新宿一丁目1番1号」と番地まで記載すると、同じ区内での移転でも定款変更(特別決議+登記)が必要になります。定款には「東京都新宿区」までにとどめ、具体的な住所は設立登記の申請書に記載するのが実務的です。
非公開会社(株式の譲渡制限あり)の取締役の任期は最長10年まで延長できます(会社法第332条第2項)。任期を2年にすると、2年ごとに重任登記(登録免許税1万円)が必要になります。1人会社や家族経営であれば10年に設定する方がコスト面で有利です。
定款に記載する発起人の氏名・住所は、印鑑証明書の表記と完全に一致させる必要があります。旧字体・新字体の違い(「渡邉」と「渡辺」など)や、住所の表記揺れ(「丁目」と「-」の違い)があると、公証人から修正を求められます。
電子定款は一度オンライン申請すると内容の修正ができません。修正が必要な場合は再申請となり、認証手数料が再度かかります。これを防ぐために、必ず事前に公証役場のチェックを受けてください。
| 条件 | おすすめの方法 |
|---|---|
| 発起人1名・シンプルな事業内容・許認可なし | 会社設立サービス(freee・マネーフォワード等)で自作可能 |
| 許認可が必要な事業・現物出資あり | 行政書士に依頼するのが安全 |
| 発起人が複数・出資比率の調整が必要 | 行政書士+税理士のダブル対応が望ましい |
| 設立後すぐに融資を受けたい | 税理士に依頼し、事業計画書とセットで準備 |
📊 公認会計士の視点
定款の「資本金の額」は税務上の多くの判定基準になります。資本金1,000万円未満であれば消費税の免税期間が最大2年、法人住民税の均等割が最低額になるなど、税務上のメリットが大きいです。逆に、資本金が大きすぎると外形標準課税の対象になることもあります。定款作成時に税理士のアドバイスを受けることをお勧めします。
設立後にビジネスが変化すると、定款の変更が必要になることがあります。変更には株主総会の特別決議(議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成)が必要です。1人会社であれば実質的に自分で決められますが、株主が複数いる場合は調整が必要です。
| 変更理由 | 必要な手続き | 登録免許税 |
|---|---|---|
| 事業目的の追加・変更 | 特別決議+目的変更登記 | 30,000円 |
| 本店移転(管轄内) | 特別決議(定款に番地記載の場合)+本店移転登記 | 30,000円 |
| 本店移転(管轄外) | 特別決議+旧管轄・新管轄への登記 | 60,000円 |
| 商号変更 | 特別決議+商号変更登記 | 30,000円 |
| 資本金の増額(増資) | 株主総会決議+資本金変更登記 | 増資額の0.7%(最低30,000円) |
なお、設立後に定款を変更した場合、公証人の認証は不要です。認証が必要なのは設立時の原始定款のみです。
会社設立の全手順は「会社設立の流れと費用を完全ガイド|株式会社・合同会社の手続き・届出を徹底解説」で解説しています。法人成りのタイミングは「個人事業主の法人成りベストタイミング|売上・利益の判断基準と手続き」をご覧ください。
📋 この記事のポイント
定款は会社の「出発点」であり、その後の経営に大きく影響します。特に事業目的の書き方、株式の譲渡制限、役員の任期といった項目は、設立後に変更するとコストがかかるため、最初の段階でしっかり設計しておくことが重要です。
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