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「会社を設立するけれど、決算月は何月にすればいいの?」とお悩みの創業者に向けて、決算期を選ぶ6つの判断基準と、設立後に変更する手続きまで完全ガイドします。この記事を読めば、自社に最適な決算月を自信を持って決められます。


「会社を設立するけれど、決算月は何月にすればいいの?」とお悩みの創業者に向けて、決算期を選ぶ6つの判断基準と、設立後に変更する手続きまで完全ガイドします。この記事を読めば、自社に最適な決算月を自信を持って決められます。
🏆 結論:決算月は「設立月の前月」が基本。ただし繁忙期・資金繰り・納税時期を総合判断する
消費税の免税期間を最大化するなら、設立月からもっとも遠い月(=設立月の前月)を決算月にするのがセオリーです。ただし繁忙期との重複、納税時期のキャッシュフロー、税理士の繁忙期も考慮し、6つの判断基準を総合的にチェックしましょう。設立後でも株主総会の特別決議+異動届出書で変更可能です。
決算期とは、事業年度の最終月のことです。法人は、一定期間の利益と損失をまとめて決算書を作成し、申告・納税を行います。この「一定期間」が事業年度であり、その最終日が決算日、最終月が決算月(決算期)です。
たとえば事業年度を「4月1日〜翌年3月31日」と定めた場合、決算月は3月、決算日は3月31日になります。事業年度は1年以内であれば自由に設定できるため、半年や10ヶ月といった期間も理論上は可能ですが、実務では年1回の決算が一般的です。
💡 実務のポイント
年間100社以上の設立をサポートしてきた経験上、「深く考えずに3月決算にした」という会社が半数近くあります。しかし決算月の選び方ひとつで、消費税の免税期間や節税対策の余地が大きく変わります。設立前の今こそ、慎重に検討する価値があります。
法人は事業年度を自由に設定できますが、個人事業主は会計期間が1月1日〜12月31日に固定されており、選択の余地がありません。これは所得税法で定められたルールです。法人成りを検討している方は、法人化のタイミングで決算月を自由に選べるメリットを活かしましょう。法人成りのタイミングについては「法人成り(法人化)のベストタイミング」で詳しく解説しています。
国税庁の統計によると、日本の法人で最も多い決算月は3月で、次いで9月、12月の順です。上位3ヶ月で全法人の約4割を占めますが、残りの月にも比較的まんべんなく分散しています。つまり、3月決算は多数派ではあるものの「絶対的な正解」ではありません。
| 決算月 | 割合(目安) | 多い理由 |
|---|---|---|
| 3月 | 約20% | 官公庁・上場企業の会計年度に合致 |
| 9月 | 約10% | 年末・年度末の繁忙期を避ける |
| 12月 | 約10% | 暦年一致・海外企業と統一 |
| 6月 | 約8% | 半期決算との相性 |
| その他の月 | 各5〜7% | 業種・設立月に応じて選択 |
参考: 国税庁「国税庁統計年報」
3月決算が多い背景には、主に3つの理由があります。第一に、国・地方公共団体の会計年度が4月〜3月に設定されており、公共事業や行政との取引が多い企業は予算サイクルを合わせやすいこと。第二に、税制改正の多くが4月1日から施行されるため、新事業年度の開始と合わせれば期中の会計処理変更を避けられること。第三に、大企業の多くが3月決算のため、取引先やグループ会社と決算時期を揃える慣行が広がっていることです。
ただし、これらのメリットは主に上場企業や大企業に当てはまるものです。中小企業やスタートアップが安易に3月決算にすると、税理士の繁忙期と重なり対応が手薄になるなど、逆にデメリットが生じることがあります。
決算月を選ぶ際に考慮すべきポイントは6つあります。すべてを満たす「完璧な月」はないので、自社にとって優先度の高い基準から順に検討してください。
資本金1,000万円未満で設立した法人は、原則として設立から2期目までの消費税が免除されます(法人税法ではなく消費税法上の特例)。免税のメリットを最大限に活かすには、第1期をできるだけ長くすること、つまり設立月から最も遠い月を決算月にするのがセオリーです。
🧮 シミュレーション:設立月と免税期間の差
7月1日設立の場合を例に比較します。
📐 シミュレーション前提条件
| 決算月 | 第1期 | 第2期 | 免税合計 |
|---|---|---|---|
| 9月決算 | 3ヶ月 | 12ヶ月 | 15ヶ月 |
| 12月決算 | 6ヶ月 | 12ヶ月 | 18ヶ月 |
| 6月決算(推奨) | 12ヶ月 | 12ヶ月 | 24ヶ月 |
設立月の前月を決算月にすると第1期が丸12ヶ月となり、2期合計で最長24ヶ月の免税期間を確保できます。9ヶ月の差は、年間売上3,000万円の場合で消費税約200万円以上の節税に相当します。
⚠️ 注意:インボイス登録すると免税の恩恵がなくなる
適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)に登録すると、設立時から課税事業者になります。BtoB取引が中心でインボイスが必須の場合、免税メリットはなくなるため、他の基準で決算月を決めましょう。
決算月の前後は、経理担当者にとって最も忙しい時期です。棚卸、売掛金・買掛金の確定、決算書作成、株主総会の準備、そして申告・納税と、やるべきことが山積みになります。本業の繁忙期と重なると、どちらも中途半端になりかねません。
| 業種 | 繁忙期 | 避けるべき決算月 | おすすめの決算月 |
|---|---|---|---|
| 不動産業 | 1〜3月 | 1〜3月 | 9月・6月 |
| 小売・EC | 11〜12月 | 11〜12月 | 6月・8月 |
| 飲食業 | 12月・3〜4月 | 12月・3月 | 8月・9月 |
| 建設業 | 1〜3月 | 1〜3月 | 9月・10月 |
| IT・Web | 通年型が多い | 特になし | 設立月の前月 |
| 教育・学習塾 | 2〜4月 | 2〜4月 | 8月・9月 |
実務では、繁忙期の「2ヶ月後」までを避けるのがベターです。決算日から2ヶ月以内が法人税の申告期限なので、決算月だけでなくその2ヶ月後まで含めて業務負荷を確認してください。
決算日から2ヶ月後が法人税・消費税の確定申告期限(=納税期限)です。この時期に手元資金が潤沢かどうかは、決算月の選び方で大きく変わります。
売上のピークを事業年度の前半に持ってくると、後半で利益の着地を見ながら節税対策を打つ時間が生まれます。逆に、売上のピークが決算直前だと、大きな利益が確定してから対策を考える余裕がなく、翌期に多額の納税が一気に発生します。
💡 実務のポイント
現場で多いパターンが「12月に大きな売上→3月決算→利益が膨らんでいるが対策の余地がない→5月に高額納税」というケースです。この場合、期首を1月にして12月決算にすれば、年末の売上を期首に持ってこられるので、1年かけて節税対策を打てます。
3月決算の法人は5月が申告期限、12月決算は2月が申告期限。これに加えて個人の確定申告(2月16日〜3月15日)が重なる2〜5月は、税理士事務所が最も多忙な時期です。
特に中小企業が顧問税理士に決算を依頼する場合、この時期は対応が遅くなったり、節税提案の時間が取れなかったりするリスクがあります。7月決算や10月決算のように、税理士の閑散期に当たる決算月を選ぶと、丁寧なサポートを受けやすくなります。
親会社や主要取引先と決算月を揃えると、連結決算や業績比較がスムーズになります。特に次のようなケースでは、取引先との整合を優先する価値があります。
官公庁との取引が中心なら3月決算が合理的です。海外企業との取引が多ければ12月決算(暦年ベース)が国際標準に合致します。グループ企業の一員であれば、親会社と同じ決算月にすることで連結決算の手続きが簡素化されます。
法人住民税の均等割は、事業年度の月数で按分されます。たとえば東京23区で資本金1,000万円以下・従業員50人以下の場合、年額7万円の均等割が課されますが、第1期が6ヶ月なら約3.5万円で済みます。ただしこの効果は第1期のみで、第2期以降は月数に関係なく年額がかかります。
均等割の節約だけで決算月を決めるのは本末転倒です。消費税免税や繁忙期回避など、より大きな影響のある基準を優先しましょう。
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会社設立のサポートを見る6つの判断基準を踏まえて、自社に合った決算月を見つけるフローチャートです。上から順にYes/Noで進んでください。
| ステップ | 質問 | Yesの場合 | Noの場合 |
|---|---|---|---|
| ① | インボイス登録する予定ですか? | → ②へ(免税メリットなし) | → 設立月の前月を第一候補に |
| ② | 季節で売上が大きく変動しますか? | → ③へ(繁忙期回避を優先) | → ④へ |
| ③ | 繁忙期は何月ですか? | → 繁忙期の2ヶ月以上前を決算月に設定 | |
| ④ | 官公庁・親会社と取引がありますか? | → 3月(官公庁)or 親会社と同月 | → ⑤へ |
| ⑤ | 税理士に手厚いサポートを期待しますか? | → 2〜5月を避ける(税理士繁忙期) | → 設立月の前月でOK |
最終的には、上記の優先順位を自社の状況に合わせて重み付けし、総合判断で決定します。迷ったら税理士に相談するのが確実です。
代表的な決算月について、メリットとデメリットを整理します。
| 決算月 | メリット | デメリット | 向いている会社 |
|---|---|---|---|
| 3月 | 官公庁・大企業と足並みが揃う、税制改正に対応しやすい | 税理士が最も忙しい時期、4月の人事異動と重なる | 公共事業関連、大企業グループ |
| 6月 | 税理士の閑散期、申告期限8月で余裕あり | 業種によっては夏が繁忙期 | IT・コンサル業 |
| 9月 | 年度前半の売上を見て後半で調整可能 | 台風シーズン(物流業は注意) | 小売業、飲食業 |
| 12月 | 暦年一致、海外企業と統一しやすい | 年末繁忙期・確定申告時期と重なる | 海外取引が多い会社、法人成り直後 |
設立後でも事業年度は変更できます。手続きは法務局への登記が不要なため、比較的シンプルです。
事業年度は定款に記載されている場合がほとんどです。定款変更には株主総会の特別決議(発行済株式総数の過半数の出席+出席議決権の3分の2以上の賛成)が必要です。小規模な会社では、書面決議で対応することも可能です。会社法第466条の定款変更の規定に基づきます。
決議内容を記載した議事録を作成し、原始定款と一緒に保管します。議事録には変更前後の事業年度の記載が必要です。たとえば「毎年4月1日から翌年3月31日まで」→「毎年1月1日から同年12月31日まで」のように、新旧対照の形式で記載すると明確です。
以下の3箇所に「異動届出書」と株主総会議事録の写しを提出します。
| 提出先 | 書類 | 期限 |
|---|---|---|
| 所轄税務署 | 異動届出書+議事録写し | 遅滞なく(実務上は変更後の決算日+2ヶ月以内) |
| 都道府県税事務所 | 異動届出書+議事録写し | 同上 |
| 市区町村 | 異動届出書+議事録写し | 同上 |
提出期限は法令上「遅滞なく」とされていますが、変更後の事業年度の確定申告期限(決算日の2ヶ月後)までには必ず提出してください。
取引先、金融機関、許認可を受けている場合は管轄省庁にも事業年度変更を連絡します。特に融資を受けている銀行には、決算書の提出時期が変わる旨を早めに伝えておきましょう。
📝 行政書士の視点
許認可事業(建設業許可、宅建業免許、人材派遣業許可など)を行っている場合、事業年度変更に伴って許認可の更新スケジュールや届出にも影響が出ることがあります。変更前に管轄行政庁に確認することをお勧めします。
事業年度を変更すると、変更初年度の事業年度が12ヶ月未満になります。たとえば3月決算→12月決算に変更した場合、変更初年度は4月〜12月の9ヶ月間です。この短縮された事業年度でも確定申告と納税が必要になる点に注意してください。
消費税の基準期間(原則として前々事業年度)の課税売上高は、12ヶ月未満の事業年度の場合、12ヶ月に換算して判定されます。短期事業年度の課税売上が600万円であれば、年換算で1,000万円前後になり、課税事業者に該当する可能性があります。
役員報酬(定期同額給与)は、事業年度開始の日から3ヶ月以内の株主総会でのみ改定できるのが原則です(法人税法施行令第69条)。事業年度を変更すると役員報酬の改定タイミングも変わるため、報酬額の見直しを計画している場合は、そのスケジュールと合わせて検討してください。
⚠️ 失敗事例:安易な決算期変更で消費税の免税期間を喪失
設立2期目の途中で「税理士の都合で」事業年度を変更したところ、短期事業年度が挟まり、実質的に免税期間が短くなったケースがあります。消費税の判定は複雑なので、変更前に必ず税理士に確認しましょう。
変更初年度の事業年度が12ヶ月未満になるため、前期との単純な業績比較ができなくなります。融資審査や投資判断にも影響し得るため、金融機関への事前説明が大切です。
定款には事業年度の開始日と終了日を明記します。会社設立の全体の流れについては「会社設立の流れ・手続き完全ガイド」をご覧ください。
記載例:「(事業年度)第○条 当会社の事業年度は、毎年7月1日から翌年6月30日までの年1期とする。」
設立第1期のみ設立日からの端数期間になるため、附則として「当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から令和○年6月30日までとする」と記載するのが通例です。この附則は第2期以降は不要ですが、削除手続きを忘れていても実害はありません。
事業年度は定款の任意的記載事項のため、記載しなくても定款自体の有効性に影響はありません。しかし法人設立届出書に事業年度を記載する必要があるため、実務上は定款に明記するのが標準です。
決算月を決めるとき、申告期限だけでなく中間申告・予定納税・源泉所得税の納期特例など、年間を通じた税務イベントとの兼ね合いも考慮しましょう。
| イベント | 時期(3月決算の場合) | 時期(9月決算の場合) |
|---|---|---|
| 確定申告期限 | 5月末 | 11月末 |
| 中間申告期限 | 11月末 | 5月末 |
| 株主総会 | 5月末まで | 11月末まで |
| 役員報酬改定期限 | 4〜6月 | 10〜12月 |
| 源泉所得税(特例) | 1月・7月(決算月に関係なく固定) | |
| 年末調整 | 12月(決算月に関係なく固定) | |
💡 実務のポイント
源泉所得税の納期の特例(1月・7月の半年まとめ納付)と年末調整は決算月に関係なく固定です。3月決算だと4〜5月に決算申告、6〜7月に源泉所得税の特例納付が立て続けになり、経理担当者の負担が集中します。9月決算や6月決算ならこれらを分散できます。
インボイス登録するため免税メリットなし。取引先は一般企業中心で官公庁案件はなし。繁忙期は特になし。→ 税理士の閑散期を考慮して7月決算か10月決算がおすすめです。
BtoC中心でインボイス不要。繁忙期は12月と3〜4月。→ 消費税免税の最大化で3月決算が第一候補ですが、飲食業の繁忙期と重なるため、2月決算(免税23ヶ月確保しつつ繁忙期を回避)が現実的です。
官公庁案件があるため3月決算が望ましいが、建設業の繁忙期が1〜3月と重なる。→ この場合は3月決算にしつつ、申告期限の延長(特別な手当てを検討)か、5月決算(官公庁年度終了後に落ち着いてから決算)のいずれかを選択します。
📊 公認会計士の視点
将来的にIPO(上場)を見据えている場合、上場審査では直近2期分の監査済み決算書が必要です。事業年度変更を繰り返すと監査期間が複雑になるため、上場を視野に入れているなら、最初から将来変更不要な決算月を選んでおくことを強くお勧めします。
📋 この記事のポイント
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