公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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「法人化すると本当に得なの?」とお悩みの個人事業主に向けて、税金・社会保険料・信用力・経費・赤字繰越の5軸で個人事業主と法人を徹底比較します。この記事を読めば、自分の事業規模で法人化すべきかを具体的な数字で判断できます。


「法人化すると本当に得なの?」とお悩みの個人事業主に向けて、税金・社会保険料・信用力・経費・赤字繰越の5軸で個人事業主と法人を徹底比較します。この記事を読めば、自分の事業規模で法人化すべきかを具体的な数字で判断できます。
🏆 結論:事業所得800万円超が法人化の目安。ただし税金以外の判断軸も重要
法人化の最大のメリットは税率差を利用した節税です。所得税の最高税率45%に対し、中小法人の法人税率は800万円以下の部分が15%。事業所得が800万円を超えるあたりから法人化の税メリットが明確になります。ただし、社会保険料の負担増・事務コスト・設立費用などのデメリットも踏まえて、トータルで判断することが大切です。
まずは個人事業主と法人の主要な違いを一覧表で確認しましょう。
| 比較項目 | 個人事業主 | 法人 |
|---|---|---|
| 設立手続き | 開業届の提出のみ(無料) | 定款作成・登記が必要(株式会社で約25万円) |
| 税金の種類 | 所得税(累進課税5〜45%) | 法人税(15%/23.2%の2段階) |
| 赤字の繰越 | 3年間 | 10年間 |
| 赤字時の税金 | 所得税・住民税ゼロ | 法人住民税の均等割(年7万円〜)が必要 |
| 社会保険 | 国保+国民年金(従業員5人未満は加入義務なし) | 健保+厚生年金(社長1人でも強制加入) |
| 経費の範囲 | 事業に関連する支出 | 役員報酬・社宅・生命保険料なども経費化可能 |
| 決算期 | 12月固定 | 自由に設定・変更可能 |
| 社会的信用 | 個人の信用に依存 | 登記情報があり信用度が高い |
| 事業承継 | 本人の死亡で廃業リスク | 株式譲渡で承継可能 |
| 責任範囲 | 無限責任(個人資産も対象) | 有限責任(出資額が上限) |
法人化の最大のメリットは税率差を利用した節税です。個人事業主の所得税は累進課税で、所得が上がるほど税率も上がります(最高税率45%+住民税10%=55%)。一方、中小法人の法人税は課税所得800万円以下の部分が15%、800万円超の部分が23.2%で固定です。
さらに法人では、事業利益を「法人の所得」と「役員報酬(給与所得)」に分散できます。役員報酬には給与所得控除が適用されるため、所得控除の二重取りが可能になります。
🧮 シミュレーション:所得別の税負担比較
事業所得(売上−経費)が同じ場合の、個人と法人の税負担の差を比較します。
📐 シミュレーション前提条件
| 事業所得 | 個人の税負担 | 法人の税負担 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 約80万円 | 約75万円 | ▲約5万円 |
| 800万円 | 約170万円 | 約130万円 | ▲約40万円 |
| 1,200万円 | 約320万円 | 約210万円 | ▲約110万円 |
| 2,000万円 | 約600万円 | 約380万円 | ▲約220万円 |
※概算値です。社会保険料差額・税理士顧問料を含めた総合判断が必要です。正確なシミュレーションは税理士にご相談ください。
法人化すると、個人事業主では経費にできなかった支出が損金(法人の経費)に算入できるようになります。
代表的なのは役員報酬です。事業主自身への給与が経費になるため、法人の利益を圧縮しながら個人は給与所得控除を受けられます。また、法人名義で契約した社宅の家賃は、一定のルールに基づき50〜80%を法人の経費にできます。法人契約の生命保険料も、保険の種類により全額または一部を損金算入できます。役員報酬の詳しいルールについては「役員報酬の基礎知識」をご覧ください。
💡 実務のポイント
法人契約の生命保険は節税目的で利用されることが多いですが、保険の種類や契約形態により損金算入の割合が異なります。令和元年の通達改正で全額損金算入のタイプは大幅に制限されました。「保険で節税」と安易に考えず、保障目的と節税目的のバランスを検討することが大切です。
個人事業主の青色申告では赤字の繰越が3年間ですが、法人は10年間繰り越せます。創業初期に大きな赤字が出ても、将来の黒字と相殺できる期間が長いため、結果的に支払う税金を大幅に減らせます。
法人は法務局で登記されるため、誰が責任者でどのような事業を行っているかが公的に明らかになります。この透明性が社会的信用に直結します。具体的には、法人としか取引しない企業との取引開始、銀行融資の審査での優位性、公共入札への参加資格の取得などのメリットがあります。
法人化すると、株式発行による出資の受け入れや、法人向けの融資制度が利用可能になります。日本政策金融公庫の創業融資をはじめ、法人の方が個人事業主よりも融資審査で有利に働くケースが多いです。
個人事業は事業主個人に帰属するため、本人の死亡で事業が途絶えるリスクがあります。法人であれば株式の譲渡や代表者の変更で事業を承継でき、許認可も法人に紐づくため継続性が保たれます。
個人事業主は12月決算が固定ですが、法人は決算期を自由に設定できます。消費税の免税期間を最大化したり、繁忙期を避けたりと、戦略的な決算月の選択が可能です。詳しくは「決算期の決め方ガイド」をご覧ください。
株式会社・合同会社の出資者は、出資額を上限とした有限責任です。事業が失敗しても、原則として個人資産(自宅・預金など)まで責任を負う必要がありません。ただし、代表者が個人保証をしている融資については、法人の有限責任とは別に個人で返済義務を負います。
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初回相談無料。税金・社会保険料・顧問料を含めた総合シミュレーションで、あなたの事業にとって法人化が有利かどうかを数字で判断できます。
会社設立のサポートを見る法人設立には初期費用が必要です。株式会社の場合、定款認証手数料(3〜5万円)+登録免許税(15万円)で最低約20〜25万円。合同会社なら登録免許税6万円で済みますが、それでも開業届だけで始められる個人事業主とは雲泥の差です。株式会社と合同会社の費用比較については「株式会社と合同会社の違い」で詳しく解説しています。
法人化すると、社長1人であっても健康保険と厚生年金に加入する義務があります。社会保険料は会社と個人で折半しますが、会社負担分は個人事業主にはなかったコストです。
🔷 社労士の視点
社会保険料の負担は確かに大きいですが、厚生年金は国民年金より将来の受給額が格段に多く、傷病手当金や出産手当金などの給付も充実しています。「コストが増える」だけでなく「保障が厚くなる」という側面も考慮してください。また、役員報酬の金額設定により社会保険料を最適化できます。
| 項目 | 個人事業主 | 法人(役員報酬月50万円の場合) |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 国保 約40万円/年 | 約30万円/年(本人分)+約30万円(会社分) |
| 年金保険料 | 国民年金 約20万円/年 | 約55万円/年(本人分)+約55万円(会社分) |
| 合計 | 約60万円/年 | 約170万円/年(会社負担含む) |
※概算値です。保険料率は地域・年度により異なります。
個人事業主は赤字なら所得税・住民税ともにゼロですが、法人は赤字であっても法人住民税の均等割(東京23区で資本金1,000万円以下・従業員50人以下の場合、年額7万円)を支払う義務があります。
法人の決算・税務申告は個人の確定申告に比べて格段に複雑です。別表の作成、法人税申告書、消費税申告書、地方税申告書など、書類の量が大幅に増えます。実務上、税理士への依頼が必須となり、顧問料として年間30〜70万円程度のコストが発生します。
また、源泉徴収事務、年末調整、社会保険の算定基礎届など、個人事業主にはなかった定期的な事務作業が発生します。
個人事業主は事業のお金=個人のお金ですが、法人化すると法人の資金と個人の資金は厳格に分離されます。法人の口座から個人的な支出をすると「役員貸付金」として処理する必要があり、税務調査で指摘されるリスクがあります。
個人事業の廃業は廃業届の提出だけで済みますが、法人の解散には株主総会の決議、解散登記、清算手続き、清算結了登記と、数ヶ月〜1年以上かかることがあります。登記費用も別途必要です。
法人化の判断は「事業所得」だけでは決まりません。以下の5つの軸を総合的に評価してください。
| 判断軸 | 法人化が有利 | 個人のままが有利 |
|---|---|---|
| 事業所得 | 800万円超 | 500万円以下 |
| 事業拡大の意思 | 従業員を雇いたい・取引先を広げたい | 現状維持で十分 |
| 取引先の要件 | 法人でないと取引不可の相手がいる | 個人でも問題ない |
| 資金調達 | 融資・出資を受けたい | 自己資金で運営できる |
| 事務負担の許容度 | 税理士に依頼する予算がある | 可能な限り手間を省きたい |
💡 実務のポイント
「所得800万円」は税金だけの目安です。社会保険料の増加分(年間50〜100万円)と税理士顧問料(年間30〜70万円)を差し引いても、トータルで得になるかどうかを計算することが大切です。当事務所では、税金・社保・顧問料を含めたトータルシミュレーションを行っています。
| 費目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 15万円 | 6万円 |
| 定款認証手数料 | 3〜5万円 | 不要 |
| 定款の印紙代 | 4万円(電子定款なら0円) | 4万円(電子定款なら0円) |
| 司法書士・行政書士報酬 | 5〜10万円 | 3〜7万円 |
| 合計の目安 | 25〜30万円 | 10〜15万円 |
| 費目 | 年間コストの目安 |
|---|---|
| 税理士顧問料 | 30〜70万円 |
| 社会保険料の会社負担分 | 50〜100万円(役員報酬額により変動) |
| 法人住民税均等割 | 7万円(最低額) |
| 合計の目安 | 90〜180万円 |
この年間コスト増を節税効果で上回れるかどうかが、法人化の損益分岐点です。
事業所得500万円以下の段階で法人化すると、税率差による節税効果より、社会保険料の増加+税理士顧問料+均等割のコスト増が上回るケースが多いです。
役員報酬を高く設定しすぎると個人の所得税が増え、低すぎると法人税が増えます。最適な報酬バランスを税理士と相談せずに決めてしまい、トータルの税負担が増えたケースがあります。
法人の社会保険料は会社負担分+個人負担分で役員報酬の約30%にもなります。この負担を事前にシミュレーションせず、キャッシュフローが悪化したケースは少なくありません。
創業1〜2年目でまだ売上が安定していない段階で法人化すると、赤字でも均等割や社会保険料が発生し続けるため、資金繰りに詰まるリスクがあります。
個人事業で取得した許認可は、法人成りすると原則として取り直しが必要です。建設業許可や飲食店営業許可など、許認可の空白期間が生じないよう、事前に段取りを確認してください。
📝 行政書士の視点
許認可の法人成りへの切替えは、業種によって手続きが大きく異なります。建設業許可は事前に「譲渡及び譲受け認可申請」を行えば空白期間なく承継できるようになりましたが、他の許認可は新規取得が必要なケースも多いです。法人化のスケジュールは、許認可の手続き期間を含めて逆算して計画しましょう。
法人成りのベストタイミングについては「法人成りのベストタイミング」で詳しく解説していますが、ここでは判断の3つの指標を簡潔にまとめます。
第一に、事業所得が安定的に800万円を超えていること。一時的な好調ではなく、2期以上連続で超えているのが望ましいです。第二に、消費税の課税売上高が1,000万円を超え、課税事業者になるタイミング。法人化すれば設立から最大2年間の免税が可能です(インボイス登録する場合を除く)。第三に、事業拡大のために融資や従業員の採用が必要になったとき。信用力・採用力の観点から法人化のメリットが大きくなります。
📋 この記事のポイント
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