貸宅地・貸家建付地の評価|賃貸不動産の相続税評価減の計算

貸宅地・貸家建付地の評価|賃貸不動産の相続税評価減の計算
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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アパートや賃貸マンションを所有する不動産オーナーに向けて、貸宅地・貸家建付地の相続税評価額の計算方法を解説します。この記事を読めば、自分の賃貸不動産がいくらで評価されるかを把握し、相続税対策の方針を立てることができます。

🏆 結論:賃貸不動産は「誰の建物が建っているか」で評価方法が変わる

自分の土地を他人に貸して、その人が建物を建てている場合は「貸宅地」(借地権割合分を減額)。自分の土地に自分で建てた建物を他人に貸している場合は「貸家建付地」(借地権割合×借家権割合×賃貸割合を減額)。いずれも自用地より評価が下がり、さらに小規模宅地等の特例を併用できる可能性があります。貸宅地は評価減の幅が大きい一方で処分が困難、貸家建付地は評価減は控えめですが賃貸経営の自由度が高いのが特徴です。

貸宅地・貸家建付地とは?基本的なしくみと違い

貸宅地とは、自分が所有する土地を他人に貸し、借りた人がその土地の上に建物を建てて使用している場合の土地のことです。借地権(土地を借りて建物を建てる権利)が設定されるため、土地の所有者は自由に処分することが難しくなります。

一方、貸家建付地とは、自分が所有する土地に自分で建てた建物(アパート・マンション・ビルなど)を第三者に貸している場合の土地を指します。建物の所有者は土地の所有者自身ですが、入居者に借家権があるため、やはり利用上の制約が生じます。

4つの土地利用形態の比較

相続税の土地評価では、土地の利用形態によって評価額が大きく異なります。以下の比較表で全体像をつかんでください。

利用形態 権利関係 計算式 評価減の目安
自用地所有者が自由に使用自用地評価額のままなし(100%)
貸宅地他人が借地権を持ち建物を所有自用地評価額×(1−借地権割合)30〜70%減
貸家建付地所有者の建物を他人に賃貸自用地評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)9〜27%減
貸家建付借地権借地上の建物を他人に賃貸借地権評価額×(1−借家権割合×賃貸割合)借地権からさらに9〜30%減

💡 実務のポイント

実務で最もよく見かけるのが「貸宅地」と「貸家建付地」の混同です。判別のポイントは「建物を誰が所有しているか」。建物の登記簿で確認すれば、土地所有者が建てたものか、借地人が建てたものかが明確になります。この判別を誤ると評価方法自体が変わるため、税務調査で指摘されるリスクが高くなります。

なぜ評価額が下がるのか?

土地の評価が自用地より低くなる理由は、所有者が土地を自由に処分できないためです。貸宅地の場合、借地借家法により借地人の権利が強く保護されており、地主が一方的に契約を解除して土地を返してもらうことは極めて困難です。そのため、土地の市場価値が借地権の割合だけ低下します。

貸家建付地の場合も同様に、入居者に借家権があるため、「建物を壊して更地にしたい」と思っても立退料の支払いなしには実現できません。ただし、建物は自分のものなので貸宅地ほどの制約はなく、評価減の幅も小さくなります。

貸宅地の評価方法と計算例

貸宅地の評価額は、自用地としての評価額から借地権に相当する部分を差し引いて計算します。財産評価基本通達に基づく計算式は次のとおりです。

基本の計算式

貸宅地の評価額 = 自用地評価額 ×(1 − 借地権割合)

借地権割合は国税庁の路線価図に記載されたアルファベット(A〜G)で確認します。

記号 借地権割合 貸宅地の評価率 主な地域イメージ
A90%10%都心一等地(銀座・丸の内等)
B80%20%都市部の商業地
C70%30%都市部の住宅地
D60%40%郊外の住宅地
E50%50%地方都市の住宅地
F40%60%地方の住宅地
G30%70%地方の農村部

参考: 国税庁「No.4613 貸宅地の評価」

計算例:借地権割合60%(D)の場合

📐 シミュレーション前提条件

  • 路線価:30万円/㎡
  • 土地面積:200㎡
  • 借地権割合:60%(D地区)
  • 補正率:1.00(整形地)

ステップ1:自用地評価額 = 30万円 × 1.00 × 200㎡ = 6,000万円

ステップ2:貸宅地の評価額 = 6,000万円 ×(1 − 0.60)= 2,400万円

自用地に比べて3,600万円(60%)の評価減となります。

権利金を受け取っていない場合の特殊な計算

親族間や同族会社との取引で権利金の授受がなく、相当の地代(自用地評価額の年6%程度)を受け取っている場合は、借地権割合にかかわらず20%として計算します。つまり、貸宅地の評価額は自用地評価額の80%となり、通常の計算よりも評価減が小さくなります。

⚠️ 注意

権利金を受け取っておらず、かつ「通常の必要費(固定資産税+修繕費程度)」以下の地代しか受け取っていない場合は「使用貸借」と判断されます。使用貸借の場合、借地権は認められず、土地は自用地として100%評価されてしまいます。実務では、親族に土地を貸す際の地代設定を安易に決めてしまい、想定外に高い評価になるケースを何度も見てきました。

貸家建付地の評価方法と計算例

貸家建付地とは、自分の土地に建てた建物を他人に賃貸している場合の土地です。アパート経営やマンション賃貸をしている不動産オーナーの多くが該当します。

基本の計算式

貸家建付地の評価額 = 自用地評価額 ×(1 − 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

この計算式に登場する3つの要素を整理します。

要素 内容 確認方法
借地権割合土地の自用地評価額に占める借地権の割合(30〜90%)路線価図のアルファベット(A〜G)で確認
借家権割合建物を借りている人の権利の割合全国一律30%
賃貸割合実際に賃貸に供している部分の床面積の割合賃貸中の独立部分の床面積÷全独立部分の床面積

参考: 国税庁「No.4614 貸家建付地の評価」

計算例:満室アパートの場合

📐 シミュレーション前提条件

  • 路線価:40万円/㎡
  • 土地面積:300㎡
  • 借地権割合:60%(D地区)
  • 借家権割合:30%(全国一律)
  • 賃貸割合:100%(全10室満室)
  • 補正率:1.00

ステップ1:自用地評価額 = 40万円 × 1.00 × 300㎡ = 1億2,000万円

ステップ2:評価減率 = 60% × 30% × 100% = 18%

ステップ3:貸家建付地の評価額 = 1億2,000万円 ×(1 − 0.18)= 9,840万円

自用地に比べて2,160万円の評価減です。

借地権割合別の評価減シミュレーション

借地権割合は地域によって大きく異なるため、同じ賃貸不動産でも所在地によって評価減の効果が変わります。以下の表で、借地権割合ごとの評価減率を確認してください。

借地権割合 貸宅地の評価減率 貸家建付地の評価減率(満室) 自用地1億円の場合(貸宅地) 自用地1億円の場合(貸家建付地)
90%(A)90%減27%減1,000万円7,300万円
80%(B)80%減24%減2,000万円7,600万円
70%(C)70%減21%減3,000万円7,900万円
60%(D)60%減18%減4,000万円8,200万円
50%(E)50%減15%減5,000万円8,500万円
40%(F)40%減12%減6,000万円8,800万円
30%(G)30%減9%減7,000万円9,100万円

※貸家建付地は借家権割合30%・賃貸割合100%で計算。概算値です。個別の状況により異なります。

📊 公認会計士の視点

上の表からわかるように、貸宅地は「借地権割合が高い都市部ほど評価が大きく下がる」のに対し、貸家建付地の評価減は最大でも27%程度にとどまります。つまり、貸宅地は相続税の面では有利ですが、借地権者がいるため売却が極めて困難で、底地の実勢価格は評価額をさらに下回ることも珍しくありません。財産の流動性(換金しやすさ)と相続税評価の低さはトレードオフの関係にあることを覚えておいてください。

空室がある場合の貸家建付地の計算

賃貸アパートやマンションに空室がある場合、その分だけ賃貸割合が下がり、評価減の効果が小さくなります。これは相続税計算で非常に重要なポイントです。

空室率別の評価シミュレーション

📐 シミュレーション前提条件

  • 自用地評価額:1億円
  • 借地権割合:60%(D地区)
  • 借家権割合:30%
  • 全10室(各室同面積)
賃貸状況 賃貸割合 評価額 自用地との差額
満室(10/10室)100%8,200万円▲1,800万円
2室空室(8/10室)80%8,560万円▲1,440万円
5室空室(5/10室)50%9,100万円▲900万円
7室空室(3/10室)30%9,460万円▲540万円
全室空室(0/10室)0%1億円(自用地)0円

※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

満室と5室空室を比較すると、評価額に900万円の差があります。相続税率が30%の方であれば、空室5室によって相続税が約270万円増えるイメージです。

「一時的な空室」は賃貸中として扱える場合がある

相続開始時にたまたま空室だっただけで、普段は継続的に入居者がいた部屋については、一定の要件を満たせば賃貸中として取り扱える場合があります。国税庁が示す4つの要件は次のとおりです。

No. 要件 具体的な判断基準
1相続開始前に継続的に賃貸されていた直前の入居者が長期間入居していたか
2退去後速やかに募集を開始し、他の用途に使っていない不動産業者への募集依頼書・広告掲載の証拠があるか
3空室期間が一時的(1か月程度)相続開始前後で概ね1か月程度の空室か
4相続開始後の賃貸が一時的でない相続後に新たな入居者が入り、継続的に賃貸されているか

💡 実務のポイント

空室期間が「1か月程度」とされていますが、実務上は2〜3か月程度であれば「一時的」と認められるケースもあります。重要なのは「客観的に賃貸を継続する意思があった」と証明できるかどうかです。募集広告の掲載履歴、不動産業者との媒介契約書、内見記録などの証拠を保管しておくことが不可欠です。逆に、半年以上空室のまま放置していたり、募集活動の形跡がない場合は、一時的とは認められません。

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賃貸割合の計算で注意すべき実務上のポイント

賃貸割合は「戸数」ではなく「床面積」で計算します。部屋ごとに広さが異なるアパートやマンションでは、どの部屋が空室かによって賃貸割合が変わります。

床面積ベースの計算例

たとえば、以下のようなアパートを考えます。

部屋 床面積 賃貸状況
101号室(ファミリー)70㎡○ 賃貸中
102号室(ファミリー)70㎡○ 賃貸中
201号室(単身)30㎡× 空室
202号室(単身)30㎡○ 賃貸中

この場合、賃貸中の床面積は70㎡+70㎡+30㎡=170㎡、全床面積は200㎡です。賃貸割合 = 170㎡÷200㎡ = 85%。戸数ベースでは3/4=75%ですが、面積ベースでは85%となり、面積の大きいファミリータイプが賃貸中であることで有利に計算できています。

貸家建付地に該当しないケース

以下のケースでは、土地上に建物があっても貸家建付地として評価できないため注意が必要です。

ケース 評価方法 理由
親族に無償で貸している(使用貸借)自用地借家権が発生しない
固定資産税程度の家賃しかもらっていない自用地使用貸借と判断される
社宅として従業員に貸している自用地借地借家法の適用がない
建築中で入居者がいない自用地賃貸開始前
全室が長期間空室のまま放置自用地賃貸の実態がない

貸家建付地+小規模宅地等の特例の二重適用

貸家建付地は「貸付事業用宅地等」に該当する場合、小規模宅地等の特例を併用できます。この二重の評価減は非常に大きな節税効果をもたらします。適用条件を満たせば、200㎡まで50%の減額が可能です。

なお、小規模宅地等の特例の全体像については「小規模宅地等の特例の概要」で詳しく解説しています。

満室の場合の計算

📐 シミュレーション前提条件

  • 自用地評価額:1億2,000万円(面積400㎡)
  • 借地権割合:60%・借家権割合:30%・賃貸割合:100%
  • 小規模宅地等の特例:貸付事業用宅地等(200㎡まで50%減額)

ステップ1:貸家建付地の評価額 = 1億2,000万円 ×(1 − 0.6 × 0.3 × 1.0)= 9,840万円

ステップ2:特例の対象額 = 9,840万円 ×(200㎡ ÷ 400㎡)= 4,920万円

ステップ3:減額される金額 = 4,920万円 × 50% = 2,460万円

最終評価額:9,840万円 − 2,460万円 = 7,380万円

自用地1億2,000万円に対して7,380万円ですので、合計で4,620万円(38.5%)の評価減です。

空室がある場合の正しい計算方法

賃貸割合が100%でない場合、小規模宅地等の特例の計算には特殊なルールがあります。実務で間違いが多い箇所なので注意してください。

⚠️ よくある計算ミス

賃貸割合50%の場合に「貸家建付地の評価額全体に対して特例を適用する」のは誤りです。正しくは、まず土地を「賃貸中の部分」と「空室部分(自用地)」に分け、賃貸中の部分にのみ特例を適用します。

📐 前提:自用地1億円・借地権割合60%・賃貸割合50%・面積200㎡

計算ステップ 正しい計算 誤った計算
貸家建付地の評価額1億円×(1−0.6×0.3×0.5)=9,100万円同じ=9,100万円
特例の対象額賃貸中の部分のみ:9,100万円×50%=4,550万円全体:9,100万円(←ここが誤り)
50%減額4,550万円×50%=2,275万円9,100万円×50%=4,550万円
最終評価額9,100万円−2,275万円=6,825万円9,100万円−4,550万円=4,550万円
差額正しい計算との差額:2,275万円(過少申告になり追徴課税のリスク)

このように、空室がある場合の計算は複雑になるため、必ず税理士に確認することをおすすめします。

貸家の建物部分の評価方法

貸家建付地の評価と合わせて、建物(貸家)自体の相続税評価額も確認しておきましょう。建物を他人に賃貸している場合は、自分で使用する場合の評価額から借家権の部分を差し引いて計算します。

貸家の計算式

貸家の評価額 = 固定資産税評価額 ×(1 − 借家権割合 × 賃貸割合)

借家権割合は全国一律30%です。満室の場合、固定資産税評価額の70%が評価額となります。

土地と建物を合わせたトータルの節税効果

🧮 シミュレーション:現金2億円 vs 賃貸アパート

パターンA:現金2億円をそのまま相続
→ 相続税評価額 = 2億円

パターンB:1億円の土地に1億円のアパートを建てて満室経営
→ 土地(貸家建付地):1億円 ×(1−0.6×0.3×1.0)= 8,200万円
→ 建物(貸家):7,000万円(固定資産税評価額)×(1−0.3×1.0)= 4,900万円
→ 合計評価額 = 8,200万円+4,900万円 = 1億3,100万円

評価減 = 2億円 − 1億3,100万円 = 6,900万円
※小規模宅地等の特例を併用すればさらに減額可能

もちろん、賃貸経営には空室リスク・修繕費用・金利変動リスクなどがあります。相続税の評価減だけを目的にした安易なアパート建設は危険です。土地評価の全体像については「相続税の土地評価|路線価方式と倍率方式」もあわせてご覧ください。

物納と貸宅地・貸家建付地の関係

相続税を金銭で納付することが困難な場合、一定の要件のもとで相続財産を物納(現物で納付)することが認められています。貸宅地・貸家建付地は物納にどのように関係するのでしょうか。

物納の順位と不動産の位置づけ

順位 物納できる財産 貸宅地・貸家建付地との関係
第1順位国債・地方債・不動産・船舶貸宅地・貸家建付地も含まれる
第2順位社債・株式等の有価証券
第3順位動産

ただし、物納に充てる不動産は「管理処分不適格財産」に該当しないことが条件です。借地権者との間でトラブルがある貸宅地や、建物の状態が著しく悪い貸家建付地は物納が認められない可能性があります。また、物納は相続税評価額(=低い価額)で充当されるため、実勢価格との乖離が大きい場合は金銭で納付した方が有利になることもあります。

💡 実務のポイント

貸宅地の物納は、地主にとって「売れない・使えない」底地を相続税の支払いに充てられる有効な手段です。ただし、物納の申請から許可までに時間がかかることがあるため、相続税の申告期限(相続開始から10か月以内)を見据えて早期に準備を始める必要があります。相続税の計算方法の全体像は「相続税の計算方法」で解説しています。

注意点と実務で多いトラブル

駐車場は貸家建付地にならない

自分の土地を駐車場として他人に貸している場合、土地上に「建物」がないため貸家建付地にはなりません。アスファルトや砂利を敷いていても、これは構築物であり建物ではないため、自用地として評価されます。

ただし、賃貸アパートの入居者専用駐車場であれば、アパートの敷地と一体として貸家建付地評価が認められます。アパートの隣にある月極駐車場を入居者以外にも貸している場合は、区分して評価する必要があります。

相続直前の駆け込み賃貸は要注意

相続税の評価減を目的に、被相続人の体調が悪くなってから急いで賃貸を始めるケースがあります。相続開始前3年以内に新たに貸付事業を開始した場合、小規模宅地等の特例の適用が制限される可能性があります。ただし、相続開始前から事業的規模(5棟10室基準)で貸付事業を行っていた場合は、この制限の対象外です。詳しくは「事業用・貸付用宅地の小規模宅地等の特例」をご覧ください。

賃料が「相当の対価」かどうかの判断

小規模宅地等の特例の適用には、相当の対価(世間相場並みの賃料)を得て継続的に賃貸していることが要件です。極端に安い賃料で親族に貸している場合は、使用貸借と判断されて特例が適用できなくなるリスクがあります。近隣の同程度のグレード・広さの物件の賃料相場を調べ、大きく乖離していないか確認しておくことが大切です。

建て替え中の取り扱い

賃貸アパートを建て替えている最中に相続が発生した場合、原則として建て替え中は貸家建付地には該当せず自用地評価となります。ただし、建て替え前の入居者が建て替え後に入居する予定であり、立退料の支払いがなく、賃貸借契約が継続している場合は、例外的に貸家建付地として評価できる場合があります。

不動産オーナーのケーススタディ

ここでは、複数の賃貸不動産を持つオーナーの具体例で、最適な評価方法を検討してみましょう。

📐 ケーススタディの前提

  • Aさん(78歳)が所有する3つの不動産
  • 物件①:自宅の土地(300㎡・自用地評価額9,000万円)
  • 物件②:賃貸アパート敷地(250㎡・自用地評価額7,500万円・借地権割合60%・満室10室)
  • 物件③:第三者に貸している底地(200㎡・自用地評価額6,000万円・借地権割合60%)
  • 相続人:配偶者と子2人
物件 評価区分 自用地評価額 評価減後 小規模宅地等の特例適用後
①自宅自用地→特定居住用9,000万円9,000万円1,800万円※
②賃貸アパート貸家建付地→貸付事業用7,500万円6,150万円3,690万円※※
③底地貸宅地6,000万円2,400万円
合計2億2,500万円1億7,550万円7,890万円

※配偶者が取得し特定居住用宅地等(330㎡まで80%減額)を適用:9,000万円×(300㎡/300㎡)×80%=7,200万円減額
※※子が取得し貸付事業用宅地等(200㎡まで50%減額)を適用:6,150万円×(200㎡/250㎡)×50%=2,460万円減額
概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

自用地評価額2億2,500万円が最終的に7,890万円まで下がる可能性があります。ただし、特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等を併用する場合は面積の調整計算が必要なため、実際の適用にあたっては必ず専門家に相談してください。相続税の基本的なしくみについては「相続税のしくみと基礎知識」をご覧ください。

よくある質問(FAQ)

貸宅地と貸家建付地の違いを簡単に教えてください
最も大きな違いは「建物の所有者」です。貸宅地は他人が建物を所有しているケース(底地)、貸家建付地は自分が建物を所有して他人に貸しているケース(アパート・マンション経営)です。貸宅地の方が評価減の幅が大きくなりますが、借地権者がいるため土地の処分が困難です。
借地権割合はどこで確認できますか?
国税庁のウェブサイト「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」で確認できます。路線価図に記載されたA〜Gのアルファベットが借地権割合を表しており、Aが90%、Gが30%です。都市部ほど借地権割合が高い傾向があります。
アパートに空室がある場合、相続税評価はどうなりますか?
空室部分は賃貸割合に含めないため、その分だけ評価減の効果が小さくなります。ただし、相続開始前に継続的に賃貸されていた部屋で、退去後速やかに募集を開始し、空室期間が1か月程度であれば「一時的な空室」として賃貸中と扱える場合があります。
親族に建物を無償で貸している場合はどうなりますか?
無償(使用貸借)で貸している場合は借家権が発生しないため、貸家建付地としての評価減は受けられません。土地は自用地として100%評価されます。貸家建付地として評価されるには、世間相場並みの賃料(相当の対価)を受け取って賃貸借契約を結んでいる必要があります。
貸家建付地と小規模宅地等の特例は併用できますか?
はい、貸家建付地が「貸付事業用宅地等」の要件を満たせば、200㎡まで50%の減額が可能です。ただし、相続開始前3年以内に新たに貸付を開始した場合や、相続税の申告期限までに貸付を継続していない場合は適用が制限されます。また、特定居住用宅地等との併用には面積の調整計算が必要です。
駐車場の土地は貸家建付地として評価できますか?
単なる駐車場は建物がないため貸家建付地にはなりません。自用地として評価されます。ただし、賃貸アパートの入居者専用駐車場であれば、アパートの敷地と一体として貸家建付地評価が認められます。駐車場として構築物(アスファルトなど)がある場合は、小規模宅地等の特例のうち「貸付事業用宅地等」の対象となる可能性があります。
貸宅地を物納に充てることはできますか?
物納の第1順位の財産には不動産が含まれるため、貸宅地も物納に充てることが可能です。ただし、借地人との間にトラブルがある場合や、境界が不明確な場合は「管理処分不適格財産」として物納が認められないことがあります。物納は相続税評価額(低い価額)で充当されるため、実勢価格との差を考慮した上で判断してください。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 貸宅地は「自用地評価額×(1−借地権割合)」で計算し、最大90%の評価減が可能
  • 貸家建付地は「自用地評価額×(1−借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で計算し、都市部で約18〜27%の評価減
  • 空室がある場合は賃貸割合が下がり、評価減の効果が小さくなる
  • 「一時的な空室」は4つの要件を満たせば賃貸中として取り扱える場合がある
  • 小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)を併用すれば、さらに200㎡まで50%減額
  • 使用貸借や社宅は貸家建付地にならないため、賃貸借契約の内容を確認すること
  • 不明な点は相続税に詳しい税理士に早期に相談し、正確な評価を受けることが重要

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