公認会計士 第47928号・税理士 第159175号
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「相続した株式や投資信託、ゴルフ会員権の評価額がわからない」「金融資産ごとに評価方法が違って混乱する」とお悩みの方に向けて、上場株式・公社債・投資信託・ゴルフ会員権など12種類の金融資産の相続税評価方法を1つの記事で完全ガイドします。この記事を読めば、財産の種類ごとに正しい評価方法を選び、相続税申告に必要な金額を把握できます。


「相続した株式や投資信託、ゴルフ会員権の評価額がわからない」「金融資産ごとに評価方法が違って混乱する」とお悩みの方に向けて、上場株式・公社債・投資信託・ゴルフ会員権など12種類の金融資産の相続税評価方法を1つの記事で完全ガイドします。この記事を読めば、財産の種類ごとに正しい評価方法を選び、相続税申告に必要な金額を把握できます。
🏆 結論:金融資産は「種類ごとに評価方法が異なる」が基本ルール
上場株式は「4つの価格のうち最も低い額」、投資信託は「基準価額−信託財産留保額−源泉税相当額」、ゴルフ会員権は「取引価格の70%+預託金」、預貯金は「残高+既経過利息−源泉税」といったように、財産の種類ごとに評価方法が決まっています。正しい評価方法を選ぶことで相続税を過大に支払うリスクを防げます。とくに上場株式は銘柄ごとに最も低い時期の株価を選択できるため、必ず4つの価格を比較してください。
まず、相続財産に含まれる主要な金融資産・その他財産の評価方法を一覧で確認しましょう。この表を見れば、自分が相続する財産にどの評価ルールが適用されるかがわかります。
| 財産の種類 | 評価方法の概要 | 根拠 | 価格の調べ方 |
|---|---|---|---|
| 上場株式 | 4つの価格のうち最も低い額 | TA4632 | 証券会社の残高証明・Yahoo!ファイナンス |
| 気配相場等のある株式 | 日本証券業協会の売買参考統計値等 | TA4635 | 日本証券業協会のHP |
| 取引相場のない株式 | 類似業種比準・純資産価額・配当還元 | TA4638 | 税理士による計算が必要 |
| 利付公社債 | 最終価格+既経過利息−源泉税 | TA4641 | 証券会社・日本証券業協会 |
| 割引発行の公社債 | 最終価格(発行価額+既経過償還差益−源泉税) | TA4641 | 証券会社 |
| 証券投資信託(上場ETF含む) | 基準価額−信託財産留保額−源泉税相当額 | TA4644 | 運用会社HP・証券会社 |
| ゴルフ会員権 | 取引価格の70%+預託金(返還分) | TA4647 | ゴルフ会員権取引業者のHP |
| 生命保険契約に関する権利 | 解約返戻金相当額 | TA4660 | 保険会社への問い合わせ |
| 預貯金 | 残高+既経過利息−源泉税 | 評基通203 | 金融機関の残高証明書 |
| 外貨預金・外貨建資産 | 邦貨換算額(TTBレート) | TA4665 | 金融機関のTTBレート |
| 暗号資産(仮想通貨) | 課税時期の取引価格(活発な市場がある場合) | FAQ | 取引所の取引履歴 |
| 貸付金・売掛金 | 元本+既経過利息−回収不能見込額 | 評基通204〜 | 契約書・帳簿 |
※ TA=国税庁タックスアンサー番号、評基通=財産評価基本通達
取引相場のない株式の評価方法は「取引相場のない株式(自社株)の評価方法」で詳しく解説しています。以下では、上場株式からその他の財産まで個別に解説します。
上場株式の相続税評価額は、4つの価格のうち最も低い価格を選択できます。この選択は銘柄ごとに行えるため、A株式は当月平均、B株式は前々月平均というように、銘柄ごとに最も有利な価格を選べます。
| 選択肢 | 内容 | 調べ方 |
|---|---|---|
| ①課税時期の終値 | 相続開始日の取引所の終値 | Yahoo!ファイナンスの時系列データ |
| ②当月の終値の月平均額 | 相続開始月の毎日の終値の平均 | 日本取引所グループの月間相場表 |
| ③前月の終値の月平均額 | 相続開始月の前月の毎日の終値の平均 | 同上 |
| ④前々月の終値の月平均額 | 相続開始月の前々月の毎日の終値の平均 | 同上 |
📐 シミュレーション前提条件
4つの価格のうち最も低い③5月の月平均額3,900円を選択し、3,900円×1,000株=390万円が相続税評価額になります。もし①の終値だけで計算していたら420万円となるため、正しく4つの価格を比較するだけで30万円の評価減が可能です。
相続開始日が土曜日の場合は金曜日の終値を、日曜日の場合は翌月曜日の終値を使います。3連休の中日に亡くなった場合は、連休前後の最も近い2日の終値の平均を使います。
配当の権利確定日直前に相続が発生した場合、権利落ち後の株価で評価すると配当金相当額が反映されません。この場合、配当期待権(配当を受け取る権利)を別途相続財産として計上する必要があります。
💡 実務のポイント
実務で最も多い見落としが、証券口座が複数ある場合の銘柄の漏れです。被相続人がネット証券を含む複数の口座で取引していた場合、すべての証券会社に残高証明書を請求することが必要です。証券保管振替機構(ほふり)に「登録済加入者情報の開示請求」をすれば、被相続人名義の全口座を一括で把握できます。
気配相場等のある株式とは、取引所には上場していないが、日本証券業協会の登録銘柄や店頭管理銘柄として気配相場が公表されている株式です。
登録銘柄は日本証券業協会が公表する取引日の売買参考統計値の平均値で評価します。店頭管理銘柄は取引日の取引価格で評価し、上場株式と同様に、当月・前月・前々月の平均額との比較で最も低い額を選択できます。
公社債は種類によって評価方法が異なります。主要な5種類を整理します。
| 公社債の種類 | 評価方法 | 注意点 |
|---|---|---|
| 利付公社債(上場) | 最終価格+既経過利息額−源泉税相当額 | 既経過利息は直前の利払日から課税時期までの日割り計算 |
| 利付公社債(気配相場あり) | 売買参考統計値の平均値+既経過利息額−源泉税相当額 | 日本証券業協会が公表する統計値を使用 |
| 割引発行の公社債 | 発行価額+既経過償還差益(課税時期における差益金額がある場合は源泉税控除後) | 償還差益を発行日から償還日までの期間で按分 |
| 個人向け国債 | 額面金額+既経過利息−中途換金調整額 | 中途換金調整額(直前2回分の利子相当額×0.79685)を控除 |
| 外貨建公社債 | 外貨ベースで計算した評価額×TTBレート | 為替レートはTTB(対顧客電信買相場)を使用 |
📊 公認会計士の視点
利付公社債の既経過利息の計算は、直前の利払日から課税時期までの日数を正確にカウントすることが重要です。利払いが年2回(半年ごと)の場合、半年分の利子を日数按分します。金額が小さくても、複数の公社債を保有している場合は合計額が無視できないケースがあります。証券会社に残高証明書の発行を依頼する際、既経過利息の金額も記載するよう依頼すると効率的です。
AYUSAWA PARTNERS
金融資産の相続税評価は鮎澤パートナーズへ
初回相談無料。公認会計士・税理士が株式・公社債・投資信託・ゴルフ会員権の評価額を正確に算定します。
鮎澤パートナーズに相談する証券投資信託の受益証券は、課税時期に解約請求した場合の金額で評価します。具体的には次の計算式です。
📐 投資信託の評価額
評価額 = 1口当たりの基準価額 × 口数 − 信託財産留保額 − 解約時の源泉徴収税相当額
基準価額は運用会社のHPや証券会社の報告書で確認できます。MRF(マネー・リザーブ・ファンド)のように毎日決算を行う投資信託は、課税時期の1口当たりの基準価額に口数を乗じた金額に、再投資されていない未収分配金を加算し、源泉税を控除して評価します。
ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)は取引所に上場されているため、上場株式と同じ評価方法が適用されます。4つの価格のうち最も低い額を選択できます。
ゴルフ会員権の評価は、取引相場の有無と預託金の状況によって変わります。以下の判定表で自分のケースを確認してください。
| ケース | 該当する状況 | 評価方法 |
|---|---|---|
| A. 取引相場あり+預託金なし(or返還見込みなし) | 一般的な預託金制・株主制の会員権で、市場で売買されている | 取引価格×70% |
| B. 取引相場あり+預託金あり(すぐ返還) | 取引価格に含まれない預託金がすぐに返還される | 取引価格×70%+預託金の額 |
| C. 取引相場あり+預託金あり(一定期間後に返還) | 取引価格に含まれない預託金が数年後に返還される | 取引価格×70%+預託金の複利現価額 |
| D. 取引相場なし(株主制) | 名義書換停止中・譲渡禁止の株主制ゴルフクラブ | 取引相場のない株式と同様の評価 |
| E. 取引相場なし(預託金制) | 譲渡禁止の預託金制ゴルフクラブ | 返還される預託金の額(返還期間に応じて複利現価額) |
| F. プレー権のみ(譲渡不可・預託金なし) | ゴルフ場の利用権のみで財産的価値がない | 評価しない(0円) |
💡 実務のポイント
ゴルフ会員権の取引価格は業者ごとに異なります。実務では複数の取引業者のHPを確認し、売値と買値の中間値(仲値)を使います。相続開始日に取引がない場合は、最も近い日の取引価格を採用します。なお、ゴルフクラブが経営破綻してプレーも売買もできず預託金の返還見込みもない場合は、評価額はゼロです。
被相続人が保険料を負担していた生命保険契約で、被相続人の死亡時にまだ保険事故(被保険者の死亡)が発生していない契約がある場合、その契約の経済的価値(解約返戻金相当額)が相続財産になります。
たとえば、被相続人(父)が保険料を負担し、被保険者が母、受取人が子、という契約で父が先に亡くなった場合、この保険契約の権利は相続財産として評価されます。
| 場面 | 税務上の取り扱い | 評価方法 |
|---|---|---|
| 被相続人の死亡により保険金を受け取った場合 | 死亡保険金としてみなし相続財産(非課税枠あり:500万円×法定相続人の数) | 受取保険金額 |
| 被相続人の死亡時にまだ保険事故が未発生の契約 | 生命保険契約に関する権利として本来の相続財産(非課税枠なし) | 課税時期における解約返戻金相当額 |
| 被相続人が年金受給中の個人年金保険 | 年金受給権として相続財産 | 残存期間に応じた複利年金現価等 |
⚠️ 注意
「生命保険契約に関する権利」は死亡保険金ではないため、500万円×法定相続人の非課税枠が使えません。見落としやすい相続財産の代表例です。被相続人が保険料を負担していた全ての生命保険契約を洗い出し、契約者・被保険者・受取人を整理することが重要です。
外貨建ての預金や有価証券は、外貨ベースで評価額を計算した後、課税時期のTTB(対顧客電信買相場)で円に換算します。TTBは取引金融機関が公表するレートを使用します。
複数の金融機関で外貨預金を保有している場合、各金融機関のTTBレートで換算するのが原則ですが、実務上は納税義務者が取引する金融機関のTTBレートを一括して使用することも認められています。
預貯金は「残高+既経過利息−源泉税」で評価します。普通預金は利息が少額であるため、残高証明書の金額をそのまま使うことが多いですが、定期預金は既経過利息を計算に含める必要があります。
金融機関の残高証明書には既経過利息が記載されている場合が多いため、残高証明書を正確に取得することが実務上のポイントです。相続開始日の残高証明書の発行を各金融機関に依頼してください。
| よくある失敗 | 結果 | 対策 |
|---|---|---|
| 上場株式で4つの価格を比較せず、終値だけで申告 | 相続税を過大に支払う | 必ず4価格を比較し銘柄ごとに最安を選択 |
| 証券口座の漏れ(ネット証券を把握していない) | 申告漏れで加算税の対象に | ほふりへの「登録済加入者情報の開示請求」で全口座を確認 |
| 生命保険契約に関する権利の計上漏れ | 申告漏れで加算税の対象に | 全保険契約の契約者・被保険者・受取人を一覧化 |
| ゴルフ会員権の評価で取引価格の100%で申告 | 相続税を30%過大に支払う | 取引価格の70%で評価(30%の評価減を忘れない) |
| 外貨預金をTTSで換算 | 相続税を過大に支払う | TTB(買相場)で換算。TTSより低いため有利 |
相続税の計算方法の全体像は「相続税の計算方法」で、小規模宅地等の特例は「小規模宅地等の特例の全体像」で解説しています。贈与税の基礎知識は「贈与税のしくみと基礎知識」をご参照ください。
📋 この記事のポイント
金融資産の評価は、種類ごとに正しい方法を選べば難しくありませんが、漏れや計算ミスが起きやすい分野です。とくに複数の口座や多種類の資産を保有している場合は、税理士にまとめて依頼するのが確実です。
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