【税理士監修】法人の税務カレンダー|月次・年次の届出・申告・納付スケジュール一覧

【税理士監修】法人の税務カレンダー|月次・年次の届出・申告・納付スケジュール一覧
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

法人の税務カレンダー|月次・年次の届出・申告・納付スケジュール一覧

「次の申告期限はいつ?」「中間申告は必要?」と迷う経営者・経理担当者に向けて、法人が1年間に行うべき税務手続きを月別のカレンダー形式で完全ガイドします。この記事を読めば、期限切れによるペナルティ(延滞税・加算税)を防ぎ、年間の資金繰り計画に税金の納付を正確に組み込めるようになります。

🏆 結論:毎月やること+決算月起点の5つの節目を押さえる

法人の税務スケジュールは「毎月の定例業務(源泉所得税の納付等)」と「決算月を起点とした年次業務(確定申告・中間申告等)」の2軸で管理します。特に重要な5つの節目は、①決算日、②決算後2ヶ月以内(確定申告・納付)、③決算後6ヶ月(中間申告)、④1月(法定調書・償却資産申告)、⑤7月(社会保険の算定基届)です。この5つをカレンダーに入れるだけで、期限切れのリスクは大幅に減ります。

法人の税務スケジュールの全体像

法人が1年間に行う税務手続きは、大きく「毎月の定例業務」と「決算月起点の年次業務」、そして「暦年ベースの年1回業務」の3カテゴリに分かれます。

3カテゴリの概要

カテゴリ 内容 具体例
毎月の定例業務給与支払いに伴う源泉所得税・住民税の納付翌月10日が期限
決算月起点の年次業務法人税・消費税の確定申告・中間申告決算後2ヶ月以内、6ヶ月後
暦年ベースの年1回業務法定調書・償却資産申告・算定基届等1月・7月に集中

毎月の定例業務カレンダー

決算月に関係なく、すべての法人が毎月行う業務です。

毎月10日まで:源泉所得税・住民税の納付

従業員の給与から天引きした源泉所得税(復興特別所得税を含む)と住民税の特別徴収税額は、給与を支払った月の翌月10日が納付期限です。10日が土日祝日の場合は翌営業日になります。

💡 実務のポイント:納期の特例(半年まとめ納付)

従業員が常時10人未満の事業所は、「源泉所得税の納期の特例」を申請することで、毎月の納付を年2回(1〜6月分→7月10日、7〜12月分→翌年1月20日)にまとめることができます。中小企業の経理担当者にとって、毎月の納付手続きの負担が大幅に軽減される制度です。

毎月末まで:社会保険料の納付

健康保険料・厚生年金保険料は、前月分を当月末日までに納付します。口座振替を設定している場合は自動引き落としされますが、残高不足に注意しましょう。

決算月起点の年次税務カレンダー【3月決算法人の例】

最も多い3月決算法人を例に、決算月を起点とした年次の税務スケジュールを月別に整理します。他の決算月の法人は、3月を自社の決算月に読み替えてください。

税務手続き 期限 対象税目
3月決算日(事業年度末)3月31日
4月〜5月決算書作成・確定申告書作成
5月末確定申告・納付5月31日法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・消費税
9月事業年度開始から6ヶ月経過9月30日
11月末中間申告・納付11月30日法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・消費税

※期限日が土日祝日の場合は翌営業日になります。

確定申告の期限延長特例

定款で「決算承認は決算日後3ヶ月以内の株主総会で行う」と定めている法人は、申告期限を1ヶ月延長できます(法人税法第75条の2)。3月決算法人なら6月末が申告期限になります。ただし、納付期限は延長されないため、5月末までに見込額を納付し、差額は申告時に精算します。

中間申告の要否判定と計算方法

中間申告が必要かどうかは、前期の税額によって決まります。

法人税の中間申告

前期の確定法人税額 中間申告の要否 中間納付額の計算
20万円以下不要
20万円超必要前期税額の1/2(予定申告)または仮決算

中間申告は「予定申告」(前期税額の半額を納付)と「仮決算」(上半期の実績で計算)の2つの方法から選択できます。中間申告書を提出しなかった場合は、自動的に予定申告が行われたものとみなされます。

消費税の中間申告

消費税の中間申告は、前期の消費税額(地方消費税を含まない国税分)に応じて回数が変わります。

前期の消費税額(国税分) 中間申告の回数 各回の納付額
48万円以下不要
48万円超〜400万円以下年1回前期税額の1/2
400万円超〜4,800万円以下年3回前期税額の1/4ずつ
4,800万円超年11回前期税額の1/12ずつ

実務で多い年商3,000万円〜1億円程度の中小企業では、消費税の中間申告は年1回のケースが大半です。中間納付額は確定申告時に精算され、払い過ぎた場合は還付されます。

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暦年ベースの年1回業務カレンダー

決算月に関係なく、暦年(1月〜12月)ベースで発生する年1回の業務があります。特に1月と7月に集中します。

1月の業務(年末調整の後始末)

期限 手続き 提出先
1月10日12月分の源泉所得税・住民税の納付税務署・市区町村
1月20日納期の特例適用者の7〜12月分源泉税納付税務署
1月31日法定調書(源泉徴収票・支払調書等)の提出税務署
1月31日給与支払報告書の提出市区町村
1月31日償却資産税(固定資産税)の申告市区町村

7月の業務(社会保険の年次手続き)

期限 手続き 提出先
7月10日社会保険の算定基礎届の提出年金事務所
7月10日労働保険の年度更新申告・納付労働基準監督署
7月10日納期の特例適用者の1〜6月分源泉税納付税務署

🔷 社労士の視点

算定基礎届は4月〜6月に支払った給与の平均額をもとに、9月以降の社会保険料を決定する重要な届出です。残業が多い4〜6月に当たると標準報酬月額が上がり、保険料が増える場合があります。逆に、4〜6月の残業を意図的に減らして保険料を下げようとする行為は、年金事務所の調査で問題になることがあるため注意しましょう。

年商3,000万円・3月決算法人の税金納付シミュレーション

架空のIT企業D社(年商3,000万円、3月決算、消費税課税事業者)の1年間の税金納付スケジュールをシミュレーションします。

📐 シミュレーション前提条件

  • 年商3,000万円、課税所得500万円
  • 法人税等(法人税+住民税+事業税)年額:約120万円
  • 消費税(国税分)年額:約70万円
  • 源泉所得税:月額約5万円(従業員5名)
  • 住民税特別徴収:月額約3万円
納付内容 概算金額
毎月10日源泉所得税+住民税特別徴収約8万円
5月末確定申告(法人税等+消費税)− 中間納付済額約95万円
11月末中間申告(法人税等+消費税)約95万円
年間合計毎月8万×12+確定95万+中間95万約286万円

※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

このシミュレーションからわかるように、5月と11月に大きな納付が集中します。決算の全体的な流れは「法人決算の流れと必要な手続き」で解説しています。

期限に遅れた場合のペナルティ一覧

申告・納付の期限に遅れると、以下のペナルティが発生します。

ペナルティ 内容 税率(目安)
延滞税納付期限の翌日から自動的に発生年2.4%〜8.7%(期間による)
無申告加算税期限内に申告しなかった場合税額の5%〜20%
過少申告加算税申告した税額が少なかった場合追加税額の10%〜15%
重加算税意図的な隠ぺい・仮装があった場合追加税額の35%〜40%
不納付加算税源泉所得税を期限内に納付しなかった場合税額の5%〜10%

⚠️ 注意:源泉所得税の不納付は特にリスクが大きい

源泉所得税は「預かった税金を国に納める」性質のため、期限に遅れると不納付加算税が課されます。法人税の延滞とは異なり「他人のお金を期限までに納めなかった」とみなされるため、税務署の対応も厳しくなりがちです。毎月10日の納付は忘れずに行いましょう。

税務スケジュールを管理するための3つの実務テクニック

テクニック1:Googleカレンダーに全期限を年初に一括登録する

年初に、1年分の納付期限・申告期限をGoogleカレンダーやOutlookに登録し、3日前にリマインダーを設定します。一度登録すれば、翌年はコピーするだけです。

テクニック2:納税資金の「別口座積立」を習慣にする

法人税・消費税の確定申告と中間申告の納付は、年間の資金繰りに大きく影響します。毎月の売上の10〜15%を「納税準備金」として別口座に積み立てておけば、5月と11月の大きな納付にも慌てずに対応できます。

テクニック3:税理士との月次打ち合わせに「次月の期限」を確認する時間を入れる

顧問税理士との月次打ち合わせで、必ず「来月の税務期限で注意すべきことはあるか」を確認する習慣をつけましょう。特に消費税の届出(簡易課税の選択・取消など)は、適用を受けたい課税期間の前日までに届出が必要なため、期限を1日でも過ぎると翌期まで待たなければなりません。

会社設立直後に必要な届出については「法人設立後に必要な届出書類一覧」、決算を自分で行う方法は「法人決算を自分でやる方法」を参照してください。

よくある質問(FAQ)

法人税の確定申告期限は決算日から何ヶ月以内ですか?
事業年度終了の翌日から2ヶ月以内です。3月31日決算なら5月31日が期限です。定款で株主総会の期限を決算後3ヶ月以内と定めている場合は、申告期限を1ヶ月延長できる特例がありますが、納付期限は延長されないため注意が必要です。
設立初年度は中間申告が必要ですか?
設立初年度は「前期の確定法人税額」がゼロのため、中間申告は不要です。2期目以降、前期の法人税額が20万円を超えた場合に中間申告が必要になります。
中間申告を忘れた場合はどうなりますか?
法人税の中間申告書を提出しなかった場合、自動的に予定申告(前期税額の1/2を納付)が行われたものとみなされます。ただし、納付自体が遅れると延滞税が発生しますので、申告書の提出有無にかかわらず期限内の納付が重要です。
消費税の中間申告の回数はどうやって決まりますか?
前期の消費税額(国税分、地方消費税を含まない)に応じて決まります。48万円以下なら不要、48万円超〜400万円以下なら年1回、400万円超〜4,800万円以下なら年3回、4,800万円超なら年11回です。
源泉所得税の納期の特例はどうやって申請しますか?
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を所轄税務署に提出します。常時10人未満の事業所が対象です。申請月の翌月から適用されます。これにより、毎月の納付が年2回(7月・1月)に変更されます。
申告期限が土日祝日の場合はどうなりますか?
申告期限が土日祝日にあたる場合は、翌営業日(翌開庁日)が期限になります。例えば5月31日が日曜日であれば、6月1日(月曜日)が申告・納付期限になります。
法人税の申告・納付が遅れた場合、延滞税はいくらかかりますか?
延滞税は期限の翌日から発生し、最初の2ヶ月は年2.4%程度、2ヶ月を超えると年8.7%程度です(利率は毎年変動します)。例えば100万円の法人税を1ヶ月遅れで納付した場合、延滞税は約2,000円です。金額は小さく見えますが、信用への影響は大きいため期限内納付を徹底しましょう。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 法人の税務スケジュールは「毎月の定例」「決算月起点の年次」「暦年ベースの年1回」の3カテゴリで管理
  • 毎月10日:源泉所得税・住民税の納付。従業員10人未満なら納期の特例で年2回に軽減可能
  • 決算後2ヶ月以内:法人税・消費税の確定申告・納付。延長特例は申告のみ(納付は延長不可)
  • 法人税の中間申告は前期税額20万円超、消費税は48万円超で必要
  • 1月と7月に暦年ベースの年次手続きが集中(法定調書・償却資産申告・算定基届・労働保険年度更新)
  • 期限切れのペナルティを防ぐために、年初にカレンダー登録+納税準備金の別口座積立が有効

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