【税理士×行政書士が解説】株主総会議事録の書き方|決算承認・役員報酬決議の記載例

【税理士×行政書士が解説】株主総会議事録の書き方|決算承認・役員報酬決議の記載例
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

株主総会議事録の書き方|決算承認・役員報酬決議の記載例

「株主総会議事録って何を書けばいいの?」「一人会社でも必要なの?」とお悩みの中小企業経営者に向けて、決算承認・役員報酬決議・みなし決議の記載例を完全ガイドします。この記事を読めば、税務調査にも対応できる議事録が自分で作成できます。

🏆 結論:議事録は「決算承認+役員報酬決議」の2つの議案を毎期作成すればOK

株主総会議事録は全ての株式会社に作成・10年間保管義務があります(会社法第318条)。中小企業の定時株主総会では、決算承認と役員報酬決議の2議案が基本です。一人会社でも必要であり、作成を怠ると税務調査で役員報酬の損金算入を否認されるリスクがあります。

株主総会議事録とは?法的義務と保管期間

株主総会議事録の定義と目的

株主総会議事録とは、株主総会で話し合われた内容と決定事項を記録した公式な書類です。会社法第318条第1項により、株式会社が株主総会を開催した際には必ず作成しなければなりません。

この議事録は、単なる会議メモではなく、会社の重要な意思決定を法的に証明する文書です。税務調査では必ず確認される書類であり、登記申請の添付書類としても求められます。

作成・保管の義務

項目 内容
作成義務全ての株式会社(一人会社含む)。会社法第318条1項
作成責任者取締役(会社法施行規則第72条3項6号)
保管期間(本店)株主総会の日から10年間
保管期間(支店)写しを5年間
作成形式書面または電磁的記録(PDF等)
違反時の罰則100万円以下の過料(会社法第976条8号)

💡 実務のポイント

税務調査で最初にチェックされる書類の一つが株主総会議事録です。特に、役員報酬の金額が議事録に記載されているかは必ず確認されます。議事録がなければ、役員報酬の損金算入が否認されるリスクが生じます。毎年の定時株主総会後に、必ず作成する習慣をつけましょう。

議事録の記載事項【必須6項目】

株主総会議事録に記載すべき事項は、会社法施行規則第72条第3項に定められています。以下の6項目を漏れなく記載しましょう。

  1. 株主総会が開催された日時および場所 — 年月日・開始時刻・終了時刻・開催場所の住所まで記載
  2. 議事の経過の要領およびその結果 — 各議案の説明・審議・採決の流れと可決/否決の結果
  3. 株主総会において述べられた意見または発言の内容の概要 — 会社法施行規則第72条3項で特定された発言がある場合
  4. 出席した取締役・監査役等の氏名 — 役員全員の氏名を記載
  5. 議長の氏名 — 議長を置いた場合はその氏名
  6. 議事録作成に係る職務を行った取締役の氏名 — 作成者の明記が必須

⚠️ 注意

議事録の形式は自由ですが、記載事項は法定です。上記6項目のうち1つでも欠けていると、法的な証拠能力が弱まります。特に②の「結果」(可決/否決)と⑥の「作成者の氏名」は忘れがちなので注意してください。

定時株主総会の議事録の作り方【5ステップ】

中小企業の定時株主総会は、以下の流れで進めます。議事録はこの流れに沿って作成します。

【ステップ1】計算書類を準備する

株主総会に提出する計算書類を用意します。中小企業で通常必要なのは、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表の4点です。これらは顧問税理士が作成するケースがほとんどです。

計算書類の作り方は「決算書の作り方|貸借対照表・損益計算書の基本と実務」で詳しく解説しています。

【ステップ2】株主総会を開催する

定時株主総会は、事業年度の末日から3ヶ月以内に開催するのが一般的です。3月決算の会社であれば6月中に開催します。

中小企業では、代表取締役が議長を務め、計算書類の報告と承認、役員報酬の決議を行います。一人会社の場合は「みなし決議」(後述)を利用すれば、実際の総会開催を省略できます。

【ステップ3】議案ごとに議事を記録する

中小企業の定時株主総会では、以下の議案が一般的です。

議案 内容 決議要件
第1号議案:計算書類承認貸借対照表・損益計算書等の承認普通決議(過半数)
第2号議案:事業報告当期の事業状況の報告報告事項(決議不要)
第3号議案:役員報酬決定取締役の報酬総額または各個の金額決定普通決議(過半数)
第4号議案:役員改選(任期満了時)取締役・監査役の選任普通決議(過半数)

【ステップ4】議事録を作成・押印する

議事録は株主総会終了後、速やかに作成します。押印については、会社法上は原則として義務がありませんが、実務上は議長と議事録作成者が記名押印するのが一般的です。

【ステップ5】本店に10年間保管する

作成した議事録は、本店に10年間保管します。税務調査・融資審査・登記申請など、さまざまな場面で提出を求められるため、すぐに取り出せる場所に保管しましょう。PDF化して電子保管することも認められています。

決算全体のスケジュールは「法人決算の流れ|スケジュールと必要書類を完全ガイド」をご覧ください。

AYUSAWA PARTNERS

議事録の作成も含めた決算サポートなら鮎澤パートナーズへ

初回相談無料。税理士・行政書士がワンストップで対応します。

鮎澤パートナーズに相談する

記載例①:決算承認の定時株主総会議事録

以下は、中小企業(非公開・取締役会非設置・株主3名)の定時株主総会議事録の記載例です。

第○期 定時株主総会議事録

令和○年○月○日午前10時00分、東京都新宿区○○一丁目○番○号 当会社本店において、第○期定時株主総会を開催した。

株主の総数     3名
発行済株式の総数  300株
議決権を行使できる株主の数 3名
議決権を行使できる株主の議決権の数 300個
出席株主数(委任状による者を含む) 3名
出席株主の議決権の数 300個

以上のとおり株主の出席があったので、定款の規定により代表取締役○○○○は議長席に着き、本総会は適法に成立した旨を宣し、直ちに議事に入った。

第1号議案 第○期計算書類承認の件

議長は、当期(自 令和○年○月○日 至 令和○年○月○日)に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表)並びに事業報告の内容を報告し、その承認を求めたところ、満場一致をもって原案どおり承認可決された。

第2号議案 取締役の報酬決定の件

議長は、取締役の報酬額について、次のとおり定めたい旨を提案し、その理由を説明したところ、満場一致をもって原案どおり承認可決された。
代表取締役 ○○○○ 月額○○万円
取締役 ○○○○ 月額○○万円
なお、上記報酬額は令和○年○月分以降に適用するものとする。

以上をもって本日の議事を終了したので、議長は午前10時30分閉会を宣した。

上記の決議を明確にするため、この議事録を作成し、議長及び出席取締役が次に記名押印する。

令和○年○月○日
○○株式会社 第○期定時株主総会

議長 代表取締役 ○○○○ ㊞
出席取締役 ○○○○ ㊞
議事録作成者 代表取締役 ○○○○

💡 実務のポイント

役員報酬の記載で特に重要なのは「いつから適用するか」の記載です。法人税法上、定期同額給与として損金算入するには、事業年度開始から3ヶ月以内に決定する必要があります。3月決算なら6月30日までに株主総会で決議し、その旨を議事録に明記してください。

記載例②:一人会社のみなし決議による議事録

みなし決議とは

株主全員が書面等で同意した場合、実際に株主総会を開催しなくても、可決の決議があったとみなすことができます(会社法第319条1項)。一人会社では株主は自分一人なので、この制度を活用すれば総会開催の手間を省けます。

みなし決議の場合、議事録の記載事項が通常の総会とは少し異なります。「日時・場所」の代わりに「みなし決議の要件を満たした日」を記載します。

第○期 定時株主総会議事録(みなし決議)

当会社の株主の総数 1名
発行済株式の総数 100株
議決権を行使できる株主の数 1名
議決権を行使できる株主の議決権の数 100個

会社法第319条第1項の規定に基づき、令和○年○月○日、取締役が株主に対し下記の議案につき提案を行い、当該提案につき株主全員が書面により同意の意思表示をしたので、当該議案を可決する旨の定時株主総会の決議があったものとみなされた。

第1号議案 第○期計算書類承認の件

当期(自 令和○年○月○日 至 令和○年○月○日)に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表)を原案どおり承認する。

第2号議案 取締役の報酬決定の件

代表取締役 ○○○○の報酬月額を○○万円と定める。上記報酬額は令和○年○月分以降に適用する。

また、会社法第320条の規定に基づき、取締役が株主に対し当期の事業報告の内容を通知し、当該事業報告を株主が書面により確認したので、当該事業報告について定時株主総会に報告があったものとみなされた。

上記の決議及び報告を明確にするため、この議事録を作成する。

令和○年○月○日
○○株式会社

議事録作成者 代表取締役 ○○○○ ㊞

📝 行政書士の視点

一人会社のみなし決議は非常に便利ですが、「同意書」の保管も忘れないでください。株主(自分自身)が提案に同意した書面やメールを議事録とセットで保管しておくことで、みなし決議の要件を満たした証拠になります。実務上は同意書を別紙として議事録に綴じておくのが一般的です。

記載例③:役員報酬変更の臨時株主総会議事録

事業年度の途中で役員報酬を変更する場合(期首から3ヶ月以内の変更)は、定時株主総会または臨時株主総会で決議します。以下は、臨時株主総会で役員報酬を変更する場合の記載例です。

臨時株主総会議事録

令和○年○月○日午前10時00分、東京都新宿区○○一丁目○番○号 当会社本店において、臨時株主総会を開催した。

(※株主数・議決権数等の記載は定時株主総会と同様)

第1号議案 取締役の報酬改定の件

議長は、当期の業績見通し及び経営環境の変化を踏まえ、取締役の報酬額を次のとおり改定したい旨を提案し、その理由を説明したところ、満場一致をもって原案どおり承認可決された。
代表取締役 ○○○○ 月額○○万円(現行○○万円から改定)
なお、上記報酬額は令和○年○月分以降に適用するものとする。

(※閉会の記載・記名押印は定時株主総会と同様)

⚠️ 注意

役員報酬の変更は、法人税法上の定期同額給与のルールに沿わないと損金算入できません。原則として事業年度開始から3ヶ月以内に変更する必要があります。4月開始の事業年度なら6月30日がデッドラインです。この期限を過ぎた変更は、原則として増額分が損金不算入になります。

役員報酬の決め方について詳しくは「役員報酬の基礎|決め方・税金・社会保険の完全ガイド」をご覧ください。

押印のルール|いつ実印が必要になるか

原則と例外

株主総会議事録への押印は、会社法上は原則として不要です。ただし、以下の場合には押印が必要になります。

場面 押印の要否 押印者
通常の議事録法的には不要(推奨:議長+作成者が記名押印)
定款に押印規定がある場合必要定款の定めに従う
取締役会非設置会社で代表取締役を選定する場合実印が必要議長+出席取締役全員
代表取締役の変更登記の添付書類とする場合実印が必要(従前代表者の届出印押印で他の取締役の実印は省略可)商業登記規則第61条6項

💡 実務のポイント

「押印は不要」とはいえ、実務上は議長と作成者が認印で押印するのが安全です。後日、議事録の真正性が問われた際に、押印があると証拠力が格段に高まります。少なくとも代表取締役の会社印は押しておくことをおすすめします。

税務調査で見られる4つのポイント

税務調査で調査官が株主総会議事録を確認する際の着眼点を、実務経験からまとめました。

No. 調査官のチェックポイント 不備がある場合のリスク
1役員報酬の金額が記載されているか損金算入が否認され、法人税の追徴課税
2決議日が事業年度開始から3ヶ月以内か定期同額給与の要件を満たさず、変更後の増額分が損金不算入
3議事録の日付と実際の支給開始月が整合するか不整合があると、決議の事実自体を疑われる
4毎期の議事録が連続して存在するか特定の年度だけ議事録がないと、事後作成を疑われる

📊 公認会計士の視点

調査官は、議事録の日付と源泉徴収簿・賃金台帳の支給額を突き合わせます。「議事録では月額50万円と決議されているのに、実際は60万円支給されている」といった不整合があると、超過分の10万円が損金不算入になるだけでなく、他の項目まで精査されるきっかけになります。議事録と実態は必ず一致させてください。

よくある失敗パターンと対策

失敗①:議事録を作成していない

最も多いパターンです。特に一人会社の経営者に多く、「自分一人だから不要」と勘違いしています。一人会社でも株式会社である限り議事録の作成は義務です。今からでも遅くないので、過去分についても追認決議を行い、今期から毎期作成しましょう。

失敗②:役員報酬の金額を「総額枠」でしか決めていない

「取締役の報酬総額の上限を年額○○万円とする」とだけ決議し、各取締役の個別金額を記載していないケースがあります。総額枠の決議自体は有効ですが、各個の金額も議事録に明記しておくと、税務調査で定期同額給与の証拠として確実に認められます。

失敗③:事業年度開始から3ヶ月以内に決議していない

決算申告に忙殺され、株主総会が後回しになるケースです。定期同額給与の変更は事業年度開始から3ヶ月以内が原則です。決算月の翌月から逆算して、株主総会の日程を予め決めておきましょう。

失敗④:前期のコピペで日付だけ変えている

毎年同じ内容だからとコピペで済ませると、出席者の変更や議案の違いを反映し忘れます。特に役員の任期満了に伴う改選議案が漏れると、登記懈怠になるリスクがあります。

💡 実務のポイント

顧問先では、決算申告の完了と同時に株主総会議事録のドラフトを作成し、経営者に確認してもらうフローにしています。決算→申告→議事録を一連のセットとして扱うことで、議事録の作成漏れがなくなります。税理士に決算を依頼している場合は、議事録の作成もセットで依頼するのが最も確実です。

議事録の電子化と保管方法

電磁的記録での作成が認められている

株主総会議事録は、書面だけでなく電磁的記録(PDF等のデータ)でも作成・保管が認められています(会社法第318条1項)。電子署名を行うことで、押印に代えることも可能です。

保管方法の選択肢

方法 メリット デメリット
紙保管(ファイリング)押印原本を保管できる紛失・劣化のリスク。検索性が低い
PDF保管(クラウド)紛失リスクが低い。検索・共有が容易押印原本は別途保管が必要な場合あり
紙+PDF(両方保管)最も安全。実務上推奨管理の手間が二重になる

会社設立時の書類整理全般については「会社設立の流れ|手続き・費用・届出を完全ガイド」も参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

一人会社でも株主総会議事録は毎年作成する必要がありますか?
はい、必要です。一人会社でも株式会社である以上、会社法の義務は同じです。ただし「みなし決議」(会社法第319条)を活用すれば、実際の総会開催は省略でき、議事録の作成だけで済みます。
議事録に決まった書式はありますか?
法律で定められた書式はありません。ただし、会社法施行規則第72条の記載事項(日時・場所・議事の経過と結果・出席役員名・議長名・作成者名)を全て含む必要があります。本記事の記載例をテンプレートとして活用してください。
役員報酬を変更しない年でも、議事録に報酬を記載する必要がありますか?
法律上は毎期の決議は必須ではありませんが、税務上は「前期と同額を継続する」という意思決定を議事録で明確にしておくことが推奨されます。「第○号議案 役員報酬据え置きの件:現行の報酬月額を引き続き維持する」のように一文加えるだけで十分です。
合同会社でも株主総会議事録は必要ですか?
合同会社には「株主総会」がないため、株主総会議事録は不要です。ただし、重要な意思決定については「社員総会議事録」または「同意書」を作成・保管することが推奨されます。役員報酬の決定についても、同意書を残しておくと税務調査時に有効です。
議事録を後から作成(事後作成)しても問題ありませんか?
株主総会を実際に開催した後に議事録を作成すること自体は問題ありません。ただし、株主総会を開催せずに議事録だけを作成する行為は虚偽の議事録作成にあたり、違法です。一人会社でも、みなし決議の手続きを経た上で議事録を作成してください。
税務署に議事録を提出する必要はありますか?
定期同額給与の場合、通常は税務署への提出は不要です。ただし、税務調査の際に提出を求められます。また、事前確定届出給与(役員賞与)を支給する場合は、届出書に議事録の写しを添付する必要があります。
株主総会と取締役会の議事録は別々に作成する必要がありますか?
はい、別々の書類として作成します。取締役会設置会社の場合、取締役会の議事録も別途作成・保管が必要です。ただし、多くの中小企業は取締役会非設置会社であるため、株主総会議事録のみで足ります。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 株主総会議事録は全ての株式会社に作成義務あり。本店で10年間保管(会社法第318条)
  • 記載必須の6項目:日時・場所、議事経過と結果、発言概要、出席役員名、議長名、作成者名
  • 中小企業の定時総会では「決算承認+役員報酬決議」の2議案が基本
  • 一人会社は「みなし決議」(会社法第319条)で総会開催を省略可能。ただし議事録は必須
  • 役員報酬の変更は事業年度開始から3ヶ月以内に決議しないと損金不算入リスクあり
  • 税務調査では「金額の記載」「決議日」「支給実態との整合性」「毎期の連続性」が確認される
  • 議事録の電子化(PDF等)も認められているが、押印原本と両方保管がベスト

議事録の作成は、年に1回の作業で10〜20分あれば完了します。この短時間の作業が、税務調査での否認リスクを防ぎ、融資審査でのプラス評価につながります。テンプレートを1つ用意して、毎年の決算と同時に作成する習慣をつけましょう。

AYUSAWA PARTNERS

決算から議事録作成まで一括対応します

初回相談無料。公認会計士・税理士・社労士・行政書士がワンストップで対応します。

鮎澤パートナーズに相談する