【税理士監修】決算整理仕訳とは?必要な仕訳パターンと実務の注意点

【税理士監修】決算整理仕訳とは?必要な仕訳パターンと実務の注意点
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

決算整理仕訳とは?必要な仕訳パターンと実務の注意点

「決算整理仕訳って何をすればいいの?」と迷う経理担当者や経営者に向けて、必要な仕訳パターン8種類を具体的な数値例付きで完全ガイドします。この記事を読めば、決算時に漏れやすい仕訳を一覧で把握し、自信を持って決算作業を進められます。

🏆 結論:決算整理仕訳は「8パターン」を押さえれば怖くない

決算整理仕訳とは、期中の帳簿と決算日時点の実態とのズレを正しく修正する仕訳のことです。減価償却費の計上・経過勘定の振替・棚卸資産の計算・貸倒引当金の設定など主要8パターンを理解すれば、ほとんどの中小企業の決算に対応できます。会計ソフトの自動仕訳機能を使いつつ、本記事のチェックリストで漏れを防止するのが実務のベストプラクティスです。

決算整理仕訳とは?期中仕訳との違いをわかりやすく解説

決算整理仕訳とは、事業年度の最終日(決算日)に行う特別な仕訳のことです。期中に記帳した帳簿の数字と、決算日時点の実際の状況とのズレを修正し、正確な決算書(貸借対照表・損益計算書)を作るために行います。

期中仕訳と決算整理仕訳の違い

普段の取引で記帳する「期中仕訳」は、現金の入出金や売上・仕入の発生など、日々のできごとを記録するものです。一方、決算整理仕訳は「1年の帳簿を締めるときにしか処理できない項目」を扱います。

比較項目 期中仕訳 決算整理仕訳
タイミング取引が発生したとき決算日(事業年度末)
目的取引の記録帳簿と実態のズレの修正
頻度日常的(毎日〜毎月)年1回(決算時のみ)
代表例売上計上・仕入計上・経費支払い減価償却・引当金設定・経過勘定

なぜ決算整理仕訳が必要なのか

会計の世界では「発生主義」(お金の動きではなく、権利・義務が発生した時点で計上する)が原則です。期中にはお金の動きに合わせて記帳することも多いため、決算日時点で「実際に当期に属する収益・費用はいくらか」を正確に切り分ける作業が必要になります。

実務では、決算整理仕訳を1つでも漏らすと利益の計算が狂い、法人税の申告額にも影響します。年間100社以上の決算を担当してきた経験上、決算整理仕訳の漏れは税務調査で最も指摘されやすい論点の一つです。

💡 実務のポイント

決算整理仕訳と混同しやすい用語に「決算振替仕訳」と「再振替仕訳」があります。決算振替仕訳は、収益・費用を損益勘定に集約する処理(会計ソフトが自動実行)。再振替仕訳は、経過勘定の仕訳を翌期首に逆仕訳で戻す処理です。本記事では決算整理仕訳に絞って解説します。

決算整理仕訳の全体の流れ【4ステップ】

決算整理仕訳は、決算作業全体のなかで以下の流れで行います。各ステップの位置づけを把握してから個別の仕訳パターンに進むと、迷いが少なくなります。

【ステップ1】決算整理前残高試算表を作成する

期中の仕訳が全て完了したら、勘定科目ごとに借方・貸方の合計を集計した「決算整理前残高試算表(T/B)」を出力します。会計ソフトを使っていれば、ボタン1つで自動作成されます。借方合計と貸方合計が一致していることを確認し、一致しなければ期中の仕訳にミスがあるので先に修正しましょう。

【ステップ2】科目別に決算整理仕訳を起こす

後述する8パターンを一つずつ確認し、必要な仕訳を追加していきます。順番は「資産→負債→費用→収益」の科目順で進めると漏れにくくなります。

【ステップ3】精算表で検算する

決算整理仕訳を入力したら、精算表(決算整理前T/B+修正仕訳=決算整理後T/B)で最終チェックします。現在の会計ソフトでは精算表も自動生成されるため、手作業で作る必要はありません。

【ステップ4】決算書を確定する

決算整理後の数値をもとに、貸借対照表と損益計算書を作成し、法人税の確定申告書に反映します。決算整理仕訳の全体像については「法人決算の流れと必要な手続き」で詳しく解説しています。

決算整理仕訳の8パターン【仕訳例つき完全一覧】

中小企業の決算で登場する決算整理仕訳は、大きく分けて8パターンです。以下の一覧表で全体像を把握してから、各パターンの詳細に進みましょう。

パターン 内容 影響する決算書
①売上原価の計算棚卸資産の振替で当期の売上原価を確定P/L・B/S
②減価償却費の計上固定資産の当期分の費用を計上P/L・B/S
③経過勘定の振替前払・未払・前受・未収の期間按分P/L・B/S
④貸倒引当金の設定売掛金等の回収不能見込額を費用計上P/L・B/S
⑤現金・預金の実査帳簿と実残高の差異を調整B/S
⑥有価証券の期末評価時価評価・評価損益の計上P/L・B/S
⑦仮勘定の整理仮払金・仮受金を正式科目に振替B/S
⑧消耗品の棚卸未使用分を費用から資産に振替P/L・B/S

パターン①:売上原価の計算(棚卸資産の振替)

売上原価とは、当期に販売した商品の仕入原価のことです。期中に仕入れた金額がそのまま売上原価になるわけではなく、「期首の在庫+当期仕入高−期末の在庫」で算出します。

仕訳例:年商3,000万円の小売業

📐 シミュレーション前提条件

  • 期首商品棚卸高:200万円
  • 当期商品仕入高:1,800万円
  • 期末商品棚卸高:250万円(実地棚卸による確認済み)

売上原価 = 200万円 + 1,800万円 − 250万円 = 1,750万円

決算整理仕訳は2本立てで起こします。

仕訳 借方 貸方
期首在庫を費用に振替仕入 200万円繰越商品 200万円
期末在庫を資産に振替繰越商品 250万円仕入 250万円

実務では「しーくりくりしー(仕入/繰越商品、繰越商品/仕入)」と覚えると間違えにくいです。なお、サービス業で在庫を持たない場合はこの仕訳は不要です。

⚠️ 注意:棚卸減耗損と商品評価損

実地棚卸で帳簿数量より実際の数量が少なければ「棚卸減耗損」、市場価格が帳簿価額より下がっていれば「商品評価損」を追加で計上します。税務調査では、棚卸表の記録が不十分だと在庫の過少計上を疑われるケースがあります。棚卸表は必ず日付・担当者名を記載して保存しましょう。

パターン②:減価償却費の計上

減価償却とは、建物・機械・車両などの固定資産の取得費用を、耐用年数にわたって費用として分割計上するしくみです。法人税法上、償却費を損金算入するには確定した決算で費用として経理する必要があります(損金経理要件)。

定額法と定率法の計算例

📐 シミュレーション前提条件

  • 取得価額:300万円(営業車両)
  • 耐用年数:6年(普通自動車)
  • 定額法の償却率:0.167
  • 残存価額:1円(税法上の備忘価額)

定額法の場合、年間の減価償却費は 300万円 × 0.167 = 50.1万円 です。

仕訳 借方 貸方
間接法減価償却費 501,000円減価償却累計額 501,000円
直接法減価償却費 501,000円車両運搬具 501,000円

中小企業では間接法を採用するケースが多く、B/S上に「取得価額−減価償却累計額」として表示されるため、資産の取得時の金額が一目でわかるメリットがあります。減価償却の基本的なしくみは「減価償却の基礎知識」で詳しく解説しています。

💡 実務のポイント:少額資産の特例を見逃さない

取得価額が10万円未満の資産は全額即時費用処理が可能です。10万円以上20万円未満なら一括償却資産(3年均等償却)、中小企業者等であれば40万円未満まで即時償却できる特例(年間合計300万円まで)が使えます。実際の決算では、固定資産台帳と照合し、特例適用の判断漏れがないか必ず確認しましょう。

期中取得した資産の月割計算

事業年度の途中で取得した固定資産は、取得月から決算月までの月数で按分します。例えば3月決算法人が10月に車両を取得した場合、当期の償却費は6ヶ月分(10月〜3月)になります。月数の数え間違いは実務で非常に多いミスです。

パターン③:経過勘定の振替(前払・未払・前受・未収)

経過勘定とは、収益・費用の認識タイミングとお金の動くタイミングにズレがある場合に使う4つの勘定科目です。発生主義の原則に従い、当期に属する金額を正しく配分するために振替を行います。

経過勘定4科目の判定フローチャート

勘定科目 意味 判定条件 仕訳の方向
前払費用お金は払ったが、まだサービスを受けていない支払済 × 翌期分費用→資産へ
未払費用サービスは受けたが、まだ払っていない未払 × 当期分費用の追加計上
前受収益お金はもらったが、まだサービスを提供していない受取済 × 翌期分収益→負債へ
未収収益サービスは提供したが、まだもらっていない未収 × 当期分収益の追加計上

仕訳例:3月決算法人が10月に1年分の保険料12万円を支払った場合

支払時に全額を「保険料」として費用計上していた場合、決算時に翌期分(4月〜9月の6ヶ月分=6万円)を前払費用に振り替えます。

タイミング 借方 貸方
支払時(10月)保険料 120,000円普通預金 120,000円
決算整理(3月末)前払費用 60,000円保険料 60,000円

現場でよく見かけるのが、年払い契約の保険料・リース料を支払ったきり決算時に按分し忘れるケースです。期をまたぐ年払い契約は、支払時に「○月〜○月分」とメモを残しておくと決算時の振替漏れを防げます。

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パターン④:貸倒引当金の設定

貸倒引当金とは、売掛金や受取手形などの債権が回収できなくなるリスクに備えて、あらかじめ費用として計上しておく金額です。法人税法第52条の規定により、一定の要件を満たす場合に損金算入が認められます。

中小企業が使える「一括評価金銭債権」の繰入率

資本金1億円以下の中小法人は、期末の売掛金等に対して業種別の法定繰入率を使った簡便法で貸倒引当金を設定できます。

業種 法定繰入率
卸売業・小売業10/1,000
製造業8/1,000
サービス業・その他6/1,000
金融・保険業3/1,000

例えば、サービス業で期末の売掛金が500万円なら、500万円 × 6/1,000 = 3万円 を貸倒引当金に繰り入れます。

参考: 国税庁「No.5320 貸倒損失として処理できる場合」

📊 公認会計士の視点

税務上の貸倒引当金と会計上の貸倒引当金は金額が異なることがあります。会計監査を受ける会社では「個別評価」と「一括評価」をそれぞれ検討し、会計上は回収可能性に応じた合理的な見積額を計上します。中小企業では税務上の金額=会計上の金額とするケースがほとんどです。

パターン⑤〜⑧:その他の決算整理仕訳

⑤現金・預金の実査と残高照合

帳簿上の現金残高と実際の手元現金、帳簿上の預金残高と銀行残高証明書を照合します。差額が生じた場合、原因を調査して正しい科目に振り替えます。原因が判明しない少額の差異は「雑損失」または「雑収入」で処理します。

決算の現場で経験した事例では、小口現金の残高が帳簿より3,000円少なく、調査の結果、宅配便の代引き支払いを記帳し忘れていたことが判明したケースがあります。少額でも原因を追究する姿勢が大切です。

⑥有価証券の期末評価

保有する有価証券は、決算日時点の時価で評価し直す必要があります。売買目的有価証券は時価評価し、評価差額をP/Lに計上します。中小企業で保有する株式の多くは「その他有価証券」に分類され、税務上は原則として取得原価のまま据え置くケースが多いですが、時価が著しく下落した場合は減損処理が必要です。

⑦仮勘定の整理

仮払金・仮受金は、本来の勘定科目が確定したら決算までに必ず振り替えます。税務調査では、仮勘定の残高が大きいと「本来の取引内容を隠している」と疑われることがあるため、決算日時点ではゼロにするのが原則です。

⑧消耗品の棚卸(未使用分の資産振替)

期中に全額費用処理した消耗品のうち、期末に未使用のまま残っているものは「貯蔵品」として資産に振り替えます。切手・収入印紙・コピー用紙など、金額が大きくなりやすい品目が対象です。

年商3,000万円のIT企業で実際に必要な決算整理仕訳シミュレーション

ここまでの8パターンを、架空のIT企業A社の決算に当てはめてみましょう。

📐 シミュレーション前提条件

  • A社:IT受託開発業、3月決算、資本金500万円
  • 年商3,000万円、従業員5名
  • 固定資産:PC5台(取得価額25万円×5=125万円、耐用年数4年)
  • 期末の売掛金残高:400万円
  • 10月に年払いのクラウドサービス利用料24万円を支払済
仕訳内容 借方 貸方 金額
PC減価償却(定額法 0.250)減価償却費減価償却累計額312,500円
クラウド利用料の前払振替(6ヶ月分)前払費用通信費120,000円
貸倒引当金繰入(6/1,000)貸倒引当金繰入額貸倒引当金24,000円
未払社会保険料(3月分会社負担)法定福利費未払費用185,000円
未払法人税等法人税等未払法人税等概算額

※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

IT企業はサービス業のため在庫の棚卸は不要ですが、仕掛中のプロジェクト(仕掛品)がある場合は原価を振り替える必要があります。受託開発で期末をまたぐ案件がある場合、進行基準または完成基準のどちらを適用しているかで処理が変わるため注意しましょう。

決算整理仕訳の完了チェックリスト【10項目】

年間100社以上の決算を手がけるなかで蓄積したチェックリストです。決算整理仕訳を一通り入力したあと、このリストで漏れがないか最終確認してください。

No. チェック項目 よくある漏れパターン
1現金・預金の実残高と帳簿の照合決算日を超えた引き落としの未計上
2売掛金の回収可能性チェック長期滞留債権の個別評価漏れ
3棚卸資産の実地棚卸と照合棚卸減耗損の計上忘れ
4固定資産台帳と減価償却費の照合期中取得資産の月割計算ミス
5年払い契約の前払費用振替保険料・リース料の按分忘れ
6未払費用(社保・利息等)の計上3月分社会保険料の会社負担分
7貸倒引当金の繰入額計算業種区分の選択ミス
8仮払金・仮受金がゼロか確認出張精算の未処理
9消耗品(切手・印紙等)の未使用分振替少額だからと省略してしまう
10前期の決算整理仕訳との比較前期にあった仕訳が今期にないのは正常か?

💡 実務のポイント:前期比較が最強のチェック方法

10番の「前期比較」は最もコストパフォーマンスの高いチェック方法です。前期の決算整理仕訳を一覧で出力し、今期も同じ項目があるか順番に確認するだけで、大半の漏れを防げます。会計ソフトの「仕訳帳検索→決算仕訳のみ表示」機能を使うと、前期の決算整理仕訳だけを簡単に抽出できます。

決算整理仕訳の税務上の注意点

損金経理要件に注意する

法人税法上、減価償却費や一定の引当金は「確定した決算で費用として経理すること(損金経理)」が損金算入の要件です。つまり、決算書に計上していなければ、税務申告で別途損金にすることはできません。逆に言えば、減価償却費は「償却限度額の範囲内であれば任意の金額を計上できる」ため、利益が少ない年度はあえて償却費を少なくする判断もあり得ます。

税務調査で指摘されやすいポイント

税務調査の現場で頻繁に指摘を受ける決算整理仕訳の論点は以下の3つです。

第一に、期末在庫の過少計上。在庫を少なく計上すれば売上原価が増えて利益が減るため、意図的な操作を疑われます。実地棚卸の記録を正確に残すことが最大の防御策です。

第二に、修繕費と資本的支出の区分。設備の修理代を全額「修繕費」として即時費用化していても、機能の向上や耐用年数の延長が認められると「資本的支出」として資産計上を求められます。工事の内容と金額を具体的に記録しておくことが重要です。

第三に、経過勘定の計上漏れ。特に、決算月の翌月に引き落とされる社会保険料の会社負担分(未払費用)の計上漏れは非常に多いです。

⚠️ 注意:買換資産を先行取得した場合

固定資産の買換特例(法人税法第65条の7)を利用する場合、先行取得資産は取得年度の決算時点で圧縮記帳の仕訳が必要です。翌年度に旧資産を売却する予定がある場合でも、取得年度の決算整理で適切な処理を行わないと特例を適用できなくなるリスクがあります。該当する場合は早めに税理士にご相談ください。

会計ソフト利用時の決算整理仕訳チェック3原則

freee・マネーフォワード・弥生などのクラウド会計ソフトは、減価償却費の自動計算や経過勘定の自動振替など、決算整理仕訳を大幅に省力化してくれます。しかし「ソフトに任せておけば大丈夫」と油断すると、意外なミスが残ります。

原則1:固定資産台帳の登録内容を毎期確認する

耐用年数や償却方法の設定が誤っていれば、自動計算される金額も間違います。特に、期中に取得した資産の「事業供用日」が正しく登録されているか確認しましょう。

原則2:「決算仕訳」フラグを必ず付ける

決算整理仕訳には「決算仕訳」のフラグを付けることで、月次試算表に影響を与えず、かつ翌期の前期比較で抽出しやすくなります。

原則3:自動仕訳の金額を手計算で検算する

ソフトが自動生成した減価償却費や引当金の金額を、一度は電卓で検算しましょう。入力データのミス(取得価額の桁違い等)が原因で、自動計算の結果が大きく狂っていた事例は珍しくありません。

決算整理仕訳でよくある失敗パターン5選

失敗①:決算月の社会保険料の未払計上を忘れる

3月分の社会保険料は4月末に引き落とされるため、3月決算法人は決算日時点では未払い状態です。会社負担分を「未払費用」として計上しないと、当期の費用が過少になり利益が過大になります。

失敗②:前期の決算整理仕訳の「再振替仕訳」を忘れる

前期末に計上した前払費用・未払費用は、翌期首に逆仕訳(再振替仕訳)で戻す必要があります。会計ソフトの自動振替機能を使っていない場合、この処理を忘れると費用が二重計上されたり計上漏れしたりします。

失敗③:少額減価償却資産の年間合計額を超過する

中小企業の40万円未満の即時償却特例は、年間合計300万円が上限です。上限を超えた分は通常の減価償却が必要ですが、決算時に気づかず全額費用処理してしまうケースがあります。

失敗④:締め日と決算日のズレを調整し忘れる

売掛金の締め日が毎月20日の場合、3月21日〜31日分の売上が帳簿に反映されていない可能性があります。決算日までの売上・仕入を正確に計上する必要があります。

失敗⑤:法人税・住民税・事業税の未払計上を漏らす

決算で利益が確定したら、税額の概算を「未払法人税等」として計上します。この計上を忘れると、B/S上の負債が過少になります。

決算整理仕訳を自分でやる場合と税理士に依頼する場合の判断基準

結論から言えば、年商5,000万円以下・従業員10名以下の会社で、クラウド会計ソフトを使いこなせる経理担当者がいるなら、自社対応は十分可能です。ただし、以下のケースでは税理士に依頼した方が安全です。

判断基準 自社で対応可能 税理士に依頼推奨
取引の複雑さ単純な売上・仕入中心建設業・不動産業・海外取引あり
固定資産の数10点以下30点以上・特殊設備あり
決算経験2期目以降初めての決算
特殊論点なし圧縮記帳・組織再編・税額控除あり

決算を自分で行う手順については「法人決算を自分でやる方法」で具体的に解説しています。決算書の作り方全般は「決算書の作り方」も参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

決算整理仕訳はいつまでに行う必要がありますか?
決算整理仕訳の期限は法令で明確に定められていませんが、法人税の確定申告期限(決算日の翌日から2ヶ月以内)までに決算書を確定させる必要があるため、実質的にはそれまでに完了させます。3月決算法人なら5月末が目安です。
個人事業主にも決算整理仕訳は必要ですか?
必要です。個人事業主の場合は12月31日が決算日となり、確定申告(翌年3月15日期限)に向けて、減価償却費の計上や経過勘定の振替などの決算整理仕訳を行います。青色申告で65万円控除を受けるには複式簿記による正確な決算整理が前提です。
決算整理仕訳を忘れた場合、後から修正できますか?
申告期限前に気づいた場合は修正して申告すれば問題ありません。申告後に気づいた場合は「修正申告」(税額が増える場合)または「更正の請求」(税額が減る場合)の手続きが必要です。更正の請求は法定申告期限から5年以内が期限です。
減価償却費を計上しないことはできますか?
法人の場合、減価償却費の計上は任意です(個人事業主は強制)。赤字の年度にあえて償却しないことで、翌期以降に償却費を繰り越す「償却不足」の処理が可能です。ただし、金融機関への決算書提出時に利益を操作していると見られるリスクがあるため、戦略的に判断しましょう。
決算整理仕訳と決算振替仕訳の違いは何ですか?
決算整理仕訳は帳簿の数字を実態に合わせる「修正」の仕訳です。決算振替仕訳は、収益・費用の勘定残高を損益勘定に集約し、最終的な利益を繰越利益剰余金に振り替える「締め」の仕訳です。会計ソフトでは決算振替仕訳は自動で行われます。
経過勘定の仕訳は翌期首にどう処理しますか?
翌期首に「再振替仕訳(逆仕訳)」を入力します。例えば前期末に「前払費用60,000/保険料60,000」と計上した場合、翌期首に「保険料60,000/前払費用60,000」と逆の仕訳を起こします。会計ソフトの自動振替機能を設定しておけば手動入力は不要です。
申告書作成と決算整理仕訳はどう関連しますか?
決算整理仕訳で確定した利益が法人税申告書の出発点になります。会計上の利益に「税務調整」(加算・減算)を行って課税所得を算出し、別表四に記載します。決算整理仕訳が正確でなければ、申告書の数字も当然ズレてしまいます。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 決算整理仕訳は、期中の帳簿と決算日時点の実態とのズレを修正する年1回の特別な仕訳
  • 中小企業で必要な仕訳は主に8パターン(売上原価・減価償却・経過勘定・貸倒引当金・現預金照合・有価証券評価・仮勘定整理・消耗品棚卸)
  • 「前期の決算整理仕訳との比較」が最もコスパの高い漏れ防止策
  • 会計ソフトの自動仕訳に頼りきらず、固定資産台帳の登録内容と金額を手計算で検算する
  • 税務調査で指摘されやすいのは「期末在庫の過少計上」「修繕費と資本的支出の区分」「経過勘定の漏れ」の3点
  • 初めての決算や特殊論点がある場合は、税理士への相談がおすすめ

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