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年末調整で給与所得者が提出する3枚の申告書(扶養控除等申告書・基礎控除申告書・保険料控除申告書)の書き方を記入例付きで完全解説。令和7年度税制改正で新設された「特定親族特別控除」、書類の保存期間7年、過不足額の精算方法まで税理士・社労士が実務目線で解説します。
🏆 結論:年末調整書類は3枚が基本・記入例を見ながら書けば誰でも作成可能
年末調整で給与所得者が会社に提出する書類は基本3枚:①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(マル扶)、②給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書(基・配・所申告書)、③給与所得者の保険料控除申告書。住宅ローン控除2年目以降の人は④住宅借入金等特別控除申告書も追加されます。令和7年度税制改正で「特定親族特別控除」が新設(合計所得58万超123万円以下の特定扶養親族向け)、扶養親族の所得要件が48万→58万円に引き上げられました。書類の保存期間は7年で会社側の義務、過不足額は12月の給与で精算するのが原則です。各書類の記入順序・記入例・注意点を順を追って解説します。
年末調整で記入する3枚の申告書
年末調整書類は給与所得者全員が提出する基本3枚と、対象者のみ提出する追加書類で構成されています。書類の名称は長いですが、対応する控除は限定されているため、自分のケースに合わせて記入すれば難しくありません。
提出書類の全体像
| 書類 | 提出対象 | 主な反映項目 |
|---|---|---|
| ①扶養控除等(異動)申告書(マル扶) | 全員 | 扶養親族・配偶者・障害者控除 |
| ②基・配・所申告書 | 全員 | 基礎控除・配偶者控除・特定親族特別控除・所得金額調整控除 |
| ③保険料控除申告書 | 該当者 | 生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金 |
| ④住宅借入金等特別控除申告書 | 該当者(2年目以降) | 住宅ローン控除 |
記入の基本順序
| 順序 | 書類 | 記入のポイント |
|---|---|---|
| STEP1 | ①扶養控除等申告書 | 家族構成を整理して記入 |
| STEP2 | ③保険料控除申告書 | 控除証明書を見ながら転記 |
| STEP3 | ②基・配・所申告書 | 本人と配偶者の所得を計算 |
| STEP4 | ④住宅ローン控除申告書(該当者) | 残高証明書を確認 |
💡 実務のポイント
記入順序は①→③→②→④の順がおすすめです。まず扶養控除等申告書で家族構成を確認し、次に保険料控除申告書で証明書から金額を転記、その後で基・配・所申告書を記入する流れにすると、計算しなおしを避けられます。実務では人事担当者から書類を一括配布する11月初旬から記入を始め、12月初旬までに提出が一般的です。年末ぎりぎりに記入すると証明書探しや計算ミスが発生しやすいため、早めの着手を推奨します。
①扶養控除等(異動)申告書の書き方
扶養控除等(異動)申告書(通称マル扶)は、年末調整で最も基本となる書類で、給与所得者全員が提出します。配偶者・扶養親族の情報を記載することで、配偶者控除・扶養控除・障害者控除等が適用されます。
記入欄の構成
| 記入欄 | 記入内容 |
|---|---|
| A 源泉控除対象配偶者 | 合計所得95万円以下の配偶者(本人所得900万円以下) |
| B 控除対象扶養親族(16歳以上) | 合計所得58万円以下の扶養親族(16歳以上) |
| C 障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生 | 本人または扶養親族の障害者該当・ひとり親等の情報 |
| D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等 | 夫婦両方で同じ親族を扶養しないために確認する欄 |
| 住民税に関する事項(16歳未満の扶養親族) | 16歳未満の子(住民税の扶養控除対象) |
A欄「源泉控除対象配偶者」の記入例
🧮 記入例:配偶者が専業主婦の場合
氏名:山田 花子
個人番号(マイナンバー):123456789012
生年月日:昭和60年5月10日
本年中の所得の見積額:0円(専業主婦の場合)
非居住者である親族:該当なし
住所:本人と同じ(同居の場合)
B欄「控除対象扶養親族」の記入例
🧮 記入例:大学生の子(20歳)
氏名:山田 太郎
続柄:子
生年月日:平成17年4月15日
個人番号:987654321098
同居老親等の区分:該当なし
特定扶養親族:○(19歳以上23歳未満)
本年中の所得の見積額:50万円(アルバイト収入から給与所得控除65万差し引いた額)
📢 令和7年改正:特定親族特別控除の新設
令和7年度税制改正で、19歳以上23歳未満の特定扶養親族(主に大学生年代)について、合計所得58万円超123万円以下の場合は「特定親族特別控除」が新設されました。従来の扶養控除(63万円)は58万円以下に該当する場合のみ、それ超〜123万円以下は新しい特定親族特別控除(段階控除)となります。アルバイト収入が増えても急に扶養控除が消えない「壁の緩和」が目的で、扶養控除等申告書のB欄ではなく、新しい申告書(基・配・所申告書)で記入します。
C欄「障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生」の記入例
| 区分 | 該当者 | 控除額 |
|---|---|---|
| 一般の障害者 | 本人・扶養親族・配偶者が障害者 | 27万円 |
| 特別障害者 | 障害等級1級・2級等 | 40万円 |
| 同居特別障害者 | 同居している特別障害者 | 75万円 |
| 寡婦 | 夫と死別または離別、合計所得500万円以下 | 27万円 |
| ひとり親 | 単身で子(所得62万円以下)を扶養、所得500万円以下 | 38万円(令和8年改正) |
| 勤労学生 | 合計所得89万円以下の学生(令和8年改正) | 27万円 |
②基・配・所申告書の書き方
「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(略称:基・配・所申告書)は、令和7年改正で名称が変更され「特定親族特別控除申告書」も統合されました。基礎控除は全員、配偶者控除・特定親族特別控除・所得金額調整控除は該当者のみ記入します。
記入欄の構成
| 記入欄 | 記入内容 |
|---|---|
| ①基礎控除申告書 | 本人の合計所得を計算し基礎控除額を算定(全員) |
| ②配偶者控除等申告書 | 配偶者の所得から配偶者控除・配偶者特別控除を算定 |
| ③特定親族特別控除申告書(令和7年新設) | 合計所得58万超123万円以下の特定扶養親族(19-23歳) |
| ④所得金額調整控除申告書 | 年収850万円超で子・特別障害者がいる場合 |
基礎控除申告書の記入例(年収500万円)
🧮 記入例:年収500万円の場合
給与所得の収入金額:5,000,000円
給与所得の所得金額:3,560,000円(500万 − 給与所得控除144万)
給与所得以外の所得:0円
合計所得金額:3,560,000円
区分Ⅰ:B(合計所得336万超489万以下)
基礎控除の額:680,000円(68万円)
基礎控除額の判定(令和7年・8年)
| 合計所得金額 | 給与年収目安 | 区分 | 基礎控除額 |
|---|---|---|---|
| 132万円以下 | 約200万円以下 | A | 95万円 |
| 132万円超336万円以下 | 約475万円以下 | B | 88万円 |
| 336万円超489万円以下 | 約665万円以下 | B | 68万円 |
| 489万円超655万円以下 | 約850万円以下 | B | 63万円 |
| 655万円超2,350万円以下 | 約2,545万円以下 | C | 58万円 |
配偶者控除等申告書の記入例(配偶者の所得)
| 配偶者の合計所得 | 配偶者年収目安 | 控除種類 | 控除額(本人所得900万円以下) |
|---|---|---|---|
| 58万円以下 | 123万円以下 | 配偶者控除 | 38万円 |
| 58万円超95万円以下 | 123万超160万円以下 | 配偶者特別控除 | 38万円 |
| 95万円超100万円以下 | 160万超165万円以下 | 配偶者特別控除 | 36万円 |
| 100万円超〜133万円以下 | 最大201.6万円以下 | 配偶者特別控除(段階) | 31万円〜3万円 |
所得金額調整控除の記入例
🧮 所得金額調整控除の対象
適用要件(いずれかに該当):
①給与収入850万円超かつ23歳未満の扶養親族がいる
②給与収入850万円超かつ本人が特別障害者
③給与収入850万円超かつ扶養親族・配偶者が特別障害者
控除額:(給与収入−850万円)×10%(上限15万円)
例:給与収入1,000万円・小学生の子あり → (1,000万−850万)×10% = 15万円控除
③保険料控除申告書の書き方
保険料控除申告書は、生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金の控除を申告するための書類です。各保険会社・金融機関から送付される「控除証明書」を見ながら転記する作業が中心です。
記入欄の構成
| 控除区分 | 控除限度額 |
|---|---|
| ①生命保険料控除(新制度) | 最大12万円(一般+介護医療+個人年金) |
| ①生命保険料控除(旧制度) | 最大10万円 |
| ②地震保険料控除 | 最大5万円 |
| ②旧長期損害保険料控除 | 最大1.5万円(地震保険料と合わせて最大5万円) |
| ③社会保険料控除 | 支払額の全額(無制限) |
| ④小規模企業共済等掛金控除(iDeCo含む) | 支払額の全額(無制限) |
生命保険料控除の記入例
🧮 記入例:新制度の一般生命保険料
保険会社等の名称:○○生命保険株式会社
保険等の種類:定期保険
保険期間または年金支払期間:10年
契約者の氏名:山田 一郎(本人)
保険金等の受取人氏名:山田 花子(妻)
続柄:妻
新・旧の区分:新
本年中に支払った保険料の金額:72,000円
計算式適用結果(新制度・80,000円以下):
72,000円×1/4+20,000円=38,000円
または計算式:72,000円×1/2+10,000円(20,000円超40,000円以下)
※72,000円なので「40,000円超80,000円以下」の式を適用
72,000円×1/4+20,000円=38,000円
新制度・旧制度の判定基準
| 契約時期 | 区分 | 控除限度額(各区分) |
|---|---|---|
| 平成24年1月1日以降 | 新制度 | 各4万円(合計12万円) |
| 平成23年12月31日以前 | 旧制度 | 各5万円(合計10万円) |
新制度の計算式
| 年間支払保険料 | 控除額の計算 |
|---|---|
| 20,000円以下 | 支払額の全額 |
| 20,001円〜40,000円 | 支払額×1/2+10,000円 |
| 40,001円〜80,000円 | 支払額×1/4+20,000円 |
| 80,001円以上 | 一律40,000円 |
地震保険料控除の記入例
🧮 地震保険料控除の計算
年間支払保険料が50,000円以下:支払額の全額が控除
年間支払保険料が50,000円超:一律50,000円が控除
例:年間保険料36,000円 → 全額36,000円が控除
例:年間保険料72,000円 → 上限50,000円が控除
社会保険料控除・iDeCoの記入例
| 対象 | 記入する金額 |
|---|---|
| 国民年金保険料(本人・家族) | 本人・配偶者・子の国民年金保険料の本年中の合計支払額 |
| 国民健康保険料 | 本年中の支払額(本人が世帯主の場合) |
| 後期高齢者医療保険料 | 本年中の支払額 |
| iDeCo(個人型確定拠出年金) | 本年中の掛金支払額(月額上限は職業により異なる) |
| 小規模企業共済 | 本年中の掛金支払額(個人事業主・中小企業役員向け) |
④住宅借入金等特別控除申告書の書き方
住宅ローン控除2年目以降は、年末調整で控除を受けるために住宅借入金等特別控除申告書の提出が必要です。初年度は確定申告で手続きしますが、それ以降は税務署から送付される「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」を会社に提出します。
住宅ローン控除申告書の記入項目
| 記入項目 | 記入する金額・情報 |
|---|---|
| 住宅借入金等特別控除額 | 税務署から送付された証明書記載の控除額 |
| 住宅借入金等の年末残高 | 金融機関の残高証明書記載額 |
| 居住開始年月日 | 入居日 |
| 取得対価の額 | 物件の取得価額 |
| 家屋の総床面積 | 登記事項証明書記載の面積 |
過不足額の精算方法
年末調整で計算した「年税額」と毎月の源泉徴収額の合計に差額が生じた場合、12月の最終給与で精算するのが原則です(所得税法施行規則第74条)。実務では多くのケースが「還付」となります。
過不足額の精算3パターン
| パターン | 原因 | 精算方法 |
|---|---|---|
| ①還付(税金が戻る) | 源泉徴収済額 > 年税額 | 12月給与で還付・または別途口座振込 |
| ②不足(追加徴収) | 源泉徴収済額 < 年税額 | 12月給与から不足分を控除 |
| ③一致(精算なし) | 源泉徴収済額 = 年税額 | 精算なし(稀) |
還付が発生しやすいケース
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 年中に扶養親族が増えた | 源泉徴収時には未反映、年末調整で初めて控除 |
| 生命保険料・地震保険料の支払あり | 源泉徴収では考慮されていない |
| 配偶者が年中に退職した | 配偶者所得が下がり配偶者控除が新規適用 |
| iDeCoや小規模企業共済の加入 | 支払額全額が小規模企業共済等掛金控除の対象 |
| 住宅ローン控除(2年目以降) | 控除額が大きく、源泉徴収済額を上回るケース多数 |
不足額が発生しやすいケース
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 年中に扶養親族が減った | 源泉徴収時の扶養人数より少なくなり、税額が増加 |
| 配偶者が年中に就職して所得増加 | 配偶者控除の対象外となり追加課税 |
| 賞与の額が源泉徴収税額表より高い | 通常給与より高い税率がかかり、過少源泉徴収 |
| 前職給与の合算 | 中途入社で前職給与を合算したら年税額が増加 |
書類の保存期間|会社側の義務
年末調整書類は税務調査の対象となるため、会社は法定の保存期間を厳守する必要があります(所得税法施行規則第76条の3)。保存期間は申告書類によって7年保存が原則です。
各書類の保存期間
| 書類 | 保存期間 | 保存場所 |
|---|---|---|
| 扶養控除等(異動)申告書 | 7年(提出期限の翌年1月10日の翌日から) | 会社で保管 |
| 基・配・所申告書 | 7年 | 会社で保管 |
| 保険料控除申告書 | 7年 | 会社で保管 |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 7年 | 会社で保管 |
| 保険料控除証明書(添付資料) | 7年 | 会社で保管 |
⚠️ 保存義務違反のペナルティ
年末調整書類の保存義務違反は、税務調査で重大な指摘対象となります。書類を紛失・破棄していると、扶養控除等の適用を否認され、追加納税(本来不要だった源泉所得税)+不納付加算税10%+延滞税のペナルティが発生する可能性があります。実務では電子保存(電子帳簿保存法対応)も認められていますが、要件を満たさない場合は紙保存が必要。安易な書類処分は避け、年末調整書類専用のファイリングルールを社内で整備することが重要です。
記入時のよくあるミスと対策
年末調整書類の記入では、毎年多くのミスが発生します。実務で頻発する5つのミスと対策を整理します。
5つのよくあるミス
| ミス | 原因・対策 |
|---|---|
| ①マイナンバー記入漏れ | 本人と扶養親族のマイナンバー要記入→マイナンバー通知カード・マイナンバーカードで確認 |
| ②扶養親族の所得見積りミス | アルバイト・パート収入の年間予測→令和7年から58万円以下が要件(改正前48万円以下) |
| ③保険料の新旧区分ミス | 控除証明書に「新」または「旧」と記載→そのまま転記 |
| ④契約者と被保険者の混同 | 控除を受けるのは契約者(=保険料支払者)→被保険者は別概念 |
| ⑤前職源泉徴収票の合算漏れ | 中途入社者は前職源泉徴収票を必ず提出→年末調整で合算必要 |
令和7年度税制改正の影響
令和7年度税制改正により、年末調整書類の記入内容にも複数の変更があります。給与所得者は新しいルールに沿った記入が必要です。
令和7年改正の主要変更項目
| 改正項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 基礎控除(合計所得655万円以下) | 48万円 | 58万円(低・中所得は最大95万円) |
| 給与所得控除(最低保障額) | 55万円 | 65万円 |
| 扶養親族の所得要件 | 48万円以下 | 58万円以下 |
| 配偶者控除等の所得要件 | 48万円以下 | 58万円以下 |
| 特定親族特別控除(新設) | なし | 合計所得58超123万円以下に新設 |
| 申告書の名称変更 | 基・配・所申告書 | 基・配・特・所申告書 |
よくある質問
📋 この記事のポイント
- 年末調整の基本3書類は扶養控除等申告書・基・配・所申告書・保険料控除申告書
- 記入順序は①扶養控除等→③保険料控除→②基・配・所が効率的
- 令和7年改正で「特定親族特別控除」が新設、扶養親族所得要件は48→58万円に
- 配偶者控除の年収境界は103万円→123万円に変更(改正反映)
- 生命保険料控除は新制度(平成24年以降契約)・旧制度(平成23年以前)で計算式が異なる
- iDeCo・小規模企業共済は支払額の全額が小規模企業共済等掛金控除
- 過不足額の精算は12月給与で実施、不足額は翌年に繰越可能
- 書類の保存期間は7年(会社の義務、紛失でペナルティリスク)
📋 まとめ
- 年末調整書類は基本3枚(扶養控除等申告書・基・配・所申告書・保険料控除申告書)
- 令和7年改正で特定親族特別控除が新設、扶養所得要件が58万円に引上げ
- 記入は扶養→保険料→基・配・所の順で進めると効率的
- 生命保険料控除は新旧制度で計算式が異なるので証明書の表示を確認
- iDeCo・国民年金保険料は全額が控除対象、節税効果大
- 過不足額は12月給与で精算、書類は7年保存が会社の義務
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