【会計士×税理士が解説】M&Aの税務の基礎|株式譲渡・事業譲渡・合併の課税関係を比較

【会計士×税理士が解説】M&Aの税務の基礎|株式譲渡・事業譲渡・合併の課税関係を比較
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

M&Aの税務の基礎|株式譲渡・事業譲渡・合併の課税関係を比較

「M&Aを検討しているが、どのスキームが税務上有利なのかわからない」という中小企業の経営者に向けて、株式譲渡・事業譲渡・合併・会社分割の課税関係を比較表で完全ガイドします。この記事を読めば、スキーム選択の判断基準と手取り額のシミュレーション方法がわかります。

🏆 結論:中小企業M&Aでは「株式譲渡」が税務上最も有利なことが多い

中小企業のM&Aで最も多く使われるのは株式譲渡です。個人株主の場合は一律20.315%の分離課税で済むため、事業譲渡(法人税実効税率約30〜34%+さらにオーナーへの配当・退職金課税)と比較して手取り額が大きくなるケースが多いです。ただし、事業譲渡には「のれんの税務上の償却が可能」「簿外債務を引き継がない」というメリットがあり、買い手側の視点では事業譲渡が有利になることもあります。スキーム選択は売り手・買い手双方の税務メリットを総合的に判断する必要があります。

📢 令和8年度改正:防衛特別法人税の創設

令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度から、法人税額に対して4%の防衛特別法人税が課されます。ただし課税標準の計算上、基準法人税額から年500万円が控除されるため、法人税額がおおむね500万円以下の中小企業には実質的な負担は生じません。控除を超える法人では、本記事に記載の実効税率が約1%上昇します。

M&Aの主要スキームと課税関係【一覧表で比較】

M&Aには複数のスキーム(手法)があり、それぞれ課税関係が大きく異なります。まず全体像を一覧表で把握しましょう。

比較項目 株式譲渡 事業譲渡 吸収合併 会社分割
取引の性質株式の売買事業(資産・負債)の個別売買法人格の統合(包括承継)事業の包括承継
対価の受取人株主(個人or法人)売り手法人被合併法人の株主分割法人
売り手の課税個人:20.315%(分離課税)
法人:法人税等(約30〜34%)
法人税等(約30〜34%)適格:非課税
非適格:時価課税
適格:非課税
非適格:時価課税
買い手の課税原則なし消費税(課税資産分)原則なし原則なし
のれん(税務上)税務上発生しない(連結のみ)資産調整勘定として5年均等償却(損金算入可)非適格:資産調整勘定5年償却
適格:発生しない
非適格:資産調整勘定5年償却
適格:発生しない
繰越欠損金対象会社に残存(制限あり)買い手に引継不可。売り手が譲渡益と相殺可適格:一定要件で引継可
非適格:引継不可
適格:一定要件で引継可
非適格:引継不可
消費税非課税課税資産に対して課税不課税(包括承継)不課税(包括承継)
簿外債務リスク買い手が引き継ぐ買い手は引き継がない買い手が引き継ぐ買い手が引き継ぐ可能性あり
許認可の承継自動承継再取得が必要自動承継要確認(個別判断)
中小企業での利用頻度最も多い2番目に多い少ない少ない

参考: 国税庁 No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)

株式譲渡の課税関係|売り手・買い手の税務処理

個人株主が株式を譲渡する場合

中小企業のM&Aで最も多いのは、オーナー経営者(個人株主)が保有株式を買い手企業に譲渡するケースです。個人が株式を譲渡して利益(譲渡所得)が生じた場合、所得税15.315%(復興特別所得税を含む)+住民税5%=合計20.315%の分離課税が適用されます。

譲渡所得の計算式は「株式の譲渡対価 −(株式の取得費 + 譲渡費用)」です。取得費にはM&A仲介手数料などの費用も含まれます。オーナー経営者の場合、会社設立時の出資額(数百万〜数千万円)が取得費となり、譲渡対価が数億円になれば、ほぼ全額が課税対象となります。

分離課税のため、他に給与所得や不動産所得があっても税率は一律20.315%です。累進課税の最高税率(住民税含め約56%)と比べると、かなり有利といえます。

💡 実務のポイント

M&Aの現場でよくある失敗は、株式の取得費が不明で「取得費=譲渡対価の5%」とみなされるケースです。設立時の出資証明書や払込証明書を紛失している経営者は少なくありません。事前に取得費を証明する書類を確認しておくことで、不要な課税を避けられます。

法人株主が株式を譲渡する場合

持株会社やグループ会社が株式を譲渡する場合は、法人税等(実効税率約30〜34%)が課税されます。個人の分離課税(20.315%)と異なり、法人の場合は他の事業利益と通算されるため、繰越欠損金がある場合は譲渡益と相殺することも可能です。

買い手側の税務処理

株式譲渡では、買い手側に課税は原則として発生しません。取得した株式は「子会社株式」として取得価額で資産計上します。ただし、株式譲渡の対価は消費税の非課税取引に該当するため、課税売上割合の計算に影響する点に注意が必要です。

なお、株式譲渡ではのれんは税務上発生しません(連結決算でのみ計上)。このため、買い手側には「のれんの損金算入による節税効果」がない点が、事業譲渡と比較した際のデメリットです。

事業譲渡の課税関係|売り手・買い手の税務処理

売り手(譲渡法人)の税務

事業譲渡では、売り手の法人自体が譲渡対価を受け取ります。事業の譲渡益は法人の所得として法人税等(実効税率約30〜34%)の課税対象です。

ここで重要なのは、株式譲渡と異なり「対価はオーナー個人ではなく法人が受け取る」という点です。オーナーが対価を手にするためには、法人から配当や退職金の形で受け取る必要があり、その段階でさらに個人に対する課税が発生します。つまり、事業譲渡は「法人段階の課税+個人段階の課税」の二重課税になりやすい構造です。

ただし、売り手法人に繰越欠損金がある場合は、事業の譲渡益と欠損金を相殺できるため、法人段階の課税を軽減できます。

買い手(譲受法人)の税務

事業譲渡の買い手側には、以下の税務上のメリットとデメリットがあります。

メリット①:のれんの損金算入 — 譲渡対価と受け入れた資産・負債の時価純資産額との差額は「資産調整勘定」(税務上ののれん)として計上され、5年間の均等償却で損金算入できます。譲渡対価2億円、時価純資産1億円の場合、のれん1億円÷5年=年間2,000万円の損金算入効果があります。

メリット②:簿外債務の遮断 — 事業譲渡は個別の資産・負債を選択して取得するため、簿外債務(未計上の債務・偶発債務)を引き継ぐリスクを排除できます。

デメリット①:消費税の負担 — 事業譲渡では、課税資産(棚卸資産、固定資産、のれんなど)に対して消費税が課税されます。買い手が消費税を負担し、仕入税額控除の対象となりますが、資金繰り面では一時的な負担が生じます。

デメリット②:許認可の再取得 — 事業譲渡は個別承継のため、売り手が保有していた許認可は原則として買い手に引き継がれません。許認可が必要な事業の場合、買い手が新たに取得する必要があります。

参考: 国税庁 No.5730 事業の譲渡があった場合の取扱い

合併・会社分割の課税関係|適格と非適格の違い

適格組織再編と非適格組織再編

合併や会社分割などの組織再編を行う場合、税制上「適格」と「非適格」の2つに区分されます。この区分により、課税関係が根本的に異なります。

区分 資産・負債の引継ぎ 売り手の課税 繰越欠損金
適格帳簿価額で引継ぎ売却損益なし(非課税)一定要件で引継可
非適格時価で引継ぎ時価との差額に課税引継不可

適格要件の3つのパターン

適格要件は、当事者間の資本関係に応じて3パターンに分かれます。

パターン①:完全支配関係(100%支配) — 金銭等の交付がないことが要件。グループ内再編で最も使いやすいパターンです。

パターン②:支配関係(50%超〜100%未満) — 金銭等不交付に加え、従業者引継要件(概ね80%以上)と事業継続要件を満たす必要があります。

パターン③:共同事業(50%以下) — 上記に加え、事業関連性要件、規模要件(または経営参画要件)、株式継続保有要件を満たす必要があります。第三者とのM&Aで適格要件を満たすのはこのパターンですが、要件が厳しいため実務上は困難なケースが多いです。

⚠️ 注意

第三者とのM&A(グループ外の企業との統合)で合併を選択した場合、多くのケースで「非適格合併」に該当します。非適格合併では被合併法人の資産が時価評価され、含み益がある資産には課税が発生します。このため、中小企業の第三者M&Aでは合併ではなく株式譲渡が選択されることがほとんどです。

合併・会社分割の詳細な税務は「合併・会社分割の税務|適格組織再編の要件と非適格の課税関係」で解説しています。

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手取り額シミュレーション:同じ対価2億円でもスキームで手取りが変わる

📐 シミュレーション前提条件

  • M&A対価:2億円
  • 株式の取得費(出資額):1,000万円
  • 対象会社の時価純資産:1億5,000万円(のれん相当額5,000万円)
  • 法人税実効税率:33.59%
  • 繰越欠損金:なし
項目 ①株式譲渡(個人株主) ②株式譲渡(法人株主) ③事業譲渡
譲渡対価2億円2億円2億円
取得費・簿価▲1,000万円▲1,000万円▲1億5,000万円
譲渡益1億9,000万円1億9,000万円5,000万円
税額(法人段階)3,860万円(20.315%)6,382万円(33.59%)1,680万円(33.59%)
法人段階の手取り1億6,140万円1億3,618万円法人に1億8,320万円残存
オーナーが手にする金額1億6,140万円(直接取得)配当・退職金で別途課税配当・退職金で別途課税

※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

📊 公認会計士の視点

このシミュレーションを見ると「個人株主の株式譲渡が一番有利」に見えますが、事業譲渡では買い手側がのれん5,000万円を5年間で損金算入できるため、買い手の総投資コストは株式譲渡より低くなります。M&Aの交渉では、売り手の手取り最大化と買い手の投資効率の両方をバランスさせる必要があり、退職金スキームの併用で全体最適を図るのが実務の定石です。

どのスキームを選ぶべき?4軸判断フロー

M&Aのスキーム選択は、税務面だけでなく法務・事業運営の観点も含めて総合的に判断する必要があります。以下の4つの軸で確認してください。

判断軸 株式譲渡が有利 事業譲渡が有利
①オーナーの手取り最大化個人株主なら20.315%の分離課税で手取りが大きい法人に繰越欠損金がある場合は益と相殺可能
②簿外債務リスクDDで十分に調査済み。表明保証でカバー簿外債務リスクが高い場合は事業譲渡で遮断
③許認可の承継許認可が多数あり、再取得が困難な場合許認可が少ない、または再取得が容易な場合
④買い手ののれん償却メリット買い手がのれん償却を重視しない場合買い手がのれんの損金算入による節税を重視する場合

会社設立の段階からM&Aを見据えた資本構成を整えておくことも重要です。「会社設立の流れと手順」も参考にしてください。

税務デューデリジェンスのチェックポイント

税務DDとは

税務デューデリジェンス(税務DD)とは、M&Aの買い手が対象会社の税務リスクを事前に調査するプロセスです。株式譲渡の場合は対象会社の法人格ごと引き継ぐため、過去の申告に誤りがあれば買い手がそのリスクを負います。

税務DDで発見されやすいリスクトップ10

順位 リスク項目 よくある問題 影響度
1役員報酬・退職金の損金算入定期同額給与の要件不備、過大退職金
2交際費の損金不算入交際費と会議費の区分誤り
3消費税の課税区分非課税・不課税・免税の区分誤り
4繰越欠損金の正確性欠損金の発生年度・残高の計算誤り
5関連者間取引の適正性オーナー個人との不動産賃貸・資金貸借
6固定資産の減価償却耐用年数の適用誤り、少額資産の処理
7源泉徴収義務外注費と給与の区分、非居住者への支払い
8印紙税の未納付契約書・領収書の印紙貼付漏れ
9地方税の申告事業所の所在地と均等割の不整合
10電子帳簿保存法対応電子取引データの保存義務違反

税務調査での指摘事例については「法人決算の流れと手順」でも触れています。

M&A関連費用の税務処理

M&Aにはさまざまな専門家費用が発生しますが、これらの費用が「損金」になるか「取得価額」に算入されるかで、税務上の扱いが大きく異なります。

費用の種類 取得決定前 取得決定後
M&A仲介手数料損金算入可株式の取得価額に算入
税務DD費用損金算入可株式の取得価額に算入
法務DD費用損金算入可株式の取得価額に算入
企業価値評価(バリュエーション)損金算入可株式の取得価額に算入
弁護士費用(契約書作成)株式の取得価額に算入
不動産取得税・登録免許税(事業譲渡の場合)取得資産の取得価額or損金の選択可

法人税法施行令では「特定の有価証券を取得することを決定した時点」が分岐点です。決定前の調査費用は期間費用として損金算入でき、決定後の費用は取得価額に含めなければなりません。この「決定した時点」の判断は実務上グレーゾーンが多いため、税理士に相談しながら整理することをおすすめします。

M&Aにおける節税スキームと注意点

退職金スキームの活用

中小企業のM&Aで最も一般的な節税手法は、株式譲渡に先立ちオーナーに退職金を支給するスキームです。退職金を支給することで対象会社の純資産が減少し、株式の譲渡価格が下がります。一方、退職金は退職所得として所得税が課税されますが、退職所得控除と2分の1課税の優遇があるため、実効税率は通常の給与所得より大幅に低くなります。

ただし、退職金の額が「不相当に高額」と判断された場合は、過大部分が損金不算入となるリスクがあります。役員退職金の適正額は「最終月額報酬×勤続年数×功績倍率」で計算するのが一般的です。役員報酬の基本については「役員報酬の基礎知識」で解説しています。

第三者割当増資の活用

買い手が対象会社に対して第三者割当増資を行い、過半数の議決権を取得するスキームでは、売り手株主に課税が発生しません(株式の譲渡がないため)。ただし、時価より著しく低い価額で新株を発行した場合は、贈与税の問題が生じる可能性があるため、適正な払込金額の算定が必要です。

組織再編を活用したスキーム

株式譲渡後に吸収合併を行い、のれんの損金算入メリットを得るスキームもあります。この場合、まず株式を100%取得して完全子会社化し、その後に完全支配関係にある子会社を吸収合併します。ただし、組織再編税制の適格要件を慎重に検討する必要があります。

法人成りのタイミングとM&Aの関係については「法人成りのタイミングと判断基準」もご参照ください。

M&A後の税務手続きと届出

株式譲渡後の手続き

株式譲渡の場合、対象会社の法人格はそのまま存続するため、法人番号の変更はありません。ただし、以下の届出が必要です。

(1)異動届出書(代表者変更・株主変更) — 税務署・都道府県税事務所・市区町村に提出。(2)消費税の届出 — 課税事業者選択届出書や簡易課税の適用など、新オーナーの方針に合わせて見直し。(3)青色申告の承認 — 新しい経営体制でも青色申告の承認は引き続き有効。

事業譲渡後の手続き

事業譲渡の場合、買い手は新たに事業を開始する形になるため、開業届・青色申告承認申請書の提出が必要になる場合があります。また、従業員を引き継ぐ場合は、社会保険・労働保険の資格取得届出が新たに必要です。

よくある質問(FAQ)

株式譲渡と事業譲渡、どちらが税金は安くなりますか?
オーナー個人が直接対価を受け取る場合は、株式譲渡のほうが税金は安くなるケースが多いです。個人の株式譲渡は一律20.315%の分離課税ですが、事業譲渡では法人税(実効税率約30〜34%)が課税された後、さらにオーナーが対価を受け取る際に個人課税が発生します。ただし、買い手側の視点ではのれんの損金算入が可能な事業譲渡のほうが有利なケースもあり、売り手・買い手の全体最適で判断する必要があります。
M&Aで発生する消費税はどのスキームで課税されますか?
事業譲渡のみ消費税が課税されます。事業譲渡の対象に含まれる課税資産(棚卸資産、固定資産、のれんなど)に対して10%の消費税が発生し、買い手が負担します。株式譲渡は非課税取引、合併・会社分割は包括承継のため不課税です。
のれんの償却は何年でできますか?
事業譲渡または非適格組織再編で発生するのれん(税務上の「資産調整勘定」)は、5年間の均等償却で損金算入できます。月割計算で月額均等に償却します。株式譲渡ではのれんは税務上発生しないため、この損金算入メリットはありません。
繰越欠損金はM&A後も使えますか?
株式譲渡の場合、対象会社の繰越欠損金はそのまま残りますが、一定の制限があります。特定株主等が50%超変動した場合(支配関係の変更)、特定の資産の譲渡損益や含み損の損金算入が制限される「欠損金の繰越控除の制限」があるため注意が必要です。事業譲渡では繰越欠損金は買い手に引き継がれません。
適格合併の要件を満たすのは難しいですか?
グループ内(100%支配関係)の合併であれば比較的容易に適格要件を満たせますが、第三者とのM&Aで適格合併の要件を満たすのは困難なケースが多いです。共同事業要件として、事業関連性、規模の近似性(概ね5倍以内)、従業者引継ぎ、事業継続、株式継続保有など複数の要件を全て満たす必要があります。
税務デューデリジェンスは必ず必要ですか?
法的な義務ではありませんが、株式譲渡で会社を丸ごと引き継ぐ場合は強くおすすめします。対象会社の過去の税務申告に誤りがあれば、M&A後に税務調査で追徴課税を受けるのは買い手です。DD費用は取得決定前であれば損金算入できるため、リスク回避の投資として合理的です。
M&A仲介手数料は損金になりますか?
「特定の有価証券を取得することを決定した時点」より前に発生した費用は損金算入可能ですが、決定後の費用は株式の取得価額に算入する必要があります。実務では「いつの時点で取得を決定したか」の判断が難しいため、費用の発生時期と支払時期を記録し、税理士と相談しながら整理してください。
自己株式の取得(金庫株)はM&Aに使えますか?
はい、自己株式の取得はM&Aの手法として活用されるケースがあります。たとえば、M&A後に少数株主を排除するために対象会社が自己株式を取得する場面です。ただし、自己株式の取得ではみなし配当課税の問題があるため注意が必要です。詳しくは「自己株式の取得と税務」をご覧ください。
事業承継税制(特例措置)とM&Aは併用できますか?
事業承継税制の特例措置は、親族内承継での贈与税・相続税の納税猶予を目的とした制度であり、第三者へのM&A(株式の譲渡)を行うと猶予されていた税額が確定(免除取消)となる可能性があります。事業承継税制を適用中の場合は、M&Aの実行前に税理士に猶予税額への影響を必ず確認してください。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 中小企業M&Aでは株式譲渡が最も多く、個人株主なら一律20.315%の分離課税で手取りが有利
  • 事業譲渡は買い手側にのれん(資産調整勘定)の5年均等償却という損金算入メリットがある
  • 合併・会社分割は適格/非適格の区分により課税関係が根本的に異なる。第三者M&Aでは非適格になりやすい
  • 同じ対価2億円でも、スキーム選択でオーナーの手取りに数千万円の差が出る
  • 税務DDで発見されやすいリスクは役員報酬・交際費・消費税区分・繰越欠損金の4項目
  • M&A関連費用は「取得決定前=損金」「取得決定後=取得価額」に区分される
  • 退職金スキームの活用で売り手・買い手双方の税務メリットを最大化できる

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