【税理士監修】教育資金の一括贈与の非課税|1,500万円の対象範囲と残額への相続税課税

【税理士監修】教育資金の一括贈与の非課税|1,500万円の対象範囲と残額への相続税課税
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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教育資金の一括贈与の非課税|1,500万円の対象範囲と残額への相続税課税

「孫の教育資金を援助したいけれど、1,500万円の非課税枠って何に使えるの?」「残額があるとどうなるの?」とお悩みの方に向けて、制度の対象範囲・適用要件・残額への課税ルールを拠出時期別に完全ガイドします。この記事を読めば、制度を活用すべきかどうかを判断できます。

🏆 結論:教育資金の一括贈与は「相続税の課税価格が基礎控除を超える家庭」で効果的

教育資金の一括贈与の非課税制度は、受贈者1人あたり最大1,500万円(学校等以外は500万円まで)が非課税になる制度です。ただし、令和3年度以降の改正で残額への相続税課税が強化され、令和8年3月31日で制度自体が終了予定です。相続税がかかる見込みがない家庭では節税メリットがなく、都度贈与で十分対応できます。制度の利用を検討する際は、贈与者の年齢・健康状態・遺産総額・受贈者の年齢を総合的に考慮しましょう。

教育資金の一括贈与の非課税制度とは?基本的なしくみ

制度の概要と目的

教育資金の一括贈与の非課税制度とは、直系尊属(父母・祖父母など)が30歳未満の子や孫に教育資金を一括で贈与した場合に、受贈者1人あたり最大1,500万円まで贈与税が非課税になる制度です。租税特別措置法第70条の2の2に規定されています。

通常の贈与では年間110万円の基礎控除を超えると贈与税がかかりますが、この制度を使えば一度に最大1,500万円を非課税で移転できます。高齢世代に偏在する金融資産を若年世代に移転し、子育て世帯の教育費負担を軽減することを目的として、平成25年度税制改正で創設されました。

制度の適用期間

平成25年4月1日から令和8年3月31日までの時限措置です。これまで複数回の延長がありましたが、令和8年度税制改正大綱では延長されず、制度は予定どおり終了する方向です。

📢 制度終了に関する注意

令和8年(2026年)3月31日までに拠出(預け入れ)された教育資金が対象です。すでに契約している場合は、拠出済みの資金について引き続き制度の適用を受けられます。新規の拠出は令和8年3月31日で終了します。

利用の全体像

項目 内容
贈与者受贈者の直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母など)
受贈者30歳未満の子・孫など(前年の合計所得金額1,000万円以下)
非課税限度額1人あたり最大1,500万円(学校等以外は500万円まで)
手続き金融機関で専用口座を開設し、教育資金非課税申告書を提出
払出し方法教育費の領収書等を金融機関に提出して払出し
適用期間平成25年4月1日〜令和8年3月31日(延長なし・終了予定)
契約終了受贈者が30歳到達時(在学中は最大40歳まで延長可)

非課税の対象範囲|学校等1,500万円と学校等以外500万円の費目判定表

学校等に直接支払われる費用(最大1,500万円)

「学校等」とは、学校教育法に規定される幼稚園・小中高校・大学・大学院・専修学校・各種学校に加え、認定こども園・保育所・一定の認可外保育施設なども含みます。

費目 対象 備考
入学金・入園料入学検定料も含む
授業料・保育料
施設設備費
教科書・教材費(学校販売)学校が指定し学校に直接支払うもの
修学旅行費・校外活動費学校が主催するもの
学校給食費
寮費(学校直営)学校直営の寄宿舎に限る
通学定期代通学に必要と学校が証明するもの
留学渡航費・滞在費(学校指示)学校が正規の教育課程として行うもの

学校等以外の者に支払われる費用(最大500万円)

費目 対象 年齢制限・備考
学習塾の月謝23歳以降は対象外
水泳・ピアノ等の習い事23歳以降は対象外
そろばん・書道教室23歳以降は対象外
予備校・浪人中の講座
教育訓練給付金対象の講座23歳以降も対象
通学定期代(塾への通学)塾等が必要と認めたもの
留学斡旋費用
趣味の教室(料理・フラワーアレンジ等)指導者の資格・活動実態により判断
教材費(塾・習い事の指導で使用)学校等からの証明書があれば1,500万円枠

⚠️ 23歳以降の学校等以外の制限に注意

平成31年4月1日以後の贈与から、受贈者が23歳に達した日の翌日以後に支払われる学校等以外の費用は、原則として非課税の対象外になりました。ただし、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練の受講費用は23歳以降も対象です。社会人が資格取得のために受講する講座なども対象になり得るため、文部科学省のQ&Aで確認しましょう。

非課税の対象にならない費用

以下の費用は1,500万円・500万円いずれの枠でも対象外です。

対象外の費用 理由
受贈者本人の生活費(家賃・食費)教育資金に該当しない
受贈者の借入金の返済学費ローンの返済は対象外
学校等への寄付金任意の寄付は教育費に該当しない
パソコン本体の購入費学校の授業で使用する場合も原則対象外(ただし学校が販売するものは対象の場合あり)

💡 実務のポイント:領収書の管理が最大の負担

実務で多い相談は「この費用は対象になるのか」という判断です。金融機関に領収書を提出する際、費目が曖昧だと受理されないことがあります。領収書の「但し書き」に具体的な費目(「○○コース受講料」「令和○年度前期授業料」など)を記載してもらうよう、支払い時点で依頼しておくのが鉄則です。後から領収書の再発行を求めても応じてもらえないケースがあります。

適用要件チェックリスト

教育資金の一括贈与の非課税制度を利用するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。1つでも欠けると制度が使えず、通常の贈与として課税されます。

贈与者(あげる側)の要件

要件 チェック
受贈者の直系尊属であること(父母・祖父母・曾祖父母など)
叔父叔母・義父母(配偶者の父母)からの贈与は対象外

受贈者(もらう側)の要件

要件 チェック
契約締結日において30歳未満であること
信託受益権等を取得した年の前年の合計所得金額が1,000万円以下
贈与者の直系卑属であること(子・孫・ひ孫など)

手続きの要件

要件 チェック
金融機関(信託銀行・銀行・証券会社)で教育資金口座を開設
教育資金非課税申告書を金融機関経由で税務署に提出
令和8年3月31日までに拠出(預け入れ)を完了
教育費の支払い時に領収書等を金融機関に提出

なお、贈与についての詳しい仕組みは「贈与税の基礎知識と仕組み」で解説しています。

手続きの流れ【5ステップ】

【ステップ1】贈与契約書を作成する

贈与者と受贈者(未成年の場合は法定代理人)の間で贈与契約書を作成します。口頭での合意だけでは後日のトラブルのもとになるため、書面にしましょう。贈与金額・教育資金に充てる旨・日付を明記します。

【ステップ2】金融機関で教育資金口座を開設する

信託銀行・銀行・証券会社のいずれかで、教育資金管理契約に基づく専用口座を開設します。取扱金融機関によって手数料や手続き方法が異なるため、事前に比較検討しましょう。

【ステップ3】教育資金非課税申告書を提出する

金融機関の営業所を経由して、教育資金非課税申告書を税務署に提出します。受贈者が直接税務署に出向く必要はなく、金融機関が取り次ぎます。

【ステップ4】贈与資金を口座に預け入れる

贈与者が教育資金口座に資金を預け入れます。1,500万円に達するまでは追加の拠出も可能です(その都度、追加教育資金非課税申告書の提出が必要)。

【ステップ5】領収書等を提出して教育資金を払い出す

教育費を支払ったら、領収書・請求書などを金融機関に提出して払い出しを受けます。払出方法には「領収書等を先に提出してから払い出す方法」と「先に払い出してから領収書等を後日提出する方法」の2つがあり、口座開設時に選択します。

💡 実務のポイント:払出方法の選択は変更できない

口座開設時に選択した払出方法は途中で変更できません。実務では「先に払い出してから領収書を後日提出する方法」を選ぶケースが多いです。この方法であれば、急な支払いにも対応できます。ただし、領収書の提出期限(支払日から1年以内)を過ぎると非課税の対象外になるため、領収書の管理を徹底しましょう。

教育資金一括贈与 vs 都度贈与 vs 暦年贈与|3つの方法の比較表

教育資金を子や孫に渡す方法は、一括贈与の非課税制度だけではありません。「都度贈与」と「暦年贈与」を含めた3つの方法を比較し、どれが最適かを検討しましょう。

比較項目 教育資金一括贈与 都度贈与 暦年贈与
非課税額最大1,500万円実費相当額(上限なし)年間110万円
使途制限教育資金のみ教育費・生活費制限なし
手続きの手間大(口座開設+領収書管理)小(直接支払い)小(現金手渡し可)
贈与者死亡時残額に相続税(拠出時期で異なる)影響なし死亡前7年分を相続財産に加算
制度期限令和8年3月31日まで期限なし期限なし
最適な場面贈与者が高齢・相続税が高額になる見込み贈与者が元気で長生きする見込み教育費以外にも使わせたい

💡 実務のポイント:「都度贈与」は非課税の大原則

相続税法第21条の3に基づき、扶養義務者が教育費や生活費として必要な都度、直接支払う場合は贈与税がかかりません。祖父母が孫の入学金を直接大学に振り込む場合なども同様です。つまり、教育資金の一括贈与の非課税制度を使わなくても、必要な時に必要な額を渡せば課税されないのが原則です。一括贈与が有利になるのは「贈与者が高齢で将来渡せなくなるリスクがある」場合や「まとまった金額を先に確保したい」場合です。

相続時精算課税制度との併用も可能です。詳しくは「相続時精算課税制度の基礎知識」をご覧ください。

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制度を使うべき人・使うべきでない人の判定表

教育資金の一括贈与は万人に有利な制度ではありません。以下の判定表で、ご自身に合うかどうかを確認しましょう。

使うべき5パターン

パターン 判定 理由
贈与者が高齢(75歳以上)で相続税がかかる見込み都度贈与ができなくなるリスクに備えられる
受贈者が幼児(0〜5歳)で今後の教育費が高額になる使い切る可能性が高く、残額リスクが低い
私立一貫校・海外留学を予定しており教育費が1,000万円超高額な教育費を一括で確保できる
遺産総額が基礎控除を大幅に超える(1億円以上)相続税の限界税率が高く、非課税移転の効果が大きい
教育資金の使途を限定し孫に他の用途で使わせたくない金融機関が領収書で使途をチェックする

使うべきでない4パターン

パターン 判定 理由
相続税が基礎控除以下で課税されない見込み×節税メリットがなく、手続きの手間だけが増える
受贈者がすでに20代後半で教育費の使途が少ない×30歳までに使い切れず残額に贈与税がかかる
贈与者の老後資金に余裕がない×一度拠出すると贈与者に戻せない
贈与者が元気で長生きする見込みがあり、教育費を都度渡せる×都度贈与で十分。手間とリスクを避けられる

贈与者が死亡した場合の残額への相続税課税|拠出時期別4パターン

教育資金の一括贈与の最も複雑な論点が、贈与者が死亡した場合の残額の取扱いです。税制改正が繰り返されたため、拠出時期によってルールが大きく異なります。

拠出時期別の相続税課税ルール比較表

拠出時期 残額の相続税課税 2割加算 23歳未満等の除外
H25.4〜H31.3課税対象外
H31.4〜R3.3死亡前3年以内の拠出分のみ課税なしあり(23歳未満・在学中・教育訓練中)
R3.4〜R5.3全額が課税対象あり(孫等)あり(23歳未満・在学中・教育訓練中)
R5.4以降全額が課税対象あり(孫等)あり(ただし課税価格5億円超の場合は除外なし)

⚠️ 令和5年度改正の重要ポイント:課税価格5億円超の場合

令和5年4月1日以後に拠出された教育資金については、贈与者の死亡時の相続税の課税価格の合計額が5億円を超える場合、受贈者が23歳未満であっても管理残額が相続財産に加算されます。これは超富裕層を念頭に置いた規定ですが、不動産を含めた遺産総額が5億円を超えるケースは意外と多いため注意が必要です。

「23歳未満等の除外」の具体的な内容

拠出時期がH31.4以降の場合、贈与者の死亡日において受贈者が以下のいずれかに該当すれば、残額は相続財産に加算されません(R5.4以降で課税価格5億円超の場合を除く)。

①23歳未満であること、②学校等に在学していること、③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講していること。②③に該当する場合は、その旨を明らかにする書類を金融機関に届け出る必要があります。

残額への課税シミュレーション|3パターン

📐 シミュレーション前提条件

  • 祖父が孫に1,500万円を教育資金一括贈与(令和4年4月に拠出)
  • 祖父の遺産総額:2億円(法定相続人3人:子2人+孫1人=配偶者なし)
  • 教育資金の使用額:900万円(残額600万円)
  • 基礎控除:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
パターン 孫の状況(祖父死亡時) 残額600万円の取扱い 2割加算
パターンA15歳(23歳未満)相続財産に加算されない
パターンB25歳(大学院在学中)相続財産に加算されない(在学証明書の届出が必要)
パターンC27歳(社会人・非在学)600万円を相続財産に加算あり(孫のため)

パターンCの場合、600万円が相続財産に加算された上で、孫は一親等の血族(子)でないため相続税額の2割加算が適用されます。遺産総額2億円の場合、孫に対する相続税の限界税率は概ね30〜40%であり、残額600万円に対する追加の相続税負担は約180〜240万円+2割加算で約216〜288万円になる計算です。

💡 実務のポイント:使い切れない場合は早めに教育訓練を検討

受贈者が23歳を超えて在学もしていない場合、教育訓練給付金の対象講座を受講していれば除外要件を満たせます。MBA取得や国家資格の取得講座なども対象になるため、残額がある場合は教育訓練の活用を検討しましょう。ただし、形式的な受講で実態がなければ否認されるリスクがあります。

教育資金管理契約の終了事由と残額への贈与税

契約が終了する4つの事由

終了事由 残額への課税
受贈者が30歳に達した(在学中でない場合)残額に贈与税が課税
在学・受講していない年の12月31日(30歳超で延長中の場合)残額に贈与税が課税
受贈者が40歳に達した残額に贈与税が課税
受贈者が死亡した課税なし(残額があっても贈与税・相続税とも非課税)
口座残高がゼロになり合意により終了残額なし

残額への贈与税の計算例

受贈者が30歳になった時点で残額が500万円あった場合の贈与税の計算です。令和5年4月1日以降の拠出分については、一般税率が適用されます(特例税率は廃止)。

贈与税額=(500万円 − 110万円)× 20% − 25万円 = 53万円

なお、同じ年にこの残額以外の贈与がある場合は合算して計算します。

相続税の計算方法について詳しくは「相続税の計算方法」をご覧ください。

制度活用の金額別シミュレーション

教育資金の一括贈与を使った場合と使わなかった場合で、どれだけ税負担が変わるかをシミュレーションします。

📐 シミュレーション前提条件

  • 贈与者:祖父(80歳)、遺産総額2億円
  • 法定相続人:子2人(相続税の基礎控除4,200万円)
  • 孫(受贈者)は5歳。教育費は全額使い切る想定
  • 制度を使わない場合、1,500万円は祖父の遺産に含まれたまま
項目 制度なし 制度あり(全額使い切り) 差額
課税遺産総額2億円1億8,500万円▲1,500万円
相続税総額(概算)約3,340万円約2,840万円▲約500万円
贈与税0円0円(非課税)0円
税負担合計約3,340万円約2,840万円▲約500万円

※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。

遺産総額2億円のケースでは、1,500万円を教育資金として非課税で移転することで、約500万円の相続税節税効果が見込めます。ただし、使い切れなかった場合は残額に贈与税または相続税がかかるため、教育費の見通しが立つ範囲で拠出額を決めることが重要です。

失敗事例5選|実務で見かける典型的なミス

失敗事例①:1,500万円を拠出したが600万円しか使えなかった

祖父が孫(当時3歳)に1,500万円を拠出したが、孫が公立校中心に進学し、30歳時点で600万円が残った。残額600万円に対する贈与税は(600万円 − 110万円)× 30% − 65万円 = 82万円。さらに贈与者が存命中であれば問題ありませんが、拠出後に祖父が死亡していた場合は相続税の問題も発生します。

教訓:私立・海外留学を想定して最大1,500万円を拠出しても、実際の進路は変わります。まずは500〜800万円程度に抑え、追加拠出で対応するのが安全です。

失敗事例②:領収書の「但し書き」が不十分で非課税にならなかった

塾の月謝を支払った際、領収書の但し書きが「お月謝として」と曖昧だったため、金融機関で「教育資金に該当するか判断できない」と言われ、非課税の払出しが認められなかった。再発行を依頼したが、塾側に断られた。

教訓:領収書は支払い時に「○○コース受講料(○月分)」など具体的な費目を記載してもらうよう依頼しましょう。

失敗事例③:孫が25歳で就職し、在学もしていないのに残額があった

祖父が死亡した時点で孫は27歳の社会人。残額400万円が相続財産に加算された上、2割加算の対象になった。孫は「在学していれば除外されたのに」と後悔した。

教訓:教育訓練給付金の対象講座を受講していれば除外要件を満たせます。残額がある場合は、資格取得やMBAなど教育訓練の受講を検討しましょう。

失敗事例④:義母からの贈与で制度を使おうとしたが対象外だった

妻の母(義母)が孫に教育資金を贈与しようとしたが、義母は孫の「直系尊属」に該当するため、制度の適用は可能。しかし、夫の母(義母)が嫁の子に贈与する場合、嫁は直系卑属ではないため、嫁自身が受贈者になることはできない。受贈者はあくまで孫(直系卑属)である必要がある。

教訓:「誰から誰へ」の関係を正確に確認しましょう。直系尊属→直系卑属の関係が必要です。

失敗事例⑤:口座開設した金融機関の手数料が高く、使い勝手が悪かった

信託銀行で口座を開設したが、管理手数料が年間数万円かかり、領収書の提出方法も窓口持参のみだった。別の銀行では管理手数料無料、オンラインで領収書を提出できるサービスがあった。

教訓:金融機関によって手数料、領収書の提出方法、対応のスピードが異なります。事前に複数の金融機関を比較検討しましょう。

制度終了後の代替手段

令和8年3月31日で制度が終了した場合、教育資金を非課税で移転する方法は以下のとおりです。

都度贈与(扶養義務者間の教育費)

相続税法第21条の3第1項第2号に基づき、扶養義務者が教育費や生活費として必要な都度、直接支払う場合は贈与税がかかりません。祖父母が孫の入学金を直接大学に振り込む場合も同様です。制度終了後もこの原則は変わらないため、最も使いやすい方法です。

暦年贈与の活用

年間110万円の基礎控除を使い、毎年コツコツ贈与する方法です。教育費に限定されないため、貯蓄や投資にも充てられます。ただし、令和6年以降の贈与は相続開始前7年分が相続財産に加算されるため、早い段階から始めることが重要です。

相続時精算課税制度の活用

60歳以上の親・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について、累計2,500万円まで贈与税がかからない制度です。令和6年以降は年間110万円の基礎控除も併用できるようになりました。教育資金に限定されないのがメリットですが、贈与時の価額で相続税に持ち戻される点に注意が必要です。詳しくは「相続時精算課税制度の基礎知識」をご覧ください。

小規模宅地等の特例については「小規模宅地等の特例の概要」で解説しています。

よくある質問(FAQ)

教育資金の一括贈与は令和8年3月31日以降も使えますか?
新規の拠出は令和8年3月31日で終了する見込みです。すでに契約している場合は、拠出済みの資金について引き続き払出しを受けられますが、新たな資金の追加はできません。
1,500万円の非課税枠は学校等以外の費用にも全額使えますか?
学校等以外の費用(塾・習い事など)に使えるのは500万円までです。1,500万円の枠は「学校等」と「学校等以外」を合算した上限です。たとえば学校等に1,200万円、塾に300万円の計1,500万円は可能ですが、塾だけに1,500万円を使うことはできません。
祖父と祖母の両方から1,500万円ずつ、合計3,000万円を非課税で受け取れますか?
いいえ。非課税限度額は受贈者1人あたり1,500万円です。贈与者が複数いても合計1,500万円が上限です。祖父から1,000万円、祖母から500万円の合計1,500万円までは非課税ですが、それを超えると課税対象になります。
複数の孫にそれぞれ1,500万円ずつ贈与できますか?
はい。非課税限度額は受贈者ごとに1,500万円です。孫3人にそれぞれ1,500万円を贈与すれば、合計4,500万円が非課税になります。
教育資金口座から払い出した資金を教育費以外に使ったらどうなりますか?
領収書等で教育費の支払いが確認できない払出しは、非課税の適用を受けられません。契約終了時に「非課税拠出額 − 教育資金支出額」の残額として計算され、贈与税の課税対象になります。
受贈者が30歳になっても在学中であれば契約は継続できますか?
はい。受贈者が30歳に達した時点で学校等に在学している場合、または教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合は、金融機関に届け出ることで契約を継続できます。ただし、在学・受講していない年の12月31日または40歳に達する日のいずれか早い時点で契約は終了します。
受贈者が死亡した場合、教育資金口座の残額はどうなりますか?
受贈者が死亡した場合は、口座に残額があっても贈与税・相続税のいずれも課税されません。これは他の終了事由(30歳到達・40歳到達)とは異なる取扱いです。

📋 この記事のポイント

  • 教育資金の一括贈与は受贈者1人あたり最大1,500万円(学校等以外は500万円)が非課税
  • 制度は令和8年3月31日で終了予定。新規拠出の検討は急ぎましょう
  • 拠出時期によって贈与者死亡時の残額への相続税課税ルールが4パターンに分かれる
  • 令和3年4月1日以降の拠出分は残額全額が相続税課税対象+孫への2割加算あり
  • 令和5年4月1日以降の拠出分は課税価格5億円超なら23歳未満でも相続税課税
  • 相続税がかからない家庭では制度のメリットがなく、都度贈与で十分
  • 使い切れないリスクを避けるため、拠出額は教育費の見通しに基づいて控えめに設定する

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