住宅取得等資金の贈与の非課税|非課税限度額・適用要件・手続きを税理士が完全ガイド

住宅取得等資金の贈与の非課税|非課税限度額・適用要件・手続きを税理士が完全ガイド
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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「親からマイホーム購入の援助を受けたいけど、贈与税はいくらかかるの?」とお悩みの方に向けて、住宅取得等資金の非課税制度の限度額・要件・手続きを完全ガイドします。この記事を読めば、非課税枠を最大限に活用して賢く住宅購入ができます。

🏆 結論:省エネ等住宅なら最大1,000万円、一般住宅なら最大500万円が非課税

住宅取得等資金の非課税制度は、父母・祖父母からマイホーム購入資金の贈与を受けた場合に、省エネ等住宅なら1,000万円まで、それ以外の住宅なら500万円まで贈与税が非課税になる制度です。暦年課税の基礎控除110万円と併用すれば最大1,110万円、相続時精算課税と併用すれば最大3,610万円まで非課税にできます。適用期限は令和8年12月31日まで。期限内の申告が必須です。

住宅取得等資金の非課税制度とは?基本的な仕組み

住宅取得等資金の非課税制度とは、令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に、一定の要件を満たせば非課税限度額まで贈与税がかからない制度です(租税特別措置法第70条の2)。

「住宅取得等資金」とは、自分が住むための住宅の新築・取得・増改築等の対価に充てるための金銭を指します。住宅そのものの贈与ではなく、購入資金(お金)の贈与が対象です。

非課税限度額の比較表

住宅の種類 非課税限度額 対象
省エネ等住宅1,000万円省エネ性能・耐震性能・バリアフリー性能のいずれかの基準を満たす住宅
それ以外の住宅(一般住宅)500万円省エネ等住宅に該当しない住宅

参考: 国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」

非課税限度額は受贈者1人あたりの累計額です。過去にこの制度を利用して非課税となった金額がある場合は、その金額を差し引いた残額が限度額になります。また、複数の贈与者から資金を受けても、非課税枠は合計で1,000万円(または500万円)です。

他の制度との併用シミュレーション【最大非課税額】

この非課税制度は、暦年課税の基礎控除や相続時精算課税と併用できます。組み合わせ方で非課税額が大きく変わります。

組み合わせパターン 省エネ等住宅の場合 一般住宅の場合
① 非課税制度のみ1,000万円500万円
② 非課税制度+暦年課税の基礎控除1,110万円610万円
③ 非課税制度+精算課税(基礎控除+特別控除)3,610万円3,110万円

🧮 シミュレーション

たとえば父から省エネ等住宅の購入資金として2,000万円を贈与された場合、パターン②なら非課税枠1,110万円を超える890万円に贈与税がかかります(特例税率で約112万円)。パターン③(精算課税を選択)なら2,000万円全額が非課税枠内(1,000万円+110万円+890万円は特別控除内)で贈与税は0円です。ただし精算課税を選択すると暦年課税に戻れない点を必ず考慮してください。

相続時精算課税制度について詳しくは「相続時精算課税制度とは?令和6年改正の110万円基礎控除と活用判断を完全ガイド」をご覧ください。

適用要件チェックリスト【受贈者・住宅・手続き】

受贈者(贈与を受ける人)の要件

No. 要件 確認
1贈与者の直系卑属(子・孫等)であること
2贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること
3贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下(床面積40〜50㎡未満は1,000万円以下)
4過去にこの非課税制度の適用を受けたことがない(一定の場合を除く)
5配偶者・親族等の特別関係者から住宅を取得したものではないこと
6贈与を受けた年の翌年3月15日までに資金の全額を住宅の取得等に充てること
7贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅に居住する(または遅滞なく居住が確実)

⚠️ 注意:配偶者の父母は「直系尊属」に該当しません

義理の父母から住宅取得資金の贈与を受けても、この非課税制度は適用できません。配偶者の父母は「直系尊属」ではないためです。ただし、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。義父母からの援助を受ける場合は、配偶者が受贈者となり、住宅の持分を持つ方法を検討してください。

住宅の要件

要件 新築・取得 増改築等
所在地日本国内日本国内
床面積登記簿上40㎡以上240㎡以下登記簿上40㎡以上240㎡以下
居住用割合床面積の1/2以上が居住用床面積の1/2以上が居住用
中古住宅の追加要件昭和57年1月1日以後に建築(新耐震基準適合)
増改築の工事費100万円以上

💡 実務のポイント

マンションの場合、パンフレットに記載される「専有面積」と登記簿上の「床面積」は異なります。パンフレットは壁芯面積(壁の中心から測定)、登記簿は内法面積(壁の内側から測定)で記載されるため、登記簿上の面積は数㎡小さくなるのが一般的です。40㎡ギリギリのマンションは登記簿上40㎡未満になる可能性があるため、購入前に必ず登記簿上の面積を確認してください。

省エネ等住宅の基準|建築時期で異なる要件

省エネ等住宅かどうかで非課税限度額が500万円変わるため、正確な判定が重要です。令和6年度改正で省エネ等住宅の要件が見直されました。

建築時期 省エネ性能の基準
建築確認が令和6年1月1日以後
かつ建築日が令和6年7月1日以後
断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上
建築確認が令和5年12月31日以前
または建築日が令和6年6月30日以前
断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上

上記の省エネ性能に加え、以下の基準のいずれかに適合している住宅も省エネ等住宅に該当します。

基準の種類 内容
耐震性能耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上 または 免震建築物
バリアフリー性能高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上

省エネ等住宅であることの証明には、住宅性能証明書・建設住宅性能評価書の写し・長期優良住宅認定通知書等の添付が必要です。

💡 実務のポイント

令和7年4月以降に建築確認申請された新築住宅は省エネ基準への適合が義務化されています。このため、今後新築される住宅は多くが省エネ等住宅の基準を満たし、1,000万円の非課税枠が使える可能性が高くなります。ただし、義務化前に建築確認を受けた住宅や中古住宅は500万円の枠になるケースがあるため、必ず証明書を確認してください。

申告手続きの流れ【5ステップ】

この非課税制度は、贈与税がゼロになる場合でも申告が必須です。申告しないと非課税の適用を受けられません。

ステップ 内容 期限
住宅取得等資金の贈与を受ける令和8年12月31日まで
資金の全額を住宅の取得等に充てる贈与の翌年3月15日まで
取得した住宅に居住する贈与の翌年3月15日まで(遅滞なく居住が確実なら可)
必要書類を準備する申告前まで
贈与税の申告書を提出する(非課税の適用を受ける旨を記載)贈与の翌年2月1日〜3月15日

⚠️ 注意:申告しないと非課税にならない

非課税枠の範囲内で贈与税がゼロになる場合でも、贈与税の申告書に非課税の適用を受ける旨を記載して提出する必要があります。申告しなければ通常の贈与として課税されます。「非課税だから何もしなくていい」は最も危険な誤解です。

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初回相談無料。公認会計士・税理士・社労士・行政書士がワンストップで対応します。非課税制度の適用判断・申告書の作成もサポートいたします。

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必要書類一覧

書類 全員共通/該当者のみ
贈与税の申告書(非課税の適用を受ける旨を記載)全員共通
受贈者の戸籍謄本(贈与者との続柄を証明)全員共通
源泉徴収票等(合計所得金額を証明)全員共通(確定申告者は不要)
売買契約書・工事請負契約書の写し全員共通
登記事項証明書(床面積・新築年月日を証明)全員共通
住宅性能証明書・建設住宅性能評価書等省エネ等住宅の場合
増改築等工事証明書増改築の場合

参考: 国税庁「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」等のあらまし

相続時精算課税選択の特例|贈与者が60歳未満でもOK

通常、相続時精算課税は贈与者が60歳以上でなければ選択できませんが、住宅取得等資金の贈与については特例として贈与者の年齢要件が撤廃されます(令和8年12月31日まで)。

項目 通常の精算課税 住宅資金の特例
贈与者の年齢60歳以上年齢制限なし
特別控除累計2,500万円累計2,500万円(変更なし)
基礎控除(令和6年〜)年110万円年110万円(変更なし)

参考: 国税庁「No.4503 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」

この特例を使えば、たとえば55歳の父からの住宅取得資金の贈与に精算課税を選択し、非課税制度(最大1,000万円)+精算課税の基礎控除(110万円)+特別控除(2,500万円)=最大3,610万円まで贈与税ゼロで資金援助を受けられます。

💡 実務のポイント

住宅資金の特例で精算課税を選択すると、その贈与者からの贈与は以後すべて精算課税になります(暦年課税に戻れません)。55歳の父から住宅資金の特例で精算課税を選んだ場合、父が長生きすると暦年課税で長期贈与した方が有利だったケースもあり得ます。住宅資金だけの非課税制度+暦年課税の基礎控除(合計1,110万円)で足りるなら、精算課税を選択しない方が将来の選択肢を残せます。

翌年3月15日までに居住できない場合の対処法

住宅の完成が遅れて翌年3月15日までに居住できないケースは実務でよくあります。この場合の取扱いを確認しましょう。

状況 取扱い
翌年3月15日までに住宅が完成し居住した通常通り非課税の適用を受けられる
翌年3月15日時点で棟上げが完了している(未完成)非課税の適用を受けて申告できる。ただし翌年12月31日までに居住が必要
翌年3月15日時点で棟上げも完了していない非課税の適用を受けられない
翌年12月31日までに居住できなかった非課税の適用が取り消される(修正申告が必要)

注意点と失敗パターン5選

失敗①:申告を忘れて非課税が適用されなかった

父から800万円の住宅取得資金を受け取り、「非課税だから申告は不要」と思い込んで申告しなかったケース。後日、税務署から「贈与税の無申告」の指摘を受け、贈与税+無申告加算税+延滞税で約140万円の追加負担が発生しました。

失敗②:床面積が40㎡未満で要件を満たさなかった

パンフレットで「42㎡」と表記されていたマンションを購入。しかし登記簿上の内法面積は39.8㎡で、40㎡の要件を満たさず非課税の適用を受けられませんでした。

失敗③:資金を住宅以外に流用した

住宅取得資金として1,000万円を受け取ったが、一部を引越し費用や家具購入に充てたケース。住宅取得等資金は「住宅の対価に充てるための金銭」であり、諸費用には使えません。対価に充てなかった部分は非課税の対象外となります。

失敗④:建築確認時期を確認せず省エネ等住宅の基準を誤認した

令和6年以降に建築確認を受けた住宅で、断熱等性能等級4(旧基準)の証明書を添付して「省エネ等住宅」として申告。しかし令和6年以降は等級5以上が必要で、500万円の非課税枠しか適用されず、差額について贈与税が発生しました。

失敗⑤:配偶者の父母からの贈与に適用しようとした

夫が義父(妻の父)から住宅取得資金500万円を受け取ったが、義父は夫の「直系尊属」に該当しないため非課税の適用を受けられませんでした。妻名義で受け取り、住宅の持分を妻に設定する必要がありました。

住宅購入パターン別の非課税枠活用シミュレーション

📐 シミュレーション共通前提

  • 受贈者:30歳、合計所得1,000万円以下
  • 贈与者:父(62歳)
  • 贈与額:2,000万円
住宅の種類 制度の組み合わせ 非課税額 贈与税額
省エネ等住宅(新築)非課税1,000万+暦年110万1,110万円約112万円
非課税1,000万+精算課税110万+特別控除890万2,000万円0円
一般住宅(中古)非課税500万+暦年110万610万円約282万円
非課税500万+精算課税110万+特別控除1,390万2,000万円0円

※概算値です。暦年課税は特例税率で計算。精算課税は相続時の持ち戻しあり。個別の状況により異なります。

贈与税の基本的な計算方法については「贈与税とは?税率・計算方法・非課税枠をわかりやすく解説」をご覧ください。相続税の計算方法は「相続税の計算方法|基礎控除・税率・早見表でわかりやすく解説」で解説しています。

よくある質問(FAQ)

住宅取得等資金の非課税は令和8年12月31日で終了しますか?
現行法では令和8年12月31日までの贈与が対象です。過去にも期限延長が繰り返されてきましたが、今後の延長は未定です。制度の利用を検討している方は、期限内に贈与を受けることをおすすめします。
両親それぞれから住宅取得資金を受け取った場合、非課税枠は2倍になりますか?
なりません。非課税限度額は受贈者1人あたりの累計額です。父から500万円、母から500万円を受け取っても、省エネ等住宅の非課税枠は合計で1,000万円です。
土地だけの購入に住宅取得等資金の非課税を使えますか?
土地だけの取得には原則として使えません。住宅の新築とともにする敷地の取得、または住宅の新築に先行する敷地の取得の場合に限り、土地の取得も対象になります。土地を先に買ってから住宅を建てる場合は、住宅の新築が翌年3月15日までに棟上げされている必要があります。
中古マンションの購入にも非課税制度は使えますか?
使えます。ただし、中古住宅の場合は昭和57年1月1日以後に建築された住宅(新耐震基準適合)であることが追加要件です。床面積が登記簿上40㎡以上240㎡以下であることも必要です。
住宅ローンの返済資金に充てるための贈与にも非課税は使えますか?
使えません。この非課税制度は「住宅の新築・取得・増改築等の対価に充てるための金銭」が対象です。既存のローン返済資金は対象外です。
配偶者の親から住宅資金の贈与を受けた場合はどうなりますか?
配偶者の親は「直系尊属」に該当しないため、この非課税制度は適用できません。配偶者本人が受贈者となり、住宅の持分を持つ形にすれば配偶者の親からの贈与に適用できます。
非課税制度と相続時精算課税を併用する場合、届出は両方必要ですか?
はい。非課税制度の適用を受けるための申告書と、相続時精算課税選択届出書の両方を提出する必要があります。どちらか一方が欠けると、その制度の適用を受けられません。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 省エネ等住宅なら最大1,000万円、一般住宅なら最大500万円の非課税枠
  • 暦年課税と併用で最大1,110万円、精算課税と併用で最大3,610万円まで非課税にできる
  • 適用期限は令和8年12月31日までの贈与。贈与税がゼロでも申告は必須
  • 省エネ等住宅の基準は建築確認時期で異なる。令和6年以降は等級5以上かつ等級6以上が必要
  • 住宅資金の特例なら贈与者が60歳未満でも精算課税を選択可能(ただし暦年課税に戻れない点は同じ)
  • 翌年3月15日までに居住が必要。棟上げ完了なら翌年12月31日まで猶予あり
  • 配偶者の親からの贈与は適用不可。床面積は登記簿上の面積で判断

住宅取得等資金の非課税制度は非常に有利な制度ですが、要件が細かく期限も厳格です。適用を受けるかどうか迷ったら、税理士に相談して要件の充足と最適な制度の組み合わせを確認してください。

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