顧問税理士の費用相場|月額顧問料・決算料・記帳代行料を売上規模別に解説

顧問税理士の費用相場|月額顧問料・決算料・記帳代行料を売上規模別に解説
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号
年間100社以上の法人決算・会社設立・税務調査対応を支援。

顧問税理士の費用が適正かどうか知りたい法人経営者に向けて、月額顧問料・決算料・記帳代行料の相場を売上規模別に一覧表で解説します。この記事を読めば、自社の年間トータルコストを試算し、見積もりの妥当性を判断できます。

🏆 結論:法人の顧問税理士の費用は年間36万〜150万円が相場

法人の顧問税理士にかかる年間費用は、月額顧問料+決算料+オプション料の合計で、年商1,000万円未満なら年間36万〜50万円、年商1億〜5億円なら年間80万〜150万円が相場です。費用を左右する3大要因は「売上規模」「記帳代行の有無」「訪問頻度」です。自社に合った費用感を把握するには、この3つの要因を調整してトータルコストをシミュレーションすることが重要です。

法人の顧問税理士の費用構成|3つの料金要素

顧問税理士の費用は、大きく3つの要素で構成されています。見積もりを比較する際は、この3要素がそれぞれいくらなのかを確認することが重要です。

料金要素 内容 支払い頻度
月額顧問料月次の記帳チェック、税務相談、面談、試算表の作成など毎月
決算料(申告料)決算書の作成、法人税・消費税の確定申告書の作成・提出年1回
オプション料記帳代行、年末調整、給与計算、税務調査立会いなど利用時

実務では、「月額顧問料だけ見て安いと思ったら、決算料が高額だった」というケースが少なくありません。年間トータルコストで比較する習慣をつけましょう。

売上規模別の費用相場一覧表【法人】

法人の売上規模別に、月額顧問料・決算料・年間トータルの目安を一覧表にまとめました。これは年間100社以上の顧問契約を通じた実感値と、業界の一般的な相場を組み合わせた数値です。

売上規模 月額顧問料 決算料 年間トータル
年商1,000万円未満1.5万〜2.5万円10万〜15万円28万〜45万円
年商1,000万〜3,000万円2万〜3.5万円12万〜20万円36万〜62万円
年商3,000万〜5,000万円2.5万〜4万円15万〜25万円45万〜73万円
年商5,000万〜1億円3万〜5万円18万〜30万円54万〜90万円
年商1億〜3億円4万〜7万円25万〜40万円73万〜124万円
年商3億〜5億円5万〜8万円30万〜50万円90万〜146万円
年商5億円以上8万円〜50万円〜146万円〜

※記帳代行・年末調整などのオプション料は含みません。消費税申告がある場合は決算料に5万〜10万円程度が加算されるのが一般的です。

💡 実務のポイント

決算料は「月額顧問料の4〜6ヶ月分」に設定している事務所が多いです。月額3万円の事務所であれば決算料は12万〜18万円が目安です。ただし、消費税の申告が別料金になっている事務所もあるため、見積もり時に必ず確認しましょう。

売上規模×サービス内容のマトリクス表

同じ売上規模でも、依頼するサービスの内容によって年間コストは大きく変わります。以下のマトリクス表で、自社に必要なサービスレベルと費用感を把握しましょう。

⭐ 中小企業に最も多いのは「Bプラン」
プラン 含まれるサービス 年商1,000万円 年商3,000万円 年商1億円 年商3億円
A: 最小限決算申告のみ(年1回)10万〜15万15万〜25万25万〜40万40万〜60万
B: 標準月次チェック+決算+税務相談36万〜50万50万〜70万70万〜110万100万〜150万
C: フルサポートB+記帳代行+給与計算+年末調整50万〜75万75万〜100万110万〜170万160万〜250万

※年間トータル費用(税別)の概算です。事務所によって異なります。

費用を左右する3大要因と調整シミュレーション

顧問税理士の費用は「売上規模」だけでなく、以下の3つの要因で大きく変動します。この3要因を理解すれば、見積もりの交渉ポイントが明確になります。

要因1:記帳代行の有無

記帳代行(領収書や請求書から仕訳を作成する作業)を税理士に依頼するかどうかで、月額1万〜3万円の差が出ます。クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)を使って自社で記帳する「自計化」に切り替えれば、年間12万〜36万円のコスト削減が可能です。

要因2:訪問・面談の頻度

税理士の訪問頻度を調整することで費用を削減できます。

面談頻度 月額への影響 おすすめの企業
毎月対面訪問基準額年商5,000万円以上、経営相談が多い企業
毎月オンライン面談▲5,000〜1万円遠隔地の企業、効率重視の企業
四半期に1回訪問▲1万〜2万円経理担当者がいる年商3,000万円以上の企業
決算時のみ▲2万〜3万円自計化済み、税務相談が少ない小規模企業

要因3:仕訳数(取引量)

月間の仕訳数が多いほど税理士の作業量が増えるため、費用が上がります。飲食業や小売業のように日次で多くの取引が発生する業種は、同じ売上規模でも費用が高くなる傾向があります。

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年間トータルコストのシミュレーション【3パターン】

具体的な数値でイメージしていただくために、3パターンの年間トータルコストを試算しました。

📐 シミュレーション前提条件

  • いずれも法人、従業員5名、消費税の課税事業者
  • 年末調整は5名分、給与計算は月額
費用項目 パターンA
年商2,000万円
自計化
パターンB
年商5,000万円
記帳代行あり
パターンC
年商2億円
フルサポート
月額顧問料(×12ヶ月)24万円
(2万×12)
42万円
(3.5万×12)
72万円
(6万×12)
決算料12万円20万円35万円
消費税申告料5万円8万円10万円
記帳代行(月額×12)0円18万円
(1.5万×12)
30万円
(2.5万×12)
年末調整(5名)2万円2万円2万円
年間トータル43万円90万円149万円

※概算値です。個別の状況により異なります。正確な見積もりは税理士にご相談ください。

業種別の追加費用パターン

売上規模が同じでも、業種によって税理士の作業負荷は大きく異なります。以下に、業種特有の追加費用パターンをまとめました。

業種 費用が上がりやすい理由 追加費用の目安
飲食業日次の現金売上・仕入が多く仕訳数が膨大月+1万〜2万円
建設業工事進行基準の会計処理、許認可関連の届出月+1万〜3万円
不動産業物件ごとの収支管理、消費税の課税・非課税区分が複雑月+1万〜2万円
EC・ネットショップ多数の決済手段、ポイント処理、在庫管理月+5,000〜1.5万円
IT・SaaS売上計上基準の判断、ストックオプションの税務設計月+5,000〜2万円
医療法人特殊な税制、行政報告、MS法人との取引月+2万〜5万円

オプション料金の相場一覧

月額顧問料や決算料に含まれないことが多いオプション業務の相場を一覧でまとめました。見積もり時に漏れがないかチェックしてください。

オプション業務 費用相場 備考
記帳代行月額1万〜3万円仕訳数で変動
年末調整基本料1万円+1人1,000〜3,000円従業員数で変動
給与計算1人月額1,000〜3,000円社労士に依頼する方が安い場合も
消費税申告5万〜10万円決算料に含む事務所もあり
税務調査立会い1日3万〜5万円通常2〜3日
法定調書合計表1万〜3万円年末調整とセットの場合もあり
償却資産税申告1万〜3万円固定資産が多い場合は高め

税理士報酬の勘定科目と源泉徴収の処理方法については「税理士報酬の勘定科目と源泉徴収」で詳しく解説しています。

費用を適正に抑える3つの方法

「安ければいい」ではなく、「必要なサービスを適正な価格で受ける」ことが重要です。以下の3つの方法で、サービスの質を落とさずに費用を最適化できます。

方法1:自計化(クラウド会計ソフトの導入)

freeeやマネーフォワード クラウドなどのクラウド会計ソフトを導入し、日々の仕訳入力を自社で行うことで記帳代行費用を削減できます。銀行口座やクレジットカードとの自動連携を活用すれば、経理未経験者でも対応可能です。

方法2:面談頻度の見直し

毎月の対面訪問をオンライン面談に切り替えるだけでも月額5,000〜1万円の削減が可能です。ただし、「面談を減らす=サービスの質が下がる」とは限りません。チャットやメールで日常的に情報共有する体制を作れば、面談頻度を下げても質は維持できます。

方法3:複数の見積もりを取る

最低3社から見積もりを取ることで、自社の適正価格が把握できます。見積もりの比較ポイントは後述の「見積もり時のチェックリスト」を活用してください。

⚠️ 注意

顧問料を大幅に値切ると、訪問回数の削減やレスポンスの遅延につながるリスクがあります。月1万円の値引きで月次面談がなくなり、年間数十万円の節税機会を逃すケースもあります。「何を削るか」を税理士と率直に相談しましょう。税理士との上手な付き合い方については「税理士との上手な付き合い方」をご参照ください。

見積もり時のチェックリスト【8項目】

税理士に見積もりを依頼する際、以下の8項目を確認すれば、後から「聞いてなかった」というトラブルを防げます。

# 確認項目 確認すべき理由
1月額顧問料に何が含まれるか「相談し放題」なのか「月○回まで」なのかで実質的な費用が変わる
2決算料に消費税申告が含まれるか別料金の場合、5万〜10万円の追加が発生する
3年末調整・法定調書の費用従業員がいる場合は毎年発生する固定費
4税務調査の立会い費用顧問料に含む事務所と別途請求の事務所がある
5訪問頻度と面談方法対面/オンラインの選択肢と頻度で費用が変わる
6担当者は誰か代表税理士が直接担当か、スタッフが担当かで提案の質が異なる
7売上増加時の料金改定ルール年商が増えたとき、いつ・いくら値上げになるかを事前に確認
8契約解除の条件解約の通知期間、データ引き渡しの条件を確認

顧問税理士の費用相場と選び方の総合的なガイドは「顧問税理士の費用相場と選び方」をご参照ください。確定申告の費用については「確定申告の税理士費用」も参考になります。

よくある質問(FAQ)

顧問税理士の費用は経費として計上できますか?
はい、顧問税理士への報酬は「支払手数料」または「顧問料」の勘定科目で経費(損金)に計上できます。ただし、税理士報酬からは源泉所得税(10.21%)を天引きして支払う必要があります。詳しい経理処理は「税理士報酬の勘定科目と源泉徴収」をご参照ください。
月額顧問料が相場より安い事務所は避けるべきですか?
一概に避けるべきとは言えませんが、安さには理由があります。よくあるケースとしては、担当者が経験の浅いスタッフ、月次面談なし、記帳チェックが年1回のみ、などがあります。費用だけでなく「何が含まれるか」をサービス内容で比較しましょう。
法人設立したばかりですが、最初から顧問契約は必要ですか?
売上がまだ少ない創業直後は、決算申告のみのスポット契約(Aプラン相当)で始めるのも選択肢です。ただし、消費税の届出判断や青色申告の特典(少額減価償却資産の特例:40万円未満が即時償却可能など)は設立初年度に対応が必要な項目も多いため、最低でも設立時に1度は税理士に相談しましょう。
税理士と公認会計士、どちらに依頼すべきですか?
法人の税務申告は税理士の独占業務です。ただし、公認会計士資格を持つ税理士であれば、税務申告に加えて財務分析や経営アドバイスも可能です。年商1億円を超えて財務戦略が重要になってきたら、ダブルライセンスの専門家を検討するのがおすすめです。詳しくは「税理士と公認会計士の違い」をご参照ください。
顧問税理士を変更したい場合、費用はかかりますか?
税理士の変更自体に費用はかかりませんが、データ移行の手間が発生します。また、決算の途中で変更すると追加の費用が発生するケースがあるため、決算が終わったタイミングで切り替えるのがスムーズです。
税理士の顧問料は値引き交渉できますか?
交渉は可能ですが、単純な値引きよりも「サービス内容の調整」で費用を下げるほうが建設的です。たとえば、記帳を自社で行う、訪問をオンラインに切り替える、といった調整で月額1万〜3万円の削減が可能です。値引きを強く求めると、サービスの質低下につながるリスクがあります。
4士業のワンストップ事務所は費用が高くなりますか?
一概に高くなるとは言えません。むしろ、税務・労務・行政手続きをバラバラの事務所に依頼する場合の合計費用より、ワンストップ事務所の方がトータルでは安くなるケースもあります。情報共有の効率が上がることで、各専門家の作業時間が短縮されるためです。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 顧問税理士の費用は「月額顧問料」「決算料」「オプション料」の3要素で構成される
  • 法人の年間トータルコストは年商1,000万円未満で36万〜50万円、年商1億〜3億円で73万〜124万円が相場
  • 費用を左右する3大要因は「記帳代行の有無」「面談頻度」「仕訳数(取引量)」
  • 自計化と面談頻度の見直しで年間12万〜36万円のコスト削減が可能
  • 見積もり時は「消費税申告が含まれるか」「税務調査立会いの費用」など8項目を必ず確認
  • 業種によって追加費用が発生する(飲食業・建設業・不動産業など)
  • 「安さ」より「年間トータルコスト×サービス内容」で比較する

顧問税理士の費用は「コスト」ではなく「投資」です。適正な費用で質の高いサービスを受けることが、結果的に節税効果や経営判断のスピード向上につながります。まずは複数の事務所から見積もりを取り、この記事のチェックリストを使って比較してみてください。

参考: 国税庁「税理士制度の概要」

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