【4士業ワンストップ解説】国内源泉所得17種類完全ガイド|所得税法161条の判定基準と源泉徴収税率早見表

【4士業ワンストップ解説】国内源泉所得17種類完全ガイド|所得税法161条の判定基準と源泉徴収税率早見表
鮎澤パートナーズ|公認会計士・税理士・社会保険労務士・行政書士
公認会計士(第47928号)・税理士(第159175号)・社会保険労務士(第13240067号)・行政書士(第24061284号)が監修。年間100社以上の法人決算・国際税務を支援。
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国内源泉所得17種類完全ガイド|所得税法161条の判定基準と源泉徴収税率早見表

「この支払いは非居住者に対する源泉徴収が必要なのか?」——海外取引や外国人材活用が当たり前の時代、経理担当者が日常的に直面する判断です。所得税法第161条第1項に列挙された国内源泉所得17種類すべてを、1号から17号まで判定基準・源泉徴収税率・典型例とともに解説。判定で迷ったときに開く「実務リファレンス」として活用してください。

🏆 結論:国内源泉所得は「限定列挙の17種類」のみ課税。該当しなければ非居住者には課税されない

所得税法第161条第1項は、非居住者・外国法人に対して課税される「国内源泉所得」を17種類に限定列挙しています。第1号のPE帰属所得(事業所得)から第17号の「その他の所得」まで、それぞれ判定基準と源泉徴収税率が異なります。基本税率は20.42%(所得税20% + 復興特別所得税0.42%)、利子・上場配当等は15.315%、不動産譲渡対価は10.21%が一般的。租税条約により軽減・免除が可能なため、実際の源泉徴収額は条約適用後の税率で算定します。この17種類のいずれにも該当しない所得は、たとえ日本国内で発生していても非居住者・外国法人には課税されません。

国内源泉所得17種類を「限定列挙」で押さえる重要性

非居住者・外国法人に対する課税の対象範囲は、所得税法第161条第1項各号に列挙された17種類の所得に限定されます。これは「限定列挙」と呼ばれる立法形式で、列挙されていない所得は課税対象外となります。

なお、非居住者課税の全体像(4段階判定フロー:居住性→国内源泉所得→PE→租税条約)については、ピラー記事「非居住者に対する課税のしくみ|国内源泉所得・PE・源泉徴収の全体像と判定フロー」で解説しています。本記事は、17種類の各号を実務目線で深掘りする専門子記事です。

17種類の全体マップ

所得の種類 源泉徴収税率 区分
1号PE帰属所得(事業所得)原則なし(総合課税)事業
2号国内資産の運用・保有所得原則なし資産
3号国内資産の譲渡所得不動産関連10.21%資産
4号組合契約に基づく事業利益配分20.42%事業
5号国内不動産の譲渡対価10.21%資産
6号人的役務提供事業の対価20.42%役務
7号国内不動産の賃貸料等20.42%資産
8号利子等15.315%投資
9号配当等上場15.315%/非上場20.42%投資
10号貸付金利子20.42%投資
11号使用料等(ロイヤルティ)20.42%知財
12号給与・報酬・公的年金等20.42%役務
13号事業の広告宣伝のための賞金20.42%その他
14号生命保険契約に基づく年金等20.42%投資
15号定期積金の給付補てん金等15.315%投資
16号匿名組合契約等の利益分配20.42%投資
17号その他の国内源泉所得案件ごとに判定その他

💡 実務のポイント|「該当しない=課税なし」が大原則

国内源泉所得は限定列挙です。例えば、海外に居住する個人が日本のクラウドファンディングへ寄付して見返りに非金銭的サービスを受けた場合や、海外法人が日本の暗号資産取引所で行うトレーディングの利益(PE非帰属)等、17種類のいずれにも該当しない取引から生じる経済的利益は、日本では非居住者に対する課税の対象外です。実務では「課税対象か」より「どの号に該当するか」を先に判定するのが正しい順序です。

1号:PE帰属所得(事業所得)

恒久的施設(PE)を通じて事業を行う非居住者・外国法人について、そのPEに帰属する所得を国内源泉所得として課税します(所得税法161条1項1号、法人税法138条1項1号)。

主な特徴

項目内容
課税方法総合課税(申告納税)
源泉徴収原則として源泉徴収対象外(他の号該当の場合は除く)
適用法理独立企業原則(AOA:Authorized OECD Approach)
申告非居住者の確定申告(または外国法人の法人税申告)

「PEに帰属する」とは

令和元年改正後の現行法では、PEを独立した事業者であるとみなし、PEが果たす機能・使用する資産・本店との内部取引などを総合判断して、PEに帰属する所得を計算します。

典型例

  • 外国法人の日本支店が日本国内で行う販売活動の所得
  • 外国法人の建設PEが日本国内で行う建設工事の利益
  • 代理人PEを通じて日本国内で行う事業の利益

PEの詳細は、関連子記事「恒久的施設PE判定基準」(公開予定)で深掘り解説します。

2号:国内資産の運用・保有所得

国内にある資産の運用または保有により生じる所得です(8号〜16号該当のものを除く)。

主な対象

  • 国内資産の所有者として得る経済的利益
  • 国内資産から生じる果実(PE帰属でない部分)
  • 配当・利子・使用料等(8号〜16号)以外の運用・保有所得

8号〜16号に該当する所得(利子・配当・使用料等)はそれぞれの号で課税されるため、2号からは除外されます。実務上、2号単独で問題となるケースは少なく、他の号への該当性を先に検討するのが順序です。

3号:国内資産の譲渡所得

国内にある資産の譲渡により生ずる所得です(5号の不動産譲渡対価とは別軸)。

主な対象(所得税法施行令281条)

対象資産内容
国内不動産の譲渡土地・建物の譲渡
不動産の上に存する権利借地権・地上権等
国内山林の伐採・譲渡山林所得関連
不動産関連法人株式株式の50%超が国内不動産で構成される法人の株式
事業譲渡類似株式一定の要件下の内国法人株式
国内ゴルフ会員権関連株式ゴルフ場の株式・出資
国内ゴルフ場施設利用権ゴルフ会員権の譲渡
国内滞在中の資産譲渡非居住者が国内滞在中に行う資産譲渡

課税方法

  • 原則として総合課税(または分離課税)
  • 不動産関連は買主による10.21%の源泉徴収(5号と重複)

4号:組合契約に基づく事業利益の配分

民法上の組合契約(民法667条1項)、投資事業有限責任組合契約、有限責任事業組合契約に基づいて非居住者がPEを通じて行う事業から生ずる利益のうち、組合契約により配分を受けるものです。

主な特徴

項目内容
源泉徴収税率20.42%
課税方法源泉徴収+総合課税
適用シーンベンチャー投資・不動産投資事業組合等

実務での重要性

ベンチャーキャピタル・不動産投資・プライベートエクイティでは、組合契約形式(LP・LLP等)で投資ストラクチャーを組むことが多く、海外投資家からの出資を受ける場合、4号の源泉徴収が論点となります。

5号:国内不動産の譲渡対価

国内にある土地・土地の上に存する権利・建物およびその附属設備・構築物の譲渡による対価です。3号の譲渡所得とは異なり、譲渡対価そのもの(含み益ではなく総額)が源泉徴収対象となります。

主な特徴

項目内容
源泉徴収税率10.21%
源泉徴収義務者買主(個人・法人問わず)
例外1億円以下の譲渡対価で買主が個人かつ自己居住用の場合は不要

計算例

🧮 シミュレーション|海外個人から国内不動産2億円を購入

譲渡対価:2億円
源泉徴収(買主が天引き):2億円 × 10.21% = 2,042万円
売主への支払(手取り):1億7,958万円
売主は後日、確定申告で実際の譲渡所得税を計算し、源泉徴収分との差額を精算(還付・追加納税)

⚠️ 買主が源泉徴収義務を怠るリスク

海外居住者からの不動産購入時、買主に10.21%の源泉徴収義務があることを知らず、譲渡対価を満額支払ってしまうケースが頻発します。後日、税務署から買主に「源泉徴収義務違反」として10.21%の納付+不納付加算税が課されます。海外居住者との不動産取引前に、必ず売主の居住性を確認し、源泉徴収する仕組みを契約段階で構築する必要があります。

6号:人的役務提供事業の対価

国内において人的役務の提供を主たる内容とする事業を行う者が受ける対価です。

主な対象

対象
芸能人・スポーツ選手等の役務提供事業海外プロダクションが芸能人を日本のイベントに派遣
自由職業者の役務提供事業海外コンサルタント会社の派遣事業
機械設備の技術指導等外国メーカーが派遣する技術者

個人への直接支払いとの区別

区分対象適用号
6号人的役務提供「事業」を行う法人等への対価6号(事業として提供)
12号個人への給与・報酬の直接支払12号(給与・報酬)

源泉徴収税率は両方とも20.42%ですが、課税法理が異なります。

7号:国内不動産の賃貸料等

国内不動産の賃貸料・地上権の設定対価・採石権の設定対価・船舶や航空機の貸付料等です。

主な特徴

項目内容
源泉徴収税率20.42%
源泉徴収義務者賃借人(法人・個人事業主)
例外借主が個人かつ自己居住用の場合は不要

計算例

🧮 シミュレーション|海外不動産オーナーから事務所を借りる

月額家賃:50万円
源泉徴収(借主の法人が天引き):50万円 × 20.42% = 10万2,100円
大家への支払(手取り):39万7,900円
大家は確定申告で実際の不動産所得税を計算し、源泉徴収分との差額を精算

8号:利子等

日本国の国債・地方債・内国法人の発行する債券の利子、国内営業所に預けられた預貯金の利子、国内営業所に信託された合同運用信託等の収益分配です。

主な特徴

項目内容
源泉徴収税率15.315%(所得税15% + 復興税0.315%)
課税方法源泉分離課税(PE非帰属の場合)
租税条約多くの条約で10%等に軽減

国際課税の実務での重要性

外国の金融機関や個人投資家が日本の国債・社債に投資する場合、利子に15.315%の源泉徴収が課されます。租税条約により10%等に軽減できます。

民間国外債の利子非課税

非居住者・外国法人が受け取る、日本の居住者・内国法人が発行する民間国外債(外貨建債券等)の利子は、一定要件下で非課税となります(租税特別措置法6条)。

9号:配当等

剰余金の配当・利益の配当・剰余金の分配・基金利息等です。

主な特徴

項目内容
上場株式等の配当15.315%(所得税15% + 復興税0.315%)
非上場株式の配当20.42%
課税方法源泉分離課税(PE非帰属の場合)

租税条約による軽減

親会社配当(持株25%以上)一般配当
日米租税条約0%(一定要件下)10%
日英租税条約0%(一定要件下)10%
日独租税条約0%(一定要件下)15%
日中租税条約10%10%

親子会社配当の免除制度

日米租税条約等では、親会社(持株25%以上を6か月以上保有等)への配当について源泉徴収が免除されます。グローバル企業のグループ内配当の重要な節税ツールです。

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10号:貸付金利子

国内で業務を行う者に対する貸付金の利子(その業務に係るもの)です。

主な特徴

項目内容
源泉徴収税率20.42%
対象法人・個人事業主への貸付金利子
含まれないもの個人の住宅ローン等の生活上の借入金利子

親子会社間の貸付金利子

外国親会社から日本子会社への貸付に係る利子は、20.42%の源泉徴収対象です。租税条約により10%等に軽減できます。

国際的なグループファイナンスの設計では、この貸付金利子の課税が大きな論点となります。

11号:使用料等(ロイヤルティ)

国内で業務を行う者から支払を受ける、工業所有権・著作権・ノウハウ・機械装置・設備等の使用料です。

主な対象

種類
工業所有権特許権・商標権・意匠権・実用新案権
著作権出版・音楽・映画・ソフトウェア等の著作権
ノウハウ製造技術・営業ノウハウ等
機械装置・設備リース・賃借料等

主な特徴

項目内容
源泉徴収税率20.42%
課税方法源泉分離課税(PE非帰属の場合)
租税条約多くの条約で軽減(米英独等は0%)

国際課税の最大の論点

使用料は、グローバル企業のIPホールディング戦略・タックスプランニングの中核です。

📊 公認会計士の視点|使用料の節税効果

日本子会社が米国親会社にソフトウェアライセンス料1億円を支払う場合、国内法では20.42%(2,042万円)の源泉徴収が必要ですが、日米租税条約により使用料は0%(免除)となります。「租税条約に関する届出書」を支払日前日までに提出することで、源泉徴収なしで全額を米国親会社に送金できます。届出書の提出忘れは大きな実務リスクです。

12号:給与・報酬・公的年金等

国内において行う勤務・人的役務の提供に基因する給与・報酬、退職手当等、公的年金等です。

主な対象

種類
給与非居住者の国内勤務に対する給与
報酬自由職業者の役務提供報酬
退職手当等退職金のうち国内勤務期間に対応する部分
公的年金国民年金・厚生年金等

主な特徴

項目内容
源泉徴収税率20.42%
課税方法源泉分離課税(PE非帰属の場合)
例外短期滞在者免税(183日ルール)

役員と使用人の特殊扱い

役員と使用人で取扱いが異なります。

区分取扱い
役員勤務地に関係なく国内源泉所得(海外勤務でも対象)
使用人勤務地ベース判定(海外勤務なら課税なし)

詳細は関連子記事「非居住者への支払いの源泉徴収完全ガイド」で解説しています。

13号:事業の広告宣伝のための賞金

国内において事業の広告宣伝のために支払われる賞金品です。

主な対象

  • 懸賞応募に対する賞金
  • キャンペーンの賞品
  • 販促イベントの賞金

主な特徴

項目内容
源泉徴収税率20.42%
控除50万円控除あり(50万円超部分のみが課税対象)

馬主の競馬賞金の特殊性

馬主が受ける競馬の賞金は、馬主が法人の場合でも国内源泉所得に該当します。これは13号の例外的取扱いです。

14号:生命保険契約に基づく年金等

国内営業所等を通じて締結された生命保険・損害保険契約に基づき支払われる年金等です。

主な特徴

項目内容
源泉徴収税率20.42%
課税方法源泉分離課税

15号:定期積金の給付補てん金等

国内の金融機関で締結された定期積金等の給付補てん金です。

主な特徴

項目内容
源泉徴収税率15.315%
課税方法源泉分離課税

利子等と類似する性質を持つため、15.315%の税率が適用されます。

16号:匿名組合契約等の利益分配

匿名組合契約・任意組合契約等に基づく利益の分配です。

主な特徴

項目内容
源泉徴収税率20.42%
課税方法源泉分離課税

投資ファンドへの活用

匿名組合(TK)スキームは、不動産投資・プライベートエクイティでよく利用されますが、海外投資家への利益分配は16号で20.42%の源泉徴収対象となります。

17号:その他の国内源泉所得

1号〜16号に該当しない、国内において事業を行う者から受ける給付その他の経済的利益等です。

主な対象(所得税法施行令289条)

  • 上記の各号に該当しない、国内で発生する所得
  • ケース・バイ・ケースで判定

実務的にはあまり多用されない補足的な規定ですが、新しい取引形態が登場した場合の受け皿となります。

17号の例で見る|カバー外の所得の判定

17号は1〜16号に該当しない補足規定ですが、それでも国内源泉所得に該当しない取引が存在します。

17号にも該当しない典型例

取引判定
海外完結のソフトウェア開発業務(日本法人の発注先が海外法人)❌ 該当せず
海外で完結する翻訳サービス❌ 該当せず
暗号資産取引所での非居住者のトレーディング利益(PE非帰属)❌ 該当せず
日本の証券市場での非居住者の上場株式譲渡益(特殊な例外を除く)❌ 該当せず

これらは限定列挙の17種類のいずれにも該当しないため、非居住者・外国法人には日本での課税は原則として発生しません。

PE有無別の課税方法サマリー

各号の所得について、PE有無による課税方法の違いを整理します。

所得(号) PE有り・帰属 PE有り・非帰属 PE無し
1号 PE帰属事業所得総合課税対象外対象外
5号 不動産譲渡対価源泉徴収+総合課税源泉徴収(10.21%)源泉徴収(10.21%)
7号 不動産賃貸料源泉徴収+総合課税源泉徴収(20.42%)源泉徴収(20.42%)
8号 利子等源泉徴収+総合課税源泉分離(15.315%)源泉分離(15.315%)
9号 配当等源泉徴収+総合課税源泉分離(15.315/20.42%)源泉分離(15.315/20.42%)
11号 使用料源泉徴収+総合課税源泉分離(20.42%)源泉分離(20.42%)
12号 給与・報酬源泉徴収+総合課税源泉分離(20.42%)源泉分離(20.42%)

源泉徴収義務者の判定|「誰が天引きするか」

国内源泉所得に該当する場合、源泉徴収義務は支払者にあります。

源泉徴収義務者の整理

所得(号)源泉徴収義務者
5号 不動産譲渡対価買主(個人・法人問わず)
7号 不動産賃貸料賃借人(個人・法人問わず)
8号 利子等利子を支払う金融機関等
9号 配当等配当を支払う法人
10号 貸付金利子利子を支払う者
11号 使用料使用料を支払う者
12号 給与・報酬給与・報酬を支払う者

源泉徴収義務違反は買主・支払者に重い責任が課されます。海外居住者との取引時は、必ず居住性を確認することが必須です。

租税条約による軽減・免除

国内源泉所得に該当しても、租税条約により軽減・免除される場合があります。

主要国別の使用料・配当・利子の税率

配当(一般) 利子 使用料
日本国内法20.42%15.315/20.42%20.42%
米国10%10%0%
英国10%10%0%
ドイツ15%10%0%
中国10%10%10%
シンガポール15%10%10%

届出書の提出期限

「租税条約に関する届出書」は、支払日の前日までに支払者の所轄税務署長に提出する必要があります。提出が遅れると、国内法税率で源泉徴収後の還付請求が必要となります。

よくある誤解10選|現場で頻発するミス

国際課税の現場で頻発する誤解を10項目で整理します。

1. 「業務委託料は限定列挙にない」→ 部分的に誤り

純粋なコンサルティングや開発業務は限定列挙外ですが、人的役務提供事業(6号)に該当する場合は対象。実態判定が必要です。

2. 「海外完結の業務は常に課税対象外」→ 部分的に誤り

役員に支払う給与は勤務地に関係なく国内源泉所得(12号)です。使用人の海外勤務分は対象外でも、役員は対象です。

3. 「個人投資家の海外証券取引は非課税」→ ほぼ正しい

PE非帰属の上場株式譲渡益は原則として課税対象外ですが、不動産関連法人株式・事業譲渡類似株式は対象です。

4. 「使用料は常に20.42%」→ 誤り

租税条約により0%(米英独等)に軽減される場合が多数あります。届出書の事前提出が条件です。

5. 「内国法人の社債利子は常に課税」→ 誤り

民間国外債の利子は一定要件下で非課税です(租税特別措置法6条)。

6. 「PEがなければ何も課税されない」→ 誤り

PE非帰属の使用料・配当・利子・給与等は源泉分離課税の対象です。「PEなければ事業所得課税なし」が正確です。

7. 「外国人を採用したら全員非居住者」→ 誤り

国籍ではなく住所・居所で判定します。1年以上の在留資格で来日した外国人は居住者です。

8. 「183日海外にいれば非居住者」→ 誤り

183日は租税条約の短期滞在者免税の基準であり、居住性判定の基準ではありません。

9. 「不動産購入時の源泉徴収は売主の責任」→ 誤り

源泉徴収義務は買主にあります。買主が源泉徴収を怠ると買主の責任です。

10. 「租税条約は自動適用される」→ 誤り

届出書を支払日前日までに提出しないと、国内法税率で源泉徴収する必要があります。

よくある質問(FAQ)

海外フリーランスにWebサイト制作を依頼しました。源泉徴収は必要ですか
業務の遂行地で判定します。海外で業務が完結する(海外サーバーで開発・現地で納品)場合、国内源泉所得に該当せず源泉徴収不要です。一方、来日して国内で業務遂行された部分は12号(給与・報酬)として20.42%の源泉徴収必要。「人的役務提供事業」(6号)に該当する場合は20.42%源泉徴収です。海外フリーランスとの契約段階で、業務遂行地と契約形態を明確化することが重要です。
米国親会社へのソフトウェアライセンス料の源泉徴収はどうなりますか
国内法では11号(使用料)として20.42%の源泉徴収対象ですが、日米租税条約により使用料は0%(免税)に軽減されます。条約適用には「租税条約に関する届出書(様式3)」を支払日の前日までに所轄税務署長に提出する必要があります。届出書を忘れると20.42%の源泉徴収後、還付請求の手続きが必要となり実務上大きな手間が発生します。事前提出を必ず行いましょう。
海外居住の元従業員に退職金を支払います。源泉徴収はどうなりますか
退職金のうち国内勤務期間に対応する部分が国内源泉所得(12号)に該当し、20.42%の源泉徴収対象です。計算式は「退職金 × 国内勤務期間/全勤務期間」で按分します。例えば全勤務30年で5年間海外勤務(25年が国内勤務)の場合、退職金6,000万円なら国内源泉所得は5,000万円(6,000×25/30)で、20.42%の源泉徴収額は約1,021万円です。租税条約により軽減できる場合もあるため、事前確認が必要です。
海外居住者から日本の不動産を購入する場合の源泉徴収は
買主に源泉徴収義務があり、譲渡対価の10.21%を売主への支払時に天引きします(5号)。例えば2億円の不動産購入なら、買主は2,042万円を源泉徴収し、売主には1億7,958万円を支払い。源泉徴収した2,042万円は買主が税務署に納付します。例外として、譲渡対価1億円以下で買主が個人かつ自己居住用の場合は不要です。海外居住者との不動産取引前に、必ず売主の居住性を確認しましょう。
外国法人に支払う技術指導料は何号に該当しますか
技術指導の内容によって異なります。①技術ノウハウの使用許諾(ライセンス)であれば11号(使用料)の20.42%、②外国法人が技術者を派遣して指導する事業であれば6号(人的役務提供事業)の20.42%、③単純なコンサルティング業務で日本国内で完結しないものであれば限定列挙にない可能性。契約書の実態判定が重要です。複数の性質が混在する場合は、契約価額を性質別に区分することが推奨されます。
海外個人投資家から日本の上場株式の譲渡益への課税はありますか
原則として課税対象外です。非居住者・外国法人による日本の上場株式の譲渡益は、限定列挙の17種類に該当しないため非課税です。ただし例外として、①不動産関連法人株式の譲渡(5号関連)、②事業譲渡類似株式の譲渡、③国内滞在中の譲渡、④ゴルフ会員権関連株式の譲渡は課税対象です。海外投資家を呼び込む観点から、上場株式譲渡益の原則非課税は日本の重要な税制特徴です。
国内子会社から海外親会社への配当はどう源泉徴収しますか
国内法では9号で20.42%の源泉徴収対象ですが、租税条約により軽減できます。日米租税条約なら一般10%、親子会社(持株25%以上・6か月以上保有等の要件下)なら0%。日英・日独・日仏も同様の軽減があります。重要なのは、配当決議前に「租税条約に関する届出書(様式1)」を提出すること。配当支払日の前日までに提出すれば軽減税率での源泉徴収が可能です。グループ内配当のキャッシュフロー最適化の重要ツールです。
クロスボーダーeコマースで海外個人から日本の商品を購入された場合の課税は
原則として課税対象外です。海外個人が日本のECサイトから商品を購入する取引は、限定列挙の17種類に該当しません。日本側の販売者には課税関係は生じず、消費税についても輸出免税が適用されます。ただし、デジタルコンテンツ・電子書籍等の「電気通信利用役務の提供」は、消費税法上は別途課税対象となる可能性があります。商品物販と電子サービスで取扱いが異なる点に注意です。
海外の暗号資産取引所での非居住者のトレーディング利益は課税されますか
日本での課税はありません。海外取引所での取引はそもそも日本のPEに帰属しない事業所得であり、国内源泉所得の17種類のいずれにも該当しないため、非居住者には日本で課税されません。ただし、非居住者の居住国(米国・シンガポール等)で課税される可能性はあります。クロスボーダーの暗号資産取引は、各国の課税ルールが急速に変化しており、最新動向を継続的に把握する必要があります。

まとめ|17種類の判定を体系化することが国際課税の第一歩

📋 この記事のポイント

  • 所得税法161条の国内源泉所得は17種類の限定列挙。該当しなければ非居住者には課税なし
  • 1号PE帰属所得、5号不動産譲渡、7号不動産賃貸、8〜10号利子配当、11号使用料、12号給与報酬が実務での主要論点
  • 源泉徴収税率は20.42%が基本、利子・上場配当等は15.315%、不動産譲渡は10.21%
  • PE有無による課税方法の違い:PE非帰属は源泉分離課税が原則
  • 源泉徴収義務者は買主・賃借人・支払者。義務違反は重い責任が伴う
  • 租税条約により軽減・免除が可能(米英独等は使用料0%)。届出書の事前提出が必須
  • 役員給与は勤務地に関係なく国内源泉所得
  • 183日ルールは短期滞在者免税の基準であり、居住性判定の基準ではない

国内源泉所得17種類を体系的に把握することは、国際課税の第一歩です。海外取引や外国人材活用の際、まず本記事の17種類の表で「どの号に該当するか」を判定し、その後で源泉徴収義務・税率・租税条約適用を検討するのが正しい順序です。

判定で迷うケースが多いのは、①使用料か業務委託料か、②役員か使用人か、③日本国内業務か海外完結業務か——の3つの境界です。これらは契約書の実態判定が必要で、税理士・公認会計士への事前相談が安全策となります。

ピラー記事「非居住者に対する課税のしくみ」と併せて、源泉徴収実務は「非居住者への支払いの源泉徴収完全ガイド」もご活用ください。

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