【税理士監修】非居住者への支払いの源泉徴収完全ガイド|20.42%税率・租税条約・海外勤務役員の判定

【税理士監修】非居住者への支払いの源泉徴収完全ガイド|20.42%税率・租税条約・海外勤務役員の判定
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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非居住者への支払いの源泉徴収完全ガイド|20.42%税率・租税条約・海外勤務役員の判定

「海外駐在員の給与は源泉徴収どうする?」「海外フリーランスへの業務委託費は?」「アメリカ在住の役員報酬は20.42%必要?」と悩む経理担当者・経営者に向けて、非居住者への源泉徴収を完全ガイドします。この記事を読めば、給与・報酬・配当・利子・使用料それぞれの税率、租税条約による軽減・免除の手順、海外勤務役員の特殊扱い、183日ルールの短期滞在者免税まで把握できます。1日でも判定を誤ると追徴課税リスクが大きい論点を実務レベルで整理します。

🏆 結論:非居住者は原則20.42%源泉徴収、租税条約届出で軽減・免除可

非居住者(日本に住所がなく1年以上居所もない個人)への国内源泉所得の支払いは、所得税法第212条により原則として20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)の源泉徴収義務があります。源泉徴収のみで日本での課税関係が完了する分離課税で、年末調整・確定申告は不要です(給与等の場合)。重要な特例として、海外勤務の役員報酬は勤務地に関係なく国内源泉所得として20.42%対象となる一方、使用人は勤務地ベース判定で海外勤務なら源泉徴収不要。租税条約により税率の軽減・免除が可能で、2026年5月時点で日本は149か国・地域と83の租税条約を締結済み。「租税条約に関する届出書」を支払日の前日までに支払者経由で税務署に提出することで適用されます。提出を忘れると20.42%が源泉徴収され、後から還付請求が必要に。短期滞在者免税(183日ルール)など、租税条約の特例を活用することで税負担を大幅に軽減できます。

居住者・非居住者の判定

居住者の定義

所得税法第2条第1項第3号により、「居住者」とは「国内に住所があり、または現在まで引き続き1年以上居所がある個人」を指します。逆に、これに該当しない個人が「非居住者」です。
区分 定義 課税範囲
居住者(永住者)居住者のうち、日本国籍を有する者または過去10年以内に5年超日本に住所等があった者全世界所得
居住者(非永住者)居住者のうち、日本国籍を有さず、過去10年以内に日本に住所等があった期間が5年以下国内源泉所得+国外から送金された所得
非居住者国内に住所がなく1年以上居所もない個人国内源泉所得のみ

判定の具体例

ケース 判定
日本企業の従業員が1年以上の予定で海外駐在出国の翌日から非居住者
海外勤務予定が1年未満居住者のまま
外国人エンジニアが2025年4月1日に来日、雇用契約1年以上入国日から居住者
外国人エンジニアが2025年4月1日に来日、雇用契約6か月入国時点では非居住者、9月以降に契約延長で6か月超なら居住者
日本国籍を有する者が日本に帰国・住所設定帰国日から居住者

💡 国籍ではなく住所・居所で判定

居住者・非居住者の判定は国籍ではなく住所・居所の有無で行います。日本国籍の人でも海外駐在で1年以上の場合は非居住者、外国籍の人でも1年以上の予定で日本に滞在すれば居住者となります。判定の難しいケース(駐在期間が当初未確定、家族の同行有無等)では、税務署に事前相談することを推奨します。

非居住者への課税の基本【国内源泉所得のみ】

国内源泉所得とは

非居住者は「国内源泉所得」のみが日本での課税対象となります。国内源泉所得は所得税法第161条で17種類が規定されています。
No. 国内源泉所得の種類 税率
1恒久的施設帰属所得(PEに帰せられる事業所得)確定申告(総合課税)
2国内不動産の譲渡対価10.21%
3国内不動産の貸付対価20.42%
4利子等(国内銀行の預金利子等)15.315%
5配当等(内国法人からの配当)20.42%
6貸付金利子20.42%
7使用料等(特許権・著作権の使用料)20.42%
8給与・報酬等(国内勤務に基づく給与)20.42%
9公的年金等20.42%(控除あり)
10退職手当等(国内勤務に対応する部分)20.42%
11広告宣伝のための賞金20.42%
12生命保険契約に基づく年金20.42%
13給付補塡金(定期積金・金銭信託等)15.315%
14匿名組合契約等に基づく利益分配20.42%

参考: 国税庁 No.2884 非居住者等に対する源泉徴収・源泉徴収の税率

非居住者の課税の特徴

⚠️ 非居住者は所得控除なし・社会保険料控除なし

非居住者の20.42%源泉徴収は「分離課税」で完結し、所得控除(基礎控除・社会保険料控除等)の適用はありません。給与所得控除・配偶者控除・扶養控除も適用不可。源泉徴収する金額は、社会保険料控除前の総額に対して20.42%で計算します。居住者は基礎控除95万円や給与所得控除が適用される一方、非居住者は完全に控除なしという大きな違いがあります。

恒久的施設(PE)の有無による課税範囲の違い

非居住者の課税範囲は、日本国内に「恒久的施設(PE:Permanent Establishment)」があるかどうかで変わります。
PEの有無 課税範囲
PEあり恒久的施設帰属所得+その他の国内源泉所得
PEなし恒久的施設帰属所得を除く国内源泉所得のみ
「恒久的施設なければ課税なし」という国際ルールがあり、海外フリーランスへの業務委託費が国内源泉所得に該当しても、その者が日本にPE(支店・事務所等)を持たない場合は、租税条約により非課税となるケースが多くあります。

給与・報酬の源泉徴収【20.42%が原則】

給与の源泉徴収の基本ルール

非居住者に対する給与の源泉徴収は、国内勤務に基づく給与(国内源泉所得)に対して一律20.42%を適用します。

📐 非居住者給与の源泉徴収税額

源泉徴収税額 = 国内勤務に対応する給与額 × 20.42%

計算例:海外駐在員への賞与

🧮 ケース:海外駐在員Aさんの賞与の処理

2025年4月1日に海外駐在で出国(出国時点で非居住者)
2025年12月支給の冬季賞与:120万円
賞与の計算対象期間:2025年4月1日〜2025年9月30日(183日間)
うち国内勤務期間:2025年4月1日〜4月15日(15日間)

国内源泉所得:1,200,000円 × 15日/183日 = 98,360円
源泉徴収税額:98,360円 × 20.42% = 20,085円
差引支給額:1,200,000円 − 20,085円 = 1,179,915円

※残りの1,101,640円は国外源泉所得として源泉徴収対象外

参考: 国税庁 No.2517 海外に転勤する人の年末調整と転勤後の源泉徴収

海外勤務役員の特殊扱い【勤務地に関係なく国内源泉所得】

役員と使用人で扱いが正反対

非居住者の給与・役員報酬は、役員と使用人で取扱いが大きく異なります。
立場 海外勤務時の取扱い 源泉徴収
使用人(従業員)海外勤務分は国外源泉所得不要
役員勤務地に関係なく全額が国内源泉所得必要(20.42%)
役員が使用人として常時海外勤務(支店長等)海外勤務分は国外源泉所得(実質的使用人)不要

⚠️ 役員ルールの趣旨

役員は委任契約に基づく職務でどこでも仕事ができると解釈されるため、勤務地に関係なく日本本社から支給される役員報酬は国内源泉所得とされます。このルールがないと、形式的に非居住者として、日本本社から多額の役員報酬を受け取り日本の所得税を回避する手法が可能になってしまうため、立法措置されています。形式的には役員でも、海外支店の支店長など常時海外勤務している場合は、実質的に使用人として扱われます。

計算例:海外勤務役員の報酬

🧮 ケース:日本企業の役員が海外駐在

B氏は日本企業の取締役、2025年4月から海外駐在(非居住者)
2026年5月支給の月額役員報酬:100万円(海外勤務分)

役員のため勤務地に関係なく国内源泉所得:1,000,000円
源泉徴収税額:1,000,000円 × 20.42% = 204,200円
差引支給額:1,000,000円 − 204,200円 = 795,800円

※現地国でも課税される場合は、外国税額控除で二重課税を排除

士業・原稿料等の報酬の源泉徴収

非居住者の士業・原稿料は20.42%

非居住者の弁護士・税理士・司法書士・原稿料・講演料等の報酬支払いは、居住者の10.21%/20.42%とは別の規定で、一律20.42%の源泉徴収義務があります。
支払先 居住者の場合 非居住者の場合
弁護士・税理士等の士業報酬10.21%/20.42%20.42%(一律)
原稿料・講演料・デザイン料10.21%/20.42%20.42%(一律)
芸能人・プロスポーツ選手10.21%/20.42%20.42%(一律)
著作権・特許権の使用料10.21%/20.42%20.42%(一律)

海外フリーランスへの業務委託費

💡 海外フリーランスへの支払いの判定

海外在住のフリーランス(個人事業主・ライター・デザイナー等)に業務委託費を支払う場合、「役務提供地」と「PE(恒久的施設)の有無」で判定します。役務提供がすべて海外で行われた場合(リモートワーク等)は国内源泉所得に該当しない可能性が高く、原則として源泉徴収不要。一方、講演やコンサルティング等で来日して役務提供する場合は国内源泉所得として20.42%対象。判定は契約形態・実態で個別判断が必要なため、税理士相談を推奨します。

租税条約による軽減・免除

租税条約の役割

租税条約は、国際的な二重課税の排除と脱税防止を目的に締結される条約です。2026年5月時点で日本は149か国・地域と83の租税条約を締結しています。租税条約の規定は国内法より優先するため、国内法の20.42%が条約により軽減・免除されることがあります。

主要国との租税条約の税率例

配当 利子 使用料
アメリカ0%・5%・10%0%・10%0%
イギリス0%・10%0%・10%0%
ドイツ0%・5%・15%0%0%
中国10%10%10%
韓国5%・15%10%10%
シンガポール5%・15%10%10%
インド10%10%10%

※税率は条約改正・特例により変動するため、適用時には必ず最新の条約文を確認してください。「条件付き0%」は親子間配当等の特定条件のもの。詳細は財務省「我が国の租税条約等の一覧」を参照

租税条約適用の条件

租税条約による軽減・免除を受けるには、以下の3つの条件があります。
  1. 該当する租税条約が存在する(日本と相手国の間で条約締結済み)
  2. 適用条件を満たす(受益者要件・PE要件等)
  3. 「租税条約に関する届出書」を支払日の前日までに提出

⚠️ 届出書の提出を忘れると軽減不可

租税条約の特例を受けるには、支払日の前日までに「租税条約に関する届出書」を支払者経由で税務署に提出する必要があります。届出書の提出を忘れると、国内法の20.42%が源泉徴収され、後から還付請求の手続きが必要に。還付請求は時間と手間がかかるため、最初から届出書を提出することを推奨します。届出書には相手国の居住者証明書(Certificate of Residence)の添付が必要な場合もあります。

租税条約に関する届出書の主な様式

様式 用途
様式1(配当)配当に対する所得税の軽減・免除
様式2(利子)利子に対する所得税の軽減・免除
様式3(使用料)著作権・特許権等の使用料の軽減・免除
様式6(給与・報酬)短期滞在者免税・自由職業者免税等
様式7(教授・研究者)教授・研究者の報酬免税
様式8(留学生・事業修習者)学費・生活費の免税

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短期滞在者免税【183日ルール】

183日ルールの3要件

租税条約には「短期滞在者免税」という重要な特例があり、以下の3要件をすべて満たすと、短期間日本で勤務した非居住者の給与が日本での所得税課税を免除されます。
要件 内容
①滞在日数課税年度または継続する12か月の間に合計183日以下
②給与の支払者給与の支払者が勤務地国(日本)の居住者ではない(海外の企業)
③PE負担なし給与が日本国内にある支店・事務所等のPEによって負担されていない

短期滞在者免税の典型ケース

🧮 短期滞在者免税が適用されるケース

アメリカの親会社の社員Cさんが日本子会社へ業務支援のため出張
滞在期間:2025年4月1日〜6月30日(91日間)
給与の支払者:アメリカ親会社
給与の負担者:アメリカ親会社(日本子会社は負担なし)

3要件すべて満たすため、租税条約により免税
「租税条約に関する届出書(様式6)」を支払前に税務署に提出することで、日本での源泉徴収不要となります。届出書なしの場合は20.42%源泉徴収後、還付請求が必要。

183日ルールの注意点

⚠️ よくある誤解

  • 滞在日数は暦日数:実働日数ではなく、入国日から出国日までの暦日数で計算
  • 183日を1日でも超えると全額課税:超過部分のみではなく、滞在期間全体の給与が課税対象
  • 3要件のすべてを満たす必要:1つでも欠ければ免税不適用
  • 給与が日本側で負担されるとアウト:日本子会社が立替えてアメリカ親会社に請求する形でも、実質的負担で判定

使用料・利子・配当の源泉徴収

使用料(特許権・著作権・ノウハウ等)

非居住者・外国法人への使用料の支払いは、原則20.42%の源泉徴収義務があります。租税条約により多くの場合10%以下まで軽減・免税されます。

🧮 アメリカ法人への特許使用料支払い

特許権使用料:1,000,000円(日米租税条約適用前)

【租税条約届出書なしの場合】
 源泉徴収税額:1,000,000円 × 20.42% = 204,200円
 差引支給額:795,800円

【日米租税条約適用(使用料0%)】
 届出書(様式3)を支払前に税務署に提出
 源泉徴収税額:0円
 差引支給額:1,000,000円

=>届出書提出により204,200円分のキャッシュフロー改善

配当の源泉徴収

区分 税率
非上場株式の配当(国内法)20.42%
上場株式の配当(国内法)15.315%
租税条約適用(多くの国)5〜15%
親子会社間配当(条件付き)0%

利子の源泉徴収

区分 税率
預金利子・公社債利子(国内法)15.315%
貸付金利子(国内法)20.42%
租税条約適用0〜10%

不動産関連の源泉徴収

国内不動産の譲渡対価

💡 不動産購入時の源泉徴収

非居住者から国内不動産を購入する場合、買主は譲渡対価の10.21%を源泉徴収する義務があります。これは買主が個人・法人を問わず適用される重要な実務論点。譲渡対価1億円なら1,021万円を源泉徴収し、税務署に納付します。例外として、買主が個人で「自己または親族の居住用」として購入し、譲渡対価が1億円以下の場合は源泉徴収不要。判定を誤ると買主側に追徴課税リスクが発生します。

国内不動産の貸付対価

非居住者が所有する国内不動産の家賃を支払う場合、賃借人は家賃の20.42%を源泉徴収する義務があります。マンション・オフィスの賃貸契約で、賃貸人が海外居住者の場合に注意が必要です。

非居住者への源泉徴収で失敗しない5つのコツ

コツ1:居住者・非居住者の判定を最初に確認

支払い対象者が「居住者」「非居住者」のどちらに該当するかを最初に判定。住所・居所の有無で判定し、国籍ではない点に注意。判定が難しい場合は税務署に事前相談を。

コツ2:役員と使用人の区別を明確に

海外勤務役員の報酬は勤務地に関係なく国内源泉所得として20.42%対象。使用人は勤務地ベース判定。「実質的に使用人か」(支店長等の常時海外勤務)も重要な判定基準。

コツ3:租税条約届出書は支払前日まで

租税条約による軽減・免除を受けるには、「租税条約に関する届出書」を支払日の前日までに支払者経由で税務署に提出。届出書なしの場合は20.42%源泉徴収後、還付請求が必要となり手間が増える。

コツ4:183日ルールの3要件を確認

短期滞在者免税は3要件すべてを満たす必要。1要件でも欠ければ免税不適用。滞在日数は暦日数で計算、183日を超えると全額課税。

コツ5:海外フリーランス・PE判定は税理士相談

海外フリーランスへの業務委託費・PE判定・国内源泉所得の該当性等は複雑な論点。判断を誤ると重大な追徴課税リスク。国際税務に精通した税理士相談を推奨します。

よくある質問

非居住者からの判定基準は国籍ですか?
いいえ、居住者・非居住者の判定は国籍ではなく住所・居所の有無で行います。日本国籍の人でも海外駐在で1年以上の場合は非居住者、外国籍の人でも1年以上の予定で日本に滞在すれば居住者となります。出国時点・入国時点で予定する滞在期間が判定の基準になります。
アメリカ法人にソフトウェアライセンス料を支払う場合、源泉徴収は必要ですか?
原則として20.42%の源泉徴収が必要ですが、日米租税条約により使用料は0%まで軽減されます。「租税条約に関する届出書(様式3)」を支払日の前日までに税務署に提出することで、源泉徴収0円で支払い可能。届出書を忘れた場合、20.42%源泉徴収後、後から還付請求が必要となります。手続きの手間を考えれば、最初から届出書を提出することを強く推奨します。
海外駐在員の冬季賞与の源泉徴収はどう計算しますか?
賞与の計算対象期間のうち、日本国内勤務期間に対応する部分のみが国内源泉所得として20.42%源泉徴収の対象になります。計算式は「賞与額×国内勤務日数÷計算対象期間の日数」。例えば賞与120万円・計算対象期間183日・うち国内勤務15日なら、98,360円が国内源泉所得で源泉徴収税額20,085円。残額1,101,640円は国外源泉所得として源泉徴収不要です。
海外勤務の役員に支払う報酬は源泉徴収必要ですか?
はい、必要です。役員は勤務地に関係なく、日本企業から支給される報酬全額が国内源泉所得として20.42%の源泉徴収対象となります。これは「役員という職務の性質上、物理的な勤務地に関係なく日本で支給された報酬は国内源泉所得とする」というルールに基づきます。形式的な非居住者化による所得税回避を防止する規定です。ただし、海外支店長など使用人として常時海外勤務している場合は実質的に使用人として扱われ、海外勤務分は国外源泉所得となります。
アメリカから日本に1か月出張する外国人エンジニアの給与は?
183日ルールの短期滞在者免税が適用される可能性があります。3要件(滞在期間183日以下・給与の支払者が日本居住者でない・PEで負担されていない)をすべて満たし、「租税条約に関する届出書(様式6)」を支払日の前日までに提出することで日本での所得税は免税。アメリカ親会社からの給与が日本子会社で負担されていないことが重要なポイント。届出書なしの場合は20.42%源泉徴収後、還付請求が必要です。
海外フリーランスのWebデザイナーに業務委託費を支払う場合は?
役務提供地が海外で完結している場合(リモートワーク等)は、国内源泉所得に該当しない可能性が高く、源泉徴収不要のケースが多いです。一方、来日して役務提供する場合は国内源泉所得として20.42%対象。PE(恒久的施設)の有無や契約形態により判定が分かれるため、ケースバイケースで判定が必要です。国際税務に精通した税理士相談を推奨します。
非居住者から不動産を購入する場合の源泉徴収は?
買主は譲渡対価の10.21%を源泉徴収して税務署に納付する義務があります。譲渡対価1億円なら1,021万円を源泉徴収。これは買主が個人・法人を問わず適用される実務論点で、判定を誤ると買主側に追徴課税リスクが発生します。例外として、買主が個人で「自己または親族の居住用」として購入し、譲渡対価が1億円以下の場合は源泉徴収不要。判断に迷う場合は税理士に確認してください。
非居住者の役員報酬で現地国でも課税された場合は?
国際的な二重課税が発生するため、確定申告で外国税額控除を適用できます。日本での所得税と現地国での所得税の両方を支払った場合、現地国で支払った税額の一部を日本の所得税から控除する仕組み。租税条約の規定や現地国の税制により詳細が変わるため、国際税務に精通した税理士に相談を推奨します。日本本社が海外駐在員の現地税負担を立替える「タックスイコライゼーション」も一般的な実務手法です。
非居住者の確定申告は必要ですか?
基本的に、給与・配当・利子等の源泉徴収のみで日本での課税関係が完了するため、確定申告は不要です。ただし、不動産所得(家賃収入)がある場合や、PEを有して事業所得がある場合は確定申告が必要。退職金・短期所得・退職所得控除等の精算を確定申告で行うことで還付されるケースもあります。海外居住者用の納税管理人の指定も実務上必要です。

📋 この記事のポイント

  • 居住者・非居住者の判定は国籍ではなく住所・居所の有無で行う
  • 非居住者は国内源泉所得のみ課税、原則20.42%の分離課税で完結
  • 所得控除・社会保険料控除なし、社会保険料控除前総額に20.42%
  • 海外勤務役員の報酬は勤務地に関係なく国内源泉所得として20.42%対象
  • 使用人は勤務地ベース判定、海外勤務分は国外源泉所得で源泉徴収不要
  • 租税条約により軽減・免除可能(2026年5月時点で149か国・地域と83条約)
  • 「租税条約に関する届出書」を支払日の前日までに提出が必須条件
  • 短期滞在者免税は183日ルール+給与支払者要件+PE負担要件の3つすべて充足が必要
  • 非居住者からの不動産購入は買主に10.21%源泉徴収義務(1億円超のケース等)
  • 使用料・配当・利子の租税条約軽減は条約改正で変動、最新の条約文を確認
  • 海外フリーランスの判定は役務提供地・PE有無で個別判断

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