【社労士が解説】子の看護休暇と介護休暇|時間単位取得のルールと2025年改正の実務対応

【社労士が解説】子の看護休暇と介護休暇|時間単位取得のルールと2025年改正の実務対応
鮎澤パートナーズ代表 鮎澤 竜哉
公認会計士 第47928号・税理士 第159175号・社会保険労務士 第13240067号・行政書士 第24061284号
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「時間単位で看護休暇を取りたい」「中抜けでも取得できるのか」でお困りの人事担当者・給与計算担当者に向けて、子の看護等休暇・介護休暇の時間単位取得ルール、2021年制度化の経緯、2025年4月改正の対象拡大、就業規則規定例、賃金・勤怠の実務対応までを完全ガイドします。この記事を読めば、自社の運用が法令に沿っているか点検できます。

🏆 結論:時間単位取得は全労働者対象、中抜けは努力義務、2025年4月改正で対象大幅拡大

子の看護休暇(2025年4月から「子の看護等休暇」)と介護休暇は、2021年1月から1日または時間単位での取得が義務化されました。時間単位は1時間の整数倍で、2時間単位等の制限は不可。始業から連続・終業まで連続の時間単位取得は法定義務、就業時間途中の中抜け型は努力義務です。2025年4月改正で子の看護等休暇は対象が小学校3年生修了までに拡大、取得事由に感染症学級閉鎖・入園入学式・卒園式が追加、勤続6か月未満除外が廃止されました。介護休暇も勤続6か月未満除外が廃止されます。賃金は有給・無給のいずれも可で、就業規則での明示が必要です。

子の看護休暇と介護休暇の全体像|2つの制度を比較

子の看護休暇と介護休暇は、育児・介護休業法で定められた法定の休暇制度です。年次有給休暇とは別枠で、突発的な看護・介護ニーズに対応するために設計されています。

項目 子の看護等休暇(2025年4月〜) 介護休暇
対象者(労働者)全労働者(2025年4月から勤続6か月未満除外廃止)全労働者(2025年4月から勤続6か月未満除外廃止)
対象家族小学校3年生修了までの子(従来は就学前まで)要介護状態にある対象家族
取得日数年5日(対象の子が2人以上は年10日)年5日(対象家族が2人以上は年10日)
取得事由病気・けが・予防接種・健康診断・感染症学級閉鎖・入園入学式・卒園式(2025年追加)通院付添・要介護家族の世話・介護認定手続等
取得単位1日または時間単位(2021年1月〜)1日または時間単位(2021年1月〜)
賃金有給・無給いずれも可(就業規則で明示)有給・無給いずれも可(就業規則で明示)
労使協定による除外時間単位取得困難な業務に従事する者(1日単位は可)時間単位取得困難な業務に従事する者(1日単位は可)

両制度とも育児・介護休業法に根拠があり、就業規則と育児介護休業規程で具体的な運用を定める必要があります。2025年4月改正により、労働者側から見ると利用しやすさが大幅に向上しました。

時間単位取得の基本ルール|2021年1月義務化の経緯

2021年1月1日以降、育児・介護休業法施行規則の改正により、子の看護休暇・介護休暇の取得単位が変更されました。

半日単位は廃止され、時間単位取得が全労働者に義務化されました。時間単位は「1時間の整数倍」と定められており、労使協定で2時間単位・4時間単位等に区切ることはできません。

💡 実務のポイント

2021年改正前の「半日単位」のみの規定を残している就業規則を時々見かけます。これは法令違反のため、速やかに時間単位取得の条項に改定する必要があります。なお、半日単位の取得を時間単位取得と併用して認める運用は合法です(法の基準を上回る措置として容認)。半日単位と時間単位の両方を選択肢として提示すると、保育園の送迎等で半日単位を使いたい従業員のニーズにも対応できます。

取得時間の計算ルール

時間単位で取得した場合、1日の所定労働時間数に達した時点で「1日分」として消化します。たとえば所定労働時間8時間の労働者が1時間単位で8回取得すると、合計8時間=1日分の消化となります。

🧮 取得例:年5日の範囲内で時間単位取得

【所定労働時間8時間の労働者・子1人】
・4月:予防接種で2時間取得
・6月:発熱で1日取得(8時間)
・9月:入学式で3時間取得
・12月:学級閉鎖で2日取得(16時間)
→ 合計:2+8+3+16=29時間=3日5時間消化
→ 残り:1日3時間(年5日=40時間のうち11時間残)

「中抜け」の取り扱い|努力義務と企業の配慮事項

実務で最も混乱するのが「中抜け」の扱いです。たとえば子の通院付添のために13時〜15時の2時間だけ休暇を取り、それ以外の時間は勤務する形態は、法的にどう扱われるのでしょうか。

法定義務の範囲

育児・介護休業法では、「始業の時刻から連続する時間」または「終業の時刻まで連続する時間」での時間単位取得を認めることを事業主の義務としています。つまり、始業8時の場合は「8時〜10時」(始業から連続)や「16時〜18時」(終業まで連続)の取得は法定義務です。

中抜け型は努力義務

一方、就業時間の途中で休暇を取得して再び勤務に戻る中抜け型(たとえば13時〜15時のみ休暇)は、法律上の義務ではなく努力義務とされています。厚生労働省は「労働者のニーズに応じて可能な範囲で柔軟な対応が望ましい」と指針を示しています。

取得形態 例(所定8:00-17:00) 法定区分
始業から連続8:00〜10:00の2時間休暇✅法定義務(認めなければならない)
終業まで連続15:00〜17:00の2時間休暇✅法定義務
中抜け型13:00〜15:00の2時間休暇(前後勤務)努力義務(推奨)
1日全部終日休暇✅法定義務

💡 実務のポイント

実務では、中抜け型を認めない場合、「保育園の呼び出しで一時的に迎えに行き、その後復帰する」といったケースに対応できず、労働者が1日単位の取得を余儀なくされて残日数を過剰消費します。人材確保の観点からも、中抜け型を認める企業が増えています。就業規則で「中抜け型の時間単位取得を認める」と明記し、勤怠管理システムでの運用を可能にする設計が推奨されます。

【2025年4月改正】子の看護等休暇への名称変更と対象拡大

2025年4月1日から、「子の看護休暇」が「子の看護等休暇」に名称変更され、内容も大幅に拡充されました。改正の詳細は厚生労働省Webマガジン「改正育児・介護休業法等が施行」で確認できます。

改正のポイント4点

改正項目 改正前 改正後(2025年4月〜)
名称子の看護休暇子の看護等休暇
対象年齢小学校就学前まで小学校3年生修了まで
取得事由病気・けが・予防接種・健康診断上記+感染症学級閉鎖・入園入学式・卒園式
労使協定除外勤続6か月未満を除外可勤続6か月未満の除外廃止

拡大された取得事由の運用例

📢 就業規則改定チェック

自社の育児介護休業規程で、①名称「子の看護休暇」→「子の看護等休暇」、②対象「小学校就学前」→「小学校3年生修了まで」、③取得事由への「感染症学級閉鎖」「入園入学式・卒園式」追加、④労使協定「勤続6か月未満除外」削除、の4点を速やかに改定してください。2025年4月1日以降、旧規程のまま運用していると法令違反となります。

労使協定による除外|認められる範囲と運用注意点

子の看護等休暇・介護休暇の時間単位取得について、労使協定により一部の労働者を除外できるケースがあります。根拠は育児・介護休業法16条の3・16条の6および同法施行規則です。

労使協定で除外可能な労働者

「困難な業務」の判定基準

厚生労働省は「客観的に見て時間単位取得が業務運営を阻害する業務」を例示しており、代表例は以下のとおりです。

⚠️ 除外基準の拡大解釈は違法

「うちは忙しいから除外対象にしたい」という理由での除外は認められません。業務の客観的な性質から判断する必要があります。たとえば「受注を受けてから製造する」といった流動的な業務は、通常は除外対象にできません。除外範囲を過度に広げると労使協定自体が無効と判断され、全労働者の時間単位取得請求を拒否できなくなる可能性があります。

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就業規則・育児介護休業規程の規定例

厚生労働省のモデル規定例をベースに、2025年改正対応版の条文例を示します。

子の看護等休暇の規定例

(子の看護等休暇)

第◯条 小学校3年生修了までの子を養育する従業員は、負傷し、または疾病にかかった当該子の世話もしくは疾病の予防を図るために必要な世話を行うため、または当該子に関する感染症による学級閉鎖等、入園式、入学式もしくは卒園式への参加のために、1年間につき5労働日(養育する小学校3年生修了までの子が2人以上の場合は10労働日)を限度として、子の看護等休暇を取得できる。

2 子の看護等休暇は、1日または時間単位で取得できる。時間単位での取得は、1時間の整数倍で、始業の時刻から連続または終業の時刻まで連続する形式で行うものとする。

3 子の看護等休暇の賃金は無給とする(または:通常の賃金を支給する)。

介護休暇の規定例

(介護休暇)

第◯条 要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う従業員は、1年間につき5労働日(対象家族が2人以上の場合は10労働日)を限度として、介護休暇を取得できる。

2 介護休暇は、1日または時間単位で取得できる。時間単位での取得は、1時間の整数倍で、始業の時刻から連続または終業の時刻まで連続する形式で行うものとする。

3 介護休暇の賃金は無給とする(または:通常の賃金を支給する)。

賃金の有給・無給は企業の判断に委ねられますが、必ず就業規則に明示する必要があります。無給とする場合でも、国からの給付金は支給されないため、完全な収入減となる点を労働者に事前周知することが重要です。

勤怠管理システムでの実務対応

時間単位取得と中抜け型の運用は、勤怠管理システムでの実装が重要です。

勤怠システム設定のチェックポイント

💡 実務のポイント

勤怠システムで年次有給休暇と同じ枠で管理してしまうと、残日数の把握が困難になります。子の看護等休暇・介護休暇は別枠で管理し、給与明細にも明示的に区別して表示する運用が推奨されます。従業員向けには「年次有給は○日、看護等休暇は残○時間」と別々に表示することで、社員の満足度向上にもつながります。

賃金・有給無給の設計|他社の動向と制度設計のヒント

子の看護等休暇・介護休暇の賃金は法律上は有給・無給のいずれも可能ですが、会社の制度設計としては以下のパターンが一般的です。

パターン 賃金設計 採用企業の特徴
①無給(法定最低)取得時間分の賃金を支給しない中小企業・コスト重視企業
②有給(通常賃金支給)取得時間分の通常賃金を支給大手企業・人材確保重視企業
③年数日のみ有給年2〜3日は有給、残りは無給折衷案の中堅企業
④他休暇と組合せ無給だが年次有給と連続取得可柔軟運用志向の企業

厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」では、有給としている企業は約3割、無給としている企業は約7割です。労働者側の利用促進には有給化が最も効果的ですが、コストとのバランスで決定するのが実務です。

よくある質問

時間単位取得で中抜けを認めない場合、違法ですか?
違法ではありません。中抜け型は努力義務であり、始業から連続または終業まで連続の時間単位取得を認めていれば法定義務は果たしています。ただし、労働者のニーズに応じて中抜けを認めることが推奨されており、人材定着の観点からも積極採用する企業が増えています。
2時間単位や4時間単位での取得に制限することはできますか?
できません。法律では1時間の整数倍での取得を認めることを義務化しているため、2時間単位等への制限は違法です。1時間単位で労働者が自由に選択できる運用が必要です。
子の看護等休暇は子が中学生でも取得できますか?
法定の子の看護等休暇は小学校3年生修了までの子が対象です。中学生以上の子の看護のための休暇は法定外のため、企業が独自に拡大運用することは可能ですが、育児・介護休業法上の義務ではありません。
年度の区切りはどう決めますか?
法律上は「1年」と定めていますが、起算日は就業規則で指定できます。一般的には4月1日〜3月31日(年度ベース)または1月1日〜12月31日(暦年ベース)としている企業が多いです。入社日起算とすると管理が複雑になるため、全社統一の起算日を推奨します。
介護休暇は介護保険の認定がないと取れませんか?
介護保険の要介護認定は不要です。育児・介護休業法上の「要介護状態」は、介護保険の認定基準とは別で、2週間以上常時介護を必要とする状態であれば対象です。医師の診断書等で状態を確認する運用で問題ありません。
家族の通院付添以外に介護休暇を使えますか?
使えます。介護休暇は「介護その他の世話」に広く使えます。具体例として、①要介護家族の通院付添、②介護認定申請や主治医訪問、③介護サービス事業者との打合せ、④家事代行として食事・掃除・入浴介助、⑤ケアマネジャーとの面談等が対象となります。
半日単位取得を規定に残していますが違法ですか?
時間単位取得を認めたうえで半日単位も選択肢として残すのは合法です。法の基準を上回る措置となるためです。ただし、半日単位のみで時間単位を認めない規定は2021年以降違法となっています。

まとめ

📋 この記事のポイント

  • 子の看護等休暇・介護休暇とも年5日(2人以上で10日)、2021年1月から時間単位取得が義務化
  • 時間単位は1時間の整数倍、2時間単位等への制限は不可
  • 始業から連続・終業まで連続の時間単位取得は法定義務、中抜け型は努力義務
  • 2025年4月改正で子の看護等休暇は対象が小学校3年生修了まで拡大、取得事由に感染症学級閉鎖・入園入学式・卒園式が追加
  • 2025年4月から労使協定による「勤続6か月未満除外」が廃止(子の看護等休暇・介護休暇とも)
  • 時間単位取得困難な業務(客室乗務員・運転士・手術中の医師等)は労使協定で除外可だが、拡大解釈は違法
  • 賃金は有給・無給いずれも可、就業規則での明示が必要(有給化企業は約3割)

✅ 次のアクション

子の看護等休暇と介護休暇の時間単位取得は、従業員の多様なライフニーズに応える重要な制度です。2021年の時間単位化、2025年4月の対象拡大と、実務運用は複数回の改正を経て複雑化しています。就業規則改定や勤怠システム対応でお困りの際は、鮎澤パートナーズへご相談ください。社会保険労務士・税理士・公認会計士・行政書士が4士業のワンストップ体制で支援いたします。

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