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寄附金の損金算入限度額の計算方法|一般寄附金・特定公益法人・国等への寄附
「法人が寄附をしたらどこまで経費になる?」とお悩みの経営者・経理担当者に向けて、寄附金6区分の判定方法・限度額の計算式・交際費との区分を完全ガイドします。この記事を読めば、寄附先ごとの最適な処理と別表十四の記入方法がわかります。


「法人が寄附をしたらどこまで経費になる?」とお悩みの経営者・経理担当者に向けて、寄附金6区分の判定方法・限度額の計算式・交際費との区分を完全ガイドします。この記事を読めば、寄附先ごとの最適な処理と別表十四の記入方法がわかります。
🏆 結論:寄附金は「6区分」で損金算入額が全く異なる
国・地方公共団体と財務大臣指定の寄附金は全額損金算入。特定公益増進法人・認定NPO法人への寄附金は一般枠とは別枠で限度額を計算できます。一般寄附金の限度額は「(資本金等の額×0.25%+所得金額×2.5%)×1/4」で、中小企業では意外に少額です。完全支配関係がある法人間の寄附金は全額損金不算入(ただし受け取った側は益金不算入)。寄附先の区分を間違えると、想定外の税負担が発生します。
寄附金とは、寄附金・拠出金・見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、法人が行った金銭その他の資産または経済的利益の贈与または無償の供与をいいます(法人税法第37条第7項)。
ここで重要なのは、「寄附金」という名目でなくても、対価のない金銭の贈与は全て寄附金に該当しうるという点です。例えば、事業とは無関係の団体への協賛金、神社の祭礼への寄贈金、政治団体への拠金なども法人税法上は寄附金として扱われます。
以下のものは寄附金から除かれます。混同すると勘定科目の誤りにつながるため、しっかり区別しましょう。
・広告宣伝費:不特定多数に対する宣伝目的の支出
・交際費等:事業に関係のある者への接待・供応・慰安・贈答(詳しくは「交際費の損金算入ルール」を参照)
・福利厚生費:従業員の慰安のための通常要する費用
・見本品費・販売促進費:事業遂行と直接関係のある費用
💡 実務のポイント
実務で最も判断に迷うのが「地元の商工会への協賛金」「取引先の関係する団体への拠出金」です。事業との直接的な関連性がある場合は交際費、関連性がない場合は寄附金として扱います。この判断を誤ると、交際費の800万円枠と寄附金の限度額、両方に影響が出るため、支出の都度、相手先と目的を記録しておくことが重要です。
法人が支出した寄附金は、支出先によって6つに区分され、それぞれ損金算入の扱いが全く異なります。以下の順番で判定してください。
| 区分 | 寄附先の例 | 損金算入 |
|---|---|---|
| ①国・地方公共団体 | 市区町村・都道府県・公立学校の建設費 | 全額OK |
| ②指定寄附金 | 日本赤十字社・学校法人設立費用など | 全額OK |
| ③特定公益増進法人 | 公益社団法人・公益財団法人・学校法人 | 特別限度額まで(別枠) |
| ④認定NPO法人 | 認定NPO法人の特定非営利活動に係る事業 | ③と合算で特別限度額まで |
| ⑤一般の寄附金 | 町内会・神社・政治団体・一般のNPO法人 | 一般限度額まで |
| ⑥完全支配関係法人間 | 100%子会社・100%兄弟会社 | 全額NG |
※③④の特別枠で限度額を超えた部分は、⑤の一般寄附金に含めて再度判定します。
⚠️ 注意:国外関連者への寄附金も全額損金不算入
100%海外子会社など、国外関連者に対して支出した寄附金も全額損金不算入です(租税特別措置法第66条の4第3項)。海外子会社への利益移転は移転価格税制との関連もあるため、国際取引がある法人は特に注意が必要です。
参考: 国税庁「No.5281 寄附金の範囲と損金不算入額の計算」
資本または出資を有する普通法人等の場合、一般寄附金の限度額は以下の算式で計算します。
一般寄附金の損金算入限度額
( 資本金等の額 × 0.25% + 所得金額 × 2.5% )× 1/4
③④の寄附金については、一般枠とは別に以下の算式で計算した特別枠が使えます。
特別損金算入限度額
( 資本金等の額 × 0.375% + 所得金額 × 6.25% )× 1/2
💡 実務のポイント:「所得金額」の算出に注意
ここでいう「所得金額」は、法人税申告書別表四の「仮計」の金額に、その事業年度に支出した寄附金の全額を加算した金額です(法人税法施行令第73条第3項)。つまり、寄附金を差し引く前の所得をベースに限度額を計算します。この点を見落とすと限度額を過少に計算してしまうため、注意してください。
📐 シミュレーション前提条件
| 項目 | パターンA 所得500万円 |
パターンB 所得1,500万円 |
パターンC 所得3,000万円 |
|---|---|---|---|
| 資本金等の額×0.25% | 25,000円 | 25,000円 | 25,000円 |
| 所得金額×2.5% | 125,000円 | 375,000円 | 750,000円 |
| 一般寄附金の限度額(×1/4) | 37,500円 | 100,000円 | 193,750円 |
| 資本金等の額×0.375% | 37,500円 | 37,500円 | 37,500円 |
| 所得金額×6.25% | 312,500円 | 937,500円 | 1,875,000円 |
| 特別損金算入限度額(×1/2) | 175,000円 | 487,500円 | 956,250円 |
| 合計(一般+特別枠) | 212,500円 | 587,500円 | 1,150,000円 |
※概算値です。個別の状況により異なります。正確な計算は税理士にご相談ください。
資本金1,000万円・所得500万円の中小企業では、一般寄附金の限度額はわずか37,500円です。地域の祭りや協賛金を合計するとすぐに超えてしまう金額のため、限度額を意識した支出管理が重要です。一方、公益財団法人や認定NPO法人への寄附は特別枠で175,000円まで使えるため、寄附先の選択が節税に直結します。
寄附金か交際費か広告宣伝費かの区分は、税務調査でも頻繁に指摘される論点です。基本的な判断基準は「支出の相手と事業との関連性」です。
| 支出の内容 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 取引先が主催するゴルフコンペへの協賛金 | 交際費 | 事業に関係のある者への供応に該当 |
| 地域の祭りへの寄贈金(社名掲示あり) | 寄附金 | 不特定多数だが宣伝の主目的とはいえない |
| 社名入りカレンダーの配布費用 | 広告宣伝費 | 不特定多数への宣伝目的 |
| 政治資金パーティの会費 | 寄附金 | 事業に直接関係のない者への金銭の贈与 |
| 取引先の周年行事への祝い金 | 交際費 | 事業関係者への贈答に該当 |
| 災害義援金(日本赤十字社経由) | 指定寄附金 | 財務大臣の指定があれば全額損金算入 |
| 売上割戻しの代わりに旅行を招待 | 交際費 | 金銭以外で支払う売上割戻しは交際費 |
法人の決算・申告全体の流れは「法人決算の流れ完全ガイド」をご覧ください。
「寄附金」という名目でなくても、以下の取引は税務上「寄附金」として認定される可能性があります。特に関連会社間の取引では、税務調査で集中的にチェックされるポイントです。
法人が資産を時価よりも著しく低い価額で譲渡した場合、時価と譲渡価額の差額が寄附金として認定されます。例えば、時価5,000万円の不動産を関連会社に2,000万円で譲渡した場合、差額の3,000万円が寄附金とみなされます。
法人が関連会社に無利息で貸し付けた場合、通常の金利相当額が寄附金として認定される可能性があります。ただし、業績不振の子会社を再建するための合理的な理由がある場合は、寄附金に該当しないとされています(法人税基本通達9-4-2)。
| 取引パターン | 寄附金認定額 | 認定されないための対策 |
|---|---|---|
| 低額譲渡(資産の時価未満での売却) | 時価−譲渡価額 | 不動産鑑定等で時価を立証 |
| 無利息貸付 | 適正利率×貸付金額 | 金銭消費貸借契約書に適正利率を明記 |
| 債権放棄(貸倒れ以外の理由) | 放棄した金額の全額 | 子会社の再建計画を策定し合理性を立証 |
| 無償による役務の提供 | 通常の対価相当額 | 適正な業務委託契約を締結 |
📊 公認会計士の視点
不動産の低額譲渡で最も問題になるのが「時価の算定」です。路線価は相続税の評価額であり、法人税法上の時価(通常の取引価格)とは異なります。関連会社間での不動産譲渡は、必ず不動産鑑定士の鑑定評価を取得するか、合理的な時価算定の根拠を残しておくべきです。
法人による完全支配関係(100%の資本関係)がある内国法人間で支出した寄附金は、全額が損金不算入です。一方、受け取った側では全額が益金不算入となります(法人税法第37条第2項、第25条の2)。
例えば、親会社Aが100%子会社Bに1,000万円を贈与した場合:
・親会社A:1,000万円の寄附金 → 全額損金不算入(法人税の所得が1,000万円増える)
・子会社B:1,000万円の受贈益 → 全額益金不算入(法人税の所得に影響なし)
グループ全体で見ると、親会社側で課税され、子会社側では課税されないため、グループ内での資金移動に対する課税の偏りが生じます。これはグループ内での恣意的な利益操作を防止するための規定です。
⚠️ 注意:寄附修正(株式の簿価調整)も必要
完全支配関係法人間の寄附金が発生した場合、親法人は子法人株式の帳簿価額の調整(寄附修正)も行わなければなりません。支出法人の株式は簿価減額、受領法人の株式は簿価増額の処理が必要です。この処理を忘れると、将来の株式譲渡時に譲渡損益が不正確になります。
この全額損金不算入ルールは「法人による」完全支配関係に限られます。個人オーナーが100%保有する兄弟会社間(個人を頂点とする完全支配関係)の場合は、この規定は適用されず、一般の寄附金の限度額計算が適用されます。ただし、グループ法人税制のその他の規定(譲渡損益の繰延べ等)は個人による完全支配関係でも適用されるため、混同しないよう注意してください。
支出した寄附金が6区分のどれに該当するかを確認します。特定公益増進法人かどうかは、寄附先の法人に直接確認するか、内閣府のNPOホームページ等で確認できます。
一般寄附金と特別枠のそれぞれの限度額を計算します。所得金額は「寄附金を加算した後の仮計」を使うことを忘れずに。
支出した寄附金の合計額と限度額を比較し、超過分が損金不算入額となります。特別枠で超えた部分は一般枠に含めて再判定します。
法人税申告書の「別表十四(二)寄附金の損金算入に関する明細書」に、寄附金の支出先・金額・区分・限度額・損金不算入額を記入します。
寄附金の領収書、寄附先が特定公益増進法人であることの証明書類(主たる業務に関連する旨の書類)を保存しておきます。特別枠を使う場合は、この書類保存が適用要件です。
💡 実務のポイント
経験上、寄附金で最も多いミスは「特別枠を使えるのに一般枠だけで計算してしまう」ケースです。公益財団法人への寄附を一般寄附金に含めて処理してしまうと、限度額を超えた部分が損金不算入になり、本来払わなくてよい法人税を払うことになります。寄附先の区分を確認するだけで節税になる場合があるので、必ず確認してください。
法人が地方公共団体の地方創生に関する取り組み(まち・ひと・しごと創生寄附活用事業)に寄附した場合、通常の損金算入(約3割の軽減効果)に加えて、法人事業税・法人住民税・法人税から最大6割の税額控除が受けられます。合わせて最大約9割が軽減され、実質的な企業負担は約1割まで圧縮されます。
ただし、本社が所在する地方公共団体への寄附は対象外、1回あたり10万円以上が要件など、個人のふるさと納税とは異なるルールがあります。また、個人のように返礼品を受け取ることはできません。節税対策全般については「中小企業の節税対策一覧」もあわせてご覧ください。
寄附金の支出は、対価を得て行われる取引ではないため、消費税の課税仕入れには該当しません。つまり、寄附金を支払っても仕入税額控除は使えず、消費税の納付額には影響しません。
ただし、寄附金に該当するかどうかの判断は法人税と消費税で異なる場合があります。例えば、低額譲渡の場合、法人税上は時価との差額が寄附金として認定されますが、消費税上の課税標準はあくまで実際の対価の額です(ただし、個人事業主が法人に低額譲渡した場合は消費税法上も時価課税される場合があります)。
会社設立時の全体的な届出については「会社設立の流れ完全ガイド」をご確認ください。
寄附金の損金不算入額の計算は、法人税申告書の別表十四(二)「寄附金の損金算入に関する明細書」で行います。
①寄附金の支出先・金額を区分ごとに記入 → ②資本金等の額と所得金額を記入 → ③一般寄附金の限度額を算式で計算 → ④特別損金算入限度額を算式で計算 → ⑤損金不算入額を確定 → ⑥別表四で加算調整
会計ソフトを使っていれば計算は自動化されますが、寄附先の区分(一般か特別枠か)は手動で入力する必要があります。区分を間違えると限度額の計算が崩れるため、経理段階で正確に区分しておくことが重要です。
💡 実務のポイント
寄附金は「現金主義」で認識する点にも注意が必要です。未払寄附金や手形払い(未決済)は寄附金に含まれません。実際に金銭を支払った事業年度の寄附金として処理します。逆に、仮払で支出した寄附金は寄附金に含まれます。
役員報酬の最適化については「役員報酬の基本ルール」で解説しています。
📋 この記事のポイント
寄附金の税務処理は、寄附先の区分さえ正確に判定すれば、計算自体はシンプルです。まずは自社の支出を6区分に分類し、特別枠を使い漏れていないかを確認しましょう。判断に迷う場合は、支出の前に税理士に相談することで、最適な節税効果を得ることができます。